タイトル: | 特許公報(B2)_ラクトバチルス プランタラムおよびアルギニンを含む薬学的組成物 |
出願番号: | 1996533997 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 35/74,A61K 31/198,A61P 1/16 |
アダウィ ディヤ ジェップソン ベングト モリン ゲーラン JP 4058560 特許公報(B2) 20071228 1996533997 19960508 ラクトバチルス プランタラムおよびアルギニンを含む薬学的組成物 プロビ エービー 三枝 英二 掛樋 悠路 小原 健志 アダウィ ディヤ ジェップソン ベングト モリン ゲーラン SE 9501719-1 19950509 20080312 A61K 35/74 20060101AFI20080221BHJP A61K 31/198 20060101ALI20080221BHJP A61P 1/16 20060101ALI20080221BHJP JPA61K35/74 AA61K31/198A61P1/16 A61K 9/00 - 9/72 A61K 35/00 - 35/76 A61K 36/00 - 36/9068 A61K 38/00 - 38/58 A61K 39/00 - 39/44 A61K 48/00 C12N 1/00 - 7/08 BIOSIS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN) 国際公開第93/001823(WO,A1) 特開昭55−143916(JP,A) Applied and Environmental Microbiology, (1993), Vol.59, No.1, p.15-20 ANNALS OF SURGERY (1993), Vol.217, No.6, p.644-654 AACN Clinical issues (1994), Vol.5, No.4, p.450-458 Ann.Inst.Pasteru/Microbiol. (1986), Vol.137A. p.199-207 6 DSM 6595 DSM 9843 SE1996000603 19960508 WO1996035440 19961114 1999504936 19990511 12 20030418 佐久 敬 本発明は、ヒトの腸粘膜にコロニー形成(colonize)するか又は接着する能力を有するラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)株をアルギニンと組合せて含む薬学的組成物に関する。該組成物は、急性肝臓傷害(acute liver injury)および不全ならびに粘膜バリヤーの欠損および細菌の移動(translocation)の増加がみられる関連する状態の予防的または治療的処置に使用し得る。発明の背景細菌の移動は、微生物および毒性化合物が腸粘膜バリヤーを通過または腸壁(bowel wall)を横断することによる腸内控からの漏出(escape)であり、多くの疾患の進行に本質的に重要である。細菌移動は、例えば、免疫無防備状態(immunocompromised)の患者、重病および多臓器不全の患者、複数外傷の患者および熱傷のケース、肝臓疾患および炎症性腸疾患、並びに栄養失調を患っている患者に起こり得る。ウイルス性肝炎、激症肝不全、肝硬変、アルコール性肝炎、胆管炎、および慢性活動性肝炎のような自己免疫疾患は、細菌移動が起こり得る肝臓疾患である。肝炎、中毒傷害(toxic insults)に続く急性肝不全において、又は生命の危険を伴うような肝臓手術後に、腸からの細菌移動の増加がある。これから、これらの状態で見られる幾つかの感染性合併症が説明できるかもしれない。急性肝不全は、高い死亡率を有し、死亡の大部分はセプシス(sepsis)の高い発生率に起因し得る。