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タイトル:特許公報(B2)_ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質の分析方法
出願番号:1996296338
年次:2006
IPC分類:G01N 33/50


特許情報キャッシュ

佐々木 健次 田川 俊明 JP 3778528 特許公報(B2) 20060310 1996296338 19961108 ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質の分析方法 三菱化学株式会社 000005968 松山 直行 100092831 高柳 昌生 100082511 長谷川 曉司 100103997 佐々木 健次 田川 俊明 20060524 G01N 33/50 20060101AFI20060427BHJP JPG01N33/50 特開平07−243972(JP,A) 特開昭62−209358(JP,A) 7 1998142214 19980529 10 20031107 竹中 靖典 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質の分析方法に関する。【0002】【従来の技術】高分子ミセル、脂質ミセル、リポソーム等のミセルは、ドラッグ・デリバリー・システムの有効な手段として注目されており、その安全性や有効性、更には安定性の向上を目指して様々な工夫が為されている。例えば、リポソームの血中濃度を維持する目的でリポソームの外表面にポリエチレングリコール鎖を導入することが試みられている(例えば、特開平1-249717号公報、特開平2-149512号公報、特開平3-218309号公報、特開平3-218309号公報、特開平4-5242号公報、FEBS letters 268, 235(1990))。【0003】また、リポソームに抗体などのタンパク質を結合することによるターゲティングベシクルの研究、さらに、抗体及びポリエチレングリコールなどの複合的修飾による機能性付与によるターゲティング療法剤が研究開発されている(イムノリポソームに関する総説、Immunomethods 4, 259 (1994))。このような高分子化合物を結合したリポソームなどのミセルを実際に医薬品に応用する場合、その結合量(含有量)や純度が安全性、有効性の重要な要因であることは言うまでもなく、これら高分子物質の含量や純度を正確かつ簡便に測定できる系が必要である。【0004】ポリエチレングリコールを例にすれば、ポリエチレングリコール含量と血中維持効果の相関に関して多くの報告がなされている。しかしながら、そのほとんどは、構成脂質成分に添加したポリエチレングリコール脂質誘導体の添加比率で量的規定をしているのみであり実際に導入されたポリエチレングリコール量に関してなんら定量したものではない。さらに、T. M. Allenら(BBA 1066, 29 (1991))は添加したポリエチレングリコール脂質誘導体が必ずしも全量ミセル(本論文ではリポソーム)に組み込まれないことを示しており、実際に組み込まれた量を測定する方法の開発はターゲッティング粒子を研究開発するうえで欠くことのできない技術である。【0005】T. M. Allenら(BBA 1066, 29 (1991))は、ポリエチレングリコール定量のためBio-Radタンパク検出試薬を応用した色素結合法により、またHashimotoらは、非結合のポリエチレングリコールを算出し、間接的に結合ポリエチレングリコール量を算出している。Allenらの方法はタンパク質やリン脂質が共存する場合、これらが妨害物質となるため分離のための煩雑な前処理が必要であり、正確な測定は困難である。また、リポソームに内封した薬剤に色素結合法に用いる可視吸収がある場合は使用できない。【0006】抗体などのタンパク質を例にとると、放射ラベルした抗体を用いる方法(BBA 1239, 133 (1995))や色素結合法、アミノ酸分析法、電気泳動法が考えられる。色素結合法はポリエチレングリコールの場合と同様の理由でやはり測定は困難である。アミノ酸分析法は操作が煩雑であり、しかも高価なアミノ酸分析機を要する。電気泳動法はデンシトメーターなどとの組み合わせにより純度分析が可能であるが、ゲルの染色や洗浄の条件によって測定値のばらつきが大きく定量性に欠ける。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来の問題点を解決した、ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質、例えばポリエチレングリコールやタンパク質等の脂質誘導体の定量及び純度分析を正確かつ簡便に行う方法を見いだすことを課題とする。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、リポソーム等のミセルに組み込まれた水溶性高分子物質の分析法を開発すべく鋭意検討した結果、ミセルの分散液が溶媒または界面活性剤との共存下、加熱や超音波などの処理により可溶化し、その可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィーで分離することにより容易に組み込まれた水溶性高分子物質が分析可能であることを見出した。本発明は、これらの知見を基に完成されたものである。