タイトル: | 特許公報(B2)_3−ニトロ−o−トルイル酸の製造方法 |
出願番号: | 1997193192 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 205/57,B01J 31/04,C07C 201/12,C07B 61/00 |
石野 義夫 大野 敏信 駿河 寿秀 芝本 信頼 JP 4148480 特許公報(B2) 20080704 1997193192 19970702 3−ニトロ−o−トルイル酸の製造方法 スガイ化学工業株式会社 000107561 大阪市 591030499 廣瀬 孝美 100085486 石野 義夫 大野 敏信 駿河 寿秀 芝本 信頼 JP 1997049684 19970217 20080910 C07C 205/57 20060101AFI20080821BHJP B01J 31/04 20060101ALI20080821BHJP C07C 201/12 20060101ALI20080821BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080821BHJP JPC07C205/57B01J31/04 ZC07C201/12C07B61/00 300 C07C 205/00 C07C 201/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第04065477(US,A) 特開昭59−051242(JP,A) 特開昭58−188844(JP,A) 特開平07−155617(JP,A) 5 1998287627 19981027 9 20040701 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は3−ニトロ−o−トルイル酸の製造方法に関する。より詳細には、3−ニトロ−o−キシレン(即ち、1,2−ジメチル−3−ニトロベンゼン)を酸素又は酸素含有ガスで酸化して3−ニトロ−o−トルイル酸を高選択的に製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】3−ニトロ−o−トルイル酸は医薬などの原料として有用な化合物である。これまでに3−ニトロ−o−トルイル酸の製造法として、(A)3−ニトロ−o−キシレンを硝酸酸化する方法(米国特許第4065477号公報);(B)3−ニトロ−o−キシレンを過マンガン酸酸化する方法(Zhurnal Obschchei Khimii, Vol.60, No.10, p2370);などが提案されている。しかしながら、(A)法は3−ニトロ−o−キシレンの転化率が低く、6−ニトロ−o−トルイル酸及びジニトロ−o−キシレンなどが副生し3−ニトロ−o−トルイル酸の選択率が低いほか、反応中多量のNOxガスが発生するなどの問題点を有する方法である。また(B)法は3−ニトロ−o−キシレンの転化率は高いが3−ニトロ−フタル酸及び6−ニトロ−o−トルイル酸などが多く副生し3−ニトロ−o−トルイル酸の選択率が低いほか、過マンガン酸カリウム水溶液を多量に使用し、反応終了後に二酸化マンガンの沈殿が析出しその処理をしなければならないといった問題点を有する方法である。従って、3−ニトロ−o−キシレンから高選択的に3−ニトロ−o−トルイル酸を得る経済的な製造法の開発が望まれている。【0003】【発明が解決しようとする課題】3−ニトロ−o−キシレンを酸化して3−ニトロ−o−トルイル酸を得る製造方法において、本発明者らは、目的物を高選択的に得られる方法を開発することを目的として鋭意検討し、酸素又は酸素含有ガスによる3−ニトロ−o−キシレンの酸化において、低級脂肪族カルボン酸系溶媒中で特定の触媒系を使用して反応させることによって所期の目的が達成されることを見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明は、3−ニトロ−o−キシレンの酸化において、従来の技術よりも高選択的に3−ニトロ−o−トルイル酸を得ることのできる3−ニトロ−o−トルイル酸の製造方法を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明の要旨は、▲1▼3−ニトロ−o−キシレンを低級脂肪族カルボン酸溶媒又は低級脂肪族カルボン酸と有機溶媒との混合溶媒中、重金属触媒と反応促進剤の存在下で、酸素又は酸素含有ガスによって酸化し、3−ニトロ−o−トルイル酸を得ることを特徴とする3−ニトロ−o−トルイル酸の製造方法;▲2▼3−ニトロ−o−キシレンに対して5〜100重量倍の酢酸、プロピオン酸及び/又は酪酸を使用する上記▲1▼記載の方法;▲3▼重金属触媒として、コバルト、マンガン、セリウム又は銅の臭化物や水酸化物、これら重金属との炭酸塩、低級脂肪族カルボン酸塩又はナフテン酸塩、及びこれら重金属のアセチルアセトナートからなる群より選ばれた1乃至2種以上を、3−ニトロ−o−キシレンに対して0.005〜1.0モル倍使用する上記▲1▼又は▲2▼記載の方法;▲4▼反応促進剤として、臭素、臭化水素、臭化コバルト、臭化アンモニウム、アルカリ金属臭素化合物、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラブロムエタン、ブロム酢酸及び臭化ベンジルからなる群より選ばれた1乃至2種以上、又はヨウ素、ヨウ化水素、ヨウ化アンモニウム、アルカリ金属ヨウ素化合物及びテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドからなる群より選ばれた1乃至2種以上を、重金属触媒に対して1.0〜32重量%使用する上記▲1▼、▲2▼又は▲3▼記載の方法;▲5▼反応促進剤と併用して、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、フルオロベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類、塩酸及びモノクロル酢酸からなる群より選ばれた1乃至2種以上を3−ニトロ−o−キシレンに対して0.01〜5.0モル倍使用する上記▲1▼、▲2▼、▲3▼又は▲4▼に記載の方法;である。