タイトル: | 特許公報(B2)_ピペリジン誘導体およびその製造方法 |
出願番号: | 1997145833 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07D 405/12 |
杉 潔 板谷 信重 桂 正 伊木 正己 山崎 茂弥 石橋 太郎 山岡 禎治 河田 義弘 田上 弥生 JP 3819532 特許公報(B2) 20060623 1997145833 19970519 ピペリジン誘導体およびその製造方法 住友化学株式会社 000002093 細田 芳徳 100095832 杉 潔 板谷 信重 桂 正 伊木 正己 山崎 茂弥 石橋 太郎 山岡 禎治 河田 義弘 田上 弥生 JP 1996175893 19960613 JP 1996294585 19961015 JP 1996303838 19961029 JP 1996326177 19961120 JP 1997050980 19970218 20060913 C07D 405/12 20060101AFI20060824BHJP JPC07D405/12 C07D CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) CASREACT(STN) 国際公開第96/036636(WO,A1) 国際公開第96/013505(WO,A1) 特開平04−288051(JP,A) 特開平09−316072(JP,A) Tetrahedron : Asymmetry, 1996, Vol.7, No.6, pp.1591-1594 6 1998291975 19981104 37 20011106 伊藤 幸司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ピペリジン誘導体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、抗うつ剤として有用であるパロキセチンなどの医薬中間体として有用なピペリジン誘導体およびその製造法に関する。【0002】【従来の技術】一般に、抗うつ剤として有用であるパロキセチンは、例えば、特開平7−138228号公報および特公昭59−46216号公報に記載された製法によって製造されている。【0003】しかしながら、これらの方法には、保護基であるN−メチル基を脱保護するに際して、一旦カーバメート基とした後に、加水分解するという煩雑な操作を必要とするという欠点がある。【0004】また、例えば、特開平7−138228号公報には、出発物質としてアミドマロン酸エステル誘導体を用いてパロキセチンを製造する方法が記載されているが、前記アミドマロン酸エステル誘導体は一般に市販されていないため、前記アミドマロン酸エステル誘導体を使用する際には、製造しなけらばならないという、煩雑な操作を必要とするという欠点がある。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、パロキセチンの製造中間体として有用な化合物および該化合物を簡便かつ工業的に製造しうる方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】 即ち、本発明の要旨は、(1) イソプロパノール100重量部中で、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン5〜50重量部に塩化水素を作用させて、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液を得る工程及び該イソプロパノール溶液から、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を晶出させる工程を含む、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の製造方法、(2) (3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンが、A) 式(II):【0007】【化5】【0008】で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンとジtert−ブチルジカーボネートとを反応させることにより、一般式(IV):【0009】【化6】【0010】(式中、R3 はtert−ブチル基を示す)で表わされるカーバメート化合物を得る工程、B) 前記一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V):【0011】【化7】【0012】(式中、R4 はメチル基を示す)で表わされるスルホン酸クロリドとを反応させることにより、一般式(VI):【0013】【化8】【0014】(式中、R3 およびR4 は前記と同じ)で表わされるスルホン酸エステルを得る工程、ならびにC) 前記一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステルと、3,4−メチレンジオキシフェノールとを反応させる工程を含む方法により得られたものである前記(1)記載の製造方法、(3) (3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液に活性炭処理を施し、不純物を除去した後、得られた(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液から、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を晶出させる、前記(1)または(2)記載の製造方法、(4) (3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液に、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の種晶を40〜50℃の温度で添加し、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を晶出させる、前記(1)〜(3)いずれか記載の製造方法、(5) さらに、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を、減圧下で80〜110℃の温度で乾燥させて、イソプロパノールの含有率が0.1〜5重量%である(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩無水和物を得る工程を有する前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、ならびに(6) さらに、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を、減圧下で70℃の温度で乾燥させた後、得られたイソプロパノールを8〜15重量%含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を減圧下で80〜110℃の温度で乾燥させて、イソプロパノールの含有率が0.1〜5重量%である(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩無水和物を得る工程を有する前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法に関する。【0029】【発明の実施の形態】本発明のピペリジン誘導体は、前記したように、一般式(I):【0030】【化21】【0031】〔式中、R1 は水素原子、ベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基、R2 はヒドロキシメチル基、アルキル基の炭素数が1〜2のアルキルスルホニルオキシメチル基、4位にメチル基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシメチル基、(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル基、カルボキシル基または−CO2 R7 基(R7 は炭素数1〜5のアルキル基を示す)、Zはメチレン基またはカルボニル基を示す。【0032】ただし、R1 がベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基であるとき、R2 はヒドロキシメチル基、アルキル基の炭素数が1〜2のアルキルスルホニルオキシメチル基、4位にメチル基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシメチル基または(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル基、Zはメチレン基であり、R1 が水素原子であり、Zがカルボニル基であるとき、R2 はカルボキシル基または−CO2 R7 基(R7 は前記と同じ)であり、R1 が水素原子であり、Zがメチレン基であるとき、R2 はヒドロキシメチル基である〕で表わされる化合物である。【0033】一般式(I)において、R1 は、水素原子、ベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基である。R2 は、ヒドロキシメチル基、アルキル基の炭素数が1〜2のアルキルスルホニルオキシメチル基、4位にメチル基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシメチル基、(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル基、カルボキシル基または−CO2 R7 基(R7 は前記と同じ)である。Zは、メチレン基またはカルボニル基である。【0034】ただし、R1 がベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基であるとき、R2 はヒドロキシメチル基、アルキル基の炭素数が1〜2のアルキルスルホニルオキシメチル基、4位にメチル基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシメチル基または(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル基、Zはメチレン基であり、R1 が水素原子であり、Zがカルボニル基であるとき、R2 はカルボキシル基または−CO2 R7 基(R7 は前記と同じ)であり、またR1 が水素原子であり、Zがメチレン基であるとき、R2 はヒドロキシメチル基である。【0035】一般式(I)において、R1 がベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基であり、R2 がヒドロキシメチル基、アルキル基の炭素数が1〜2のアルキルスルホニルオキシメチル基、4位にメチル基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシメチル基または(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル基であり、Zがメチレン基である場合、およびR1 が水素原子であり、Zがメチレン基であり、R2 がヒドロキシメチル基である場合、かかる一般式(I)で表わされるピペリジン誘導体の具体例としては、例えば、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンなどがあげられる。【0036】一般式(I)において、R1 が水素原子であり、Zがカルボニル基であるとき、R2 はカルボキシル基または−CO2 R7 基(R7 は前記と同じ)である場合、かかる一般式(I)で表わされるピペリジン誘導体の具体例としては、例えば、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−エトキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−プロポキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロポキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−ブトキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−エトキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−プロポキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロポキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−ブトキシカルボニルピペリジン−2−オン、(±)−シス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンなどがあげられる。