生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_オイルゲル化剤
出願番号:1997087331
年次:2005
IPC分類:7,C09K3/00,A61K7/00,C07D207/273,C07D211/40,C07D223/12,C09K3/32,C10M133/38


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山川 芳孝 後藤 幸平 柴 唯啓 JP 3690052 特許公報(B2) 20050624 1997087331 19970324 オイルゲル化剤 JSR株式会社 000004178 福沢 俊明 100100985 山川 芳孝 後藤 幸平 柴 唯啓 20050831 7 C09K3/00 A61K7/00 C07D207/273 C07D211/40 C07D223/12 C09K3/32 C10M133/38 JP C09K3/00 103M A61K7/00 D C07D207/273 C07D211/40 C07D223/12 C C09K3/32 G C10M133/38 7 C09K 3/00, A61K 7/00 - 7/50, C07D207/273-207/277, C07D211/40 -211/44, C07D223/12, C09K 3/32, C10M133/38 -133/48 特開昭51−091885(JP,A) 特開昭51−019139(JP,A) 特開平08−048965(JP,A) 特開平08−231942(JP,A) 1 1998265761 19981006 8 20021216 渡辺 陽子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、動植物油類、炭化水素類、脂肪酸エステル類等のオイルに対するゲル化剤、並びに該ゲル化剤を含有する経皮吸収製剤および化粧料に関する。【0002】【従来の技術】動植物油類、炭化水素類、脂肪酸エステル類等のオイルに対するゲル化剤(オイルゲル化剤)は、医薬用製剤、化粧料のほか、塗料、インキ、潤滑油等の分野で広く利用されている。オイルゲル化剤に一般的に要求される性能としては、少量の添加で目的とするオイルをゲル化でき、得られたゲルが長期にわたり安定であることなどが挙げられ、さらに用途によっては、人体に対する安全性が高いこと、チキソトロピー性を有するゲルを生成すること、得られたゲルの触感がよいことなども要求されている。従来のオイルゲル化剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール、アミノ酸誘導体等の低分子化合物、あるいはポリアクリル酸誘導体、デキストリン誘導体等の高分子化合物が知られている。これらのうち、12−ヒドロキシステアリン酸を用いて得られるゲルはチキソトロピー性に欠け、ジベンジリデンソルビトールは流動パラフィンのような非極性オイルに対してはゲル化能をもたず、また分解してベンズアルデヒドが生成するという点で安全性にも問題がある。また、アミノ酸誘導体としては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミド等のN−アシルアミノ酸誘導体がよく知られており、特公昭55−1094号公報にピロリドンカルボン酸アミド誘導体が示されている。しかしながら、N−アシルアミノ酸系のゲル化剤はオイルに難溶性であり、溶解させるためには高温での加熱や長時間の撹拌などの煩雑な操作が必要となる。しかも、このような操作はゲルに配合される他成分の品質の変化を招く恐れがある点でも問題がある。また、ピロリドンカルボン酸アミド誘導体は、溶解性には問題がないが、オイルをゲル化させるのに高濃度の添加が必要で、経済的に不利である。一方、デキストリン誘導体のような高分子系のゲル化剤では、やはりゲル化に高濃度の添加が必要であり、そのために生成したゲルが“べたつく”など、触感に問題がある。このように、従来のオイルゲル化剤はそれぞれに問題点を有し、必要な性能を充分に満足させるものではない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、優れたゲル化能を有し、低濃度の添加でも長期にわたり安定なゲルを生成でき、かつ得られたゲルのチキソトロピー性および触感が優れ、しかも人体に対する安全性にも優れたオイルゲル化剤を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種のα−アミノラクタム誘導体を有効成分とするオイルゲル化剤、からなる。