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タイトル:特許公報(B2)_分子排除クロマトグラフィにおける補正方法及び装置
出願番号:1997205889
年次:2006
IPC分類:G01N 30/86,G01N 30/62


特許情報キャッシュ

植松 原一 JP 3785470 特許公報(B2) 20060331 1997205889 19970731 分子排除クロマトグラフィにおける補正方法及び装置 東ソー株式会社 000003300 植松 原一 20060614 G01N 30/86 20060101AFI20060525BHJP G01N 30/62 20060101ALI20060525BHJP JPG01N30/86 JG01N30/62 B G01N 30/86 G01N 30/62 特開平09−196902(JP,A) 特開昭64−054351(JP,A) 特開昭62−231164(JP,A) 特開平08−271494(JP,A) 特開平 7−159389(JP,A) 特開平 2− 25745(JP,A) 特表昭61−501589(JP,A) 特開昭59− 34151(JP,A) 8 1999051923 19990226 15 20040531 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は分子排除クロマトグラフィ(以下、GPCと略記する)における検量線の補正方法及びデータ処理装置に関する。【0002】【従来の技術】従来から、高分子試料の分子量を測定する場合に、GPCによる方法が多く用いられている。GPCにおいては、log(分子量)と溶出時間又は溶出容量の間に関数関係が有ることから、既に分子量が明らかな標準試料を複数用いて検量線を作製し、それに基づき、未知試料の溶出時間(溶出容量)から分子量計算を行う(図9)。【0003】GPCを行う場合には、図10に示すような装置を用いるのが一般的である。図10において、1は溶離液、2は送液のためのポンプ、3は分析されるべき試料を注入する試料注入バルブ、4は分析カラム、5は検出器、6はカラムオーブンそして7はデータ処理手段である。【0004】溶離液1をポンプ2により送液し、分析カラム4、検出器5へと導くが、試料は注入バルブ3から溶離液とともに分析カラム4内に入れられ、分析カラム4で分離され、検出器5により成分の検出が行われる。データ処理手段7では、試料を注入してからの時間と検出器の信号レベルが検知され、計算によりピークの溶出時間が特定される。そしてデータ処理手段7では、更に、検知された溶出時間を予め作製された検量線の関数に代入し分子量計算を行う。【0005】【発明が解決しようとする課題】再現性が理想的な状態下では、同一の試料であれば同一の時間に溶出ピークが出現するが、現実には外気温等の影響を受けるため、溶出時間にばらつきが生じる。この原因の中で最も大きいのは、温度変化によりるポンプ送液流量の変動である。【0006】このため、GPCによる分子量測定を行う場合は、未知試料の測定前に検量線を作製し直す必要がある。即ち、ポンプ等のGPC装置に日差変動が存在する場合、測定を行う日に改めて検量線を作製することが必要であり、以前に作製した検量線を破棄して手間のかかる検量線作製作業を繰り返して行わなければならないという課題がある。【0007】また、試料測定と同日であっても、GPC装置、特にポンプの送液流量は常に変動しており、結果として同一分子量の標準試料であっても分析カラムからの溶出時間が変動することがあるため、GPCにより推定されるた試料の分子量には多くの誤差が含まれてしまう。【0008】これらの誤差を最少にするため、検量線の補正法が提案されている。例えば、内部標準試料を検量線を作製するための標準試料と測定されるべき試料(以下、実試料ということがある)の両方に添加し、内部標準試料の溶出時間から検量線を補正する方法がある(図11)。この方法では、基準となる内部標準試料、即ち標準試料に添加した内部標準試料の溶出時間を予め設定しておき、これに対する実試料に添加した内部標準試料の溶出時間の比を求め、該比を標準試料の溶出時間に乗じて標準試料の溶出時間を補正し、この補正された値に基づき検量線を再度作製して分子量計算を行う。この場合の補正式は、log(分子量)=f (T×Tr/Tpr)(ただし、Tprは実試料に添加した内部標準試料の溶出時間を、Trは標準試料に添加した内部標準試料の溶出時間を、Tは各標準試料の溶出時間を、fは関数を示す)となる。