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タイトル:特許公報(B2)_芳香族ビス(エーテル酸無水物)、ポリアミック酸およびポリイミド
出願番号:1997282415
年次:2005
IPC分類:7,C08G73/10,C07D307/89


特許情報キャッシュ

井上 靖健 松原 稔 後藤 幸平 JP 3633238 特許公報(B2) 20050107 1997282415 19971015 芳香族ビス(エーテル酸無水物)、ポリアミック酸およびポリイミド JSR株式会社 000004178 渡辺 喜平 100086759 井上 靖健 松原 稔 後藤 幸平 20050330 7 C08G73/10 C07D307/89 JP C08G73/10 C07D307/89 Z 7 C08G 73/10-16 C07D307/89 特開平10−120783(JP,A) 特開平10−298285(JP,A) 特開平10−152559(JP,A) 特開平11−116673(JP,A) 特開平07−278070(JP,A) 特開平02−091124(JP,A) 3 1999116675 19990427 19 20021216 冨士 良宏 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規な芳香族ビス(エーテル酸無水物)、ポリアミック酸およびポリイミドに関する。さらに詳しくは、電気絶縁材料等の各種電気部品や電子部品に好適に用いられるポリイミド、並びにこのポリイミドの製造に有用な、出発物質としての芳香族ビス(エーテル酸無水物)および中間体としてのポリアミック酸に関する。【0002】【従来の技術】各種電気部品や電子部品に用いられるLSI(大規模集積回路)等の半導体装置は、微細加工技術の進歩によって、高集積化、多機能化、高性能化の一途を辿っている。その結果、回路抵抗(以下、「寄生抵抗」と称する場合もある。)や配線間のコンデンサー容量(以下、「寄生容量」と称する場合もある。)が増大し、それに伴って消費電力が増すだけではなく、入力信号に対する遅延時間も増大し、デバイスの信号スピードが低下する大きな要因となっており、その解決が大きな課題となっている。このような信号スピードの低下を抑える方策として、寄生抵抗や寄生容量を小さくすることが考えられ、その一つとして、配線周辺を低誘電率の層間絶縁膜で覆うことにより寄生容量を下げて、デバイスの高速化に対応しようとしている。そこで、従来の代表的な層間絶縁膜である無機膜の二酸化ケイ素(SiO2 )を、低誘電率の有機膜に代える試みがなされている。そして、この有機膜の材料としては、絶縁性・低誘電性の特性のほかに、実装基板製造時の薄膜化工程の際や、チップ接続あるいはピン付け等の際の熱処理(加熱工程)にも耐えられる耐熱性を有することが必要とされている。ここで、代表的な低誘電性の電気絶縁有機材料としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂が知られている。かかるフッ素樹脂は溶媒に対して不溶であり、電子部品の多様な用途に展開するためには、特殊な組成物にする必要があるなど、加工性や取り扱い性に問題があり、非常に限られた範囲にその使用が限定されていた。また、さらに耐熱性の高い有機材料としてポリイミド樹脂が知られており、特に耐熱性の高いポリイミド樹脂として、J.Polymer Sci.、Part A:Polymer Chemistry、Vol.31、2153−2163(1993) に記載されている、9、9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレンと、ピロメリット酸二無水物、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3、3’、4、4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物および3、3’、4、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等とを反応させて得られるものが知られている。しかしながら、かかるポリイミド樹脂の比誘電率の値は2.9〜3.5程度であり、信号スピードの高速化を図ったLSIの低誘電層間絶縁膜としては未だ満足しうるものではない。また、かかるポリイミド樹脂を溶解するための溶媒の種類が限定されてしまうという問題も見られた。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、優れた耐熱性と低誘電性とを兼ね備えた、たとえば電気絶縁材料として有用なポリイミド、並びにこのポリイミドの製造に有用な、出発物質としての芳香族ビス(エーテル酸無水物)および中間体としてのポリアミック酸を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の芳香族ビス(エーテル酸無水物)を用いて合成したポリイミドが、高耐熱性と低誘電性との両面で優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記を要旨とする。