タイトル: | 特許公報(B2)_アルキル置換シクロペンタジエンのエキソ異性体をエンド異性体に転換させるための方法 |
出願番号: | 1996101999 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 5/25,B01J 31/08,C07C 13/15,C07B 61/00 |
ジヨン・ユチユー・リー メング−シエング・アオ スチーブン・エドワード・ベルモント ローレンス・ヘンリー・シエフアード・ジユニア JP 3967399 特許公報(B2) 20070608 1996101999 19960402 アルキル置換シクロペンタジエンのエキソ異性体をエンド異性体に転換させるための方法 アルベマール・コーポレーシヨン 594066006 小田島 平吉 100060782 ジヨン・ユチユー・リー メング−シエング・アオ スチーブン・エドワード・ベルモント ローレンス・ヘンリー・シエフアード・ジユニア US 429448 19950427 20070829 C07C 5/25 20060101AFI20070809BHJP B01J 31/08 20060101ALI20070809BHJP C07C 13/15 20060101ALI20070809BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070809BHJP JPC07C5/25B01J31/08 ZC07C13/15C07B61/00 300 C07C 5/25 B01J 31/08 C07C 13/15 C07B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平07−188069(JP,A) 特開平07−252168(JP,A) 特開平04−009341(JP,A) 特開昭63−196527(JP,A) 特開昭52−039665(JP,A) 大有機化学第6巻 脂環式化合物I,朝倉書店,1958年,p.101 CRIEGEE R. and GRUNER H.,Angew. Cgem. internat. Edit.,1968年,7(6),p.467-468 2 1996319245 19961203 7 20030313 品川 陽子 【0001】本発明は、全体としてポリアルキル置換シクロペンタジエンに関し、そして更に詳細にはこのようなポリアルキル置換シクロペンタジエンのエキソ異性体をエンド異性体に転換させるための方法に関する。【0002】アルキル置換シクロペンタジエンは、遷移金属のメタロセンを生成させる際に使用される。このようなメタロセンは、当該技術において知られているようにオレフィン重合触媒の有用な成分である。例えば、シクロペンテノンから製造されたままの1−メチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエンのようなポリアルキル置換シクロペンタジエンは、典型的にはエンド及びエキソ異性体の混合物から成る。理論においては、5つの可能な安定なエンドそして3つの可能な安定なエキソ異性体が存在する。各々のタイプの一つの異性体の構造は、典型的な1,3−二置換シクロペンタジエンに関して以下のように図示される。【0003】【化1】【0004】エンド−及びエキソ−シクロペンタジエンの混合物を適切な脱プロトン化剤(例えばブチルリチウム)とそして次に遷移金属ハロゲン化物と反応させてメタロセンを生成させる時には、エキソ異性体はメタロセンを生成させるために反応せずにそしてしばしば反応混合物中に変化せずに留まることが見い出された。適切な反応条件下では、エキソ異性体は、適切な技術を用いることによって例えば真空蒸留によって生成物混合物から≧90%純度で容易に回収することができる。エキソ異性体の量は最初には異性体混合物の25〜50%又はそれ以上を構成する可能性があるので、これは、メタロセン生成物の総括的収率におけるかなりの減少に相当する。エキソ異性体のかなりの部分を有用なエンド異性体に転換させるための方法がここに見い出された。【0005】本発明によれば、ポリアルキル置換シクロペンタジエンのエキソ異性体をエンド異性体に転換させるための方法であって、前記エキソ異性体を、前記エキソ異性体の少なくとも一部をエンド異性体に転換させるような条件下で酸と接触させることを含んで成る方法が提供される。