【0009】この補正法では、標準試料を複数使用する場合であっても、各標準試料について補正係数を求める訳ではなく、内部標準を添加していない標準試料や、内部標準を添加していても、補正の際に参照しない標準試料についてピークの溶出時間を測定し検量線を作製する間は、ポンプの送液流量が一定であることを前提としている。しかし、かかる補正法を用いて検量線を作製する場合、具体的に例えば標準試料A(Ta1〜Tan)、B(Tb1〜Tbn)そしてC(Tc1〜Tcn)等、分子量が既知の物質を混合した標準試料(標準試料混合物)(図12におけるA、B及びC)を使用するのが普通であるが、これらの各ピーク溶出時間を測定するには1.5時間〜3時間の時間を要するため、各試料を測定している間にもポンプの流量が変化し、このポンプの送液送料の変動による誤差を補正することができないという課題が生じる(図12)。即ち、例えば標準試料A中の内部標準物質と実試料中の内部標準物質のピークの溶出時間から算出される、各標準試料等のピーク溶出時間を補正するための補正係数(Tr/Tpr)により、同一送液送料の条件下で測定されたとは限らない標準試料B及びCのピークの溶出時間を補正しているのである。【0010】従って本願発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、検量線を作製するために標準試料について測定を行う間に生じ得るポンプの送液送料の変動による誤差についても補正し得る補正方法及び当該補正を行う装置を提供することを目的とする。【0011】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために成された本願発明の補正方法は、分子排除クロマトグラフィにおいて、検量線を作製するために分子量既知の物質からなる標準試料混合物を2種類以上使用し、各混合物について基準となるピーク及び各標準試料のピークの溶出時間を測定し、測定されるべき試料について基準となるピーク及び測定されるべき試料のピークの溶出時間を測定し、標準試料の基準となるピークの溶出時間と測定されるべき試料の基準となるピークの溶出時間の比を算出し、算出した比を各標準試料のピークの溶出時間に乗じて補正を行い、このようにして補正された各標準試料のピークの溶出時間と各標準試料の既知分子量から検量線を作製し、測定されるべき試料のピークの溶出時間と前記検量線から測定されるべき試料の分子量を算出する、分子排除クロマトグラフィにおける補正方法である。【0012】かかる補正方法は、検量線を作製するための標準試料と実試料に共通する成分のピーク(基準ピーク)の溶出時間の比をもとにして行うものである。基準となるピークとしては、例えば、測定する実試料と標準試料に共通に存在する成分のピーク(例えば可塑剤等の添加剤や内部標準試料)のピーク、溶媒によるベースの変動のピーク(最下点)、吸着を起こした試料のピークを利用することもできる。【0013】また、上記目的を達成するために成された本願発明のデータ処理装置は、検量線を作製するために分子量既知の物質からなる標準試料混合物を2種類以上使用する分子排除クロマトグラフィにおけるデータ処理装置であって、前記各混合物について基準となるピーク及び各標準試料のピークの溶出時間を測定して得られる、測定されるべき試料について基準となるピーク及び測定されるべき試料のピークの溶出時間を記憶し、標準試料の基準となるピークの溶出時間と測定されるべき試料の基準となるピークの溶出時間の比を算出し、算出した比を各標準試料のピークの溶出時間に乗じて補正を行い、このようにして補正した各標準試料のピークの溶出時間と各標準試料の既知分子量から検量線を作製し、測定されるべき試料のピークの溶出時間と前記検量線から測定されるべき試料の分子量を算出するものである。【0014】かかるデータ処理装置は、検量線を作製するための標準試料と実試料に共通する成分のピーク(基準ピーク)の溶出時間の比をもとに補正を行う装置である。記憶されるべき基準となるピークとしては、例えば、測定する実試料と標準試料に共通に存在する成分のピーク(例えば可塑剤等の添加剤や内部標準試料)のピーク、溶媒によるベースの変動のピーク(最下点)、吸着を起こした試料のピークを利用することもできる。【0015】【発明の実施の形態】以下に、内部標準試料のピークを基準ピークとする場合について本願発明を更に詳細に説明する。【0016】検量線を作製する場合、分子量が既知の標準試料を数種類準備し、それをいくつかの混合物にしたうえでカラムに注入し、各標準試料のピークの溶出時間を測定する。以上の作業を、例えば検量線を作製するための標準試料の混合物をA、B及びCとすれば、以下ように示すことができる(図1参照)。