タイトル: | 特許公報(B2)_受容体Tieを認識するモノクローナル抗体およびそれらの用途 |
出願番号: | 1995524988 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C12N15/02,C07K16/40,C12N5/10,G01N33/50,G01N33/534,G01N33/573,G01N33/574,G01N33/577,C12P21/08 |
アリタロ、カリ マチカイネン、マルヤ−テルツ カルナニ、ペイヴィ JP 3683270 特許公報(B2) 20050603 1995524988 19950329 受容体Tieを認識するモノクローナル抗体およびそれらの用途 リセンチア リミテッド 朝日奈 宗太 佐木 啓二 秋山 文男 田中 弘 アリタロ、カリ マチカイネン、マルヤ−テルツ カルナニ、ペイヴィ US 220,240 19940329 20050817 7 C12N15/02 C07K16/40 C12N5/10 G01N33/50 G01N33/534 G01N33/573 G01N33/574 G01N33/577 C12P21/08 C12N5/10 C12R1:91 C12P21/08 C12R1:91 JP C12N15/00 C C07K16/40 G01N33/50 T G01N33/534 G01N33/573 A G01N33/574 Z G01N33/577 B C12N5/00 B C12P21/08 C12N5/00 B C12R1:91 C12P21/08 C12R1:91 7 C12N 15/00 - 15/90 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG) PubMed 国際公開第93/014124(WO,A1) Molecular and Cellular Biology, 1992年,Vol.23, No.4, p.1698-1707 17 DSM ACC2159 FI1995000170 19950329 WO1995026364 19951005 1997511141 19971111 23 20020327 高堀 栄二 技術分野本発明は概して、様々な内皮細胞およびある腫瘍細胞群において見出される受容体でありチロシンキナーゼであるTieと反応する抗体に関する。さらに本発明は、前記抗体を作製する方法および前記抗体の使用方法に関する。とくに本発明は、特定の造血細胞ならびに血液学および脈管形成に関連した状態を検出するための診断具として、血管を映像化する道具ならびに治療剤としての抗Tieモノクローナル抗体に関する。背景技術心臓血管の疾患および癌は西洋の国々において非常に一般的なものであり、これらの疾患をもつ患者は典型的に仕事を離れ、長期間治療を受ける必要があるので、これらの疾患群は経済的に重要である。血管は癌の病因においてばかりでなく、心臓血管の疾患の進行においても重要な役割を果たしている。脈管の疾患の病因における中心的な役割は、血管の内壁に並ぶ内皮細胞によって果たされている。内皮細胞における損傷および代謝障害はいわゆるアテローム斑(atheroma plaques)、さらにはアテローム性動脈硬化症を引きおこす。内皮細胞を刺激する成長因子を介して腫瘍細胞により誘導される新生血管形成は様々な癌における重要な出来事である。実験研究により、癌のコロニーを発達させ成長させるために、成長している組織へ栄養および酸素を運ぶことを保証する新生血管形成が細胞には必要であることが知られている。分化した細胞および組織の発達、維持および修復を担う細胞の挙動は大部分、成長因子および類似したリガンドならびにそれらの受容体を経て伝達される細胞間シグナルによって調節されている。受容体は応答細胞(responding cells)の表面に位置し、ほかのホルモン様リガンドだけでなく、ペプチド性成長因子またはポリペプチド性成長因子と結合する。この相互作用の結果、急速かつ長期間の細胞の遺伝子発現の再調整を導く、応答細胞における急速な生化学的変化がおこる。様々な細胞表面につくいくつかの受容体は特定の成長因子と結合しうる。チロシンのリン酸化は、形質膜を横切るシグナル伝達の重要な様式(key modes)の1つである。現在知られているいくつかの蛋白質チロシンキナーゼ遺伝子は、たとえば上皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、インスリン様成長因子(IGF−I)、血小板由来成長因子(PDGF−AA、ABおよびBB)および繊維芽細胞成長因子(FGFs)などのポリペプチド性成長因子およびホルモンに対するトランスメンブレン受容体(transmembrane receptor)をコードしている。