タイトル: | 特許公報(B2)_心臓トロポニンIの超高感度アッセイ法 |
出願番号: | 1996522092 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,G01N33/53,G01N33/535,G01N33/577 |
カルゾラリ,シャルル フレーシュー,オディール ポー,ベルナール JP 3558643 特許公報(B2) 20040528 1996522092 19960119 心臓トロポニンIの超高感度アッセイ法 ビオーラド・パストゥール 青山 葆 田中 光雄 カルゾラリ,シャルル フレーシュー,オディール ポー,ベルナール FR 95/00597 19950119 20040825 7 G01N33/53 G01N33/535 G01N33/577 JP G01N33/53 D G01N33/535 G01N33/577 B 7 G01N 33/48-33/98 特開平06−242111(JP,A) 特開平06−022795(JP,A) 特開平06−066799(JP,A) 特開平04−124185(JP,A) 国際公開第94/027156(WO,A1) 特開平06−242111(JP,A) 特開平06−022795(JP,A) 特開平06−066799(JP,A) 特開平04−124185(JP,A) 国際公開第94/027156(WO,A1) Clin.Chem., 1992年,Vol.38, No.11, p2203-2214 Biochemical Society, 1987年, Vol.15, No.6, p1060-1061 Clin.Chem., 1993年,Vol.39, No.6, p972-979 Clin.Chem., 1992年,Vol.38, No.11, p2203-2214 Biochemical Society, 1987年, Vol.15, No.6, p1060-1061 Clin.Chem., 1993年,Vol.39, No.6,p972-979 13 FR1996000095 19960119 WO1996022535 19960725 1998512672 19981202 9 20020213 加々美 一恵 本発明は、ケミルミネッセンスによる心臓トロポニンIの超高感度アッセイ法に関する。心筋梗塞(MIF)は、なおも、医学的突発事故の代表であり、世界的に死亡および心臓血管罹病の主な原因である。全ての場合、導入された処置は、心筋組織を不可逆性壊死から保護するように設計される。血栓崩壊または最も重要な血管形成術などの新しい治療手段により、現今では、冠動脈循環を迅速に回復させることが可能になり、梗塞領域の大きさを制限し、死亡率および罹病率を低下させることが可能になった。これらの治療器具は、臨床的発現開始後のより早い時期に用いられるほど、より有効である。この病理に立ち向かう臨床医は、ますます効果的な診断器具をもつことができるようになるべきである。血清タンパク質、特に酵素のアッセイは、心筋梗塞の診断および再灌流の成功または失敗の評価のために決定的な要素となった。トロポニンは、トロポニンC、IおよびTの3種類のタンパク質からなる筋原線維タンパク質複合体であることが知られている。心臓トロポニンIは、全く心筋にのみ存在する収縮タンパク質である[Wilkinson,J.M.ら,Nature(1978),271,p.31−35;Wade R.ら,Genomics(1990),7,P.346−357]。その生理学的役割は、カルシウムの不在下、アクチン−ミオシン複合体のATPase活性を阻害することであり、したがって、筋肉収縮を予防することである[Perry S.V.,Biochem.Soc.Trans(1979),7,p.593−617]。心臓を供給する動脈(冠動脈)の1つの閉塞による閉塞の間、虚血に続いて、心筋壊死が出現し、心筋細胞の破壊および心筋トロポニンIの血液中への放出を生じる。したがって、トロポニンIは、心筋梗塞に対して非常に特異的であるマーカーを表す。かくして、トロポニンIのアッセイは、最近、心筋梗塞の早期診断のために推奨されている[Am.Heart J.(1981),110,p.1334−1344;Molecular Immunology(1992),29(2),p.271−278]。さらにまた、現在、ある患者において、心筋虚血の臨界期を表す不安定なアンギナが心筋梗塞の開始および突然死の高いリスクと関連していることが受け入れられている。患者のこのカテゴリーについての剖検は、非常にしばしばこれらの合併症の出現よりも先に心臓の微小梗塞が出現したことを示した[Davies M.J.ら,Circulation(1985),71,p.699−708]。したがって、心臓トロポニンIのアッセイは、危険な状態の患者の検出において、不安定なアンギナを有する患者において、特に微小梗塞の診断のために、特に好都合であることが明らかである。さらにまた、トロポニンIのアッセイは、血栓崩壊処置のモニターリングの間に、ならびに、心臓外科手術(冠動脈バイパス、血管形成術など)の術後モニターリングの間にも、再灌流の成功または失敗を確認することが認識される。