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タイトル:特許公報(B2)_新規なセミカルバジド系化合物及びそれを用いた被覆組成物
出願番号:1997120103
年次:2008
IPC分類:C07C 281/06,C09D 7/12


特許情報キャッシュ

横田 昌久 宮崎 貴行 上柳 薫 JP 4033518 特許公報(B2) 20071102 1997120103 19970424 新規なセミカルバジド系化合物及びそれを用いた被覆組成物 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 武井 英夫 100103436 清水 猛 100068238 伊藤 穣 100095902 鳴井 義夫 100108693 横田 昌久 宮崎 貴行 上柳 薫 20080116 C07C 281/06 20060101AFI20071220BHJP C09D 7/12 20060101ALI20071220BHJP JPC07C281/06C09D7/12 C07C 281/00 C09D 7/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開昭54−110248(JP,A) 特開昭58−096643(JP,A) 特開平06−207125(JP,A) 特開平07−097497(JP,A) 4 1998298158 19981110 14 20040421 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はコーティング剤、接着剤等として有用な組成物に関し、具体的には、セミカルバジド系化合物、及びそれを用いたクリアーコート剤、トップコート剤、塗料、アンダーコート剤、接着剤、インク、布や紙の含浸剤等として各種用途に利用することができる優れた硬化剤及びそれを用いた被覆組成物に関する。【0002】【従来の技術】近年、コーティング分野において、例えば、アクリル系ラテックスに代表される水性エマルジョンは、有機溶剤系から水系への転換素材として現在も改良検討がなされているが、有機溶剤系コーティング剤と比べ耐水性、耐汚染性、硬度等の点でいまだ十分な物性を示していない。これらの物性を向上させる目的で、水性エマルジョン中に官能基を導入し架橋塗膜を形成させることが種々提案されている。【0003】近年、カルボニル基とヒドラジド基の脱水縮合反応を利用したヒドラゾン架橋系水性エマルジョンが注目されている。例えば、特公昭46−20053号公報、特開昭57−3850号公報、特開昭57−3857号公報、特開昭58−96643号公報、特開平4−249587号公報等ではカルボニル基含有共重合体水分散液に硬化剤として2官能性以上のカルボン酸ヒドラジド化合物を添加することにより、低温硬化性と貯蔵安定性を兼ね備え、硬度等に優れた被覆組成物が提案されている。【0004】しかし、アジピン酸ジヒドラジドに代表されるカルボン酸ヒドラジド化合物は、貯蔵時、加水分解によりヒドラジンが遊離し硬化能が経時的に変化するため好ましくない。また、多官能性のカルボン酸ヒドラジド化合物は親水性のコントロールが困難であるという欠点を有している。すなわち、アジピン酸ジヒドラジドのごとき親水性の高い化合物を硬化剤として用いた場合、生成する塗膜の耐水性が非常に悪い。逆に、セバシン酸ジヒドラジドのごとき親水性の低い化合物は、水性エマルジョンの硬化剤としての使用が困難である。加えて、これらカルボン酸ヒドラジド化合物を用いた塗膜は、硬度が不足する、という欠点をも持っている。【0005】 一方、特開昭54−110248号公報、特開平6−207125号公報、特開平6−207125号公報、特開平7−97497号公報には下式(4)のRので炭素数が8以下のセミカルバジド系化合物が提案されている。その具体的な例として特開昭54−110248号公報にはヘキサメチレンビスセミカルバジドが示されている。しかしながらこの化合物は水への溶解度が低いため、実際の水系の被覆組成物に用いようとする場合、その使用量が著しく制限され、架橋による硬度の改良は、難しいことが判った。【0006】【化3】【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、室温で硬化し、その塗膜の硬度及び耐水性を向上させ得る硬化剤及びそれらを用いた被覆組成物を提供することである。【0008】【課題を解決するための手段】 発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべき事に下式(1)のセミカルバジド系化合物が水への溶解度が高く、且つこれを用いた被覆組成物が高い硬度と良好な耐水性を示すことを見出し、本発明をなすに至った。【0009】【化4】【0010】 即ち本発明は以下の通りである。 〔1〕式(1)で示されるビスセミカルバジド系化合物である。 〔2〕イソホロンジイソシアネートとヒドラジン及びその水和物を反応させる〔1〕のビスセミカルバジド系化合物の製造方法である。 〔3〕本発明の〔1〕記載のビスセミカルバジド系化合物と、次式(2)で表されるモノケトン類とを反応させて得られるセミカルバゾン誘導体である。 R1 R2 C=O (2)(式(2)及び(3)中、R1 、R2 は、式(2)で表されるモノケトン類がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンであり、その際これらモノケトン類の残基の基を表す。) 〔4〕〔1〕記載のビスセミカルバジド系化合物(A)及び/または〔3〕記載のセミカルバゾン誘導体(B)と、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)0.1〜30重量%と、該単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)70〜99.9重量%を共重合することよって得られるカルボニル基を含有する共重合体であるポリカルボニル化合物(C)を含んでなり、その固形分重量比が(C)/〔(A)+(B)〕=99.9/0.1〜10/90である被覆組成物である。【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のビスセミカルバジド系化合物はいかなる方法を用いて合成しても差し支えないが、イソホロンジイソシアナートとヒドラジン誘導体を反応させるのが最も好適である。【0012】 ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン及びその水和物、及びその併用が挙げられる。【0015】本発明では、上記のビスカルバジド化合物のセミカルバジド基を式(2)で表されるモノケトン類を反応させたセミカルバゾン誘導体も含有する。