たとえば、ヘルディン(Heldin)およびウエスターマーク(Westermark)、セル・レギュレーション(Cell Reg.)、第1巻、555〜556頁(1990年)、ならびにウルリッチ(Ullrich)およびシュレシンガー(Schlessinger)、セル(Cell)、第61巻、2243〜354頁(1990年)参照。内皮細胞の成長因子受容体は、いくつかの重要な生理学的および病理学的過程、すなわち脈管形成、アテローム性動脈硬化症および炎症性の疾患にたとえばFGF類などの成長因子が関与している可能性があるので、とくに興味深い(フォークマン(Folkman)およびクラグスブルン(Klagsbrun)、サイエンス(Science)、第235巻、442〜447頁(1987年))。また、いくつかの造血細胞成長因子(hematopoietic growth factor)の受容体はチロシンキナーゼである。これらはコロニー刺激因子1受容体(シェル(Sherr)ら、セル、第41巻、665〜676頁(1985年))および幹細胞因子受容体(stem cell factor receptor)であるcキット(c-kit)(ヒュアング(Huang)ら、セル、第63巻、225〜233頁(1990年))を含んでいる。受容体チロシンキナーゼは、構造の類似および差異にもとづき進化論的なサブファミリーに分けることができる。これらの蛋白質はこれらの特異性および親和性において異なる。(前記ウルリッチおよびシュレシンガーの文献。)一般的に、受容体チロシンキナーゼは、糖蛋白質であり、成長因子と結合する能力を有する細胞外ドメイン、通常は蛋白質のαヘリックス部分(alpha-helical portion)であるトランスメンブレン・ドメイン(transmembrane domain)、受容体がたとえば蛋白質のリン酸化により調節されてもよいジャクスタメンブレン・ドメイン(juxtamembrane domain)、受容体の酵素的酵素要素(enzymatic component)であるチロシンキナーゼドメイン、多くの受容体において、受容体に特異的な基質の認識および結合に関係するカルボキシターミナルテール(carboxyterminal tail)から構成される。最近になって、Tieと名づけられた新規な内皮細胞の受容体であるチロシンキナーゼが国際公開第93/14124号パンフレット(1993年)に記載されている。Tieは免疫グロブリン様ドメインおよびEGF様ドメインを含有するチロシンキナーゼ(Tyrosine kinase containing Immunoglobulin- and EGF-like domains)に対応する頭字語である。Tieは、たとえば腫瘍脈管形成を含む腫瘍性疾患、創傷治癒、血栓性疾患(thromboembolic diseases)、アテローム性動脈硬化症および炎症性疾患などの内皮細胞および結合している受容体Tieが関与する特定の疾患の診断および治療において有用であると考えられている。本発明者らは、内皮細胞受容体チロシンキナーゼであるTieの細胞外部分に対するモノクローナル抗体を生成した。これらのモノクローナル抗体は、細胞培養物中のTieの検出およびインビボでの免疫組織学的試験に使用されている。その結果は、Tieの細胞外部分を特異的に認識する抗体は、組織サンプルおよび生物の造血細胞および内皮細胞の監視(monitoring)および様々な型の癌性腫瘍の診断に使用することができることを示している。【図面の簡単な説明】図1はTieに対する免疫蛍光検査法およびフローサイトメトリーによるMOLT−4およびHEL細胞の分析結果を表わす。図2はヒト血液細胞におけるTieのイムノペルオキシダーゼ染色(immunoperoxidase staining)を示す。図3は8日間経過した創傷を有するマウスにおいて選ばれた標的組織への125Iで標識したモノクローナル抗体3C4C7G6の生体内分布(biodistribution)を示す。図4は正常の脳、膠芽腫多形(glioblastoma multiforme)および黒色腫転移(melanoma metastasis)におけるTieの免疫組織化学的染色を示す。目盛は0.05mmである。図5はTieおよび内皮細胞特異的マーカーとしてvWFまたはCD44を用いた血管芽腫および血管周囲細胞腫の免疫組織化学的染色を示す(40X)。図6は、48、72、96および120時間後(それぞれN=3、3、3および4である)の主要臓器における抗TIE抗体10F11の分布(%ID/g)を示す。