タイトル: | 特許公報(B2)_シクロプロパンカルバルデヒドの製造方法 |
出願番号: | 1996233884 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 47/293,C07C 45/60 |
林原 太津彦 畔田 康雄 三谷 利道 JP 3805437 特許公報(B2) 20060519 1996233884 19960904 シクロプロパンカルバルデヒドの製造方法 株式会社クラレ 000001085 林原 太津彦 畔田 康雄 三谷 利道 20060802 C07C 47/293 20060101AFI20060713BHJP C07C 45/60 20060101ALI20060713BHJP JPC07C47/293C07C45/60 C07C 45/56 C07C 47/293 国際公開第96/026174(WO,A1) 特表平11−500138(JP,A) 米国特許第4275238(US,A) 2 1998077242 19980324 4 20020523 柿澤 恵子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、シクロプロパンカルバルデヒドの製造方法に関する。本発明により提供されるシクロプロパンカルバルデヒドは、医薬、農薬の合成中間体として、例えば、除草剤として有用なN−(シクロプロピルメチル)−2,6−ジニトロ−N−プロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミンの合成中間体として有用である。【0002】【従来の技術】従来、シクロプロパンカルバルデヒドの製造方法としては、2,3−ジヒドロフランを気相において375℃に加熱し、熱転位させる方法が知られている[ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(Journal of American Chemical Society)、69巻、3002頁(1947年)参照]。かかる文献には、500℃以上の高温で反応を行った場合には、副生成物であるクロトンアルデヒドが増加し、また、生成したシクロプロパンカルバルデヒドがプロピレンと一酸化炭素に熱分解するなどの副反応が起こり、シクロプロパンカルバルデヒドの収率が低下することが記載されている。一方、上記の製法の問題点を解決するために、400〜525℃の範囲、より好ましくは420〜485℃の範囲で異性化反応を行う方法が提案されている[米国特許明細書第4275238号参照]。【0003】【発明が解決しようとする課題】上記米国特許明細書においては、実施例2では460℃、実施例3では480℃で異性化反応を行っているが、この時の空時収率を求めると、実施例2では0.7トン/m3 ・日、実施例3では1.7トン/m3 ・日といずれも低い。したがって、上記米国特許明細書記載の方法にしたがって工業的にシクロプロパンカルバルデヒドを製造する場合には、反応装置を大きくせざるを得ないという問題点を有していた。しかして、本発明の目的は、選択性を保持しつつ、高い生産性で、シクロプロパンカルバルデヒドを工業的に有利に製造する方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】 本発明によれば、上記の目的は、2,3−ジヒドロフランを、大気圧下、気相において50%以下の転化率で、530℃〜700℃に加熱することを特徴とするシクロプロパンカルバルデヒドの製造方法を提供することにより達成される。【0005】【発明の実施の形態】 本発明における反応は、大気圧下、530℃〜700℃、好ましくは560℃〜600℃の範囲の温度で行われる。530℃より低い温度では、本発明のような高い空時収率は達成されない。また、反応温度を700℃より高い温度にするには特殊な装置が必要となり、好ましくない。【0006】上記の熱反応に用いる装置は、均一に加熱できるように工夫されていればどのような装置であってもよく、例えば、セラミックボールを充填したステンレス製反応管や充填剤を電磁誘導により加熱できる反応管などが用いられる。【0007】2,3−ジヒドロフランは、予め加熱し、気化させて熱反応装置に導入される。【0008】本発明によれば、選択性を低下させることなく生産性を高めることができ、シクロプロパンカルバルデヒドの空時収率は従来法の0.7〜1.7トン/m3 ・日から1桁高い約10トン/m3 ・日以上にも達する。【0009】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。【0010】実施例1セラミックボールを充填した加熱領域の容積が110ccのステンレス製反応管を電気炉により加熱し、ここに蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを120g/hrの速度で導入した。反応管内の最高温度が560℃になるように調整し、反応後のガスは凝縮器を用いて捕集した。温度が安定した後の30分間に、シクロプロパンカルバルデヒド16.4gを含む反応液58.8gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は32.6%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は83.8%、空時収率は7.2t/m3・日であった。【0011】実施例2反応管内の最高温度が565℃になるように調整し、蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを145g/hrの速度で導入した以外は実施例1と同様に反応を行った結果、シクロプロパンカルバルデヒド22.0gを含む反応液71.1gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は37.6%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は80.6%、空時収率は9.6t/m3 ・日であった。【0012】実施例3反応管内の最高温度が567℃になるように調整し、蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを150g/hrの速度で導入した以外は実施例1と同様に反応を行った結果、シクロプロパンカルバルデヒド22.9gを含む反応液73.5gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は38.0%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は80.3%、空時収率は10.0t/m3 ・日であった。【0013】実施例4反応管内の最高温度が570℃になるように調整し、蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを200g/hrの速度で導入した以外は実施例1と同様に反応を行った結果、シクロプロパンカルバルデヒド28.0gを含む反応液97.5gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は33.7%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は83.1%、空時収率は12.2t/m3 ・日であった。【0014】実施例5反応管内の最高温度が580℃になるように調整し、蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを291g/hrの速度で導入した以外は実施例1と同様に反応を行った結果、シクロプロパンカルバルデヒド41.1gを含む反応液142.9gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は34.9%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は80.7%、空時収率は17.8t/m3・日であった。【0015】実施例6反応管内の最高温度が586℃になるように調整し、蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを460g/hrの速度で導入した以外は実施例1と同様に反応を行った結果、シクロプロパンカルバルデヒド67.5gを含む反応液225.4gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は35.9%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は81.8%、空時収率は29.5t/m3・日であった。【0016】実施例7反応管内の最高温度が590℃になるように調整し、蒸発器を用いてガス化させた2,3−ジヒドロフランを500g/hrの速度で導入した以外は実施例1と同様に反応を行った結果、シクロプロパンカルバルデヒド77.8gを含む反応液242.5gを得た。2,3−ジヒドロフランの転化率は39.1%、シクロプロパンカルバルデヒドの選択率は79.6%、空時収率は34.0t/m3・日であった。【0017】【発明の効果】本発明によれば、選択性を保持しつつ、高い生産性で、シクロプロパンカルバルデヒドを工業的に有利に製造することができる。 2,3−ジヒドロフランを、大気圧下、気相において50%以下の転化率で、530℃〜700℃に加熱することを特徴とするシクロプロパンカルバルデヒドの製造方法。 560℃〜600℃に加熱することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。