[1]下記一般式(1)に示す芳香族ビス(エーテル酸無水物)である。【0005】【化4】【0006】〔一般式(1)において、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式芳香族基を、R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式芳香族基をそれぞれ示す。〕【0007】[2]下記一般式(2)に示す繰返し単位を含み、対数粘度ηinh (N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃、濃度0.5g/dl)が0.1〜4dl/gぼ範囲内の値であることを特徴とするポリアミック酸である。【0008】【化5】【0009】〔一般式(2)において、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を、R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式芳香族基をそれぞれ示し、Arは単環式もしくは縮合多環式芳香族基およびこれらの芳香族基が直接または連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜80の芳香族基、または炭素数1〜6のフッ化アルキレン基を示す。〕【0010】[3]下記一般式(3)に示す繰返し単位を含み、対数粘度ηinh (N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃、濃度0.5g/dl)が0.1〜4dl/gの範囲内の値であることを特徴とするポリイミドである。【0011】【化6】【0012】〔一般式(3)において、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を、R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式芳香族基をそれぞれ示し、Arは単環式もしくは縮合多環式芳香族基およびこれらの芳香族基が直接または連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜80の芳香族基、炭素数1〜6のフッ化アルキレン基を示す。〕【0013】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。I.芳香族ビス(エーテル酸無水物)(第1発明)1.構造 本発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)(第1発明)は、前記一般式(1)に示す構造を有している。この一般式(1)において、R1 の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、炭素数6〜14の単環式または縮合多環式芳香族基としては、例えば、フェニル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p−トルイル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラニル基、2−アントラニル基、9−アントラニル基等を挙げることができる。そして、これらの基のうち、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましい。また、この一般式(1)において、R2 は、水素原子でもあり得るほかは、R1 と同じである。そして、R2 の好ましい基としては、水素原子、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、フェニル基が挙げられるが、特に水素原子が好ましい。【0014】第1発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)の好ましい具体例としては、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、等を挙げることができる。これらの芳香族ビス(エーテル酸無水物)化合物のうち、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物が、より高耐熱性と低誘電性を有している点で好ましい。【0015】2.製造第1発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)は、例えば、下記一般式(4)に示すビスフェノール化合物と、下記一般式(5)に示すN−置換ニトロフタルイミドとを縮合させたのち、得られる芳香族ビスイミド化合物をアルカリ加水分解し、続いて酸性化することでテトラカルボン酸とし、さらに脱水することにより得ることができる。【0016】【化7】【0017】〔一般式(4)において、R1 およびR2 は、前記一般式(1)におけるR1 およびR2 と同義である。〕【0018】【化8】【0019】〔一般式(5)において、R3 は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜20の単環式もしくは縮合多環式芳香族基を示す。