生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ビスフェノールAの生産
出願番号:1997240523
年次:2007
IPC分類:C07C 39/16,C07C 37/20,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

マイケル・ジョン・シプロ JP 3962836 特許公報(B2) 20070601 1997240523 19970905 ビスフェノールAの生産 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 390041542 GENERAL ELECTRIC COMPANY 松本 研一 100093908 マイケル・ジョン・シプロ US 08/712929 19960913 20070822 C07C 39/16 20060101AFI20070802BHJP C07C 37/20 20060101ALI20070802BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070802BHJP JPC07C39/16C07C37/20C07B61/00 300 C07C 39/16 C07C 37/74 C07C 37/84 特開平8−245465(JP,A) 2 1998152451 19980609 7 20040903 井上 千弥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はビスフェノールAの生産方法に関する。【0002】【従来の技術】二価フェノールである2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(俗に「ビスフェノールA」、「BPA」或いは「pp−BPA」とも呼ばれる)は商業的には酸触媒の存在下で2モルのフェノールを1モルのアセトンと縮合して製造される。この反応でフェノールは化学量論的必要量よりもモル過剰で存在する。縮合の間、BPAの各種異性体など数々の副生物が生成するが、これらは所望生成物たるBPAの夾雑物とみなされる。これらの夾雑物は縮合反応域から、水、触媒由来の痕跡量の酸性物質、未反応フェノール及び未反応アセトンと共に、生成物流にもち込まれる。現在、所望生成物たるBPAの精製は経費のかかる多段階法である。【0003】BPAの主たる用途は、ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート樹脂を得るための重合用モノマーである。これらの高分子樹脂の多くで、色、色の欠如及び色安定度が最終用途(透明レンズなど)に対して重要である。最近、BPA異性体の一種である2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン(これは「o,p−BPA」とも呼ばれ、上述の商業的製造中に夾雑物として出現する)がBPAの重合で製造される樹脂中に存在すると色安定剤として作用することが判明した。この最近の研究は、重合に際してモノマーBPA中に約100ppm以上の濃度のo,p−BPAが存在すると、改善された色(黄色度指数で測定して)のポリカーボネート樹脂が製造できることを示している。【0004】本発明は上述した最近の知見を活用したもので、生成物中のo,p−BPA混入量を高めるとともに、それにより色安定なポリカーボネート樹脂前駆体としてのその価値を高めるべく、モノマーBPAの製造法を修正したものである。本発明の改良法の長所は、BPX−IIやBPX−Iや各種二量体などの、BPAの製造に付随する他の夾雑物の濃度の増加がみられない点にある。【0005】BPAの合成に現在利用されている商業的に重要なプロセスは2種類ある。一つは、使用される酸性触媒にちなんで「HCl」法と呼ばれることもあるプロセスである。二番目の商業的合成反応は活性イオン交換触媒を用いるもので、「IER」法と呼ばれることもある。いずれの合成法でも、酸触媒を含んだ反応器にフェノール、アセトン及び再循環副生物を通過させ、それに続いてBPAの精製が行われる。上記の「IER法」は、実質的に完全なアセトン消尽に達するまでの第一の方式と「部分的アセトン変換」という二番目の最も望ましい方式の二通りの方式で実施できる。この技術は米国特許第5315042号に記載されており、その開示内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。BPA反応は、所望により、3−メルカプトプロピオン酸のような遊離メルカプタンの存在によって促進することができ、或いはIER樹脂に化学的に結合もしくは共有結合した促進剤を使用することもでき、促進剤を全く使用しなくてもよい。このれらの樹脂はその製造方法とともに周知であり、例えば米国特許第3037052号に記載された製造法を参照されたい。この米国特許の開示内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。【0006】IERプロセスの反応流出液は未反応アセトン、フェノール、BPA、BPAとフェノールの付加物、及びBPAの異性体副生物を、促進剤(存在する場合)と共に、含んでいる。この流出液(又はHClプロセス反応流出液)はストリッピング操作に付してもよく、この操作で反応水、残留アセトン及びフェノールが除去される。