生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_界面活性剤を含む混合物の定量方法
出願番号:1997339777
年次:2004
IPC分類:7,G01R33/28,G01N24/08


特許情報キャッシュ

小池 亮 城 昭一 東 美喜子 JP 3592917 特許公報(B2) 20040903 1997339777 19971210 界面活性剤を含む混合物の定量方法 花王株式会社 000000918 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 古谷 聡 100087642 持田 信二 100091845 小池 亮 城 昭一 東 美喜子 20041124 7 G01R33/28 G01N24/08 JP G01N24/02 A G01N24/08 510P 7 G01N 24/00-24/14 G01R 33/20-33/64 JICSTファイル(JOIS) 特開平01−302148(JP,A) 特開昭62−034242(JP,A) 特開昭53−083787(JP,A) 特開平09−309928(JP,A) 特開平02−278176(JP,A) G.CARMINATI, l.CAVALLI,Analisi di detersivi. Applicazione della spettroscopia 13C NMR,LA RIVISTA ITALLIANA DELLE SOSTANZE GRASSE,1989年 6月,VOL.66, No.6,PAGE. 341-347 鈴木雄二 他,界面活性剤の分析,ぶんせき,1989年,VOL.2,第65−71頁 4 1999174139 19990702 10 20010719 田中 洋介 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は界面活性剤を含む混合物の定量方法に関し、詳しくは、家庭用や工業用の洗浄剤等の界面活性剤を含む混合物中の各種有機成分を短時間で簡単に一斉定量することができる定量方法に関するものである。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、家庭用や工業用の洗浄剤等の界面活性剤を含む混合物中の各種有機成分の定量は、カラムクロマトグラフィー法、溶媒抽出法、滴定法などの分析法を併用して行なわれていたが、このような方法では、操作が煩雑で分析期間も1週間以上必要であった。【0003】従って、界面活性剤を含む混合物を、短時間で容易に一斉に、しかも精度良く定量できる定量方法が熱望されていた。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、内部標準物質を用い、界面活性剤を含む混合物中の各種有機成分を 1H−NMRで一斉定量することを特徴とする界面活性剤を含む混合物の定量方法を提供するものである。【0005】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。【0006】本発明において用いられる内部標準物質としては、ピークが複雑に分離せず単純で、しかも分析する有機成分のピークと重なりを生ずることが少ないものが好ましく、具体的にはトリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−d4 、酢酸、1, 4−ジニトロベンゼン、メタクリル酸、アセトン及びメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。【0007】本発明の定量分析は、水系溶媒中でも、有機溶媒中でも行なうことができ、水系溶媒中で測定する場合には、内部標準物質として、トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−d4 、酢酸、メタクリル酸、アセトン及びメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましく、トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−d4 及び酢酸から選ばれる少なくとも1種を用いるのが、揮発性が低く取り扱いが容易で秤量精度が高いので特に好ましい。