【0005】【化1】【0006】(式中、R1 は炭素数2〜30の直鎖状もしくは分岐状の飽和アルキル基を示し、mは1〜9の整数である。)【0007】【化2】【0008】(式中、R2 は炭素数2〜30の直鎖状もしくは分岐状の飽和アルキル基を示し、nは1〜9の整数である。)【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のオイルゲル化剤は、前記一般式(1)で表されるα−アミノラクタム誘導体(以下、「α−アミノラクタム誘導体(1)」という。)および一般式(2)で表されるα−アミノラクタム誘導体(以下、「α−アミノラクタム誘導体(2)」という。)の少なくとも1種を有効成分とするものである。α−アミノラクタム誘導体(1)は、例えば、特定のアミノ酸の脱水反応等により得られるα−アミノラクタムを、炭素数3〜31、好ましくは炭素数7〜19、より好ましくは炭素数9〜17の飽和脂肪酸および/またはその誘導体と反応させることにより、α−アミノラクタム中のα−アミノ基を、脂肪酸アミド基に変換する方法によって合成することができる。前記α−アミノラクタムの具体例としては、リジンから得られるα−アミノ−ε−カプロラクタム、オルニチンから得られる3−アミノ−2−ピペリドン、2,4−ジアミノブタン酸から得られる3−アミノ−2−ピロリドン等を挙げることができる。これらのうち、α−アミノ−ε−カプロラクタムが特に好ましく用いられる。前記α−アミノラクタムは、光学活性体であってもラセミ体であってもよいが、光学活性体であることが好ましい。またα−アミノラクタムは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。【0010】前記α−アミノラクタムのα−アミノ基を脂肪酸アミド基に変換する際に使用される飽和脂肪酸あるいはその誘導体の具体例としては、オクタン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、アラキン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸や、これらの飽和脂肪酸に対応する酸クロリド等を挙げることができる。これらの飽和脂肪酸あるいはその誘導体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記α−アミノラクタムと前記飽和脂肪酸および/またはその誘導体とを反応させる方法は特に限定されるものではなく、従来公知のアミド化法を採用することができる。例えば、α−アミノラクタムと前記飽和脂肪酸および/またはその誘導体とを、不活性溶媒中、無触媒下で反応させてもよいし、縮合剤等の触媒の存在下で反応させてもよい。反応温度は、通常、20〜120℃であり、また反応時間は、通常、0.5〜48時間である。反応生成物には、極少量の未反応の原料や溶媒等が、オイルのゲル化を妨げない範囲で混入していてもよいが、減圧留去、溶剤分別、再結晶等の操作により精製することが好ましい。【0011】次に、α−アミノラクタム誘導体(2)は、例えば、特定のアミノ酸の脱水反応等により得られるα−アミノラクタムを、炭素数3〜31、好ましくは炭素数7〜19、より好ましくは炭素数9〜17の飽和アルキルイソシアネートと反応させることにより、該α−アミノラクタム中のα−アミノ基を、アルキルウレア基に変換する方法によって合成することができる。前記α−アミノラクタムの具体例としては、リジンから得られるα−アミノ−ε−カプロラクタム、オルニチンから得られる3−アミノ−2−ピペリドン、2,4−ジアミノブタン酸から得られる3−アミノ−2−ピロリドン等を挙げることができる。これらのうち、α−アミノ−ε−カプロラクタムが好ましい。前記α−アミノラクタムは光学活性体であってもラセミ体であってもよいが、光学活性体であることが好ましい。またα−アミノラクタムは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。