生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_塩化ナトリウム含有歯磨組成物
出願番号:1997102158
年次:2006
IPC分類:A61K 8/00,A61Q 11/00


特許情報キャッシュ

押野 一志 上山 弘樹 前田 晃嗣 JP 3752053 特許公報(B2) 20051216 1997102158 19970418 塩化ナトリウム含有歯磨組成物 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 押野 一志 上山 弘樹 前田 晃嗣 20060308 A61K 8/00 20060101AFI20060216BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20060216BHJP JPA61K7/16 A61K 7/00 - 7/50 特開昭57−106606(JP,A) 特開昭63−035515(JP,A) 特開昭60−092208(JP,A) 特公昭46−007600(JP,B1) 特開平02−282317(JP,A) 3 1998291921 19981104 6 20040402 天野 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ナトリウムを含有し、発泡性に優れ、苦味がなく味が良く、しかも低温時でもチューブから押出しやすい歯磨組成物に関する。【0002】【従来の技術】塩化ナトリウムは、歯肉炎や歯周炎などの歯周疾患に対して予防や治療効果を発揮することが知られており、塩化ナトリウムが配合された歯磨が市販されている。ところで、歯磨には清浄効果を高め、かつ豊かな泡立ちによって良好な使用感を与える目的で発泡剤が配合されている。この発泡剤としては、通常、機能と安全性の高さからアルキル硫酸ナトリウムが用いられている。しかしながら、高濃度の塩化ナトリウムを歯磨に配合すると、塩析効果などによりアルキル硫酸ナトリウムの機能が著しく損なわれ、その歯磨は低発泡性で使用感の悪いものになってしまうという問題があった。【0003】このような、塩化ナトリウム含有歯磨の低発泡性を改善するための試みとして、例えばアルキル硫酸ナトリウムとノニオン性界面活性剤を組み合わせること(特開昭57−106606号公報)が検討されているが、十分な発泡量を得ることはできなかった。また、アルキル硫酸ナトリウムとN−アシルグルタミン酸塩を組み合わせた場合(特開昭60−92208号公報)には、十分な発泡量が得られるものの、N−アシルグルタミン酸塩に由来する苦味が生じてしまうという欠点があった。【0004】また、アルキル硫酸ナトリウム単独でも、通常の配合量より多く配合すれば発泡性はわずかながら改善できるが、口腔粘膜を刺激するおそれが生じてしまう。更に、塩化ナトリウム含有歯磨は、一般に、低温時にチューブから押出し難いという欠点があった。【0005】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、塩化ナトリウムを含有し、発泡性に優れ、苦味がなく味が良く、しかも低温時でもチューブから押出しやすい歯磨組成物を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、アルキル硫酸ナトリウム、HLB12以上のノニオン性界面活性剤、及びN−アシルグルタミン酸塩を特定の割合で用いれば、発泡性に優れ、苦味がなく味が良く、使用感が良好で、しかも低温時でもチューブから押出しやすい塩化ナトリウム含有歯磨組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。なお、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を組み合わせた場合、かえって発泡量が減少することもあるが、本発明のようにアルキル硫酸ナトリウムとHLB12以上のノニオン性界面活性剤を組み合わせた場合には、発泡量を十分に高めることができる。【0007】 すなわち、本発明は、(a)アルキル硫酸ナトリウム 0.3〜2重量%、(c)N−アシルグルタミン酸塩 0.1〜1重量%、及び塩化ナトリウムを含有するチューブ入り歯磨組成物において、(b)HLB14以上のノニオン性界面活性剤 0.05〜1重量%を配合することを特徴とする低温時におけるチューブからの押出し性改善方法を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】本発明で用いられる成分(a)のアルキル硫酸ナトリウムとしては、通常の歯磨組成物等に用いられるものであれば特に制限されず、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。アルキル硫酸ナトリウムは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、全組成中に0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜3重量%、特に好ましくは1〜2重量%配合される。0.1重量%未満では十分な発泡量が得られず、10重量%を越えると苦味や粘膜剥離が生じるおそれがあり、好ましくない。【0009】本発明で用いられる成分(b)の非イオン性界面活性剤はHLB12以上、好ましくはHLB14以上のものである。HLB12未満のものでは十分な発泡量が得られない。なお、HLBとは親水性−親油性のバランス(Hydrophile-Lypophile Balance)を示す指標であり、本発明においてはグリフィンによる次式を用いて算出した値を用いている。【0010】【数1】【0011】成分(b)の非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレングリコール(40)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(84)ノニルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140)、ショ糖モノステアリン酸エステルなどが挙げられるが、特にプルロニック型と呼ばれているポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールでHLB12以上のものが好ましい。