生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_発毛促進剤
出願番号:1996202252
年次:2006
IPC分類:A61K 8/00,A61Q 5/00,A61Q 5/02,C07J 63/00


特許情報キャッシュ

辻 邦郎 中村 輝夫 金井 恭子 伊藤 誠 稲岡 靖規 JP 3754762 特許公報(B2) 20051222 1996202252 19960731 発毛促進剤 辻 邦郎 593030358 東静岡ヤクルト販売株式会社 594085432 株式会社ソ−マ 594076566 株式会社ツムラ 000003665 ポーラ化成工業株式会社 000113470 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 辻 邦郎 中村 輝夫 金井 恭子 伊藤 誠 稲岡 靖規 JP 1995228279 19950905 20060315 A61K 8/00 20060101AFI20060223BHJP A61Q 5/00 20060101ALI20060223BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20060223BHJP C07J 63/00 20060101ALI20060223BHJP JPA61K7/06A61K7/075C07J63/00 A61K 7/06 A61K 7/075 C07J 63/00 特開平05−286835(JP,A) 特開平04−290811(JP,A) 特開昭62−093215(JP,A) 特開平07−010722(JP,A) 特開昭63−060949(JP,A) 米国特許第04328309(US,A) 特開平04−342535(JP,A) 特開平02−048514(JP,A) 3 1997157139 19970617 13 20030731 岩下 直人 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、トリテルペン系の化合物を有効成分とする発毛促進剤及びそれを含有する頭髪又は頭皮用化粧料に関する。【0002】【従来の技術】いつまでも豊富で黒く美しい頭髪を維持することは、老若男女を問わず、全ての人の願いである。しかしながら、社会的なストレスや対人関係でのストレス等、ストレスの多い現代社会においては、かかるストレスが頭髪へ悪影響を及ぼし、脱毛症等の頭髪に係わるトラブルを抱える人の数は、毎年大幅に増大している。【0003】この様な状況を反映して、これまでに、ヨクイニン、イチョウ、ショウガ等の生薬抽出エキス、ビタミンEやアロキサジン、アデノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェート(c−AMP)等が育毛剤として開発されてきた。【0004】しかしながら、これらの育毛剤は、いずれも育毛作用が不十分である上に、なかには、皮膚炎などの副作用を起こすなど安全性の面で好ましくないものもあり、今のところ、実用に耐えられるものが得られていない。それ故、育毛作用に優れ、且つ、安全性においても優れた発毛促進剤の開発が望まれていた。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる観点に鑑みなされたものであり、発毛促進効果に優れ、且つ、高い安全性を有する発毛促進剤及びこれを含有する頭髪用、頭皮用又は育毛用の化粧料を提供することを課題とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、漢方生薬及びその抽出物並びにその精製物等について、育毛作用を指標に広くスクリーニングを重ねた結果、特定の構造を有するトリテルペン系の化合物が優れた発毛促進作用を有することを見いだし、本発明を完成した。【0007】すなわち、本発明の発毛促進剤は、下記一般式(I)で表される化合物又はその生理的に許容される塩を有効成分とする。【0008】【化4】【0009】[式(I)中、A、B、D、E、F、G、Jは各々以下に示す基を表す。【0010】【化5】【0011】また、式中、R1は水素原子又は水酸基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立にメチル基又はカルボキシル基を表し、R5は水素原子又は水酸基を表し、R6はメチル基、アルデヒド基又はカルボキシル基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表す。]【0012】また、本発明においては、この発毛促進剤を頭髪用、頭皮用又は育毛用の化粧料に含有させて利用することができる。【0013】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。