【0012】また、前記飽和アルキルイソシアネートの具体例としては、n−オクチルイソシアネート、n−ノニルイソシアネート、n−デシルイソシアネート、n−ウンデシルイソシアネート、n−ドデシルイソシアネート、n−トリデシルイソシアネート、ミリスチルイソシアネート、n−ペンタデシルイソシアネート、パルミチルイソシアネート、n−ヘプタデシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、3,5,5−トリメチルヘキシルイソシアネート、イソミリスチルイソシアネート、イソパルミチルイソシアネート等を挙げることができる。これらの飽和アルキルイソシアネートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記α−アミノラクタムと前記飽和アルキルイソシアネートとを反応させる方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、α−アミノラクタムと飽和アルキルイソシアネートとを、不活性溶媒中、室温あるいは氷冷下にて0.5〜7時間撹拌して反応させればよい。反応生成物には、極少量の未反応の原料や溶媒等が、オイルのゲル化を妨げない範囲で混入していてもよいが、減圧留去、溶剤分別、再結晶等の操作により精製することが好ましい。【0013】前記α−アミノラクタム誘導体(1)および/またはα−アミノラクタム誘導体(2)によりゲル化することのできるオイルとしては、特に限定されるものではないが、一般には極性の低いものが好ましく、具体的にはスクアラン等の動植物油類;流動パラフィン、イソパラフィン、灯油、重油、イソオクタン等の炭化水素類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル等の脂肪酸エステル類等を挙げることができる。これらのオイルは、単独であっても2種以上の混合物であってもよい。また、ゲル化されるオイル中には、他の成分がゲル化を妨げない範囲の濃度で、溶解、分散、乳化、懸濁あるいは混合されていてもよい。このような他の成分の例としては、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、生理活性物質等の有機化合物や、酸化チタン、タルク、マイカ、水等の無機化合物を挙げることができる。本発明のオイルゲル化剤によりオイルをゲル化する際には、オイルに対してオイルゲル化剤を、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の範囲で加え、必要に応じて加熱撹拌して、オイルゲル化剤を溶解させたのち、室温に放置することにより、オイルゲル化物を得ることができる。ゲル強度は、オイルゲル化剤の濃度により調整することが可能である。またゲル強度は、α−アミノラクタムの種類、各α−アミノラクタム誘導体の合成時に使用される飽和脂肪酸やその誘導体あるいは飽和アルキルイソシアナートの炭素数等によっても変えることができる。【0014】本発明のオイルゲル化剤は、種々のオイルに対するゲル化能が優れ、低濃度の添加でも長期にわたり安定なゲルを生成することができるとともに、特に高級炭化水素類のゲルはチキソトロピー性が優れ、かつ触感も“べたつき”などの欠点をもたない。しかも、本発明のオイルゲル化剤が仮に分解したとしても、分解生成物はアミノ酸と高級脂肪酸であり、生体に対する安全性にも優れている。本発明のオイルゲル化剤は、特に、例えば動植物油類、炭化水素類、脂肪酸エステル類等を基材とする、狭心症治療薬、乗り物酔防止薬等の経皮吸収製剤や、ファンデーション、口紅、アイシャドー等の化粧料の調製に好適に使用することができる。さらに、本発明のオイルゲル化剤は、経皮吸収製剤以外の医薬品、医薬部外品、インキ、塗料、潤滑油や、プラスチック、ゴム、金属等の加工分野のほか、農業、水産業、廃油処理等の分野でも用いることができる。【0015】【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。合成例1L−α−アミノ−ε−カプロラクタム5g(39ミリモル)とトリエチルアミン58ミリモルをジクロロメタン100ミリリットルに加えて撹拌した。これにラウリン酸クロリド39ミリモルをゆっくりと滴下し、室温で7時間撹拌を続けた。その後、生成した沈澱をろ別し、溶媒を減圧下に留去し、得られた固形物を酢酸エチルで再結晶させて、8.8gのL−α−アミノ−ε−カプロラクタムラウリン酸アミドを得た。この化合物を、ACa−LAとする。【0016】合成例2合成例1において、ラウリン酸クロリド39ミリモルに代えてオクタン酸クロリド39ミリモルを用いた以外は、合成例1と同様にして、6.8gのL−α−アミノ−ε−カプロラクタムオクタン酸アミドを得た。