生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_免疫抑制剤
出願番号:1996299357
年次:2007
IPC分類:A61K 31/40,C12P 17/16,C07D 403/14,A61P 35/02,A61P 37/06,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

平田 肇 八木澤 仁 中辻 慎一 鎌田 英明 池上 良成 横山 嘉人 川内 敬子 JP 3949196 特許公報(B2) 20070427 1996299357 19961023 免疫抑制剤 赤穂化成株式会社 592015802 藤野 清也 100090941 平田 肇 八木澤 仁 中辻 慎一 鎌田 英明 池上 良成 横山 嘉人 川内 敬子 20070725 A61K 31/40 20060101AFI20070705BHJP C12P 17/16 20060101ALI20070705BHJP C07D 403/14 20060101ALI20070705BHJP A61P 35/02 20060101ALI20070705BHJP A61P 37/06 20060101ALI20070705BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070705BHJP JPA61K31/40C12P17/16C07D403/14A61P35/02A61P37/06A61P43/00 105A61P43/00 111 A61K 31/40 C07D 403/14 BIOSIS(STN) CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) 特開平10−80293(JP,A) WALK Meston,Tetrahedron Letters,1983年,Vol.24, No.26,Pages 2701-2704 KAWAUCHI Keiko,Biochemical and Biophysical Research Communications,1997年,Vol.237,Pages 543-547 6 1998120563 19980512 11 20030724 長部 喜幸 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規な免疫抑制剤、アポトーシス誘導剤及び白血病治療剤に関する。【0002】【従来の技術】臓器移植のさいに、臓器移植される生体 (レシピエント) において拒絶反応が生じることがある。従来、この拒絶反応を抑制するために、免疫抑制剤が用いられている。このような免疫抑制剤としては、タクロリムス(FK506) 、シクロスポリンなどが用いられている。しかし、これらの薬剤を投与すると重篤な副作用、特に腎障害を招くおそれがある。その機構の詳細については最近まで不明であったが、この機構は、最近になって、これら薬剤の免疫抑制機構であるカルシニューリンを介した作用であることが示唆された (J.Exp. Med., 176, 751-760(1992))。このため、このような免疫抑制機構とは異なる機構による免疫抑制剤を開発し、免疫抑制効果を高め、重篤な副作用の誘発を軽減し、臓器移植を成功させることが期待されている。【0003】本発明者らは、このような免疫抑制剤の開発について着目し、種々の化合物を用いて免疫抑制効果を検討したところ、海洋細菌の1種のシュードアルテロモナス・デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK-1株(FERM P-15771)の産生する赤色物質シクロプロジギオシン塩酸塩が、コンカナバリンA刺激によるマウスリンパ球の増殖を特異的に抑制することを見出した。そしてこの化合物を免疫抑制剤の有効成分として用いることについて検討した。さらにシクロプロジギオシン塩酸塩の薬理作用を調べたところアポトーシスを誘導し、種々の白血病細胞株の生育を阻害することを見出した。そして、この化合物から塩化水素をはずし塩酸塩のない遊離のシクロプロジギオシンについても同様の作用があることを見出した。従来、シクロプロジギオシンが抗菌活性や抗真菌活性を持つことは知られているが(Tetrahedron Letters 30 (13) 1725 (1989))、シクロプロジギオシン及びその塩酸塩の前記したような薬理作用に関しては、全く知られていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】前記のことからみて、本発明の課題は、新規な免疫抑制剤、アポトーシス誘導剤及び白血病治療剤を提供することにある。