タイトル: | 特許公報(B2)_環状炭酸エステル中のジオールの除去方法、環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法並びに環状炭酸エステルの製造方法 |
出願番号: | 1996079127 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 317/36,C07C 69/96,C07C 68/08 |
鳥井田 昌弘 檜原 昭男 横山 恵一 JP 3886177 特許公報(B2) 20061201 1996079127 19960401 環状炭酸エステル中のジオールの除去方法、環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法並びに環状炭酸エステルの製造方法 三井化学株式会社 000005887 守谷 一雄 100077584 鳥井田 昌弘 檜原 昭男 横山 恵一 JP 1995076259 19950331 20070228 C07D 317/36 20060101AFI20070208BHJP C07C 69/96 20060101ALI20070208BHJP C07C 68/08 20060101ALI20070208BHJP JPC07D317/36C07C69/96 ZC07C68/08 C07D317/36 C07C 68/08 C07C 69/96 特開平03−250565(JP,A) 特開平08−236159(JP,A) 特開平07−235309(JP,A) 特開平07−048319(JP,A) 11 1996325208 19961210 13 20021018 吉良 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、特定の触媒存在下におけるジオールと鎖状炭酸エステルとの反応を利用して環状炭酸エステルに含有されるジオールを高度に除去する方法及びジオールが高度に除去された環状炭酸エステルの製法に関する。更に本発明は環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを含有する混合系溶媒の製造方法に関し、特に環状炭酸エステルに含有されるジオールを高度に除去した混合系溶媒の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来より、環状或いは鎖状の炭酸エステルは、例えば高分子化合物の溶媒として、各種化学反応の溶媒として、或いはコンデンサや電池用電解液の溶媒として使用されている。これら炭酸エステルはメタノール、エタノール等の1価のアルコールやエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール(ジオール)を不純物として含む。特に環状炭酸エステルは、1)ジオールと鎖状炭酸エステルとを炭酸カリウムを触媒として反応させる、2)オキシドと二酸化炭素とを高温、高圧で反応させるなど一般にオキシド又はジオールから合成されるため、例えばエチレンカーボネートであればエチレングリコール及びジエチレングリコールを、プロピレンカーボネートであればプロピレングリコールを不可避的不純物として含む。このようなジオールは、環状炭酸エステルの製造工程でできるだけ除去できることが望ましいが、上述した従来の製造方法では相当量(100〜20000ppm程度)のジオールが生成物中に含まれる。【0003】一方、炭酸エステルからアルコール性化合物を除去する方法として、炭酸エステルとアルコール性化合物の沸点差を利用した蒸留法、またはシリカゲル、活性炭、活性アルミナ、モレキュラーシーブ等の吸着剤による吸着法が用いられている。例えば、特開平5−74485号には、非水電解液の溶媒として環状炭酸エステルを含む溶媒が開示され、溶媒中のジオールを1500ppm以下の低濃度とするために、環状炭酸エステルを精留する方法や、吸着剤により処理する方法が記載されている。【0004】【発明が解決すべき課題】しかし、上述のアルコール性化合物のうち低級の1価アルコールは蒸留法で分離した後、更にモレキュラーシーブを用いた吸着法により除去できるが、アルコール性化合物のうちジオール系化合物は一般的に環状炭酸エステルとの沸点差が近接している場合が多いため、蒸留法で低濃度にまで下げるのは容易ではなかった。またジオールは一般にその分子サイズがモレキュラーシーブの吸着サイトの孔径よりも大きいため十分に吸着除去できない。すなわち、現状の精製方法ではジオール系化合物を効率的に除去することは容易ではなかった。【0005】また炭酸エステルからアルコール性化合物を除去するための上記従来の方法は、いずれも単一溶媒の精製を目的として行われているものであり、混合系の溶媒について特定の不純物を除去する方法ではなかった。