重病又は免疫無防備状態の患者では、殆どの感染は患者自身の微生叢(microflora)によって生じ、セプシスまたは多臓器不全で死亡する多くの患者は敗血症巣が同定されない腸性菌血症(enteric bacteremi)を有し、これらの感染が腸に起源するかもしれないことを示す。激症肝不全の間に高い頻度で起こる臨床的に重大な細菌性セプシスゆえに、予防的処置もまた必要とされている。細菌移動はセプシスおよび敗血症(septicemia)をもたらし得、それらは肝不全を増強し多臓器不全をもたらし得る。増加した細菌感染の処置は、抗生物質を使用して行われ、それは多くの副作用を有し、腸粘膜バリヤーおよび微生物叢に影響し得る。これらの知見は、例えば抗微生物成分の産生または競合的増殖によって宿主の微生物バランスに有利に影響し得る微生物種に対する関心の増大をもたらした。乳酸桿菌属(Lactobacillus)は最も研究された種であり、ある場合には病原体の増殖を妨害することが示されている。乳酸桿菌は、正常な胃腸内ミクロ生態系の肝要部(integral part)を構成し、宿主代謝に関連する。乳酸桿菌を用いる細菌治療は、偽膜性および潰瘍性結腸炎の両方に有効であることが報告されている。アミノ酸アルギニンは、特に外傷の後に身体の免疫システムに強力な効果を有する。さらに、アルギニンは、細菌の増殖および分化に重要なメディエイターと考えられているポリアミンの公知の前駆体である。また、アルギニンは、局所および全身の免疫系を刺激することが知られている。従来技術SE 9501056-7は、ヒト腸上皮細胞のレセプターに対する接着性を賦与するアドヘシン(adhesin)を有する特定の乳酸桿菌株の、免疫応答を誘発する(triggering)薬学的組成物を調製するための、およびまた無傷の(intact)腸上皮を越える病原性または潜在的に病原性の細菌移動を処置するための使用に関する。該出願は特に、ラクトバチルス プランタラム299、DSM 6595、およびラクトバチルス プランタラム299v、DSM 9843、並びに指定されるようなクラスターに属する他のプランタラム乳酸桿菌株に関する。ジアノッティ,ルカ(Gianotti, Luca)ら、アナルズ・オブ・サージャリー(Annals of Surgery)、Vol 217、No.6、644-654は、細菌移動に対する食餌用アルギニンの効果を調べている。生存の増加が、アルギニンを補給した食餌で飼育された動物で観察できた。生存細菌についての定量的コロニー・カウントおよび算出されたパーセンテージは、移動した生物を殺滅する能力がアルギニンを摂取した動物において有意に増強されることを示した。ダリー,ジョン イー.(Daly, John E.)ら、サージャリー(Surgery)112:55-67、1992は、手術後の患者において、アルギニン、RNAおよびオメガ-3-脂肪酸を補給した腸内栄養物が、異なるメカニズムを介して免疫防御を改善することを示している。発明の説明現在、驚くべきことに、乳酸桿菌の特定の株とアルギニンの組合せが、細菌移動に関連する肝臓傷害および不全の程度を有意に減少させることが見い出されている。本発明は、−インビボでヒト腸粘膜にコロニー形成する能力を有するラクトバチルス プランタラム株;−アルギニン;および−薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。本発明は特に、乳酸桿菌株がヒト腸上皮細胞上のレセプターに対する接着性を賦与するアドヘシンを有するものである、薬学的組成物に関する。糖タンパク質レセプターとアドヘシンとの間の接着性は、糖α−メチルマンノシドによって阻害され、このことは該レセプターがマンノースを含むものであることを意味している。しかしながら、このレセプターは、赤血球凝集反応試験により示され得る大腸菌1型フィムブリェ(type 1 fimbriae)についてのマンノース含有レセプターとは異なる。当該レセプターは、Manα1-2Man配列を含むと考えられている。