【0037】前記ピペリジン誘導体のなかでは、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3SR,4RS)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンおよび(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンよりなる群から選ばれたものは、本発明においては、特に好適に使用しうるものである。【0038】一般式(I)で表わされるピペリジン誘導体の出発物質としては、4−フルオロベンズアルデヒドがあげられる。【0039】前記4−フルオロベンズアルデヒドを、一般式:CH3 COOR5 (式中、R5 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表わされる酢酸エステルと反応させ、得られた4−フルオロ桂皮酸エステルに一般式:NC−CH2 −CO2 R6 (式中、R6 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表わされるシアノ酢酸エステルを付加させることにより、一般式(X):【0040】【化22】【0041】(式中、R5 およびR6 は前記と同じ)で表わされるグルタル酸エステル誘導体が得られる。つぎに、得られたグルタル酸エステル誘導体を還元させることにより、一般式(IX):【0042】【化23】【0043】(式中、R5 は前記と同じ)で表わされる(±)−シス,トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−アルキルオキシカルボニルピペリジン−2−オンが得られる。【0044】前記還元は、接触還元であることが好ましく、その反応条件には特に限定がない。前記接触還元を行なう場合、例えば、前記一般式(X)で表わされるグルタル酸誘導体のシアノ基を接触還元させてアミノメチル基とする通常の接触還元条件を適用することができる。この場合、触媒としては、例えば、ラネーコバルト、ラネーニッケル、パラジウム炭素、白金炭素などを用いることができる。また、溶媒としては、トルエンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒、メタノールなどのアルコール系溶媒、それらの混合溶媒などがあげられる。反応温度は、通常、室温からから150℃の範囲であればよく、また水素圧は、例えば、0.5〜150kgf/cm2 の範囲であればよい。反応の際には、原料を一括仕込みしてもよく、また反応系の中に前記一般式(X)で表わされる化合物を圧入しながら仕込んでもよい。【0045】一般式(IX)で表わされる(±)−シス,トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−アルキルオキシカルボニルピペリジン−2−オンには、主成分であるトランス体のほかにシス体が含まれている。トランス体とシス体の混合物から両者を分離する場合、両者の溶媒に対する溶解度の相違を利用する方法や、通常の有機化合物分離用のカラムを利用する方法などを採用することができる。前記シス体は、塩基の存在下でトランス体に変換し得るものである。また、前記シス体は、例えば、塩基性下で加水分解させることにより、トランス体の酸として得ることができる。【0046】なお、(±)−シス,トランスのエステルの異性化反応を、例えば、ナトリウムアルコキシドを触媒として用いて行ない、晶析させた場合には、トランス体のエステルが優先的に収得することができる。【0047】また、例えば、水酸化ナトリウムを用い、(±)−シス,トランスのエステルをアルコール中で加熱、還流するか、または該(±)−シス,トランスのエステルの水溶液を加熱し、還流することにより、シスエステルからトランスエステルへの異性化を伴いながら加水分解させ、その結果、トランス体のカルボン酸を得ることができる。【0048】一般式(IX)で表わされる(±)−シス,トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−アルキルオキシカルボニルピペリジン−2−オンは、前記の方法でトランス酸エステルとした後、例えば、酵素を用いてこの化合物のエステル部分を加水分解させるか、または一旦、トランスカルボン酸としたのち、酵素を用いてカルボン酸部分を不斉エステル化させることにより、光学活性なトランス酸またはトランス酸エステルとすることができる。また、通常のジアステレオマー誘導体を調製する方法、例えば、トランスカルボン酸と光学活性のアミンとの塩の結晶を調製し、該結晶を分離する方法により、トランスカルボン酸を光学分割することで光学活性なトランス酸を得ることができる。【0049】つぎに、(±)−トランス酸、すなわち(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの光学分割は、通常、溶媒中で光学活性アミンの存在下で行なうことができる。【0050】前記光学活性アミンの代表例としては、例えば、特開平6−116214号公報に記載された化合物があげられる。具体的には、例えばR−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルメチルアミンなどがあげられる。【0051】前記光学活性アミン化合物の使用量は、(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン1モルに対して0.5〜1.2モル、好ましくは0.6〜1.1モルであることが望ましい。【0052】前記溶媒としては、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール、酢酸エチルなどのエステルなどがあげられ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により、これらの溶媒は、水と混合して用いることができる。【0053】前記(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンと光学活性アミン化合物とを前記溶媒中に溶解させ、混合し、静置または攪拌することにより、前記(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの光学分割を行なうことができる。【0054】このとき、これらの混合液の加熱温度は、通常、−10〜120℃、好ましくは10〜90℃であることが望ましい。【0055】光学分割の終了後には、析出した塩の結晶を濾取し、得られた塩の結晶を酸性またはアルカリ性の条件下で分解させる。【0056】アルカリ性の条件下で塩を分解させる場合には、塩の結晶を水の存在下で、例えば、水酸化ナトリウムで適当なアルカリ性としたのち、水層から有機溶媒で光学活性アミンを抽出、回収し、ついで水溶液を酸性として(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの結晶を得る。また、酸性条件下で塩を分解させる場合には、塩の結晶を水の存在下で、例えば、硫酸、塩酸などで酸性とし、目的とする(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンを結晶として回収する。残りの酸性水溶液からは、該酸性水溶液を水酸化ナトリウムなどで中和させたのち、有機溶媒で抽出することにより、光学活性アミンを回収することができる。【0057】得られた結晶は、濾取し、乾燥することにより、つぎの還元反応に用いることができる。【0058】前記(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの還元を行なうことにより、式(II):【0059】【化24】【0060】で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンが得られる。【0061】なお、還元反応の際には、水素化金属化合物(還元剤)として、ジボラン、ボラン錯体、系内で水素化ホウ素ナトリウムから発生させた水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、水素化アルミニウムリチウムに代表される水素化アルミニウム化合物などを用いることができる。かかる水素化金属化合物の使用量は、通常、前記(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン1当量に対して活性ハイドライドとして6〜12当量程度であることが好ましい。また、還元条件としては、例えば、カルボン酸を還元して1級アルコールとする通常の還元条件を適用することができる。すなわち、反応溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒、これらのエーテル系溶媒と、トルエンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒などを用いることができる。反応温度は、例えば、常温から100℃の範囲内にあればよい。また、反応の際には、例えば、水素化アルミニウム化合物を用いる場合には、還元される前記(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンを滴下しながら反応させることが望ましい。【0062】また、本発明においては、前記一般式(IX)で表わされる(±)−シス,トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−アルキルオキシカルボニルピペリジン−2−オンを塩基の存在下で異性化させることによって得られた(4RS,5SR)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−アルキルオキシカルボニルピペリジン−2−オンを水素化金属化合物で還元させ、得られた(3SR,4RS)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンを、例えば、光学活性な酸などで光学分割させることによって式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンを得ることができる。【0063】前記水素化金属化合物としては、前記(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの還元を行なう際に用いられるものと同様のものが例示される。【0064】また、前記光学活性な酸としては、例えば、J. Org. Chem., 33,3993 (1968) に記載のο−クロロタルトラニル酸などをあげることができる。【0065】前記光学活性な酸の使用量、分割に用いる溶媒の種類とその量などの条件は、前記(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの光学分割に準じた条件を適用することができる。なお、この場合、溶媒として、水または水とアセトン等との混合溶媒を用いることもできる。【0066】かくして得られる式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンから、以下に示すように、本発明の一般式(I)で表わされるピペリジン誘導体が得られる。【0067】まず、一般式(I)において、R1 がベンジルオキシカルボニル基であるピペリジン誘導体の製造方法について説明する。【0068】前記式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンと、一般式(III):【0069】【化25】【0070】(式中、R3 はベンジル基、Yは塩素原子を示す)で表わされる保護化剤を反応させることにより、一般式(IV):【0071】【化26】【0072】(式中、R3 はベンジル基を示す)で表わされるカーバメート化合物を得ることができる。