セミカルバゾンは他のケトン基、例えば、ポリマー鎖に結合したケトン基と比較的容易に交換するため、セミカルバゾンはブロック化されたセミカルバジドとも表現することができ、場合によって塗布前の被覆用液の安定化に寄与できるものである。【0016】本発明のビスセミカルバジド組成物の製造において、イソホロンジイソシアネートのNCO基と、ヒドラジン誘導体中の−NHNH2 基との当量比は、1:1.2〜100、好ましくは1:2〜80、さらに好ましくは1:4〜50の範囲である。当量比が1:1.2未満である場合は、生成物が高分子量化し、粘度の上昇が著しく好ましくない。また1:100より大きくなると未反応のヒドラジン誘導体が多く存在し好ましくない。【0017】また、セミカルバジド組成物を製造後、余剰のヒドラジン誘導体は必要に応じ蒸留、抽出等で除去することができる。式(1)のビスセミカルバジド系化合物の製造にあたり、必要であれば、例えば錫化合物の如き、公知のウレタン合成触媒の合成に用いることができる触媒を使用することができる。【0018】また、式(1)のビスセミカルバジド系化合物は、無溶媒または溶媒中で製造できる。溶媒としては、NCO基に不活性であるか、または反応成分よりも活性の低いものが使用できる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒、t−ブタノール、イソプロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等やその併用が挙げられる。【0019】溶媒はビスセミカルバジド系化合物中に残存しても良いが、常圧あるいは減圧下で蒸留により除去・回収することもできる。本発明において、前記式(2)で表されるモノケトン類を用い、以下の2通りの方法により、上記ビスセミカルバジド系化合物と同じ基本骨格を有するセミカルバゾン誘導体が得られる。【0020】1)ビスセミカルバジド系化合物中のセミカルバジド基の少なくとも一部を、前記式(2)で表されるモノケトン類と−20℃〜80℃で反応させる方法。2)ヒドラジン誘導体のヒドラジド基あるいはヒドラジン基の少なくとも一部をあらかじめ前記式(2)で表されるモノケトン類と−20℃〜80℃で反応させ、ヒドラゾン基とした後、ポリイソシアネート反応物と反応させる方法。前記式(2)で表されるモノケトン類としては、30〜200℃の比較的低沸点のもの(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)が取り扱いが容易で好ましい。【0021】本発明によって得られるビスセミカルバジド系化合物およびセミカルバゾン誘導体は、水に対する溶解性が良好であるが、場合によっては、必要に応じ界面活性剤を添加してより分散・溶解性を高める方法を用いても良い。添加できる界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、高級アルキルスルフォン酸、スルフォン酸アルキルアリル、スルフォン化ひまし油、スルフォこはく酸エステル、アルケニルコハク酸等の塩に代表されるアニオン性界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤等やそれらの併用が挙げられる。【0022】 本発明の被覆組成物は、式(1)のビスセミカルバジド化合物および/またはセミカルバゾン誘導体とポリカルボニル化合物を含んでなることが好適である。 ポリカルボニル化合物としては、たとえばカルボニル基を含有する共重合体、特開平2−238015号公報に開示されているが如きヒドロキシアセトン等のカルボニル基のあるモノまたはポリアルコールを原料とするカルボニル基含有ポリウレタン類、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース等、及びこれらの併用であることが挙げられる。【0023】これらの中で好ましいポリカルボニル化合物は、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)と、該単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)とを共重合することによって得られるカルボニル基を含有する共重合体であり、さらに好ましくはポリカルボニル化合物が、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)0.1〜30重量%と、該単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)70〜99.9重量%とを共重合することによって得られるカルボニル基を含有する共重合体である。カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体単量体(イ)としては、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等や、その併用が挙げられる。【0024】単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、カルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体類、アクリルアミド系単量体、メタクリルアミド系単量体、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ) アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ) アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ) アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。【0025】(メタ) アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ) アクリル酸メチル、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ) アクリル酸n−ブチル、(メタ) アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ) アクリル酸ドデシル等が挙げられる。(メタ) アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。