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タイトル:特許公報(B2)_GaAs−AlGaAs超格子構造層を含む化合物半導体エピタキシャルウェハの評価方法
出願番号:1997136415
年次:2005
IPC分類:7,H01L21/66,G01N21/47,G01N21/64


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角田 浩二 ▲高▼草木 操 JP 3653622 特許公報(B2) 20050311 1997136415 19970527 GaAs−AlGaAs超格子構造層を含む化合物半導体エピタキシャルウェハの評価方法 株式会社日鉱マテリアルズ 591007860 荒船 博司 100090033 角田 浩二 ▲高▼草木 操 20050602 7 H01L21/66 G01N21/47 G01N21/64 JP H01L21/66 N G01N21/47 Z G01N21/64 Z 7 H01L 21/66 G01N 21/47 G01N 21/64 特開平9−167789(JP,A) 特開平2−239642(JP,A) 特開平7−332937(JP,A) 特開平7−249599(JP,A) 2 1998335400 19981218 7 20030820 橋本 憲一郎 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、GaAs−AlGaAs超格子構造層を含む化合物半導体エピタキシャルウェハの評価方法に関し、特にウェハ表面にレーザー光線を照射し、その照射されたレーザー光線がウェハ表面で反射される際の散乱光の量を測定することによって、エピタキシャル成長層の結晶性の評価を行う方法に関する。【0002】【従来の技術】レーザーダイオードや発光ダイオード等の半導体発光素子、及びFETやHEMT等の電子デバイスの作製にあたっては、一般に、GaAs基板上に超格子構造をしたバッファー層が形成され、さらにその上に化合物半導体結晶層がエピタキシャル成長されてなる化合物半導体エピタキシャルウェハ、あるいはInPやGaInP等の半導体基板上に化合物半導体結晶層がエピタキシャル成長されてなるウェハが使用される。【0003】従来、このようなエピタキシャルウェハの結晶性を評価する際には、レーザー光線等を励起源として用いてウェハのフォトルミネッセンス(photoluminescence)を測定する、所謂PL法が採用されている。このPL法により測定された発光スペクトルの発光ピークの半値幅に基づいて、エピタキシャル層の結晶性の良否の情報が得られる。【0004】PL法では、一般に、結晶性のより正確な情報を得るために、試料(ウェハ)を劈開して適当な大きさにし、それを液体窒素等を満たしたガラス製のデュワー等の中に入れて、液体窒素温度(77K)以下の低温で測定を行っている。【0005】また、例えば、GaAs単結晶基板上にGaAs−AlGaAs超格子層をエピタキシャル成長させ、さらにその上に1層もしくは2層以上のGaAs層等をエピタキシャル成長させてなる化合物半導体エピタキシャルウェハについて、GaAs−AlGaAs超格子層のフォトルミネッセンスを測定する場合には、超格子層上のエピタキシャル層の影響をなくすために、そのエピタキシャル層をエッチングにより除去してから測定を行っている。【0006】ところで、PL法以外に、ウェハ表面に照射したレーザー光線の微小な散乱光を測定することにより、ウェハ表面の状態を評価する方法がある。具体的には、測定対象であるウェハの表面を、レーザー光線を照射しながら走査し、ウェハ表面の粗さや微小欠陥や微小な異物に起因して散乱されたレーザー光線の散乱量を測定する。そして、得られた散乱量に基づいて、ウェハ表面の異物やヘイズの大きさ、及びそれらの分布等の情報を得る。ここで、ヘイズとは、表面の不規則性または微細パーティクルであり、そのサイズが光線の波長と比較して非常に小さいが、表面の広範囲に及んでいるもののことである。このヘイズの測定では、ウェハ表面からの散乱光を、ウェハ表面に入射する光の100万分率(ppm)で表した値(これをヘイズ(haze)という)が測定結果として得られる。具体的には、基板の反射率をR0 、表面粗さ(RMS)をσ及び入射光の波長をλで表すと、hazeは次の(1)式で表される。