本発明は特に、ラクトバチルス プランタラム株が、ピアソン乗積相関係数および算術平均を用いる不荷重対群アルゴリズム(unweighed pair group algorithm with arithmethic averages, UPGMA;ゲルコンペアー3.0(GelCompare 3.0)、アプライド・マスズ(Applied Maths)、コルトリジク(Kortrijk)、ベルギー)を使用して、ラクトバチルス プランタラム株299、寄託番号DSM 6595との制限エンドヌクレアーゼ分析による類似性が70%より高いクラスターに属する薬学的組成物に関する。制限エンドヌクレアーゼ分析、REAは、下記の遺伝子型同定の項目で述べられる方法に従って、制限酵素で分解された細菌染色体DNAの寒天ゲル上での電気泳動で形成された切断パターンの分析を示す。それらのREAパターンで株を特徴化することより、使用された単離物の同定が確立できる。特に、本発明は、下記のいずれかの株:ラクトバチルス プランタラム299 DSM 6595ラクトバチルス プランタラム299v DSM 9843ラクトバチルス プランタラム79ラクトバチルス プランタラム105ラクトバチルス プランタラム107またはREAによりラクトバチルス プランタラム299(L.plantarum 299)との類似性が70%を超える他の株を含む組成物に関する。好ましいラクトバチルス プランタラム株は、同時係属中の出願SE 9501056-7に記載されており、それは参考として援用される。組成物中のアルギニンは、好ましくはL-アルギニンである。しかしながら、綿実のタンパク質あるいは大豆またはエンドウ由来のタンパク質のような、アルギニン・リッチなタンパク質を使用することも可能である。本発明の薬学的組成物は、乳酸桿菌株およびアルギニンに加え、薬学的に許容される担体も含む。慣用されている担体は例えば、問題となる細菌で発酵された生理学的に許容される基質、並びに特にデンプンまたはミルクに基づく様々な種類の食料品、さらに不活性な固体あるいは食塩水または水のような液体の物質である。好適な基質は、胃腸管で再吸収されず、また乳酸桿菌で発酵されるとき短鎖脂肪酸を形成する液体または固体の繊維を含むことが望ましい。好適なデンプン含有基質の例として、オート麦および小麦のような穀類、トウモロコシ、ジャガイモのような根菜類およびグリーンバナナのような特定の果物を挙げることができる。本発明の組成物は、任意の好適な方法で、好ましくは経口的または経直腸的に、例えば注腸の形態で、投与できる。それはまた、胃を経て腸管に挿入されるカテーテルを介して、あるいは直接的に腸管に、経腸的に投与され得る。試験によれば、食物繊維が、例えばオートミール粥またはβ-グルカンの形態で供給される場合に、その効果が向上することが示されている。処置は、1〜2週間の間、日に1回または数回行われることが望ましい。例えば肝臓手術および肝臓の炎症に関連した肝不全では、肝臓は、その正常な機能を果たさず、アンモニア、窒素化合物、エンドトキシンおよび他の細菌産物は代謝されることなく肝臓を通過し、全身に影響を与える。これらの状況の間、肝臓への負荷を減らす方法は、患者に注腸を施すか下痢を引き起こさせて腸を洗浄することである。これをすると、腸が機能するのに必要な多くの生成物が除去される。本発明の組成物は好ましくは、このような状態の下で注腸として投与され得る。乳酸桿菌株は、好ましくは、薬学的組成物中に107〜109CFU/mlの濃度で使用できる。ヒトへのアルギニンの好ましい投与量は、25-30g/dである。経口投与のための好ましい担体は、例えばWO 89/08405に記載されるようなオートミールに基づくか又はミルク例えばチーズに基づく栄養液のような、乳酸発酵された食品である。他の好ましい担体は、ベータ-グルカン、ペクチン、オリゴ糖のような食物繊維製品であり、それもまた乳酸発酵された食品に含めることができる。経口投与では、1日に1〜5回与えられる好ましい量は、100〜200mlである。経口投与のための好ましい組成物は、例えばゲル形成用多糖でアルギニンをプレ凝集することによって小腸での消化から保護されたアルギニン成分を含むものであり、それは胃腸管で膨張すると結腸での発酵に耐えれる保護ゲル・コーティングを提供する。