また有機溶媒中で測定する場合にはトリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−d4 、酢酸、1, 4−ジニトロベンゼン、メタクリル酸、アセトン及びメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましく、1, 4−ジニトロベンゼン及び酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが、揮発性が低く取り扱いが容易で秤量精度が高いので特に好ましい。【0008】本発明の方法により定量される界面活性剤を含む混合物としては、衣料用、住居用、台所用、身体用等の家庭用洗浄剤や、紙、パルプ、金属、繊維などの工業用の洗浄剤等が挙げられる。【0009】本発明の 1H−NMRを用いた定量方法として特に好ましい方法は以下に示す3つの方法である。▲1▼ トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−d4 (以下TSP−d4 と略記する)を内部標準物質とし、水系溶媒中で測定する方法。▲2▼ 酢酸を内部標準物質とし、有機溶媒中で測定する方法。▲3▼ 1,4−ジニトロベンゼン、又は1,4−ジニトロベンゼンと酢酸の混合物を内部標準物質とし、有機溶媒中で測定する方法。【0010】以下、各方法について詳細に説明する。▲1▼の方法は、TSP−d4 を内部標準物質とし、水系溶媒中で測定する方法であるが、TSP−d4 は0ppm にのみシグナル(単一線)を与えるため他の成分のシグナルとの分離が良好である。【0011】▲1▼の方法において、水系溶媒としては、界面活性剤に対する溶解性等から重水と重水に可溶な重水素化溶媒との混合溶媒が好ましく、更に重水と低級アルコール特にメタノールの重水素化物(以下重メタノールと略記する)との混合溶媒を用いることが好ましい。重水と重メタノールとの混合溶媒としては、重水/重メタノール=1/1〜1/5(容量比)の割合のものを用いることが特に好ましい。このような重水/重メタノールの混合溶媒を用いることにより、 1H−NMRのシグナルをシャープにすることができる。【0012】▲1▼の方法により定量することができる界面活性剤としては、特に限定されず、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の各種界面活性剤全てが挙げられ、これらの界面活性剤以外に他の成分を含有していてもよい。【0013】▲2▼の方法は、酢酸を内部標準物質とし、有機溶媒中で測定する方法であるが、酢酸を添加することにより酢酸のカルボキシルプロトン(COOH)と交換可能なプロトン(OH等)のシグナルを低磁場にシフトさせることができるので、特に水酸基を有する界面活性剤を含む混合物を定量するのに適している。【0014】▲2▼の方法において、有機溶媒としては、クロロホルムの重水素化物(以下重クロロホルムと略記する)と重クロロホルムに可溶な重水素化溶媒(例えば重メタノール等)との混合溶媒を用いることが好ましく、特に重クロロホルム/重メタノール=10/1〜1/1(容量比)の混合溶媒を用いることが好ましい。【0015】▲2▼の方法により定量することができる界面活性剤としては、特に限定されず、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の全てが挙げられ、これらの界面活性剤以外に他の成分を含有していてもよいが、特に上記の理由から水酸基を有する界面活性剤、例えばモノ又はジアルカノールアミド等を含む混合物の定量に適している。【0016】▲3▼の方法は、1,4−ジニトロベンゼン、又は1,4−ジニトロベンゼンと酢酸の混合物を内部標準物質とし、有機溶媒中で測定する方法であるが、1,4−ジニトロベンゼンは芳香環を有し、ピークが複雑に分離せず単純で、しかも分析する有機成分のピークと重なりを生ずることが少なく、揮発性が低く取り扱いが容易で秤量精度が高いという特徴をもつので、一般の界面活性剤とは異なる位置にシグナルが検出され、有機溶媒に可溶なほとんどの界面活性剤を含む混合物を定量するのに適している。【0017】▲3▼の方法において、有機溶媒としては、上記▲2▼で挙げたものを用いることができ、また▲3▼の方法により定量することができる界面活性剤も、▲2▼で挙げたものと同様である。【0018】本発明においては、上記のような方法で 1H−NMRを測定した後、内部標準物質及び各界面活性剤の特徴的なシグナルの積分値と分子量から重量%を算出することにより、混合物中の界面活性剤を定量することができる。【0019】本発明の方法は、界面活性剤を含有する混合物の各種有機成分組成を短時間で、しかも精度よく定量することができ、特に洗浄剤等の組成を定量分析するのに特に適している。