【0009】 すなわち、本発明は、ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質を分析するにあたり、ミセル自体が可溶化しうる溶媒で可溶化後、該可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィーで分離することを特徴とする分析方法である。 上記発明の好ましい態様によれば、溶媒が界面活性剤を含む水性溶媒である上記方法;界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである上記方法;ミセルがリポソームである上記方法;水溶性高分子物質の定量及び純度分析である上記方法;水溶性高分子物質がタンパク質の脂質誘導体及び/又はポリエチレングリコールの脂質誘導体である上記方法;水溶性高分子物質がタンパク質の脂質誘導体及びポリエチレングリコールの脂質誘導体である上記方法又はタンパク質の脂質誘導体が抗体の脂質誘導体である上記方法が提供される。【0010】【発明の実施の形態】本明細書において、ミセルとは、分子中に親水性部分及び疎水性部分を含む両親媒性分子の凝集によって得られる水溶性粒子を意味する。このようなミセルは、小球、楕円体又は長い円筒形の形態をとり得、また、後述する両親媒性分子の二つの平行な層から成る二重層、すなわち両親媒性ミセル二重層でもあり得る。また、上記ミセルが、閉鎖小胞構造のものをリポソームと称する。【0011】ミセルを構成する両親媒性分子としては、親水性部分及び疎水性部分を含み、それ自体既知の通常用いられる方法によりミセルを形成し得るものであれば如何なるものであってもよく、それらの中で、好適な両親媒性分子としては脂質を挙げることができる。本発明におけるミセルを形成し得る脂質としては、例えば、天然ホスファチジルコリン、例えば卵黄ホスファチジルコリン(EYPC)、大豆ホスファチジルコリン等;ホスファチジルコリン(PC)、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)等;天然ホスファチジルエタノールアミン、例えば卵黄ホスファチジルエタノールアミン(EYPE);ホスファチジルエタノールアミン(PE)、例えばジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)等;ホスファチジルグリセロール(PG)、例えばジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)等;ホスファチジルセリン(PS);ホスファチジルイノシトール(PI);ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)等のリン脂質、スフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質等の糖脂質等を挙げることができる。これらの脂質は単独又は二種以上、或いはこれらとコレステロール等の非極性物質と組合せて用いられる。【0012】本発明におけるミセルは、上記脂質や非極性物質の他に、抗体等のタンパク質やポリエチレングリコール等の水溶性高分子が脂質に結合した脂質誘導体等の水溶性高分子物質が組み込まれて成るものである。本発明におけるミセルは、如何なる方法で製造された物でも良いが、例えば上記した素材を用いてそれ自体既知の通常用いられる製造技術を用いて製造できる。例えば、ガラス壁に付着させた脂質薄膜に水溶液を加え機械的振盪を加え形成するマルチラメラリポソーム(MLV)や、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法により得られるスモールユニラメラリポソーム(SUV)、界面活性剤除去法、逆相蒸発法(リポソーム 砂本順三ら 南江堂 1988)、MLVを均一ポア径を有するメンブランを加圧して押し出すイクストゥルージョン法等から得られるラージユニラメラリポソーム(LUV)を用いることができる(Liposome Technology, Vol.1 2nd Edition)。【0013】水溶性高分子物質のミセルへの組み込みは、あらかじめ上記水溶性高分子の脂質誘導体を調製し、それを上記方法に従ってミセルの製造時に組み込んでも良いし、ミセルを製造した後に、脂質誘導体を介して水溶性高分子を結合させても良い(特開平4-346918号公報参照)。さらに、ミセルには、医薬品や診断用薬剤が導入されていても良い。【0014】ミセルに導入し得る医薬品としては、アドリアマイシン、ダウノルビシン、ビンブラスチン、シスプラチン、マイトマイシン、ブレオマイシン、アクチノマイシン、5−FU(フルオロウラシル)等の抗腫瘍剤、チモロール等のアドレナリン遮断剤、クロニジン等の高血圧剤、プロカイアミド等の制吐剤、クロロキニーネ等の抗マラリア剤、並びにそれらの薬学的に許容し得る塩及び誘導体;リシンAやジフレリアトキシン等の毒素蛋白およびそれをコードするDNA、TNF等のサイトカイン遺伝子をコードするDNA、アンチセンスDNA等のヌクレオチド類等が挙げられる。上記抗腫瘍剤等の薬学的に許容し得る塩としては、薬学的に許容し得る多価陰イオン性物質との塩、例えばクエン酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、及びそれらの誘導体との塩が好ましい。