【0017】標準試料混合物A混合物を構成する各標準試料(a1、a2、a3、・・、an)混合物に添加した内部標準試料(r)標準試料混合物B混合物を構成する各標準試料(b1、b2、b3、・・、bn)混合物に添加した内部標準試料(r)標準試料混合物C混合物を構成する各標準試料(c1、c2、c3、・・、cn)混合物に添加した内部標準試料(r)実試料高分子成分(p)実試料に添加した内部標準試料(r)次に、標準試料混合物A〜Cをカラムに注入し、各標準試料及び内部標準試料のピークの溶出時間を測定する。次に実試料をカラムに注入し、高分子成分及び内部標準試料のピークの溶出時間を測定する(例えば標準試料混合物A中の標準試料a1のピークの溶出時間をTa1と、同Aに添加した内部標準試料rのピークの溶出時間をTarと示す)。【0018】標準試料混合物Aについて測定して得られる各成分のピークの溶出時間Ta1、Ta2、Ta3、・・、Tan、Tar;(1)標準試料混合物Bについて測定して得られる各成分のピークの溶出時間Tb1、Tb2、Tb3、・・、Tbn、Tbr;(2)標準試料混合物Cについて測定して得られる各成分のピークの溶出時間Tc1、Tc2、Tc3、・・、Tcn、Tcr;(3)ここで、各標準試料混合物中の標準試料の分子量は以下の通りである(例えば標準試料混合物A中の標準試料a1の分子量をMa1と示す)。【0019】標準試料混合物AMa1、Ma2、Ma3、・・Man;(4)標準試料混合物BMb1、Mb2、Mb3、・・Mbn;(5)標準試料混合物CMc1、Mc2、Mc3、・・Mcn;(6)一方、実試料について測定して得られる高分子成分(p)のピークの溶出時間及び添加した標準試料のピークの溶出時間は、それぞれTp、Tprである; (7)。【0020】以上のようにして測定されたピークの溶出時間について、まず、(1)と(7)の内部標準試料の溶出時間の比を標準試料混合物Aの各成分の溶出時間に乗じて補正を行う。この結果、標準試料混合物A中の各標準試料についての補正後のピーク溶出時間は以下の通りとなる(例えばTa1’は補正後のa1のピークの溶出時間を示す)。【0021】Ta1’=Ta1×Tpr/Tar、Ta2’=Ta2×Tpr/Tar、Ta3’=Ta3×Tpr/Tar、・・、Tan’=Tan×Tpr/Tar ;(8)同様にして、(2)と(7)の内部標準試料の溶出時間の比を標準試料混合物Bの各成分の溶出時間に乗じて補正を行う。この結果、標準試料混合物B中の各標準試料についての補正後のピーク溶出時間は以下の通りとなる(例えばTb1’は補正後のb1のピークの溶出時間を示す)。【0022】Tb1’=Tb1×Tpr/Tbr、Tb2’=Tb2×Tpr/Tbr、Tb3’=Tb3×Tpr/Tbr、・・、Tbn’=Tbn×Tpr/Tbr ;(9)更に、(3)と(7)の内部標準試料の溶出時間の比を標準試料混合物Cの各成分の溶出時間に乗じて補正を行う。この結果、標準試料混合物C中の各標準試料についての補正後のピーク溶出時間は以下の通りとなる(例えばTc1’は補正後のc1のピークの溶出時間を示す)。【0023】Tc1’=Tc1×Tpr/Tcr、Tc2’=Tc2×Tpr/Tcr、Tc3’=Tc3×Tpr/Tcr、・・、Tcn’=Tcn×Tpr/Tcr ;(10)以上のようにして補正された、各標準試料のピークの溶出時間(8)、(9)及び(10)と各標準試料の分子量(4)、(5)及び(6)から近似式を計算する。近似式の計算は、通常は最少2乗法を用いて多項式近似を行えば良い。例えば、近似式が三次式であればlog(分子量)=AT3+BT2+CT+Dとすることが例示できる。なお、式中、Tは補正後のピークの溶出時間を、A〜Dは定数を示す。【0024】このようにして得られた近似式に、実試料中の高分子成分のピークの溶出時間(Tp)を代入し、各種の分子量計算を行う。例えばピーク頂点の溶出時間に溶出した分子の分子量を計算する場合は、ピークの溶出時間(Tp)を上記近似式のTの項に代入すれば良い。これに対して、数平均分子量(MN)、重量平均分子量(MW)、Z平均分子量(MZ)又は粘度平均分子量(MV)を計算する場合は、高分子成分のピークを微小区間に分割し、各微少区画に対応する溶出時間から該区画の分子量を上記のようにして計算しておき、以下の式に従いMN、MW、MZ、MVを計算することで分子量分布を得ることができる。【0025】MN=Σhi/(Σhi/Mi)MW=(Σhi×Mi)/ΣhiMZ=(Σhi×Mi2)/(Σhi×Mi)MV=(Σhi×MiαB/Σhi)1/αBここで、hiは微小区間でのピーク高さ、αBはマークホイン係数、Miは微小区間での分子量(得られた近似式に溶出時間を代入し算出できる)を示す。