図7は6、24、48、72、96および120時間後(それぞれN=3、3、7、2および2である)の主要臓器における抗TIE抗体3c4の分布(%ID/g)を示す。図8は抗体10F11を用いての48、96および120時間後の放射能の蓄積ならびに抗体3c4を用いての6、24、48、96および120時間後の放射能の蓄積を示す。図9は被覆された抗体/標識された抗体の4つの異なる対の標準曲線(standard curve)を示す。図10は乳癌(breast cancer)(N=2)、卵巣癌(N=5)およびスモール・セル・ラング・キャンサー(small cell lung cancer)(N=6)患者の血清サンプル中における個々のTie抗原濃度(μg/l)を示す。参考のためのサンプル(N=20)は非癌患者である。発明の詳細な説明本発明の目的は、組織サンプルおよび生物全体において造血細胞および内皮細胞を監視する診断方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、内皮細胞の状態(損傷、成長など)を描く臨床的検出方法ならびに内皮細胞および生物中の脈管の成長を検出する方法を提供することである。本発明はTieを認識する抗体を提供する。好ましい態様において、本発明の抗体はTieの細胞外部分に対して向けられる。また、ある好ましい態様において、本発明は受容体Tieの細胞外部分の異なるエピトープを特異的に認識するモノクローナル抗体を提供する。さらに詳しくは、本発明は3C4C7G6および10F11G6と名づけられたモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体3C4C7G6を産生するハイブリドーマ細胞系はブダペスト条約の規定によりドイチェ・ザンルング・フォン・ミクロオルガニズメン・ウント・ツェルクルツレン・ゲーエムベーハー(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)(DSM)に寄託されている(DSM受託番号ACC2159)。検出しうるマーカーで標識されたモノクローナル抗体も提供される。本明細書で使用するとき、「検出しうるマーカー」という用語は当業者に知られているあらゆる検出しうるマーカーを含んでいる。しかしながら、本発明の好ましい態様において、検出しうるマーカーは放射性同位体、蛍光色素、色素、酵素およびビチオンからなる群より選ばれる。本発明の目的に対して、適当な放射性同位体は125Iおよび131Iを含むがこれらに限定されるものではない。本発明はまた映像化しうる試薬(imageable agent)に接合(conjugate)したモノクローナル抗体も提供する。本明細書で使用するとき、「映像化しうる試薬」という用語は放射性同位体を含むが、これに限定されるものではない。好ましい放射性同位体はテクネチウム99mである。さらに本発明は、新生血管が形成されているヒト組織の検出および同定方法を提供する。前記方法は、(a)新生血管が形成されている疑いのある組織および/または体液サンプルをうる工程、(b)前記サンプルをTie特異的モノクローナル抗体と、前記モノクローナル抗体とその抗原の複合体を形成するのに適した条件下で接触させる工程、および(c)形成されたあらゆる複合体の存在を検出する工程からなる。前記方法により検出されうる組織は、Tieを含む内皮細胞または受容体Tieを発現している白血病細胞を有するあらゆる正常な、前癌性のまたは癌性の固形腫瘍組織である。本発明の1つの態様において、モノクローナル抗体は本明細書に記載されたような検出しうるマーカーで標識される。本発明の方法は様々な形態の癌の検出および識別に有用である。また本発明は、ヒト血清中の循環しているTie抗原量を測定することによる様々な癌の疾患状態の診断および監視方法を提供する。また本発明のモノクローナル抗体は、細胞サンプルを本発明のモノクローナル抗体にさらす工程、および前記モノクローナル抗体の受容体Tieへの結合を検出する工程からなる、細胞サンプル中の受容体Tieの存在を検出する方法に使用してもよい。本発明の好ましい態様において、本発明のモノクローナル抗体は、造血細胞、とくにB細胞系の細胞のある型の検出および監視に使用することができる。細胞混合物を本発明のモノクローナル抗体にさらすことは、蛍光により活性化された細胞の選別(fluorescence-activated cell sorting)のばあいは、溶液中で行なうことができ、たとえば生検材料(biopsy material)などの固形組織標本上でも行なうことができ、またカラムクロマトグラフィーまたは直接免疫接着(direct immune adherence)を用いるばあいは、固体担体に固定化されたモノクローナル抗体を用いて行なうことができる。