【0073】かかる反応は、例えば、式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンを重曹水などの塩基の存在下で、前記一般式(III) で表わされる保護化剤に作用させることによって行なうことができるが、本発明はかかる方法によって限定されるものではない。【0074】前記一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V):【0075】【化27】【0076】(式中、R4 は炭素数1〜2のアルキル基または4位にメチル基を有していてもよいフェニル基を示す)で表わされるスルホン酸クロリドとを、例えば、トリエチルアミンなどの脱酸剤の存在下で反応させることにより、一般式(VI):【0077】【化28】【0078】(式中、R3 はベンジル基、R4 はメチル基、エチル基、フェニル基または4−メチルフェニル基を示す)で表わされるスルホン酸エステルが得られる。【0079】具体的には、例えば、前記一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物を、前記脱酸剤の存在下で、メタンスルホニルクロリドと反応させることにより、一般式(I)において、R1 がベンジルオキシカルボニル基、R2 がメチルスルホニルオキシメチル基、Zがメチレン基である(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジンを得ることができる。【0080】また、例えば、前記一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物を、前記脱酸剤の存在下で、エタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリドまたはp−トルエンスルホニルクロリドと反応させることにより、一般式(VI)において、R3 がベンジル基、R4 がそれぞれエチル基、フェニル基または4−メチルフェニル基(トルイル基)である、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−エチルスルホニルオキシメチルピペリジン、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−フェニルスルホニルオキシメチルピペリジンまたは(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシメチルピペリジンを得ることができる。【0081】さらに、前記一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステルと、3,4−メチレンジオキシフェノールとを塩基の存在下で反応させることにより、一般式(I)において、R1 がベンジルオキシカルボニル基、R2 が3,4−メチレンジオキシフェニルオキシメチル基、Zがメチレン基である、一般式(VII) :【0082】【化29】【0083】(式中、R3 はベンジル基を示す)で表わされる(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシチル〕ピペリジンを得ることができる。【0084】つぎに、一般式(I)において、R1 がtert−ブトキシカルボニル基であるピペリジン誘導体の製造方法について説明する。【0085】式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンと、窒素原子の保護試薬としてのジtert−ブチルジカーボネートとの反応の際には、通常、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン1モルに対してジtert−ブチルジカーボネート1〜2モルを用いることが好ましい。【0086】前記反応の際には、前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンとジtert−ブチルジカーボネートとに対して不活性な溶媒を用いることができる。【0087】前記溶媒の具体例としては、例えば、トルエンに代表される炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランに代表されるエーテル系溶媒、メチルイソブチルケトンに代表されるケトン系溶媒、酢酸エチルに代表されるエステル系溶媒などがあげられる。これらの溶媒は、通常、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。【0088】溶媒の使用量は、特に限定がないが、通常、溶媒100重量部に対して、前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンとジtert−ブチルジカーボネートとの合計量が20〜100重量部となるように調整することが好ましい。【0089】両者の反応に際しては、必要により、触媒を用いてもよい。かかる触媒としては、例えば、トリエチルアミンに代表される3級アミンなどの有機塩基触媒などをあげることができる。【0090】両者を反応させる際の反応温度は、特に限定がないが、通常、0℃程度から溶媒の沸点までの範囲内であればよい。【0091】また、両者を反応させる際の雰囲気についても特に限定がなく、通常、大気または窒素ガスなどの不活性ガス中で行なうことができる。【0092】両者の反応の結果、一般式(IV)において、R3 がtert−ブチル基であるカーバメート化合物が得られる。【0093】次に得られた一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V) で表わされるスルホン酸クロリドとを反応させる。【0094】一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V) で表わされるスルホン酸クロリドとの反応は、通常、出発原料である前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン1モルに対して、一般式(V)で表わされるスルホン酸クロリド0.95〜1.2モルとなるように調整することが好ましい。【0095】なお、一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V)で表わされるスルホン酸クロリドとを反応させるに際しては、前記式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンとジtert−ブチルジカーボネートとを反応させる際の反応条件、具体的には、溶媒、触媒、反応温度および反応雰囲気と同様であればよい。【0096】なお、本発明においては、式(II)で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンとジtert−ブチルジカーボネートとの反応終了後に、その反応溶液を用い、必要であれば共沸脱水後に、引き続き前記一般式(V)で表わされるスルホン酸クロリドを仕込んで反応を行なうことができる。【0097】かくして一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V)で表わされるスルホン酸クロリドとの反応の結果、一般式(VI)において、R3 がtert−ブチル基であるスルホン酸エステルが得られる。【0098】次に、一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステルと、3,4−メチレンジオキシフェノールとを塩基の存在下で反応させる。【0099】3,4−メチレンジオキシフェノールの使用量は、通常、一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステル1モルに対して、1〜3モル程度となるように調整することが好ましい。【0100】一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステルと、3,4−メチレンジオキシフェノールとを反応させる際に用いられる反応溶媒としては、例えば、炭素数1〜4の低級アルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキサイドなどの極性有機溶媒、トルエンに代表される炭化水素系有機溶媒などがあげられる。これらの溶媒は、通常、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。【0101】前記溶媒の使用量は、特に限定がないが、通常、溶媒100重量部に対して、前記一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステルと、3,4−メチレンジオキシフェノールとの合計量が20〜100重量部となるように調整することが好ましい。【0102】前記塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムアミド、カリウムtert−ブドキシド、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムなどがあげられる。【0103】前記塩基の使用量は、通常、3,4−メチレンジオキシフェノール1モルに対して0.8〜1モルであることが好ましい。【0104】反応温度は、通常、常温から反応溶媒の沸点までの範囲内であればよい。なお、反応系内は、必要により、加圧系であってもよい。【0105】また、両者を反応させる際の雰囲気についても特に限定がなく、通常、大気または窒素ガスなどの不活性ガス中で行なうことができる。【0106】かくして得られた一般式(VII) で表わされるピペリジン誘導体において、R3 がベンジル基である(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンを接触還元させ、保護基であるベンジルオキシカルボニル基を脱保護させる。かかるベンジルオキシカルボニル基の脱保護は、例えば、以下の方法にしたがって行なうことができる。【0107】すなわち、前記(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンを溶媒に溶解させ、触媒の存在下で、水素ガス雰囲気中で攪拌下で反応を行なうことができる。【0108】前記触媒としては、例えばパラジウム炭素などがあげられる。かかる触媒の量は、通常、前記(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン100重量部に対して、1〜10重量部程度であることが好ましい。【0109】前記溶媒としては、例えば、トルエンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノールなどのアルコール系溶媒、それらの混合溶媒などがあげられる。【0110】反応時の温度は、通常、常温から100℃の範囲内にあればよい。【0111】また前記溶液に導入される水素ガスの圧力は、特に限定がないが、通常、常圧〜20kgf/cm2 程度であればよい。また、前記溶液に導入される水素ガス量は、通常、前記(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン1モルに対して1モル以上であることが好ましい。【0112】反応時間は、特に限定がなく、反応が終了するまでであればよい。反応の終了は、例えば、液体クロマトグラフィーなどによりモニターし、前記(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンが消失した時点とすることができる。【0113】かくして、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンが得られる。【0114】このようにして、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンを接触還元させ、ベンジルオキシカルボニル基を脱保護させたのち、塩化水素を作用させることにより、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩が得られるが、かかる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンに無水溶媒中で塩化水素を作用させることにより、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩・無水和物が得られる。かかる塩酸塩・無水和物は、抗うつ剤として有用である。