生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ピペリン含有組成物
出願番号:1996525650
年次:2007
IPC分類:A61K 31/4525,A61K 36/18,C07D 317/60,A61P 39/06,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

マジード ムハメッド バドマエフ ウラディミール ラジェンドラン アール JP 3953513 特許公報(B2) 20070511 1996525650 19951106 ピペリン含有組成物 サビンサ コーポレーション 501394413 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 平山 孝二 100114007 北村 欣一 100060025 マジード ムハメッド バドマエフ ウラディミール ラジェンドラン アール US 08/393,738 19950224 US 08/550,496 19951030 20070808 A61K 31/4525 20060101AFI20070723BHJP A61K 36/18 20060101ALI20070723BHJP C07D 317/60 20060101ALI20070723BHJP A61P 39/06 20060101ALI20070723BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070723BHJP JPA61K31/4525A61K35/78 CC07D317/60A61P39/06A61P43/00 121 C07D317/00 - 72 A61K 31/00 - 80 A61K 36/18 BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) JMEDPlus(JDream2) JST7580(JDream2) JSTPlus(JDream2) 特開平02−124077(JP,A) 特開昭61−265073(JP,A) 特開平08−143562(JP,A) Biochemical Pharmacology, Vol.43, No.7, pp.1401-1407, (1992) 中谷延二,香辛料の抗酸化性,食品の包装,1987年,第19巻第1号,pp.97-102 3 US1995012758 19951106 WO1996025939 19960829 1999500725 19990119 21 20010313 ▲高▼岡 裕美 発明の背景1.発明の分野本発明は、栄養素の生体利用効率(bioavailability)高めるためのピペリン含有組成物に関する。1930年から1980年までに米国人の平均余命が50%増大したが、このことは、一部、この間の米国における栄養の改善に起因すると言うことができる。しかしながら、今日の状態は理想からかなり離れた状態のままである。なぜならば、米国における主な死因の10種(心臓発作、悪性腫瘍、肝硬変、及び糖尿病を含む)のうちの6種は規定食(diet)に関連がある。これらの疾患の多くはバランスのよい規定食並びにある種のビタミン及びミネラルを含む有効な栄養物補給によって防ぐことができるということが次第に明らかになっている。上記問題は、年とった米国人の場合に特に深刻である。米国の老人のほぼ30%は、全ての必須栄養素について規定食に要求されているものを摂取していない。必須栄養素を激減させたときの食物−薬剤の相互作用があるという危険性は十分に認識されている。老年者が薬剤治療の使用を増すことを必要とすることは避けることができない。例えば、ある種の抗生物質を用いることによりカルシウム及び鉄の吸収が減少し、また、EDTAキレート化治療により亜鉛、鉄、銅及びマグネシウムの吸収が減少する。加えて、悪性腫瘍及び心臓血管疾患の危険を増す多くの食物が、規定食から除かれなければならず、それがさらに必須栄養素の源を激減してしまう。例えば、赤肉、レバー、卵黄、チーズ、及び酪農製品のようなビタミンB及びビタミンDの優れた源は、それらのコレステロール含分が高いために、しばしば制限される。制限されたメニューはまた、神経伝達物質の重要な前駆体であり、そして年とともに生じる脳の退化を防ぐ役割をなすかもしれないトリプトファンのような必須アミノ酸の激減を引き起こす。必須栄養素の利用率(availability)は、さらに貧弱な胃腸内吸収によって損なわれる。必須栄養素の不充分な栄養補給、不充分な胃腸内吸収及び不充分な代謝利用を補うための伝統的な方法は、ビタミン及びミネラル補足物質のような代償物質を多量投与することである。本発明は、種々の栄養物質の生体利用効率を増すことによって栄養状態を改善するための組成物を提供する。栄養素の生体利用効率はまた、動物の健康及びヒトの健康にも関係がある。かくして、本発明の組成物はまた、獣医の業務において使用されることも意図されている。2.関連技術の説明紀元前7世紀〜西暦6世紀の間の期間から始まるアーユルヴェーダ(ayurvedic)医学について記載している文献には、「トリカク("trikaku")」が記載されている。この「トリカク」とは、三種の刺激的な味・臭い(acrids)を意味するサンスクリット語であり、ブラック ペッパー(black pepper)(ピパー ニグラム リン(Piper nigrum Linn.))、ロング ペッパー(long pepper)(ピパー ロンガム リン(Piper longum Linn.))及びジンジャー(ginger)(ジンジバー オフィシネール ロスク(Zingiber officinale Rosc.))の組み合わせが言及されている。伝統的なアーユルヴェーダ医学においては、これらの薬剤が広い範囲の疾患のために使用される多くの処方箋薬及び処方物の必須成分である。実験的証明によれば、「トリカク」並びに個々の及び集合的なその成分の使用により、多くの薬剤の生体利用効率が増強されることが示されている。動物のみならずヒトのボランティアにおいて実施されたこれらの研究では、種々の薬剤の生体利用効率の増大の原因である活性成分はピペリンであるということが認められた。ピペリン又はピペリンを含む混合物は、バサカの葉(vasaka leaves)(K.G.ボース、(1928)インド薬局方、ボース ラボラトリーズ、カルカッタ(Bose, K.G.,(1928)Pharmacopeia India,Bose Laboratories,Calcutta))の成分、バシシン(vasicine)(アタルら、ジャーナル オブ エスノファーマコロジー、4、229−233(1981)(Atal et al., Journal of Ethnopharmacology,4,229-233(1981))、スパルチン(アタルらの上記ジャーナル)、スルファディアジン(アタルらの上記ジャーナル)、リファンピシン(U.ズットシーら、(1984)ジャーナル オブ ジ アソシエーション オブ フィジシアンズ オブ インディア、33、223−224(Zutshi, U. et al.(1984)Journal of the Association of Physicians of India,33,223-224))、フェニトイン(バノら、プランタ メディカ、1987、第568−569頁(Bano et al., Planta Medica,1987,pp.568-569))、ペントバルビトン(A.N.マジャンダーら、(1990)、インディアン ジャーナル オブ エクスペリメンタル バイオロジー、28、486−487(Majumdar, A.N. et al.