タイトル: | 特許公報(B2)_フペルジンA誘導体、その製造およびその使用 |
出願番号: | 1996520102 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07D221/22,A61K31/4748,A61K35/78,A61P25/28 |
チゥ タァユィアン タン シィツァン リン チンライ チゥ チォン シェン チンカン ウ コアンスゥォン チィアン シァンハオ 山口 琢児 田中 和宏 若松 武 西村 浩昭 JP 3545416 特許公報(B2) 20040416 1996520102 19951226 フペルジンA誘導体、その製造およびその使用 シャンハイ インスティテュート オブ マテリア メディカ チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ チゥ タァユィアン タン シィツァン リン チンライ チゥ チォン シェン チンカン ウ コアンスゥォン チィアン シァンハオ 石田 敬 吉田 維夫 西山 雅也 チゥ タァユィアン タン シィツァン リン チンライ チゥ チォン シェン チンカン ウ コアンスゥォン チィアン シァンハオ 山口 琢児 田中 和宏 若松 武 西村 浩昭 CN 94114057.1 19941228 20040721 7 C07D221/22 A61K31/4748 A61K35/78 A61P25/28 JP C07D221/22 A61K31/4748 A61K35/78 C A61P25/28 7 C07D221/22 A61K 31/4748 A61K 35/78 A61K 25/28 CA(STN) REGISTRY(STN) Zhongguo Yaoli Xuebao,Vol.15,No.2,pp.107−110,1994年3月 8 CN1995000100 19951226 WO1996020176 19960704 1998511651 19981110 34 19990630 岩下 直人 本発明は、天然の産物の半合成、および特にアルカロイドおよびその類似体に関する。10年来、外国において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を利用し、脳内のコリン作動システム機能を向上させ、アルツハイマー病を治療する研究が大々的に行われている。その結果として喜ばしい研究結果は得られているが、問題点も少なからず存在している。特に重要な問題は、治療効果が現れると同時に、強い毒性や副作用も現れ、その上治療効果の持続時間も短いという点である。近年では、中国において、中草薬の千層塔(トウゲシバ)から分離して得られる、新規なアルカロイドである下記式(I)で示されるフペルジンA(Huperzine A)〔(5R,9R,11E)−5−アミノ−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ〔b〕ピリジン−2(1H)−オン化合物〕が単離された。薬理学的研究の結果、これは強い可逆的なコリンエステラーゼ阻害作用を持ち、脳内のアセチルコリンエステラーゼに対し選択的な阻害作用を持っていることが証明されている(米国特許第5177082号)。外国においては、フペルジンAに対する化学修飾およびフペルジンA誘導体の合成に関する研究が進められており、それらの中からコリンエステラーゼ阻害作用を持つ化合物〔J.Org.Chem.56 1991(4636−4645)〕を見出すための研究がされ、またフペルジンAを全合成する方法を見付けだそうとする努力が続けられている。しかし、未だ有望な方法は発見されておらず、よりよい効果を持つ類似体も発見されていない。本発明は、多くのフペルジン誘導体のうちから、既存のフペルジンAよりも治療効果が高く、毒性の低い化合物を見出すことを目指して、中国の中草薬の優れた供給源を用いてフペルジンAから出発する半合成を企図したものである。本発明は、下記の工程を通じて実施される。1. 千層塔(タウゲシバ)からエタノールなどのアルコール類を抽出溶媒として用いて得られる抽出物を濃縮し、得られたエキスを無機酸(例えば塩酸)により処理し、水層をアルカリ(例えば、アンモニア水またはNaOH)でアルカリ性にし、有機溶媒(例えば、クロロホルム)を利用して全てのアルカロイドを抽出し、次いでクロマトグラフィーにより分離することにより式(I)の化合物を生成する。2. 無水溶剤中で、式(I)の化合物と対応する置換アルデヒドまたは対応する置換アシルクロリドもしくは酸無水物との縮合を実施すると、下記式(II)の化合物が得られる。