さらに、本発明の課題は、シクロプロジギオシン及びその塩類の新規用途を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであって、シクロプロジギオシン (化I)あるいはシクロプロジギオシン塩酸塩 (化II) その他の塩を有効成分として含有する免疫抑制剤に関する。【0006】【化1】【0007】【化2】【0008】また、本発明は前記化合物を有効成分とするアポトーシス誘導剤及び白血病治療剤に関する。このような化合物としては、シクロプロジギオシンあるいはシクロプロジギオシン塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩等)、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、ピクリン酸塩、スルホン酸塩、テトラフルオロボレート塩等を例示することができる。【0009】シクロプロジギオシンは、海洋細菌のアルテロモナス ルブラ、(Alteromonasrubra)(Tetrahedron Letters 24 (26),2701-2704(1983))あるいはベネッケアガゾゲネス(Benekea gazogenes) (同上誌 24(27),2797-2798(1983)) から産生される赤い色素であり、また 2- メチルシクロヘキサノンを出発物質として次の工程を経て合成する方法も知られている(Tetrahedron Letters 25,(13) 1387-1388(1984))。【0010】【化3】【0011】シクロプロジギオシン塩酸塩等の前記化合物は、このようにして得られたシクロプロジギオシンを塩の形に変換することによって得ることができる。塩とする手段は、通常の塩形成手段を用いることができる。しかし、これらの海洋細菌から得られるシクロプロジギオシンは、数種のプロジギオシン類を爽雑物の形で産生しているので、抽出物のなかからシクロプロジギオシン単体を単離するには煩雑な単離操作を必要とした。また、前記化学合成によってシクロプロジギオシンを製造する方法は多工程にわたる複雑な工程を必要としていた。【0012】本発明者らは、海洋細菌の代謝産物について検討を行なっていたところ、シュードアルテロモナス デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK-1株(FERM P-15771)がシクロプロジギオシン塩酸塩を、他のプロジギオシン類の爽雑物を含むことなく産生することを見出した。前記菌体を培養するとシクロプロジギオシン塩酸塩が菌体内及び培地中に大量に生成蓄積されるので、これを高純度で大量に作ることができる。このシクロプロジギオシン塩酸塩は、カラムクロマトグラフィー処理することによって容易に塩化水素をはずし塩酸塩のない遊離のシクロプロジギオシンを得ることができる。そして、この遊離シクロプロジギオシン (シクロプロジギオシン塩酸塩から塩化水素をはずした式(I) で示される化合物をいう) をリン酸、硫酸等の酸で処理することによって前記した塩類とすることができる。本発明で使用するシクロプロジギオシン塩酸塩、その他の塩は、水に可溶性であり、蒸留水等に溶解して使用することができる。従って、注射剤、ドリンク剤等としても用いることができる。【0013】本発明においてシクロプロジギオシンあるいはシクロプロジギオシン塩酸塩その他の塩が免疫抑制剤の有効成分となること、及びこれらの化合物がコンカナバリンA(ConA)刺激によるマウスリンパ球の増殖を特異的に抑制する作用があることに基づくものである。ちなみに、コンカナバリンAはT細胞のマイトジェンとして知られている。さらに、本発明者らは、シクロプロジギオシンあるいはシクロプロジギオシン塩酸塩が、急性リンパ芽球性白血病患者の末梢血に由来するヒトT細胞株の Jurkat 細胞でDNAを分断化し、特異的にアポトーシスを誘導する作用があることを見出した。アポトーシスは、最近注目されるようになってきた細胞死のひとつである。アポトーシスが最近注目されることになってきたのは、次の理由からと考えられる。【0014】▲1▼アポトーシスが個体形成において重要な役割を演じていること、▲2▼生体内での内的、外的要因による細胞死が多くの場合アポトーシスによること、▲3▼エイズその他の疾病の原因となる体細胞 (リンパ細胞等) の変性にアポトーシスが深く関与していること、▲4▼各種の抗ガン剤によるガン細胞の破壊にアポトーシスが関与していること、及び▲5▼細胞生物学的に Programmed cell death(プログラムされた細胞死) との関連で、基本的興味がもたれていること。