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タイトル:特許公報(B2)_液体クロマトグラフィー用充填剤及びその処理方法
出願番号:1997021069
年次:2005
IPC分類:7,G01N30/48


特許情報キャッシュ

田中 宏幸 大平 真義 新井 有子 JP 3691619 特許公報(B2) 20050624 1997021069 19970120 液体クロマトグラフィー用充填剤及びその処理方法 ジーエルサイエンス株式会社 390030188 高橋 三雄 100063842 土井 整 100061701 田中 宏幸 大平 真義 新井 有子 20050907 7 G01N30/48 JP G01N30/48 K 7 G01N 30/48 米国特許第04600646(US,A) 特開平06−123734(JP,A) 特開昭63−171678(JP,A) 特開昭57−161648(JP,A) 特開平09−080038(JP,A) 特開平03−091538(JP,A) 4 1998206407 19980807 8 20040106 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、液体クロマトグラフィー用担体に用いられるシリカゲルに代表される粉体無機ポリマーをセラミック前駆体ポリマーなどとして利用されている窒化ケイ素ポリマーを用いて表面にアモルファスな構造を持つセラミックのコーティングを施し、このコーティングされた粉体無機ポリマーを用いる液体クロマトグラフィー用充填剤に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、液体クロマトグラフィー用担体、充填剤としてシリカゲル、有機ポリマー、カーボン等、更にシリカゲルに注目すれば、シリカゲルの他、シリカゲルをブチル、オクチル、オクタデシル、フェニルメチル、シアノプロピル、アミノプロピル基等のアルキル基を導入したシラン化合物でシリル化することにより、表面のシラノール基に化学結合させた化学結合型充填剤が多用されている。又、スチレンジビニルベンゼン、ブタジエン等より誘導された有機ポリマー等を担体として用いた充填剤等も用いられている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかし、これらは高理論段数が得られ、又使用できる有機溶媒に制限がないが、アルカリ領域での使用が出来ないとか、幅広いpHの領域での使用が可能であるが溶媒によっては膨潤や収縮等の現象を起こすので使用溶媒に制限がある等一長一短があり、色々なアイデアの基に改良改質されてきているが、未だ塩基性溶質の溶出遅れや、テーリング等再現性の点で満足すべきものとなっていない。又、シリカゲル以外の無機ポリマーは、水酸基が存在しているにも拘らず、クロマトグラフィー用充填剤として用いるために必要な官能基が、その表面の反応性の低さから導入されにくいという欠点をもつ。【0004】シリカゲルがそうであるように、チタニアゲルの表面へもオクタデシル基、オクチル基のような疏水性官能基を導入して、逆相系のカラムとして使用することが検討される。しかし、チタニアゲルはシリカゲルと違って、クロロシラン、メトキシシランとの反応が非常に進みにくいことが大きな障害となっている。つまり、オクタデシル基、オクチル基等が導入され難く、分析に用いるときにサンプルの保持がされ難く、且つ分離し難いと云ったようなことが問題となっている。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、上記事情に鑑みシリカゲル等の担体をクロマトグラフィーに用いる場合の化学的性質においての弱点であるアルカリ溶液中においての脆さを克服し、又、有機ポリマー等により処理された充填剤に見られる低理論段数の現象を克服し、テーリング現象等を解決する点にある。そして更に、シリカゲル以外の無機ポリマーは、例えばチタニア、ジルコニア等の表面にセラミックのコーティング膜を施すことにより、オクタデシル基等の官能基の導入をし易くすることができる。【0006】本発明は、シリカゲル、チタン、ジルコニウム等の担体を窒化ケイ素ポリマーを用いて処理し前記欠陥を克服するもので、シリカゲル等液体クロマトグラフィー用担体をこれらポリマーでコーティングし、これを熱処理することによりアモルファス構造をもつセラミックへと転化させ、アモルファスの石英構造膜のコーティングを施した充填剤及びその処理方法を提供することである。【0007】【発明の実施の形態】以下本発明につき詳細に説明する。シリカゲルをポリシラザンを用いて表面にセラミックスのコーティングを施す。用いられるシリカゲルの性状については特に制限されないが、粒子径1〜100μm、細孔径50〜1000Åのものが好ましい。