トロポニンIのアッセイは、また、移植後の心臓移植拒絶の診断および例えばアントラシクリンを用いる心臓毒性治療のモニターリングにおける適用を見いだす。トロポニンIを測定する免疫酵素法は、すでに知られている。Larue C.ら[Mol.Immunol.(1992),29(2),p.271−278;Clin.Chem.(1993),39/6,p.972−979]は、酵素的視覚化のために色素産生物質であるテトラメチルベンジジン(TMB)−H2O2を用いるサンドイッチ型免疫酵素アッセイのためのプロセスを開示している。視覚化の後、450nmでの吸光度を記録し、該著者による検出限界は、0.2μg/リットルである。Bodorらによって開示されたトロポニンIについての他の免疫酵素測定法は、1.5〜3.1μg/リットル程度の濃度で後者を検出することができる[Bodorら,Clin.Chem.(1992),38/11,p.2203−2214;Adams J.ら,Circulation(1993),88(1),p.101−106]。このアッセイは、酵素的視覚化のために、アルカリホスファターゼのための色素産生物質であるp−ニトロフェニルホスフェートを用い、測定は、405nmで行われる。これらのアッセイを用いると、心筋梗塞の臨床的発現の開始から約4時間後の患者の血漿中のトロポニンIの存在を示すことができた[Adams J.ら,Circulation(1993),88(1),p.101−106]。しかしながら、これらの免疫酵素測定アッセイの感度は、例えば放射能の測定に基づくアッセイなどの非常に複雑化されて使用するのが困難である方法に基づくアッセイにより得られるよりもかなり低い[Am.Heart Journal,(June 1987),113(6),p.1333−1334]。ヒドラジン、特にジアシルヒドラジンの、環状誘導体がケミルミネッセンス試薬として用いられることも知られている[Roswellら,Methods Enzymol.(1978),57,p.409−423]。これらの試薬の使用は、ある主の免疫酵素アッセイの間に認識されるかまたは行われる[Thrope G.H.G.ら,Clin.Chem.(1985),31,p.1335−1341;Thrope G.H.G.ら,Medors,Enzymol.(1988),133,p.331−353](国際出願公開WO 88/00695)。さらにまた、1,2−ジオキセタンの誘導体の酵素的分解を用いるケミルミネッセンス検出法が知られている。しかしながら、これらの試薬の使用は、当業者が高感度アッセイの開発のために多くの限定因子(種々のアッセイ成分の、特に、抗原/抗体系のアフィニティー、酵素的マーカー、基質、検出の原理など)と直面するので、集中的な研究を必要とすることが知られている。実際、種々の試薬およびアッセイ条件の好適な選択が必要とされる。測定バックグラウンド(バックグラウンドノイズまたはブランクバックグラウンド)が高い場合、または、測定についてのシグナル/ノイズ比が小さすぎる場合、高感度および特異的アッセイを考えることは不可能であるということが明らかである。今、正確には、この測定バックグラウンドは、選択される種々の試薬およびアッセイ条件に依存する。今、ある種の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体および酵素的視覚化に適している基質を用いて、非常に高い感度を有するトロポニンIのケミルミネッセンスアッセイを行うことが可能であることが判明した。実際、本発明のプロセスを適用することにより、2〜5ng/リットル程度の感度を得ることが可能であり、これは、これまで知られていたトロポニンIについての最も高感度の免疫酵素法のものよりも40〜約1500倍大きな感度を表す。本発明は、酵素的視覚化のために用いられた基質が多くのケミルミネッセンス基質から選択されたケミルミネッセンス基質、特にジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンの誘導体である、心臓トロポニンIの定量的アッセイを可能ならしめるサンドイッチ型免疫酵素アッセイのためのプロセスに関する。本発明の目的は、より正確には、2つの抗心臓トロポニンモノクローナル抗体を用い、そのうちの1つが酵素マーカーとカップリングさせられ、抗体が、自然にまたは協同作用(cooperation)を介して、心臓トロポニンIに対する高い親和性を有し、したがって、10-8M以下、好ましくは、10-9M以下の平衡解離定数を有し;酵素的視覚化のために、ジアシルヒドラジンの誘導体または1,2−ジオキセタンの誘導体であるケミルミネッセンス基質を用いることからなる、心臓トロポニンIの免疫酵素アッセイ方法である。実際、本発明は、アッセイしようとする試料または標準試料が酵素マーカーにカップリングした抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と、および、他の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させられ(ここで、これらのモノクローナル抗体は、自然にまたは協同作用効果を介して、10-8M以下、好ましくは、10-9M以下の心臓トロポニンIについての平衡解離定数を有する)、次いで、選択されたケミルミネッセンス基質の添加により酵素的視覚化が行われ、次いで、得られた光シグナルを直接記録することからなる、心臓トロポニンIのサンドイッチ型定量的免疫酵素アッセイ方法に関する。