【0005】【発明の実施の形態】本発明は上記の構成からなり、本発明の方法は下記の反応式で示され、その基本的操作は、3−ニトロ−o−キシレン(1)を低級脂肪族カルボン酸系溶媒中で、触媒及び反応促進剤の存在下で酸素又は酸素含有ガスと接触させ、3−ニトロ−o−トルイル酸(2)を得ることからなる。【0006】【化1】【0007】本発明の方法において、溶媒としては、低級脂肪族カルボン酸又は低級脂肪族カルボン酸と有機溶媒との混合溶媒が使用される。低級脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが例示され、工業的には酢酸が最も有利である。低級脂肪族カルボン酸の使用量は3−ニトロ−o−キシレンの5〜100重量倍、好ましくは25〜60重量倍の範囲で用いられる。低級脂肪族カルボン酸の使用量が5重量倍以下の場合は、酸化速度が小さく3−ニトロ−o−キシレンの転化率が低下する。一方低級脂肪族カルボン酸の使用量が100重量倍以上の場合は3−ニトロ−o−キシレンの転化率が低下すると共に生産性を低下させる原因となる。【0008】本発明の方法は、低級脂肪族カルボン酸と有機溶媒との混合溶媒中で行うこともできる。低級脂肪族カルボン酸としては上記の化合物が例示され、また有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、ジメチルホルムアミドなどが例示できる。低級脂肪族カルボン酸に対する有機溶媒の混合比は、反応に悪影響を及ぼさない範囲であれば適宜選択できるが、低級脂肪族カルボン酸に対して等容量以下とするのが好ましい。3−ニトロ−o−キシレンに対する当該混合溶媒の使用量は、上述の低級脂肪族カルボン酸を使用したときの条件を参照することができる。【0009】重金属触媒としては、前記反応式の反応を進行させ得る重金属触媒であればいずれのものも使用することができ、例えば、コバルト・マンガン・セリウム・銅などの重金属との臭化物や水酸化物;これら重金属との炭酸塩、低級脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸等)の塩、ナフテン酸の塩;及びこれら重金属のアセチルアセトナートなどが例示できる。特に目的物の選択性から酢酸コバルトを使用するのが好ましい。なお、上記の重金属触媒は2種以上を併用してもよい。3−ニトロ−o−キシレンに対する重金属触媒の使用量は、0.005〜1.0モル倍、好ましくは0.1〜0.8倍モル、より好ましくは0.3〜0.6モル倍が用いられる。重金属触媒の使用量が0.005モル倍未満では十分な反応速度が得られず、また1.0モル倍を越えると反応物の二酸化炭素への分解が増加傾向になるとともに触媒費の負担が増加し経済的に不利である。なお、後記のアルデヒド類などの反応促進助剤を使用する場合には、重金属触媒の使用量を低減することができる。【0010】反応促進剤としては、臭素、臭化水素、臭化コバルト、臭化アンモニウム、アルカリ金属臭素化物(例えば、臭化ソーダ、臭化カリ等)などの無機臭素化合物及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラブロムエタン、ブロム酢酸、臭化ベンジルなどの有機臭素化合物;ヨウ素、ヨウ化水素、ヨウ化アンモニウム、アルカリ金属ヨウ素化合物(例えば、ヨウ化ソーダ、ヨウ化カリ等)などの無機ヨウ素化合物及びテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド、ヨード酢酸などの有機ヨウ素化合物が例示され、特に目的物の選択性から臭化ソーダを使用するのが好ましい。なお、上記の反応促進剤は2種以上を併用してもよい。重金属触媒に対する反応促進剤の使用量は、重金属触媒に対して1.0〜32重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは9〜18重量%が用いられる。反応促進剤の使用量が、1.0重量%未満の場合は十分な効果が得られず、また32重量%を越えると反応促進剤による生成物の汚染や経済的な負担が著しくなり、好ましくない。【0011】また、反応促進剤と併用して、反応促進助剤として、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、フルオロベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類;塩酸、モノクロル酢酸などの酸類からなる群より選ばれた1乃至2種以上を使用することで、3−ニトロ−o−キシレンに対する重金属触媒の使用量を低減でき、重金属触媒の使用量が0.01〜0.1モル倍の範囲でも十分な反応速度が得られ、経済的にも有利である。3−ニトロ−o−キシレンに対する上記アルデヒド類、ケトン類及び/又は酸類の使用量は、0.01〜5.0モル倍、好ましくは0.05〜0.5モル倍が用いられる。【0012】酸化剤として用いる酸素又は酸素含有ガスとしては、分子状酸素を含有するガスであればよく、純酸素、又は空気その他の分子状酸素を含有するものが使用でき、より工業的には通常の空気が好ましい。