モノクローナル抗体にさらされる細胞混合物は、血液細胞または組織細胞のいかなる溶液であってもよい。好ましくは、細胞混合物は、正常哺乳類細胞、哺乳類の骨髄、循環血(circulating blood)または腫瘍が疑われる組織、さらに好ましくは正常細胞、白血病細胞および固形腫瘍細胞由来である。前記細胞混合物を前記モノクローナル抗体にさらしたのち、受容体Tieを有するこれらの細胞は前記モノクローナル抗体に結合し、抗体−受容体Tie複合体を形成するであろう。抗体−受容体Tie複合体の存在、したがって受容体Tieは、当該技術分野において既知の方法によって検出することができる。これらの方法はELISA、IRMA(サンドイッチ型免疫化学的分析法)、免疫組織化学的方法、125I標識およびオートラジオグラフィーを用いたRIA含む。創傷治癒、炎症またはヒト患者の腫瘍における脈管形成の存在を映像化する方法も本発明によって提供される。前記方法は標識された抗体の投与および内皮細胞が新しい脈管の形成に携わる部位を映像化することによる検出または血液、骨髄もしくは組織中の白血病細胞の検出からなる。本発明のヒト化した(humanized)モノクローナル抗体を、受容体Tieが結合している内皮細胞がかかわっている腫瘍性の疾患を有する患者に、前記モノクローナル抗体に接合した抗腫瘍治療剤の治療学的に有効な量投与することにより前記疾患を治療することは有用でありうる。治療剤の治療学的に有効な量は、腫瘍の成長の阻害をひきおこす、好ましくは腫瘍性細胞の死滅および生物中の腫瘍性細胞の総数の減少をひきおこす、任意の化合物量である。そのような治療剤の例は、放射性同位体90Yまたは、たとえばリシンおよび異なる微生物毒素(microbial toxins)などの毒素結合体(toxin conjugates)に連結した抗体を含んでいる。白血病治療剤の前記モノクローナル抗体への接合は、既知の技術、すなわちプレス(Press)ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(J. Clin. Oncol.)、第7巻、1027〜1038頁(1989年)に記載されたような技術を使用して達成することができる。好ましくは、前記モノクローナル抗体上の接合部位(conjugation site)は、前記モノクローナル抗体の受容体Tieとの結合部位とは異なる位置である。また、治療剤上の接合部位は治療剤の活性部位とは異なる官能基であることも好ましい。また、より好ましくは、接合部位は前記モノクローナル抗体または治療剤のコンフォメーションの変化を最小限にするような位置にある。また本発明は、本発明のモノクローナル抗体の結合断片(binding fragment)に接合した治療剤の治療学的に有効な量の投与からなる腫瘍性疾患の治療方法に関する。適当な結合断片は、断片を受容体Tieに結合させうるに充分な大きさと構造を保持する断片である。そのような断片は、当該技術分野において既知の多数の方法によって調製することができる。調製した結合断片は、実施例5に記載した結合分析(binding assays)を用いて受容体Tieに対する結合能力を分析することができる。本発明のモノクローナル抗体の投与は活性成分として前記モノクローナル抗体を含む医薬組成物の適当量の投与を含む。活性成分に加えて、前記医薬組成物は適当な緩衝剤、希釈剤および添加物を含んでいてもよい。適当な緩衝剤は、Tris−HCl、酢酸塩、グリシンおよびリン酸塩、好ましくはpH6.5〜7.5のリン酸塩を含んでいる。適当な希釈剤はNaCl、ラクトースまたはマンニトール、好ましくはNaClを用いて等張に調節した滅菌水性溶液を含んでいる。適当な添加物は表面への吸着を防ぐためのアルブミンまたはヘラチン(helartin)、界面活性剤(たとえばトゥイーン20(TWEEN20)、トゥイーン80(TWEEN80))、可溶化剤(たとえばグリセロール、ポリエチレングリコール)、抗酸化剤(たとえばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)および保存剤(たとえばチメルソル(Thimersol)、ベンジルアルコール、パラベン(parabens))を含んでいる。投与は静脈内投与、皮下投与または筋肉内投与を含むあらゆる通常の手段によるものであってよい。好ましい投与経路は静脈内投与である。