【0014】(1)本発明の発毛促進剤本発明の発毛促進剤は、上記一般式(I)で表される化合物又はその生理的に許容される塩を有効成分とするものである。ここで、式(I)中、A、B、D、E、F、G、Jは各々以下に示す基を表す。【0015】【化6】【0016】また、R1は水素原子又は水酸基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立にメチル基又はカルボキシル基を表し、R5は水素原子又は水酸基を表し、R6はメチル基、アルデヒド基又はカルボキシル基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表す。【0017】このような前記一般式(I)で表される化合物は、芍薬や丁字等の漢方生薬中に存在し、美肌作用を有することが知られていたが、この化合物に発毛促進作用があることは知られていなかった。【0018】 前記一般式(I)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(III)及び(IV)で表される化合物からなる群から選ばれる。【0019】【化7】【0020】 ここで、式(III)及び(IV)中のR5、R6、及びR7は各々式(I)におけるのと同義である。【0023】また、一般式(III)で表される化合物として好適な例としては、デメチルゼイラステラール(下記式(4)で表される化合物)、デメチルゼイラステロン(下記式(5)で表される化合物)が挙げられる。【0024】【化9】【0025】また、一般式(IV)で表される化合物として好適な例としては、セラストロール(下記式(6)で表される化合物)、3−ヒドロキシ−D:A−フリード−3−オレアネン−2−オキソ−29−オイックアシッド(下記式(7)で表される化合物)が挙げられる。【0026】【化10】【0027】 オレアノール酸は芍薬の樹皮中に存在していることが知られており、クラテゴール酸は丁字中に存在していることが知られている。これらは何れも既に市販されており、容易に入手することができる。【0028】一般式(I)で表される化合物の生理的に許容される塩としては、通常化粧料又は医薬組成物で用いられている塩であれば特段の限定はされず、例えば、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩;リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩;等を例示することができる。これら本発明の発毛促進剤は、単独で用いても相互に併用してもよい。【0029】(2)本発明の化粧料本発明の化粧料は、前記発毛促進剤の発毛促進作用を利用した、頭髪用の化粧料、頭皮用の化粧料又は育毛用の化粧料である。ここで、発毛は毛髪を支えている皮膚と毛髪自身との両方の働きの成果であり、本発明の発毛促進剤はその両者に働きかけていると考えられる。又、既に存在する毛髪に対しても、その保全に好ましい作用を働きかけることが期待される。かかる視点から、本発明の発毛促進剤の応用分野として、前述した頭髪用の化粧料、頭皮用の化粧料及び育毛用の化粧料を挙げることができるのである。【0030】本発明の発毛促進剤の好ましい配合量は、一般式(I)に表される化合物及びそれらの塩の総重量として、化粧料全量に対して、0.001〜10重量%が好ましい。この範囲内であれば、十分な発毛効果を期待することができる。また、配合量が多すぎると効果が頭打ちになる傾向にあるが、この範囲内であれば、効率よく効果を発揮できるので経済的でもある。更に好ましい配合量は0.01〜1重量%である。【0031】本発明の化粧料の剤型は、毛髪への作用を期待し得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ヘアトニック、シャンプー、リンス、ポマード、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアトリートメント等の通常化粧料として用いられているものが挙げられる。これらの化粧料は通常の方法に従って製造することができる。【0032】又、本発明の化粧料には、通常、頭髪用化粧料や頭皮用化粧料等に適用される炭化水素類、ロウ類、油脂類、エステル類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、界面活性剤類、香料、色素、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、アルコール類、pH調整剤、各種薬効成分等を適宜選択して配合することができる。更に、本発明の発毛促進剤以外に発毛、育毛成分を加えても差し支えない。【0033】【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明する。