タイトル: | 特許公報(B2)_ビタミンB1誘導体配合液剤組成物 |
出願番号: | 1996145737 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/51,A61K 36/48,A61K 9/08,A61K 47/34,A61K 47/44,A61K 47/46 |
石井 貴子 長谷川 和夫 中島 俊明 JP 3968797 特許公報(B2) 20070615 1996145737 19960607 ビタミンB1誘導体配合液剤組成物 大正製薬株式会社 000002819 北川 富造 100074114 石井 貴子 長谷川 和夫 中島 俊明 20070829 A61K 31/51 20060101AFI20070809BHJP A61K 36/48 20060101ALI20070809BHJP A61K 9/08 20060101ALI20070809BHJP A61K 47/34 20060101ALI20070809BHJP A61K 47/44 20060101ALI20070809BHJP A61K 47/46 20060101ALI20070809BHJP JPA61K31/51A61K35/78 JA61K9/08A61K47/34A61K47/44A61K47/46 A61K 31/51 A61K 9/08 A61K 36/48 A61K 47/34 A61K 47/44 A61K 47/46 特開平07−095867(JP,A) 特開昭63−023809(JP,A) 特開平01−242524(JP,A) 特開平06−298668(JP,A) 特開平09−110708(JP,A) 1 1997328429 19971222 6 20030602 岩下 直人 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ビタミンB1誘導体の特異な苦味が改善された液剤に関する。【0002】【従来の技術】ビタミンB1誘導体は水溶性であり、液剤などに広く使用されているが、非常なえぐ味を伴い、服用後、長時間口中に残留するという特異性がある。このようなビタミンB1誘導体を含有する水溶液では、その苦味が顕著に発現し、服用に苦痛を伴う。そのため、苦味を圧倒すると期待される組成物を添加する方法が種々検討されている。従来は、甘味剤,酸味剤及び香味剤が、苦味のマスキングに使用されていた。例えば、甘味料(蔗糖、果糖、ブドウ糖などの糖類、ソルビトールなどの糖アルコール、天然または人工甘味料など)、可食性有機酸(クエン酸、酒石酸など)などを添加し、ビタミンB1誘導体の苦味をマスキングしている。【0003】しかし、このような苦味マスキング方法で、ビタミンB1誘導体の特異な苦味を充分に抑制することは極めて困難である。これらの技術は、苦味を有する薬剤の苦味を穏和にマスキングするが、伝統的な甘味剤の添加は強力な苦味のある薬剤の苦味をマスキングするには、効果的ではない。特開昭60−246325号公報には、フルスルチアミンなどの苦味成分を含む水性溶液に、苦味を軽減するため、クエン酸およびクエン酸アルカリ金属塩を添加し、pHを2.5〜5.5に調製することが開示されている。この苦味成分含有水性溶液は、苦味成分70〜150重量部程度のクエン酸及びクエン酸アルカリ金属塩を必要とする。また、特開平5−146253号公報には、コーヒー抽出物及び/又はコーヒーフレーバーとビタミンB群作用物質とを含有する飲料が開示されている。この飲料では、コーヒー抽出物及び/またはコーヒーフレーバーの添加量は、コーヒー味を呈する範囲とされ、比較的多くのコーヒー抽出物やコーヒーフレーバーを必要とする。更に、特開平7−95867号公報には、苦味を有する生薬抽出物の苦味成分によりビタミンB1誘導体の苦味を軽減する飲料組成物が開示されている。しかしこの飲料では、生薬独特の苦味の問題は解決されず、服用性の点で問題がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ビタミンB1誘導体の特異な苦味を軽減した、経口投与可能な液剤を提供することである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビタミンB1 誘導体の苦味を抑制するため、鋭意検討した結果、意外にも、ビタミンB1誘導体に、カンゾウ及び非イオン性界面活性剤を添加することにより、ビタミンB1 誘導体の苦味を軽減できる液剤が得られることを発見し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、ビタミンB1 誘導体、カンゾウエキス及び非イオン性界面活性剤を配合した液剤である。【0006】本発明において、ビタミンB1誘導体とは、特異な苦味を呈する種々の誘導体、たとえば、非対称ジスルフィド型B1誘導体、対称ジスルフィド型B1誘導体及びS−アシル型B1誘導体などを意味する。非対称ジスルフィド型B1誘導体としては、例えば、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド、チアミンプロピルジスルフィド、チアミン−8−(メチル−6−アセチルジヒドロチオクテート)ジスルフィド、およびそれらの塩(例えば塩酸塩など)が挙げられ、対称ジスルフィド型B1誘導体としては、例えば、チアミンジスルフィド、O−ベンゾイルチアミンジスルフィド、チアミンモノフォスフェートジスルフィドなどが挙げられる。S−アシル型B1誘導体としては、例えば、O,S−ジベンゾイルチアミン、S−ベンゾイルチアミン−O−モノフォスフェート、O,S−ジカルベトキシチアミン、シクロカルボチアミンなどが含まれる。これらのビタミンB1誘導体は1種又は2種以上混合して使用できる。【0007】ビタミンB1誘導体の配合量は、例えば、0.001〜0.5重量%、好ましくは、0.01〜0.1重量%程度である。【0008】また、非イオン界面活性剤は、本発明の目的を達成しうる限り特に限定されるものではなく、医薬用の添加剤として使用可能なものであればよい。特にそのHLB値は3以上のものが好ましく、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられる。これらの中で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングルコール、ポリグリセリン脂肪酸エステルが液剤の風味を損なわない(臭いもない),取扱いが容易である,などの点から特に好ましい。非イオン界面活性剤の濃度は、0.01〜5W/V%、好ましくは、0.1〜0.5W/V%である。【0009】さらに、本発明においてはカンゾウエキスを配合するが、カンゾウエキスは、例えば第12改正日本薬局方に記載の方法で調製できる。その配合量は0.001〜10重量%,好ましくは0.01〜2.0重量%である。【0010】なお、本発明においては、他のビタミン類、例えば、ビタミンB群、ビタミンC類などの水溶性ビタミン、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類などの脂溶性ビタミンなどを本発明の効果を損なわない範囲で加えることができる。この場合、これらのビタミン類は、1種又は2種以上使用できる。【0011】ビタミンB群としては、例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、チアミンピロリン酸などのビタミンB1類、リボフラビン、リン酸リボフラビンおよびその塩類、フラビンアデニジンジヌクレオチド、酪酸リボフラビンなどのビタミンB2類、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、リン酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサミンおよびこれらの塩類などのビタミンB6類、コバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、メコバラミンなどのビタミンB12類、ニコチン酸及びその塩類、パンテノール、パンテチン、葉酸及びその塩類、ビオチンなどが挙げられる。【0012】ビタミンC類としては、アスコルビン酸及びその塩類、誘導体が挙げられる。ビタミンA類としては、エトレチナート、ビタミンA油、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、肝油などが挙げられる。ビタミンD類としては、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、アルファカルシドール、カルシトリオールなどが挙げられる。ビタミンE類としては、α−トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどが挙げられる。また、ビタミン類には、フィトナジオン、メナテレインなどのビタミンK類なども含まれる。【0013】また、本発明においては、上記以外の薬効成分、保存剤、甘味料、矯味剤、香料、着色剤などの製薬技術一般に使用される物質を配合することができる。他の薬効成分としては、生薬及び生薬抽出物などを配合することができ、例えばイカリソウ、エンゴサク、ウイキョウ、ウヤク、オウギ、オウセイ、オウバク、オウレン、カイクジン、カシュウ、カッコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、ゴオウ、ゴシュユ、ゴミシ、サイコ、サンシュユ、サンヤク、ジオウ、シャクヤク、ジャショウシ、ジュクジオウ、シュクシャ、シゴカ、ショウキョウ、センキュウ、ソウジュツ、ダイオウ、タイソウ、タクシャ、チモ、チョウトウコウ、トウキ、トシシ、トチュウ、ニクジュヨウ、ニンジン、バクモンドウ、ハンピ、ブクリョウ、ボタンピ、ボレイ、マオウ、ムイラプアマ、ヨクイニン、リョウキョウ、ロクジョウ、ローヤルゼリーなどが挙げられる。これらの生薬抽出物は、1種または2種以上使用することができる。【0014】甘味剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、ステビア抽出物などが挙げられる。pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、リン酸及びそれらの塩などが挙げられる。保存剤としては、ニパメチ、ニパエチ、ニパプロ、ニパブチなどのパラベン類、安息香酸またはその塩類を挙げることができる。【0015】香料としては、オレンジ、グレープフルーツ、アップル、レモン、ライム、タンジェリン、ユズ、ウンシュウミカン、ナツミカン、ブドウ、イチゴ、パイナップル、バナナ、モモ、メロン、スイカ、プラム、チェリー、ペア、アプリコット、カーラント、ウメ、マンゴ、マンゴスチン、グアバ、ラズベリー、ブルーベリーなどの果実系フレーバー、緑茶、紅茶、ココア、チョコレート、コーヒー、アーモンド、メイプル、バニラ、ウィスキー、ブランデー、ラム、ワイン、リキュール、カクテル、ミントなどのフレーバーが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上のミックスフレーバーにして用いることができる。【0016】本発明の液剤の具体例としては、ドリンク剤、シロップ剤などを挙げることができ、いずれも常法によって製造することができる。【0017】【発明の効果】本発明により、ビタミンB1誘導体の特異な苦味を有効に軽減し、苦痛なく服用できる液剤を提供することが可能となった。【0018】【実施例】以下に、実施例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。【0019】(試験例)下記の比較例及び実施例における各成分を、精製水に溶解し、ドリンク剤を調製した。調製した4種類の水溶液を、20人のパネラーにより苦味の程度を官能試験により評価した。なお、苦味の評価は、以下の5段階評価で行った。結果を表1に示す。【0020】評価1:苦味を感じず、飲みやすい評価2:苦味は感じるが、飲用に抵抗はない評価3:やや不快な苦味を感じるが、飲用に抵抗はない評価4:不快な苦味を感じ、飲みづらい評価5:不快で、強烈な苦味を感じ、非常に飲みづらい【0021】【表1】【0022】【0023】【0024】【0025】 ビタミンB1誘導体、カンゾウエキス及び非イオン性界面活性剤を配合した内服液剤。