(1990),Indian Journal of Experimental Biology,28,486-487))、セオフィリン(バノら、ユーロ.ジェー.クリン.ファーマコル.(1991)41:615−617(Bano et al., Eur. J. Clin. Pharmacol.(1991)41:615-617))及びプロプラノロール(同)を含む多くの薬剤の生体利用効率、血中濃度並びに効能を増大することが示されている。プロプラノロールの生体利用効率に及ぼすピペリンの効果が研究された。抗高血圧剤プロプラノロールの長期にわたる経口投与は、この薬剤の一様な治療濃度が達成されず又は維持もされないという事実によりしばしば困難とされている。さらに、効能のためには多量の投与が必要とされるが、これはしばしば副作用を引き起こす。ピペリンはこの薬剤の生体利用効率を増強することがわかった。ピペリンと一緒に投与されたプロプラノロールは、おそらくは肝臓による代謝の減少により血漿中薬剤濃度の有意な増大を示す。ピペリンと、バシシン、セオフィリン、及びフェニトインとの場合も同様な結果が得られた。ピペリンはまた、結核及びらい病の治療のための多成分薬剤処方物の場合にも添加された。リファンピシン、ピラジナミド及びイソナイアジドを含む処方物について、ヒトのボランティアで試験した(インド特許第1232号/DEL/89)。ほとんどの薬剤について、薬剤の比較濃度及びピーク濃度は、ピペリンの存在において、存在しない場合より高かった。これらの結果を、抗結核及び抗らい病処方物(この処方物は発展途上国では現在法外な価格である)の開発へ適用する可能性があることは明らかである。生体利用効率の増強は、投薬濃度を下げ、また、治療過程を短縮するのに役立つ。要約すれば、これらの例は全て、薬剤の生体利用効率増強剤としてのピペリンの役割を明らかに示している。ピペリンと試験した薬剤との組み合わせは、主として、高い血漿濃度及び人体中での長い薬剤滞留のために有効である。毒性の高い薬剤の投与量の減少及びそれら薬剤の効能の増強は明らかに望ましい。種々の薬剤化合物に適したピペリンの有効な生体内増強(bioenhancing)投与量は異なるが、従来技術の研究によれば、活性薬剤のほぼ10%(wt/wt)の投与量がほとんどの薬剤に適した適当な生体内増強投与量と認められ得るということが示されている。ピペリンが薬剤生体利用効率において持つかもしれない役割についてのもっともらしい説明が二つある。すなわち、ピペリンは、a)薬剤及び栄養素の急速な吸収を促進する非特異的なメカニズム、例えば、胃腸管への血液供給の増大、幾つかの薬剤の分解を防ぐ塩酸分泌の減少、腸の乳化含量の増大、γ−グルタミル トランスペプチダーゼのような、栄養素を腸管細胞へ能動また受動輸送することに関与する酵素の増大、また、b)薬剤の生体内変換に関与する酵素を阻害し、それら薬剤の失活及び消失を防ぐ非特異的なメカニズムを持つかもしれない。これについては、A.R.アンナマライ、R.マナヴァラン、(1990)「トリカツ」及びその個々の成分とピペリンとの胃腸管に及ぼす効果:トリカツ−生体利用効率の増強剤(Annamalai, A.R., Manavalan, R.(1990)Effects of "Trikaku" and its individual components and piperine on gastrointestinal tracts: Trikaku−a bioavailable enhancer)、インド ドラッグス 27(12);第595−604頁;R.K.ジョーリら、(1992)ラットの腸管上皮細胞の透過性におけるピペリン媒介変化(Ind. Drugs 27(12); pp. 595-604; Johri, R.K. et al.(1992)Piperine-mediated changes in the permeability of ratintestinal epithelial cells);バイオケ.ファーマコロ.43;第1401−1407頁;C.K.アタルら、(1985)ピペリンによって増強した薬剤利用率の生化学的ベース:ピペリンが薬剤代謝の効能のある阻害剤であるということの証明(Bioch. Pharmacol. 43; pp. 1401-1407; Atal, C.K. et al.(1985)Biochemical basis of enhanced drug availability by piperine: Evidence that piperine is a potent inhibitor of drug metabolism);ジェー.ファーマコロ.エクスプ.セラプ.232;第258−262頁;及びJ.シンら、(1986)腸管内でのグルクロン化活性のピペリン媒介抑制:ピペリンが内因性UPD−グルクロン酸含量を低下するということの証明(J. Pharmacol. Exp. Therap. 232; pp. 258-262; and Singh, J. et al.(1986)Piperine-mediated inhibition of glucuronidation activity in intestine: evidence that piperine lowers the endogenous UDP-glucuronic acid content);ジェー.ファーマコル.エクスプ.セラプ.2236;第448−493頁(J.Pharmacol. Exp. Therap. 2236; pp. 448-493)を参照せよ。ピペリンと共に投与された殆どの薬剤は、二つのメカニズム、すなわち、腸からの吸収の増加並びに生体内変換、失活及び系からの消失のスローダウンの結果として、恐らくはさらに生体利用効率がよくなる(恐らくはより生体内で利用しうる)。後者のスローダウンのメカニズムは、恐らくは、薬剤の高い血中濃度を持続する際に、また、薬剤の組織に対する生体利用効率をよくする際に極めて重要である。血流への急速な吸収は、薬剤の血中濃度の増加の理由を説明するかもしれないけれども、薬剤を体内により高い量でより長時間にわたり滞留させて、薬剤をより有効にするのは、ピペリンによる薬剤の生体内変換酵素の阻害である。入手できる文献のデータに基づけば、ピペリンは、一人当たり少なくとも20mgの一日投与量で酵素を阻害することにより作用し、さもなければ、多くの薬剤を生体内変換しそして薬剤の消失速度をあげるように思われる(U.ズットシーら、(1989)結核及びらい病の治療のための増強した活性を有する薬剤組成物の調製方法(Zutshi, U. et al.(1989)A process for the preparation of pharmaceutical combination with enhanced activity for treatment of tuberculosis and leprosy);インド特許第1231号/Del/89;ズットシら、(1984)肺結核の患者におけるリファンピシン血中濃度に及ぼすピペリンの影響(Zutshi et al.(1984)Influence of piperine on rifampicin blood levels in patients of pulmonary tubercurosis);ジェー.アソシ.フィジ.インド.33;第223−224頁;C.K.バンら、(1991)健常なボランティアにおけるプロプラノロール及びセオフィリンの生体利用効率並びに薬剤動態に及ぼすピペリンの効果(J. Assoc. Phys. Ind. 33; pp. 223-224; Ban, C.K. et al.