タイトル: | 特許公報(B2)_廃プラスチックの材質選別方法 |
出願番号: | 1996179204 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | B29B 17/00,G01N 21/35,B29K 27/06,B29K 67/00,B29K 105/26 |
米田 健一 平林 漸 赤井沢 義和 米澤 富任 木村 真康 JP 3928031 特許公報(B2) 20070316 1996179204 19960709 廃プラスチックの材質選別方法 文部科学省研究振興局長 503292584 鈴江 武彦 100058479 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 米田 健一 平林 漸 赤井沢 義和 米澤 富任 木村 真康 20070613 B29B 17/00 20060101AFI20070524BHJP G01N 21/35 20060101ALN20070524BHJP B29K 27/06 20060101ALN20070524BHJP B29K 67/00 20060101ALN20070524BHJP B29K 105/26 20060101ALN20070524BHJP JPB29B17/00G01N21/35 ZB29K27:06B29K67:00B29K105:26 B29B 17/00 B09B 5/00 特開平08−099317(JP,A) 特開平04−027476(JP,A) 特開平06−308022(JP,A) 1 1998024414 19980127 8 20030709 中村 敬子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は廃プラスチックの材質選別方法に関し、特に容器包装法に伴うPETボトルのリサイクルプラント及び油化装置にPVCボトルの混入を防ぐ前処理装置に用いられる廃プラスチックの材質選別方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、廃プラスチックの選別に関しては、液体サイクロンを用いてプラスチック類の比重差を利用してプラスチック類を分離することが知られている。具体的には、ポリエチレン(比重0.93)とポリスチレン(比重1.05)が上部排出より比重の軽いポリエチレンが濃度98.6%、下部排出より比重の重いポリスチレンが濃度94.7%で得られている。また、その他、同じ様に比重差の利用として、風力選別や沈没選別が効率良く行われている。図5は、従来の廃プラスチックの選別方法の一例を示す。【0003】廃プラスチック(原料)51は、まず破砕機52に供給される。破砕後の廃プラスチック51は貯留槽53に送られ、一時溜められる。その後、廃プラスチック51は貯留槽53の下部側に配置された定量供給装置54から撹拌貯槽55に供給される。この撹拌貯槽55には一定量の水56が供給され、一定の濃度に調整される。次に、このプラスチックと水との混合物を、回転数を制御された渦巻ポンプ57で定量的に液体サイクロン58へ供給し、サイクロン上部から低比重プラスチックが洗浄脱水機59へ排出され、水とプラスチックを分離し、低比重プラスチックは比重小貯60にて水は循環水槽61に溜められる。また、液体サイクロン58の下部から高比重プラスチックと水とともに排出し、洗浄脱水機62にて、水とプラスチックを分離し、高比重プラスチックは比重大貯63にて水は循環水槽61に一時溜められる。製品として、比重台プラスチックは比重大貯63より、また比重小プラスチックは比重小貯60より取り出される。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術によれば、以下に述べる課題を有する。(1) 比重がほぼ同じである硬質ポリ塩化ビニル(硬質PVC:比重1.36〜1.54)とポリエチレンテレフタレート(PET:比重1.38〜1.39)、また低密度ポリエチレン(PE:比重0.910〜0.925)とポリプロピレン(PP:比重0.90〜0.91)は、分離できない。また、従来技術においては、比重差のない(少ない)プラスチックを分別することは困難であった。【0005】(2) 粉砕しないと、液体サイクロン内での流動性が悪く、閉塞が起こり、分離できない。(3) 廃プラスチックの中からPETボトルあるいはPVCボトルを近赤外識別装置を用いて材質を識別し、その後分ける場合、種々の形状の廃プラスチックが重ならないでかつ種類別に整列することが非常に困難である。【0006】(4) 廃プラスチックをリサイクルする場合、廃プラスチックの識別を高速化しなければならない。(5) 廃プラスチックをリサイクルする場合、識別した材質を高速に分けることが必要である。