【0115】前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンから、その塩酸塩・無水和物を調製する方法としては、例えば、以下の方法を採用することができる。【0116】すなわち、まず、前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンを無水溶媒に溶解させる。【0117】前記無水溶媒としては、例えば、トルエンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、それらの混合溶媒などがあげられる。【0118】次に、得られた溶液に塩化水素ガスを吹き込む。なお、前記塩化水素ガスとしては、通常、乾燥塩化水素ガスを用いることが、反応系内に水分が混入するのを防ぐ点で、好ましい。なお、本発明においては、あらかじめ塩化水素を含有する無水溶媒を前記溶液に添加してもよい。【0119】また、前記溶液に吹き込まれる塩化水素ガス量は、通常、前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン1モルに対して1モル以上であることが好ましい。【0120】また、反応時の温度は、通常、常温〜用いられる溶媒の沸点までの範囲内にあればよい。【0121】反応時間は、特に限定がなく、反応が終了するまでであればよい。反応の終了は、例えば、吸収された塩化水素の重量が必要量に達した時点とすることができる。【0122】つぎに、一般式(VII) で表わされるピペリジン誘導体において、R3 がtert−ブチル基である、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンにおいて、tert−ブトキシカルボニル基の脱保護は、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンに、イソプロパノール中で塩化水素を作用させることにより、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩が得られる。かかる反応は、tert−ブトキシカルボニル基の脱保護反応である。【0123】前記イソプロパノール中に仕込む(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンの量は、特に限定がないが、通常、前記イソプロパノール100重量部に対して5〜50重量部程度であることが好ましい。【0124】(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンに作用させる塩化水素の量は、通常、前記(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン1モルに対して1〜5モル程度であることが好ましい。【0125】なお、本発明においては、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、他の有機溶媒や有機酸をイソプロパノールに適宜添加してもよい。【0126】前記塩化水素を作用させる方法としては、例えば、塩化水素をイソプロパノールに溶解させ、これに前記(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンを添加し、攪拌する方法、前記(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンをイソプロパノールに溶解させた溶液に塩化水素ガスを導入するか、または塩化水素をイソプロパノールにあらかじめ溶解させておいた溶液を前記(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンのイソプロパノール溶液に添加し、攪拌する方法などがあげられる。【0127】塩化水素を作用させる際の温度は、用いられる塩化水素量によって異なるが、例えば、塩化水素量が前記(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン1モルに対して、1〜2モルの範囲内である場合には、通常、常温からイソプロパノールの沸点までの温度であればよい。【0128】前記塩化水素を作用させた場合には、tert−ブトキシカルボニルの脱保護と同時に、塩酸塩が生成する。【0129】かくして生成する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液には不純物が含有している場合がある。この場合、かかる不純物を除去するために、該イソプロパノール溶液に活性炭処理を施して不純物を除去すればよい。【0130】次に、前記イソプロパノール溶液を徐冷することにより、濾過性のよい(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の結晶が得られる。【0131】かくして得られた(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の結晶には、通常、イソプロパノールが8〜15重量%取り込まれている。【0132】前記(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の結晶を、例えば、減圧下、80〜110℃の温度で乾燥させることにより、DSC(示差熱分析)で最大吸熱ピークが98〜110℃の温度範囲内に現れる結晶から、最大吸熱ピークが118〜132℃の温度範囲内に現れる結晶に変換する。ここで、加熱温度が、80℃以上とされるのは、イソプロパノールの乾燥を速やかに行なうためであり、また110℃以下とされるのは、結晶の融解を避けるためである。【0133】このようにして変換して得られた結晶は、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩無水和物であり、イソプロパノールの含有率が0.1〜5重量%の結晶である。【0134】前記塩酸塩の無水和物は、抗うつ剤として有用な化合物である。【0135】【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。【0136】なお、結晶中にイソプロパノールを含有するパロキセチン塩酸塩無水和物は、特公平6−47587号公報(米国特許第4,721,723号明細書)およびインターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティックス(International Journal of Pharmaceutics) 42, (1988) 135〜143 頁に記載されているものである。【0137】実施例1温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の四つ口フラスコに、メタノール150ml、p−フルオロ桂皮酸メチル33.0g(183ミリモル)、シアノ酢酸メチル36.3g(366ミリモル)および28%ナトリウムメチラートメタノール溶液52.96g(275ミリモル)を仕込み、混合した後、還流温度まで加熱した。反応液を同温度でさらに90分間攪拌した後、ロータリーエバポレーターで減圧下に溶媒を除去して反応液を濃縮した。【0138】濃縮残留物をトルエン150mlと5%塩酸水200mlとの混合液中に注ぎ、攪拌した後、静置し、分液した後水層を除去した。有機層は、飽和重曹水100mlで2回洗浄し、次いで水100mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧下で溶媒を除去して有機層を濃縮した。【0139】濃縮残渣を蒸留すると、沸点が168〜170℃(4mmHg)の2−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチルが得られた。収率は、p−フルオロ桂皮酸メチルに対して82.7%であった。このものの一部をメタノール中で再結晶し、融点80.2℃の結晶を得た。【0140】実施例2温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の四つ口フラスコに、酢酸メチル90mlおよびナトリウムメチラート10.5g(194.4ミリモル)を仕込み、このスラリー液に10〜20℃で酢酸メチル10mlとp−フルオロベンズアルデヒド10.0g(80.6ミリモル)との混合溶液を30分間かけて滴下した。同温度でさらに30分間攪拌した後、この反応液に酢酸メチル20mlとシアノ酢酸メチル11.9g(120ミリモル)との混合溶液を10〜20℃で45分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに57〜58℃で13時間攪拌した。反応終了液をトルエン100mlと5%塩酸水150mlとの混合液中に注ぎ、攪拌した後、静置し、分液した後水層を除去した。有機層は、飽和重曹水100mlで2回洗浄し、次いで水100mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧下に溶媒を除去して有機層を濃縮した。【0141】濃縮残留物を蒸留すると、沸点が168〜170℃(4mmHg)の2−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチルが得られた。収率は、p−フルオロベンズアルデヒドに対して69.3%であった。【0142】実施例3500ml容のオートクレーブに、メタノール200ml、実施例1または2で得られた2−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチル10.0g(35.8ミリモル)およびラネーコバルト1.0mlを仕込み、圧力15〜17kgf/cm2 、反応温度85〜95℃で、水素ガスを添加した。同条件下で1時間攪拌した後、20〜30℃まで冷却した。圧力を常圧まで戻し、反応液を濾過して触媒を除去し、濾液をロータリーエバポレーターで減圧下でメタノールを除去してメタノール液を濃縮すると、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンの粗結晶8.97gが得られた。【0143】この粗結晶にトルエン50mlを加え、十分に攪拌した後、結晶を濾別し、風乾すると、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン6.55gが白色結晶として得られた。収率は、2−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)グルタル酸ジメチルに対して72.8%であった。【0144】実施例4温度計および還流器を取り付けた200ml容の四つ口フラスコに、メタノール50ml、実施例3で得られた(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン10.0g(39.8ミリモル)および水酸化ナトリウム1.75g(43.8ミリモル)を仕込み、混合した後、加熱した。内温が還流温度に達した後、さらに同温度で4時間攪拌した。反応液を0〜10℃まで冷却し、これに2%の塩酸水90mlを加えると、白色の結晶が析出した。【0145】結晶を濾取し、十分に水洗した後、減圧下60℃で乾燥すると(±)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン8.26gが白色結晶として得られた。収率は、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンに対して87.5%であった。【0146】なお、実施例4で得られた白色結晶の物性は、以下のとおりである。【0147】(1) 融点:246℃(2) IR(KBr)ν(cm-1):2400〜3700、1710、1638、1508、1208(3)1H−NMR((CD3 )2 SO)δ(ppm):2.32−2.58(m、1H)、2.60−2.68(m、1H)、3.05−3.18(m、1H)、3.30−3.58(m、3H)、7.19−7.52(m、4H)、12.52(br s、1H)【0148】実施例5実施例3で得られた(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンの粗結晶に含まれる異性体を分離する目的で、粗結晶約5gをメタノール約30mlに添加し、還流温度まで昇温した。少量溶けて残った結晶を種晶としてゆっくり冷却すると、立方体に近い形状を有する結晶が析出した。そのまま結晶化を続けると次に針状形の結晶が析出するので、その結晶が析出する前に立方体の結晶と溶液とを分離した。