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タイトル:特許公報(B2)_3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法
出願番号:1996079277
年次:2007
IPC分類:C12P 19/18,C12R 1/46


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木村 一雅 渡邊 陽子 松本 圭介 池田 雅和 宮城 昭彦 大江田 和年 溝渕 尚宏 JP 3871371 特許公報(B2) 20061027 1996079277 19960308 3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法 株式会社ヤクルト本社 000006884 佐藤 正年 100092082 佐藤 年哉 100099586 木村 一雅 渡邊 陽子 松本 圭介 池田 雅和 宮城 昭彦 大江田 和年 溝渕 尚宏 20070124 C12P 19/18 20060101AFI20070104BHJP C12R 1/46 20060101ALN20070104BHJP JPC12P19/18C12P19/18C12R1:46 C12P 19/18 C12R 1/46 CA//REGISTRY/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) 特開昭62−208293(JP,A) 特開昭63−273491(JP,A) 特開平02−215392(JP,A) 特開平02−079992(JP,A) 特開平02−209884(JP,A) 2 1997238696 19970916 11 20030305 坂崎 恵美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、β−ガラクトシダーゼによるガラクトース転移反応によって、乳糖からガラクトオリゴ糖、特に3’ガラクトオリゴ糖(Gal-Gal 結合がβ(1→3)結合様式のガラクトオリゴ糖)を豊富に含む組成物を製造する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】一般式Gal−(Gal)n−Glc(式中、Galはガラクトース残基、Glcはグルコース残基、nは1から3の整数を表す)で示されるガラクトオリゴ糖は、腸内でビフィズス菌の増殖促進物質として機能し、整腸作用などが期待できることから、機能性食品の素材として、種々の利用が行われている。【0003】ガラクトオリゴ糖は、乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させてガラクトース転移反応を行なわせることによって得られる。その結合様式としては、β(1→2)、β(1→3)、β(1→4)、β(1→6)などの存在が知られており、使用するβ−ガラクトシダーゼの由来の相違による特異性に依存して、各結合様式の異なるオリゴ糖の生成比率に差があるが、一般には、種々の結合様式のものが混合物として得られている。【0004】しかしながら、ヒトの腸内ビフィズス菌に対する増殖促進作用としては、結合様式の違いにあまり依存しないこともあり、それぞれの結合様式別に、或は特定の結合様式のもののみを分離する試みなどは殆ど行われていなかった。【0005】一方、最近、稀少動物の人工飼育技術の研究のなかで、オーストラリア産のある種の有袋類や単孔類に属する動物、例えば、ワラビー、カンガルー、ハリモグラなどでは、母乳中の糖成分において、ヒトなどの真獣類の母乳と異なり、ラクトースよりオリゴ糖の方が含有量が多く、各結合様式の異なるオリゴ糖の成分比にも各々特徴があることが明らかとなっている(参照;研究のスポット,化学と生物,p816,vol.33,12,1995 , Michael Messer) 。【0006】なかでも、ワラビーなど特定の動物では、母乳中の主要なオリゴ糖がβ(1→3)系統の結合様式を有するガラクトオリゴ糖であることが明らかとなっている。従って、これら希少動物の人工飼育を目的としたより天然に近い人工乳を製造するためには、その母乳中に主要に含まれる特定の結合様式のガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物が不可欠である。さらに、最近ヒトの母乳や馬乳、牛乳中にも3’ガラクトオリゴ糖が含まれていることが明らかになっており、その機能を究明する上でも、3’ガラクトオリゴ糖は有用である。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の如き、乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させてガラクトオリゴ糖を製造する従来の方法では、得られる反応生成物は種々の結合様式のものの混合物である。