【0015】ミセルに導入し得る診断用薬剤としては、放射性元素、例えばインジウム、テクネシューム等のイメージング薬剤;ホースラデイッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクロシダーゼ等の酵素;ユーロピウム誘導体等の蛍光体;N−メチルアクリジウム誘導体等の発光体等が挙げられる。これら医薬品及び診断用薬剤のミセルへの導入は、それ自体既知の通常用いられる方法で行うことができる。例えば、リポソーム等のミセル形成時に水溶液として添加し封入しても良く、またミセル形成後ベシクル内外にpH勾配等の濃度勾配を形成させ、このポテンシャルを駆動力としてイオン化可能な薬剤を取り込ませる方法(Cancer Res. 49, 5922 (1989))を用いても良い。【0016】本発明の分析方法においては、水溶性高分子物質が組み込まれたミセルを、ミセル自体が可溶化しうる溶媒で可溶化後、該可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィーで分離し、分離された水溶性高分子物質が検出される。用い得る溶媒は、ミセルを可溶化し得るものであれば特に制限されないが、例えば、界面活性剤を含む水性溶媒が挙げられる。界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び両性イオン性のいずれも使用し得る。適当な界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X-100)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート(CHAPS)、セチルピリジウムクロライド(CPCl)、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(TDMABr)等を挙げることができる。これらの中で、ドデシル硫酸ナトリウムが最も好ましい。界面活性剤の濃度は特に制限されないが、終濃度で0.5〜10重量%が適当である。【0017】水性溶媒は、さらに適当な有機溶媒、例えばアセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン等を含有していても良い。有機溶媒の濃度は特に制限されないが、例えば水溶性高分子物質がポリエチレングリコールの脂質誘導体である場合には、通常30〜100容量%、好ましくは50〜80容量%が適当である。また、水溶性高分子物質がタンパク質の脂質誘導体である場合は、有機溶媒を含有しない水を用いるのが好ましい。【0018】溶媒のpHは特に制限されないが、通常4.0〜9.0、好ましくは6.0〜8.0が適当である。該水性溶媒は、適当な緩衝剤、例えばリン酸緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等で緩衝化されていても良い。緩衝剤の濃度は、通常20〜50mMが適当である。【0019】上記溶媒にミセルを混合し、必要に応じて加熱することにより、ミセルは容易に可溶化する。加熱条件は特に制限されないが、通常、温度50〜80℃で、15〜45分間行うのが適当である。かくして得られるミセルの可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィーで分離し、水溶性高分子物質を検出する。【0020】ゲルろ過クロマトグラフィー用カラムとしては、親水性のポリマーまたはシリカゲルを充填したカラムが挙げられる。例えば、ポリマー系のカラムとしてはTSKゲルG2000PWXL、G3000PWXL及びG4000PWXL(東ソー株式会社より市販)等が挙げられ、シリカゲル系のカラムとしてはMCIゲルCQS10及びCQS30(三菱化学株式会社より市販)、TSKゲルG2000SWXL、G3000SWXL及びG4000SWXL(東ソー株式会社より市販)等が挙げられる。特にタンパク質の脂質誘導体を分析する場合はシリカゲル系のカラムが好ましい。【0021】ゲルろ過クロマトグラフィーの移動相に特に制限はないが、界面活性剤を含有する水性溶液が適当である。界面活性剤としては、前記したものがあげられ、それらのなかでもドデシル硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。界面活性剤の濃度は、通常0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.2重量%が適当である。移動相に用いる水性溶液は、さらに適当な有機溶媒、例えばアセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン等を含有していても良い。有機溶媒の濃度は特に制限されないが、分析対象がポリエチレングリコールの脂質誘導体である場合は、通常30〜100容量%、好ましくは50〜80容量%が適当であり、分析対象がタンパク質の脂質誘導体である場合は、有機溶媒を含有しない水性溶液を用いるのが好ましい。【0022】移動相に用いる溶液は、さらに適当な塩、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム等を含有していても良い。塩の濃度は特に制限されないが、通常50〜500mM、好ましくは100〜300mM程度が適当である。特に分析対象物がタンパク質の脂質誘導体である場合は、上記濃度の塩を含有する溶液を用いるのが好ましい。