タイトル: | 特許公報(B2)_X線回折装置における測定プロファイルのピーク位置表示方法 |
出願番号: | 1997235978 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01T 1/36,G01D 1/12,G01D 7/00,G01N 23/20 |
小畑 康 JP 4039715 特許公報(B2) 20071116 1997235978 19970901 X線回折装置における測定プロファイルのピーク位置表示方法 株式会社リガク 000250339 山本 寿武 100101867 小畑 康 20080130 G01T 1/36 20060101AFI20080110BHJP G01D 1/12 20060101ALI20080110BHJP G01D 7/00 20060101ALI20080110BHJP G01N 23/20 20060101ALI20080110BHJP JPG01T1/36 AG01D1/12 DG01D7/00 301MG01N23/20 G01N23/00-23/227 G01R23/16 G01T1/36 G01D1/12 G01D7/00 特開昭63−191950(JP,A) 特開昭63−218869(JP,A) 特開平09−092284(JP,A) 特開昭53−095673(JP,A) 特開平02−047543(JP,A) 特開昭63−142223(JP,A) 1 1999084015 19990326 9 20031114 島田 英昭 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、X線回折測定で得られた回折X線の測定データをコンピュータにより処理して、その回折X線の測定プロファイルをディスプレイに表示するX線回折装置において、その測定プロファイルに対するピーク位置を表示するための方法に関する。【0002】【従来の技術】X線回折測定では、照射角度θを変えながら試料にX線を照射するとともに、2θの回折角度で試料から反射してくる回折X線の強度を測定データとして収集する。この収集された測定データは逐次コンピュータ処理されて、回折角度2θに対する回折X線強度Iの測定プロファイルが、ディスプレイ上に表示される。【0003】また、X線回折装置では、収集した測定データにコンピュータによる演算処理を加えて、測定プロファイルのピーク位置を求めるとともに、そのピーク位置をディスプレイ上に表示できる機能も備えている。従来、回折X線の測定プロファイルに対するピーク位置の表示は、X線回折測定による全ての測定データを収集してから(すなわち、ディスプレイ上に全測定範囲にわたり測定プロファイルの表示が終了してから)、その後工程として実行するようにプログラムされていた。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、X線回折測定と並行して、収集した回折X線の測定プロファイルはディスプレイに表示されるのであるから、ユーザとしては、ディスプレイ上に逐次表示される測定プロファイルを観察し、目的とするピークプロファイルが現れた時点で、そのピークプロファイルに対するピーク位置をリアルタイムに知ることができれば、測定データを迅速に分析できるため都合がよい。【0005】さらに、X線回折測定が係属中であっても、既に表示された測定プロファイルに対するピーク位置によって、必要とする分析結果が得られれば、その時点で測定を切上げて測定時間の短縮を図ることもできる。【0006】この発明は、このような要望に応えるべくなされたもので、X線回折測定により得られた回折X線の測定プロファイルに対し、測定終了を待たずリアルタイムにそのピーク位置をディスプレイ上に表示できるようにすることを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明は、X線回折測定で得られた回折X線の測定データをコンピュータにより処理して、その回折X線の測定プロファイルをディスプレイに表示するX線回折装置において、測定プロファイルの表示処理と並行して、既にディスプレイに表示された測定プロファイルに対して、そのピーク位置をコンピュータで算出し、該ピーク位置をディスプレイに表示する方法としてある。【0008】このように測定プロファイルの表示処理と並行して、ピーク位置の算出乃至ディスプレイへの表示を可能とすることで、測定終了を待たずリアルタイムにそのピーク位置を分析できるようになり、迅速な測定データの分析を実現することができる。