【0007】本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、廃プラスチックの中から比重がほぼ同じであるPETボトル及びPVCボトルを純度よく回収できる廃プラスチックの材質選別方法を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】 本発明は、廃プラスチックの中からPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル及びPVC(ポリ塩化ビニル)ボトルを純度よく回収する廃プラスチックの材質選別方法において、廃プラスチックの中から回転式打撃板を利用した打撃式方法によりボトル状の廃プラスチックを遠くへ飛ばすことにより機械的にボトル状の廃プラスチックを取り出す工程と、InGaAsの受光素子を用いてボトル状の廃プラスチックの中からPETは1129nm,PVCは1195nm,PE(ポリエチレン)は1212nm,PP(ポリプロピレン)は1195nm,PS(ポリスチレン)は1143nmの近赤外光の吸光度とともに、1180nm,1195nm及び1220nmの3波長の吸光度の比によりPETボトル及びPVCボトルを識別する工程と、PETボトル及びPVCボトルをエアーノズルからのエアー噴射により選別する工程とを具備することを特徴とする廃プラスチックの材質識別方法である。【0009】即ち、本発明者らは、廃プラスチックの中からボトル類を取り出す方法として、固体に打撃を与えた時に、その反発力を利用して廃プラスチックの中からボトル類を取り出すことを見いだした。つまり、廃プラスチックの中のフィルム類は、打撃を与えた時の反発力は少なく、遠く飛ぶことはなかった。一方、ボトル類に打撃を与えると、反発力により遠くへ飛ばされた。【0010】次に、取り出したボトル類からPETボトル及びPVCボトルを高速に選別するために、従来のPbSに代えてInGaAsの256素子を用いて、近赤外線の波長でPETは1129nm,PVCは1195nm,PEは1212nm,PPは1195nm,PSは1143nmの吸光度を使用することにより、高速に識別できた。更に、高圧エアーを用いて短時間で早く識別したPETボトル及びPVCボトルを飛ばし、PETボトル及びPVCボトルを回収する。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例に係るプラスチックの材質識別装置を図1,図2及び図3を参照して説明する。ここで、図1は同識別装置の全体図であり、図2は同識別装置の一構成である近赤外式識別装置及び分別装置の説明図である。【0012】図1中の符番1は、回転打撃式ボトル選別機である。同選別機1は、図示しない箱型の架台と、この架台の上に配置されたシャフト2、このシャフト2に軸支された回転式打撃板3及びこの回転式打撃板3の近くの傾斜板4と、前記シャフト2と連結されたギアヤモータ(図示せず)等から構成されている。前記シャフト2は、前記ギヤモータの回転により回転させられ、さらに回転式打撃板3が回転する。【0013】前記回転式打撃板3の上部に供給コンベア11が配置され、廃プラスチック例えばボトル類12やフィルム類13が回転している回転式打撃板3の上部に供給され、固いボトル類は反発力が強く、勢いよく遠くへ飛ぼうとする。そこで、飛出防止ホッパー14により受けられる。【0014】廃プラスチックのうちフィルム類13は反発力が弱く、回転式打撃板3から傾斜板4を通過して回転式打撃板3の下にあるフィルムコンベア15に落ちてフィルム回収箱16に回収される。前記飛出防止ホッパー14により受けられたボトル類は、ボトル搬送コンベア17に集められ、運ばれる。【0015】次に、近赤外線識別装置18の手前で更に速度が早い選別コンベア19に乗りかえ近赤外線識別装置18にてボトルの材質を識別する。近赤外式識別装置18は、図2に示すように、近赤外線を出射するハロゲンランプ(光源)21と、この光源21からの照射光の前記ボトル類12からの透過光を検知する256個のInGaAsからなる受光素子22と、前記光源21,受光素子22間に配置されたポリクロ型の分光器23とから構成されている。【0016】また、前記近赤外線識別装置18の詳細は、図3に示す通りである。つまり、光源21から出た近赤外線24は、送られてきたボトル類12に照射され、その透過光25は分光器23に入り、1100nmから1700nmの近赤外線に分光される。分光された各々の波長の光は、前記受光素子22に当たり、その光量が電流に変換されケーブル26により増幅器に送られる。【0017】前記受光素子22には、増幅回路27,パソコン28,空電変換器29が順次電気的に接続され、前記空電変換器29にはヘッダー30に設けられた電磁弁31a,31bが接続されている。ここで、一方の前記電磁弁31aには、選別コンベア19により送られてくるPETボトル32をPET回収箱33に回収するようにエアーを噴射するエアーノズル34aが接続されている。他方の前記電磁弁31bには、選別コンベア19により送られてくるPVCボトル35をPVC回収箱36に回収するようにエアーを噴射するエアーノズル34bが接続されている。前記電磁弁31a(又は31b)により高圧空気(例えば5Kg/cm2 )を制御し、パルス状に高圧空気をエアーノズル34a(4又は34b)より排出させることにより、前記PET回収箱33(又はPVC回収箱36)に吹き飛ばされる。