この混合物中から、特定の結合様式を持つガラクトオリゴ糖のみを分離精製することは、困難であり、また、製造工程としては非常に煩雑なものとなるため、実用的ではない。【0008】本発明は、上記問題点を鑑み、今回、特に3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物を特異的に製造する方法を提供することを目的とする。【0009】【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法では、原料乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させてガラクトース転移反応を行なわせる反応工程を備えた、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物の製造方法であって、前記反応工程は、反応液中の原料乳糖濃度を経時的に測定する乳糖測定工程と、この測定結果に基づき、原料乳糖濃度が初期濃度の40〜60%の範囲内にある時点で反応停止させる反応停止工程と、を含むものである。【0010】また、請求項2に記載の発明に係る3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法では、請求項1に記載の3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法において、ストレプトコッカス・サーモフィルス由来のβ−ガラクトシダーゼを用いるものである。【0013】【発明の実施の形態】本発明者らは、種々検討を行なった結果、β−ガラクトシダーゼを用いて乳糖を処理し、この反応を原料乳糖が約50%消費された時点で反応を停止し、反応混合物中から3糖以上の画分を分離したところ、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。【0014】即ち、ガラクトース転移反応において、従来のβ−ガラクトシダーゼによるガラクトオリゴ糖製造の場合のように、反応の定常状態まで原料乳糖の消費が進むと、その他の結合様式のガラクトオリゴ糖や単糖類が増加し、全糖中の3’ガラクトオリゴ糖自体の含有率が減少してしまうということである。【0015】従って、ガラクトース転移反応において、3’ガラクトオリゴ糖自体の含有率がピークになった時点で反応を停止すれば、そこで得られる反応生成物としての糖組成物は、従来に比べて、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含むものである。【0016】 そこで、本発明においては、反応工程において原料乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させてガラクトース転移反応を行なわせ、反応停止工程として予め定められた時点で反応を停止するものである。この反応停止時点を、3’ガラクトオリゴ糖自体の含有率がピークである付近とすれば、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物が製造でき、この糖組成物を飼育動物用人工乳の材料として利用し、特殊動物の天然母乳により近いものを製造することも可能となる。【0017】もちろん、反応工程後にさらに適当な精製工程、例えば活性炭カラムクロマトグラフィーやイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーなどにより、反応停止後に得られた反応液中の糖組成物から3糖以上のオリゴ糖画分を分離精製しても良い。また必要で有れば、さらに、精密に精製を繰り返すことにより、3’ガラクトオリゴ糖の純度を高めることができる。これらの場合でも、本発明による製造法では、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含むため、精製が容易である。【0018】なお、本発明に用いるβ−ガラクトシダーゼとしては、3’ガラクトオリゴ糖を生産できるものであれば種々のものが使用可能である。β−ガラクトシダーゼは種々の細菌や酵母等の菌体内で生産されており、これらの菌体由来の酵素を利用できる。β−ガラクトシダーゼ産生菌としては、例えば、アスペルギルス・オリゼ,ストレプトコッカス・サーモフィルス,ラクトバチルス・ブルガリカス,ストレプトコッカス・ラクチス,ラクトバチルス・サリバリウス,ラクトバチルス・ライヒマニー,ラクトバチルス・ヘルペティクス,バチルス・ブレビス,バチルス・ステアロサーモフィルス,ビフィドバクテリウム・ビフィダム,ビフィドバクテリウム・ブレーベ,ビフィドバクテリウム・ロンガム,ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス,クルイベロマイセス・フラジリス,クルイベロマイセス・ラクチス,カンジダ・シュードトロピカリス,大腸菌等が挙げられる。