生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_錠剤
出願番号:1996031272
年次:2007
IPC分類:A61K 9/44


特許情報キャッシュ

金子 俊雄 岸 孝 竹内 雅彦 田島 健司 JP 3880093 特許公報(B2) 20061117 1996031272 19960125 錠剤 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 506137147 萩原 康司 100101557 金本 哲男 100096389 亀谷 美明 100095957 金子 俊雄 岸 孝 竹内 雅彦 田島 健司 JP 1995222539 19950808 20070214 A61K 9/44 20060101AFI20070125BHJP JPA61K9/44 A61K 9/20 特開平07−179333(JP,A) 特開昭61−289027(JP,A) 実開平05−037924(JP,U) 実開平07−019339(JP,U) 特表平03−501727(JP,A) 1 1997104619 19970422 8 20021127 大久保 元浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、分割を容易にさせるための割線が底面に設けられている錠剤に関する。【0002】【従来の技術】医薬用の錠剤は、時には患者の消費量に応じて正確に、かつ容易に二以上の小片に分割することが要求される。このため、錠剤の底面に分割のための割線を設けることが一般に行われている。従来、そのような割線が設けられた錠剤に関して、例えば、実公昭40−3680号、実開平5−37924号が公知である。【0003】実公昭40−3680号には、円柱形状をなす錠剤の一方の底面と他方の底面とに、互いに直交する割線を一本づつ設け、各底面を、割線を谷とする一対の傾斜面でそれぞれ形成した錠剤が開示されている。この実公昭40−3680号に開示された錠剤は、机などの硬い台の上に置き、錠剤の中央を上から指で押圧するだけで分割することが可能である。また、実開平5−37924号には、円柱形状をなす錠剤の底面に互いに直交する十字状の割線を設けた錠剤が開示されている。この実開平5−37924号に開示された錠剤は、十字状の割線に沿って切り離すことによって錠剤を四等分することが可能である。【0004】【発明が解決しようとする課題】ところが、実公昭40−3680号に開示された錠剤は、割線が錠剤の一方の底面と他方の底面とに別々に設けられているため、四等分するためには、錠剤を二等分して半片とした後、その半片をひっくり返してから押圧する必要があった。しかし、もともと小さい錠剤を二等分した半片は更に小さいため、それをいちいちひっくり返す作業は相当に煩雑である。このため、実公昭40−3680号に開示された錠剤は、四等分する作業が簡単ではなかった。また、この錠剤は、一方の底面の割線と他方の底面の割線とを正確に直交させなければならないため、製造が困難であった。【0005】また、実開平5−37924号に開示された錠剤は、底面自体が平面に形成されているので、錠剤を上から押圧することによっては分割できない。従って、この錠剤を分割するためには、通常は錠剤を両手の指先で掴み、力を込めて割線に沿って錠剤を割るといった作業が必要であった。あるいは、実開平5−37924号に開示された錠剤を割線に沿って割るためには、ナイフやカッターなどの特別な工具が必要となっていた。【0006】そして、これら実公昭40−3680号に開示された錠剤と実開平5−37924号に開示された錠剤は、力の入り具合によって、一回の操作で錠剤が四分割されてしまうことがあり、正確に二等分することが必ずしも容易ではなく、特に病人や老人が使用する場合には問題となっていた。【0007】本発明の第一の目的は、製造が容易で、かつ簡単に分割できる錠剤を提供することにある。本発明の第二の目的は、一回の操作によっては必ず二分割でき、更にその二分割した錠剤の半片を簡単に分割して四分割できる錠剤を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、本発明によれば、一対の底面と、それら底面の周縁を囲む側面とを有する錠剤であって、一方の底面が交差する二本の割線により四つの領域面に分割された錠剤において、前記割線を境にして互いに隣接する前記領域面同士の折りなす角度を何れも180゜未満にすることにより、前記一方の底面の中央を低く周縁を高くし、前記二本の割線の内の一方の割線が底面の周縁に達する位置の高さを、他方の割線が底面の周縁に達する位置の高さよりも高くしたことを特徴とする錠剤が提供される。【0009】 なお、一対の底面と、それら底面の周縁を囲む側面とを有する錠剤であって、一方の底面が交差する二本の割線により四つの領域面に分割された錠剤において、前記割線を境にして互いに隣接する前記領域面同士の折りなす角度を何れも180゜未満にすることにより、前記一方の底面の中央を低く周縁を高くし、前記二本の割線の内の一方の割線が錠剤の側面から中心に向かって低くなる角度が、他方の割線が錠剤の側面から中心に向かって低くなる角度よりも大きいことを特徴とする錠剤が提供される。 