【0015】従って、本発明におけるシクロプロジギオシンあるいはシクロプロジギオシン塩酸塩等のシクロプロジギオシンの塩類がアポトーシスを誘導するという知見は、これらの化合物をアポトーシスが関与する疾病の治療やそれらの基礎研究に応用することを可能にするものである。さらに、本発明者らは、前記 Jurkat 細胞及び M1-3b細胞 (骨髄白血病のSLマウス由来骨髄芽球細胞) を用いて、シクロプロジギオシン塩酸塩等のシクロプロジギオシン塩の細胞生育に対する影響をみたところ、これらの白血病細胞株の生育を阻害し、致死させることを見出した。【0016】本発明におけるシクロプロジギオシン、シクロプロジギオシン塩酸塩あるいはその他の塩は、これをそのまま免疫抑制剤その他の薬剤として用いることができるが、通常は、賦形剤、その他の補助剤とともに適当な製剤の形にして経口あるいは非経口の形で投与される。経口剤としては、粉剤、顆粒剤、錠剤、糖衣剤、丸剤、カプセル剤、ドリンク剤等がある。また、非経口製剤には、坐剤、パップ剤、注射剤等がある。注射剤は、筋肉注射、動脈注射あるいは静脈注射の形の剤型とするとよい。これらの賦形剤その他の補助剤としては、乳糖、しょ糖、各種のでん粉、ぶどう糖、セルロースあるいはその誘導体、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が用いられる。また、蒸留水等の溶媒を用いることができる。これらは、製剤手段として通常知られている手段で経口あるいは非経口の製剤にすることができる。投与量は、症状、年齢、性別等によって相違するが、経口投与の場合は、シクロプロジギオシンあるいはその塩酸塩その他の塩を1日当り 0.1〜0.5mg/体重kg、非経口投与の場合は、注射剤で1日当り 0.1〜0.5mg/体重kgを投与することが望ましい。【0017】これらの化合物の毒性については、シクロプロジギオシン塩酸塩をICR雌性マウス(5週令、体重25〜29g)の腹腔内に投与したところ LD50 値は10mg以上であった。また、シクロプロジギオシン塩酸塩をリン脂質平面膜法 (1992年7月10日(株)東京化学同人発行、(財)日本生化学会編 新生化学実験講座「生体膜と膜輸送(上)」第 181-187頁) により比抵抗を検討した。その結果を図1に示した。この図に示されるようにイオノフォアのひとつであるカルボニルシアニド−p−トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)に比較して、イオノフォア活性を示さなかったことからみて、毒性がきわめて低いものと判断される。【0018】本発明のシクロプロジギオシン塩酸塩の製造例を示す。バクトペプトン(Difco)2.5g 、バクトイーストエクストラクト(Difco)0.5g 及びリン酸鉄(III)n水和物(和光純薬)0.1g を天然海水1L中に溶解した後、滅菌し、その 3ml中に、シュードアルテロモナス・デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK-1株 (FERM P-15771) を、接種し、15〜20℃で1日間振盪培養を行なった。得られた培養物を上記組成の培地 600mlに移し、1日間培養を行なった。【0019】このようにして培養された培地を22,000 rpmで20分間遠心分離し、菌体を回収した。菌体は5〜10g が回収された。この菌体にアセトン- ジエチルエーテル(4:1) 混液を加え200 振盪/minで色素 (シクロプロジギオシン塩酸塩) を抽出した。抽出液を12,000 rpmで10分間遠心分離して上清液を得た。この上清液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着除去し、この硫酸マグネシウムを濾過して除去した。濾液を乾固するまで濃縮し、これを薄層クロマトグラフィーによって分析した(Kieselgel 60 F254; 展開溶媒ベンゼン: エーテル=1:1)。Rf 0.20 に単一のスポットが得られた。この濃縮物を塩化メチレン5ml に溶解し、この溶液から温度差を利用して再結晶した。生成した結晶をペンタンで洗浄し、吸引濾過して結晶 5mgを採取した。この結晶は、赤色の金属光沢をもった針状結晶であって、融点はなく、約 230℃で分解した。