さらに、X線回折測定が係属中であっても、既に表示された測定プロファイルに対するピーク位置によって、必要とする分析結果が得られれば、その時点で測定を切上げてもよく、測定時間の短縮を図ることができる。【0009】この発明は、ディスプレイに表示された測定プロファイルのうち、ユーザにより指定された角度範囲に存在するピーク位置をコンピュータで算出し、そのピーク位置をディスプレイに表示する方法としてもよい。すなわち、ユーザがディスプレイに表示された測定プロファイルを観察しながら、マニュアル操作によって、ピークプロファイルの現れた角度範囲を指定するようにすれば、その指定された範囲のみの測定データに対してピーク位置の算出処理を実行すればよくなるので、処理時間が迅速化する。【0010】また、後述するピーク位置の自動演算処理に比べ、ユーザの視覚的な判断により、ピークプロファイルの現れた角度範囲を厳密に指定することで、高精度なピーク位置の算出が可能となる。【0011】この発明は、測定プロファイルの表示処理と並行して、X線回折測定で得られた回折X線の測定データを逐次演算処理することにより、ディスプレイに表示された測定プロファイルに対し、そのピーク位置をコンピュータで算出し、該ピーク位置を逐次ディスプレイに自動的に表示していく方法とすることもできる。すなわち、この方法は、ディスプレイに表示された測定プロファイルに対し、ピーク位置の自動演算処理をリアルタイムに実行させるものである。このように、ピーク位置の自動演算処理をしてディスプレイ上にリアルタイムに表示することで、ユーザによる操作の負担を軽減することができる。【0012】【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この発明の実施形態に係る測定プロファイルのピーク位置表示方法が適用されるX線回折装置の概要を示すブロック構成図である。【0013】同図に示すように、X線回折装置は、X線回折装置本体10およびコンピュータ20を備えている。X線回折装置本体10は、装着したサンプルにX線を照射して、同サンプルの表面から回折してくる回折X線をX線検出器により検出するとともに、回折X線の回折角度を測角する機能を備えている。このX線回折装置本体10により、所要のサンプルに対する測定データとして、回折角度2θに対する回折X線の強度Iを収集することができる。【0014】コンピュータ20は、中央処理部(以下、CPUという)21、RAM,ROMからなるメモリ22、ハードディスク等の記憶装置23、キーボード,マウス等の入力装置24、CRTディスプレイ等の表示装置25を備えており、X線回折装置本体10を制御してのX線回折測定を実行するとともに、同測定により収集した回折X線の測定データの分析処理を実行する。【0015】メモリ22には、測定データ領域22a、測定プロファイル表示データ領域22b、計算データ領域22cがそれぞれ設けてある。X線回折測定に伴い、X線回折装置本体10から送られてくる回折X線の測定データは、メモリ22の測定データ領域22aに取り込まれる。【0016】CPU21は、測定データ領域22aに取り込まれた測定データを逐次読み出し、測定プロファイルの表示プログラムに転送して、測定プロファイル表示データを作成する。このようにして作成された測定プロファイル表示データは、メモリ22の測定プロファイル表示データ領域22bに書き込まれるとともに、表示装置(ディスプレイ)25の画面上に逐次表示されていく。【0017】図2は、表示装置の画面における測定プロファイルの表示例を示している。回折X線の測定プロファイルPは、回折X線の強度Iを縦軸に、回折角2θを横軸にとり、X線回折測定と並行してリアルタイムに画面25a上に表示されていく。例えば、図2の表示例では、2θ=50°付近まで測定プロファイルが表示されているが、その後、X線回折装置本体10からの測定データが、メモリ22へ書き込まれる毎に、逐次測定プロファイル表示データは更新され、画面25a上の表示範囲も延長されていく。【0018】また、CPU21は、ユーザからの要求に応じて、ピーク位置の算出プログラムを起動し、上記測定プロファイル表示データの作成と並行して、測定プロファイルのピーク位置の算出を実行する。すなわち、CPU21は、メモリ22の測定データ領域22aに取り込まれた測定データの全て、またはユーザにより指定された角度範囲のデータを読み出して、ピーク位置の算出プログラムに転送する。【0019】図3は、ユーザによるピークプロファイルの範囲指定例を示している。例えば、画面25aに表示された測定プロファイルPに、回折X線強度Iの急増するピークプロファイルAが現れたとき、このピークプロファイルAの現れた領域を、回折角度2θをもって範囲指定する。