得られた結晶を再度メタノールから再結晶し、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンを得た。【0149】なお、上記で得られた結晶の物性は、以下のとおりである。【0150】(1) 融点:195.0〜196.5℃(2) IR(nujol mull) ν(cm-1) :3184、3036、1736、1662、1600、1510、1248(3)1H−NMR(CDCl3 )δ(ppm):2.72−3.91(m、2H)、3.08−3.40(m、1H)、3.35−3.57(m、2H)、3.65(s、3H)、3.67−3.82(m、1H)、6.51(br s、1H)、6.95−7.25(m、4H)【0151】上記の溶液部分から(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンの針状晶を晶析させ、メタノールから再結晶化させた。【0152】なお、上記で得られた結晶の物性は、以下のとおりである。【0153】(1) 融点:152.2〜152.3℃(融点測定管中で150℃近くから結晶の縮小が見られた。)(2) IR(nujol mull) ν(cm-1) :3172、3036、1728、1672、1604、1512、1220(3)1H−NMR(CDCl3 )δ(ppm):2.55(dd、1H、J=17.8、10.6)、2.69(dd、1H、J=17.8、5.9)、2.95(dt、1H、J=5.3、9.9)、3.41(dt、1H、J=5.9、J=10.3)、3.45−3.71(m、2H)、3.50(s、3H)、6.85(br s、1H)、6.99−7.25(m、4H)【0154】同様にして得られた(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−エトキシカルボニルピペリジン−2−オンの精製結晶の物性は、以下のとおりであった。【0155】(1) 融点:143.8℃(2) IR(KBR) ν(cm-1) :3180、3044、1720、1662、1606、1228、1206(3)1H−NMR(CDCl3 )δ(ppm):0.99(t、3H、J=7.3)、2.55(dd、2H、J=17.8、10.6)、2.69(dd、2H、J=17.8、5.9)、2.95(dt、1H、J=5.3、9.9)、3.36(dt、1H、J=5.9、10.6)、3.48−3.68(m、1H)、3.63(dd、1H、J=9.9、10.6)、3.87−4.02(m、1H)、6.31(br s、1H)、6.95−7.22(m、4H)【0156】実施例6実施例5で得られた(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン50mgをメタノール4gに加え、10%水酸化ナトリウム水溶液100mgを加えて3時間加熱還流した。冷却後、メタノールを減圧下に濃縮し、水を加えて酢酸エチルで中性部を抽出除去した。水層に塩酸水を加えて酸性とし、酢酸エチルで抽出し、濃縮して結晶約40mgを得た。この結晶を少量の酢酸エチルで洗浄して得たもののIRは、(±)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンのそれ(実施例4に記載)と一致した。【0157】一方、上記において水酸化ナトリウムに代えて触媒量の60%水素化ナトリウム(鉱油の分散体)を加え、系内でナトリウムメチラートのメタノール溶液として、(±)−シス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン50mgを3時間加熱還流した。冷却後、減圧下に濃縮し、水を加えて酢酸エチルで中性部を抽出し、濃縮して結晶約40mgを得た。この結晶を少量のメタノールから再結晶して得たもののIRは、実施例3で得られた(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンのそれと一致した。【0158】さらに、(±)−シス,トランスのメチルエステルから、(±)−トランスのメチルエステルへの変換は、以下のようにして行なった。【0159】すなわち、トルエン300ml中に、(±)−シス,トランス−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン30gおよび28%ナトリウムメチラートのメタノール溶液2.34gを添加し、昇温した。温度が68℃の時点で、前記(±)−シス,トランス−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンが溶解したが、さらに20分間攪拌したのち、徐冷することにより、7℃で(±)−トランス−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンのメチルエステル25.23g(収率84.1%)を得た。【0160】得られた(±)−トランスのメチルエステルの高速クロマトグラフィによる分析では、トランス体のメチルエステルが98.75%生成し、シス体が殆ど生成しておらず、残部はトランス体のカルボン酸1.25%であった。【0161】参考例式:【0162】【化30】【0163】で表わされるピペリジン誘導体の立体構造(幾何異性体)を以下のようにして調べた。【0164】特開平7−138228号公報に記載の方法にしたがって調製した(±)−トランス−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン(既知化合物A)0.9gを、50ml容のナス型フラスコ中のトルエン約10mlおよびピリジン1gに溶かし、−20℃に冷却してクロロギ酸エチル0.52gをトルエン約5mlに溶かした溶液を滴下した。徐々に室温に戻し、室温に約2時間放置後、水約10mlを加え、水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性として分液し、トルエン層をエバポレーターで濃縮し、残留物(誘導体B)を油状物として得た。さらに、この誘導体Bに再度トルエン約5mlを加え、室温でクロロギ酸エチル1gを加え、そのまま一夜放置後、希塩酸水を加えて中性部としてトルエン液を得、エバポレーター濃縮して(±)−トランス−3−エトキシカルボニルオキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−N−エトキシカルボニルピペリジン(誘導体C)を油状物として得た。【0165】一方、(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンの結晶0.2gを、100ml容の四つ口フラスコ中のリチウムアルミニウムハイドライド0.5gを含む乾燥ダイグライム20ml中に室温で加え、加熱して100℃に1時間反応した。冷却後、28%水酸化ナトリウム水溶液10mlを滴下し、粘性の高い下層と上層の有機層をデカントで分離し、さらに下層にテトラヒドロフラン(THF)を加えて有機物を抽出し、合わせて溶媒を濃縮し、残留物0.2gを得た。このものは結晶化した。同様にして大量に調製した還元成績体(誘導体D)を酢酸エチルから再結晶したものの融点は、103.2〜104.0℃であった。【0166】この還元成績体(誘導体D)をピリジン10mlに溶かして−10℃に冷却し、この中にクロロギ酸エチル0.5gをトルエン約5ml中に溶解した希釈液を滴下した。室温に戻して1時間放置後、水を加え、トルエン抽出・濃縮して残留物(誘導体E)0.2gを油状物として得た。このものは、1 H−NMR、液体クロマトグラフィなどで、前記特開平7−138228号公報に記載の方法にしたがって得られた(±)−トランス−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジンから誘導した(±)−トランス−3−エトキシカルボニルオキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−N−エトキシカルボニルピペリジン(誘導体C)と一致するものであった。【0167】さらに、結晶性の化合物に誘導するために、前記残留物(誘導体E)の一部を前記と同様にして過剰のリチウムアルミニウムハイドライドで還元させた。得られた還元成績体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、メタノールを含む酢酸エチル液で溶出されて得られた還元成績体(誘導体F)は結晶化し、特開平7−138228号公報に記載の方法にしたがって得られた(±)−トランス−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジン(既知化合物A)の結晶と同様に以下の物性を有していた。【0168】(1) 融点:122.5〜122.9℃(2) IR(nujol mull) ν(cm-1) :3144、1600、1466、1450、1066【0169】以上の結果から、一般式(I)で表わされるピペリジン誘導体のトランス体と命名した化合物の立体構造は、トランス体であることが既に確立されている既知化合物の(±)−トランス−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピペリジンの立体構造と同一であることが明らかとなった。【0170】実施例7温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた3000ml容の四つ口フラスコに、イソプロパノール1560ml、エタノール473mlおよび(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン35.58g(150ミリモル)を仕込み、混合した後、70〜75℃に加熱した。【0171】これに、同温度範囲で、R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミン34.48g(151.7ミリモル)を含むエタノール溶液72.14gを滴下した。滴下終了後、混合液を攪拌しながら80〜81℃で1時間保持したのち、25℃にまで冷却し、さらに20〜25℃で2時間攪拌した。【0172】次に、析出した結晶を同温度で濾取し、イソプロパノール60mlとエタノール18mlとの混合アルコ−ルを用いて洗浄した後、減圧下で乾燥させたところ、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミン塩の結晶32.76gが得られた。この結晶の一部5mgを採り、これに3%塩酸5mlを加え、酸分解させることにより、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの結晶が得られた。【0173】次に、得られた結晶を光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによって分析したところ、(4S,5R)体が15.5%および(4R,5S)体が84.5%含まれていた。また、光学純度は69.0%であった。【0174】次に、得られた結晶32.76gをメタノール350mlに加え、65℃にまで加温した。これに、同温度で水10mlを加えて攪拌すると、結晶は溶解した。さらに57〜58℃で1時間攪拌した後、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミン5mgの種晶を添加し、57〜58℃で1時間攪拌し、次いで50℃にまで冷却し、47〜50℃の温度で酢酸エチル200mlをこれに加え、同温度で1時間30分間攪拌した。【0175】次に、25℃にまで冷却し、さらに20〜25℃で2時間攪拌した後、析出した結晶を同温度で濾取し、結晶をメタノール40mlと酢酸エチル20mlとの混合溶媒で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミンの結晶17.21gが得られた。この結晶17.21gに3%塩酸100mlを加え、20〜40℃で攪拌してこの結晶の酸分解を行なったのち、結晶を濾取し、水洗後に減圧下で乾燥させると、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン8.97gが得られた。【0176】この結晶を光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析すると、(4S,5R)体が0.4%、(4R,5S)体が99.6%含まれていた。また、光学純度は99.2%であった。以下に、かかる結晶の物性を示す。