【0023】移動相に用いる溶液のpHは特に制限されないが、通常pH6.0〜8.0が適当であり、分析対象物がタンパク質の脂質誘導体である場合はpH6.5〜7.5、分析対象物がポリエチレングリコールの脂質誘導体である場合にはpH7.0〜8.0が最も好ましい。溶液は、前記記した適当な緩衝剤で緩衝化されていても良く、緩衝剤の濃度は、通常20〜50mMが適当である。【0024】上記した移動相に用いる溶液の中で、分析対象物がポリエチレングリコールの脂質誘導体である場合は、50〜80容量%の有機溶剤、例えばメタノールまたはアセトニトリル及び0.05〜0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウムを含有する20〜50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0〜8.0)が好ましい。また、分析対象物がタンパク質の脂質誘導体である場合は、100〜300mMの塩及び0.05〜0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウムを含有する20〜50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5〜7.5)が好ましい。【0025】ゲルろ過クロマトグラフィーで分離された水溶性高分子物質の検出は、例えば、分析対象物がポリエチレングリコールの脂質誘導体である場合は、紫外吸収法、示唆屈折率法等;分析対象物がタンパク質の脂質誘導体である場合は、紫外吸収法等で容易に行うことができる。【0026】【発明の効果】本発明の分析方法によれば、ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質を正確かつ簡便に分析することができる。また、本発明の分析方法は、脂質などのミセル成分過剰、又は、かつ大量の封入薬剤共存下においても、水溶性高分子物質の含量のみならず、分子量分布までも容易に直接分析することが可能である。さらに、可溶化条件、カラム分離条件をわずかに変更するのみで複数の水溶性高分子物質が組み込まれたミセルにおいてもその分別定量が可能である。【0027】【実施例】本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。参考例1 リポソームの作製ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/コレステロール(Chol)/マレイミド化ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)(18/10/0.5)からなる固形脂質混合物100mgあたり1mlの0.3Mクエン酸緩衝液pH4.0を加えボルテックスミキサーで水和した。さらに、凍結融解を5回繰り返すことでマルチラメラリポソームを作製した。ついで、このリポソームを順次、200nm及び100nmのポアサイズのポリカーボネート膜を装着したextruder(日油リポソーム社製)で60℃で加温しつつ加圧ろ過し、整粒したリポソームを作製した。【0028】得られたリポソーム溶液を1M NaOH溶液で中和した後、脂質重量の1/10重量のアドリアマイシン(協和発酵)を添加した。その結果97%以上のアドリアマイシンを封入したアドリアマイシン封入リポソームを得た。さらに、このリポソームにTrautらの方法によりイミノチオランでチオール基を導入(Traut, R. R. et al., Biochemistry 12, 3266 (1973))したF(ab')2型ヒトモノクローナル抗体(特開平5-304987)を加え反応することで抗体結合リポソームを得た。次に、2,4−ビス(ポリエチレングリコール)−6−クロロ−S−トリアジン(生化学工業)から作製されるチオール化ポリエチレングリコールを上述の抗体結合リポソーム溶液に加え、マレイミドと反応することで抗体及びポリエチレングリコールを有するリポソームを作製した。未反応の抗体、ポリエチレングリコールはセファロースCL6Bでゲルろ過することで精製除去した。【0029】実施例1 ポリエチレングリコール鎖の定量及び純度分析参考例1で調製したリポソームの分散液(脂質濃度として約10mg/mL)と4重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液を等容混合し、50℃で30分間加熱した。得られたリポソーム可溶化液を次の操作条件で高速液体クロマトグラフィーにより分析した。なお、定量の際はポリエチレングリコールの脂質誘導体を標準物質とした。【0030】操作条件・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215nm)・カラム:内径約8mm、長さ約30cmのステンレス管に約5μmの親水基を化学結合した水溶媒系ゲルろ過クロマトグラフ用シリカゲルを充填する(TSKゲルG2000SWXLを使用)。・プレカラム:内径約6mm、長さ約4cmのステンレス管にカラムと同様の充填剤を充填する(TSKゲルguardcolumnSWXLを使用)。・カラム温度:30℃付近の一定温度・移動相:リン酸二水素ナトリウム7.8gを水300mLに溶かした後、メタノールを600mL及び10重量%のドデシル硫酸ナトリウム溶液10mLを加えた後、20重量%の水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを7.5に調整し、水を加えて1,000mLとする。・流量:0.5mL/min。