【0020】【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の%は特記しない限り重量基準である。【0021】実施例1ドデシルベンゼンスルホン酸Na(以下LASと略記)、ラウリル硫酸Na(以下ASと略記)、ポリオキシエチレン(EO=8) ラウリルエーテル(以下POEAEと略記)、パルミチン酸Na(以下PAと略記)及びポリエチレングリコール(平均分子量6000、以下PEGと略記)を表1に示す割合で配合した混合物を下記溶媒及び内部標準物質を用い、下記装置及び条件で 1H−NMR分析を行なった。【0022】【0023】得られた 1H−NMRスペクトルのシグナルの帰属を行なうと、0ppm がTSP−d4 由来のシグナル、PAのカルボニル炭素に隣接したメチレン基のシグナルが2.15ppm 、POEAEのエーテル酸素に隣接したアルキル基のメチレン基のシグナルが3.50ppm 、ASの硫酸基に隣接したアルキル基のメチレン基のシグナルが4.00ppm 、また、LASの芳香環のシグナルが7.24ppm と7.75ppm にそれぞれ検出されており、これらの特徴的なシグナルを用いて各成分の定量を行なった。なお、3.58〜3.74ppm のシグナルはPOEAEとPEGのEO鎖に由来するものであり、これらの積分強度からPOEAEのEO鎖由来の分を差し引いて、PEGの定量を行なった。なお、それ以外のシグナルについても帰属を行うと、0.6 〜1.8ppmはアルキル基、2.4 〜2.8ppmはLASの芳香環に隣接したアルキル基のメチレン基、3.33ppm は重メタノールのメチル基の残存プロトン、4.83ppm は重水中のHDO、重メタノールのOH基の残存プロトン及び試料中の水分に由来するシグナルである。【0024】内部標準物質及びこれらの各成分の特徴的なシグナルの積分値と分子量から混合物中の各成分の配合割合(重量%)を算出した。結果を表1に示す。【0025】【表1】【0026】表1から明らかなように、混合物中の各成分の配合割合と、 1H−NMRにより定量分析した結果とがほぼ一致した。【0027】実施例2下記式(I)で表されるジエタノールアミド、ジエタノールアミン、グリセリン、下記式(II)で表されるアミドエステル、グリセリンモノラウリン酸エステル(モノラウリン)及びメタノールを表2に示す割合で配合した混合物を下記溶媒及び内部標準物質を用い、実施例1と同様の装置及び条件で 1H−NMR分析を行なった。【0028】【化1】【0029】溶媒:重クロロホルム/重メタノール(5/1(容量比))内部標準物質:酢酸(酢酸を溶媒に2%の割合で添加)得られた 1H−NMRスペクトルを図2に示す。【0030】得られた 1H−NMRスペクトルのシグナルの帰属を行なうと、2.05ppm が酢酸由来のシグナル、0.8 〜1.7ppmはアルキル基、2.40ppm はジエタノールアミドのカルボニル炭素に隣接したメチレン基、3.15ppm はジエタノールアミンのNH基に隣接したメチレン基、3.42ppm は重メタノールのメチル基の残存プロトン、3.46ppm のシングレットはメタノール、3.48〜3.58ppm はジエタノールアミドの窒素に隣接したメチレン基、3.60〜3.74ppm はグリセリンのメチレン基、3.74〜3.85ppm はジエタノールアミドのOH基に隣接したメチレン基とグリセリンのメチン基、3.88ppm はジエタノールアミンのOH基に隣接したメチレン基、4.15ppm はモノラウリンのエステル化されたメチレン基に由来するシグナルである。なお、4.18〜4.25ppm はアミドエステルのエステル化されたメチレン基に由来するシグナルである。【0031】内部標準物質及びこれらの各成分の特徴的なシグナルの積分値と分子量から混合物中の各成分の配合割合(重量%)を算出した。結果を表2に示す。【0032】【表2】【0033】表2から明らかなように、混合物中の各成分の配合割合と、 1H−NMRにより定量分析した結果とがほぼ一致した。【0034】実施例3LAS 3.5g、AS0.50g、POEAE0.40g、PA0.40g、PEG0.20g、Na2SO4 0.20g、Na2CO3 2.4g及びゼオライト 2.4gを混合し、モデル洗剤を調製した。【0035】このモデル洗剤 0.1gに、 0.5%のTSP−d4 を添加した重水1mlと重メタノール3mlを加えて溶解させ、上澄み液の 1H−NMRを実施例1と同様の装置及び条件で測定した。【0036】得られた 1H−NMRスペクトルから実施例1と同様にしてシグナルの帰属を行い、内部標準物質及び各成分の特徴的なシグナルの積分値と分子量から洗剤中の各成分の配合割合(重量%)を算出した。