本発明のプロセスは、手動システム(診断アッセイキット)を用いて、または、自動化システムを用いて、行われる。具体例に依存して、一段階のアッセイまたは二段階のアッセイを行うことが可能である。一段階のアッセイについては、アッセイしようとする試料または標準試料を、酵素マーカーに結合した抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と、および、所望により固体支持体に結合していてもよい第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と同時に接触させる。インキュベーションおよび洗浄の後、酵素的視覚化を行う。これは、本発明に従ってジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されたケミルミネッセンス基質を添加することにより行われる。アッセイしようとする試料または標準試料中に存在する心臓トロポニンIの量は、得られた光シグナルの直接的記録により評価される。二段階のアッセイについては、アッセイしようとする試料または標準試料を、まず、酵素マーカーに結合した抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、インキュベーション後、所望により固体支持体に結合していてもよい第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、再度、インキュベーションを行うか、または、まず、所望により固体支持体に結合していてもよい抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、インキュベーションおよび任意の洗浄後、酵素マーカーに結合した第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、再度、インキュベーションを行う。両者の場合、任意の洗浄を行い、次いで、ジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されたケミルミネッセンス基質の添加により行われる酵素的視覚化を行う。得られた光シグナルの直接的記録により、アッセイしようとする試料または標準試料中に存在する心臓トロポニンIの量を評価する。二段階のアッセイについては、好ましくは、アッセイしようとする試料および標準的試料を、まず、酵素マーカーに結合した抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、インキュベーション後、固体支持体に結合した第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、再度、インキュベートする。抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体として、心臓トロポニンIに対して高い親和性を有するモノクローナル抗体が使用され、その平衡解離定数は、10-8M以下、好ましくは、10-9M以下である。心臓トロポニンIに関する協同結合を有するモノクローナル抗体対を用いることも可能であり、この協同作用は、心臓トロポニンIが既に第2抗体に結合している場合、心臓トロポニンIに対する2つのモノクローナル抗体のうち一方の親和性の増加を生じる(平衡解離定数<10-8M)。好ましくは、抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体として、Clin.Chem.(1993),39,p.972−979に開示されているマウス11E12および8E1モノクローナル抗体が使用される。実際、驚くべきことに、11E12モノクローナル抗体は、8E1抗体に結合した心臓トロポニンIの放出を遮断することが観察された。この現象は、ファルマシア(PHARMACIA)からのBIACORETMシステムを用いて、および、11E12抗体の存在下または不在下、8E1モノクローナル抗体についての心臓トロポニンI(cTn I)の会合および解離についての速度定数を測定することにより示された。種々の結果を表Iに示す。表Iにおける結果は、8E1抗体について、親和性は、心臓トロポニンIが11E12モノクローナル抗体の存在下にある場合に10倍高いことを示す。さらに正確には、平衡解離定数は、10倍低い(会合速度定数は、変わらない)。したがって、協同作用は、心臓トロポニンIに関する2つの抗トロポニンIモノクローナル抗体の結合について存在する。該複合体の解離を「遮断する」この効果により、このモノクローナル抗体対を用いて、本発明の課題である免疫酵素アッセイのためのプロセスを行うことが可能である。コンジュゲート抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体−酵素マーカーの形成については、酵素マーカーとして、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼのいずれかが用いられる。