・面積測定範囲:測定開始から55分間。【0031】上記ドデシル硫酸ナトリウム溶液(可溶化溶媒)中でリポソームを加熱することにより、リポソームは崩壊し各成分は可溶化状態となった。この可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィー用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで分離し、分離物を紫外吸収法で検出した。その結果、ポリエチレングリコール鎖(ポリエチレングリコールの脂質誘導体)は脂質や薬剤と分離したピークとして検出された。図1にその溶出パターンを示す。ポリエチレングリコール鎖のピークは直線性、再現性ともに良好であり標準物質を用いた定量が可能であった。また、図2には参考例1と同様の方法で分子量の異なるポリエチレングリコール鎖を用いて作製したリポソームの分析結果(溶出パターン)を示した。溶出の早い順に分子量約20,000、約10,000、約50,00である。このことからポリエチレングリコール鎖の純度分析が可能であることが分かった。なお、この条件においてはリポソームに結合したタンパク質は溶出されないため、ポリエチレングリコール鎖とタンパク質の分子量が同等の場合においてもポリエチレングリコール鎖の定量及び純度分析が可能であった。【0032】実施例2 抗体の定量及び純度分析参考例1と同様に作製したリポソームの分散液(脂質濃度として約10mg/mL)と4重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液を等容混合し、50℃で30分間加熱した。得られたリポソーム可溶化液を次の操作条件で高速液体クロマトグラフィーにより分析した。なお、定量の際は濃度の明らかな抗体溶液を標準溶液とした。【0033】操作条件・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)・カラム:内径約8mm、長さ約30cmのステンレス管に約5μmの親水基を化学結合した水溶媒系ゲルろ過クロマトグラフ用シリカゲルを充填する(TSKゲルG3000SWXLを使用)。・プレカラム:内径約6mm、長さ約4cmのステンレス管にカラムと同様の充填剤を充填する(TSKゲルguardcolumnSWXLを使用)。・カラム温度:30℃付近の一定温度。・移動相:リン酸二水素ナトリウム7.8g及び硫酸ナトリウム28.4gを水900mLに溶かし、10重量%のドデシル硫酸ナトリウム溶液10mLを加えた後、20重量%の水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを7.0に調整し、水を加えて1,000mLとする。・流量:0.5mL/min。・面積測定範囲:測定開始から50分間。【0034】上記ドデシル硫酸ナトリウム溶液(可溶化溶媒)中でリポソームを加熱することにより、リポソームは崩壊し各成分は可溶化状態となった。同時にリポソームに結合していた抗体はドデシル硫酸ナトリウムにより負電荷を帯びるとともに変性した状態となる。この可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィー用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで分離し、分離物を紫外吸収法で検出した。【0035】その結果、抗体(抗体の脂質誘導体)は脂質や薬剤と分離したピークとして検出された。図3にその溶出パターンに示す。図3の3本のピークはそれぞれ重合した抗体、抗体、分解した抗体のピークを示している。これら抗体のピークは直線性、再現性ともに良好であり抗体の標準溶液を用いた定量が可能であった。【図面の簡単な説明】【図1】ゲルろ過クロマトグラフィーによる可溶化リポソームの溶出パターンを示す図である。図中、横軸は時間(分)を示し、縦軸は吸光度を示す。【図2】ゲルろ過クロマトグラフィーによる可溶化リポソームの溶出パターンを示す図である。図中、横軸は時間(分)を示し、縦軸は吸光度を示す。【図3】ゲルろ過クロマトグラフィーによる可溶化リポソームの溶出パターンを示す図である。図中、横軸は時間(分)を示し、縦軸は吸光度を示す。 ミセルに組み込まれた水溶性高分子物質を分析するにあたり、ミセル自体が可溶化しうる界面活性剤を含む水性溶媒で可溶化後、該可溶化液をゲルろ過クロマトグラフィーで分離することを特徴とする分析方法。 界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである請求項1に記載の分析方法。 ミセルがリポソームである請求項1乃至2のいずれか1項に記載の分析方法。 水溶性高分子物質の定量及び純度分析である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分析方法。 水溶性高分子物質がタンパク質の脂質誘導体及び/又はポリエチレングリコールの脂質誘導体である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分析方法。 水溶性高分子物質がタンパク質の脂質誘導体及びポリエチレングリコールの脂質誘導体である請求項5に記載の分析方法。 タンパク質の脂質誘導体が抗体の脂質誘導体である請求項5乃至6のいずれか1項に記載の分析方法。


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