生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_セラミック基板のクラック検査方法
出願番号:1996114611
年次:2004
IPC分類:7,G01N27/20


特許情報キャッシュ

碓井 稔 片倉 孝浩 和田 高一 奥村 資紀 高橋 伸夫 下河 夏己 宮田 恵造 JP 3569072 特許公報(B2) 20040625 1996114611 19960509 セラミック基板のクラック検査方法 セイコーエプソン株式会社 000002369 日本碍子株式会社 000004064 渡邉 一平 100088616 碓井 稔 片倉 孝浩 和田 高一 奥村 資紀 高橋 伸夫 下河 夏己 宮田 恵造 20040922 7 G01N27/20 JP G01N27/20 A 7 G01N 27/00-27/24 特開平05−060715(JP,A) 特開昭58−111749(JP,A) 特開平05−332981(JP,A) 特開平07−161570(JP,A) 特開平02−061422(JP,A) 4 1997304324 19971128 7 20020805 田中 洋介 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック基板、特にセンサ、抵抗体素子、インクジェットヘッド用アクチュエーター等の製造において用いられるセラミック基板のクラック検査方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、センサ、抵抗体素子、インクジェットヘッド用アクチュエーター等には、表面に導電膜を被覆したセラミック基板が、電極、抵抗体、リード、出力ターミナル等として用いられてきた。【0003】導電膜被覆セラミック基板を製造する方法としては、セラミック基板に導電性ペーストを印刷塗布する方法が適している。複雑なパターンを有する均一な膜を効率良く形成でき、また、導電性ペーストの粘度を調節することにより、導電膜の厚さを幅広く調整できるからである。【0004】近年、インクジェットヘッド用アクチュエーター等の小型・軽量化の要請に伴い、セラミック基板の薄肉化が進められ、最近は、10μm以下の厚さのセラミック基板が使用されるに至った。それに伴い、製造時のハンドリング等によりセラミック基板にクラックが発生するおそれが出てきた。クラックが発生すると、セラミック基板の機械的強度が減少し実用に供することができなくなるとともに、インク洩れの原因ともなる。【0005】セラミック基板に発生したクラックを検査する方法として、従来は、レッドチェック法、蛍光探傷法等の探傷液を用いて目視又は顕微鏡で検査する方法(浸透探傷法)、ヘリウムガス、空気等の気体のリークを検出することにより検査する方法、画像処理装置を用いる方法等が行われてきた。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、浸透探傷法は、作業者の熟練度に依存する面が多く、クラックの見落としが発生しやすいとともに、検査結果を数値化しにくいという問題があった。また、インクジェットヘッド用アクチュエーター等の用途に用いられるセラミック基板においては、多層の機能膜を表面に形成する場合がある。このような場合、探傷液を用いる方法では、探傷液の浸出に時間がかかるという問題があった。気体のリークを検出する方法は、密閉空間が必要なため技術的な困難が伴い、装置も大規模なものにならざるを得ないという問題があった。また、画像処理装置を用いる方法は、装置の解像度によっては、微小なクラックの検出が難しいという問題があった。さらに、従来の方法全般に共通する欠点として、セラミック基板に導電膜等の機能膜等が配置されたものの場合、導電膜等の機能膜に塞がれること等により、セラミック基板におけるクラックが外部に露出していない場合には検出できないという問題があった。【0007】【課題を解決するための手段】本発明は、上記の不都合を解消し、セラミック基板におけるクラックが外部に露出していない場合でも検出でき、クラックの見落としがなく、また、検査結果を数値化することにより客観的な判断が可能なセラミック基板のクラック検査方法を提供することを目的とする。【0009】即ち、本発明によれば、セラミック基板の両面間の絶縁抵抗値又は前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することにより前記セラミック基板中のクラックを検出するセラミック基板のクラック検査方法であって、前記セラミック基板の一方の面に、一方の導体として、平面状の導通部を有する導体を配置し、かつ、前記セラミック基板の他方の面に、他方の導体として、導電性を有する液体(導電性液体)と、前記導電性液体に導通するとともに前記導電性液体を収容した容器の全部又は一部とを配置し、配置された前記一方の導体としての前記平面状の導通部を有する導体及び前記他方の導体の一部を構成する前記容器の全部又は一部を電極として前記絶縁抵抗値又は前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定するセラミック基板のクラック検査方法が提供される。