(1991)The effect of piperine on the bioavailability and pharmacokinetics of propranolol and theophylline in healthy volunteers);ユオロピアン ジェー.クリン.ファーマ.41;第615−618頁、及びG.バノら、(1978)健常なボランティアにおけるフェニトインの薬剤動態に及ぼすピペリンの効果(European J. Clin. Pharm. 41; pp. 615-618 and Bano, G. et al.(1978)The effect of piperine on the pharmacokinetics of phenytoin in healthy volunteers;プランタ メジカ 53;第568−570頁(Planta Medica 53; pp. 568-570))。興味深いことには、生体内変換酵素を阻害するピペリンの投与量によれば、ピペリンが薬剤と同時に投与されるかどうかにかかわらず作用する。この点は、セオフィリン及びフェニトインのそれぞれの投与に先立ってピペリン20mgを7日間投与したこれらの薬剤を用いた実験によって説明され得る[C.K.バンら、(1991)健常なボランティアにおけるプロプラノロール及びセオフィリンの生体利用効率並びに薬剤動態に及ぼすピペリンの効果(Ban, C.K. et al.(1991)The effect of piperine on the bioavailability and pharmacokinetics of propranolol and theophylline in healthy volunteers)、ユオロピアン ジェー.クリン.ファーマ.41;第615−618頁、及びG.バノら、(1978)健常なボランティアにおけるフェニトインの薬剤動態に及ぼすピペリンの効果(European J. Clin. Pharm. 41; pp. 615-618 and Bano, G. et al.(1978)The effect of piperine on the pharmacokinetics of phenytoin in healthy volunteers)、プランタ メジカ 53;第568−570頁(Planta Medica 53; pp. 568-570)]。生活規制(regimen)により投与された薬剤の血中濃度の増加がもたらされそして消失時間が劇的に長くなるので、もっともらしい説明は、ピペリンの予めの投与により薬剤生体内変換酵素が阻害されたということである。実際、このことが、生体利用効率の増大についての唯一の説明であるように思われる。なぜならば、薬剤とは別に投与されるピペリンが、その急速な吸収へと導く胃腸内の出来事に恐らく影響を与えなかったからである。別の興味深い観察は、生体内変換酵素を阻害するのに有効と認められる場合より低いピペリンの投与量が、腸からの薬剤の急速な吸収を増強するのにやはり十分であるかもしれないということである。この現象は、抗高血圧性薬剤プロプラノロールとピペリンとの共投与により説明され得る(U.ズットシーら、(1989)結核及びらい病の治療のための増強した活性を有する薬剤組成物の調製方法(Zutshi, U. et al.(1989)A process for the preparation of pharmaceutical combination with enhanced activity for treatment of tuberculosis and leprosy);インド特許第1231号/Del/89)。プロプラノロールをピペリンと一緒に投与した場合、血中濃度の有意な増大が示された。薬剤の最大血中濃度はピペリンにより2倍に増大した。重要なことは、プロプラノロールの生体利用効率を劇的に改善するにも拘わらず、3mgの投与量で使用されるときのピペリンは、薬剤の消失速度に影響を与えないということである。以前の研究とは異なる実験設計で、抗喘息薬のセオフィリン及び抗癲癇薬のフェニトインを試験した(C.K.バンら、(1991)健常なボランティアにおけるプロプラノロール及びセオフィリンの生体利用効率並びに薬剤動態に及ぼすピペリンの効果(Ban, C.K. et al.(1991)The effect of piperine on the bioavailability and pharmacokinetics of propranolol and theophylline in healthy volunteers)、ユオロピアン ジェー.クリン.ファーマ.41;第615−618頁、及びG.バノら、(1978)健常なボランティアにおけるフェニトインの薬剤動態に及ぼすピペリンの効果(European J. Clin. Pharm. 41; pp. 615-618 and Bano, G. et al.(1978)The effect of piperine on the pharmacokinetics of phenytoin in healthy volunteers)、プランタ メジカ 53;第568−570頁(Planta Medica 53; pp. 568-570))。6人の健常なボランティアに対して研究を行った。それらの関与者を、150mgのセオフィリン又は300mgのフェニトインを受ける前に、7日間の間、一日当たり20mgのピペリンを用いて予備治療した。セオフィリンの最大濃度は、ピペリンで予備治療された被検者の場合には、1.5倍高かった。重要なことは、薬剤の消失速度がピペリン予備治療により有意にスローダウンしたということである。フェニトイン血中濃度は、薬剤のみを受けるグループにおけるよりもピペリンで予備治療されたグループにおいてかなり急速に上昇した。予備治療されたグループでは、より短時間でかつ有意により高い濃度で最大濃度が達成された。ピペリンでの予備治療により、薬剤の有意により遅い消失がもたらされた。上記した従来技術には、生体利用効率増強剤としてのピペリンの役割、及び生体利用効率増強の全メカニズムに対するピペリンの有効投与量の重要性が明確に説明されている。プロプラノロールの場合には、僅か3mgのピペリンを一緒に投与することにより、プロプラノロール血中濃度は倍になるが、薬剤消失速度をスローダウンすることはない。かくして、ピペリンは、少量の投与量では、生体内変換酵素を阻害しないかもしれないし、又は薬剤の消失速度に影響を与えないかもしれないということが推定されうる。それどころか、ピペリンは急激な吸収メカニズムへと導く胃腸内の出来事の増強を通して作用するのかもしれない。発明の概要本発明は、栄養素の生体利用効率を改善するための組成物に関する。本発明の組成物は、胃腸内吸収を増大し、呼吸器内層、泌尿器内層、血液脳関門、及び皮膚のようなある種の生物学的障壁の乗り換え(crossing over)を改善し、そしてある種の栄養素及び生物学的化合物の全身利用をもたらす。本発明の組成物は、必須成分として、ピペリンを含んでいる。この化合物は、少なくとも98%のピペリンを有するピパー ニグラム(piper nigrum)の果実からの抽出物として得られてもよい。あるいはまた、組成物は、ピパー ロンガム(piper longum)の果実の抽出物から調製されてもよい。合成されたピペリンもまた、本発明で使用されてもよい。本発明の組成物はまた、ジンジバー オフィシネール(zingiber officinale)の根からの抽出物(活性成分6−ジンジャオール及び6−ショーガオールを有する)を含んでいてもよい。