本発明はこのような従来の問題点に鑑みなされたもので、ジオールを不純物として含有する環状炭酸エステル中からジオールを効果的に除去する方法を提供すること、また環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを含有する炭酸エステル混合系溶媒を製造するに際し、環状炭酸エステルに含有される微量のジオール化合物(2価アルコール)を高度に除去精製する混合系溶媒の製造方法を提供すること、更にジオールと鎖状炭酸エステルとの反応により環状炭酸エステルを生成するに際し、ジオールの残留を少なくすることができる環状炭酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】このような目的を達成するため、炭酸エステル混合系溶媒に製造方法について鋭意研究した結果、本発明者らは式(1)に示すようにジオール化合物が合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)を触媒として鎖状炭酸エステルと反応し、1価のアルコールと環状炭酸エステルを生じることを見出し、本発明に至ったものである。【0007】【化6】【0008】式中、Rは直鎖又は分枝状のアルキレン基、ビニレン基または炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキレン基で、置換基を有していてもよい。またR3、R4はそれぞれ同一又は異なっていてもよく、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基を表す(以下、同じ)。即ち、本発明の環状炭酸エステルの製造方法は、式(I)で表されるジオールと式(II)で表される鎖状炭酸エステルとを、上記反応式(1)により合成ゼオライトの存在下で反応させて式(III)で表される環状炭酸エステルを生成させるとともに、副生した一価アルコールを合成ゼオライトに吸着させるものである。【0009】また本発明による環状炭酸エステル中のジオール除去方法は、ジオールを不純物として含有する環状炭酸エステルを鎖状炭酸エステルの存在下に合成ゼオライトと接触するものである。更に本発明の炭酸エステル混合系溶媒の製造方法は、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとを混合し、この混合物を合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)と接触処理することにより、ジオールを高度に(例えば60ppm以下に)除去するものであり、この合成ゼオライトによる処理において、式(1)に示すように環状炭酸エステル(III)に少量含有されるジオール(I)が鎖状炭酸エステル(II)と反応することにより、環状炭酸エステル(III)と1価アルコールを生じ、この1価アルコールが合成ゼオライトにより除去される。これによりジオールが高度に除去された鎖状炭酸エステル(II)と環状炭酸エステル(III)との混合系溶媒を製造するものである。【0010】以下、本発明について更に詳述する。本発明の環状炭酸エステル中のジオールの除去方法及び鎖状炭酸エステルとの混合溶媒の製造方法における環状炭酸エステルは、一般式(III)で表される。【0011】【化7】【0012】式(III)において、Rは直鎖状又は分枝状のアルキレン基、ビニレン基または炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキレン基で、具体的には下式(2)〜(5)で表される2価の基である。【0013】【化8】【0014】【化9】【0015】【化10】【0016】【化11】【0017】ここで、式(2)〜(4)中、R1、R2及びR5は、それぞれ同一でも異なっていても良く、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基などの炭素数3〜4の環状アルキル基或いはこれらアルキル基の水素の一部がハロゲン原子と置き換わったハロゲン置換アルキル基、又は水素原子を表し、これらの中で特に好ましくは水素原子または炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基である。また式(5)においてmは0〜3の整数で、m=0のとき、R6は炭素数3〜15の直鎖或いは分枝状アルキレン基、m=1〜3のとき、R6は炭素数1〜5の直鎖或いは分枝状アルキレン基を表す。【0018】環状炭酸エステルが溶媒或いは鎖状炭酸エステルとの混合系溶媒として用いられる場合、特に好ましい環状炭酸エステルは、Rが式(2)又は(3)【0019】【化12】【0020】【化13】【0021】のものであり、特にR1、R2、R5が炭素数1〜4の直鎖又は分枝状アルキル又は水素原子であることが好ましい。具体的にはエチレンカーボネート、1,2プロピレンカーボネート、2,3ブチレンカーボネート、1,3プロピレンカーボネート、1,2ブチレンカーボネート、2,4ペンチレンカーボネート、1,3ペンチレンカーボネート等が挙げられる。特に電解液に適する混合系溶媒としてはエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2ブチレンカーボネート、2,3ブチレンカーボネートが挙げられる。【0022】このような環状炭酸エステルに含まれるジオールは、環状炭酸エステルの合成における出発物質であるジオール或いはオキシドから生成するジオールで、一般には式(I)で表されるものである。【0023】【化14】【0024】(Rは前述と同様である)例えば、環状炭酸エステルがエチレンカーボネートである場合には、ジオールとしてエチレングリコール、ジエチレングリコールが、プロピレングリコールの場合にはプロピレングリコールが、ブチレンカーボネートの場合にはブチレングリコールが挙げられる。