〕一般式(4)に示すビスフェノール化合物は、例えば、特開平6−228035号公報やResearch Disclosure, 378, P647−P650(1995) に記載された方法によって得ることができる。【0020】一般式(5)に示すN−置換ニトロフタルイミドの好ましい具体例としては、N−フェニル−4−ニトロフタルイミド、N−フェニル−3−ニトロフタルイミド、N−メチル−4−ニトロフタルイミド、N−メチル−3−ニトロフタルイミド等を挙げることができる。【0021】一般式(4)に示すビスフェノール化合物と、一般式(5)に示すN−置換ニトロフタルイミドとの縮合反応は、ビスフェノール化合物をジフェノキシドのアルカリ金属塩とし、これに対してN−置換ニトロフタルイミドを2倍モル以上、好ましくは2〜3倍モルを、有機溶媒中、反応原料の濃度を、通常、1〜80重量%、好ましくは30〜60重量%とし、温度20〜250℃、好ましくは20〜150℃にて0.5〜24時間反応させることにより実施される。そして、前記有機溶媒の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。また、これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。【0022】縮合反応により得られた芳香族ビスイミド化合物の、テトラカルボン酸塩への加水分解は、例えば水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリのような塩基の存在下で、1〜24時間またはそれ以上の間、還流することにより行うことができる。そして、副生成物としての有機アミンはエーテル抽出または水蒸気蒸留等のような標準的方法によって除くことができる。次いで、テトラカルボン酸塩は塩酸等の希釈水溶液のような鉱酸によって酸性化することができる。生成したテトラカルボン酸は、一般的な方法、例えば無水酢酸等のような脱水剤を用いて還流させることによって脱水し、二無水物を得ることができる。【0023】得られた芳香族ビス(エーテル酸無水物)は、そのまま、または再結晶等によって精製して、後述するポリアミック酸(第2発明)の製造に用いることができる。【0024】II.ポリアミック酸(第2発明)1.構造本発明のポリアミック酸(第2発明)は、前記一般式(2)に示す繰返し単位を含む。このポリアミック酸においては、前記一般式(2)のR1 ,R2 またはArの何れか一つ以上が異なる2種以上の繰返し単位が含まれていてもよく、この場合、2種以上の繰返し単位は、ポリアミック酸の分子鎖中にランダム状にもブロック状にも結合することができる。【0025】2.特性第2発明のポリアミック酸の対数粘度ηinh (N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃、濃度0.5g/dl )は、0.1〜4dl/gであり、好ましくは0.3〜2dl/gである。なお、第2発明のポリアミック酸は、イミド化率が50%を超えない範囲内で、部分的にイミド化されていてもよい。【0026】3.製造第2発明のポリアミック酸は、前述の第1発明の芳香族ビスエ−テル酸無水物と、下記一般式(6)に示す芳香族ジアミン化合物とを、有機溶媒中で重縮合させることにより製造することができる。第2発明のポリアミック酸を製造するに当たり、第1発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。【0027】【化9】【0028】〔一般式(6)において、Arは、前記一般式(2)におけるArと同義である。〕また、一般式(6)に示す芳香族ジアミン化合物の中でも、下記一般式(7)に示す芳香族ジアミン化合物またはビフェニル構造を有するジアミンが特に好ましい。【0029】【化10】【0030】〔一般式(7)において、R1 およびR2 は、前記一般式(1)におけるR1 およびR2 と同義であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R4 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式の芳香族基、あるいは炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示す。〕これらの好ましい具体例としては、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−エチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−i−プロピルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−t−ブチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノナフタリン等を挙げることができる。これらの芳香族ジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。なお、上述の芳香族ジアミン以外にも、2,2−ジアミノヘキサフルオロプロピレンなどのフッ化脂肪族ジアミンを好適に用いることができる。