【0010】また、本発明によれば、その少なくとも一方の面に導電膜が配置されたセラミック基板の両面間の絶縁抵抗値又は前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することにより前記セラミック基板中のクラックを検出するセラミック基板のクラック検査方法であって、前記セラミック基板の他方の面に、他方の導体として、導電性を有する液体(導電性液体)と、前記導電性液体に導通するとともに前記導電性液体を収容した容器の全部又は一部とを配置し、配置された一方の導体としての前記導電膜及び他方の導体の一部を構成する前記容器の全部又は一部を電極として前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定するセラミック基板のクラック検査方法が提供される。【0011】本発明においては、セラミック基板を、その両面が上面及び下面となるように配設し、他方の導体を、セラミック基板の下面に配置することが好ましい。また、上記の電気的特性値として誘電損失を用いてもよい。【0012】【発明の実施の形態】本発明のクラック検査方法においては、セラミック基板の両面に導体を配置し、それらを電極として両面間の絶縁抵抗値又は絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することによりセラミック基板中のクラックを検出する。その際、導体の一つは導電性を有する液体(以下、「導電性液体」ということがある)が用いられる。【0013】導体として液体を用いることにより、クラックがある場合は、毛管現象により導電性を有する液体がクラック内に染み込み反対側の面の導体と接触し、絶縁抵抗値が小さくなる。一方、クラックが無い場合は絶縁抵抗値は変化しない。従って、導電性液体を用いることにより、クラックの有無を客観的かつ定量的に把握することが可能となる。【0014】上記の原理より、本発明のクラック検査方法においては、セラミック基板に配置する導体のうちの一つは必ず液体でなければならないが、もう一つの導体は必ずしも液体である必要はない。また、もう一つの導体は、効率的にクラックの有無を検査するために、セラミック基板の表面と密着できる平面状の導通部を有している。また、セラミック基板と同程度の面積及び同形状の導通部を有する平板状の導体を用いることが好ましい。さらに、導体に可塑性の素材を用いれば、曲板状のセラミック基板にも適用することが可能となる。【0015】セラミック基板の一つの面又は両方の面に導電膜が配置されている場合は、この一方の導体としても機能する導電膜を電極として用いることができる。即ち、セラミック基板の一方の面に配置された導電膜を一方の電極とするとともに、導電膜が配置された面(一方の面)とは反対側の面(他方の面)に導電性液体及び導電性液体を収容した容器の全部又は一部から成る他方の導体を配置し、容器の全部又は一部を他方の電極とする。このようにして両面間の絶縁抵抗値を測定することにより、導電膜に被覆されているクラックを検出することが可能となる。【0016】本発明のクラック検査方法においては、導電性液体にさらに他の導体を導通させ、その導体を他の電極として用いている。即ち、導電性液体を収容する容器の全部又は一部を導電性を有する素材により構成し、その容器又はその容器の導電性の部分を他の電極としている。【0017】本発明において用いられる導電性を有する液体の比抵抗は小さいことが好ましい。具体的には、0〜20Ω・mであることが好ましく、0〜2Ω・mであることがより好ましい。【0018】表面張力も小さいことが好ましい。具体的には、0〜80dyn/cmであることが好ましく、0〜50dyn/cmであることがより好ましい。表面張力が80dyn/cmより大きい場合は、濡れ性が小さくなるため毛管現象が起こりにくくなり、クラックの検出精度が低くなる。【0019】粘度は、0〜1000cPであることが好ましく、1〜300cPであることがより好ましい。粘度が1000cPより大きい場合は、液体の流動性が小さくなり気泡を内在しやすくなる。【0020】導電性液体には、洗浄性がよく、発泡性の低いものを用いることが好ましい。また、必要に応じて微量のアルコール等の消泡剤を添加して用いてもよい。洗浄性が悪いと液体中の成分がセラミック基板上に残り、しみ、絶縁不良等の原因になることがあり、また、発泡性が高いとセラミック基板との間に気泡を生じるため、電気抵抗が大きくなり、測定時のノイズが多くなることがある。【0021】上記の理由より、本発明において用いられる導電性液体としては、合成洗剤、導電性塗料等が好適であるが、発泡性の低い合成洗剤を用いることが特に好ましい。【0022】導電性液体に導通させる他の導体の一部を構成する容器の全部又は一部及び一方の導体の素材としては、Au、Ag、Pt、Cu、Al、SUS等の導電性の金属が用いられるが、比抵抗の小さい材質を用いることが好ましい。【0023】また、絶縁抵抗値に依存する電気的特性値としては、絶縁抵抗、誘電損失、Q(クオリティー・ファクター)等が考えられるが、簡便性、安定性の点で誘電損失を測定することが好ましい。絶縁抵抗値Rと誘電損失の値Dとの間には、D(tanδ)=1/ωCRで示される関係が成り立つため、クラックが存在する場合は誘電損失の値は大きくなる。クラックの有無の判断としてどの電気的特性値を選択するかは、導電性を有する液体の電気的特性、セラミック基板の構造等を考慮した上で適宜決定することが好ましい。【0024】誘電損失測定時の測定電圧は通常のLCRメーターの設定可能範囲、つまり5mV〜2Vであることが好ましいが、一般的に使われている1.0V程度で十分である。【0025】また、測定周波数は100Hz〜100kHzであることが好ましく、300Hz〜1kHzであることがより好ましい。