投与は1回投与(single dose)であってもよいし、分割した投与量を適当な回数に分けて行なってもよい。好ましくは、医薬調製物は単位投与剤形(unit dosage form)である。そのような剤形において、前記調製物は活性成分の適当量、たとえば所望の目的を達成する有効量を含む単位投与量(unit doses)に細分される。用いられる実際の投薬は、患者の要求および治療される状態の重症度(severity)に依存して変化しうる。特定の状況に対する適当な投薬の決定は、当該技術分野の技術範囲内にある。一般的に、治療は化合物の最適投与量よりも少ない投与量で開始される。そののちは、投与量を、その状況下での最適の効果が達成されるまで少量ずつ増加する。便宜的に1日の総投与量を分割してもよく、本質的に連続的に、または所望であればある日まで部分的に投与してもよい。投与の量および頻度は、治療される疾患の重症度だけでなく患者の年齢、状況および体重といった因子を考慮した治療を行なう臨床医の判断にしたがい調節されるであろう。本発明における使用に対して推奨される典型的な投与計画は、1日あたり活性成分約0.1〜10mgである。治療剤としてのマウスモノクローナル抗体の開発および使用では、ヒト抗マウス抗体反応(HAMA)の成立(formation)により半減期が短縮されるという事実が問題となっている。それゆえ、患者におけるマウスモノクローナル抗体の効率は低い(アダイル(Adair)らによる概説(review)、1990年)。また外来の蛋白質を繰り返し投与すると、不利な副作用がおこる。これらの問題点の多くはヒトモノクローナル抗体の使用により解決することができる。現在これらの抗体は、マウスモノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)をヒトモノクローナル抗体と結合する分子生物学的技術を使用してマウスモノクローナル抗体から生成することができる。これらヒト化抗体は、ヒトの免疫療法における使用に適している。また1本鎖抗体(scFv)も構築されるだろう。これらscFvの構築において、抗原に対する抗体の結合を最適化するために、ウィットロウ(Whitlow)ら、プロテイン・エング(Protein Eng.)、第6巻(8)、989〜95頁(1993年)の文献に記載されたように、異なる長さのリンカー配列が使用されるであろう。前記より明らかなように、本発明にかかわる抗体は、疾患の状態(たとえば様々な型の癌)の診断および同定、創傷治癒の検出および監視、様々な腫瘍性疾患の治療および予防に有用である。現在開示している主題のほかの用途も当業者には明白である。実 施 例以下の実施例は本発明の範囲を限定することなしに、本発明の特定の態様を説明するために与えられる。本発明のほかの用途および態様は当業者によって容易に認識される。実施例1バキュロウイルス(baculovirus)発現系におけるTieの細胞外ドメインの産生Tie蛋白質のcDNA配列は、本明細書に参考文献として記載されているパルタネン ジェイ(Partanen J.)ら、モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. Cell Biol.)、第12巻、1698〜1707頁(1992年)の文献に開示されている。Tieの細胞外ドメイン(アミノ酸24〜760)をコードするcDNA配列を、以下のPCRプライマーを用いてPCRで増幅し、pVT−Bacベクター(テシアー(Tessier)ら、ジーン(Gene)、第98巻、177〜183頁(1991年))のBamHI部位にクローニングした。連続する6つのヒスチジン残基が続く第X因子開裂部位(IEGR)をコードする配列を、cDNAの3′末端に挿入した。つぎに、えられたベクター(pVT−Tieと名づけられた)を、Tieの細胞外ドメインの発現のために昆虫細胞にトランスフェクトした。pVT−Tieベクターをバキュロ・ゴールド・バキュロウイルスDNA(Baculo Gold baculovirus DNA)(ファーミンゲン(Pharmingen)カタログ21100D)とともにSF−9昆虫細胞にトランスフェクトした。ウイルスの単離物を、アガロース中でのプラーク分析法(plaque assay)により、トランスフェクトした細胞のコンディションドメディウム(TNMFH+5%FCS)から精製し、ついでハイ・ファイブ・インセクト・セルズ(High Five insect cells)(インビトロゲン(Invitrogen))における組換え蛋白質発現について発現を試験した。単離物の1つ(BG−3ウイルス)を大規模な蛋白質産生のために選択した。