【0012】成分(b)の非イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、全組成中に0.05〜50重量%、好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%配合される。0.05重量%未満では十分な発泡量が得られず、50重量%を超えると使用感が悪くなり好ましくない。【0013】本発明で用いられる成分(c)のN−アシルグルタミン酸塩としては、炭素数10〜20のアシル基を有するものが好ましく、例えばN−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸カリウム、N−ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイルグルタミン酸カリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸カリウムなどが挙げられる。【0014】成分(c)のN−アシルグルタミン酸塩は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、全組成中に0.05〜10重量%、好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%配合される。0.05重量%未満では十分な発泡量が得られず、10重量%を超えると、苦味が生じ好ましくない。【0015】本発明の歯磨組成物に配合される塩化ナトリウムとしては、特に制限されず、例えば精製塩、食用塩、漬け物用塩のほか、一般に天然塩と言われている岩塩や海水塩などのいずれをも使用することができる。塩化ナトリウムは、全組成中に1〜90重量%、特に5〜60重量%配合するのが好ましい。【0016】本発明の歯磨組成物には、前記成分のほか、通常の歯磨組成物に用いられる成分、例えばリン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、無水ケイ酸などの研磨剤;ソルビトール、キシリトール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの湿潤剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどの粘結剤;サッカリンナトリウム、グリチルリチン塩類、ステビオサイド、アスパルテームなどの甘味剤;パラオキシ安息香酸メチル、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤;メントール、カルボン、アネトール、ペパーミント油などの香料;重曹、乳酸アルミニウムなどの収れん剤;塩化リゾチーム、デキストラナーゼ、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリミジウム、β−グリチルレチン酸、トラネキサム酸、ビタミンE、ヒノキチオール、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウムなどの有効成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。【0017】本発明の歯磨組成物は、通常の方法に従って、前記成分を混合等することにより製造することができる。【0018】【発明の効果】本発明の歯磨組成物は、塩化ナトリウムを含有していても発泡性に優れ、苦味がなく味が良く、使用感が良好であり、しかも低温時においてもチューブから押出しやすいものであり、歯周疾患の予防や治療に極めて有用である。【0019】【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0020】実施例1表1に示す組成の塩化ナトリウム含有歯磨組成物を常法により製造し、これらの発泡量、泡立ち性及び苦味を以下の方法により評価した。結果を表1に併せて示す。【0021】(評価方法)(1)発泡量:各歯磨組成物を精製水で4倍に希釈し、この希釈液100mlを400mlのメスシリンダーに入れ、30℃の恒温槽中において反転攪拌機を用いて3分間攪拌した。発泡量は次式に従い、攪拌前の希釈液量と攪拌停止30秒後の見掛けの液量の差として示した。【0022】【数2】【0023】(2)泡立ち性及び苦味:各歯磨組成物をパネラー10名に使用させ、泡立ち性については、使用時の泡立ちを3段階評価(10:泡立ちが良い、5:やや泡立ちが良い、0:泡立ちが良くない)し、合計点を求めた(全員が泡立ちが良いと応えた場合100点)。同様に、苦味を3段階評価(10:苦味がない、5:少し苦味がある、0:苦味がある)し、合計点を求めた(全員が苦味がないと応えた場合100点)。【0024】【表1】【0025】表1の結果から明らかなように、本発明品はいずれも、発泡量が多く、実使用においても泡立ち性が良くしかも苦味がなく、優れたものであった。これに対し、比較品1は、泡立ち性が良いものの苦味があり、比較品2は泡立ち性が悪いものであった。【0026】また、室温(約25℃)でほぼ同じ粘度に調整している本発明品1〜3及び比較品1〜2を5℃で1週間保存した後、チューブからペーストを押出すときの押出しやすさを官能評価したところ、本発明品1〜3はいずれも非常に押出しやすかったのに対し、比較品1及び2はチューブから押出し難かった。 (a)アルキル硫酸ナトリウム 0.3〜2重量%、(c)N−アシルグルタミン酸塩 0.1〜1重量%、及び塩化ナトリウムを含有するチューブ入り歯磨組成物において、(b)HLB14以上のノニオン性界面活性剤 0.05〜1重量%を配合することを特徴とする低温時におけるチューブからの押出し性改善方法。 歯磨剤組成物が、更に重曹を含有するものである請求項1記載の押出し性改善方法。 成分(b)のノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである請求項1又は2記載の押出し改善方法。


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