以上に示した本願発明の補正方法を模式的に示せば、図4のようになる。これに対して従来の、補正を行わない場合は図2のようになり、従来のような補正を行う場合には図3のようになる。【0026】以上の説明は、本願発明における基準ピークとして内部標準物質のピークを用いた例についての説明であるが、図5に示すように、他に(1)測定する実試料と標準試料に共通に存在する成分のピーク(例えば可塑剤等の添加剤)のピーク、(2)溶媒によるベースの変動のピーク(最下点)、(3)吸着を起こした試料のピーク、を利用することもできる。【0027】これまでに説明した本願発明の補正方法を行うためのデータ処理装置は、例えば、ポンプ、試料注入バルブ、分析カラム、屈折計等の検出手段、そしてカラムオーブン等のGPC装置に付加されるものであり、各ピークの溶出時間を記憶し、かつ、記憶した各ピークの溶出時間について前述のようなデータ処理を行うものである。また、かかるGPC装置においては、データ処理装置による補正処理の内容を表示したり、記録紙に出力するための表示・出力手段を加えても良い。【0028】実施例 1以下に、本願発明の補正方法を用いて塩化ビニル(実試料)の測定を行った例を示す。測定においては、溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を、標準試料としては市販の単分散の標準ポリスチレン12種類(東ソー(株)製、F−128、F−850、F−288、F−20、F−80、F−40、F−1、F−10、F−2、A−1000、A−5000、A−2500)を使用した。測定に際しては、標準試料及び実試料とも50μlをカラムに供し、その送液流量は1ml/分に設定した。測定に使用したGPC用分析カラムは市販のカラム(TSKgel GMH(東ソー(株)製)、内径7.8mm×長さ30mm×3本直列接続)であり、該カラムを覆うカラムオーブンの温度は45℃に設定した。【0029】上記各標準試料は、以下、A、B及びCの3種類の混合物にして用いた。なお、実試料及び標準試料とも、Butylatedhydroxy toluene(BTH)を0.1%溶解したTHFで溶解し、測定に供した。【0030】標準試料混合物AF−128 (分子量;1090000)F−20 (分子量;190000)F−1 (分子量;9100)A−1000(分子量;1050)標準試料混合物BF−850 (分子量;8420000)F−80 (分子量;706000)F−10 (分子量;96400)A−5000(分子量;570)標準試料混合物CF−288 (分子量;2890000)F−40 (分子量;355000)F−2 (分子量;18100)A−2500(分子量;2630)測定結果(クロマトグラム)を図6に示す。図中、a1はF−128のピーク(溶出時間19.50分)、a2はF−20のピーク(溶出時間22.57分)、a3はF−1のピーク(溶出時間27.95分)、a4はA−1000のピーク(31.58分)、b1はF−850のピーク(溶出時間17.24分)、b2はF−80のピーク(溶出時間20.41分)、b3はF−10のピーク(溶出時間23.86分)、b4はA−5000のピーク(溶出時間29.16分)、c1はF−288のピーク(溶出時間18.23分)、c2はF−40のピーク(溶出時間21.53分)、c3はF−2のピーク(溶出時間26.92分)、c4はA−2500(溶出時間30.30分)のピークをそれぞれ示し、またピークar、br及びcrはそれぞれ標準混合試料A、B又はC中のBHTのピークであり、その溶出時間はそれぞれ32.58、32.68そして32.65分である。【0031】BHTのピークの溶出時間から分かるように、再現性が理想的な条件下では同一成分のピークは同一時間に溶出するはずであるが、現実には外気温の変動等によりポンプの送液流量が変化し、その結果、溶出時間に若干の変化が生じる。【0032】図7に実試料(塩化ビニル)のクロマトグラムを示す。ピークpが塩化ビニル、ピークprが実試料及び標準試料に共通に含まれる成分であるBHTのピーク (基準ピーク)である。このようにして得られたピークの溶出時間は、塩化ビニルが23.44分、BHTが32.69分である。【0033】上記結果について、いかなる補正方法をも適用しない場合には、塩化ビニルの分子量は以下のように計算される。【0034】まず、3種類の標準試料混合物のピ−ク溶出時間とlog(分子量)を最小2乗法を用いて関数近似し、検量線を作製する。ここでは一例として3次式で近似した結果を示す。