【0177】(1) 融点:236〜238℃(2) IR(nujol mull) ν(cm-1):3276、3200、1704、1640、1512、1404、1298、1270、1208、1194、1042、982、826、780【0178】実施例8温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた1000ml容の四つ口フラスコに、イソプロパノール1670ml、(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン30.0g(126.5ミリモル)および水35mlを仕込み、混合した後、77〜82℃にまで加熱した。【0179】これに、同温度範囲内で、R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミン29.16g(128.3ミリモル)のイソプロパノール90ml溶液を滴下した。【0180】次に、この混合溶液に75℃で(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミン5mgの種晶を添加し、70〜75℃で1時間保温攪拌し、次いで25℃にまで冷却し、さらに20〜25℃で2時間攪拌した。次に析出した結晶を同温度で濾取し、結晶をイソプロパノール30mlで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミンの結晶27.74gが得られた。【0181】この結晶の一部5gを採り、これに3%塩酸5mlを加え、20〜40℃で攪拌して酸分解し、結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥すると、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オンの結晶が得られた。【0182】次に、得られた結晶を光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析すると、(4S,5R)体が8.3%および(4R,5S)体が91.7%含まれていた。また、光学純度は83.4%であった。【0183】次に、得られた結晶26.82gをイソプロパノール350mlに加え、77℃にまで加温した。これに、同温度で水55mlを加えて攪拌すると、結晶は溶解した。さらに77〜82℃で1時間攪拌した後、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミン3mgの種晶を添加し、55℃にまで冷却し、55〜60℃で1時間攪拌し、次いで25℃にまで冷却して20〜25℃で2時間攪拌した。【0184】次に、析出した結晶を同温度で濾取し、85%イソプロパノール水20mlで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン・R−(+)−N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)フェニルエチルアミンの結晶16.60gが得られた。この結晶16.60gに3%塩酸100mlを加え、20〜40℃で攪拌してこの結晶の酸分解を行なった後、結晶を濾取し、水洗後に減圧下で乾燥すると、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン8.28gが得られた。【0185】この結晶を光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析すると、(4S,5R)体が0.4%、(4R,5S)体が99.6%含まれていた。また、光学純度は、99.2%であった。【0186】実施例9温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の四つ口フラスコ内に、脱水テトラヒドロフラン100ml、水素化リチウムアルミニウム7.89g(208.02ミリモル)を仕込み、5〜10℃に冷却した。【0187】このスラリー液に、(4R,5S)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン16.34g(69.34ミリモル)のテトラヒドロフラン100mlのスラリー液を10〜20℃で注意深く滴下し、滴下終了後、同温度で約1時間攪拌した。【0188】つぎに、得られた反応混合物を還流するまで徐々に加温し、さらに約2時間還流温度で攪拌したのち、反応液を0〜5℃にまで冷却し、これに20重量%水酸化ナトリウム水溶液を注意深く滴下した。【0189】そののち、粘性の高い下層と上層の有機層をデカントで分離し、さらに下層にテトラヒドロフランを加えて有機層を抽出し、デカントで分離した有機層と抽出した有機層とを合わせ、かかる有機層を濃縮し、残留物15.26gを白色の結晶として得た。【0190】得られた結晶の物性として融点、IRおよび 1H−NMRを調べた。その結果を以下に示す。【0191】(1) 融点:81〜83℃(2) IR(nujol mull)ν(cm-1):3408、3284、3176、1512、1222、1026(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.15(dd,2H)、6.97(dd,2H)、3.35(dd,2H)、3.15(dd,2H)、2.36〜2.71(m,6H)、1.55〜1.86(m,3H)【0192】以上の結果から、得られた結晶は、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンであることがわかった。【0193】実施例10〔(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン一水和物〕温度計と冷却管を取り付けた200ml容の四つ口フラスコに、トルエン63ml、(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン10.54g(50.37ミリモル)を仕込み、温めながら溶解させた。その溶液に水1.13g(62.71ミリモル)を50℃で流入すると晶析した。反応液を20〜30℃で1時間熟成し、結晶を濾取し、トルエン20mlでよく洗浄すると、(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン一水和物が白色結晶として得られた。この結晶を減圧下30℃以下で溶媒を除去すると、10.24g得られた。収率は、粗製の(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対して89.45%であった。【0194】実施例11(4RS,5SR)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オンを実施例9と同様にして水素化アルミニウムリチウムで還元させることによって得られた(3SR,4RS)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン9.0g(43ミリモル)、(2R,3R)−ο−クロロタルトラニル酸10.28g(39.6ミリモル)および水225mlの混合物を昇温し、78℃で溶解させたのち、徐冷し、64℃で別途調製した種晶を接種し、さらに徐冷し、22℃で結晶を濾過した。得られた結晶を20mlの水で3回洗浄したのち、乾燥し、結晶8.62gを得た。【0195】得られた結晶をさらに精製するために、再結晶させた。具体的には、前記で得られた結晶8.62gを水100mlに添加し、78℃に昇温させ、溶解させたのち、徐冷したところ、約76℃で結晶が析出した。さらに、20℃まで冷却したのち、濾過し、水10mlで3回洗浄し、乾燥させて結晶7.25gを得た。【0196】得られた結晶の物性として融点およびIRを調べた。その結果を以下に示す。【0197】(1) 融点:119〜120℃(2) IR(nujol mull)ν(cm-1):3336、1608、1524、1512、1486、1440【0198】つぎに、前記で得られた結晶7.25gを2%水酸化ナトリウム水溶液で分解させ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して結晶3.48gを得た。【0199】酢酸エチルとトルエンとを等容量で混合した溶媒に溶かし、これに水を少量添加し、一水和物の結晶2.72gを得た。【0200】つぎに、高速液体クロマトグラフィによって得られた結晶を分析したところ、光学純度100%であり、また加熱したところ、79.5℃から溶け始め、83〜85℃で融解した。【0201】得られた結晶の物性として、旋光度、IRおよび 1H−NMRを調べた。その結果を以下に示す。【0202】(1) 旋光度〔α〕30D :−35.7(C=1%メタノール)(2) IR(nujol mull)ν(cm-1):3408、3284、1510、1222、1026(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.17(dd,1H)、7.16(dd,1H)、6.99(dd,1H)、6.99(t,1H)、3.39(dd,1H)、3.35(dd,1H)、3.23(dd,1H)、3.15(d br,1H)、2.70(dt,1H)、2.57(t,1H)、2.45(dt,1H)、1.60〜1.90(m,3H)、1.70(s,4H)【0203】実施例12温度計、還流器おぽび滴下ロートを取り付けた200ml容の四つ口フラスコ内に、無水テトラヒドロフラン50ml、水素化アルミニウムリチウム1.51g(39.8ミリモル)を仕込み、5〜10℃に冷却した。【0204】このスラリー液に、(4RS,5SR)−トランス−5−カルボキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン5.0g(19.9ミリモル)のテトラヒドロフラン50mlのスラリー液を10〜20℃で注意深く滴下し、滴下終了後、同温度で約1時間攪拌した。【0205】つぎに、得られた反応混合物を還流するまで徐々に加温し、さらに約2時間還流温度で攪拌したのち、反応液を0〜5℃にまで冷却し、これに20重量%水酸化ナトリウム水溶液を注意深く滴下した。【0206】そののち、粘性の高い下層と上層の有機層をデカントで分離し、さらに下層にテトラヒドロフランを加えて有機物を抽出し、デカントで分離した有機層と抽出した有機層とを合わせ、かかる有機層を濃縮し、残留物4.75gを白色の結晶として得た。【0207】得られた結晶の物性として融点、IRおよび 1H−NMRを調べた。その結果を以下に示す。【0208】(1) 融点:123〜124℃(2) IR(nujol mull)ν(cm-1):3276、3244、3108、1602、1506、1216、1046、834(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.15(dd,2H)、6.97(dd,2H)、3.35(dd,2H)、3.15(dd,2H)、2.36〜2.71(m,6H)、1.55〜1.86(m,2H)【0209】以上の結果から、得られた結晶は、(3SR,4RS)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンであることがわかった。【0210】実施例13温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の四つ口フラスコ内に、トルエン100ml、5重量%重曹水116mlおよび(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン15.26gを仕込み、これにクロロ蟻酸ベンジル11.83g(69.34ミリモル)と5重量%重曹水116mlとを10〜30℃で約30分間かけて注液した。【0211】2相の反応液を同温度で約1時間攪拌した後、35%塩酸を加えて酸性にし、静置し、分液した。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を濃縮したところ、微黄色透明の油状物22.94gが得られた。【0212】得られた油状物の物性を以下に示す。