このようなシリカゲルに窒化ケイ素ポリマーを加える。窒化ケイ素ポリマーとしてはポリシラザンの使用が好ましい。ポリシラザンとしては、ペルヒドロキシポリシラザンの使用が好適であり、分子量600〜2100程度のものの使用が好ましい。又、メチルポリシラザンも使用でき、分子量350〜700程度のものが良い。【0008】シリカゲルのペルヒドロポリシラザンのコーティング膜を施したものを空気中において数百度の熱をかけるとSiO2質膜へと転化する。又、ペルヒドロキシポリシラザンをジクロロメタン、m−キシレン、ベンゼン、トルエン、エーテル、テトラヒドロフラン、四塩化炭素等の適当な溶剤で希釈し、これに乾燥させたシリカゲルを加え、超音波振盪させると容易にシリカゲル表面に存在するシラノール基とポリシラザン分子との部分的な反応が起こり、シリカゲルの表面がポリシラザンでコーティングされる。然る後、これを濾過洗浄後熱処理すると、SiO2質膜へと転化する。SiO2膜はアモルファスな石英構造を取っているために、その表面上にはシラノール基が存在している。そこへクロロシラン、メトキシシランを反応させることで容易にオクタデシル基のような官能基を導入することができる。これは、チタニアゲル、ジルコニアゲルであっても同じことである。【0009】又、原料としてメチルポリシラザンを用いた方法について説明する。シリカゲルをメチルポリシラザン/ベンゼン溶液に懸濁させ、アスピレーターで減圧にしながら超音波振盪を行う。そして濾過洗浄し、余分のシラザンを除いた後、N2雰囲気中に保存し、乾燥させ膜コーティング試料とする。膜コーティング試料を管状炉を用いてN2気流中、昇温速度2℃/minで1200℃まで加熱焼成し、シリカゲル表面にSiCのセラミック膜を作成する。【0010】【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。〔実施例1〕ペルヒドロキシポリシラザン2gをジクロロメタン50mlで希釈する。この溶液に120℃のオーブン内で3時間乾燥させたシリカゲル20gを加え、超音波振盪を10分間行う。次にこのシリカゲルの懸濁混合液を濾過し、シリカゲルをジクロロメタンで洗浄濾過する。次いでこのシリカゲルを80℃のオーブン内で30分間乾燥後、オーブンの温度を500℃にして1時間焼成させアモルファスSiO2層へと転化させる。【0011】上記で得られたコーティングシリカゲルと該処理のない無コーティングシリカゲルをオクタデシルトリクロロシランで表面修飾し、官能基を導入した後耐久性試験を行った。尚、表面修飾方法は次のように行った。無コーティングシリカゲル、コーティングシリカゲルの各3gを(以下両者に共通である。)200ml容の丸底フラスコに入れ、これにトルエン30ml、オクタデシルトリクロロシラン3ml及び沸石を加え5時間還流後濾過し、トルエン、メタノール、アセトンの順で洗浄濾過する。このオクタデシル化シリカゲルを150×4.6mmI.Dのステンレス管にスラリー充填し、これにつき次の耐久性試験を行った。【0012】〈耐久性試験〉酸性溶媒(0.2%トリフルオロ酢酸溶媒)、アルカリ性溶媒(0.1M塩化ナトリウム溶液+0.1Mグリシン溶液/0.1M水酸化ナトリウム溶液=50/50)の順に浸漬し、時間経過による変化を次の条件でナフタレンの分析を行い、保持時間の減少の度合いをもって耐久性を測った。尚、分析条件と計算式は次の通り。【0013】結果は図1の通りとなった。1日目〜4日目までは酸性溶媒に浸漬した。結果はコーティングシリカゲルa及び無コーティングシリカゲルbとの間に耐酸性の差は認められなかった。5日目よりアルカリ性溶媒に浸漬した結果、両者間には顕著な差が認められ、6日目では更に差が開き、本実施例のペルヒドロキシポリシラザンでコーティングしたシリカゲルの耐アルカリ性の向上は極めて明瞭であった。【0014】図2及び図3は未処理のシリカゲルを用いての第1日目と第6日目のODS、図4及び図5はコーティングシリカゲルを用いての第1日目と第6日目のODSである。Acetophenone▲1▼,Benzene▲2▼,Toluene▲3▼,Naphthalene▲4▼混合試料について分析した結果である。図2,3において▲4▼Naphthaleneの保持時間は夫々12.8分、3.7分である。第6日目のK’の百分率はは約30%。これに対し、コーティングシリカゲルにおいては分離が明瞭である。保持時間は夫々図4,5に示されるように、7.9分、6.8分でK’の百分率は約85%である。図3乃至図5で注目されるのは、▲4▼Naphthaleneのピークの保持時間の減少が図3では顕著であり、未処理のシリカゲルに比べ、図7のコーティングシリカゲルは耐久性の向上が著しいことである。