ピパー ニグラムの果実からの抽出物、ピパー ロンガムの果実からの抽出物、及びジンジバー オフィシネールの果実からの抽出物を用い、これらを任意の比率で組み合わせて組成物を調製することができる。好ましい重量比は2:2:1、1:1:1、2:1:1、及び1:2:1を含む。平均的な健常成人によって栄養素(一つ又は複数)と共に摂取される毎日の補給として、ピペリンは広い投与量範囲で有効でありかつ安全である。栄養素生体利用効率を増強するためのピペリンの経口用としての好ましい有効投与量範囲は、0.0004〜0.15mg/kg/日である。健常な個体に対する経口用としてのピペリンの推奨される投与量は、ほぼ5mg/人/日である。臨床的に診断された栄養素欠乏の場合における推奨される投与量は、15mg/人/日まで、すなわち6時間毎(朝、正午、及び夕方)の分割量で5mgまでである。生体関門を通る乗り換えを改善するために、局所又は非経口用製剤として使用するとき、本発明の組成物は、必須成分として、ピペリンを0.00004〜0.015mg/kg(体重)含んでいる。栄養物質は栄養的に有効な量で使用される。ブラック ペッパーは、約5〜9%のピペリンを含んでおり、そして香辛料、調味料又は風味付与剤として目的とする使用に安全(GRAS)と一般に認められる薬草としてFDAにリストされている。本発明で使用されるピペリンの生体内増強投与量は、最大約15mg/人/日であって、分割投与量で20mg/日以下である。これは、げっ歯動物に対する種々の実験で立証されているように、ピペリンの50%致死量(LD50)よりも数千倍から40,000倍の低い量に対応する。本発明の活性成分は、98%よりも高い純度のピペリンを製造する新規な方法によって調製されてもよい。【図面の簡単な説明】図1は、ピペリンの試験中の平均血清β−カロチン値の変化を示す。図2は、β−カロチンの14日間生体利用効率のAUC比較を示す。図3は、β−カロチンのAUCデータの百分率比較を示す。好ましい実施の態様の記載本発明は、種々の栄養物化合物の生体利用効率を改善するための組成物に関する。本発明の組成物は、胃腸内吸収を増大し、呼吸器内層、泌尿器内層、血液脳関門、及び皮膚のようなある種の生物学的障壁の乗り換えを改善し、そしてある種の栄養素及び生物学的化合物の全身利用をもたらす。本発明の組成物はまた、熱発生を増加することにより作用する。このメカニズムは、温度受容器の活性化及びカテコールアミンの放出及び/又はβ−1,2,3−アドレナリン作用受容体作動物質としての直接の作用によって誘発されるものと思われる。カテコールアミンの分泌もまた、P2タイプのプリン作動性受容器を経てATPによって媒介されても、また、ドーパミン作動性及びセロチン作動性系の本発明の組成物によって直接又は間接の刺激を通しても媒介されうる。β−3−アドレナリン作用受容体の刺激により、熱発生の増加、食物摂取に影響を与えることのない白色脂肪組織の量の減少、インシュリン受容体濃度の増加、並びに血清中インシュリン及び血中グルコースの濃度の減少がもたらされるということは知られている。本発明は、単独で熱発生及び脂肪なし体重の増加のメカニズムの原因である抗肥満並びに抗糖尿効果を有していてもよい。ここで、脂肪なし体重(lean body mass)とは、全体重から脂肪を除いた体重を意味する。本発明の抗肥満及び抗糖尿効果は、バナジウム有機又は無機塩の形態(両者は合成及び天然産)で、本発明の組成物をバナジウムと組み合わせて使用することによって、有効性を高めることができる。本発明の熱発生効果もまた、甲状腺ホルモン合成における重要な酵素である甲状腺ペルオキシダーゼの活性の増加、トリヨードチロニン(T3)及びチロキシン(T4)の血漿中濃度の増加(同時に組織酸素取り込みの増加がある)、並びに熱発生の増加によって媒介されてもよい。本発明の甲状腺由来の及び熱発生の作用は、本発明の組成物をL−セレノメチオニン及びヨードの補給と組み合わせて使用することによって、有効性を高めることができる。栄養素及び薬剤のための代謝経路は、栄養素が基礎代謝及び生物体の生理学的機能を持続させるが、一方、薬剤は基礎代謝に対する付加物として利用され、生理的機能に対するホメオスタシスを元に戻すという点で異なっている。このような差違により、本発明の生体利用効率の異なったメカニズムを理解することが可能になる。従来技術によって説明されているように、主に生物体内の薬剤の治療レベルを持続するあるメカニズムが適用可能である。本発明者によって議論されるように、栄養素の吸収を増大せしめ、また、それらの代謝利用を増大せしめる別のメカニズムが適用可能である。本発明は、栄養素及び植物性化合物の胃腸内吸収を増加することを主として意図するものであるが、これを専らとするものではない。一般に、これは、胃腸内上皮、呼吸器内層、泌尿器内層、血液脳関門及び皮膚等の、これらに限定されるものではないが、生物学的障壁を通して栄養素及び植物性化合物の乗り換えを増強する。いずれの作用メカニズムに制限されたくはないけれども、本発明の基本メカニズムは、以下詳細に記載されるような種々の能動及び受動輸送メカニズムに影響を与えることによって、また、細胞レベルでの代謝の増強による基質要求量に対する増加を引き起こすことによって二倍になると思われる。この後者のメカニズムは、本発明の組成物が、熱発生、若しくは代謝熱エネルギー産生及び放出の増加をもたらす温度受容器の活性化を通して、直接的又は間接的に作用して人体の体温調節に影響を与える時に誘発される。本発明は、特に皮膚及び粘膜において温度受容器に影響を与えることによって、熱及び非熱の侵害受容刺激が脊髄背角細胞(spinal dorsal horn cells)へ伝えられるのを防ぎ、そして侵害受容刺激の閾値を増加することによって局部及び全身麻酔薬(鎮痛剤)として作用する。本発明の組成物はまた、温度受容器に影響を与え、そして熱及び非熱の有害な刺激が脊髄背角細胞へ伝えられるのを防ぐのに使用され、それが局所及び全身鎮痛効果を発揮する。加えて、鎮痛効果の増強作用は、ピペリンが一緒に投与される鎮痛剤の吸収を増加することによって、そしてさらには鎮痛作用の相乗的又は追加のメカニズムをもたらすことによって引き起こされると思われる。本発明の組成物は、栄養素及び栄養補給物の胃腸内吸収並びに全身利用を改善する。好ましい実施の態様では、通常の補給物が単独で摂取される時に生じる血漿中濃度の20〜80%まで最大血漿中濃度が上昇する。胃腸内吸収を改良するための本発明の製剤は、任意の栄養素、生物学的化合物、又は栄養補給物を用いて調製することができる。特に、好ましい生物学的化合物には、ボズウエリン(boswellin)、クルクミン、カプサイシン、アシュワガンダ(ashwagandha)、ギンクゴ ビロバ(ginkgo biloba)、及びアコニチンが含まれる。本発明の組成物はまた、アミノ酸、特に必須アミノ酸であるリシン、イソロイシン、ロイシン、スレオニン、バリン、トリプトファン、フェニルアラニン、及びメチオニンの他、L−セレノメチオニンを含んでいてもよい。アミノ酸は、アミノ酸の膜内外輸送を容易にするγ−グルタミルサイクルを増加することによって胃腸内吸収の増強を受けるものと思われる。多くの抗生物質は、ある種の金属性及び非金属性ミネラルの吸収を減少する。そのような損失を相殺するために、本発明の組成物は、ヨード、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウム及びカリウムのような必須のミネラルを含んでいてもよい。バナジウム、クロム、セレン及びマンガンのような他の金属もまた、本発明の組成物中に含まれていてもよい。本発明の組成物は、主に、膜を横断するこれらの金属化合物の能動輸送を増強することによって、これらの金属化合物の胃腸内吸収を助成するように思われる。