タイトル: | 特許公報(B2)_歯磨剤組成物 |
出願番号: | 1996046208 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K7/16,A61K7/18 |
大谷 浩淑 松田 英隆 杉山 眞次 JP 3649807 特許公報(B2) 20050225 1996046208 19960304 歯磨剤組成物 日本ゼトック株式会社 391066490 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 宍戸 嘉一 100065189 竹内 英人 100096194 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 大谷 浩淑 松田 英隆 杉山 眞次 20050518 7 A61K7/16 A61K7/18 JP A61K7/16 A61K7/18 7 A61K 7/16 A61K 7/18 特開昭54−157844(JP,A) 特開昭61−257913(JP,A) 特開昭56−097217(JP,A) 特開平01−299211(JP,A) 1 1997241138 19970916 8 20030228 榊原 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は歯磨剤組成物に関し、さらに詳しくは経時的にpH変化の少ない安定した歯磨剤組成物に関する。【0002】【従来の技術】近年、歯の表面にハイドロキシアパタイトの皮膜を形成する効果、及び歯の美白効果を有するとともに、虫歯の予防・修復用製剤としても有用な歯磨剤組成物が提案され、そのような歯磨剤組成物として、ハイドロキシアパタイトの生成を促進するために、ハイドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウムなどのアパタイトとして総称されるリン酸カルシウム化合物を配合したものが知られている。しかしながら、このような歯磨剤組成物にリン酸水素カルシウムが配合されている場合、経時的にpHが低下することがある。これは、リン酸水素カルシウムが水分中でハイドロキシアパタイトに変化する際に、リン酸が生じpHが低下するものと考えられる。この反応は、ハイドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウムなどが共存すると一層促進され、pHの低下が進む。このようなpHの低下は、歯磨剤組成物中の各種有効成分の含量低下及び歯磨剤組成物の離水などを引き起こし、商品価値を損なう場合がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、経時的にpHが低下することがない、安定した歯磨剤組成物を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アパタイトを含む歯磨剤組成物にアルミノケイ酸塩を配合することにより、経時的なpHの低下が抑制され、pH値の安定した歯磨剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。従って本発明は、アパタイト及びアルミノケイ酸塩を含有することを特徴とする歯磨剤組成物に関する。本明細書中でいうアパタイトとは、ハイドロキシアパタイトを形成するリン酸カルシウム化合物の総称であり、具体的には、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム、第八リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。本発明の好ましい実施態様は、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種、リン酸水素カルシウム、及びアルミノケイ酸塩を含有することを特徴とする歯磨剤組成物である。【0005】【発明の実施の形態】本発明の歯磨剤組成物は、練り歯磨剤、粉歯磨剤、潤製歯磨剤、液状歯磨剤及び液体歯磨剤といった各種剤形が挙げられ、特に限定されるものではない。本発明で使用するハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム、第八リン酸カルシウムはいずれも、市場で入手できるものでよい。ハイドロキシアパタイトは [Ca10(PO4)6(OH)2]で示され、フルオロアパタイトは [Ca10(PO4)6F2] で示され、また炭酸アパタイトは [Ca10(PO4)6(CO3)]で示され、いずれも歯や骨の成分として知られている。また第三リン酸カルシウムは [Ca3(PO4)2]で示され、第四リン酸カルシウムは[Ca4O(PO4)2]で示され、第八リン酸カルシウムは [Ca8H2(PO4)6 ・5H2O] で示され、人工骨の材料、歯科用充填剤、あるいは栄養強化剤として各種食品のカルシウム強化に広く用いられている。【0006】本発明の歯磨剤組成物における、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の配合量は特に限定されるものではないが、歯磨剤組成物の全重量に基づいて一般に0.5〜50重量%が適当であり、好ましくは1〜30重量%である。0.5重量%未満であると、う蝕の予防や修復の効果が十分に発揮されず、また50重量%を超えても効果の向上は見られない。本発明の歯磨剤組成物に使用するリン酸水素カルシウムは [CaHPO4] で示され、歯磨剤組成物の研磨剤として広く用いられており、本発明では市販品を使用することができる。本発明の歯磨剤組成物におけるリン酸水素カルシウムの配合量は、特に限定されるものではないが、歯磨剤組成物の全重量に基づいて、一般に0.5〜60重量%が適当であり、好ましくは1〜30重量%である。0.5重量%未満であると研磨剤としての効果が発揮されず、60重量%を超えても効果の向上は見られない。