【0019】これらの中で、特に3’ガラクトオリゴ糖の生産能が高いβーガラクトシダーゼ産生菌として、ラクトバチルス・ブルガリカス,ストレプトコッカス・サーモフィルス,ビフィドバクテリウム属,クルイベロマイセス・ラクチス等が好適である。【0020】また、酵素の使用形態も特に制限はなく、菌体より抽出・精製されたものに限らず、菌体を破砕して不溶物を除いた程度の粗酵素、また従来から公知の、例えば、生菌体または殺菌した死菌体をそのまま使用する方法、菌体を界面活性剤で処理した菌体酵素として使用する方法、また、適当な担体で固定化して使用する方法などが適応できる。【0021】なお、上記菌体のなかでも、請求項2に記載したように、ストレプトコッカス・サーモフィルス(以下、S.サーモフィルスと記す)由来のβ−ガラクトシダーゼを用いることが好ましい。これは、S.サーモフィルス由来のβ−ガラクトシダーゼのガラクトース転移反応における特異性は、受容体が乳糖の場合、β(1→3)結合性と考えられるからである。特に、3’ガラクトオリゴ糖が豊富な糖組成物の製造を目的とする本発明においては有効である。【0022】また、従って受容体としての乳糖濃度が優勢な状況下では、3’ガラクトオリゴ糖の生成比率が優勢であると考えられる。一方、反応進行に伴い、加水分解物である単糖やその他のオリゴ糖が増えてくると、これらも受容体として機能するので、β(1→3)以外の結合性を有するオリゴ糖が生成し、結果的に選択性が低下してしまうと思われる。【0023】 請求項1に記載の発明では、反応工程において、反応液中の原料乳糖濃度が初期濃度の40〜60%の範囲内にある時点で反応停止を行なうものである。前述のように、β−ガラクトシダーゼによるガラクトース転移反応において受容体としての乳糖濃度が優勢な状況下では、3’ガラクトオリゴ糖の生成が優勢であると考えられ、また収量としての効率との関係から、乳糖約50%前後消費の時点、即ち反応液中の残留乳糖濃度が40〜60%にある時に停止するのが現実的である。【0024】この場合、反応工程は乳糖測定工程を含み、反応液中の原料乳糖濃度を経時的に測定し、反応液中の原料乳糖濃度が初期濃度の40〜60%になった時点で反応停止工程を行なう。【0025】 また、反応停止時点の決定は、反応工程の前に、反応工程と同条件での予備反応工程を設け、この予備反応工程においてオリゴ糖測定工程として反応液中の3’ガラクトオリゴ糖濃度を経時的に測定し、反応停止時間決定工程としてこの測定結果に基づいて前記反応工程における反応停止までの時間を決定する方法によれば、その反応条件における最も3’ガラクトオリゴ糖が高い率で生成された時点を反応停止時点として決定することができる。【0026】反応を停止した反応液から、適当な精製方法、例えば活性炭カラムクロマトグラフィーやイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーにより3糖以上の画分を分離することにより、本発明の目的とする3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物が得られる。また、必要であれば、さらに、精密に制せを繰返すことによって3’ガラクトオリゴ糖の純度を高めることができる。【0027】なお、本発明に用いる原料乳糖は、精製されたものに限らず、乳糖を主成分として含むような素材でも、β−ガラクトシダーゼによるガラクトース転移反応を阻害するような因子を含まなければ特に制限はなく、例えば乳ホエーなども利用可能である。この原料乳糖は、反応工程においては通常、適当な濃度、例えば乳糖濃度で5〜60%の水溶液とし、必要で有れば、pHを調整したのち、β−ガラクトシダーゼ処理に付す。【0028】【実施例】以下に、本発明を実施例をもって詳細に説明する。(実施例1)本発明の第1の実施例として、乳糖にβ−ガラクトシダーゼとしてS・サーモフィルスの菌体をショ糖脂肪酸エステルで処理して得られる菌体酵素を作用させて3’ガラクトオリゴ糖を含有する糖組成物を製造する場合を以下に示す。【0029】菌体酵素の調整は、特開平2−303486号公報に記載されている方法を用いることができる。即ち、まずS・サーモフィルスを、ホエーパウダーに酵母エキス0.5%を含む培地で培養し、β−ガラクトシダーゼを蓄積された菌体の培養液を遠心分離して菌体を集め、0.01Mリン酸カリウム緩衝液を加えて菌体懸濁液とする。【0030】この菌体懸濁液に界面活性剤であるショ糖脂肪酸エステルを0.3〜3%となるように加え、50℃前後で約15分〜2時間加温処理を行なった。