上式中、Yは−C=Oであるか、または−R″、Yは=CHであり、RはC1〜C5低級アルキル、(ここで、n=0,1であり、Xは水素、C1〜C5低級アルキル、C1〜C5低級アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ、ビス−C1〜C5低級アルキル置換アミノを表す)、−(CH2)mCOOZ基(ここで、m=0〜5であり、Zは水素またはC1〜C5低級アルキルを表す)、−CH=CH−G基(ここで、Gはフェニル、フラニル、カルボキシ、アルコキシカルボニルを表す)、または窒素原子においてC1〜C5低級アルキルにより置換されたジヒドロもしくはテトラヒドロピリジルを表し、R′は水素、C1〜C5低級アルキル、ピリドイル、C1〜C5低級アルコキシ置換ベンゾイルを表し、R″は水素およびC1〜C5低級アルキルを表す。YがC=Oである場合、RはC1〜C5低級アルキル、(ここで、n=0,1であり、Xは水素、C1〜C5低級アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ピリジル、窒素原子においてC1〜C5により置換されたジヒドロもしくはテトラヒドロピリジル、−(CH2)mCOOZ基(ここで、m=0〜5であり、Zは水素またはC1〜C5低級アルキルを表す)、−CH=CH−G基(ここで、Gはフェニル、フラニル、カルボキシ、アルコキシカルボニルを表す)を表し、R′は水素、C1〜C5低級アルキル、ピリドイル、C1〜C5低級アルコキシ置換ベンゾイルを表し、R″は水素およびC1〜C5低級アルキルを表す。R″,Yが=CHである場合、Rは(ここで、n=0であり、Xは水素、C1〜C5低級アルキル、C1〜C5低級アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ビス−C1〜C5低級アルキル置換アミノを表す)、−CH=CH−G基(ここで、Gはフェニル、フラニルを表す)を表し、R′は水素およびC1〜C5低級アルキルを表す。フペルジンA誘導体:フペルジンA誘導体の薬理作用:本発明において、Ellmanが報告した比色法をフペルジンA誘導体(測定試薬)の酵素活性に対する阻害作用の測定に用いた。酵素活性反応液の総容量は4mlであり、その内訳はヨウ化チオアセチルコリン(アセチルコリンエステラーゼ基質)0.3mmol/lまたはヨウ化チオブチリルコリン(ブチリルコリンエステラーゼ基質)0.4mmol/lとリン酸塩25mmol/lのpH7.4の緩衝液1mlである。最後に4mlまで水を加える(追加する酵素溶液および被検薬物も含む)。37℃で5分間保温した後、酵素溶液(ラット赤血球細胞膜またはラットの血清)0.1〜0.2mlを加える。また、同時に被検薬物0.1〜0.3mlを加える。再度、8分間保温した後、3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液1mlを加えて反応を停止させる。最後に、0.2%の5,5−ジスルフィド−2,2−ジニトロ安息香酸1mlを加えて発色させる。そして、“721"分光光度計により440nmの波長で吸光度を測定する。被検薬物を加えない場合の酵素の活性(100%)を対照とし、被検薬物を加えたときの酵素活性(%)と被検薬物のモル濃度について作図する。ここで、酵素活性阻害率50%のときの被検薬物量すなわちIC50が得られる。試験結果によれば、全ての誘導体が、アセチルコリンエステラーゼに対する阻害作用を持っていることが確認された。誘導体No.1,17,18および19はアセチルコリンエステラーゼに対する明らかな阻害作用を示したが、それらの阻害作用は、フペルジンAよりもわずかに弱く、ただしフィゾスチグミンやガランタミンよりは明らかに強力である。これらの誘導体のブチリルコリンエステラーゼ(偽酵素)に対する阻害作用は、フペルジンAよりも劣っている。誘導体No.1および17は、フペルジンAより大きいアセチルコリンエステラーゼに対する選択的阻害作用を示す(表1,2および6参照)。酵素反応速度的研究によれば、誘導体No.17,18および19のそれぞれとアセチルコリンエステラーゼとの結合は可逆的であることが確認された。マウスの受動的回避反応試験(ステップダウン法)およびラットの八方迷路空間認知反応試験の2種類の記憶モデルを利用した試験結果によれば、誘導体No.18および19は、ともに非常に強力な記憶改善作用(表3および4参照)を持っており、これらの作用の強度は式(I)の化合物と近似していることが確認された。マウスの急性毒性試験によれば、誘導体No.18および19のLD50は、式(I)の化合物よりも低く、後者の1/3である(表5参照)ことが確認された。上記の薬理研究の結果によれば、誘導体No.17,18および19は高度に有効なアセチルコリンエステラーゼの選択的阻害剤であり、その急性毒性は式(I)の化合物よりも低いことが確認された。従って、その臨床応用への前途は開かれており、重症筋無力症の緩解治療および中枢コリン作動システム機能の衰弱により引起こされる記憶障害の治療に利用可能である。実施例1 誘導体No.2の製造化合物(I)(0.50mmol)を秤量し、50mlの三ツ口フラスコに入れる。