【0213】(1) IR(neat)ν(cm-1):3448、3032、1686、1606、1512、1472、1442、1222、1126、1014(2)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.30〜7.49(m,5H)、7.12(dd,2H)、6.98(dd,2H)、5.15(s,2H)、4.52(dd,1H)、4.28(s br,1H)、3.41(dd,1H)、3.23(dd,1H)、2.49〜2.81(m,3H)、1.63〜1.80(m,4H)【0214】実施例14温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた200ml容の四つ口フラスコ内に、トルエン50ml、5重量%重曹水24mlおよび(3SR,4RS)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン3.0gを仕込み、これにクロロ蟻酸ベンジル2.94g(17.21ミリモル)と5重量%重曹水29mlとを10〜30℃で約30分間かけて注液した。【0215】2相の反応液を同温度で約1時間攪拌した後、35%塩酸を加えて酸性にし、静置し、分液した。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を濃縮したところ、微黄白色の結晶4.92gが得られた。【0216】得られた結晶の物性を以下に示す。【0217】(1) 融点:90〜94℃(2) IR(neat)ν(cm-1):3452、3032、2920、2864、1690、1604、1512、1472、1278、1226、1126、1064、834(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.30〜7.49(m,5H)、7.12(dd,2H)、6.98(dd,2H)、5.15(s,2H)、4.52(dd,1H)、4.28(s br,1H)、3.41(dd,1H)、3.23(dd,1H)、2.49〜2.81(m,3H)、1.63〜1.80(m,4H)【0218】以上の結果から、得られた結晶は、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンであることが確認された。【0219】実施例15温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた300ml容の四つ口フラスコ内に、トルエン100ml、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン22.94gおよびトリエチルアミン14.03g(138.68ミリモル)を仕込み、これに10〜30℃でメタンスルホニルクロリド9.53g(83.21ミリモル)を約30分間かけて滴下した。【0220】つぎに、得られた反応混合物を同温度でさらに2時間攪拌した後、水を加えて静置し、分液した。有機層を取り水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮したところ、微黄色透明の油状物26.29gが得られた。【0221】得られた油状物を結晶化させたのち、その物性を調べた。その結果を以下に示す。【0222】(1) 融点:90〜94℃(2) IR(neat)ν(cm-1):1696、1512、1472、1436、1358、1224、1176、1130(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.32〜7.41(m,5H)、7.13(dd,2H)、7.02(dd,2H)、5.17(s,2H)、4.32〜4.59(m,2H)、3.97(dd,1H)、3.81(dd,1H)、2.87(s,3H)、2.76〜2.91(m,2H)、2.59(m,1H)、2.06(m,1H)、1.66〜1.84(m,2H)【0223】以上の結果から、得られた油状物は、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジンであることが確認された。【0224】実施例16温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた200ml容の四つ口フラスコ内に、トルエン50ml、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン4.92gおよびピリジン1.75(21.51ミリモル)を仕込み、これに10〜30℃でメタンスルホニルクロリド1.84g(16.06ミリモル)を約30分間かけて滴下した。【0225】次に、得られた反応混合物を同温度でさらに2時間攪拌した後、水を加えて静置し、分液した。有機層を取り水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮したところ、微黄色透明の油状物6.57gが得られた。【0226】得られた油状物の物性を以下に示す。【0227】(1) IR(neat)ν(cm-1):3028、2936、1694、1512、1470、1436、1358、1278、1228、1176、1130、960、834(2)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.32〜7.41(m,5H)、7.13(dd,2H)、7.02(dd,2H)、5.17(s,2H)、4.32〜4.59(m,2H)、3.97(dd,1H)、3.81(dd,1H)、2.87(s,3H)、2.76〜2.91(m,2H)、2.59(m,1H)、2.06(m,1H)、1.66〜1.84(m,2H)【0228】以上の結果から、得られた油状物は、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジンであることが確認された。【0229】実施例17温度計および還流器を取り付けた300ml容の四つ口フラスコ内に、メタノール200ml、3,4−メチレンジオキシフェノール25.85g、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン26.29gおよび28重量%ナトリウムメチラート34.90gを仕込み、混合した後、還流温度に加熱した。【0230】得られた反応液を約16時間還流させた後、メタノールを留去し、残留物をトルエン200mlおよび氷水200mlの混合液に流入させのち、トルエン層を分離し、水層をトルエンで抽出した。【0231】次に、初めに分離したトルエン層と再抽出したトルエン層とを合わせたトルエン溶液を5重量%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を濃縮したところ、褐色の油状物25.57gが得られた。【0232】得られた油状物の物性を以下に示す。【0233】(1) IR(neat)ν(cm-1):1704、1690、1510、1502、1486、1470、1276、1222、1184、1130、1038(2)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.34〜7.39(m,5H)、7.11(dd,2H)、6.97(dd,2H)、6.61(d,1H)、6.34(d,1H)、6.12(dd,1H)、5.87(s,2H)、5.17(s,2H)、4.02〜4.53(m,2H)、3.59(dd,1H)、3.44(dd,1H)、2.71〜3.15(m,3H)、1.74〜2.02(m,3H)【0234】以上の結果から、得られた油状物は、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンであることがわかった。【0235】実施例18温度計および還流器を取り付けた200ml容の四つ口フラスコ内に、メタノール100ml、3,4−メチレンジオキシフェノール4.30g、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン6.57gおよび28重量%ナトリウムメチラート6.42gを仕込み、混合した後、還流温度に加熱した。【0236】得られた反応液を約16時間還流させた後、メタノールを留去し、残留物をトルエン100mlおよび氷水100mlの混合液に流入させのち、トルエン層を分離し、水層をトルエンで抽出した。【0237】次に、初めに分離したトルエン層と再抽出したトルエン層とを合わせたトルエン溶液を5重量%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を濃縮したところ、褐色の結晶7.23gが得られた。【0238】得られた結晶の物性を以下に示す。【0239】(1) 融点:127〜128℃(2) IR(nujol mull)ν(cm-1):1688、1504、1278、1224、1192、1122、1040、830(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.34〜7.39(m,5H)、7.11(dd,2H)、6.97(dd,2H)、6.61(d,1H)、6.34(d,1H)、6.12(dd,1H)、5.87(s,2H)、5.17(s,2H)、4.02〜4.53(m,2H)、3.59(dd,1H)、3.44(dd,1H)、2.71〜3.15(m,3H)、1.74〜2.02(m,3H)【0240】以上の結果から、得られた結晶は、(3SR,4RS)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンであることがわかった。【0241】実施例19500ml容のオートクレーブにメタノール200ml、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン25.57g(55.2ミリモル)およびパラジウム炭素2.80gを仕込み、圧力3〜5kgf/cm2 、反応温度40〜50℃で、水素ガスを添加した。同条件で2時間攪拌した後、20〜30℃にまで冷却した。そののち、圧力を常圧にまで戻し、反応液を濾過して触媒を除去し、濾液を濃縮させることにより、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン17.94gが褐色の油状物として得られた。【0242】得られた油状物の収率は、(3S,4R)−トランス−1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンに対して98.7%であった。【0243】実施例20温度計およびガス吹き込み管を取り付けた300ml容の4つ口フラスコに窒素雰囲気下で(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン17.94gおよび無水イソプロパノール200mlを仕込み、0〜5℃に冷却した。その後、同温度範囲内で乾燥塩化水素ガスをガス吹き込み管から45分間かけて溶液中に吹き込むと、結晶が析出した。【0244】生じた結晶を濾取し、無水イソプロパノール20mlで洗浄後、減圧下で十分に乾燥させたところ、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩・無水物12.73gが白色結晶として得られた。得られた白色結晶の収率は、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンに対して63.9%であった。【0245】得られた結晶の物性は、以下の通りであり、文献値と一致したことから、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシ)フェノキシメチル〕ピペリジン塩酸塩無水和物であることが確認された。【0246】(1) 融点:116.4〜118.4℃(2) IR(nujol mull)ν(cm-1):3628、3420、1514、1494、1220、1194、1034、886、840(3)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):9.86(s br,2H)、7.21(dd,2H)、6.99(dd,2H)、6.62(d,1H)、6.32(d,1H)、6.11(dd,1H)、5.88(s,2H)、3.71(m,2H)、3.60(dd,1H)、3.48(dd,1H)、2.86〜3.21(m,3H)、2.66〜2.96(m,1H)、2.39(ddd,1H)、2.03(d,br,1H)【0247】実施例21〔(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの調製〕温度計を取り付けた500ml容の四つ口フラスコに、トルエン127.2mlおよび(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン一水和物25.43g(111.89ミリモル)を仕込み、20〜30℃で均一に攪拌した。