例えば、図3においては、ピークプロファイルAの立上りを、低角側の回折角度2θ1と高角側の回折角度2θ2とで指定している。【0020】ピーク位置の算出プログラムは、転送されてきた測定データに基づき、所定の演算処理を実行し、測定プロファイルのピーク位置を算出する。このようにして算出されたピーク位置は、メモリ22の計算データ領域22cに書き込まれるとともに、表示装置(ディスプレイ)25の画面25a上に表示される。【0021】図4は、表示装置の画面へのピーク位置の表示例を示している。ピークプロファイルAのピーク位置2θ0は、例えば、図4に示すような直線aで表示することができる。また、回折角2θを示す横軸における、ピーク位置2θ0の点に、その具体的角度を数値をもって表示してもよい。なお、測定プロファイルの表示プログラムおよびピーク位置の算出プログラムは、あらかじめ記憶装置23に格納してあり、CPU21からの同プログラムの実行指令に基づき、メモリ22に書き込まれる。【0022】次に、この実施形態に係る測定プロファイルのピーク位置表示方法を、図5〜図8のフローチャートを参照して更に具体的に説明する。CPU21は、X線回折測定に伴いX線回折装置本体10から送られてくる回折X線の測定データを、メモリ22の測定データ領域22aに取り込む(S1)。【0023】続いて、CPU21は、測定データ領域22aに取り込んだ測定データを逐次読み出し、測定プロファイルの表示プログラムに転送して、測定プロファイル表示データを作成するとともに、作成した測定プロファイル表示データに基づき、表示装置25の画面25a上に測定プロファイルを逐次表示していく(S2)。【0024】測定プロファイルの表示動作と並行して、入力装置24からユーザによるピークプロファイルの範囲指定が入力されたときは(S3)、この指定範囲をいったんメモリ22に仮保存し、続くユーザによるピーク位置表示の指示を待って(S4)、ピーク位置の算出プログラムを起動する。【0025】すなわち、ユーザにより指定されたピークプロファイルの低角位置2θ1(図3参照)をメモリ22から読み出し(S6)、この低角位置2θ1がX線回折測定済みの領域にあるか否か確認する(S7)。ユーザの操作ミス等により、未だX線回折測定されていない領域が範囲指定されていた場合、ピーク位置の算出に必要な測定データがメモリ22に存在しないため、同範囲に対するピーク位置を算出することができない。【0026】そこで、この実施形態では、X線回折測定されていない領域に低角位置2θ1が指定されていた場合に、X線回折測定済みの領域における最も低い角度を、指定された低角位置2θ1として自動設定するようにしてある(S8)。一方、ユーザによって指定された低角位置2θ1が、X線回折測定済みの領域にある場合は、その低角位置2θ1をそのまま使用する。【0027】 次いで、ユーザにより指定されたピークプロファイルの高角位置2θ2(図3参照)をメモリ22から読み出し(S9)、この高角位置2θ2がX線回折測定済みの領域にあるか否か確認する(S10)。そして、X線回折測定されていない領域に高角位置2θ2が指定されていた場合は、X線回折測定済みの領域における最も高い角度を、指定された高角位置2θ2として自動設定する(S11)。 一方、ユーザによって指定された高角位置2θ2が、X線回折測定済みの領域にある場合は、その高角位置2θ2をそのまま使用する。【0028】その後、CPU21は、指定された範囲の測定データをメモリ22の測定データ領域22aから読み出し、ピーク位置の算出プログラムに転送する(S12)。ピーク位置の算出プログラムは、転送されてきた測定データに基づき、所定の演算処理を実行し、測定プロファイルのピーク位置を算出する(S13)。【0029】ピーク位置の算出方法としては、例えば、半価幅法、2/3価幅法、放物線近似法(ピークトップ法ともいう)、重心法が知られている。半価幅法では、図9に示すように、ピークプロファイルのバックグラウンドに接線Lを引き、これに平行で最大強度の1/2の点を通る直線の中点Oに対応する2θ値をもってピーク位置を算出する。2/3価幅法では、半価幅法における上記接線Lに平行で最大強度の2/3の点を通る直線の中点に対応する2θ値をもってピーク位置を算出する。【0030】また、放物線近似法は、ピークプロファイルの頂点近傍で数点を選び、これらの点を通る放物線を最小二乗法によって求め、その頂点をピーク位置とする。さらに、重心法では、ピークプロファイルの重心位置を求め、これに対応する2θ値をもってピーク位置を求める。【0031】この実施形態では、これらの各方法で測定プロファイルのピーク位置を算出し、それら算出した各ピーク位置をメモリ22の計算データ領域22cに書き込んでおく。