【0007】フェノールとアセトンを縮合してBPAを得るための上記プロセスについてのさらに詳しい記載としては例えば米国特許第4346247号、同第4396728号、同第4400555号、同第4424283号、同第4584416号、同第4766254号及び同第4847433号にみられる記載があり、それらの記載はすべて文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。これら公知の様々な方法及びプロセスに共通する因子は、縮合反応後の段階で生成物のBPAを精製しかつ回収する必要があることである。HCl又はIER式BPA生産プロセスに存在することの多いもう一つのサブプロセスは、パージ流から有用な物質を回収するために用いられる「回収プロセス」である。これは、フェノールを生成・回収するためのパージ流の接触分解(例えば米国特許第4131749号に記載の方法など)、付加物結晶化(米国特許第5210329号)又は蒸留(例えば、米国特許第5300702号又は1995年9月13日発行の欧州特許出願公報第055251号参照)で行うことができる。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明は、縮合反応生成物を出発点とする、十分に統合された一貫商業プロセスで精製BPAを生産するための改良法を提供する。【0009】【課題を解決するための手段】本発明は、下記段階:(a)反応域においてフェノールとアセトンを化学量論的過剰のフェノール及び触媒量の酸触媒の存在下で縮合して、未反応フェノール、未反応アセトン、水、タール類、及びo,p−BPAを含むBPAの異性体副生物が、所望BPAにフェノールが付加したものと混在した状態で、含まれる反応域流出液を得る段階、(b)上記流出液から、母液を残して、BPA/フェノール付加物の結晶を沈殿させる段階、(c)上記母液の少なくとも一部をプロセスからパージする段階、(d)分離されたBPA/フェノール付加物結晶を再結晶する段階、(e)上記パージを脱水及び蒸留して、o,p−BPAを含む軽質留分を得る段階、及び(f)母液から分離されたBPA/フェノール付加物に対し、そのo,p−BPA含有量を色安定化量へと調整するため、上記段階(d)の再結晶前に、上記軽質留分の少なくとも一部を添加する段階を含んでなるBPAの生産方法に関する。【0010】【発明の実施の形態】添付図面に、本発明のプロセスの実施形態を示したブロック図を示す。商業的に重要なBPA生産プロセスは、酸触媒及び化学量論的過剰量のフェノール反応体の存在下での2モルのフェノールと1モルのアセトンの縮合を含んでいる。例えば、上記の従来の技術の項で引用した複数の米国特許を参照されたい。本発明のプロセスの実施形態を例示するための添付図面に示した通り、この反応が本発明のプロセスの出発点である。本発明のプロセスにしたがって継続して取り扱うための反応域流出液を得るために、上述の反応条件及び触媒のいずれを用いてもよい。【0011】好ましいのは、米国特許第5315042号に記載の縮合操作である。その内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。添付図面に示す通り、縮合は反応域(12)において従来通り実施される。粗BPAフェノール、BPAの異性体(0〜5重量%のo,p−BPAを含む)、水、アセトン及びその他の反応生成物を含む反応流出液は従来通り多段階結晶化へと送られ、そこで、BPA/フェノール付加物結晶を沈殿させるため、少なくとも1回の結晶化(ユニット14)及び1回の再結晶(ユニット16)が実施される。各々結晶の沈殿後に、ユニット18及び20にて固液分離(濾過又は遠心分離)が実施され、母液が分離される。結晶化及び濾過の後、フェノール回収ユニット22にてフェノールが精製付加物からストリッピングされて、BPA製品が得られる。【0012】回収ユニット22からの溶融純粋BPA製品は、冷却回転ドラムでの融液の凝固による「フレーク」或いは融液落下造粒(prilling)操作による「プリル (prill)」を始めとする様々な形態で回収することができる。沈殿BPA/フェノール付加物結晶から分離された第一の母液は通常はユニット24で脱水され、その液体中に含まれているフェノール及びBPA有価物の若干を回収するために反応域12へと再循環される。或いは別法として、水(及び存在していれば未反応アセトン)は付加物の結晶化に先だって除去してもよい。この第一の母液は概して水に加えてo,p−BPAを高い比率で含んでおり、これらのo,p−BPAは後々反応域12における反応で異性化される。脱水された第一の母液の残りの部分は、BPAに不要な不純物が蓄積するのを防止するため、この段階までには上記プロセスラインからパージライン25にパージされていて、フェノールを含んだ第一のフラクションを取り除くための回収プロセスへとまわされる(ストリッパー26)。フェノールが取り除かれたストリッパー26の生成物は、次に、蒸留塔30(又は複数の蒸留塔)での蒸留により、pp−BPA、クロマン及びその他BPA合成の有用な副生物(軽質分)を分離するための処理に付される。容器32に回収されるこうした軽質留分はo,p−BPAを高い比率で含んでおり、BPA/フェノール付加物のユニット18で得られる一段目の結晶のo,p−BPA含有量の調整にこの軽質留分を用いることができる。かかる調整は、容器32から軽質留分の少なくとも一部を、ユニット16へ送られる前の一段目の付加物結晶に、色安定化量をもたらすに十分な量で添加することによって行われる。