このタイプのゲル・コーティングは、ペクチン、グアー種子粉末または市販製品プロパル((Propal)、清水(Shimizu Co.)、日本)のようなコンニャク用植物(Konjac plant)からのグルコマンナンで行うことができる。経直腸投与では、担体は好ましくは、アルギニンと乳酸桿菌が、必要に応じてベータ-グルカンまたはペクチンのような食物繊維とともに懸濁されている生理学的溶液である。1日に1〜2回で与えられる好ましい量は、20〜50mlである。【図面の簡単な説明】図1は、ピアソン乗積相関係数とUPGMAに基づく、REA-法で特徴付けられた種々の試験乳酸桿菌の菌株間での類似性を%で表すデンドログラムである。株の同定菌株299および299vは、共に健康なヒト腸粘膜から単離されたものであり、ドイツ微生物収集細胞培養GmbHにそれぞれ1991年7月2日および1995年3月16日に寄託され、寄託番号DSM 6595(299)およびDSM 9843(299v)が与えられている。表現型同定 菌株299、299v、79v、105および107は、グラム陽性のpH5.5のロゴサ寒天上で生育するカタラーゼ陰性桿菌であり、グルコースから嫌気的に乳酸を産生することができる。それらの菌株が有する種々の炭水化物の発酵能力を表1に示す。試験は、製造業者の指示に従い、API 50 CHによって行った。表 1API 50CH上における30℃および37℃での、菌株ラクトバチルス プランタラム(L.プランタラム)299、ラクトバチルス プランタラム299v、ラクトバチルス プランタラム107、ラクトバチルス プランタラム105およびラクトバチルス プランタラム275の発酵パターン表現型的には、それらの菌株は、プランタラム乳酸桿菌として同定できる。表現型的同定REAスタール,モリン,ジー(Molin G)、パーソン,エー(Persson A)、アールネ,およびスタール,インターナショナル・ジャーナル・オブ・システマチックバクテリオロジー、40: 189-193、1990及びさらにヨハンソン,エム−エル(Johansson, M-L)らによって詳説されたインターナショナル・ジャーナル・オブ・システマチック・バクテリオロジー、45: 670-675、1995に従い、制限エンドヌクレアーゼ分析-REA-法により、染色体DNAの切断パターンに関して株を調べた。概略的には、REAは次のように記載できる:研究に関連する株から染色体DNAを調製し、制限エンドヌクレアーゼで切断した。0.75μgの各DNAを個別に、10単位のHindIII、ClaIおよびEcoRIを用いて、37℃で4時間消化した;それぞれのエンドヌクレアーゼは別々に使用した。上記のスタールらは、HindIIIの代わりにAsp718を使用したが、Asp718による消化は、大きいバンドを多量に生じるため、本方法に最適ではなかった。切断したDNAフラグメントは、浸水(submerged)ホリゾンタルアガローススラブゲルを用いたゲル電気泳動により、サイズに従って分離される。ゲルは、150mlの0.9%アガロース(ウルトラピュアDNAグレード;low electro-endo osmosis;バイオラド・ラボラトリーズ(BioRad Laboratories),リッチモンド、米国)からなり、スラブゲルとして成型(cast)された(235mmが150個)。0.2μgのハイ・モレキュラー・ウェイトDNAマーカー(ベセスダ・リサーチ・ラボラトリーズ(Bethesada Research Laboratories)、ビーアールエル(BRL))を、0.5μgのDNA分子量マーカーVI(ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)、ドイツ)とともに、スタンダードとして使用した。さらに、EcoRI(分子量4.2×106;ベーリンガー・マンハイム)で消化されたpHC 79を内部スタンダードとして各ウェルに加えた。フィコール・ローディング緩衝液(2gのフィコール(Ficoll)、8mlの水、0.25%ブロモフェノール)にサンプルDNAを適用することにより、最小バンド歪み(distortion)および最大シャープ(sharpness)が達成された。