尚、ジエチレングリコールは式(1)におけるジオール化合物(I)に包含されないが、式(1)におけるジオール化合物(I)と同様に鎖状炭酸エステルと共に合成ゼオライトで処理することにより、その量が減少することが確認されている。【0025】本発明では、環状炭酸エステルに含有される、このような式(I)で表されるジオールを除去するために、式(II)で表される鎖状炭酸エステルとを用いる。【0026】【化15】【0027】式(II)において、R3、R4は同一でも異なっていても良く、R1、R2と同様の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基或いはハロゲン置換アルキル基を表す。特に好ましいR3、R4は、炭素数1〜4の直鎖状、分枝状のアルキル基、または炭素数3〜4の環状のアルキル基または炭素数1〜4のハロゲン置換アルキル基である。【0028】このようなジオールと環状炭酸エステルと混合した混合物は、次式(1')で表される反応を生じるが、【0029】【化16】【0030】合成ゼオライトに接触させることにより、この平衡反応が右辺側に進行させることができる。即ち式(1')において、合成ゼオライトはジオールと環状炭酸エステルとの反応の触媒として作用し、エステル交換反応の進行に伴い、副生する一価アルコールを吸着し、右辺への反応を促進させる。【0031】環状炭酸エステルからジオールを除去することのみを目的とする場合、通常環状炭酸エステルに不純物として含有されるジオールは、数1000ppm程度であるので、鎖状炭酸エステルの添加量は含有されるジオールに対応して少量でよく、反応に使われなかった過剰の鎖状炭酸エステルは、必要に応じて蒸留法等により環状炭酸エステルと分離することができる。【0032】一方、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとの混合系溶媒の製造する場合には、鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルを、目的とする混合系溶媒における混合比率で用いる。混合系溶媒として用いられる鎖状炭酸エステルは上述したものと同様であり、式(II)の化合物を用いることができ、具体的にはジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート(M−iPC)、エチルイソプロピルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、メチルイソブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート、プロピルイソブチルカーボネート、イソプロピルイソブチルカーボネート、ジシクロプロピルカーボネート、メチルシクロプロピルカーボネート、エチルシクロプロピルカーボネート、ジシクロブチルカーボネート、メチルシクロブチルカーボネート、エチルシクロブチルカーボネート、プロピルシクロブチルカーボネート等が挙げられる。特に電解液に適する混合系溶媒としてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが挙げられる。【0033】好適な環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの組合せとしては、環状炭酸エステルとして1,2−プロピレンカーボネート及び/又はエチレンカーボネートを用い、鎖状炭酸エステルとしてジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソプロピルカーボネート(M−iPC)を単独で或いは組合せて、例えばDMC+MEC、DMC+DEC、DMC+MPC、DMC+M−iPC、MEC+DEC、MEC+MPC、MEC+M−iPC、DEC+MPC、DEC+M−iPC、MPC+M−iPCの組合せで、用いることができる。【0034】これら鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを混合した均一混合液に合成ゼオライトに接触させて、環状炭酸エステルに含まれるジオールと鎖状炭酸エステルの一部とを式(1)により反応せしめて、ジオールを除去する。本発明において、合成ゼオライトは式(1)の反応を進行させる触媒として機能するとともに生成した1価のアルコール(R3OH、R4OH)を吸着する吸着剤として機能する。尚、合成ゼオライトは均一細孔径を持ち、細孔径(吸着サイトの孔径)及び化学組成により3A、4A、5A、13X等の種類があるが、本発明では反応式(1)により生成する1価のアルコールの種類(即ち、鎖状炭酸エステルのアルキル基R3、R4)に応じて3A、4A、5A及び13X等のいずれかを選択して用いられる。特に鎖状炭酸エステルが前掲のジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートの場合、有効直径5Å以下又は10Å以下の分子を吸着できる5A又は13Xを用いることが好ましい。【0035】合成ゼオライトは結晶水を除くために乾燥処理することが必要であり、この場合、乾燥方法は特に限定は無く、通常用いられているいかなる方法も用いることができる。例えば直火、スチーム、電気炉による乾燥を挙げることができる。