結果をモデル洗剤の各成分の配合割合とともに表3に示す。【0037】【表3】【0038】表3から明らかなように、洗剤中の各成分の配合割合と、 1H−NMRにより定量分析した結果とがほぼ一致した。【0039】実施例4上記式(I)で表されるジエタノールアミド 9.0g、ジエタノールアミン0.50g、グリセリン0.21g、上記式(II)で表されるアミドエステル0.26g、モノラウリン0.01g及びメタノール0.02gを混合し、モデル試料を調製した。【0040】調製したモデル試料 0.5gに2%の酢酸を添加した重クロロホルム2mlと重メタノール0.5ml を添加して溶解し、 1H−NMRを実施例2と同様の装置及び条件で測定した。【0041】得られた 1H−NMRスペクトルから実施例2と同様にしてシグナルの帰属を行い、内部標準物質及び各成分の特徴的なシグナルの積分値と分子量から試料中の各成分の配合割合(重量%)を算出した。結果をモデル試料の各成分の配合割合とともに表4に示す。【0042】【表4】【0043】表4から明らかなように、試料中の各成分の配合割合と、 1H−NMRにより定量分析した結果とがほぼ一致した。【0044】実施例5上記式(I)で表されるジエタノールアミド 9.0g、ジエタノールアミン0.50g、グリセリン0.21g、上記式(II)で表されるアミドエステル0.26g、モノラウリン0.01g及びメタノール0.02gを混合し、モデル試料を調製した。【0045】調製したモデル試料 0.5gに2%の酢酸と0.5 %の1, 4−ジニトロベンゼンを添加した重クロロホルム2mlと重メタノール0.5ml を添加して溶解し、 1H−NMRを実施例2と同様の装置及び条件で測定した。得られた 1H−NMRスペクトルを図3に示す。【0046】得られた 1H−NMRスペクトルのシグナルの帰属を行なうと、2.05ppm が酢酸由来のシグナル、8.4 ppm が1, 4−ジニトロベンゼン由来のシグナル、0.8 〜1.7ppmはアルキル基、2.40ppm はジエタノールアミドのカルボニル炭素に隣接したメチレン基、3.15ppm はジエタノールアミンのNH基に隣接したメチレン基、3.42ppm は重メタノールのメチル基の残存プロトン、3.46ppm のシングレットはメタノール、3.48〜3.58ppm はジエタノールアミドの窒素に隣接したメチレン基、3.60〜3.74ppm はグリセリンのメチレン基、3.74〜3.85ppm はジエタノールアミドのOH基に隣接したメチレン基とグリセリンのメチン基、3.88ppm はジエタノールアミンのOH基に隣接したメチレン基、4.15ppm はモノラウリンのエステル化されたメチレン基に由来するシグナルである。なお、4.18〜4.25ppm はアミドエステルのエステル化されたメチレン基に由来するシグナルである。【0047】内部標準物質及びこれらの各成分の特徴的なシグナルの積分値と分子量から混合物中の各成分の配合割合(重量%)を算出した。結果をモデル試料の各成分の配合割合とともに表5に示す。【0048】【表5】【0049】表5から明らかなように、試料中の各成分の配合割合と、 1H−NMRにより定量分析した結果とがほぼ一致した。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1で得られた 1H−NMRスペクトルである。【図2】実施例2で得られた 1H−NMRスペクトルである。【図3】実施例5で得られた 1H−NMRスペクトルである。 トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−d4を内部標準物質とし、重水と低級アルコールの重水素化物との混合溶媒中で、界面活性剤を含む混合物中の各種有機成分を1H−NMRで一斉定量することを特徴とする界面活性剤を含む混合物の定量方法。 酢酸を内部標準物質とし、クロロホルムの重水素化物とメタノールの重水素化物との混合溶媒中で、界面活性剤を含む混合物中の各種有機成分を1H−NMRで一斉定量することを特徴とする界面活性剤を含む混合物の定量方法。 1,4−ジニトロベンゼン、又は1,4−ジニトロベンゼンと酢酸の混合物を内部標準物質とし、クロロホルムの重水素化物とメタノールの重水素化物との混合溶媒中で、界面活性剤を含む混合物中の各種有機成分を1H−NMRで一斉定量することを特徴とする界面活性剤を含む混合物の定量方法。 界面活性剤を含む混合物が洗浄剤である請求項1〜3いずれかに記載の定量方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る