各標準試料のピーク溶出時間とそれぞれの分子量から検量線を求めると、次の式が得られる。log(分子量)=−0.000888532×T3+0.0664857×T2−1.88449×T+24.1504(ただし、Tはピーク溶出時間)。【0035】この式に塩化ビニルの溶出時間を代入すると、log(分子量)=−0.000888532×(23.44)3+0.0664857×(23.44)2−1.88449×(23.44)+24.1504となり、log(分子量)=5.06427という結果から、分子量=115950が計算できる。【0036】次に、本発明の補正方法を適用した場合の結果を示す。まず、実試料中のBHTのピークの溶出時間と、標準試料混合物中のBHTのピークの溶出時間から各標準試料混合物に対する補正係数を算出する。【0037】標準物質混合物A補正係数(fa)=32.69/32.58= 1.003376304481標準物質混合物B補正係数(fb)=32.69/32.68= 1.000305997552標準物質混合物C補正係数(fc)=32.69/32.65= 1.001225114855次に、これらの係数を各標準試料のピークの溶出時間に乗じて、標準試料のピーク溶出時間についての補正を行う。【0038】標準物質混合物A(補正係数(fa)=1.003376304481)F−128 ;19.50×fa=19.5658F−20 ;22.57×fa=22.6462F−1 ;27.95×fa=28.0444A−1000;31.28×fa=31.3856BHT ;32.58×fa=32.69標準物質混合物B(補正係数(fb)=1.000305997552)F−850 ;17.24×fb=17.2453F−80 ;20.41×fb=20.4162F−10 ;23.86×fb=23.8673A−5000;29.16×fb=29.1659BHT ;32.68×fb=32.69標準物質混合物C(補正係数(fc)=1.001225114855)F−288 ;18.23×fc=18.2523F−40 ;21.53×fc=21.5564F−2 ;26.92×fc=26.9530A−2500;30.30×fc=30.3371BHT ;32.65×fc=32.69以上のように補正を行った各標準試料のピークの溶出時間とそれぞれの分子量から検量線(3次式による最少2乗法近似)を求めると、log(分子量)=−0.000909915×T3+0.0681817×T2−1.9274×T+24.5074という式が求められる。この式に塩化ビニルの溶出時間を代入すると、log(分子量)=−0.000909915×(23.44)3+0.0681817×(23.44)2−1.9274×(23.44)+24.5074となり、分子量=118010が計算できる。【0039】以上の通り、補正を行わない方法と本発明により補正を行った場合では、実試料である塩化ビニルの分子量に約2、000の差異が生じる。これは、補正を行わない場合は温度変化等によるポンプ送液流量の変動が考慮されていないためである。これに対して本願発明の補正方法を行った場合は、検量線を作成するために標準試料のピークの溶出時間を測定している間の前記変動をも考慮し、補正するため、より正確に実試料の分子量を計算できる。【0040】これを実証するために、前記同様の測定を40回実施し、ピークの頂点で溶出している塩化ビニルの分子量を計算し、変動係数(Cv%)を算出した結果を表1に示す。【0041】【表1】【0042】表1から明らかなように、本発明による補正方法を適用した場合、Cv%は約1/7に減少する。【0043】実施例2本発明の補正方法によるポンプの送液送料の変動に対する補正効果をより明らかにするため、実施例1と同一の標準試料及び実試料について、ポンプの送液流量を故意に変化させて分子量の計算を実施した。【0044】ポンプの送液流量を、1.00ml/分、0.970ml/分、1.020ml/分の3つの流速に変化させた測定結果(クロマトグラム)を図8に示す。実試料に関しては、送液送料がそれぞれ1.00、0.970又は1.020ml/分の場合、塩化ビニルのピークの溶出時はそれぞれ23.44、24.17、22.91分であり、BHTのピークの溶出時間はそれぞれ32.69、33.72、31.91分であった。また、標準試料混合物A、B、C中のBHTのピークの溶出時間は、送液送料が1.00、0.970又は1.020ml/分の場合、それぞれ32.69、33.72、31.91であった。