加えて、本発明の組成物は、鉛、水銀、及びカドミウムのようなある種の危険な重金属の胃腸内吸収を防ぐかもしれないし、また、酵素的機能により重金属の全身的障害を防ぐかもしれない。本発明の組成物は、塩化水銀、塩化鉛及び塩化カドミウムとともに不溶性塩を形成することができ、そしてまた、酵素のスルフヒドリル基が重金属と反応しないようにすることもできる。本発明の組成物にはまた、抗酸化剤が含まれていてもよい。好ましい抗酸化剤には、α−カロチン、トランスβ−カロチン、β−クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン/ゼアキサンチン、松樹皮ビオフラボナール類(bioflavonals)錯体、ゲルマニウム、セレン、及び亜鉛が含まれる。抗酸化剤活性の増強は、脂質過酸化反応及び遊離基形成の阻害による抗酸化剤化合物の全身性利用率の増強を通して生じるものと思われる。本発明の好ましい組成物は、特別の個体群において特に必要とされる上記成分のうちのいずれの種類を含んでいてもよい。本発明が栄養素の誘発する熱発生を増強させる組成物及び脂肪無し体重を増大させる組成物である場合には、各組成物に水溶性ビタミン及び脂溶性ビタミンを含んでいてもよい。本発明の組成物中に含まれていてもよい栄養素、生物学的化合物及び栄養補給物の多くのものは、商業的に入手可能である。特に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸及び抗酸化剤は商業的に入手可能である。薬草由来の化合物は、一般には、特別の植物の乾燥エタノール抽出物である粉末状で使用される。例えば、ボズウエリン酸(Boswellic acid)は、ボズウエリア セルラタ(Boswellia Serrata)の根のエタノール抽出物から得られる。ギンセノシド類(Ginsenosides)は、チョウセンニンジンの根のエタノール抽出物から得られる。ウイズアナロイド類(Withanaloids)は、ウイタニア ソムニフェラ(Whitania somnifera)植物のエタノール抽出物から得られる。ギンクゴ フラビノイド類は、ギンクゴ ビロバ植物のエタノール抽出物から得られる。クルクミノイド類は、ククマ ロンガ(Cucuma longa)植物のエタノール抽出物から得られる。ピクノゲノールは、ピナス ピナセタ(Pinus pinaseter)の樹皮のエタノール抽出物から得られる。プロアントシアニジン類は、松の樹皮のエタノール抽出物から得られる。薬草からの化合物の幾つかはまた、種々のソースから商業的に入手可能である。本発明におけるピペリンは、後記の参考例に示すピペリンの新規単離方法によって製造してもよい。この方法で得られた化合物は、バイオペリン(Bioperine)の登録商標名を有する。あるいはまた、ピペリンは従来技術の方法によって提供されてもよいし、又は合成されてもよい。以下の実施例は、いかなる点ででも制限することを意図するものではないが、本発明の好ましい実施の態様の幾つかを示すものである。実施例栄養処方物下記実施例1,2のビタミンA含有製剤は、栄養素の誘発する熱発生を増強させる組成物及び/又は脂肪無し体重を増大させる組成物として利用される。ビタミンA 錠剤/カプセル実施例1)処方:ビタミンA 錠剤/カプセル/ソフトゲルビタミンA(パルミテート) 10,000IUピペリン 4mg実施例2)ビタミンA及びD 錠剤/カプセル/ソフトゲルビタミンA(パルミテート) 10,000IUビタミンD(カルシフェロール) 400IUピペリン 4mg実施例3)β−カロチン カプセル/ソフトゲルβ−カロチン 15mgピペリン 4mg実施例4)クルクミン カプセルクルクミン 500mg(最低95%のクルクミノイド類)ピペリン 5mg実施例5)ボズウエリン カプセルボズウエリア セルラタ抽出物 320mg(最低65%ボズウエリン酸)ピペリン 3mg実施例6)薬草由来のカプセル/錠剤処方Aカノコソウ(Valerian)の根 100mgカミルレ(Chamomile)(花) 100mgパッションフラワー(Passion Flower) 25mgチョウセンニンジンの根の粉末 50mgタツナミソウ(Skullcap) 25mgイラクサ(Nettle)の葉 25mgピペリン 3mg処方Bブッチュー(Buchu)の葉 100mgユーバ ウルシ(Uva Ursi)の葉 25mgセロリの種子 25mg杜松実(Jnniper berries) 50mgパセリ 50mgトウモロコシの穂毛 50mgピペリン 4mg処方Cエキナセア(Echinacea)の根 100mgレンゲソウの根 100mgオオムギの葉 50mgスキザンドラ(Schizandra)の種子 100mgシイタケ マッシュルーム 50mgピペリン 5mg処方Dチョウセンニンジン抽出物 500mg(5%ギンセノシド類)ピペリン 5mg処方Eチョウセンニンジン抽出物 250mgアシュワガンダ抽出物 250mg(1%ウイズアナロイド類)ピペリン 5mg処方Fギンクゴ ビロバ抽出物 240mg(24%ギンコフラビノイド類)ピペリン 3mg処方Gボズウエリア セルラタ抽出物 320mgクルクミン 200mgピペリン 5mg処方Hボズウエリア セルラタ抽出物 320mgカプサイシン 3mgピペリン 4mg実施例7)処方A − 抗酸化剤含有ミネラル(錠剤/カプセル)ビタミン C 250mgビタミン E 100IUビタミン A(β−カロチン) 10,000IUセレン(L−セレノメチオニン由来) 50μgクロム(ピコリン酸クロム) 50μgピペリン 4mg処方Bピクノゲノール 30mgピペリン 3mg処方C松の樹皮抽出物 15mgクルクミン 15mgピペリン 3mg処方D(ソフトゲル)補酵素Q10 15mgピペリン 3mg処方E − 抗酸化性清涼飲料ビタミン C 200mgβ−カロチン 15mgビタミン E 100IU亜鉛(モノメチオニン) 15mgセレン(L−セレノメチオニン) 50mg柑橘類ビオフラバノイド錯体 50mgケルセチン 25mgルチン 25mgヘスペリジン(柑橘類) 20mgピクノゲノール 5mgピペリン 2.5mg実施例8)アミノ酸処方L−タウリン 200mgL−カルニチン 100mgピペリン 2.5mg実施例9)下記のビタミンB複合体は、栄養素の誘発する熱発生を増強させる組成物及び/又は脂肪無し体重を増大させる組成物として利用される。ビタミンB複合体パントテン酸(ビタミンB5) 200mgナイアシンアミド(ビタミンB5) 125mgピリドキシン HCl(ビタミンB6) 75mgチアミン(ビタミンB1) 60mgリボフラビン(ビタミンB2) 25mgパラ−アミノ安息香酸(PABA) 25mg葉酸 400μgコバラミン(ビタミンB12) 200μgビオチン 100μgピペリン 4mg実施例10)多ビタミン及び多ミネラルビタミンA 5,000IUビタミンB1 1.5mgビタミンB2 1.7mgビタミンB6 2.0mgナイアシンアミド 20mgビタミンE 30IUビタミンB12 6mgパントテン酸 10μgビタミンD 400IUビタミンC 100mg葉酸 400μgビオチン 30μgカルシウム 200mgマグネシウム 400mg鉄 18mgヨード(ケルプ) 150μg銅 2mgマンガン 2.5mgカリウム 40mgクロム 25mgセレン 25mgビタミンK1 25mgピペリン 5mg実施例11)ヒドロキシクエン酸シトリン(Citrin)(登録商標) 500mg(ヒドロキシクエン酸のカルシウム塩)ピペリン 5mg上記製剤及び成分は一例であり、決して本発明を制限することを意図するものではない。