また、酸素又は酸素含有ガスは常圧又は加圧状態で導入することができる。酵素又は酵素含有ガスの導入方法は、常圧状態では反応液中へ吹き込む方法が最もよく、また加圧状態では全反応圧力が1〜50気圧の範囲、好ましくは2〜10気圧の範囲で、かつ反応容器からの排ガスの酸素濃度が1〜8容量%の範囲になるように操作する方法が好ましい。反応圧力が50気圧を越えると、設備費と酸素又は酸素含有ガスを圧縮するための動力費が増加するにもかかわらず、格別の利点が得られず、逆に二酸化炭素への分解が増加傾向となって不利である。また排ガスの酸素濃度が8容量%を越えると、反応器気相部が爆発性混合気体を形成する可能性が強くなり、安全対策面から排ガスの酸素濃度は8容量%以下にする必要がある。酸素又は酸素含有ガスの導入量及び反応時間は、クロマトグラフィー等の手段で反応の進行をチェックすることにより調整できる。反応温度は、使用する重金属触媒の種類及び量、反応促進剤の種類及び量、反応促進剤と併用するアルデヒド類、ケトン類、塩酸、モノクロル酢酸などの種類及び量、酸素又は酸素含有ガスの導入方法などに応じて適宜設定できるが、一般に70〜250℃の間で行われ、特に3−ニトロ−o−キシレンの反応性から100〜160℃の間が好ましい。【0013】反応終了後、反応液から目的物を採取する方法は、前述の先行文献などに記載された常法に準じて行うことができ、例えば、反応液を濃縮し、アルカリ水を添加した後、疎水性有機溶媒で抽出することにより未反応物を回収し、次いでアルカリ水溶液を酸性にして、目的物を酸析することにより行うことができる。なお、回収した未反応物は再使用することができる。【0014】【発明の効果】本発明の方法は、3−ニトロ−o−キシレンの酸素酸化という簡便な方法であり、反応液の後処理が容易であると共に有害ガスの発生がないなどの利点を有し、しかも高い選択率で3−ニトロ−o−トルイル酸を得ることができる。従って、本発明の方法によれば、3−ニトロ−o−トルイル酸を工業的且つ経済的に製造することができる。【0015】【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。【0016】実施例1還流冷却器と回転羽根撹拌機及び酸素ガス導入口を備えた反応器に、3−ニトロ−o−キシレン1.38g(9.1ミリモル)、酢酸72g(3−ニトロ−o−キシレンに対し52重量倍)、酢酸コバルト四水和物1.13g(4.55ミリモル:3−ニトロ−o−キシレンに対して0.5モル倍)、臭化ソーダ0.16g(1.59ミリモル:酢酸コバルト四水和物に対して14.2重量%)を仕込み、反応温度104〜108℃の間で酸素ガスを7時間かけて吹き込んで酸化反応を行った。得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 95モル%反応生成率 53モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 56%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)反応液を通常の方法で処理して、純度99%以上の3−ニトロ−o−トルイル酸を0.65g(3.61ミリモル:収率40モル%)得た。【0017】比較例1前述の米国特許第4065477号公報に基づき3−ニトロ−o−キシレンの硝酸酸化を追試した。50%硝酸水溶液75g(595ミリモル)中に3−ニトロ−o−キシレンを7.6g(50ミリモル)添加し、110℃まで昇温した後24時間保温し反応を行った。得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 65モル%反応生成率 24モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 37%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0018】比較例2前述の文献(Zhurnal Obschchei Khimii, Vol.60, No.10, p2370)に基づき3−ニトロ−o−キシレンの過マンガン酸酸化を追試した。3.2%過マンガン酸カリウム水溶液310g(63.2ミリモル)に3−ニトロ−o−キシレンを2.4g(15.8ミリモル)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド1.0g(2.73ミリモル)を添加し、75℃まで昇温した後4時間保温し反応を行った。得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 99モル%反応生成率 36モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 36%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0019】実施例2溶媒を酢酸から酪酸に代え、また反応温度を108℃から140℃に上げる以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 91モル%反応生成率 51モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 56%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0020】実施例3反応温度を108℃から80℃に下げる以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 79モル%反応生成率 44モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 56%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0021】実施例4酢酸の使用量を9.4g(3−ニトロ−o−キシレンに対して6.8重量倍)に減少する以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 26モル%反応生成率 10モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 40%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0022】実施例5酢酸コバルトの使用量を0.44g(3−ニトロ−o−キシレンに対して0.19モル倍)に減少する以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 54モル%反応生成率 27モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 50%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0023】実施例6酢酸コバルトに代えて酢酸マンガン四水和物1.12g(4.55ミリモル:3−ニトロ−o−キシレンに対して0.5モル倍)を使用する以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 42モル%反応生成率 17モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 40%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0024】実施例7臭化ソーダの使用量を15.8mg(0.16ミリモル:酢酸コバルト四水和物に対して1.4重量%)に減少する以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 45モル%反応生成率 18モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 40%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0025】実施例8臭化ソーダに代えて臭化アンモニウム0.16g(1.59ミリモル:酢酸コバルト四水和物に対して14.2重量%)を使用する以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 98モル%反応生成率 55モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 56%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0026】実施例9酸素ガスに代えて通常の空気を使用する以外は実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の結果となった。反応転化率 50.4モル%反応生成率 23.2モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 46.0%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0027】実施例10ガス導入口及び排気口を取り付けた容量300mlの撹拌機付ガラス製オートクレーブに実施例1と同様に3−ニトロ−o−キシレン1.38g(9.1ミリモル)、酢酸72g、酢酸コバルト四水和物1.13g、臭化ソーダ0.16gを仕込み、反応圧力8気圧ゲージ、反応温度140℃において排ガス中の酸素濃度が8容量%以下になるような流速で吹き込んだ空気と5時間接触させた。得られた反応液をH.P.L.C.分析にて確認したところ、以下の反応結果となった。反応転化率 93モル%反応生成率 52モル%(反応に用いた3−ニトロ−o−キシレンに対して)選択率 56%(反応した3−ニトロ−o−キシレンに対して)【0028】実施例11〜14実施例10と同様な方法で、表1に示される原料及び条件にて加圧下の反応を行った。反応結果(反応転化率、反応生成率及び選択率)を表1に示した。なお、実施例13及び14に示されるように、反応促進助剤(アルデヒド類)を使用することにより、重金属触媒の使用量を低減できることが判明した。【0029】【表1】 3−ニトロ−o−キシレンを低級脂肪族カルボン酸溶媒又は低級脂肪族カルボン酸と有機溶媒との混合溶媒中、コバルトの低級脂肪族カルボン酸塩及びマンガンの低級脂肪族カルボン酸塩からなる群より選ばれた1乃至2種以上と無機臭素化合物の存在下で、酸素又は酸素含有ガスによって酸化し、3−ニトロ−o−トルイル酸を得ることを特徴とする3−ニトロ−o−トルイル酸の製造方法。 3−ニトロ−o−キシレンに対して5〜100重量倍の酢酸、プロピオン酸及び/又は酪酸を使用する請求項1記載の方法。 コバルトの低級脂肪族カルボン酸塩及び/又はマンガンの低級脂肪族カルボン酸塩を、3−ニトロ−o−キシレンに対して0.005〜1.0モル倍使用する請求項1又は2記載の方法。 無機臭素化合物を、コバルトの低級脂肪族カルボン酸塩及び/又はマンガンの低級脂肪族カルボン酸塩に対して1.0〜32重量%使用する請求項1、2又は3記載の方法。 無機臭素化合物と併用して、アルデヒド類を3−ニトロ−o−キシレンに対して0.01〜5.0モル倍使用する請求項1、2、3又は4に記載の方法。