20mlの無水ピリジンを加え、式(I)の化合物を溶解し、氷浴で冷却しながら、フェニルアセチルクロリド(0.55mmol)を滴下した。次いで、混合物全体を室温(25℃)で一夜間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより原料が消失したことを確認した後、ウオーターポンプにより減圧下してピリジンを留去し、シリカゲルクロマトグラフィーによりジクロロメタン:アセトン:メタノール=50:45:5を展開剤として用いて分離し、溶出して、粗生成物を得た。次いで、アセトン/石油エーテル混合溶剤で再結晶し、生成物を得た。収率は75%であった。上記と同様の方法により、誘導体No.3,5,6,7,8,9,10,11,13を製造することができる。実施例2 誘導体No.4の製造化合物(I)(0.50mmol)を秤量し、50mlの三ツ口フラスコに入れ、20mlの無水ピリジンを加えて溶解させる。氷浴で冷却しながら、まずDBU(0.6mmol)を加え、次に0.55mmolのピリジン−2−ホルミルクロリド塩酸塩を加え、全体を室温で1夜間放置した。薄層クロマトグラフィーにより反応が完了したことを確認した後、ウオーターポンプにより減圧下してピリジンを留去し、シリカゲルクロマトグラフィーによりジクロロメタン:アセトン:メタノール=50:45:5の混合液を展開溶媒として溶出して、粗生成物を得た。次いで、アセトン/石油エーテル混合溶剤で再結晶し、生成物を得た。収率は74%であった。上記と同様の方法により、誘導体No.12および14を製造することができる。実施例3:誘導体No.19の製造化合物(I)(0.50mmol)を秤量し、50mlの三ツ口フラスコに入れる。無水エタノールを加え、次いで2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンズアルデヒド(0.50mmol)を加え、微かに加熱して還流させた。分流管により常時一部のエタノールを蒸発させ、併せて反応の間に随時溶剤を補充する。数時間反応させる間に、随時薄層クロマトグラフィーにより反応状況を監視し、反応の完了を待って、減圧してエタノールを除去し、固体を得た。次いで、アセトン/石油エーテル混合溶剤で再結晶し、生成物を得た。収率は92%であった。上記と同様の方法により、誘導体No.17,18,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42および43を製造することができる。実施例4 誘導体No.15の製造化合物(I)(0.5mmol)を計量し、50mlの三ツ口フラスコに入れ、20mlの無水ピリジンを加えて溶解させる。氷浴で冷却しながら等モル量の無水o−フタル酸を加え、混合物を撹拌し、一夜間放置した。薄膜クロマトグラフィーによる測定で反応が完了したことを確認した後、ウオーターポンプにより減圧下してピリジンを留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより分離し、ジクロロメタン:メタノール=3:1を展開溶媒として用いて溶出し、粗生成物を得た。プロパノールにより再結晶し、誘導体No.15を白色粉末状で得た。収率は78%であった。同じ方法を誘導体No.1および16の製造に用いることができた。実施例5 誘導体No.44の製造アルゴン気流下に、150mg(0.620mmol)のフペルジンAおよび200mgの4Aモレキュラーシーブを4mlのベンゼンに懸濁し、76μl(0.86mmol)のピリジン−3−アセトアルデヒドおよび20mgのp−トルエンスルホン酸を加え、3時間加熱還流した。混合物を放冷後、トリエチルアミンで中和し、セライトで濾過の後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン=1:20)で精製し、誘導体No.44を無色固体(183mg、収率89%)として得た。同じ方法を用いて、誘導体No.45および46をそれぞれ84%および82%の収率で製造した。 下記一般式で示されるフペルジンA誘導体。上式中、Zはハロゲンまたはニトロを表す。 Zが塩素、臭素またはニトロである、請求項1に記載したフペルジンA誘導体。 下記式で示されるフペルジンA誘導体。 無水溶剤中で、フペルジンAと対応する置換アルデヒドとの縮合を実施することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフペルジンA誘導体の製造方法。 請求項1〜3のいずれかに記載したフペルジンA誘導体および製薬上許容される賦形剤を含む製薬組成物。 製薬剤として使用するための、請求項1〜3のいずれかに記載のフペルジンA誘導体。 アルツハイマー病の治療に用いるための、請求項6記載のフペルジンA誘導体。 請求項1〜3のいずれかに記載したフペルジンA誘導体の、アルツハイマー病の治療のための薬剤の製造における使用。