【0026】(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ) アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸エチレングリコール、(メタ) アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ) アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ) アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸プロピレングリコール、(メタ) アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ) アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。【0027】(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ) アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ) アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ) アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ) アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。カルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体類として具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、マレイン酸の半エステル、クロトン酸などがあり、(メタ)アクリルアミド系単量体類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどがある。【0028】また上記以外の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ) アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。【0029】ポリカルボニル化合物は、懸濁重合、乳化重合又は溶液重合によって得られたものであることが好ましく、乳化重合によって得られるラテックスであることはさらに好ましい。ポリカルボニル化合物は、スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体、およびそれらの混合物よりなる群から選ばれるアニオン型エチレン性不飽和単量体(ハ)の存在下、共重合することによって得られることが好ましい。【0030】スルホン酸基又はスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体は、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6または10のアリール基及びコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を有する化合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物である。【0031】硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体は、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基及び炭素数6又は10のアリール基からなる群より選ばれる置換基を有する化合物である。スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物の具体例として、アリルスルホコハク酸塩、たとえば、次式(6)、(7)、(8)、(9)で表される化合物が挙げられる。【0032】【化6】【0033】【化7】【0034】【化8】【0035】【化9】【0036】〔式(6)〜(9)中、R1'は水素またはメチル基であり、R2'は炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19のアラルキル基等の炭化水素基、又はその1部が水酸基、カルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、アルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、アルキレン部分の炭素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド化合物を含む有機基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換されたアルキレン基である。nは0〜200の整数である。Mはアンモニウム、ナトリウム、またはカリウムである。〕【0037】上記式(6)及び(7)を含むものとして、例えば、エレミノールJS−2(商品名:三洋化成(株)製)があり、上記式(8)及び(9)を含むものとして、例えば、ラテムルS−120、S−180AまたはS−180(商品名:花王(株)製)等がある。また、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物の例として、次式(10)または(11)で表される化合物が挙げられる。【0038】【化10】(式中R3'、R4'の各々は、それぞれ独立に、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基であり、R5'は水素またはプロペニル基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基である。nは1〜200の整数である。Mはアンモニウム、ナトリウム又はカリウムである。)【0039】【化11】(式中、R6'は水素またはメチル基であり、R7'は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基である。nは0〜20の整数であり、mは0〜50の整数である。Mはアンモニウム、ナトリウム又はカリウムである。)【0040】上記式(10)で表されるアルキルフェノールエーテル系化合物として、例えば、アクアロンHS−10(商品名:第一工業製薬(株)製)があり、上記式(11)で表される化合物として、例えば。アデカリアソープSE−1025N(商品名:旭電化工業(株)製)がある。その他、スルホネート基により一部が置換されたアリール基を有する化合物の具体例として、p−スチレンスルホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩、が挙げられる。