【0045】以上の結果から、送液送料が1.00、0.970又は1.020ml/分の場合の各標準試料混合物に対する補正係数を計算すると、標準試料混合物Aについては、1.003376、1.034991、0.979435であり、標準試料Bについては、1.000306、1.031824、0.976438であり、標準試料Cについては、1.001225、1.032772、0.977335である。【0046】計算された係数を用いて各ピークの溶出時間を補正し、log(分子量)=AT3+BT2−CT+Dとの3次式近似を行った場合の各定数(A〜D)と、近似式に塩化ビニルのピーク溶出時間を代入して計算される分子量を以下に示す。 送液送料が1.00ml/分の場合A=−0.000909915B=0.0681817C=−1.92740D=24.5074塩化ビニルの分子量=118009送液送料が0.970ml/分の場合A=−0.000914765B=0.0705274C=−2.02701D=25.7795塩化ビニルの分子量=117937送液送料が1.020ml/分の場合A=−0.000929832B=0.0681017C=−1.89406D=23.8956塩化ビニルの分子量=116444以上の結果から明らかなように、本願発明の補正方法を行った場合には、ポンプの送液送料が0.970から1.020ml/分に変動しても、計算される分子量の変化は1500程度とわずかである。【0047】比較のため、本願発明の補正方法を行わず、各標準試料混合物のピークの溶出時間(実測値)をlog(分子量)=AT3+BT2−CT+Dとの3次式近似を行った場合の各定数(A〜D)と、近似式に塩化ビニルのピーク溶出時間を代入して計算される分子量を以下に示す。【0048】送液送料が1.00ml/分の場合A=−0.000888532B=0.0664857C=−1.88449D=24.1504塩化ビニルの分子量=115951送液送料が0.970ml/分の場合A、B、C及びDとも1.00ml/分の場合と同一塩化ビニルの分子量=78804送液送料が1.020ml/分の場合A、B、C及びDとも1.00ml/分の場合と同一塩化ビニルの分子量=154384このように、補正を行わない場合には、ポンプの送液送料が0.970から1.020ml/分に変動すると、計算される分子量の変化は70000になる。GPC装置におけるポンプ等による送液送料の日差変動は、設定値に対して2%程度であることから、補正を行わない場合に比べ、本願発明の補正方法を実施した場合にいかに正確に実試料の分子量を推定し得るかが解る。【0049】【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本願発明の補正方法によれば、GPC測定において、送液流量の変動により推定される実試料の分子量が変動することを防止することができる。この結果、GPC測定により得られた分子量に関するデータの信頼性を大幅に向上させることが可能となる。送液送料の変化は、例えばGPC測定を行う際の温度変化や、送液手段として用いるポンプ等の機械的精度、更にはGPC用カラムの目詰まり等、種々の要因によって生じ、これを取り除くことは実質的に不可能であるから、本願発明の補正方法はGPCによって実試料の分子量を推定する場合に大いに役立つものである。【0050】また、GPC測定により分子量測定を行う場合、通常は実試料を測定する直前に古い検量線を廃棄するとともに新たな検量線を作製することで前記のような変動が測定結果(推定される分子量)に影響することを防止する必要があったが、本願発明の補正方法によれば日差変動による影響を排除できることから、検量線を作製する頻度を減ずることも可能である。従って本願発明の補正方法によれば、GPC測定における検量線作製に要する時間、労力等を減少して、作業効率を大幅に向上させることが可能である。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、本願発明の補正方法について説明するための図である。図中のクロマトグラムは、縦軸が出力、横軸が時間を示し、上から順に、標準試料混合物A中の各標準試料と内部標準試料のピークとその溶出時間(左から順にTa1、Ta2、Ta3、Tar)、標準試料混合物B中の各標準試料と内部標準試料のピークとその溶出時間(左から順にTb1、Tb2、Tb3、Tbr)、標準試料混合物C中の各標準試料と内部標準試料のピークとその溶出時間(左から順にTc1、Tc2、Tc3、Tcr)、そして実試料中の成分と内部標準試料のピーク溶出時間(左から順にTp、Tpr)である。【図2】図2は、従来の補正を行わない場合について模式的に示す図である。