合成ゼオライトとの接触の条件は特に制限されないが、好ましい方法として、1)合成ゼオライトを充填したカラム又は反応管に予めジオールと鎖状炭酸エステルとの均一混合液或いは鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルとの均一混合液を連続的に通液する方法(以下、カラム法という)、2)予め調整した上記均一混合液中に合成ゼオライトを添加し、静置又は混合液を撹拌する方法(以下、投入法という)が挙げられる。【0036】接触温度は室温(約20℃)〜80℃が好ましい。また接触時間は、カラム法の場合、液空間速度(LHSV)が1〜30/時間であることが好ましい。投入法の場合には、鎖状及び環状炭酸エステルの混合液に対し1〜20重量%を添加し、30分〜24時間処理することが好ましい。通常環状及び鎖状炭酸エステル中に不純物として含まれるジオールであれば、滞留時間或いは接触時間を調節することにより一度通液或いは投入するだけでジオール量を60ppm以下まで除去することができる。環状炭酸エステルに含まれるジオールの量が多くても(例えば数1000ppm以上であっても)、滞留時間或いは接触時間を長くすることにより、また合成ゼオライトによる処理を繰返すことにより、60ppm以下とすることができる。【0037】本発明においては、環状炭酸エステルを合成ゼオライトと接触させる際に環状炭酸エステルに加える鎖状炭酸エステルの量は特に制限されるものではないが、好ましくは鎖状炭酸エステル/環状炭酸エステルの重量比で1/99、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。本発明によって得られる環状炭酸エステル或いは鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルとの混合系溶媒は、電池、コンデンサなどの電解液の溶媒として好適である。混合系溶媒の場合、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合比は、これら用途によって異なり特に限定されるものではないが、電解液溶媒として用いる場合、環状炭酸エステル:鎖状炭酸エステルは90:10〜10:90(重量比)であることが好ましく、特に80:20〜20:80(重量比)の範囲で用いることが好ましい。更に式(1)の反応を阻害しない範囲で、用いる溶媒の目的により、エーテル、エステル、カーバメート等の他の溶媒を添加してもよい。【0038】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。尚、以下の説明において溶媒名を以下のように省略した。PC:プロピレンカーボネートEC:エチレンカーボネートDMC:ジメチルカーボネートDEC:ジエチルカーボネートEG:エチレングリコールDEG:ジエチレングリコールPG:プロピレングリコール[実施例1]30gのモレキュラーシーブ5Aを内径20mmのカラムに充填し、モレキュラーシーブの高さが20cmであるカラムを用意した。このカラムに、EC38重量部とDMC62重量部を混合したもの(不純物として1220ppm(重量)のエチレングリコールと520ppm(重量)のジエチレングリコールを含む)3000mlを、室温(20゜C)で液空間速度(LHSV)6/時間で通液し、ECとDMCの混合溶媒を製造した。この混合溶媒についてジオール系化合物の含有量を測定した。測定は、ガスクロマトグラフ(5890型、横河ヒューレットパッカード製)により行った。結果を表1に示す。尚、カラムはDB−624キャピラリカラム(J&W製)を使用した。[実施例2]ECとDMCとの混合量をECを75重量部、DMCを25重量部にした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、混合溶媒を得、その評価を行った。[実施例3]ECとDMCとの混合量をECを58重量部、DECを42重量部にした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、混合溶媒を得、その評価を行った。[実施例4]環状炭酸エステルとしてPCを53重量部、DMCを47重量部を混合したものについて実施例1と全く同じ操作を行い、PCとDMCとの混合溶媒を得、その評価を行った。[比較例1]環状炭酸エステルPCのみを用いて、実施例と全く同じ操作を行い、通液したPCの評価を行った。【0039】結果を併せて表1に示す。【0040】【表1】【0041】[実施例5]DMC13.5g(0.15モル)とEG3.10g(0.05モル)とモレキュラーシーブ5A(ユニオン昭和(株)製、350℃で乾燥したもの)1.72gとを、シュレンク型反応管に仕込み、窒素雰囲気下60℃で6時間加熱した。加熱終了後、反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフ分析を行った。結果を表2に示す。【0042】【表2】【0043】この結果からモレキュラーシーブ(合成ゼオライト)存在下でDMCとEGとを反応させることにより、環状炭酸エステルであるECが生成していることがわかる。