アルカリホスファターゼは、ケミルミネッセンス基質が1,2−ジオキセタンの誘導体である場合に用いられ、ペルオキシダーゼは、ケミルミネッセンス基質がジアシルヒドラジンの誘導体である場合に用いられる。特に、酵素マーカーとのコンジュゲートを製造するためにモノクローナル抗体8E1または11E12を用いることが可能である。好ましくは、11E12モノクローナル抗体のペルオキシダーゼとのコンジュゲートおよび8E1モノクローナル抗体のアルカリホスファターゼとのコンジュゲートが製造される。具体例によると、固体支持体として、抗心臓トロポニンI抗体を結合しているポリスチレン管(診断キットの場合)、または、磁性物質(特に、鉄製)であるかもしくは抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体を結合している粒子(自動化アッセイ)のいずれかを考えることができる。抗トロポニンIモノクローナル抗体−酵素マーカーコンジュゲートは、公知の方法に従って製造される(J.Histochem.Cytochem.(1974),22,p.1084−1091]。例えば固体相に共有結合により結合した抗トロポニンIモノクローナル抗体の製造もまた、文献に開示されている方法に従って行われる[J.Immunological Methods,(1979),31,p.231−236]。アッセイしようとする試料または標準試料を抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体および/または酵素マーカーに結合した抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させている間、反応培地のpHは、好ましくは、わずかに酸性である。pHは、特に、5〜6であり、さらに正確には、5.4〜5.7である。pHを調節するために、種々の公的なバッファーまたは弱性有機酸の溶液、例えば、コハク酸溶液またはpH5.2〜54のバッファーなどを用いることが可能である。血漿または血清と抗トロポニンI抗体または標準試料との間のインキュベーションは、20℃〜37℃で行われ、インキュベーション時間は、5〜20分の間で変化してよい。インキュベーション後、2℃〜37℃の温度で、好ましくは、10℃未満の温度で、1回またはそれ以上の洗浄を行う。洗浄について、リン酸塩バッファー溶液(pH6.8)またはトリスバッファー溶液(pH8)を用いるのが好ましい。前記のとおり、ケミルミネッセンス基質としては、ジアシルヒドラジン誘導体、特に、ルミノール[5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−ナフタルアジンジオン]または1,2−ジオキセタン誘導体、特に、ルミゲンPPD[4−メトキシ−4−(3−ホスファート−フェニル)スピロ(1,2−ジオキセタン−3−アダマンタン−2')のナトリウム塩]のいずれかである。ルミノールを含有するルミネッセンス基質は、商業的に入手可能であり、例えば、アマーシャム(Amersham)により販売されているルミノールECL−免疫アッセイシグナル試薬RPN190、またはベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)により販売されているルミノールBMケミルミネッセンスELISA試薬1582950などである。ルミノールおよび4−ヨードフェノールの混合物を含有する基質が好ましい。ルミゲンPPDを含有するルミネッセンス基質もまたは商業的に入手可能であり、例えば、アナリティカル・ルミネッセンス・ラボラトリー(Analytical Luminescence Laboratory)により販売されているルミ−フォス(Lumi−Phos)530などである。この試薬は、ルミゲンPPD、およびフルオレセインから誘導される界面活性剤であるケミルミネッセンスプロモーターを含有する。酵素的視覚化もまた、20℃〜37℃の温度で行われる。ケミルミネッセンスの記録は、約2〜10分後に行われるのが好ましい。定量的アッセイのための校正シリーズを作成するために、精製したヒト心臓トロポニンIの標準溶液(標準試料)を用いる[Larue C.ら,Clin.Chem.(1993),39,p.972−979]。本発明は、1つが酵素マーカーと結合している2つの抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体を用いる心臓トロポニンIのサンドイッチ型免疫酵素アッセイのためのケミルミネッセンス基質としてのルミノールおよびルミゲンPPDの使用であって、特に、酵素マーカーが、基質がルミノールである場合、ペルオキシダーゼであり、基質がルミゲンPPDである場合、アルカリホスファターゼであり、抗体(自然にまたは協同作用を介して)が、心臓トロポニンIに対して、10-8M以下の平衡解離定数を有することを特徴とする使用にも関する。