更に、極性物質の吸着性検査のためピリジンとフェノールの混合試料について分析の結果、図7のように両成分ともテーリングがなく、ピリジン、フェノールの順に溶出し、吸着も認められず分離が明瞭であった。これに対し、未処理シリカゲルの場合、図8に示すようにピリジンは検出されていない。これはシリカゲルのシラノール基が抑えられていること、即ち、コーティング膜が作用していることを示すものである。【0015】〔実施例2〕メチルシラザンのセラミック化処理原料はMeSiCl3/Me2SiCl3混合系の共アンモノリシスによるメチルシラザンオリゴマーと、1molのヘキサメチルシクロトリシラザンを3molのMeSiCl3で開環したメチルクロロシラザンのアンモノリシスによるアミノシラザンオリゴマー、その両者を熱処理して得られた熱可塑性メチルポリシラザンを用いる。コーティング用担体はカーボン繊維(3mm長に切ったもの)を用いる。コーティング担体を熱可塑性メチルポリシラザン/ベンゼン溶液に分散させ、真空デシケータ中で繊維表面に付着している泡の放出がなくなるまで減圧含浸を行う。分散溶液を濾過し、余分のシラザンを除いた後、窒素気流中に保存し、固化させゲル膜コーティング試料とする。該ゲル膜コーティング試料を模型管状炉を用いて窒素気流中、昇温速度で2℃min―1で1200℃まで加熱焼成し、カーボン繊維表面のゲル膜をセラミック化した。全く同様に担体としてチタン、ジルコニウムを用い、チタニア、ジルコニアを得てセラミック化することが出来る。又、ポリシラザンとしてメチルポリシラザンを用いてコーティングすることも同様常法により実施できる。【0016】〔実施例3〕ペルヒドロキシポリシラザン2gをジクロロメタン50mlで希釈する。この溶液に120℃のオーブン内で3時間乾燥させたチタニアゲル20gを加え、超音波振盪を10分間行う。次にこのチタニアゲルの懸濁混合液を濾過し、チタニアゲルをジクロロメタンで洗浄濾過する。次いでこのチタニアゲルを80℃のオーブン内で30分間乾燥後、オーブンの温度を500℃にして1時間焼成させアモルファスSiO2層へと転化させる。【0017】上記で得られたコーティングチタニアゲル及び無コーティングチタニアゲルをオクタデシルトリクロロシランで表面修飾し、官能基を導入した後耐久性試験を行った。尚、表面修飾方法は次のように行った。無コーティングチタニアゲル、コーティングチタニアゲルの各3gを(以下両者に共通である。)200ml容の丸底フラスコに入れ、これにトルエン30ml、オクタデシルトリクロロシラン3ml及び沸石を加え5時間還流後濾過し、トルエン、メタノール、アセトンの順で洗浄濾過する。このオクタデシル化チタニアゲルを150×4.6mmI.Dのステンレス管にスラリー充填し、これにつき実施例1と同様の耐久性試験を行った。この結果は図6に示される。【0018】【発明の効果】以上説明したように本発明の処理方法は、シリカゲル等の担体をペルヒドロキシポリシラザン、メチルポリシラザン等の窒化ケイ素ポリマーでコーティングし、これを熱処理することによりアモルファスなSiO2膜或いはSiCセラミック膜コーティングされるので、このような充填剤は塩基性化合物の吸着や不溶出もなくテーリングの点においても解決される。【図面の簡単な説明】【図1】本発明実施品と従来品の耐久性試験結果のグラフ図。【図2】無コーティングシリカゲルを用いた第1日目のクロマトグラム。【図3】無コーティングシリカゲルを用いた第6日目のクロマトグラム。【図4】本実施例のコーティングシリガケルを用いた第1日目のクロマトグラム。【図5】本実施例のコーティングシリガケルを用いた第6日目のクロマトグラム。【図6】本実施例3のコーティングチタニアゲルを用いた第1日目のクロマトグラム。【図7】ピリジン、フェノール混合試料について本実施例のコーティングシリカゲル使用のクロマトグラム。【図8】ピリジン、フェノール混合試料について未処理シリカゲル使用のクロマトグラム。【符号の説明】a 実施例1のコーティングシリカゲルb 無コーティングシリカゲル 液体クロマトグラフィー用担体をポリシラザンを用いて表面にセラミックのコーティングを施すことを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤の処理方法。 液体クロマトグラフィー用担体をポリシラザンを用いて表面にセラミックのコーティングを施したことを特徴とする液体クロマトグラフィー用充填剤。 ポリシラザンはペルヒドロキシポリシラザンであることを特徴とする請求項2に記載の液体クロマトグラフィー用充填剤。 ポリシラザンはメチルポリシラザンであることを特徴とする請求項2に記載の液体クロマトグラフィー用充填剤。


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