この結晶を、元素分析し、またその Mass スペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル、 H-NMRスペクトルを解析したところ、シクロプロジギオシン塩酸塩(化II) のそれと一致し(Tetrahedron Letters, 24 (26), 2701-2704(1983)) 、同化合物であることが同定された。【0020】このようにして得られたシクロプロジギオシン塩酸塩 5mgを塩化メチレン10mlに溶解し、シリカゲルカラム (口径 1.5cm,長さ12cm, 流速1.2ml/min)を通過させ、溶媒を留去して遊離シクロプロジギオシン 4mgを得た。この物質が遊離シクロプロジギオシンであることはH-NMR 等のデータによって確認された。【0021】次にシクロプロジギオシン薬理作用を実験例を示して説明する。〔実験1〕 コンカナバリンA刺激によるマウスリンパ球の細胞増殖に対する抑制効果マウス脾臓よりリンパ球を採取し、これを10% FBS-RPMI1640 培養液で希釈し、 2.0×106 cells/mlの細胞液とした。この細胞液 1mlに、コンカナバリンA1または5μg/mlとシクロプロジギオシン塩酸塩を最終濃度が図2に示される濃度になるように加え、37℃で48時間インキュベートし、トリチウムチミジン0.25μCiを添加し数時間培養後、濾過して細胞を回収した。濾紙に吸着した細胞にシンチレーター溶液 1mlを加え、これを液体シンチレーションカウンターで測定し、細胞中に取り込まれたトリチウム放射能量を測定した。その結果を図2に示す、図にみられるようにコンカナバリンA刺激によるマウスリンパ球の増殖を特異的に抑制した。現在、臨床で使用されている FK 506,シクロスポリンもコンカナバリンA刺激によるマウスリンパ球の増殖を阻害するが、コンカナバリンAの濃度が高いと増殖抑制効果は弱いといわれている(The Journal of Antibiotics XLIII(10),1293-1301(1990))。これに対し、本発明では、シクロプロジギオシン塩酸塩は、コンカナバリンAの濃度依存的に増殖抑制効果を示す。またその化学構造も FK 506,シクロスポリンと相違することからみてシクロプロジギオシン塩酸塩によるリンパ球の増殖抑制機構は FK 506,シクロスポリンと相違するものと考えられる。【0022】〔実験2〕 遊離シクロプロジギオシン及びシクロプロジギオシン塩酸塩のリンパ球増殖抑制効果コンカナバリンA濃度を2μg/mlとし、シクロプロジギオシン塩酸塩と遊離シクロプロジギオシンとを用い実験1と同様にマウスリンパ球増殖に対する抑制効果を検討した。その結果を図3に示した。図3に示されるように、シクロプロジギオシン塩酸塩及び遊離シクロプロジギオシンは、いずれも同様にマウスリンパ球の増殖を抑制し、免疫抑制効果があることが確認された。【0023】〔実験3〕 Jurkat細胞のDNA分断化作用シクロプロジギオシン塩酸塩を10mMとなるようにDMSOに溶解し、その後さらに水で希釈した。これを最終濃度が図4に示される濃度になるように10%FBS-RMPI1640培養液に添加し、あるいはこれにコンカナバリンA 2μg/mlを添加し、5×106cells/10cm dishの細胞密度でヒトT細胞株 Jurkat を接種し、37℃で18時間インキュベートした。この培地を遠心分離して細胞を回収し、細胞溶解溶液を加えて、遠心して上清を採取した。得られた上清 500μl に対して、3M酢酸ナトリウム50μl 、エタノール1mlを加えてよく攪拌し、−20℃に1時間放置し、15000 rpm で30分間遠心し、沈殿を生ぜしめた。この沈殿をTE溶液に溶解し、260nm の吸光度を測定し、この吸光度に基づいてヌクレオチド2μg/μl を含有する溶液を調製し、これにRNA分解酵素を加え、37℃で1 時間インキュベートした。得られた酵素処理液を、アガロースゲルを使用し、ゲルローディングバッファー 2μl と前記酵素処理液10μl とを混合したものを電気泳動にかけ、DNAの分断化を確認した。この結果を図4に示した。白いバンドはDNAを示している。図Aは、シクロプロジギオシン塩酸塩単独添加を、BはこれとコンカナバリンAで細胞を刺激したものを示す。またマーカーとしてλ−Hind IIIを使用した。図4に示されるように、シクロプロジギオシン塩酸塩の濃度依存的に断片化されたDNA量が増加していることが分かる。これは、シクロプロジギオシン塩酸塩を単独で用いることにより特異的にアポトーシスを誘導することができることを示している。また、シクロプロジギオシン塩酸塩にコンカナバリンA 2μg/ml添加することによって、同じレーンにおいても図AよりDNA量が増加している。