この場合は、標準試料混合物についての測定結果から検量線を作製し、該検量線から試料の分子量を計算する。【図3】図3は、従来の補正を行う場合について模式的に示す図である。この場合は、標準試料混合物についての測定結果に対し、一律の補正係数を算出して一律の補正を行い、検量線を作製し、該検量線から試料の分子量を計算する。【図4】図4は、本願発明の補正を行う場合について模式的に示す図である。【図5】図5は、本願発明において基準ピークとして使用し得るピークを説明するための図である。【図6】図6は、実施例1における試料混合物についての測定結果を示す図である。図中のクロマトグラムは、上から順に試料混合物A、B及びCの結果を示す。【図7】図7は、実施例1における実試料(塩化ビニル)の測定結果を示すクロマトグラムである。図中、pを付した溶出ピークが塩化ビニルの溶出ピークであり、prを付したのがBHTの溶出ピークである。【図8】図8は、実施例2においてポンプの送液流量を変化させた場合の測定結果を示す図である。図中のクロマトグラムは、上から順に、送液送料を1.00ml/分、0.970ml/分、1.020ml/分の結果を示す。【図9】図9は、GPCにおけるlog(分子量)(縦軸)とピークの溶出時間(横軸)の関係を示す図である。【図10】図10は、GPCを行う場合の、通常の装置構成を示すための図である。【図11】図11は、従来の補正方法を行った場合のGPCにおけるlog(分子量) (縦軸)とピークの溶出時間(横軸)の関係を示す図である。【図12】図12は、従来の補正方法について説明するための図である。図中のクロマトグラムは、縦軸が出力、横軸が時間を示し、上から順に、標準試料混合物A中の各標準試料と内部標準試料のピークとその溶出時間(左から順にTa1、Ta2、Ta3、Tar)、標準試料混合物B中の各標準試料と内部標準試料のピークとその溶出時間(左から順にTb1、Tb2、Tb3、Tbr)、標準試料混合物C中の各標準試料と内部標準試料のピークとその溶出時間(左から順にTc1、Tc2、Tc3、Tcr)、そして実試料中の成分と内部標準試料のピーク溶出時間(左から順にTp、Tpr)である。【符号の説明】1 溶離液2 ポンプ3 試料注入バルブ4 分析カラム5 検出器6 カラムオーブン7 データ処理手段 分子排除クロマトグラフィにおいて、検量線を作製するために分子量既知の物質からなる標準試料混合物を2種類以上使用し、各混合物について基準となるピーク及び各標準試料のピークの溶出時間を測定し、測定されるべき試料について基準となるピーク及び測定されるべき試料のピークの溶出時間を測定し、標準試料の基準となるピークの溶出時間と測定されるべき試料の基準となるピークの溶出時間の比を算出し、算出した比を各標準試料のピークの溶出時間に乗じて補正を行い、このようにして補正された各標準試料のピークの溶出時間と各標準試料の既知分子量から検量線を作製し、測定されるべき試料のピークの溶出時間と前記検量線から測定されるべき試料の分子量を算出する、分子排除クロマトグラフィにおける補正方法。 前記基準となるピークが各標準試料混合物及び測定されるべき試料に添加した内部標準試料のピークであることを特徴とする請求項1の方法。 前記基準となるピークが溶離液によるベース変動のピークであることを特徴とする請求項1方法。 補正の基準となるピークが溶離液のピークであることを特徴とする請求項1の方法。 検量線を作製するために分子量既知の物質からなる標準試料混合物を2種類以上使用する分子排除クロマトグラフィにおけるデータ処理装置であって、前記各混合物について基準となるピーク及び各標準試料のピークの溶出時間を測定して得られる、測定されるべき試料について基準となるピーク及び測定されるべき試料のピークの溶出時間を記憶し、標準試料の基準となるピークの溶出時間と測定されるべき試料の基準となるピークの溶出時間の比を算出し、算出した比を各標準試料のピークの溶出時間に乗じて補正を行い、このようにして補正した各標準試料のピークの溶出時間と各標準試料の既知分子量から検量線を作製し、測定されるべき試料のピークの溶出時間と前記検量線から測定されるべき試料の分子量を算出する、前記装置。 前記基準となるピークが各標準試料混合物及び測定されるべき試料に添加した内部標準試料のピークであることを特徴とする請求項5のデータ処理装置。 前記基準となるピークが溶離液によるベース変動のピークであることを特徴とする請求項5のデータ処理装置。 補正の基準となるピークが溶離液のピークであることを特徴とする請求項5のデータ処理装置。


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