40Vの一定電圧で18時間8.5℃にて、ゲルをラン(run)した。緩衝液(89mM Tris、23mM H3PO4、2mM EDTAナトリウム、pH8.3)は、ランニング期間中、再循環させた。その後、ゲルを、臭化エチジウム(2μg/ml)中で20分間染色し、蒸留水で脱色し、UVトランスイルミネーター(ユーヴィピー(UVP Inc.)、サン・ガブリエル、米国)を用いて302nmで可視化し、写真に撮った。この方法でゲルをランニングして電気泳動すると、下は分子量1.2×106に至るまで良く分配された比較的十分に分離したバンドが得られた。写真ネガ上のバンド・パターンを、レーザー・デンシトメーター(ウルトロスキャン・エックスエル(UltroScan XL);エルケービー−プロダクター・エービー(LKB-Produkter AB)、ブロマ(Bromma)、スウェーデン)でスキャニングした。分解度は、レーン毎に1000ポイントで、各レーンは約50mmの長さであった。LKB 2400ゲルスキャンXLソフトウェアパッケージ(エルケービー−プロダクターエービー)を用いて、データを得た。バンド・パターンを標準化し、バックグラウンドノイズをゲルコムパー(GelCompar)3.0プログラム(アプライド・マスズ、コルトリジク、ベルギー)のローリングディスク・アルゴリズムを用いてサブトラクションした。3つの開裂物(HindIII、ClaIおよびEcoRIによる)からのデータを、各株について組合せた(ゲルコムパー3.0を用いて)。データセットを、ピアソン乗積相関係数(r)および算術平均を用いる不荷重対群アルゴリズム(UPGMA)(ロマースバーグ,エイチ.シー(Romersburg, H.C.)1984、クラスターアナリシス・フォー・リサーチ.(Cluster analysis for research.)ライフタイム・ラーニング・パブリケーションズ(Lifetime Learning Publicatins)、ベルモント(Belmont)、カリフォルニア、米国)を用いて分析した。ピアソン相関係数およびUPGMA値を、完全なデータセットについて計算し、ゲルコムパー3.0プログラムを使用した。図1で、ラクトバチルス プランタラム299と>70%の類似性を有するクラスターに印をつけた。プラスミド・プロフィーリングそれらの菌株を、チャシー(Chassy)ら(1976)に記載される方法に従い、プラスミドの内容に関して試験を行った。ラクトバチルス プランタラム299、299v、79および105は、同一のプラスミド・プロフィール、即ち、4、9、15、21、>30 MDaの5個のプラスミドを有していた。プランタラム乳酸桿菌107は、4、15および21 MDaの3個のプラスミドを有していた。ラットでの生理学的試験この実験の目的は、急性肝臓傷害モデルにおいて、アルギニンを伴なうか又は伴わない、種々の乳酸桿菌の菌株の直腸補給の肝臓傷害および細菌移動の範囲に対する効果を研究することである。実験では、5つの異なる乳酸桿菌株:ラット腸粘膜から単離したレウテリ乳酸桿菌(L.reuteri)R2LC、ヒト結腸から単離したラムノサス乳酸桿菌(L.rhamnosus)DSM 6594(株271)、ヒト空腸から単離したフェルメンタム乳酸桿菌(L.fermentum)8704:3(株245)、ヒト空腸から単離したレウテリ乳酸桿菌108並びにヒト空腸および直腸から単離したラクトバチルス プランタラムDSM 9843(株299v)を使用した。全ての細菌株は、ラボラトリー・オブ・フードハイジーン、デパートメント・オブ・フードテクノロジー、ルンド大学、ルンド、スウェーデンから得た。