haze=R0 (4πσ/λ)2 ×106 ・・・・(1)ヘイズの測定を行う際に使用される機器としては、例えば、テンコールインスツルメンツ社(Tencor Instruments)製の表面評価装置Surfscan4500がある。このSurfscan4500では、レーザー光源として、波長6328オングストロームのHe−Neレーザーが用いられている。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のPL法は、破壊検査法の一種であり、測定対象である超格子層の上に積層された他のエピタキシャル層を除去したり、デュワー等の中に入れられる大きさにウェハを劈開したりしなければならず、手間がかかるだけでなく、ウェハの製品としての歩留まりが低下するという問題があった。【0008】また、上記従来のPL法では、冷却しながら測定を行うため、測定装置が複雑な構成になってしまうという問題もあった。【0009】また、上述したヘイズの測定によるウェハ表面の評価方法には、次のような問題があることが本発明者らにより明らかとされた。すなわち、この評価方法により、エピタキシャル成長層を有する化合物半導体ウェハ表面の測定を行った場合、通常、測定値(すなわち、haze)が約20ppm以上であれば肉眼による表面状態の観察時にウェハ表面に曇りが認められる。しかし、エピタキシャル成長層にGaAs−AlGaAs超格子層が含まれている場合には、hazeが数十ppmに達しているにもかかわらず、ウェハ表面に曇りが観察されない場合がある。例えば、GaAs−AlGaAs超格子層が含まれているウェハについて本発明者らが行った実験によれば、hazeが2ppmより小さい値のウェハでは、表面に曇りがなく、原子間力顕微鏡(AFM,Atomic Force Microscope)による表面粗さ(視野:1μm角)は1.5561nmであった。また、hazeが36ppmのウェハでは、表面に曇りがなく、AFMによる表面粗さ(視野:1μm角)は1.4731nmであった。それと同程度であるhaze36ppmのウェハでは、表面に曇りがあり、AFMによる表面粗さ(視野:1μm角)は10.219nmであった。つまり、ヘイズの測定結果と実際のウェハの表面状態との間に規則性が認められないことがわかった。【0010】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、基板上にエピタキシャル成長された化合物半導体層、特にGaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層の結晶性に関する情報を、レーザー光線を用いたヘイズの測定を行うことにより、ウェハを破壊することなく簡便に得ることができる化合物半導体エピタキシャルウェハの評価方法を提供することを目的とする。【0011】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者らは、GaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層を有するウェハについて、ヘイズの測定を行い、鋭意検討した結果、図1に示すように、得られたhazeの値と、液体窒素温度(77K)におけるGaAs−AlGaAs超格子構造層からのPL発光のピークの半値幅(FWHM)との間に密接な相関関係があることを見出した。【0012】本発明は、上記知見に基づきなされたもので、基板上にエピタキシャル成長された化合物半導体層を有する化合物半導体エピタキシャルウェハの表面の一部にレーザー光線を照射し、その照射部位を走査させながら、ウェハ表面で散乱された散乱光を検出し、その検出結果と、予め求めておいた、ウェハ表面での散乱光の検出値とエピタキシャル成長層のフォトルミネッセンス(PL)の発光ピークの半値幅との間の相関関係に基づいて、前記化合物半導体層の結晶性の評価を行うことを特徴とするものである。【0013】この発明によれば、化合物半導体エピタキシャルウェハの表面の散乱光を測定することによって、基板上に形成されたエピタキシャル成長層の、液体窒素温度(77K)におけるPL発光ピークの半値幅を推定することができる。【0014】また、上記発明において、前記基板はGaAsでできており、かつ前記エピタキシャル成長層はGaAs−AlGaAs超格子構造層を含むようになっていてもよい。そうすれば、化合物半導体エピタキシャルウェハの表面の散乱光を測定することによって、GaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層の、液体窒素温度(77K)におけるPL発光ピークの半値幅を推定することができる。