本発明の課題は、1つが酵素マーカーと結合している2つの抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体からなる心臓トロポニンIをアッセイするためのキットであって、該抗体(自然にまたは協同作用を介して)が、心臓トロポニンIに対して、10-9M以下の平衡解離定数を有し、ケミルミネッセンス基質が、ジアシルヒドラジンから誘導され、好ましくは、ルミノールであるか、または、1,2−ジオキセタン誘導体、好ましくは、ルミゲンPPDであることを特徴とするキットでもある。以下の実施例は、本発明を限定しようとするものではなく、本発明を説明するものである。実施例I自動化システムによる心臓トロポニンIのアッセイ免疫酵素アッセイのために用いる自動化システムは、サノフィ・ダイアグノスティクス・パストゥール(Sanofi Diagnostics Pasteur)により販売されているシステムであるアクセス(Access▲R▼)イムノアッセイシステムである。該アッセイは、以下の方法で行われる:アッセイウエル中にアッセイしようとする試料50μl、4mg/mlのマウス免疫グロブリン溶液25μl、0.1Mコハク酸溶液10μl、マウス抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体8E1−アルカリホスファターゼコンジュゲート(C=5μg/ml)50μlを導入する。37℃で5分間インキュベートした後、鉄ラテックスビーズ(ローヌ・プーランズに抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体11E12を共有結合により結合させる。該混合物を37℃で36秒間インキュベートし、次いで、磁場により鉄ラテックスビーズを分離する。トリスバッファー溶液(pH8)により洗浄を行い、次いで、ルミ−フォス(Lumi−PhosTM)530基質を添加する。37℃で視覚化を行い、反応により生じたルミネッセンスをルミノメーターで測定する。全分析時間は、15分である。校正シリーズのために、精製したヒト心臓トロポニンI溶液を用いる。校正シリーズは、0〜50μg/lの濃度に対応して作成する。該校正曲線により評価された該プロセスの感度は、3.5ng/lである。実施例II心臓トロポニンIの免疫酵素マーカーによるアッセイマウス抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体8E1で被覆されたポリスチレン管において、20〜0.2%トゥイーン、非特異的マウス免疫グロブリンおよび0.1%カソン(Kathon)を含有するコハク酸塩バッファー溶液150μl、マウス抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体11E12−ペルオキシダーゼ50μl、ならびにアッセイしようとする試料および校正シリーズのために用いる標準溶液200μlを用いる。校正シリーズについては、0〜2μg/lの精製したヒト心臓トロポニンIを含有するヒト血清を用いる。室温で水平撹拌しつつ正確には15分間インキュベーションを行い、次いで、管を以下の方法で洗浄する:管の内容物を容器中に注ぎ、管を吸収紙で拭き、温度を高くて8℃に維持しつつ、0.1%トゥイーン20および0.3%カソン(Kathon)を含有する0.1Mリン酸塩バッファー(pH6.8)1mlを添加することにより洗浄を行う。この抗体を3回繰り返す。洗浄を行い、後者のために用いた痕跡量の溶液を除去した後、ルミノール(BMケミルミネッセンスELISA試薬ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)100部および過酸化水素1部からなる混合物300μlを用いて、酵素的視覚化を行う。培地を室温で放置し、3分後、ルミノメーターによりルミネッセンスを測定する。各管を正確に30秒間および正確に10秒間記録する。このアッセイの感度は、3ng/lである。前記方法に従って、および、Larue C.ら[Mol.Immunol.(1992),29(2),p.271−278;Clin.Chem.(1993),39/6,p.972−979]により開示された方法に従って、得られる測定についての正味のシグナル/ノイズ比の値(S−N)/Nを下記表IIに示す。本発明のプロセスを適用することにより得られる測定についてのシグナル/ノイズ比の値は、その高い感度およびその特異性を提供する。 1つが酵素マーカーと結合している2つの抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体(ここで、該抗体は、自然にまたは協同作用を介して、心臓トロポニンIに対して10-8M以下の平衡解離定数を有する)を用い、酵素的視覚化のためにジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されるケミルミネッセンス基質を用いる心臓トロポニンIのサンドイッチ型免疫酵素アッセイ方法。 以下の工程:a−試料を、酵素マーカーと結合した抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と、および第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、b−ジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されたケミルミネッセンス基質の添加により酵素的視覚化を行い、c−得られた光シグナルの直接的な記録により心臓トロポニンIの量を評価することを含む請求項1記載の方法。 