そして、ユーザの選択に応じ、いずれか方法で算出したピーク位置を表示装置(ディスプレイ)25の画面25a上に表示する(S14)。なお、ピーク位置の算出方法をあらかじめユーザが選択するようにして、演算処理を簡略化してもよい。【0032】ピーク位置表示の指示に際して、ユーザによりピークプロファイルの範囲が指定されなかったときは(S3,S5)、既に表示装置25の画面25aに表示されている全範囲の測定プロファイルPに対応した測定データを、メモリ22の測定データ領域22aから読み出し、ピーク位置の算出プログラムに転送する(S15)。このとき、ピーク位置の算出プログラムは、転送されてきた測定データの二次微分をとり、その極小値をピーク位置として算出する(S16)。そして、算出した各ピーク位置を表示装置(ディスプレイ)25の画面25a上に表示する(S17)。【0033】【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、X線回折測定により得られた回折X線の測定プロファイルに対し、測定終了を待たずリアルタイムにそのピーク位置をディスプレイ上に表示できる。【図面の簡単な説明】【図1】この発明の実施形態に係る測定プロファイルのピーク位置表示方法が適用されるX線回折装置の概要を示すブロック構成図である。【図2】表示装置の画面における測定プロファイルの表示例を示す図である。【図3】ユーザによるピークプロファイルの範囲指定例を示す図である。【図4】表示装置の画面へのピーク位置の表示例を示す図である。【図5】この発明の実施形態に係るピーク位置表示方法を具体的に説明するためのフローチャートである。【図6】図5のステップ4に続くフローチャートである。【図7】図6のステップ10に続くフローチャートである。【図8】図5のステップ5に続くフローチャートである。【図9】半価幅法によるピーク位置の算出方法を概説するための図である。【符号の説明】10:X線回折装置本体 20:コンピュータ21:CPU 22:メモリ23:記憶装置 24:入力装置25:表示装置 X線回折測定で得られた回折X線の測定データをコンピュータにより処理して、その回折X線の測定プロファイルを、縦軸が回折X線の強度、横軸が回折角に設定されたディスプレイに表示するX線回折装置において、 前記測定プロファイルの表示処理と並行して、 ユーザによりピークプロファイルの角度範囲が入力されたとき、 既にディスプレイに表示された測定プロファイルのうち、ユーザにより入力された角度範囲に存在するピーク位置を、次の(イ)乃至(ハ)のステップを経てコンピュータで算出し、 前記ディスプレイに、該算出したピーク位置を、前記横軸へ回折角の数値で表示するとともに、当該横軸からこのピーク位置へ垂直に延びる直線をもって表示することを特徴とする測定プロファイルのピーク位置表示方法。(イ)ユーザにより入力されたピークプロファイルの低角位置がX線回折測定済みの領域にあるか否か確認し、X線回折測定されていない領域に当該低角位置が入力されていた場合には、X線回折測定済みの領域における最も低い角度を、入力された低角位置として自動設定する。一方、ユーザによって入力された低角位置が、X線回折測定済みの領域にある場合は、当該低角位置をそのまま使用する。(ロ)ユーザにより入力されたピークプロファイルの高角位置がX線回折測定済みの領域にあるか否か確認し、X線回折測定されていない領域に当該高角位置が入力されていた場合には、X線回折測定済みの領域における最も高い角度を、入力された高角位置として自動設定する。一方、ユーザによって入力された高角位置が、X線回折測定済みの領域にある場合は、当該高角位置をそのまま使用する。(ハ)前記(イ)及び(ロ)のステップで低角位置及び高角位置が設定されたピークプロファイルの測定データに基づき、次の(a)乃至(d)の少なくとも一つの算出方法をもって、測定プロファイルのピーク位置を算出する。 (a)前記(ハ)のピークプロファイルにおけるバックグラウンドの接線に平行で、かつ当該ピークプロファイルにおける最大強度の1/2の点を通る直線の中点に対応する回折角度をもってピーク位置を算出する。 (b)前記(ハ)のピークプロファイルにおけるバックグラウンドの接線に平行で、かつ当該ピークプロファイルにおける最大強度の2/3の点を通る直線の中点に対応する回折角度をもってピーク位置を算出する。 (c)前記(ハ)のピークプロファイルの頂点近傍で数点を選び、これらの点を通る放物線を最小二乗法によって求め、その頂点をピーク位置とする。 (d)前記(ハ)のピークプロファイルの重心位置を求め、これに対応する回折角度をもってピーク位置を求める。