生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ゲル状徐放性組成物
出願番号:1997040898
年次:2006
IPC分類:A61K 47/36,A61K 47/12,A61K 9/00


特許情報キャッシュ

中村 亨 JP 3774975 特許公報(B2) 20060303 1997040898 19970225 ゲル状徐放性組成物 大正製薬株式会社 000002819 北川 富造 100074114 中村 亨 20060517 A61K 47/36 20060101AFI20060420BHJP A61K 47/12 20060101ALI20060420BHJP A61K 9/00 20060101ALI20060420BHJP JPA61K47/36A61K47/12A61K9/00 A61K 47/00-47/48 A61K 9/00- 9/72 CA(STN) REGISTRY(STN) 特表平02−504625(JP,A) 特開昭64−030547(JP,A) 特開平10−182449(JP,A) 特開平9−194346(JP,A) 特開昭64−5460(JP,A) 2 1998236983 19980908 6 20030806 小堀 麻子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は徐放性組成物に関するものである。さらに詳しくは、ゲル状を呈するため、水なしでも容易に服用でき、薬物の溶出を制御することによって、薬理効果を持続できるという作用を有する徐放性組成物に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、徐放性製剤をつくるには、薬物を含有する球形造粒した核粒子にフィルムコーティングを施し、その被膜厚を変えることによって薬剤の溶出時間を制御する方法が用いられていた。また、最近では、皮膜厚を変えることなく、被膜物質そのものに徐放性機能をもたせたり、球形造粒の時点で薬剤と放出制御物質のマトリックス構造を形成させる方法などが用いられている。こうして得られた薬剤はそのままの形態で顆粒剤や散剤として、あるいはカプセル中に封入されたり、錠剤中に包含され得るように成形されて徐放性製剤として提供されている。【0003】しかし、これらは通常複雑な製造工程を経るため多くの時間と手間を要し、更に、固形物であるため飲み難く、特に嚥下能力の低い老人や小児にとっては服用が困難な場合があった。また、服用時に水や温湯を必要とすることから、何時でも何処でも服用できるという性質のものではなかった。【0004】ここで、服用性に着目した製剤として特開昭56−97220号公報に、水溶性の薬物をカンテンやゼラチンでゲル化したものなどが記載されているが、これらは単に服用性を改良したものであって、薬物の溶出制御を目的としたものではなかった。また、カンテンでは離水し易いためゲルの安定性を確保し難く、ゼラチンでは薬物の溶出を制御することができないので徐放性を有する医薬品の基剤としては適当でなかった。【0005】更に、徐放性を有するゲル状組成物としては、特開平6−256221号公報に、アルギン酸、塩基性多糖類及び複合酸性ムコ多糖類からなるものが記載されているが、アルギン酸をカルシウムイオンで固化して製するゲルは、アルギン酸とカルシウムイオンの反応が速く、所望の形に成形したり、均質なゲルを得ることが困難であった。【0006】なお、食品や医薬品で使用実績があり、安全性の確認されているゲルとして、カラギーナンあるいはジェランガムを有機酸カルシウムで固化させて製するゲルが知られているが、これらは離水し易いためゲルの安定性に問題があり、同じくキサンタンガム及びローカストビーンガムからなるゲルでは、離水はしないものの薬物の溶出が極めて遅いという欠点があった。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、服用性に優れ、成形容易であり、かつ、薬物の溶出を制御できる徐放性組成物を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々検討を重ねた結果、数種のゲル基剤を組み合わせ、これに内服可能な医薬品成分を配合し、ゲル状に成形したものが、かかる課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。【0009】すなわち、本発明は、(A)経口投与可能な医薬品成分、(B)カラギーナン及びジェランガムからなる群より選ばれる1種又は2種、(C)キサンタンガム及びローカストビーンガムからなるゲル化剤、並びに(D)有機酸カルシウムを配合したことを特徴とするゲル状徐放性組成物である。【0010】【発明の実施の形態】本発明において経口投与可能な医薬品成分とは、経口投与により効果を発現する医薬品であり、特に水に対する溶解度が5μg/ml(37℃)以上のものが好ましい。具体的にはアセトアミノフェン、塩酸ロペラミド、ピコスルファートナトリウム、イブプロフェン、塩酸ブロムヘキシン、テオフィリン、マレイン酸クロルフェニラミン、インドメタシン、ビタミン類、生薬エキス、シメチジン、塩酸ラニチジン、クラリスロマイシンなどが挙げられる。【0011】本発明に用いられるカラギーナン及びジェランガムからなる群より選ばれる1種又は2種は、製剤全体の0.01〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部配合する。また、キサンタンガムおよびローカストビーンガムは、それぞれ0.01〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部であり、キサンタンガムとローカストビーンガムの重量比が1:1〜1:2の範囲内にある。【0012】本発明における有機酸カルシウム塩として好ましいものは、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムなどを挙げることができる。有機酸カルシウムの配合量は製剤全体の0.01〜10重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。