以下の工程:a−アッセイしようとする試料または標準試料を、酵素マーカーに結合した抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と、および所望により固体支持体に結合していてもよい第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と同時に接触させ、b−該反応混合物をインキュベートし、c−次いで、洗浄し、d−ジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されたケミルミネッセンス基質の添加により酵素的視覚化を行い、e−得られた光シグナルの直接的な記録により、アッセイしようとする試料中または標準試料中に存在する心臓トロポニンIの量を評価することを含む請求項1または2記載の方法。 以下の工程:a−アッセイしようとする試料または標準試料を−まず、酵素マーカーに結合している抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、インキュベーション後、所望により固体支持体に結合していてもよい第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、再度、インキュベートするか、または、−まず、所望により固体支持体に結合していてもよい抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、次いで、インキュベーションおよび任意の洗浄の後、酵素マーカーに結合している第2の抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させ、再度、インキュベートし、b−次いで、該反応混合物を所望により洗浄し、c−ジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されるケミルミネッセンス基質の添加により酵素的視覚化を行い、d−得られた光シグナルの直接的な記録により、アッセイしようとする試料中または標準試料中に存在する心臓トロポニンIの量を評価することを含む請求項1または2記載の方法。 ケミルミネッセンス基質がルミノールである請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 ケミルミネッセンス基質がルミゲンPPDである請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 抗トロポニンIモノクローナル抗体に結合している酵素マーカーがアルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼである請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 ケミルミネッセンス基質がルミノールおよび4−ヨードフェノールの混合物である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。 5〜6のわずかに酸性のpHで、アッセイしようとする試料または標準試料を、酵素マーカーに結合しており所望により第2の抗トロポニンI抗体に結合していてもよい抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体と接触させる請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 視覚化前に用いる洗浄溶液のpHが6.8〜8であり、温度が2℃〜37℃である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 1つがペルオキシダーゼと結合している2つの抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体(該抗体は、自然にまたは協同作用を介して、心臓トロポニンIに対して、10-8M以下の平衡解離定数を有する)を用いる心臓トロポニンIのサンドイッチ型免疫酵素アッセイのためのケミルミネッセンス基質としてのルミノールの使用。 1つがアルカリホスファターゼと結合している2つの抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体(該抗体は、自然にまたは協同作用を介して、心臓トロポニンIに対して、10-8M以下の平衡解離定数を有する)を用いる心臓トロポニンIのサンドイッチ型免疫酵素アッセイのためのケミルミネッセンス基質としてのルミゲンPPDの使用。 1つが酵素マーカーと結合している2つの抗心臓トロポニンIモノクローナル抗体(該抗体は、自然にまたは協同作用を介して、心臓トロポニンIに対して、10-9M以下の平衡解離定数を有する)、およびジアシルヒドラジンまたは1,2−ジオキセタンから誘導されるケミルミネッセンス基質を含む心臓トロポニンIのアッセイ用キット。