【0006】3−メチル−2−シクロペンテン−1−オンとアルキルグリニャール試薬例えばメチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピルマグネシウムハロゲン化物との反応、そして引き続く比較的強い酸例えばHCl又はp−トルエンスルホン酸を使用するアルコール生成及び脱水によるポリアルキルシクロペンタジエン、例えば1−メチル−3−アルキルシクロペンタジエンの合成は、文献中に述べられている。これらの方法はエンド及びエキソ異性体のほぼ50/50の混合物を与える。1995年7月18日に発行された米国特許第5,434,324号中に述べられた改善方法によれば、2.5対1又はそれよりも高いエンド対エキソ異性体の比を達成することができる。類似の沸点のために、これらの異性体の分離は困難である。しかしながら、混合物を脱プロトン化し、引き続いて金属化させて所望のメタロセンを生成させる時には、エキソ異性体は反応せず、そして殆ど純粋な(≧90%)エキソ異性体を蒸留によって回収することができる。このこれまでのところは廃生成物を、次に、本発明の方法に従って、混合物を酸と接触させることによって、有意の不純物を生成させることなく、エキソ及びエンド異性体の有用な混合物に転換させることができる。次に、ポリアルキルシクロペンタジエンのエンドに富んだ混合物は、追加のメタロセン生成物を製造するために金属化プロセスへリサイクルすることができる。【0007】エンド及びエキソ異性体の混合物を生成させることができるポリアルキルシクロペンタジエンは、1〜20個又はそれ以上の炭素原子を有する2以上のアルキル又は置換アルキル基によって置換されていて、例えば1,3−ジアルキル置換シクロペンタジエンである。このようなポリアルキルシクロペンタジエンの定義内に含まれるのは、2以上の隣接する基が一緒になって、更に置換されていても良い環構造を形成している化合物である。置換基の非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、並びにシクロペンタジエニル基と縮合環化合物を形成する基例えば1,2−ジメチレン−、1,2−トリメチレン−及び1,2−テトラメチレン−を含む。【0008】エキソ異性体は、エキソ異性体の少なくとも一部をエンド異性体に転換させるのに効果的である酸と接触させる。無機酸例えばHCl、BF3又はH2SO4が好ましいが、比較的強い有機酸例えばギ酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、又はポリマー結合スルホン酸を使用することもできる。最も好ましいのは水性HClそして殊に実質的に過剰に使用して良い1〜20重量%の水性HClであるが、エキソ異性体の重量に対して0.1〜10重量%を含むHClを与える割合で好ましくは使用する。エキソ異性体はそのままで処理することもできるが、それらを有機溶媒、例えばエーテル例えばジエチルエーテル若しくはテトラヒドロフラン、又は脂肪族及び芳香族炭化水素及びハロ−炭化水素例えばクロロホルム、トルエン及び塩化メチレン中に溶かして、水性酸と共に2相システムを生成させる時には異性化速度がより速いように思われる。溶媒は、例えば、10〜50重量%の異性体の溶液を与えるように使用することができる。酸及びエキソ異性体を接触させるその他の手段、例えば乾いたHClガスをエキソ異性体の溶媒溶液に供給すること、溶媒中のエキソ異性体を固体の上に支持された酸を含むカラムを通して流すこと、又は酸及びエキソ異性体を混和性溶媒中で混合させることも使用することができる。溶媒の非存在下での周囲温度(20〜25℃)は遅い反応速度をもたらすが、高められた温度(30〜60℃)はもっと速い反応をもたらし、その結果、数時間でエキソからエンド異性体への増加した転換が得られる。適切な温度及び酸濃度は、大量の副生成物例えばタールを生成させることなく妥当な時間でエンド異性体への最大転換(約50/50の混合物)を与えるように、特定の化合物に依存して容易に決定することができる。【0009】【実施例】本発明を以下の実施例によって更に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定することを意図しない。【0010】実施例1約6.6%のエンド異性体、80.8%のエキソ異性体、0.6%の不純物、及び内部標準として12%のトルエン(これらの値はガスクロマトグラフィーによって測定した面積パーセントである)を含む又は1:12.2のエンド/エキソ異性体の比の1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエンの異性体の混合物(1ml)を、1mlの水性HCl(5重量%)と混合させそして22℃で撹拌した。以下の表I中に記した時間に、サンプルをGCによって分析した。