実施例12β−カロチンの生体利用効率以下は、栄養素吸収におけるピペリンの利用例である。98%ピペリンからなり、バイオペリン(登録商標)として知られているピペリンを、栄養素生体利用効率の実験で評価した。この研究の目的は、バイオペリンを含んだ、また、含まない処方を受けるヒトボランティアにおいて、β−カロチンを比較することであった。非喫煙者であり、アルコールを控え、交叉試験(cross-over)の研究期間中に栄養補給物又は処方薬を採らない12人の健常な男性ボランティアが、14日間の期間中、バイオペリンを含み、また、含まないβ−カロチン補給を受けた。この研究の結果は、14日間の補給後、処方物Aを受容した対照グループからのボランティアの場合は、バイオペリンを含んだ処方物Bを受容したグループからのボランティアの場合よりも、β−カロチンの血中濃度の増加が有意に小さいことがわかった。バイオペリンを受けたグループでは、β−カロチンのみを受けたグループに較べて、血中β−カロチン濃度がほぼ2倍増加した。β−カロチンの生体利用効率に関するピペリンの効果の起こりそうなメカニズムは、この栄養素及び恐らくは同様な他の栄養素の吸収の増加へと導く胃腸内出来事に関するピペリンの効果である。5mgそして15mgまでのピペリン投与量は、先に議論したように、大多数の薬剤の代謝に恐らくは妨害を与えないであろう。実際、β−カロチンと一緒に使用されたこの投与量は、実験中変わらなかったレチノールの血中濃度によって測定されたように、体内のこの栄養素の代謝経路に影響を与えていない(以下参照)。レチノール、すなわちビタミンAはβ−カロチンの代謝変換の産物であり、その血中濃度はピペリンによる酵素の阻害/刺激によって恐らく影響を受けるであろう。ピペリンがβ−カロチンからビタミンAへの変換率を高めないということは重要な発見である。なぜならば、ビタミンAの過剰投与量による毒性作用は周知であるからである。ビタミンAの毒性の危険性なしにβ−カロチンの血中濃度を増加せしめるという利点は、β−カロチンによって与えられる抗酸化剤保護の安全かつ有効な増強に転換する点にある。12人の健常なボランティアへのβ−カロチンの14日間の補給による実験からの追加の証拠により、ピペリンは、補給されないが別に毎日の食物で消費される栄養素の吸収、代謝及び消失に影響を与えないことが示される。例えば、補給されない水溶性ビタミンC及び脂溶性ビタミンEの血中濃度は、試験前及びピペリンと共にβ−カロチンを14日間補給した後に評価されたように、影響を受けなかった。低投与量のピペリンによるヒト代謝に及ぼす阻害効果の明らかな欠如は重要な観測結果である。このことは、ある種のビタミン類のような栄養素と共に共投与されるピペリンを必要とするかもしれないヒトの多くが、変更することのできない薬剤の養生に基づいているかもしれないが故に、特にそうである。利用可能な文献に基づけば、一人当たり20mg/日より低いピペリンの投与量は、先に議論した薬剤のような生体異物全てではないとしても、ほとんどのものの代謝に影響を与えない。実施例13毒性ブラック ペッパーは、約5〜9%のピペリンを含んでおり、そして香辛料、調味料又は風味付与剤(21 CFR 100.0, 182.10, 182.20)として、目的とする使用に安全(GRAS)と一般に認められる薬草としてFDAによってリストされている。ブラック ペッパーの輸入額に基づけば、米国におけるブラック ペッパーの平均消費量は、約359mg/人/日*である。この粗コショウの量は、ピペリン18.0〜32.3mg/人/日に換算される(表6)。他の出典によれば、ブラック ペッパーの毎日の人の消費量は、規定食の0.02%を構成し、これは粉末ペッパー2mg/kg/日に対応する(G.B.バート、N.チャンドラセクハラ、(1986)、「離乳ラットに副作用のないピペリン、ペッパー又はペッパーオレオレジン」、ジェー.フード セイフティ、7;第215−223頁(Bhat, G.B. Chandrasekhara, N.(1986),"Lack of adverse effect of piperine, pepper or pepper oleoresin on weanling rats", J. Food Safety, 7; pp. 215-223))。この推定に基づけば、ブラック ペッパーとこれを成分とするピペリン40%含有のオレオレジン、及び純粋なピペリンが、人の平均的な毎日の摂取量の5〜20倍として計算される投与量でラットに給餌された。ペッパー及びその成分を含んだこの特別の規定食は、食物摂取、給餌された動物の成長パターン、臓器重量に影響を与えず、また、どんな臨床上の徴候も現れなかった。治療されたまた治療されなかった動物の血液化学試験結果の比較では、RBC、WBC、白血球百分率、ヘモグロビン濃度、総血清タンパク、アルブミン類、グロブリン類、グルコース、コレステロール、並びに血清アミノトランスフェラーゼ及びフォスファターゼの濃度におけるいかなる変化も示さなかった。実験動物におけるピペリンの急性、亜急性及び慢性毒性の検討は、広い投薬量範囲で使用されるピペリンが一般の成長パターン、体重対臓器重量比、臨床上の総体的徴候、及び血液化学データにおけるいかなる異常も示していない(R.K.ジョーリ、U.ズットシ、(1992)、「アーユルヴェーダの処方「トリカク」及びその構成成分」(Johri, R.K., Zutshi, U.(1992),"An Ayurvedic for mulation 'Trikaku' and its constituents")、ジャーナル オブ エトノファーマコロジー、37;第85−91頁(Journal of Ethnopharmacology, 37; pp. 85-91))。栄養素の吸収を生体内で増強するものと認められるピペリンの投与量は、ピペリン0.0004−0.15mg/kg(体重)と認められる。この量は、マウス及びラットで立証されたピペリンのLD50投与量(試験された動物の50%まで毒性の投与量)よりも何千倍も低い(表7)。LD50のデータは、ピペリンについて比較的高い治療指数を示しており、これはピペリンの栄養的使用における高い安全度を意味している。表7:げっ歯動物で確立されたピペリンのLD50投与量(R.K.ジョーリ、U.ズットシ、(1992)、「アーユルヴェーダの処方「トリカク」及びその構成成分」、ジャーナル オブ エトノファーマコロジー、37;第85−91頁)、及びP.プリアチャトウラワットら、(1983)、「マウス、ラット及びハムスターにおけるピペリンの急性並びに亜急性毒性」、トキシコロジー レターズ、16;第351−359頁(Plyachaturawat, P. et al.(1983),"Acute and sub-acute toxicity of piperine in mice, rats and hamsters", Toxicology Letters,16; pp. 351-359))。コショウ種は、堕胎の誘発に伝統的に使用されてきた。ピペリンの報告された受胎阻止性が実験動物で研究された(P.プリアチャトウラワットら、(1982)、「ピペリンの交尾後の受胎阻止作用」、コントラセプション、26;第625−633頁、及びS.E.コールクートら、(1979)、「雌ラットにおけるピパー ロンガム果実の受胎阻止活性」、インディアン ジェー.エクスプ.バイオロ.、17;第289−290頁(Plyachaturawat, P. et al.(1982), "Post-coital antifertility effect of piperine", Contraception, 26; pp. 625-633 and Kholkute, S.E. et al.