【0031】また、第2発明のポリアミック酸を製造する際には、第3発明のポリイミドの特性を実質的に損なわない範囲内で、第1発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)以外のテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。この場合、第1発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)以外のテトラカルボン酸二無水物の使用量は、第2発明のポリアミック酸の製造に用いられる全芳香族ビス(エーテル酸無水物)の、好ましくは0〜50モル%(但し、0は含まない。)の範囲内の値であり、さらに好ましくは0〜30モル%(但し、0は含まない。)の範囲内の値である。【0032】また、第1発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)と一般式(6)に示すジアミン化合物との重縮合反応は、通常、有機溶媒中で実施される。そして、使用可能な有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N,N−ジエチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。【0033】また、前記重縮合反応における反応原料の濃度は、通常、2〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲内の値が好ましい。そして、反応温度としては、通常、60℃以下、好ましくは50℃以下の値である。さらに、反応圧力は特に限定されず、通常、常圧で実施することができる。また、反応時間は、通常、0.5〜24時間の範囲内である。このような条件で以て重縮合反応を行うことにより、前記一般式(2)に示す繰返し単位を含有するポリアミック酸を得ることができる。【0034】III .ポリイミド(第3発明)1.構造本発明のポリイミド(第3発明)は、前記一般式(3)に示す繰り返し単位を含むことを特徴とする。このポリイミドにおいては、前記一般式(3)のR1 、R2 またはArの何れか一つ以上が異なる2種以上の繰返し単位が含まれていてもよい。そして、この場合に2種以上の繰返し単位は、ポリイミドの分子鎖中にランダム状にもブロック状にも結合することができる。【0035】2.特性第3発明のポリイミドの対数粘度ηinh (N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃、濃度0.5g/dl)は、0.1〜4dl/gの範囲内の値であり、より好ましくは0.3〜2dl/gの範囲内の値である。第3発明のポリイミドは、低誘電率でかつ耐熱性に優れている。具体的に、その比誘電率(1MHz)は、通常、3.0以下、好ましくは2.9以下の値である。なお,比誘電率(1MHz)は値が小さい程、漏れ電流が少なくなり、層間絶縁膜として有効であるが、かかる値が、2.2未満となると、使用可能な材料の種類が制限されるおそれがある。したがって、第3発明のポリイミドのため、比誘電率(1MHz)は、2.2〜3.0の範囲内、より好ましくは、2.3〜2.9の範囲内の値である。また、耐熱性の指標としての5%熱分解(重量減少)温度(窒素雰囲気中)は、通常、400℃以上、好ましくは500℃以上の値である。しかも、第3発明のポリイミドは、各種溶剤に対する溶解性にも優れている。したがって、第3発明のポリイミドは、特にLSIにおける層間絶縁膜として極めて好適に使用することができる。また、一般の絶縁材料、耐熱性材料等としても有用である。【0036】3.製造第3発明のポリイミドは、前記一般式(2)に示す繰返し単位を含むポリアミック酸を、脱水閉環してイミド化することにより製造することができる。前記イミド化に際しては、加熱イミド化法または化学イミド化法を採用することができる。(1)加熱イミド化法加熱イミド化法としては、例えば、▲1▼ポリアミック酸溶液をガラス、金属等の表面平滑な基板上に流延して加熱する方法、▲2▼ポリアミック酸溶液をそのまま加熱する方法が採用される。これらの方法におけるポリアミック酸溶液の溶媒としては、例えば、ポリアミック酸の製造に使用されるものと同様の有機溶媒を挙げることができる。【0037】▲1▼の加熱イミド化法では、ポリアミック酸溶液を基板上に流延して形成された薄膜を、常圧下または減圧下で加熱することにより、フィルム状のポリイミドを得ることができる。この場合の加熱温度は、通常、100〜400℃、好ましくは150〜350℃の範囲内の値であり、反応中徐々に温度を上げることが好ましい。【0038】また、▲2▼の加熱イミド化法では、ポリアミック酸溶液を加熱することにより、ポリイミドが粉末ないし溶液として得られる。この場合の加熱温度は、通常、80〜300℃の範囲内、好ましくは100〜250℃の範囲内の値である。また、▲2▼の加熱イミド化法に際しては、副生する水の除去を容易とするため、水と共沸し、特に反応系外で水と容易に分離しうる成分、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を脱水剤として存在させることもできる。