【0041】スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物として、例えば、2−スルホエチルアクリレート等のアルキルスルホン酸(メタ)アクリレートやメチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、アリルスルホン酸等のアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩により一部が置換された炭素数炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物としては、例えば、上記の式(10)と(11)で表される、スルホネート基により一部が置換されたアルキルエーテル基を有する化合物がある。【0042】これらのアニオン型エチレン性不飽和単量体(ハ)は、エマルジョン中にア)エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物として存在しているか、イ)未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエマルジョン水相中に存在しているか、又はウ)水溶性単量体との共重合物あるいは単量体同士の共重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエマルジョン水相中に、存在している。【0043】とくにア)の状態の比率を高めることによって、エマルジョンより得られるフィルムの耐水性を良好なものとすることができる。またアニオン型エチレン性不飽和単量体(ハ)は、エマルジョンより得られるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−MS)、又は熱分解質量分析(Py−MS)により同定することができる。他の方法としては、エマルジョンの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析(FABマススペクトル)によって同定することも可能である。【0044】本発明では、アニオン型エチレン性不飽和単量体(ハ)以外に通常の界面活性剤を併用することができる。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等の非反応性ノニオン型界面活性剤、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)等の反応性ノニオン型界面剤といわれるエチレン性不飽和単量体と共重合なノニオン型界面活性剤等が用いられる。【0045】本発明において、ポリカルボニル化合物を得るに当たって、ラジカル重合触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル分解してエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が使用される。その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等があり、その量としてはエチレン性不飽和単量体に対して通常0.1〜1重量%配合される。重合は、通常、常圧下、65〜90℃の重合温度で実施されるのが好ましいが、モノマーの重合温度における蒸気圧等の特性に合わせ、高圧下でも実施することができる。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望まれるときには、例えば、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。さらに分子量を調節するために、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を任意に添加することも可能である。【0046】本発明において、ポリカルボニル化合物を長期に安定に保つため、pH5〜10の範囲に調整することが好ましく、必要に応じてアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノール等のアミン類、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸等の酸類を添加することも可能である。本発明の被覆組成物は、ビスセミカルバジド系化合物(A)および/またはセミカルバゾン誘導体(B)とポリカルボニル化合物(C)を含んでなり、かつその固形分重量比が(C)/〔(A)+(B)〕=99.9/0.1〜10/90の範囲内で存在させることが必要である。これにより低温硬化性と貯蔵安定性を兼ね備え、耐水性、耐汚染性、硬度等に優れた皮膜を与えることができる。この比率が99.9/0.1未満である場合は、架橋密度が低くなり架橋の効果が出現しないので好ましくない。90/10を超えると得られる皮膜が非常に脆いものとなり好ましくない。【0047】また、本発明のセミカルバジド系化合物及び又はセミカルバゾン誘導体にヒドラジン誘導体や他のポリセミカルバジドを混合して使用しても良い。ここで言うヒドラジン誘導体としては、具体的には、シュウ酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の脂肪酸ジヒドラジド類、式(4)で表される炭酸ヒドラジド類、式(5)で表されるビスセミカルバジド類などが挙げられる。また、ここで言う他のポリセミカルバジドとは、WO96−01252号公報、特願平8−14023号、特願平9−40806号などの特許出願明細書に記載のセミカルバジド類を言う。これらを混合して使用する場合において、ポリカルボニル化合物との固形分重量比は(C)/〔(A)+(B)+混合するヒドラジン誘導体、ポリセミカルバジド〕が99.9/0.1〜10/90の範囲内で存在させる事が必要である。【0048】また、本発明におけるビスセミカルバジド系化合物(A)及び/またはセミカルバゾン誘導体(B)とポリカルボニル化合物(C)とからなる被覆組成物は、必要に応じポリエポキシ化合物(D)を、その固形分重量比が(C)/(D)≧10/90の範囲内で併用することができる。ポリエポキシ化合物の併用により、得られる皮膜の耐水性はさらに向上する。ポリエポキシ化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分として他の不飽和単量体と塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などによって共重合させることにより得られるエポキシ基を含有する共重合体や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環式脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ化合物を水に分散させたもの、及びこれらの併用が挙げられる。【0049】本発明の被覆組成物には、必要により通常塗料等に添加配合される成分、例えば顔料、充填剤、分散剤、酸化防止剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、インク、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。