(1979), "Antifertility activity of the fruits of piper longum in female rats", Indian J. Exp. Biol., 17; 289-290))。ピペリンは、腹腔内又は経口ルートの投与のいずれかで12.5mg/kg(体重)の投与量で与えられたとき、マウスにおいて有意に受胎を抑制した。ピペリンは、着床前及び着床後の両方の期間で有効であった。しかしながら、5mg/kg(体重)/日の投与量で使用されたとき(この量は、生体内で増強する投与量よりも約70倍多い。)、ピペリンはマウスにおけるいかなる受胎阻止活性も有していない。マウスにおける受胎を有意に抑制したピペリンの投与量は、エステロゲンサイクルに害を与えなかったし、子宮向性作用を示さなかったし、また、臨床上の顕著な毒性を生じなっかった。ピペリンの受胎阻止作用のメカニズムは、現在知られていないが、それはホルモンのメカニズム又は子宮収縮活性により作用するものではない。ブラック ペッパー抽出物は、腫瘍阻害活性を有することが示されている(J.W.ローダーら、(1969)「腫瘍阻害植物」、オースト ジェー.ケム.、22;第1531−1538頁(Loder, J.W. et al.(1969),"Tumor inhibitory plants", Aust J. Chem., 22; pp. 1531-1538))が、ある報告ではブラック ペッパーの発ガン性作用の可能性を指摘している(J.M.コンコンら、(1979)、「ブラック ペッパー:発ガン性の証明」、ヌートリション アンド キャンサー、1;第22−26頁(Concon, J.M. et al.(1979), "Black pepper: Evidence of carcinogencity", Nutrition and Cancer, 1; pp. 22-26))。この研究では、ブラック ペッパーのエタノール抽出物が、ピペリンの薬理学的有効投与量よりも400〜700倍高いものとして計算された投与量で、3ヶ月間マウスに局所的に塗布された。この処理により、マウスにおける腫瘍発生の有意な増加がもたらされた。この報告書の著者は、ブラック ペッパー抽出物中の既知成分である数種の化学薬品が被告になりうるとして議論している。サファロール、タンニン類並びにd−リモネン、1−ピネン、リナロール及びフェランドレンのようなテルペノイド類が、潜在的な発ガン物質、発ガン補助物質、又は腫瘍促進剤として特に言及されている。ピペリンは、その報告書では、潜在的な腫瘍形成性化合物として直接的に関係があるとはされていないが、ピペリンがサファロール、チャビシン、ピペリチン及びミリスチシンと共通したメチレンジオキシベンゼン構造を含んでいるが故に、問題になるかもしれない。しかしながら、ピペリン及びサファロール代謝を処理する実験は、化学的類似点があるにも拘わらず、ピペリン及びサファロールが種々のタイプの生成物を生じて別様に代謝されるということを示している(C.イオノイズら、(1981)、「サファロール:その代謝、発ガン性及びシトクロームP−450との相互作用」、フード アンド コスメティック トキシコロジー、19;第657−666頁、及びB.G.バート、N.チャンドラセクハラ、(1987)、「ラットにおけるピペリンの代謝素因」、トキシコロジー、44;第99−106頁(Ionnoids, C. et al.(1981), "Safarole: Its metabolism, carcinogenicity and interactions with cytochrome P-450", Food and Cosmetics Toxicology, 19; pp. 657-666 and Bhat, B.G., Chandrasekhara, N.(1987), "Metabolic Disposition of Piperine in the Rat", Toxicology, 44; pp. 99-106))。ピペリンとサファロールとは、ラットの肝臓ミクロゾームと別様に相互反応し、これらの差異はこれら二つの化合物の側鎖における構造上の非類似に起因するかもしれない(H.ウルバら、(1992)「ブラック ペッパー(ピパー ニグラム)の幾つかの構成成分の発ガン性試験」、44(2);第61−65頁(Wrba, H. et al.(1992)"Carcinogenicity testing of some constituents of black pepper(Piper nigrum)", 44(2); pp. 61-65))。例えば、肝臓ミクロゾームのシトクロームP−450含量は、ピペリンによるラットの治療により約20%まで減少し、一方、サファロールの予備治療によりシトクロームP−450含量が約50%まで増加した。別の実験では、サファロール、タンニン酸又はメチルコラントレン(参考発ガン性物質)を注射した予め離乳させたマウスが腫瘍を発現した。サファロール及びタンニン酸は、メチルコラントレンと比較したとき、弱い発ガン性物質であることが示されていた。上記三種の物質のいずれかを注射したマウスへd−リモネンを給餌することにより、それら化合物の発ガン活性が減じた。三つの化合物を受容したマウスへのピペリンの給餌は、それらの発ガン活性に変化がなかった(H.ウルバら、(1992)「ブラック ペッパー(ピパー ニグラム)の幾つかの構成成分の発ガン性試験」、44(2);第61−65頁(Wrba, H. et al.(1992)"Carcinogenicity testing of some constituents of black pepper(Piper nigrum)", 44(2); pp. 61-65))。ピペリンは、生体異物−代謝酵素との相互反応により、幾つかの化合物の解毒を阻害する可能性がある。この可能性を調べるために、ベンゾ(a)ピレンのような毒性化合物の代謝及び解毒系と密接に関係がある種々の酵素に対するピペリンの生体外での影響が研究された(C.Y.チューら、(1994)、「ベンゾピレン誘発細胞毒性及びV−79肺臓繊維芽細胞におけるDNA付加物形成に対するピペリンの調節作用」、フード アンド ケム.トキシコル.、32(4);第373−377頁(Chu, C.Y. et al.(1994), "Modulatory effect of piperine on benzopyrene-induced cytotoxicity and DNA adduct formation in V-79 lung fibroblasts", Food and Chem. Toxicol.,32(4); pp. 373-377)。この研究は、ピペリンが生体外でベンゾ(a)ピレン細胞毒性を有意に高めることを示した。しかしながら、この研究の結果は別の報告書によって否定された。この報告書は、実際、ピペリンがベンゾ(a)ピレン−酸化物の生成を低下させ、かくしてベンゾ(a)ピレン細胞毒性を減少せしめることによって、ベンゾ(a)ピレン活性を阻害できることが示している。(C.K.アタルら、(1985)、「ピペリンにより増強した薬剤生体利用効率の生化学基礎:ピペリンが薬剤代謝の効力のある阻害剤であるという証明」、ジェー.ファーマコル.エクスプ.セラプ.,232;第258−262頁(Atal, C.K. et al.(1985), "Biochemical basis of enhanced drug bioavailability by piperine: evidence that piperine is a potent inhibitor of drug metabolism", J. Pharmacol. Exp. Therap., 232; pp. 258-262))。