体重が200-300gの範囲の雄スプラグーダウリー(Sprague-Dawley)ラットを、6匹ずつ13群に分けた:正常、コントロールの急性肝臓傷害(ALI)、アルギニンを補給されたもの(SA)、レウテリ乳酸桿菌R2CLを補給されたもの(SR)、レウテリ乳酸桿菌R2CL+アルギニンを補給されたもの(SRA)、ラムノサス乳酸桿菌271を補給されたもの(SS)、ラムノサス乳酸桿菌271+アルギニンを補給されたもの(SSA)、ラクトバチルス プランタラム299vを補給されたもの(SP)、ラクトバチルス プランタラム299v+アルギニンを補給されたもの(SPA)、フェルメンタム乳酸桿菌8704:3を補給されたもの(SF)、フェルメンタム乳酸桿菌8704:3+アルギニンを補給されたもの(SFA)、レウテリ乳酸桿菌108を補給されたもの(ST)およびレウテリ乳酸桿菌108+アルギニンを補給されたもの(STA)である。全動物は、実験を通して通常のラット用餌(R3、ラクタミン・エービー(Lactamin AB)、ストックホルム)および水を随意に与えられ、12時間の明暗サイクルで22℃の室温で飼育された。異なる乳酸桿菌の菌株が1日に1回、2%アルギニンとともに又は伴われずに、8日間、直腸から投与された。乳酸桿菌属の菌株の1日の補給は、動物1匹につき3ml中約3×109 CFUであった。8日目に、1.1g/体重kgのD-ガラクトセアミン(シグマ・ケミカル(Sigma Chemical Co.)、セントルイス、米国)を腹腔内注射することにより、急性肝臓傷害を誘発した。それにより腸管腔から遠位の臓器への細菌漏出の増大がもたらされる。急性肝臓コントロール群では、普通の食塩水が8日間毎日補給され、肝臓傷害が8日目に誘発された。肝臓傷害の喚起から24時間後および48時間後に、サンプルを集めた。エーテル麻酔下に、正中切開によって無菌的に開腹術を行った。門脈血を細菌学的試験のために集め、動脈血を細菌学および肝酵素試験のために集めた。肝臓の尾状葉および腸間膜リンパ節(MLN)からのサンプルを、細菌学および肝臓の組織学的研究用に取得した。移動細菌の発生 細菌学的分析において、血液サンプルは、直ちにEDTA含有滅菌試験管に入れた。組織サンプルを、5mlの滅菌輸送培地中に置いた。サンプルを、超音波浴内に5分間置き、チルターン((Chiltern)、ターマグラス(Terma-Glas)、スウェーデン)上で2分間攪拌した。ブレインハートインフュージョン寒天BHI(brain heart infusion agar BHI(オキソイド(Oxoid))上に1.0mlのサンプルを置くことにより、全嫌気的プレート・カウント(total aerobic plate count)が行われ、37℃で3日間インキュベートされた。全嫌気的プレート・カウントは、サンプルをBHI上に置き、嫌気的条件下で37℃でインキュベートすることによって行われた。3日後、各プレート上に形成されたコロニー数をカウントし、最初の組織重量に対して修正した。6匹のラットのそれぞれの群の各ラットの異なる部分における細菌移動の発生(incidence)を、下記の表1に示す。上記の細菌移動の発生のスコアリングでは、ラットの血中または組織中の細菌の存在または不存在が示されている;少なくとも1個の細菌が見い出されるならポジティブ値としてラットに与えられる。細菌移動の発生は、フィッシャー(Fisher)の正確な試験を用いて評価された。0.05未満の確率(probability level)が、有意であると判断された。表1から判るように、血液への細菌移動の発生は、急性肝臓傷害のコントロール群では、正常コントロール群と比較して有意に増加した。しかしながら、細菌移動の発生は、アルギニンを用いても用いなくても、ラクトバチルス プランタラム299v、レウテリ乳酸桿菌R2LCおよび108、フェルメンタム乳酸桿菌8704:3を補給された群で有意に減少した。肝臓および腸間膜リンパ節での移動細菌の発生は、急性肝臓傷害コントロール群に比較すると、全ての群で僅かに減少した。血液中の肝酵素 ザ・コミッティー・オン・ザ・エンザイムズ・オブ・ザ・スカンジナビアンソサイエティ・フォー・クリニカルケミストリー・アンド・クリニカルフィジオロジー(Scan J Clin Lab Inves 1974; 33: 291-306)の推奨に従い、コダック(Kodak)、Echa chem 700 XRC上で血液を遠心分離(1000 x g、10分)した後、動脈血中の肝酵素である血清ビリルビン(Bil)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)レベルを測定した。