【0015】【発明の実施の形態】まず、GaAs基板上に、所望の積層構造をなすように、1または2以上の化合物半導体結晶層がエピタキシャル成長されてなる化合物半導体エピタキシャルウェハを作製する。エピタキシャル成長される化合物半導体結晶層は、例えば、GaAs−AlGaAs超格子構造層上にさらに化合物半導体結晶層が積層されたものである。【0016】作製されたウェハについて、テンコールインスツルメンツ社(Tencor Instruments)製のSurfscan4500等の表面評価装置を用いて、例えば室温にてヘイズの測定を行い、上記(1)式よりhazeの値を求める。Surfscan4500では、光源としてHe−Neレーザー(波長:6328オングストローム)が用いられているが、これに限らず、光源として、例えばArレーザー(波長:5145オングストローム)やYAGレーザー(波長:10600オングストローム)を用いてもよい。【0017】次いで、同ウェハを適当な大きさとなるように劈開し、エッチング処理を行った後、液体窒素温度(77K)にてPL測定を行い、PL発光のピークの半値幅を求める。【0018】hazeの値とPL発光ピークの半値幅とに基づいて、それらの間の相関関係(図1参照)を求める。【0019】以上のようにして予めhazeの値とPL発光ピークの半値幅との関係が求まったら、実際に製造されたウェハについて、PL測定を行わずに、例えば室温にてヘイズの測定を行う。そして、先に求めた、hazeの値とPL発光ピークの半値幅との相関関係(図1参照)に基づいて、得られた製品としてのウェハのhazeの値からPL発光ピークの半値幅を求め、ウェハの良否を判断する。【0020】あるいは、hazeの値とPL発光ピークの半値幅との相関関係が求まった時点で、その相関関係に基づいて、ウェハの良否の臨界となるPL発光ピークの半値幅(製品の仕様等により決まる)からウェハの良否の臨界となるhazeの値を求めておき、製品として製造されたウェハについて、PL測定を行わずに、室温にてヘイズの測定を行い、ウェハの良否を判断するようにしてもよい。【0021】上記実施形態によれば、例えばGaAs−AlGaAs超格子構造層を含む所望の積層構造をなすエピタキシャル成長層を有する化合物半導体エピタキシャルウェハについて、予め、例えば図1に示すように、hazeの値とPL発光ピークの半値幅との相関関係を求めておくことによって、以後作製されたウェハについてヘイズの測定を行うことにより、エピタキシャル成長層のPL発光ピークの半値幅を推定することができるので、実際にPL法を行わずに済み、ウェハを破壊することなく、簡便にエピタキシャル成長層の結晶性を評価することができる。従って、結晶性の評価に要する時間が著しく短縮されるとともに、非破壊検査であるため、エピタキシャルウェハの歩留まりが向上する。【0022】【実施例】電子デバイス作製用のGaAs基板上に、MBE(分子線エピタキシー)法によりGaAsよりなるバッファー層を成長させ、さらにその上にGaAs−AlGaAs超格子構造層を成長させた。GaAs−AlGaAs超格子構造層は、厚さ15nmのAlGaAs層(AlAs組成が0.28程度のもの)と厚さ5nmのGaAs層とからなるヘテロ構造を1周期とし、これを全部で20周期分積層した構造とした。そして、その超格子構造層上に、さらに厚さ300nmのGaAs層を成長させた後、その上に厚さ600nm程度で、Siをドナーとするn型のGaAs層を成長させてエピタキシャルウェハを作製した。【0023】このエピタキシャルウェハに対して、テンコールインスツルメンツ社(Tencor Instruments)製のSurfscan4500を用い、室温でウェハ表面からの散乱光を測定した。レーザー光源は、He−Neレーザー(波長:6328オングストローム)であった。ウェハ表面で散乱された光は、Surfscan4500の電子倍増管により検出され、その検出された散乱光の強度に基づいて、上記(1)式より、hazeの値を算出した。【0024】次に、散乱光を測定したウェハを劈開して7mm角程度の大きさのチップとした。そのチップの表面の前記n型のGaAs層を、ウェットエッチングにより除去した。その際、フッ酸系エッチャント(HF:H2 O2 :H2 O=1:1:10)を用いた。なお、アンモニア系エッチャント(NH4 OH:H2 O2 :H2 O=3:1:146)を用いてもよい。