これにより塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤または編織布の仕上げ剤として有用となる。【0050】【実施例】以下に実施例などを用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。実施例中の部は重量部を意味する。実施例中に用いられる評価の方法は、下記の通りである。〔硬度〕厚さ2mmのガラス板上に厚さ約40μの塗膜を作成し、20℃の恒温室において振り子式硬度計(BYK Chemie製Pendulum hardness tester)でケーニッヒ硬度を測定した。〔耐水性〕厚さ2mmのガラス板上に厚さ約40μの塗膜を作成し、20℃の恒温室において、水に24時間浸漬後の塗膜を目視にて観察する。【0051】〈水系ポリカルボニル化合物の製造例〉環流冷却器、滴下槽、温度計および攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水248部、ペレックスOTP(花王(株)製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの40%水溶液)2部、エマルゲン950(花王(株)製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの25%水溶液)1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液1部を投入し、反応容器内の温度を80℃に調節しつつ、メタクリル酸16部、メタクリル酸メチル179部、アクリル酸n−ブチル201部、ダイアセトンアクリルアミド54部、イオン交換水161部、、エマルゲン950の25%水溶液、ペレックスOTPの40%水溶液を8部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液68部の混合液を反応容器中へ3時間かけて添加した。その後は2時間、反応容器中の温度を80℃に保った。その後室温まで冷却し、28%アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金網で濾過し、固形分48.1%、粒径0.11μのカルボニル基含有共重合体水性エマルジョンを得た。【0052】(実施例1)ビスセミカルバジド系化合物の合成。攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、イソプロパノール225部、ヒドラジン1水和物57部を添加し25℃にて30分攪拌した。この溶液に、イソホロンジイソシアネート50部をテトラヒドロフラン450部に溶解した溶液をを25℃にて攪拌しながら2時間かけて添加し、さらに25℃にて1時間攪拌した。得られた反応液中のイソプロパノール、テトラヒドロフラン、過剰のヒドラジン1水和物、水等を加熱減圧下に留去することによりイソホロンビスセミカルバジドを得た。このものの赤外吸収スペクトルを図1に示す。【0053】(参考例)ヘキサメチレンビスセミカルバジドの合成。攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、イソプロパノール225部、ヒドラジン1水和物57部を添加し25℃にて30分攪拌した。この溶液に、ヘキサメチレンジイソシアネート37部をテトラヒドロフラン333部に溶解した溶液をを25℃にて攪拌しながら2時間かけて添加し、さらに25℃にて1時間攪拌した。得られた反応液中のイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ヒドラジン1水和物、水等を加熱減圧下に留去することによりヘキサメチレンビスセミカルバジドを得た。【0054】(実施例2)製造例で合成したカルボニル基含有共重合体水性エマルジョン100部に実施例1で得たイソホロンビスセミカルバジド8.7部を添加し混合した水性被覆組成物をガラス板上にて室温で14日間成膜乾燥して厚さ約40μの透明で平滑なフィルムを得た。このフィルムの物性を測定した。ケーニッヒ硬度は85、水浸漬後の塗膜は透明であり、耐水性は○であった。【0055】(比較例1)製造例で合成したカルボニル基含有共重合体水性エマルジョン100部に参考例で得たヘキサメチレンビスセミカルバジド7.0部を添加し混合したところ、ヘキサメチレンビスセミカルバジドが沈降した。塗液を攪拌しながらガラス板に塗工し、室温で14日間成膜乾燥した膜は白化した。【0056】(比較例2)製造例で合成したカルボニル基含有共重合体水性エマルジョン100部にアジピン酸ジヒドラジド5.3部を添加し混合した水性被覆組成物をガラス板上にて室温で14日間成膜乾燥して透明で平滑なフィルムを得た。このフィルムの物性を測定した。ケーニッヒ硬度は58、水浸漬後の塗膜は白化して、耐水性は×であった。【0057】【発明の効果】実施例、比較例から明らかなように、本発明のイソホロンビスカルバジドを用いた被覆組成物は、従来のものに較べて硬度、耐水性に優れる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の実施例1で得られたイソホロンビスセミカルバジドの赤外吸収スペクトルである。 次の式(1)で示されるビスセミカルバジド系化合物。 イソホロンジイソシアネートとヒドラジン及びその水和物を反応させることを特徴とする請求項1記載のビスセミカルバジド系化合物の製造方法。 請求項1記載のビスセミカルバジド系化合物と下記式(2)で表されるモノケトン類とを反応させてなることを特徴とする下記式(3)で示されるセミカルバゾン誘導体。 R1 R2 C=O (2)(式(2)及び(3)中、R1 、R2 は、式(2)で表されるモノケトン類がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンであり、これらモノケトン類の残基を表す。) 請求項1記載のビスセミカルバジド系化合物(A)及び/または請求項3記載のセミカルバゾン誘導体(B)と、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体(イ)0.1〜30重量%と、該単量体(イ)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体(ロ)70〜99.9重量%を共重合することよって得られるカルボニル基を含有する共重合体であるポリカルボニル化合物(C)を含んでなり、その固形分重量比が(C)/〔(A)+(B)〕=99.9/0.1〜10/90である被覆組成物。


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