色安定化量は一般にpp−BPA重量の約0.01〜約3重量%の範囲内にあり、好ましくは0.01〜0.3重量%、さらに好ましくは約0.015〜約0.1重量%、さらに一段と好ましくは約0.02〜約0.08重量%の範囲にある。ユニット16に通すに先立っての、ユニット18の生成物への添加は、導管36(破線で示す)を介してプロセスライン34においてである。【0013】ストリッパー26から蒸留されたフェノールは、若干量の水及び若干量のアセトンが混在した状態にあるが、公知の手順でさらに蒸留することにより、反応域(12)でのさらなる縮合のために純粋かつ実質的に無水の状態で回収することができる。以下の実施例で、本発明の生産及び使用の様式及びプロセスを説明するとともに、本発明を実施するうえで本発明者が最良と考える形態を記載するが、本発明を限定するものではない。【0014】【実施例】BPAの商業生産で縮合反応器流出液からのBPA/フェノール付加物の一段目の結晶化と分離を行って、原料溶液を得た(結晶化残液)。この原料溶液のアリコートの分析で、表1に示す諸成分が判明した。【0015】【表1】【0016】母液を脱水し、濾過し、35mmHg(絶対圧)の減圧下約410°Fの温度で蒸留してフェノールを除去した。約1mm未満の圧力下での約450〜470°Fの温度における二回目の蒸留で軽質留分を得た。その分析による内容物は表2に示す通りであった。この「軽質」留分の一部を溶融物の形態で分離されたBPA/フェノール付加物に添加し、再結晶を行った。再結晶生成物のフェノール脱着後の分析結果を表3に示す。表4は、本発明の改良点を伴わない典型的な組成物(表2に示す物質の添加を行わずに表1の物質の再結晶を行ったもの)を示す。【0017】当業者には、生成物におけるo,p−BPAの増加量が最初の付加物の組成、選択した蒸留条件、軽質分の組成、及び二段目の結晶化操作に送られる軽質分の量によって左右されることが理解されるであろう。本発明は、有用な軽質沸騰物質(o,p−BPA、pp−BPA)を回収及び再使用するとともに「重質分」(BPX−I、BPX−II、二量体など)を除去するための手段を提供する。これらの「重質」副生物は着色の原因となったり、ポリマーの枝分れを引き起こしたり、或いは他の物理的性質に悪影響を与える可能性がある。軽質流の組成は、所望濃度に応じて、副生物の組成の幅広い変化に順応するように修正し得る。軽質流中のo,p−BPA濃度は約10重量%〜約80重量%の範囲である。最も通常の操作条件下では、軽質流は約20重量%〜約70重量%のo,p−BPA含有量を有するであろう。【0018】本発明の技術的思想は、溶融結晶化(例えば米国特許第5243093号に記載)のような多段精製系を用いるその他の商業BPAプロセスにも適用し得る。この場合、o,p−BPAに富むプロセス流は結晶化段階の一つに、生成物中の他の不純物濃度にさほど影響を与えることなく、生成物のo,p−BPA濃度を高める量で添加することができる。【0019】本明細書で引用したすべての米国特許の開示内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明のプロセスの実施形態を示すブロック図【符号の説明】12 反応域14 結晶化ユニット16 再結晶ユニット18 固液分離ユニット20 固液分離ユニット22 フェノール回収ユニット24 脱水ユニット26 ストリッパー30 蒸留塔32 軽質留分回収容器 下記段階:(a)反応域においてフェノールとアセトンを化学量論的過剰のフェノール及び触媒量の酸触媒の存在下で縮合して、未反応フェノール、未反応アセトン、水、タール類、及びo,p−BPAを含むBPAの異性体副生物を含んでなる反応域流出液を得る段階、(b)上記流出液から、母液を残して、BPA/フェノール付加物の結晶を沈殿させる段階、(c)上記母液の少なくとも一部をプロセスからパージする段階、(d)分離されたBPA/フェノール付加物結晶を再結晶する段階、(e)上記パージもしくは副生物流を脱水及び蒸留して、o,p−BPAを含む軽質留分を得る段階、及び(f)母液から分離されたBPA/フェノール付加物に対し、そのo,p−BPA含有量を色安定化量へと調整するため、上記段階(d)の再結晶前に、上記軽質留分の少なくとも一部を添加する段階を含んでなるBPAの生産方法。 下記段階:(a)反応域においてフェノールとアセトンを化学量論的過剰のフェノール及び触媒量の酸触媒の存在下で縮合して、未反応フェノール、未反応アセトン、水、タール類、及びo,p−BPAを含むBPAの異性体副生物を含んでなる反応域流出液を得る段階、(b)上記流出液から、母液を残して、BPA/フェノール付加物の結晶を沈殿させる段階、(c)結晶化前に、母液又は反応器及び流出液から水を除去する段階、(d)上記脱水母液の第一の部分を、後続の反応用に反応域に再循環する段階、(e)上記脱水母液の第二の部分をプロセスからパージする段階、(f)分離されたBPA/フェノール付加物結晶を再結晶する段階、(g)再結晶した付加物からフェノールを除去する段階、(h)脱水母液のパージした第二の部分からフェノールをストリッピングする段階、(i)フェノールをストリッピングした後のパージを蒸留して、o,p−BPAを含む軽質留分を得る段階、及び(j)母液から分離されたBPA/フェノール付加物に対し、そのo,p−BPA含有量を色安定化量へと調整するため、上記段階(f)の再結晶前に、上記軽質留分の少なくとも一部を添加する段階を含んでなるBPAの生産方法。


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