【0034】【実験例1】<安全性の評価> 本発明の発毛促進剤について、以下に示すように経皮刺激試験(局所毒性試験)を行って、その安全性を評価した。すなわち、1群6匹のハートレー系白色種モルモットの背部を3cm四方に剃毛し、オレアノール酸及びクラテゴール酸の1%エタノール溶液を1日1回、0.05mlづつ5日間連続投与した。投与開始後6日目に、本邦パッチテスト基準(日本皮膚科学会)により、経皮刺激性を評価した。評価の基準は、−:無反応、±:擬陽性反応、+:陽性反応、++:浮腫を伴った反応、である。結果は全ての動物が−(無反応)を示した。これより、オレアノール酸及びクラテゴール酸は安全性に優れていることがわかる。【0035】【実験例2】<発毛促進作用の評価(1)> 1群5匹づつ10週令のC3Hマウスの背部を2cm四方に剃毛し、翌日、実験例1のオレアノール酸又はクラテゴール酸を、下記表1に示す各種濃度で含有する70%エタノール水溶液を、比較例としてはビタミンEニコチネートを2重量%含有する70%エタノール水溶液を、コントロールとしては70%エタノール水溶液を、それぞれ各群のマウスの剃毛部に0.05mlづつ塗布した。【0036】 塗布後14日目に、毛成長度のレベルを次の基準により、肉眼判定した。即ち、−(評点0):コントロール群のマウスの毛の生え方に同じ、±(評点0.5):コントロール群のマウスの毛の生え方よりわずかに速い、+(評点1):コントロール群のマウスの毛の生え方より明らかに速い、++(評点2):コントロール群のマウスの毛の生え方より著しく速い、+++(評点3):コントロール群のマウスの毛の生え方より極めて著しく速い、の基準である。結果を表1に各群における評点の平均値として示す。この結果より、オレアノール酸及びクラテゴール酸は、発毛促進効果に優れていることがわかる。【0037】【表1】【0038】【実施例3】<発毛促進作用の評価(2)> 実験例2において、オレアノール酸又はクラテゴール酸を含有する70%エタノール水溶液の代わりに、デメチルゼイラステラール、デメチルゼイラステロン、セラストロール、又は3−ヒドロキシ−D:A−フリード−3−オレアネン−2−オキソ−29−オイックアシッドを250μg含有する70%エタノール水溶液を用い、実験例2と同様の方法で毛成長度のレベルを判定した。結果を表2に評点の平均値として示す。【0039】【表2】以上【0040】この結果からも、本発明の一般式(I)で表される化合物が発毛促進効果に優れていることがわかる。【0041】【実験例4】<ヘアローションの配合例> 表3に示す処方成分を秤りとり、室温で撹拌して可溶化しヘアローションを得た。【0042】【表3】【0043】【実験例5】<ヘアトニックの配合例> 下記表4に示す処方成分を秤りとり、室温で撹拌して可溶化しヘアトニックを得た。【0044】【表4】【0045】【実験例6】<ヘアクリームの配合例> 下記表5に示す処方に従ってヘアクリームを作成した。即ち、A、Bをそれぞれ80℃に加熱溶解し、AにBを撹拌しながら、徐々に加え、更にCを加えた後、冷却しヘアクリームを得た。【0046】【表5】【0047】【実験例7】<ヘアトリートメントの配合例> 下記表6に示す処方に従って、ヘアトリートメントを作成した。即ち、A、Bをそれぞれ80℃に加熱溶解し、AにBを撹拌しながら、徐々に加え、更にCを加えた後、冷却しヘアトリートメントを得た。【0048】【表6】【0049】【実験例8】<シャンプーの配合例> 下記表7に示す処方成分を秤取り、80℃で加熱溶解し、冷却しシャンプーを得た。【0050】【表7】【0051】【発明の効果】本発明の発毛促進剤は、安全性が高い上に優れた発毛促進効果を有するので、頭髪用化粧料、頭皮用化粧料又は育毛用化粧料の原料として大変有益である。 下記一般式(I)で表される化合物又はその生理的に許容される塩を有効成分とする発毛促進剤であって、[式(I)中、A、B、D、E、F、G、Jは各々以下に示す基を表す。また、式中、R1は水素原子又は水酸基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立にメチル基又はカルボキシル基を表し、R5は水素原子又は水酸基を表し、R6はメチル基、アルデヒド基又はカルボキシル基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表す。] 前記一般式(I)で表される化合物が、下記式(4)で表されるデメチルゼイラステラール、又は下記式(5)で表されるデメチルゼイラステロンである発毛促進剤。 請求項1記載の発毛促進剤を含有する頭髪又は頭皮用化粧料。 請求項1記載の発毛促進剤を含有する育毛用化粧料。


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