その後、攪拌しながら、ジ−tert−ブチルジカルボネート24.42g(111.89ミリモル)を、同温度で滴下した。反応液を同温度で30分間攪拌した後、ロータリーエバポレーターで減圧下、溶媒を除去すると、濃縮残留物に(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒロドキシメチルピリジンが粗製油状物として得られた。収率は、(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対して102.61%であった。【0248】実施例22〔(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンの調製〕温度計を取り付けた500ml容の四つ口フラスコに、トルエン113.9ml、(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンο−クロロ−L−タルトラニル酸塩一水和物48.69g(100ミリモル)、水91.9mlおよびジ−tert−ブチルジカルボネート22.92g(105ミリモル)を仕込み、20〜30℃で攪拌した。その後、攪拌しながら、25%水酸化ナトリウム水溶液17.6g(110ミリモル)を20〜50℃で滴下した。反応液を45〜55℃に昇温し、同温度で30分間攪拌した後、水層を除去した。さらに有機層に水34.1mlを加えて洗浄した後、水層を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧下で溶媒を除去すると、濃縮残留物に(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン32.14gが粗製油状物として得られた。収率は、(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンο−クロロ−L−タルトラニル酸塩一水和物に対して103.89%であった。【0249】実施例23〔(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジンの調製〕温度計を取り付けた500ml容の四つ口フラスコに、トルエン153.5mlおよび(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン23.61g(76.31ミリモル)を仕込み、トリエチルアミン8.49g(83.90ミリモル)を流入した後、10〜30℃で攪拌した。均一に攪拌しながら、メチルスルホニルクロリド8.74g(76.30ミリモル)を10〜20℃で滴下した。反応液を20〜30℃で4時間攪拌した後、水85.7ml加え、水層を除去した。さらに有機層に水85.7mlおよび食塩4.3gを加えて洗浄した後、水層を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧下、溶媒を除去すると、濃縮残留物に(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジンが粗製油状物として得られた。収率は、(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンに対して98.62%であった。【0250】実施例24〔(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンの調製〕温度計および冷却管を取り付けた500ml容の四つ口フラスコに、窒素気流下で(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジン19.44g(50.17ミリモル)、トルエン117ml、セサモール8.32g(60.24ミリモル)および28%ナトリウムメチラートメタノール溶液10.65g(55.20ミリモル)を仕込み、充分に混合した後、還流温度まで加熱した。同温度で6〜18時間攪拌した後、水117ml、食塩5.85g、99%フレーク水酸化ナトリウム2.0gを加え、アルカリ水溶液で充分に洗浄し、水層を除去した。さらに有機層に水58.5ml、食塩5.85g加え、洗浄した後、水層を除去した。有機層を減圧下、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去すると、濃縮残留物に(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンが粗製油状物として得られた。【0251】収率は、(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチルスルホニルオキシメチルピペリジンに対して98.06%であった。【0252】得られた化合物の物性を以下に示す。【0253】(1) IR(paste)ν(cm-1):1682、1510、1488、1216、1184(2)1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.12(m,2H)、6.97(m,2H)、6.62(d,1H)、6.34(d,1H)、6.13(dd,1H)、5.87(s,2H)、3.60(dd,1H)、3.44(dd,1H)、2.63〜2.88(m,3H)、2.01(m,1H)、1.72(m,1H)、1.50(s,9H)【0254】実施例25〔(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の調製〕温度計および冷却管を取り付けた100ml容の四つ口フラスコに、窒素気流下でイソプロパノール75.7ml、(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン9.15g(21.30ミリモル)を仕込み溶解させた。反応液に20%塩酸イソプロパノール溶液9.70g(塩酸として53.21ミリモル)を20〜30℃で滴下し、同温度で1時間攪拌した後、還流温度まで加熱した。還流下で2時間攪拌させた後、冷却し、40〜50℃で(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール含有結晶を少量加えると、結晶が析出した。充分晶析させた後、反応液を0〜5℃まで冷却し、同温度で1時間熟成させ、結晶を濾取し、イソプロパノールで充分に洗浄すると、(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩が白色結晶として得られた。この結晶を、減圧下90℃で乾燥すると6.17g得られた。【0255】収率は、(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンに対して79.17%であった。【0256】なお、この結晶は、イソプロパノールを2.51重量%含むものであった。【0257】実験例(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン223.2g(0.6777mol)と、イソプロパノール2150mlを4つ口フラスコ内に仕込み、20%HCl−イソプロパノール溶液135.9g(0.7454mol)を50〜60℃で10分間かけて滴下させた。【0258】つぎに、これに、活性炭11.21gを添加し、60〜70℃で15分間吸着させたのち、濾過し、70〜80℃の温イソプロパノール225mlで洗浄したところ、大部分の着色を除去することができた。【0259】濾過した洗浄液を45〜50℃まで冷却したあとに種晶を接種し、0〜5℃で1時間熟成後、濾過し、約0〜5℃の冷イソプロパノール640mlで洗浄した。これを減圧下で70℃で乾燥させ、イソプロパノール10.6%を含有した塩酸パロキセチン(白色)209.4g(0.5117mol)を得た。【0260】さらに、このうちの180.3g(0.4406mol)を減圧下で乾燥させ、イソプロパノール2.2%を含有した塩酸パロキセチン(白色)157.7g(0.4216mol)を得た。【0261】また、残りのイソプロパノール10.6%を含有した塩酸パロキセチンを用いて、乾燥温度と残留イソプロパノールとの関係を調べた。その結果を表1に示す。【0262】【表1】【0263】表1に示された結果から、乾燥温度80〜110℃および乾燥時間168時間以内の組合せにより、イソプロパノール量を0.1〜5%の範囲内で管理することができることがわかる。【0264】【発明の効果】本発明によれば、パロキセチンの製造中間体として有用な化合物を簡便かつ有利に製造することができる。【0265】また、本発明によれば、前記化合物から、簡便にパロキセチン塩酸塩および無水和物を収得することができる。 イソプロパノール100重量部中で、(3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン5〜50重量部に塩化水素を作用させて、(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液を得る工程及び該イソプロパノール溶液から、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を晶出させる工程を含む、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の製造方法。 (3S,4R)−トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジンが、A) 式(II):で表わされる(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジンとジtert−ブチルジカーボネートとを反応させることにより、一般式(IV):(式中、R3 はtert−ブチル基を示す)で表わされるカーバメート化合物を得る工程、B) 前記一般式(IV)で表わされるカーバメート化合物と、一般式(V):(式中、R4 はメチル基を示す)で表わされるスルホン酸クロリドとを反応させることにより、一般式(VI):(式中、R3 およびR4 は前記と同じ)で表わされるスルホン酸エステルを得る工程、ならびにC) 前記一般式(VI)で表わされるスルホン酸エステルと、3,4−メチレンジオキシフェノールとを反応させる工程を含む方法により得られたものである請求項1記載の製造方法。 (3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液に活性炭処理を施し、不純物を除去した後、得られた(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液から、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を晶出させる、請求項1または2記載の製造方法。 (3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩のイソプロパノール溶液に、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩の種晶を40〜50℃の温度で添加し、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を晶出させる、請求項1〜3いずれか記載の製造方法。 さらに、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を、減圧下で80〜110℃の温度で乾燥させて、イソプロパノールの含有率が0.1〜5重量%である(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩無水和物を得る工程を有する請求項1〜4いずれか記載の製造方法。 さらに、イソプロパノールを含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を、減圧下で70℃の温度で乾燥させた後、得られたイソプロパノールを8〜15重量%含有する(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩を減圧下で80〜110℃の温度で乾燥させて、イソプロパノールの含有率が0.1〜5重量%である(3S,4R)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−〔(3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル〕ピペリジン塩酸塩無水和物を得る工程を有する請求項1〜4いずれか記載の製造方法。