これは、コンカナバリンAを添加することによってアポトーシス誘導をさらに亢進することが確認された。なお、図Bのレーン2は、シクロプロジギオシン塩酸塩を添加せず、コンカナバリンAのみで刺激したものである。このレーン2が図Aのレーン2と同じ電気泳動のパターンを示している。図Aのレーン2は、シクロプロジギオシン塩酸塩を添加しないものの電気泳動パターンであるから、このことからみてコンカナバリンA 2μg/mlのみではアポトーシスを誘導することができないことが確認される。シクロプロジギオシン塩酸塩は、アポトーシスが関係する各種の疾病の治療及びその研究に応用することができる。【0024】〔実験4〕 Jurkat細胞及び M1-3b細胞に対する生育阻害作用前記したようなJurkat細胞及びマウス白血病細胞株 M1-3b細胞を用い、これらの細胞の生育に対するシクロプロジギオシン塩酸塩の影響を MTT法により調べた。 MTT法は、生細胞がテトラゾリウム塩である MTTを青色のホルマザン産物へ転換することを原理とし、生細胞数の指標としてよく用いられる方法である。これらの細胞を、シクロプロジギオシン塩酸塩で刺激し、24時間後に595nm の吸光度を測定し、シクロプロジギオシン塩酸塩無添加の対照の吸光度を 100とし、その比率を求めたものである。また、NRK 細胞 (ラットの腎臓由来細胞株) についても同様の方法で実験を行なった。この結果を図5に示す。図5に示すように、NRK 細胞では、シクロプロジギオシン塩酸塩(PdG) の濃度が高くなっても細胞生育阻害は生じていないのに対し、Jurkat細胞、M1-3b 細胞では、シクロプロジギオシン塩酸塩の濃度に依存して生育阻害がおこり、細胞を死滅させている。両者ともほぼ 5μg/mlの濃度で生育がほとんど阻害されている。このようにシクロプロジギオシン塩酸塩は、白血病細胞株に対して特異的に致死効果をもたらし、白血病の治療薬として有効である。【0025】次に実施例として製剤例を示す。【実施例1】シクロプロジギオシン塩酸塩 0.5g乳糖 400 gヒドロキシプロピルセルロース 50 g澱粉 50 g上記の成分を混合し、常法により顆粒剤を製造した。【0026】【実施例2】シクロプロジギオシン塩酸塩 20 mgTween 80 0.4 g蒸留水 200 mlシクロプロジギオシン塩酸塩20mgをTween 80 0.4g とともに蒸留水 200mlに溶解し、20mlのアンプルに充填し、加熱殺菌して静脈注射剤を調製した。【0027】【発明の効果】本発明によれば、シクロプロジギオシンあるいはその塩酸塩等のシクロプロジギオシン塩のリンパ球、Jurkat細胞生育抑制効果を利用してこれらの化合物を臓器移植のさいの免疫抑制剤又はアポトーシス誘導剤あるいは白血病治療剤として有効に用いることができる。そして得られた剤は、経口または非経口で投与することによりこれらの疾病の治療効果が期待できる。【図面の簡単な説明】【図1】シクロプロジギオシン塩酸塩のリン脂質平面膜の比抵抗を示す。【図2】実験1のコンカナバリンA刺激によるリンパ球の増殖活性におけるシクロプロジギオシン塩酸塩の影響を示す。【図3】実験2の遊離シクロプロジギオシン及びシクロプロジギオシン塩酸塩の免疫抑制効果を示す。【図4】実験3のシクロプロジギオシン塩酸塩のヒトT細胞株のDNA分断化を示す電気泳動図を示す。(Aは、シクロプロジギオシン塩酸塩の単独使用を、Bは、これとコンカナバリンAで細胞を刺激したものの電気泳動図を示す。)レーン1はマーカー、レーン2〜8は順にシクロプロジギオシン塩酸塩を最終濃度が 0,1,4,11,36,107,357 ng/mlになるように添加したものを示す。【図5】実験4のシクロプロジギオシン塩酸塩(PdG) の白血病細胞株に対する生育阻害効果を示す。 シクロプロジギオシンまたはその塩を有効成分として含有する免疫抑制剤。 有効成分がシクロプロジギオシンである請求項1記載の免疫抑制剤。 有効成分がシクロプロジギオシン塩酸塩である請求項1記載の免疫抑制剤。 シュードアルテロモナス・デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK-1株(FERM P-15771)の産生するシクロプロジギオシン塩酸塩を用いる請求項3記載の免疫抑制剤。 シクロプロジギオシンまたはその塩を有効成分として含有するアポトーシス誘導剤。 シクロプロジギオシンまたはその塩を有効成分として含有する白血病治療剤。


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