肝臓の混合機能オキシダーゼの変質が、場合によっては、肝臓毒作用へと導くかもしれない。ラットにおける可能な肝臓毒性についてピペリンを評価した(R.R.ダルビ、、P.S.ダルビ、(1991)「ラットにおける肝臓での薬剤代謝酵素に対するピペリン及びピペロニルブトキシドの作用の差異」、ドラッグ メタブル.ドラッグ インタラクト.、9(1);第23−30頁(Dalvi, R.R., Dalvi, P.S.(1991)"Differences in the effect of piperine and piperonyl butoxide on hepatic drug metabolizing enzymes in rats", Drug Metabl. Drug Interact., 9(1); pp. 23-30))。胃内には100mg/kg及び800mg/kgの投与量で、また、腹腔内には10mg/kg及び100mg/kgの投与量でピペリンを動物に投与した。治療による養生では(regiment)いずれも、肝障害を示す次の肝臓酵素:血清ソルビトール デヒドロゲナーゼ(SDH)、アラニン アミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパルテート アミノトランスフェラーゼ(AST)及びイソシトレート デヒドロゲナーゼ(ICD)に著しい変化はなかった。別の研究では、ピペリンは、効力のあるヘパトトキシン テトラ−ヒドロパーオキシド及び四塩化炭素で処理されたマウスにおける肝臓保護作用を有していることがわかった(I.B.コウル、A.カピル、(1993)、「ピペリンの肝臓保護能力の評価、ブラック ペッパー及びロング ペッパーの活性原理」、プランタ メド.、59(5);第413−417頁(Koul, I.B., Kapil, A.(1993), "Evaluation of the liver protective potential of piperine, an active principle of black and long peppers", Planta Med.,59(5); pp. 413-417))。この保護作用は、生体内及び生体外の実験の両方により実証されており、ピペリン媒介による、脂質過酸化反応の低下、並びにグルタメート ピルベート トランスアミナーゼ及びアルカリフォスファターゼの還元性酵素漏出により測定されるような肝細胞障害の減少によって説明される。ピペリンはまた、肝臓中の還元性グルタチオン及び総チオールの激減を防いだ。還元グルタチオンは、化学的に誘発された細胞毒性に対する保護において最も重要な生体分子の一つであり、接合により毒性化合物をなくすことができる。脂質過酸化反応及び肝臓酵素に対するピペリンの作用は、他の研究で確認された。これらの研究によれば、ピペリンは、脂質過酸化物形成を阻害し、そしてカラギーニンを注射したラットにおける酸フォスファターゼの濃度増加を安定させることを示している。なお、カラギーニンは肝臓過酸化物形成を刺激することが知られている(J.N.ズーレイら、(1993)、「ラットにおける実験による炎症の間のピペリンによる脂質過酸化反応の阻害」、インド.ジェー.エクスプ.バイオル.、31;第443−445頁(Dhuley, J.N. et al.(1993), "Inhibition of lipid peroxidation by piperine during experimental inflammation in rats", Ind. J. Exp. Biol., 31; pp. 443-445))。カラギーニンの炎症作用によって恐らく間接的に引き出されるリソソームの障害の結果として、肝臓過酸化物の産生が増加し、その後肝臓脂質過酸化及び酸フォスファターゼの濃度が増加する。ピペリンのニトロソ化反応は、内因性のニトロソ化がヒトの胃内で摂取ピペリン及び亜硝酸塩から生じ得るので、問題である(K.若林ら、(1989)、「環境芳香族化合物と亜硝酸塩との反応によって生産される突然変異誘発物質及び発ガン物質」、キャンサ.サーブ.、8(2);第385−389頁(Wakabayashi, K. et al.(1989), "Mutagens and carcinogens produced by the reaction of environmental aromatic compounds with nitrite", Canc. Surv., 8(2); pp. 385-399))。この組み合わせは、場合によっては、突然変異誘発性生成物へと導くかもしれない。亜硝酸塩は、肉のような保蔵処理された食物、特にベーコンを喫食することによって摂取されうる。それにもかかわらず、研究データは、次の理由により、ピペリンの起こり得るニトロソ化反応の間接的な可能性を示している:* 調理目的のためのコショウの平均的消費量及び薬理効果のためのピペリンの提案された投与量は、有意なニトロソ化反応が生じるのに必要なピペリンの投与量よりも充分に低く;* アスコルビン酸、トコフェロール、植物由来フェノール類及びフラボノイド類のような多数の食物成分は、ニトロ誘導体形成に対して保護作用を奏する。かくして、ピペリンによるニトロ化合物の形成は、もしあるとすれば、多要素からなりかつ競合的な事象であり;* 最近の研究によれば、揮発性ニトロソアミンの健康に有毒な作用の意識により、全てのタイプの食物(ベーコンの揚物を除いて)中の揮発性ニトロソアミン濃度の連続的低下傾向が注目される。生体利用効率増強のために推奨されるピペリンの投与量は、毒性の投与量と比較したときは比較的低く、また、純ピペリンの投与量に換算して2.5〜5mg/回の範囲内である。この投与量は、ピペリンの一日の平均投与量0.04〜0.25mg/kg(体重)*に等しい(表8)。参考例独特の製造方法で得られるピペリンピペリンの源として、商業的に入手可能なブラック ペッパー オレオレジン又はロング ペッパー オレオレジンを使用する。粉砕されたブラック ペッパー又はロング ペッパーもまた使用可能である。ブタノール及びヘキサンの混合物(35リッター)に、35kgのブラック ペッパー オレオレジンを添加し、40℃に加熱する。次いで、混合物を冷却し、そして濾過する。沈殿物をブタノール/ヘキサン混合物で洗浄して、粗ピペリンを得る。粗ピペリンを60℃でメタノール中に溶解し、撹拌しながらアルミナ及び木炭で処理する。次いで、濾過し、そして真空下で濃縮して、粉末を得る。バイオペリンかくして、調製された物質は次の特性を有している:色:黄白色結晶粉末融点:128−131℃検定:純度98%以上のピペリン(HPLC) α-カロチン、βカロチン、β-クリプリトキサンチン、リコピン、ルテイン、ジアキサンチン、松樹皮ビオフラボナール類複合体、クルクミン、補酵素Q10、ゲルマニウム、セレン及び亜鉛からなる群から選ばれる抗酸化剤及びピペリンを含有し、1日当りピペリンを5〜20mg投与する形態となっていることを特徴とする血中の抗酸化剤濃度向上用組成物。 抗酸化剤が、α-カロチン、βカロチン、β-クリプリトキサンチン、リコピン、ルテイン、ジアキサンチン、松樹皮ビオフラボナール類複合体及びクルクミンからなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。 1日当りピペリンを5mg投与する形態となっている請求項1又は2記載の組成物。


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