【0011】【表1】【0012】明らかに、22℃では、エキソからエンドへの異性化は非常に遅い。【0013】実施例2実施例1の方法を50〜55℃の温度で繰り返した。結果を以下の表II中に示す。1:1.1のエンド/エキソ異性体比が11時間後に達成された。【0014】【表2】【0015】異性体の類似の混合物を、撹拌しながら50℃でジエチルエーテルの存在下で(25重量%溶液)5重量%の水性HClを使用して5〜10psiの圧力で約3時間の間加熱した時には、GC分析によって測定したエンド/エキソ異性体比は46:54であり、痕跡の不純物があった。これは、エーテルの存在下ではより速い反応が起きることを示す。【0016】22℃で5時間の期間にわたってTHF/5%水性HClを使用すると、38/62のエンド/エキソ異性体比(35%/58%の正規化されたGC面積%)が、小量(7%の正規化されたGC面積%)の不純物と共に得られる。それ故、THFの使用は、異性化を速めるように思われるが増加した副生成物生成をもたらす可能性がある。【0017】実施例3a無水HCl(Et2O中の1.0M、0.10グラム〜0.50グラムの量)を、実施例1において使用したエキソ/エンド異性体の類似の混合物の0.50グラムに22℃で添加した。異性化及びオリゴマー化の両方が速かった。それ故、HClの量を0.025グラムに減らした。この量のHClを使用して得られた結果を表III中に表示する。【0018】【表3】【0019】実施例3bエキソ/エンド異性体(0.50グラム)及び無水HCl(Et2O中の1.0M、0.025グラム)の混合物に、22℃でEt2O(1.18グラム)を添加した。結果を表IV中に表示する。明らかに、Et2Oは、副生成物の生成は少なくて異性化を速める。【0020】【表4】【0021】実施例40.50グラムの実施例3によるエンド及びエキソ異性体、1.18グラムのEt2O及び0.10グラムのギ酸の混合物を、50℃で2時間加熱すると、17/33(30面積%対58面積%)のエンド/エキソ異性体比及び12面積%のオリゴマー(正規化されたGC面積%)が得られた。5〜22℃では(5℃で5時間そして22℃で1/2時間)、異性化及び副生成物生成は両方とも非常に遅いことが見い出された。この混合物を50℃で加熱した時には、異性化及びオリゴマー化の両方が急速に進行した。【0022】実施例50.033グラムの強い酸性のイオン交換樹脂(Amberlyst−15(R))を、0.33グラムの実施例1において使用した異性体混合物と類似の異性体及び0.67グラムのEt2Oの混合物に、22℃で撹拌しながら5分〜40分の間に添加した。エキソ異性体は上の条件下では急速にオリゴマー化することが見い出された。異性化は遅かった。異性体の溶液を固体酸性触媒を充填したカラムを通して流すことによって操作するであろう連続的方法における使用のためには、もっと少ない酸性樹脂しか必要ないと思われる。【0023】本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。【0024】1. ポリアルキル置換シクロペンタジエンのエキソ異性体をエンド異性体に転換させるための方法であって、前記エキソ異性体を、前記エキソ異性体の少なくとも一部をエンド異性体に転換させるような条件下で酸と接触させることを含んで成る方法。【0025】2. 前記の酸がHClである、上記1記載の方法。【0026】3. 前記の酸が水性HClであり、そして反応温度が少なくとも約40℃である、上記2記載の方法。【0027】4. 有機溶媒が存在する、上記3記載の方法。【0028】5. 前記溶媒がジエチルエーテルである、上記4記載の方法。【0029】6. 前記反応温度が20〜60℃である、上記1記載の方法。【0030】7. 有機溶媒が存在する、上記1記載の方法。【0031】8. 前記ポリアルキル置換シクロペンタジエンが1,3−ジアルキル置換シクロペンタジエンであり、そして前記アルキル基が1〜20個の炭素原子を有する、上記1記載の方法。【0032】9. 前記エキソ異性体の有機溶媒溶液を固体酸性触媒を充填したカラムを通過させる、上記7記載の方法。【0033】10. 前記の酸が無水HClである、上記1記載の方法。 ポリアルキル置換シクロペンタジエンのエキソ異性体をエンド異性体に転換させるための方法であって、前記エキソ異性体を、前記エキソ異性体の少なくとも一部をエンド異性体に転換させる酸と接触させることを含んで成る方法。 酸が、ギ酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸またはポリマー結合スルホン酸であるか、または無機酸である請求項1に記載の方法。