この化合物を、ACa−OAとする。【0017】合成例3L−α−アミノ−ε−カプロラクタム5g(39ミリモル)をジクロロメタン50ミリリットルに溶解して氷冷し、これにn−オクチルイソシアネート6g(39ミリモル)をジクロロメタン50ミリリットルに溶解した溶液を加えた。その後、反応液を室温に戻して1時間撹拌を続けたのち、溶媒を減圧下で留去し、得られた固形物をエタノールで再結晶させて、9.9gのL−α−アミノ−ε−カプロラクタムオクチルウレアを得た。この化合物を、ACa−OUとする。【0018】合成例4合成例1において、n−オクチルイソシアネート6g(39ミリモル)に代えてパルミチルイソシアネート10g(39ミリモル)を用いた以外は、合成例1と同様にして、14.4gのL−α−アミノ−ε−カプロラクタムパルミチルウレアを得た。この化合物を、ACa−PUとする。【0019】【実施例】実施例1〜2合成例1〜2で得られた各化合物のゲル化能を評価するため、種々のオイルに2.5重量%の濃度で加え、100℃のオイルバス中で加熱溶解したのち、室温で放置したときの溶液の状態を観察した。また、各化合物を流動パラフィンに1.0%の濃度で加えたときのゲル化能も調べた。ゲル化能の評価基準は、次のとおりである。◎:ゲル化する、○:増粘するがゲル化しない、●:ゲル化も増粘もしない。また、合成例1〜2で得られた各化合物を流動パラフィンに2.5%の濃度で加えてゲル化させ、ゲルのチキソトロピー性と触感について評価した。これらの評価基準は、次のとおりである。◎:良好、○:普通、●:不良。これらの結果を、表1および表2に示す。【0020】実施例3〜4合成例3〜4で得られた各化合物について、実施例1〜2と同様にして、ゲル化能およびゲルのチキソトロピー性と触感を評価した。これらの結果を、表1および表2に示す。【0021】比較例1〜3ゲル化剤として、ピロリドンカルボン酸ラウリルアミド(PCA−LA)、12−ヒドロキシステアリン酸(HS)またはパルミチン酸デキストリン(DP)を用い、実施例1〜2と同様にして、ゲル化能およびゲルのチキソトロピー性と触感を評価した。これらの結果を、表1および表2に示す。【0022】以上の結果から、本発明のα−アミノラクタム誘導体(1)を有効成分とするオイルゲル化剤は、ピロリドンカルボン酸ラウリルアミドに比べて、多くの種類のオイルに対するゲル化能が優れるとともに、低濃度でのゲル化能にも優れ、また12−ヒドロキシステアリン酸に比べて、ゲルのチキソトロピー性および触感が優れ、さらに高分子系のゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンに比べて、多くの種類のオイルに対するゲル化能が優れるとともに、低濃度でのゲル化能にも優れ、かつゲルの触感がより良好である。また、本発明のα−アミノラクタム誘導体(2)を有効成分とするオイルゲル化剤は、12−ヒドロキシステアリン酸に比べて、ゲルのチキソトロピー性および触感が優れ、さらに高分子系のゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンに比べて、多くの種類のオイルに対するゲル化能が優れるとともに、低濃度でのゲル化能にも優れ、かつゲルの触感がより良好である。【0023】【表1】【0024】【表2】【0025】【発明の効果】本発明のオイルゲル化剤は、種々のオイルに対するゲル化能が優れるとともに、低濃度の添加でも長期にわたり安定なゲルを生成することができ、また特に高級炭化水素類のゲルはチキソトロピー性が優れ、かつ触感もべたつき等の欠点をもたない。しかも、本発明のオイルゲル化剤が仮に分解したとしても、分解生成物はアミノ酸と高級脂肪酸であり、生体に対する安全性にも優れている。したがって、本発明のオイルゲル化剤は、種々の基材からなる経皮吸収製剤および化粧料の調製に好適に使用することができる。 下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種のα−アミノラクタム誘導体を有効成分とするオイルゲル化剤。(式中、R1 は炭素数2〜30の直鎖状もしくは分岐状の飽和アルキル基を示し、mは1〜9の整数である。)(式中、R2 は炭素数2〜30の直鎖状もしくは分岐状の飽和アルキル基を示し、nは1〜9の整数である。)


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