血清アミノトランスフェラーゼは、肝細胞障害についての鋭敏な指標で、急性肝細胞性疾患を認識するのに最も有用であり、それらは最も頻繁に測定される肝疾患の指標である。肝胆疾患(hepatobiliary diseases)は、血清アルカリ性ホスファターゼの上昇を導く。肝細胞損傷(damage)では、血清ビリルビン値は、より高い。増加した血清ビリルビン、上昇したASATまたはALAT、および上昇したアルカリ性ホスファターゼの組合せは、肝臓疾患の存在に関する予測の正確性を示す。全ての値は、平均値±SEMで示している。結果は、全対多重比較法を用いて、統計学的に評価した。上記の表から、アルギニンを用いても用いなくても、乳酸桿菌を補給した全ての群で肝酵素は減少し、該減少はアルギニンとラクトバチルス プランタラムを組合わせて補給した群で最も有意であった。肝組織学 肝葉からのサンプルを、4%リン酸緩衝ホルムアルデヒド中に置いたパラフィン包埋サンプルをスライスし、ヘマトキシリンおよびエオジンで染色した後、光学顕微鏡で調べた。それぞれの標本から、少なくとも3つのスライドを調べた。肝の組織学的スコアリングは、チョジキア,エム.(Chojkier, M.)ら、ガストロエンテロロジー 1985; 115-21およびシラトリ,ワイ.(Shiratori, Y.)ら、ヘパトロジー 1988; 8(4): 815-21に記載の方法に僅かな装飾を加えて行った。平均的な(av)度合いの肝細胞壊死および炎症細胞浸潤は、ルンド大学病理学部で大まかに(blindly)、下記のように定量的に評価した:1 最小2 中位3 やや大きい(submassive)4 大きい試験結果を、下記の表3に示す。肝臓障害から24時間後ならびに48時間後、肝組織学的スコアーは、ラクトバチルス プランタラム+アルギニンを補給した群で、急性肝臓傷害コントロール群と比較して有意差を示した。要 約異なる病因による急性肝不全を有する患者では、腸内細菌による感染の発生は非常に高く、約30-40%である。細菌の腸外部位への移動は、肝不全を増強し、敗血症および多臓器不全をもたらし得る。上記の試験から、肝酵素およびビリルビンの放出の有意な減少、細菌移動の減少ならびに肝組織学スコアーによって判断できるように、アルギニンおよびラクトバチルス プランタラム株を含む本発明の組成物は、肝臓傷害および不全ならびに関連する細菌移動の予防に、他の試験株よりも優れているものと結論づけられる。 −ラクトバチルス プランタラム 299、DSM6595およびラクトバチルス プランタラム 299V、DSM9843からなる群から選択されるラクトバチルス プランタラム株;−アルギニン;および−薬学的に許容される担体、を含む、ヒトを含む哺乳動物の急性肝臓障害および不全ならびに関連する細菌移動の処置のための、薬学的組成物。 該ラクトバチルス プランタラム株がラクトバチルス プランタラム 299V、DSM9843である、請求項1に記載の薬学的組成物。 アルギニンがL−アルギニンである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。 −ラクトバチルス プランタラム 299、DSM6595およびラクトバチルス プランタラム 299V、DSM9843からなる群から選択されるラクトバチルス プランタラム株;−アルギニン;および−薬学的に許容される担体、を含む、ヒトを含む哺乳動物の肝臓障害および不全ならびに関連する細菌移動の治療的および/または予防的処置ための医薬製造における、薬学的組成物の使用。 該ラクトバチルス プランタラム株がラクトバチルス プランタラム 299V、DSM9843である、請求項4に記載の薬学的組成物の使用。 アルギニンがL−アルギニンである、請求項4または5に記載の薬学的組成物の使用。