【0018】前記選別コンベア19の端部近くには、PETボトル32やPVCボトル35を除くPEボトルその他を回収する回収箱37が配置されている。本実施例では、種々のプラスチックの材質の吸光度を測定した結果、図4に示すように、PETボトルでは、PVC,PS,PP,PE等の他のプラスチックとは異なり、1129nmに吸収ピークが表われた。次に、PVCボトルは、吸収ピークが1195nmに表われた。しかしながら、1195nmの吸収ピークはPPにも表われた。そこで、本発明では、1180nm,1195nm及び1220nmの3波長の吸光度の比を計算したところ、PVC及びPPは次のような特徴を持つことが明らかとなった。【0019】PVCでは、A1180nm/A1195nm=0.87、A1220nm/A1195nm=0.44であった。PPでは、A1180nm/A1195nm=0.70、A1220nm/A1195nm=0.76であった。即ち、A1180nm/A1195nm(PVC)>0.8>A1180nm/A1195nm(PP)及びA1220nm/A1195nm(PP)>0.6>A1220nm/A1195nm(PVC)であることを特徴とし、PVCとPPを判定できた。【0020】材質識別後、図1に示す様に、エアータンクに蓄えられた5Kg/cm2 のエアーを、ノズル径5.9mmφのノズルより放出し、ボトルをPET回収箱,PVC回収箱に吹き飛ばし投げ込んだ。電磁弁の応答時間(全閉から全開までの時間)は14msで,コンベアの搬送速度は1m/秒であったので、弁を開けはじめてから全開まではボトルの移動は14mm程度であり、ボトルの長さ400mmから考えると、ほぼ決めた中央部を吹き当てた。PET及びPVC以外のボトルは、選別コンベア19に乗ったまま、PEその他回収箱37に送り込まれた。【0021】このように、上記実施例によれば、次の様な効果がある。(1) 比重がほぼ同じである硬質PVC(1.36〜1.54)とPET(1.38〜1.39)、また低密度PE(0.910〜0.925)とPP(0.90〜0.91)について識別し分離できる。【0022】(2) 粉砕しなくても、ボトル状のままで材質ごとに分離できる。(3) 回転式打撃板を設けた前処理装置により、種々の廃プラスチックの中からボトル類を取り出すことができる。【0023】(4) 重なったボトル類を速度の早いコンベアにつなげることにより、ボトルとボトルの間に空間をとれる様になり、次の工程度で近赤外線による材質識別が可能となる。【0024】(5) InGaAs256素子を用いることにより、近赤外線の透過光量を精度よく,高速(2ms以内)に測定できる。(6) 高速電磁弁を用いて5Kg/cm2 のエアーをノズル径5.9mmφのノズルより放出することにより、長さ300mm,径100mm程度のボトルを1個/秒の速さで吹き飛ばし、所定の回収箱に回収できる。【0025】【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、廃プラスチックの中から比重がほぼ同じであるPETボトル及びPVCボトルを純度よく回収できる廃プラスチックの材質選別方法を提供できる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の一実施例に係るプラスチックの材質識別装置の説明図。【図2】本発明の一実施例に係るプラスチックの材質識別装置の一構成である近赤外式識別装置等の説明図。【図3】図2の近赤外式識別装置の説明図。【図4】プラスチックの吸光度(透過式)と波長との関係を示す特性図。【図5】従来の廃プラスチックの判別方法の説明図。【符号の説明】1…回転打撃式ボトル選別機、2…シャフト、3…回転式打撃板、11…供給コンベヤ、12…ボトル類、13…フィルム類、14…飛出防止ホッパ、15…フィルムコンベヤ、16…フィルム回収箱、17…ボトル搬送コンベヤ、18…近赤外線識別装置、19…選別コンベヤ、21…光源、22…受光素子、23…分光器、30…エアータンク、31a,31b…電磁弁、32…PETボトル、33…PET回収箱、34a,34b…エアーノズル、35…PVCノズル、36…PVC回収箱。 廃プラスチックの中からPETボトル及びPVCボトルを純度よく回収する廃プラスチックの材質選別方法において、 廃プラスチックの中から回転式打撃板を利用した打撃式方法によりボトル状の廃プラスチックを遠くへ飛ばすことにより機械的にボトル状の廃プラスチックを取り出す工程と、 InGaAsの受光素子を用いてボトル状の廃プラスチックの中からPETは1129nm,PVCは1195nm,PEは1212nm,PPは1195nm,PSは1143nmの近赤外光の吸光度とともに、1180nm,1195nm及び1220nmの3波長の吸光度の比によりPETボトル及びPVCボトルを識別する工程と、 PETボトル及びPVCボトルをエアーノズルからのエアー噴射により選別する工程とを具備することを特徴とする廃プラスチックの材質識別方法。