さらに、▲2▼の加熱イミド化法に際しては、脱水閉環を促進するため、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の脂肪族第三級アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の芳香族第三級アミン類;ピリジン、キノリン、イソキノリン等の複素環式第三級アミン類等の触媒を、ポリアミック酸100重量部当たり、例えば10〜400重量部の範囲で用いることもできる。なお、加熱イミド化法によれば、ポリアミック酸溶液にトルエンやキシレン等の脱水共沸溶剤を添加して加熱還流することによりイミド化をさせることが可能である。したがって、加熱イミド化法によれば、生成する水を反応系外に留去することができるため、製造プロセス上、経済的メリットを享受することができる。また、添加した脱水共沸溶剤を、イミド化終了後加熱を続けて留去すれば、そのままポリイミドワニスとしての形態を採ることができるという利点も得られる。【0039】(2)化学イミド化法化学イミド化法としては、例えば、ポリアミック酸を脱水環化させるための閉環剤を用い、溶液状態でポリイミド化する方法が採用される。そして、ポリイミドが粉末あるいは溶液として得られる。この方法で使用される溶媒としても、例えば、ポリアミック酸の製造に使用されるものと同様の有機溶媒を挙げることができる。【0040】また、化学イミド化法に使用される閉環剤としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸の如き酸無水物等を挙げることができる。これらの閉環剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、その閉環剤の使用量は、前記一般式(2)で表される繰返し単位1モル当たり、通常、2〜100モルの範囲内が好ましく、より好ましくは2〜50モルの範囲内の値である。【0041】また、化学イミド化法における反応温度は、通常、0〜200℃の範囲内の値である。なお化学イミド化法においても、前記加熱イミド化法の場合と同様に第三級アミンを触媒として使用することができる。なお、化学イミド化法は、低温でイミド化が可能であり、また、100%に近いイミド化率が得られやすい。したがって、極めて均一な特性のポリイミドが得られ、その得られたポリイミドにおける物性評価の際の、データの信頼性が高くなるという利点がある。【0042】前記加熱イミド化法または化学イミド化法によりポリイミドが粉末として得られた場合は、ろ過、噴霧乾燥、水蒸気蒸留等の適宜の方法により、ポリイミド粉末を媒体から分離回収することができる。そして、第3発明のポリイミドのイミド化率は、50%以上が好ましく、より好ましくは90%以上の値である。イミド化率が50%未満となると、得られたポリイミドの耐熱性に乏しくなるおそれがあるためである。【0043】4.層間絶縁膜の形成第3発明のポリイミドから電気部品や電子部品,たとえば層間絶縁膜を形成する際には、その前駆物質であるポリアミック酸のワニスまたはペースト、あるいは、このポリイミドのフィルム等が使用される。以下、層間絶縁膜の形成方法を例示する。(イ)ポリアミック酸のワニスをデバイスの層間に流延し、ワニス中の過剰の溶媒を加熱下および/または減圧下で除去して、このポリアミック酸の薄膜を形成する。その後、例えば、温度100〜400℃、常圧下または加圧下で、このポリアミック酸を脱水閉環してイミド化する方法。(ロ)フィルム状のポリイミドをデバイスの層間に配置し、例えば、100〜400℃、常圧下または加圧下で、圧着する方法。また、ポリイミドをフィルム状で取得する方法としては、例えば、(ハ)予め離型処理した基板、例えば、ガラス、テフロン、ポリエステル等の基板上に、ポリアミック酸のワニスを流延し、徐々に加熱して溶媒を除去しつつ脱水閉環し、イミド化する方法。(ニ)ポリイミドの粉末を、プレス成形、射出成形等の適宜の方法によりフィルム状に成形する方法。【0044】第3発明のポリイミドを層間絶縁膜として使用する場合の具体例としては、半導体の多層配線の層間絶縁膜、多層プリント基板のリジット板やフレキソ印刷版等の層間絶縁膜、パッケージやMCM基板等の層間絶縁膜等を挙げることができる。また、第2発明のポリアミック酸または第3発明のポリイミドのワニスを基板上に流延したのち、加熱し、乾燥することによって、厚さ数十〜数百μmのポリイミドのドライフィルムを得ることもできる。このようなドライフィルムは、他の用途、例えば、半導体のパッシベーション膜(ストレスバッファー膜)、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、フレキソ印刷版のオーバーコート等として使用することもできる。さらに、第3発明のポリイミドの前記以外の用途としては、ダイボンディング用接着剤、リード−オンチップ(LOC)用接着テープ、リードフレーム固定用テープ、多層リードフレーム用接着フィルム等を挙げることができる。【0045】【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。