【0026】【実施例】本発明を図示の実施例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。【0027】(実施例1) 本発明のクラック検査方法を用いてセラミック基板のクラックの有無を測定した。図1に測定に用いた検査装置を示す。また、図2に図1に示す検査装置の一部の拡大図を示す。【0028】図1において、セラミック基板3は、導電性液体1を満たした導電性の金属より成る容器2に、セラミック基板3の導電膜4を有しない面が液体1と接するように載置されている。導電膜4及び容器2はリード6を介してLCR測定器に接続されている。【0029】図2に示すように、クラックが存在する場合は、液体1がクラック5内を毛管現象により上昇し導電膜4と接触するため、導電膜4と液体1とが電気的に導通し絶縁抵抗値は小さくなり、従って誘電損失の値は大きくなる。【0030】検査は下記の条件下で誘電損失を測定することにより行われた。測定電圧は1V、測定周波数は1kHz、バイアス電圧は0Vであった。また、導電性液体1の比抵抗は1.0Ω・m、濡れ性は表面張力で28.0dyn/cm、粘度は50cPであった。【0031】(実施例2〜10) 実施例1と同様に他のセラミック基板のクラックの有無を測定した。【0032】図3に上記の検査装置を用いて、セラミック基板のクラックの有無を検査した測定結果を示す。また、丸かっこ内に、同一検体を浸透探傷法により検査した結果を併記する。なお、OKはクラック無しと判断したことを意味し、NGはクラック有りと判断したことを示す。【0033】(実施例11) 図4に本発明のクラック検査方法に用いる検査装置の他の例を示す。図4において、セラミックス基板3は参照抵抗Rrefと直列に接続され、一定電圧Vsを印加した場合のセラミックス基板3の電圧Vcを測定し、セラミックス基板3の絶縁抵抗Rを式にて算出することにより簡便にクラックを検出することができる。【0034】図1又は図4に示す装置を用い、上記の方法によりクラックの有無を検査した結果、浸透探傷法による検査と同様の結果が得られた。また、測定時間が1検体につき数十msecであるため、浸透探傷法と比較して検査効率が大幅に改善された。【0035】【発明の効果】本発明によるセラミック基板のクラック検査方法を用いることにより、導電膜に被覆され外部に露出していないセラミック基板におけるクラックをも検出でき、また、クラックの見落としがなく、さらに検査結果を数値化するため客観的な判断が可能となる。さらに、1検体の測定に要する時間が数十msecと短いため、機械化による高速処理が可能である。【図面の簡単な説明】【図1】本発明のクラック検査方法に用いる検査装置の一例を示す模式図である。【図2】図1に示す検査装置の円で囲んだ部分の拡大図である。【図3】本発明のクラック検査方法による測定結果を示すグラフである。【図4】本発明のクラック検査方法に用いる検査装置の他の例を示す模式図である。【符号の説明】1…導電性を有する液体(導電性液体)、2…導電性の金属より成る容器、3…セラミック基板、4…導電膜、5…クラック、6…リード。 セラミック基板の両面間の絶縁抵抗値又は前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することにより前記セラミック基板中のクラックを検出するセラミック基板のクラック検査方法であって、前記セラミック基板の一方の面に、一方の導体として、平面状の導通部を有する導体を配置し、かつ、前記セラミック基板の他方の面に、他方の導体として、導電性を有する液体(導電性液体)と、前記導電性液体に導通するとともに前記導電性液体を収容した容器の全部又は一部とを配置し、配置された前記一方の導体としての前記平面状の導通部を有する導体及び前記他方の導体の一部を構成する前記容器の全部又は一部を電極として前記絶縁抵抗値又は前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することを特徴とするセラミック基板のクラック検査方法。 その少なくとも一方の面に導電膜が配置されたセラミック基板の両面間の絶縁抵抗値又は前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することにより前記セラミック基板中のクラックを検出するセラミック基板のクラック検査方法であって、前記セラミック基板の他方の面に、他方の導体として、導電性を有する液体(導電性液体)と、前記導電性液体に導通するとともに前記導電性液体を収容した容器の全部又は一部とを配置し、配置された一方の導体としての前記導電膜及び他方の導体の一部を構成する前記容器の全部又は一部を電極として前記絶縁抵抗値に依存する電気的特性値を測定することを特徴とするセラミック基板のクラック検査方法。 前記セラミック基板を、その両面が上面及び下面となるように配設し、前記他方の導体を、前記セラミック基板の下面に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック基板のクラック検査方法。 前記電気的特性値として誘電損失を用いる請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック基板のクラック検査方法。


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