この場合、前記一方の割線の傾斜は、錠剤の側面から中心に向かって8゜以上であり、前記他方の割線の傾斜は、錠剤の側面から中心に向かって4゜以上であることが好ましい。【0010】 前記一方の割線が底面の周縁に達する位置の近傍に、前記一方の割線に跨って位置する平面部を形成する。【0011】【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる錠剤1の拡大斜視図である。図2は、同錠剤1の拡大平面図である。図3は、同錠剤1の拡大側面図である。図4は、図2におけるA−A断面矢視図である。【0012】錠剤1は、一対の底面2、3と、それら底面2、3の周縁を垂直に囲む側面4とを有する。図1〜4においては、何れも錠剤1が拡大されているが、実際には、錠剤1の直径は数mm〜十数mm程度であるのが通常であり、錠剤1の高さは、数mm程度であるのが通常である。また、図示の錠剤1は略円柱形状をなしているが、角柱形状、楕円柱形状などの場合もある。上下の底面2、3の周縁の角部には、錠剤1が欠けるのを防止するための斜面5、6が形成されている。【0013】一方の底面2(図1〜4においては上の底面2)には、V字形状溝またはU字形状溝からなる二本の割線7、8が設けられている。これら割線7、8同士は、底面2の中央で直交しており、底面2は、割線7、8によって四つの領域面a1、a2、a3、a4に分割されている。これら領域面a1、a2、a3、a4は、何れも底面2の中央から周縁に向かって次第に高くなるように傾斜しており、割線8を境にして領域面a1と領域面a2の折りなす角度θ1、割線7を境にして領域面a2と領域面a3の折りなす角度θ2、割線8を境にして領域面a3と領域面a4の折りなす角度θ3、および割線7を境にして領域面a4と領域面a1の折りなす角度θ4が、何れも180゜未満となるように構成されている。これにより、底面2は、全体的に中央が低くて周縁が高くなるように形成されている。図示の例では、領域面a1、a2、a3、a4は、何れも平面になっているが、曲面形状である場合もある。【0014】他方の底面3(図1〜4においては下の底面3)は、底面2とは異なり、実質的に平面もしくは適当な曲面などに形成されており、割線は設けられていない。但し、底面3には、錠剤1の重量、会社名、種類などといった種々の情報が記載されたり、刻印されている場合もある。【0015】図3および図4によって理解されるように、この実施の形態において、錠剤1の底面2は、割線7が底面2の周縁に達する位置の高さh1が、割線8が底面2の周縁に達する位置の高さh2よりも高くなるように構成されている。また、割線7が底面2の周縁に達する位置の近傍には、割線7に跨って位置する平面部9が形成されている。【0016】次に、この実施の形態にかかる錠剤1の使用状態を説明する。先ず、錠剤1を二分割する場合は、錠剤1の一方の底面2を下に向けて机などの硬い台10の上に錠剤1を置く。先にも説明したように、錠剤1の底面2は、割線7が底面2の周縁に達する位置の高さh1が、割線8が底面2の周縁に達する位置の高さh2よりも高くなるように構成されているので、このように底面2を下に向けて台10の上に錠剤1を置いた場合は、台10の上面には割線7に跨って位置する平面部9だけが当接した状態になる。そして、この状態において、図5に示すように錠剤1の他方の底面3の中央を上から指11で押圧する。すると、領域面a1と領域面a2の折りなす角度θ1と領域面a3と領域面a4の折りなす角度θ3が何れも180゜未満となっていることにより、底面2に設けられた割線8の溝の底部には、溝を押し拡げるような応力集中が発生する。これにより、錠剤1は割線8に沿ってスムーズに分割され、容易に錠剤1の二つの半片1’を得ることが可能となる。【0017】一方、図6は、図5とは90゜異なる方向における錠剤1の側面図である。この図6に示されるように、錠剤1を二分割する場合に際しては、錠剤1の他方の底面3を上から押圧しても、割線7に跨って位置する平面部9が台10の表面と当接するので、割線7の溝底部には上述のような応力集中は発生しない。従って、錠剤1を二分割する場合に際しては、錠剤1は必ず割線8に沿って二分割されることとなり、一回の押圧操作で錠剤を四分割してしまう心配は殆どない。【0018】次に、錠剤1を四分割する場合は、以上のようにして錠剤1を二分割することによって得た半片1’を、図7に示すように、更に上から指11で押圧する。すると、領域面a1と領域面a4の折りなす角度θ4(または、領域面a2と領域面a3の折りなす角度θ2)が180゜未満となっていることにより、底面2に設けられた割線7の溝の底部には、溝を押し拡げるような応力集中が発生する。これにより、錠剤1の半片1’を割線7に沿ってスムーズに分割でき、図8に示されるような錠剤1を四分割した小片1”を容易に得ることが可能となる。【0019】【実施例】次に、本発明にかかる錠剤を実際に製造し、性能を調べた。以下に実施例の結果を説明する。【0020】(実施例1)錠剤の直径は9mmとし、上下の底面の周縁角部には高さ0.36mmの範囲で底面に対して32゜傾斜する斜面をそれぞれ形成した。