【0013】本発明には添加物として、医薬品として受容可能な甘味剤、矯味剤、香料、乳化剤、安定化剤、充填剤、防腐剤などを配合することができる。例えば、ショ糖、果糖などの糖類、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコール、ステビオシド、ソーマチンなどの甘味料、クエン酸、ココア末などの矯味剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの界面活性剤、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどの防腐剤、EDTAナトリウム(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)、エリソルビン酸、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)などの安定化剤、二酸化ケイ素、例えばエロジール200(商品名)などの充填剤などが挙げられる。またこれら添加物以外にも、必要に応じて、通常の医薬品に配合が許される添加物を使用できる。【0014】本発明に係るゲル状徐放性組成物は、水にカラギーナン及びジェランガムからなる群より選ばれる1種又は2種とローカストビーンガムを溶解させてなる溶液と経口投与可能な医薬品成分、キサンタンガム及び有機酸カルシウム等を溶解させてなる溶液とを加温して混合させた後、経口容易な大きさ及び形状となるように適当な容器中に充填して冷却固化することにより得ることができる。【0015】【発明の効果】本発明に係るゲルは、数種のゲル基剤を組み合わせることで、それぞれのゲル基剤に固有の欠点を相殺し、離水や溶出性の問題を解決したものであり、比較的融点が高いため保存性に優れるとともに、その製造工程において比較的緩慢に固化するため、服用性あるいは携行性等を考慮した所望の形に成形することができるという特徴を有する。【0016】そして、このゲルに経口投与可能な医薬品成分を配合することにより、水なしでも容易に服用することができる医薬品の提供が可能となった。【0017】また、このゲルは酸性域において収縮するという性質を有するため、これに医薬品成分を配合した本発明に係るゲル状組成物は、胃の中で収縮することによって内包する薬物を放出し、薬理効果を持続するという徐放効果を発揮することができる。【0018】更に、単独のゲル基剤を用いた場合と異なり、ゲル基剤の配合比を変えることで薬物の放出パターンを自在に制御することができるため、薬物の性質や期待される薬理効果に応じた医薬品の提供も可能となった。【0019】すなわち、本発明により、服用性に優れ、成形容易であり、かつ、徐放効果を有する医薬品の提供が可能となった。【0020】【実施例】以下、本発明の実施例を記載する。【0021】実施例1クエン酸ナトリウム0.4gを水32.28gに溶解させ、これにカラギーナン1g、ローカストビーンガム0.3gを加えて60℃以上に加温、溶解させてA液とした。【0022】キサンタンガム0.3g、塩酸ロペラミド0.1g、クエン酸0.1g、プロピルパラベン0.02g、乳酸カルシウム0.5gをキシリット25gと共に混合し、この粉体混合物を水40gに加え、室温で30分間以上撹拌した後、60℃以上に加温してB液とした。【0023】A液とB液を60℃以上の温度を保ったまま、気泡を抜くため減圧下に混合した。これを直径13mm、深さ12mmの円柱形状の容器に高さ10mmとなるように充填し、30℃以下に冷却成形固化して目的のゲル状徐放性組成物を得た。【0024】実施例2表1に記載した成分について実施例1と同様の方法でゲルを調製した。【0025】実施例3表1に記載した成分について実施例1と同様の方法でゲルを調製した。【0026】実施例4表1に記載した成分について実施例1と同様の方法でゲルを調製した。【0027】比較例1ゼラチン5g、塩酸ロペラミド0.1gを予め65〜70℃に加温したグリセリン/水混合溶液(75:19.9)に温度を一定に保ちながら溶解させ、実施例1と同様の容器に充填した。充填後直ちに5℃に冷却し、目的とするゲルを得た。比較例2表1に記載した成分について比較例1と同様の方法でゲルを調整した。【0028】【表1】【0029】試験例実施例1乃至4、比較例1及び2の薬物の溶出性を日本薬局方第13改正記載の溶出試験法(パドル法)に従って評価した。尚、溶出液には同じく日本薬局方に定める第1及び2液を用い、パドルの回転速度は50rpmを採用した。【0030】塩酸ロペラミドの定量には高速液体クロマトグラフィー法(使用機器:日立L7000)を用いた。具体的には、所要時間毎に採取した溶出液中の塩酸ロペラミドの濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、以下の条件に従い定量した。【0031】(1)カラム ;ODS−80Ts(東ソー(株))、φ4×150mm(2)カラム温度;50℃(3)移動相 ;メタノール(600):水(400):アセトニトリル (50):1−ペンタンスルホン酸ナトリウム(1):リン酸(1)(括弧内の数字は、1−ペンタンスルホン酸ナトリウムについては重量比、それ以外については体積比を表す)(4)流速 ;1ml/min(5)試料注入量;10μg(6)検出 ;UV(210nm)結果を図1及び2に示す。【図面の簡単な説明】【図1】日本薬局方第1及び2液における実施例2で調製したゲルからの塩酸ロペラミドの溶出を示すグラフである。【図2】酸性条件(日本薬局方第1液)下において実施例1乃至4、比較例1及び2で調製したゲルからの塩酸ロペラミドの溶出を示すグラフである。 (A)経口投与可能な医薬品成分、(B)カラギーナン及びジェランガムからなる群より選ばれる1種又は2種、(C)キサンタンガム及びローカストビーンガムからなるゲル化剤、並びに(D)有機酸カルシウムを配合したことを特徴とするゲル状徐放性組成物。 有機酸カルシウムが乳酸カルシウム又はグルコン酸カルシウムである請求項1に記載のゲル状徐放性組成物。


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