【0046】[実施例1]芳香族ビス(エーテル酸無水物)の製造攪拌機、還流冷却器、ジーンスターク管を備えた容器に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン30.16g(0.06モル)と、50%水酸化ナトリウム水溶液10.08gと、ジメチルスルホキシド300ミリリットルと、トルエン100ミリリットルとを仕込み、窒素雰囲気下において還流下に5時間にわたって水分を留去させながら反応させた。そして、蒸留によってトルエンを除去し、反応混合物を室温に冷却した。次いで、N−フェニル−4−ニトロフタルイミド35.4g(0.136モル)と、ジメチルスルホキシド150ミリリットルとを加えて室温で3時間、さらに60℃で4時間撹拌して反応させた。副生成物をろ別したのち、反応液を1NHCl2.5リットルに滴下して、生じた析出物を回収し、水洗、乾燥した。それから、粗生成状態のビスイミド化合物をN,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットルに再溶解した。その後、メタノール2リットル中に滴下して析出、回収することにより、混入している原料や副生成物を除去し、精製された9,9−ビス〔4−(N−フェニルフタルイミド−4−オキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン43.8gを得た。【0047】撹拌機、還流冷却管を備えた容器に上記ビスイミド化合物40gと、50%水酸化ナトリウム水溶液80gと、蒸留水420ミリリットルとを仕込み、窒素雰囲気下において還流下に激しく撹拌しながら30時間反応させた。そして、反応液を室温まで冷却したのち、ジエチルエーテルで生成したアニリンの抽出を行った。続いて、水層をろ過して、ろ液を2−ブタノン1.5リットル中に滴下して析出物を回収、乾燥し、500ミリリットルの蒸留水に再溶解した。そして、0.45ミクロンのフィルターで不純物を除去したのち、この水溶液を18% HCl2.5リットル中に滴下して析出物を回収、水洗、乾燥して9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン20.5gを得た。【0048】撹拌機、還流冷却管を備えた容器に上記のテトラカルボン酸10.5g、無水酢酸130ミリリットル、トルエン100ミリリットルを仕込み、窒素雰囲気下において4時間還流して脱水した。反応液を室温まで冷却したのち、n−ヘキサン2リットル中に滴下してタール状析出物を回収した。この析出物をアセトンに再溶解したのち、再びn−ヘキサン中に滴下して析出物を回収し、2度のn−ヘキサンによる洗浄後、乾燥して9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物7.2gを得た。この得られた芳香族ジアミン化合物の赤外吸収スペクトル(IR)は、図1に示すように、CO−O−CO結合に対応する波数1282cm−1の吸収、C=O結合に対応する波数1778cm−1の吸収、およびC−O−C結合に対応する波数1222cm−1の吸収をそれぞれ示している。【0049】[実施例2]ポリアミック酸の製造攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を備えた容器内に窒素ガスを流し、N,N−ジメチルホルムアミド41.92gを仕込んだのち、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン3.424g(5ミリモル)を添加して十分溶解した。その後、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物3.974g(5ミリモル)を添加したのち、室温で8時間攪拌して、ポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の対数粘度ηinh (N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃、濃度0.5g/dl )は、0.51dl/gであった。また、このポリアミック酸の赤外吸収スペクトル(IR)を、図2に示す。【0049】ポリイミドの製造前記ポリアミック酸の溶液をSUS304基板上に、スピンコートにより塗布したのち、80℃、140℃、200℃、250℃、300℃に順次昇温させつつ、各温度で20分間加熱して、ポリイミドフィルムを形成させた。その後、このポリイミドフィルム上に、マスク蒸着により金電極を形成して、比誘電率測定用試料とした。この試料を用い、比誘電率(ε)を下記のようにして測定した。その結果、測定された比誘電率の値は2.77であり、十分低い値であることが確認された。【0050】〈比誘電率(ε)の測定〉ポリイミドフィルムの1MHzにおける静電容量を、横河ヒユーレットパッカード社製のLCRメーター4284Aを用いて測定し、下記式により比誘電率(ε)を求めた。ε= C・d/(ε0 ・S)但し、Cは静電容量、dは試料膜厚、ε0 は真空中の誘電率、Sは上部電極面積である。