処理後回収した菌体酵素を、pH7.2のリン酸カリウム緩衝液に懸濁して菌体酵素溶液を調製し、3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物製造のための反応工程に供した。【0031】なお、菌体酵素のβ−ガラクトシダーゼ活性測定は、O−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)を基質として40℃で10分間反応し、、1分間に1μmol のO−ニトロフェノールを生成するのに要する酵素量を1unitとした。【0032】原料乳糖は、メルク社製の乳糖をリン酸カルシウム緩衝液(pH7.2)に加熱溶解し、各々濃度5wt%,20wt%,50wt%の乳糖溶液を調整した。これら各濃度の乳糖溶液に、乳糖1g当り10 unit β−ガラクトシダーゼとなるように菌体酵素溶液を添加し、50℃で反応させた。【0033】反応開始後、20分,40分,60分,90分,150分,240分,360分および640分の時点で反応液をサンプリングし、各々酵素を失活させたうえで反応液中の糖の組成をゲルろ過高速液体クロマトグラム法により定量した。その結果を図1に示す。【0034】なお、それぞれ(a)は乳糖初期濃度5%の場合、(b)は乳糖初期濃度20%の場合、(c)は乳糖初期濃度50%の場合を示しており、また測定した糖はそれぞれGal(×)およびGlc(*)の単糖、主に乳糖を含む2糖(丸印)、3糖(逆三角印)、4糖(四角印)、5糖(菱形印)である。また、反応液中の糖のうち、3糖の反応液中全固形分における含有率をピリジルアミノ誘導体化法(特開平6−118072号公報参照)により測定し、以下の表1に示す。【0035】【表1】【0036】まず、図1から明らかなように、いずれの乳糖初期濃度に拘わらず、乳糖の濃度が、初期濃度の60%〜40%にまで消費された時点、ここでは反応開始から約150分経過後に、3糖の生成量が最大値となっていた。さらに反応を継続すると徐々に3糖類の量が減少している。【0037】また、表1で明らかなように、この時点での、3糖中の3’ガラクトオリゴ糖の量は、60%以上であることが判る。また、さらに反応を継続した場合、8時間後には、3糖中の3’ガラクトオリゴ糖は主成分とは言えなくなっていることが判る。【0038】以上の結果から、β−ガラクトシダーゼとしてS・サーモフィルス由来の菌体酵素を用いてガラクトオリゴ糖製造のための反応工程を行なう場合、乳糖が初期濃度の60%〜40%となった時点で反応を停止させれば、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物を得ることができる。【0039】また、上記の結果に基づいて、反応開始から約150分経過時点を反応停止時と定め、実際の反応工程においてこの予め定めた時間が経過した時点で反応を停止することにより反応中最も3糖の生成量が最大値であり、またその3糖中、3’ガラクトオリゴ糖が主成分である状態の糖組成物が得られる。【0040】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例として、乳糖にβ−ガラクトシダーゼとしてS・サーモフィルス菌体を破砕した粗抽出酵素を作用させて3’ガラクトオリゴ糖を含有する糖組成物を製造する場合を以下に示す。【0041】まず、S・サーモフィルスを、1%乳糖を炭素原として含む液体ロゴサ培地で培養し、β−ガラクトシダーゼが蓄積された菌体の培養液を遠心分離して得られた菌体を、フレンチプレスで破砕処理を行なった。その後、遠心分離することによって粗抽出酵素液を得た。この酵素液をpH7.2のリン酸カリウム緩衝液に懸濁して酵素溶液を調製し、3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物製造のための反応工程に供した。【0042】原料乳糖は、メルク社製の乳糖をリン酸カルシウム緩衝液(pH7.2)に加熱溶解し、各々濃度5wt%,20wt%,50wt%の乳糖溶液を調整した。これら各濃度の乳糖溶液に、乳糖1g当り10 unit β−ガラクトシダーゼとなるように粗酵素溶液を添加し、50℃で反応させた。【0043】反応開始後、20分,40分,60分,90分,150分,240分,360分および640分の時点で反応液をサンプリングし、各々酵素を失活させたうえで反応液中の糖の組成をゲルろ過高速液体クロマトグラム法により定量した。その結果は図2に示す。それぞれ(a)は乳糖初期濃度5%の場合、(b)は乳糖初期濃度20%の場合、(c)は乳糖初期濃度50%の場合であり、また測定した糖はそれぞれGal(×)およびGlc(*)の単糖、主に乳糖を含む2糖(丸印)、3糖(逆三角印)、4糖(四角印)、5糖(菱形印)である。