【0007】本発明で使用するアルミノケイ酸塩はシリカゲル、ケイ酸ナトリウム等のシリカ源とアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム源との反応で得られるアルミノケイ酸塩の含水アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、金属としてはナトリウム、カルシウム、カリウム等が使用される。アルミノケイ酸塩は分子フルイ作用、極性の吸着作用、触媒作用、イオン交換能力を有し、一般にはゼオライトとして工業用、洗剤、歯磨剤等広く用いられている。これらのアルミノケイ酸塩は市場で入手することができ、本発明では市販品を使用することができる。本発明の歯磨剤組成物におけるアルミノケイ酸塩の配合量は、特に限定されるものでないが、歯磨剤組成物の全重量に基づいて、0.05〜20重量%が適当であり、好ましくは0.1〜10重量%である。0.05重量%未満であると、本発明が目的とする効果が十分に達成されず、20重量%を超えても効果の向上はなく、また歯磨剤の形態をなさなくなる。【0008】本発明の歯磨剤組成物は、目的とする歯磨剤組成物の形態に応じて常法に従い、製造過程で適宜、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種、リン酸水素カルシウム、及びアルミノケイ酸塩を添加して調製することができる。例えば練り歯磨剤の場合、リン酸水素カルシウム、ハイドロキシアパタイト、アルミノケイ酸塩、無水ケイ酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン、水、ラウリル硫酸ナトリウム、香料を混合し、真空攪拌して製造することができる。【0009】本発明の歯磨剤組成物には、上記の成分の他、歯磨剤組成物の種類に応じた添加剤を適宜配合することができる。例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マルチトール等の湿潤剤、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、無水ケイ酸等の研磨剤、ラウリル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の発泡剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム等の粘結剤、パラオキシ安息香酸エステル、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等の防腐剤、サッカリンナトリウム、ステビオサイド等の甘味剤、メントール、アネトール、リモネン、イソアミルアセテート、カルボン、サリチル酸メチル、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、桂皮油、丁字油、ユーカリ油等の単独あるいは混合物等の香料、またその他の成分として酢酸トコフェロール、イソプロピルメチルフェノール、エピジヒドロコレステリン、塩化ナトリウム、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその塩類、フッ化物、クロルヘキシジン類、エデト酸塩、リン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を配合することができる。これらの添加剤の配合量としては、通常使用される配合量を使用することができる。【0010】本発明の歯磨剤組成物を充填する容器としては、通常使用されるものでよい。例えば練り歯磨剤であれば、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトルなどが挙げられる。【0011】【発明の効果】本発明により、経時的にpH変化の少ない安定した歯磨剤組成物を得ることができる。【0012】以下、本発明を実施例及び試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【実施例1〜3及び比較例1及び2】下記表1に示される各処方(単位はg)で練り歯磨剤を常法に従って製造した。なお、水は全量が100gとなるように使用した。製造後、ラミネートチューブに充填し40℃で保存し、経時的にpHを測定した。pH測定の方法としては、試料10gに水25mlを加え攪拌し、懸濁した液についてガラス電極pHメーターにて測定した。その結果を併せて表1に記載する。【0013】【表1】【0014】上記結果により示されるように、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種と、リン酸水素カルシウムを含有する歯磨剤組成物において、アルミノケイ酸塩を含有させることにより、pHの低下を抑制することができることが明らかである。【0015】【実施例4】練り歯磨剤を下記の処方により、常法に従って製造した。【0016】【実施例5】 練り歯磨剤を下記の処方により、常法に従って製造した。 リン酸水素カルシウム 5.0g 第四リン酸カルシウム 5.0g アルミノケイ酸塩 5.0g 水酸化アルミニウム 10.0g リン酸マグネシウム 0.5g ヒドロキシエチルセルロース 1.2g ポリエチレングリコール 10.0g ソルビット液 15.0g ラウロイルサルコシンナトリウム 0.5g ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0g 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン 0.1g メントール 0.2g 香料 0.5g 精製水 適量 100.0g【0017】【実施例6】練り歯磨剤を下記の処方により、常法に従って製造した。【0018】【実施例7】液状歯磨剤を下記の処方により、常法に従って製造した。【0019】【実施例8】液状歯磨剤を下記の処方により、常法に従って製造した。 ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種、リン酸水素カルシウム、及びアルミノケイ酸塩を含有することを特徴とする歯磨剤組成物。