一方の底面は、全体的に中央が低くて周縁が高くなるように形成した。また、この底面に、中央で直交する二本の割線を十字状に設けた。二本の割線は、何れも幅が0.2mm、底角が60゜のV字形状溝である。これら二本の割線の内、一方の割線が底面の周縁に達する位置の高さが、他方の割線が底面の周縁に達する位置の高さよりも0.42mm高くなるように構成した。また、一方の割線が底面の周縁に達する位置の近傍には割線に跨る平面部を形成した。平面部の範囲は、側面から最大1mmまでとした。また、割線の傾斜は、錠剤の側面から中心に向かって一方の割線が8゜、他方の割線が4゜の角度で次第に低くなるようにした。以上の条件で実施例1にかかる錠剤を実際に製造し、性能を調べたところ、容易に錠剤を二分割することができた。また、得られた半片を更に指で押圧することにより、錠剤を容易に四分割することができた。【0021】(実施例2)図9は、実施例2にかかる錠剤1の拡大平面図である。図10は、同錠剤1の拡大側面図である。図11は、図9におけるB−B断面矢視図である。図示の如く、錠剤1の直径を9mmとし、上下の底面2、3の周縁角部には呼び深さ(nominal depth)で0.36mm、パンチ深さ(punch depth)で0.32mmの範囲で底面に対して32゜傾斜する斜面5をそれぞれ形成した。一方の底面2は、全体的に中央が低くて周縁が高くなるように形成した。また、この底面2に、中央で直交する二本の割線7、8を十字状に設けた。これら割線7、8は、何れも幅が0.48mm、底角が60゜の略V字形状溝である。但し、この略V字形状溝の最深部は鋭角に形成せずに、曲率半径0.1mmの曲面に形成した。これら割線7、8の内、一方の割線7が底面2の周縁に達する位置の高さが、他方の割線8が底面2の周縁に達する位置の高さよりも0.57mm高くなるように構成した。一方の割線7が底面2の周縁に達する位置の近傍には割線7に跨る平面部9を形成した。平面部9の範囲は、最大幅が1mmとなるようにした。一方の割線7の傾斜は、錠剤1の側面4から中心に向かってが8゜以上とするのが好ましいが、この実施例2では12゜とした。他方の割線8の傾斜は、錠剤1の側面4から中心に向かって4゜以上とするのが好ましいが、この実施例2では5゜とした。以上のようにして、底面2において全体として錠剤1の側面4から中心に向かって次第に低くなるように形成した。以上の条件で実施例2にかかる錠剤1を実際に製造し、性能を調べたところ、容易に錠剤1を二分割することができた。また、得られた半片を更に指で押圧することにより、最終的に錠剤1を容易に四分割することができた。【0022】【発明の効果】 二本の割線が一方の底面のみに設けられているので、錠剤を指で押圧して二分割した後、錠剤の半片をひっくり返さずに、そのまま更に指で押圧することによって錠剤を四分割することが可能になる。従って、簡単に二分割または四分割できる錠剤が提供される。また、例えば錠剤をパンチングする際に錠剤の一方の底面のみに割線を設ければ足りるので、製造が容易である。【0023】 最も破損しやすい個所である底面の周縁角部において、錠剤が欠けるのを防止することができるようになる。【0024】 錠剤を二分割するに際しては、一方の割線についてのみ応力集中が発生し、他方の割線については応力集中が発生しないので、錠剤を必ず一方の割線に沿って二分割させることが可能となる。従って、一回の押圧操作で錠剤を誤って四分割してしまう心配は殆どなくなる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施の形態にかかる錠剤の拡大斜視図である。【図2】錠剤の拡大平面図である。【図3】錠剤の拡大側面図である。【図4】図2におけるA−A断面矢視図である。【図5】錠剤を二分割した状態を示す正面図である。【図6】図5とは90゜異なる方向における錠剤の側面図である。【図7】錠剤を四分割する状態を示す斜視図である。【図8】錠剤を四分割して得た小片の斜視図である。【図9】実施例2にかかる錠剤の拡大平面図である。【図10】実施例2にかかる錠剤の拡大側面図である。【図11】図9におけるB−B断面矢視図である。【符号の説明】1 錠剤2、3 底面4 側面5、6 斜面7、8 割線9 平面部a1、a2、a3、a4 領域面θ1〜θ4 領域面同士の折りなす角度h1 一方の割線が底面の周縁に達する位置の高さh2 他方の割線が底面の周縁に達する位置の高さ 一対の底面と、それら底面の周縁を囲む側面とを有する錠剤であって、一方の底面が交差する二本の割線により四つの領域面に分割された錠剤において、 前記割線を境にして互いに隣接する前記領域面同士の折りなす角度を何れも180゜未満にすることにより、前記一方の底面の中央を低く周縁を高くし、 前記二本の割線の内の一方の割線が底面の周縁に達する位置の高さを、他方の割線が底面の周縁に達する位置の高さよりも高くし、 前記一方の割線が底面の周縁に達する位置の近傍に、前記一方の割線に跨って位置する平面部を形成したことを特徴とする錠剤。


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