【0044】【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本発明によれば、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを混合後に合成ゼオライトで処理することにより、合成ゼオライトを触媒とするジオールと鎖状炭酸エステルとの反応によりジオールを1価アルコールに変えるとともに、生成する1価アルコールを吸着処理できるので、環状炭酸エステルに不純物として不可避的に含まれるジオールを高い精度で除去することができる。これにより、ジオールの含有量が極めて少ない環状炭酸エステル或いは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを含有する炭酸エステル系混合溶媒を製造することができ、各種有機溶剤やコンデンサ、電池用の電解液の溶媒として好適な混合系溶媒を得ることができる。また本発明は、合成ゼオライト存在下で鎖状炭酸エステルとジオールを反応させることにより環状炭酸エステルを製造する方法をも提供できる。 ジオールを不純物として含有する環状炭酸エステルを鎖状炭酸エステルの存在下に、モレキュラーシーブ3A、4A、5Aおよび13Xから選択される合成ゼオライトと接触することを特徴とする環状炭酸エステル中のジオールを除去する方法。 ジオールを含有する環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとを混合し、この混合物を、モレキュラーシーブ3A、4A、5Aおよび13Xから選択される合成ゼオライトと接触処理し、ジオールを高度に除去することを特徴とする環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法。 式(III)で表される環状炭酸エステルと、式(II)で表される鎖状炭酸エステルとを混合し炭酸エステル混合系溶媒を製造するに際し、前記環状炭酸エステルと前記鎖状炭酸エステルとの混合物を、モレキュラーシーブ3A、4A、5Aおよび13Xから選択される合成ゼオライトと接触処理し、前記環状炭酸エステルに含有されるジオールと前記鎖状炭酸エステルとを下記反応式(1)により合成ゼオライトの存在下で反応させて、副生した一価アルコールを前記合成ゼオライトに吸着させ、ジオールを高度に除去した炭酸エステル混合系溶媒を得ることを特徴とする環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法。(式中、Rは直鎖又は分枝状のアルキレン基、ビニレン基または炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキレン基で、置換基を有していてもよい。また式中、R3、R4はそれぞれ同一又は異なっていてもよく、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基を表す。以下、同じ。) ジオールを不純物として含有する環状炭酸エステルを鎖状炭酸エステルの存在下に、モレキュラーシーブ3A、4A、5Aおよび13Xから選択される合成ゼオライトと接触することを特徴とする環状炭酸エステル中のジオールが高度に除去された環状炭酸エステルの製造方法。 式(I)で表されるジオールと式(II)で表される鎖状炭酸エステルとを、下記反応式(1)によりモレキュラーシーブ3A、4A、5Aおよび13Xから選択される合成ゼオライトの存在下で反応させて式(III)で表される環状炭酸エステルを生成させるとともに、副生した一価アルコールを前記合成ゼオライトに吸着させることを特徴とする環状炭酸エステルの製造方法。(式中、Rは直鎖又は分枝状のアルキレン基、ビニレン基または炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキレン基で、置換基を有していてもよい。以下、同じ)(式中、R3、R4はそれぞれ同一又は異なっていてもよく、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基を表す。以下、同じ。) ジオールの含有量を混合系溶媒の60ppm以下とすることを特徴とする請求項2記載の環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法。 前記環状炭酸エステルがエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、またはそれらの混合物である請求項2記載の環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法。 前記鎖状炭酸エステルがジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、またはそれらの混合物である請求項2記載の環状および鎖状炭酸エステル混合系溶媒の製造方法。 ジオールの含有量を混合系溶媒の60ppm以下とすることを特徴とする請求項4記載の環状炭酸エステルの製造方法。 前記環状炭酸エステルがエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、またはそれらの混合物である請求項4記載の環状炭酸エステルの製造方法。 前記鎖状炭酸エステルがジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、またはそれらの混合物である請求項4記載の環状炭酸エステルの製造方法。