【0051】また、前記ポリアミック酸の溶液をガラス板上に流延したのち、80℃、140℃、200℃、250℃、300℃に順次昇温させつつ、各温度で20分間加熱して、ポリイミドフィルムを形成した。そして、下記の測定方法で以て、ガラス転移温度(Tg)と5%熱分解(重量減少)温度(Td5 )とをそれぞれ測定した。その結果、ポリイミドフィルムのTgは266℃であり、Td5 は525℃であった。したがって、このポリイミドフィルムは、高い耐熱性を有することが確認された。このポリイミドの赤外吸収スペクトル(IR)を、図3に示す。【0052】〈ガラス転移温度(Tg)の測定〉示差走査熱量計(DSC)により、窒素雰囲気中、昇温速度20℃/分の条件で測定した。〈5%熱分解(重量減少)温度(Td5 )の測定〉熱天秤を用い、窒素中、昇温速度10℃/分で以て加熱した。そして、加熱前の初期重量を基準として、5%の重量減少を示した温度を5%熱分解温度(Td5 )として測定した。【0053】[実施例3〜4]芳香族ビス(エーテル酸無水物)および芳香族ジアミン化合物を表1に示すとおりのものを使用したこと以外は実施例2と同様にして、ポリアミック酸の合成とポリイミドフィルムの作製を行なった。そして、実施例2と同様にして、各ポリアミック酸の対数粘度ηinh 、各ポリイミドフィルムの比誘電率(ε)、ガラス転移温度(Tg)および5%重量減少温度(Td5 )をそれぞれ測定した。これらの結果を表1に示す。また実施例3〜4のポリアミック酸およびポリイミドの赤外吸収スペクトル(IR)を、図4〜7に示す。【0054】[比較例1]9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物3.974g(5ミリモル)の代わりに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1.471g(5ミリモル)を用いた以外は、実施例2と同様にして、ポリイミドフィルムを形成した。そして、このポリイミドフィルムの比誘電率(ε)、ガラス転移温度(Tg)および5%重量減少温度(Td5 )をそれぞれ測定した。その結果、このポリイミドフィルムの比誘電率は2.95、Tgは302℃、Td5 は567℃であった。したがって、このポリイミドフィルムの耐熱性は良好であったが、比誘電率の値が高く、LSIの層間絶縁膜としては満足できないものであった。【0055】【表1】【0056】【発明の効果】本発明のポリイミドは、低誘電率でかつ耐熱性に優れ、しかも各種溶剤に対する溶解性にも優れており、各種電気部品や電子部品、特にLSI用の層間絶縁膜として極めて好適に使用することができるようになった。また、本発明の芳香族ビス(エーテル酸無水物)およびポリアミック酸は、本発明のポリイミドの出発原料および中間体として有用であることが確認され、低誘電率でかつ耐熱性に優れ、しかも各種溶剤に対する溶解性にも優れた上記ポリイミドを効率的に得ることができるようになった。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1により得られた芳香族ビス(エーテル酸無水物)のIRを示すチャート図である。【図2】実施例2により得られたポリアミック酸のIRを示すチャート図である。【図3】実施例2により得られたポリイミドのIRを示すチャート図である。【図4】実施例3により得られたポリアミック酸のIRを示すチャート図である。【図5】実施例3により得られたポリイミドのIRを示すチャート図である。【図6】実施例4により得られたポリアミック酸のIRを示すチャート図である。【図7】実施例4により得られたポリイミドのIRを示すチャート図である。 下記一般式(1)に示す芳香族ビス(エーテル酸無水物)。〔一般式(1)において、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式芳香族基を、R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14の単環式もしくは縮合多環式芳香族基をそれぞれ示す。〕 請求項1に記載の芳香族ビス(エーテル酸無水物)と、一般式(6) H2N−Ar−NH2 ....(6)[一般式(6)において、Arは単環式もしくは縮合多環式芳香族基およびこれらの芳香族基が直接または連結基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる炭素数6〜80の芳香族基、または炭素数1〜6のフッ化アルキレン基を示す。]とを、有機溶媒中で重縮合させて、一般式(2)[一般式(2)において、R1およびR2は前記一般式(1)におけるR1およびR2と同義であり、Arは前記一般式(6)におけるArと同義である。]で示されるポリアミック酸の製造方法。 請求項2に記載のポリアミック酸の製造方法によって得られたポリアミック酸を、脱水閉環してイミド化させ、一般式(3)[一般式(3)において、R1およびR2は前記一般式(1)におけるR1およびR2と同義であり、Arは前記一般式(6)におけるArと同義である。]で示されるポリイミドの製造方法。


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