また、3糖の反応液中の全固形分における含有率を以下の表2に示す。【0044】【表2】【0045】図2および表2から明らかなように、いずれの乳糖初期濃度に拘わらず、乳糖の濃度が、初期濃度の60%〜40%にまで消費された時点、ここでは反応開始から約150分経過後に、3糖の生成量が最大値となっていた。さらに反応を継続すると徐々に3糖類の量が減少している。【0046】従って、β−ガラクトシダーゼとしてS・サーモフィルス由来の粗抽出酵素を用いてガラクトオリゴ糖製造のための反応工程を行なう場合、乳糖が初期濃度の60%〜40%となった時点で反応を停止させれば、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物を得ることができる。【0047】なお、反応工程終了後、さらに、精製工程として、例えば活性炭カラムクロマトグラフィーやイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーなどにより、得られた反応液中の糖組成物から3糖以上のオリゴ糖画分を分離精製することにより、3’ガラクトオリゴ糖含量の高い糖組成物を得ることができる。また必要で有れば、さらに、精密に精製を繰り返すことにより、3’ガラクトオリゴ糖の純度を高めることができる。【0048】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例として、反応工程終了後の反応液について、3糖以上のオリゴ糖画分を分離精製することにより、3’ガラクトオリゴ糖含量の高い糖組成物を得る場合を以下に示す。【0049】20%乳糖溶液に、実施例1で使用したものと同じS.サーモフィルス由来のβ−ガラクトシダーゼ菌体酵素を10unit/乳糖1gで加え、50℃で150分反応を行なった。反応液中の乳糖濃度を測定したところ、初期濃度の約50%であったので、反応液を80℃に加熱して反応を停止した。【0050】反応液を活性炭カラムに展開し、まず、精製水で洗浄して単糖類と2糖類の殆どを溶出した。次いで、50%エタノール/精製水で3糖以上の画分を溶出した。この3糖以上の画分について、ピリジルアミン誘導体化法により分析を行なった結果、3’ガラクトオリゴ糖が60%以上含まれていた。以上のように、反応工程後さらに3糖以上の画分を分離精製することによって、3’ガラクトオリゴ糖含量の高い糖組成物を得ることができる。【0051】【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、原料乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させる反応工程において、予め定められた時点で反応を停止することによって、生物学的に重要な3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含有する糖組成物を簡便な方法により製造することができる。という効果がある。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1実施例による、3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物製造のための反応工程において経時的に反応液中の糖組成を測定した結果を示す線図であり、(a)は乳糖初期濃度5%の場合、(b)は乳糖初期濃度20%の場合、(c)は乳糖初期濃度50%の場合をそれぞれ示したものである。【図2】本発明の第2実施例による、3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物製造のための反応工程において経時的に反応液中の糖組成を測定した結果を示す線図であり、(a)は乳糖初期濃度5%の場合、(b)は乳糖初期濃度20%の場合、(c)は乳糖初期濃度50%の場合をそれぞれ示したものである。 原料乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させてガラクトース転移反応を行なわせる反応工程を備えた、3’ガラクトオリゴ糖を豊富に含む糖組成物の製造方法であって、 前記反応工程は、反応液中の原料乳糖濃度を経時的に測定する乳糖測定工程と、 この測定結果に基づき、原料乳糖濃度が初期濃度の40〜60%の範囲内にある時点で反応停止させる反応停止工程と、を含むことを特徴とする3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法。 ストレプトコッカス・サーモフィルス由来のβ−ガラクトシダーゼを用いることを特徴とする請求項1に記載の3’ガラクトオリゴ糖含有糖組成物の製造方法。


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