エッチング後、チップを水洗及び乾燥させ、液体窒素温度(77K)にてArレーザー(波長:5145オングストローム)を光源として、PL測定を行った。測定された、GaAs−AlGaAs超格子構造層からの発光ピークの波長は、7700〜7800オングストローム程度であった。【0025】以上のようにして得られたhazeの値とPL発光ピークの半値幅との関係を図1に示す。図1より、PL発光ピークの半値幅(FWHM)とhazeの値との間には、次の(2)式で表されるような良好な一次線形の相関関係があることがわかった。(FWHM)=0.0377×(haze)+4.522、R2 =0.7624・・・・(2)従って、図1及び式(2)より、hazeの値が大きくなるほどPL発光ピークの半値幅が大きくなり、GaAs−AlGaAs超格子構造層の結晶性が悪化することがわかった。【0026】図1及び式(2)を用いることにより、例えば、電子デバイス作製用の化合物半導体エピタキシャルウェハのGaAs−AlGaAs超格子構造層の結晶性の良否の判断基準として、77KにおけるGaAs−AlGaAs超格子構造層からのPL発光ピークの半値幅が5meV以下であると仮定すれば、hazeの値は10ppm以下であればよいことがわかり、PL測定に代わって、ウェハを破壊することなく、室温でヘイズの測定を行うことによって、GaAs−AlGaAs超格子構造層の結晶性の良否を判断することができることがわかった。【0027】なお、上記実施例では、GaAs基板上のGaAs−AlGaAs超格子構造層上に、さらにGaAs層が積層されたGaAsエピタキシャルウェハの評価について説明したが、本発明は、これに限らず、他の構造のエピタキシャルウェハの評価にも適用可能であるのはいうまでもない。【0028】【発明の効果】本発明によれば、化合物半導体エピタキシャルウェハの表面の散乱光を測定することによって、基板上に形成されたエピタキシャル成長層の、液体窒素温度(77K)におけるPL発光ピークの半値幅を推定することができるので、実際にPL法を行わずに済み、ウェハを破壊することなく、簡便にエピタキシャル成長層の結晶性を評価することができる。従って、結晶性の評価に要する時間が著しく短縮されるとともに、非破壊検査であるため、エピタキシャルウェハの歩留まりが向上する。【0029】また、本発明によれば、化合物半導体エピタキシャルウェハの表面の散乱光を測定することによって、GaAs基板上に形成されたGaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層の、液体窒素温度(77K)におけるPL発光ピークの半値幅を推定することができるので、実際にPL法を行わずに済み、GaAs基板上にGaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層が形成されてなるウェハを破壊することなく、簡便にエピタキシャル成長層の結晶性を評価することができる。従って、GaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層の結晶性評価に要する時間が著しく短縮されるとともに、非破壊検査であるため、エピタキシャルウェハの歩留まりが向上する。【図面の簡単な説明】【図1】GaAs−AlGaAs超格子構造層を含むエピタキシャル成長層を有するウェハのhazeの値と、77KにおけるGaAs−AlGaAs超格子構造層からのPL発光のピークの半値幅との間の関係の一例を示す特性図である。 基板上にエピタキシャル成長された化合物半導体層を有する化合物半導体エピタキシャルウェハの表面の一部にレーザー光線を照射し、その照射部位を走査させながら、ウェハ表面で散乱された散乱光を検出し、その検出結果と、予め求めておいた、ウェハ表面での散乱光の検出値とエピタキシャル成長層のフォトルミネッセンスの発光ピークの半値幅との間の相関関係に基づいて、前記化合物半導体層の結晶性の評価を行うことを特徴とするGaAs−AlGaAs超格子構造層を含む化合物半導体エピタキシャルウェハの評価方法。 前記基板はGaAsでできており、かつ前記エピタキシャル成長層はGaAs−AlGaAs超格子構造層を含むことを特徴とする請求項1記載のGaAs−AlGaAs超格子構造層を含む化合物半導体エピタキシャルウェハの評価方法。


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