ハイ・ファイブ・セルズをBG−3ウイルスに感染させ、2日後感染細胞のコンディションドメディウム(イーエックス−セル 400(EX−CELL 400)、ジェイアールエイチ サイエンティフィック(JRH Scientific)を集めた。組換えBG−3蛋白質をConAアフィニティークロマトグラフィーにより前記コンディションドメディウムから精製した。実施例2Balb/Cマウスにおける抗Tieモノクローナル抗体の産生生後3カ月の雌のBalb/Cマウスを、フロイント完全アジュバントで乳化したBG−3の腹腔内注射(50μg/マウス)により免疫した。3〜4週間おきに、50μgのブースター注射(booster injections)をし、さらに3週間の間隔をおいたのち最終ブースター注射(PBS中の20μgBG−3を静脈内投与)をした。最終ブースター投与から4日後、マウスを屠殺し、マウス脾リンパ球をプラスマ細胞腫細胞SP2/0とそれぞれ2:1の割合で融合させた。融合細胞を、ウシ胎児血清(FCS、20%)およびHAT補足物(HAT supplement)(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン、ギブコ(Gibco)、043−01060H、50倍希釈)を含むイーエックス−セル320(EX−Cell 320)培地(セララブ(Seralab))を添加した96ウェル培養プレート(ヌンク(Nunc))中からえた。細胞を5%CO2雰囲気下、+37℃で培養した。10日後、HAT補足培地をHT補足細胞培養培地(ギブコ、043−01065H、50倍希釈)に交換した。HT培地はアミノプテリンを含まないことを除くとHAT培地と同一であった。融合から2〜3週間後、特異的な抗体の産生を、実施例5に記載されている抗原特異的免疫蛍光分析法(antigen specific immunofluorimetric assay)(IFMA)により試験した。マスタークローン(master clones)を限界希釈(limited dilutions)(スタスツェウスキー(Staszewski)、1984年)によりクローニングした。陽性クローンを24ウェル組織培養プレート(ヌンク)上でふやし、前記と同様の方法により、再クローニングおよび再試験を行なった。陽性のクローンを蛍光活性化細胞選択法(fluorescence-activated cell sorting)(FACS)により試験した。安定なクローンはIgGクラスに属する免疫グロブリンを分泌した。3C4C7G6と名づけられたあるクローンは、IFMAにより免疫グロブリンクラスIgG1に属すると決定されたモノクローナル抗体を安定に分泌することがわかった。ハイブリドーマ3C4C7G6は、1993年12月2日に、ドイツ連邦共和国、3300 ブラウンシュヴァイク(Braunschweig)、マシュロデル ヴェク 1ベー(Mascheroder Weg 1b)のドイツ微生物および細胞培養コレクション(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)、ヒトおよび動物細胞培養ならびにウイルス部門(Department of Human and Animal Cell Cultures and Viruses)に寄託され、受託番号ACC2159が与えられている。類似した方法により、同一または異なるエピトープに対するTie特異的モノクローナル抗体を産生するほかのクローンがえられた。そのようなクローンの1つである10F11G6を前記3C4C7G6とともにさらなる実験のために選択した。腹水(ascites fluid)としてモノクローナル抗体を産生するためにBalb/cマウスを使用した。プリスタン(pristane)(2,6,10,14−テトラメチル−ペンタデカン、98%、アルドリッチ−ケミエ(Aldrich-Chemie)、デー(D)−7924、シュタインハイム(Steinheim)、カタログ番号T 2,280−2)でマウスを前処理したのち、前記ハイブリドーマを前記マウスに腹腔内(i.p.)注射した。ハイブリドーマ細胞の注射約2週間前にプリスタン0.5mlを(腹腔内)注射した。注射した細胞数はマウス一匹あたり7.5〜9×106であった。ハイブリドーマを注射してから10〜14日後に採取してえられた腹水は、実施例6に記載した抗原特異的IFMAにより測定されたように平均0.3mg/mlの抗体を含んでいた。実施例3ホローファイバー・バイオリアクター中での抗Tieモノクローナル抗体のインビトロでの産生Tieに対するモノクローナル抗体を、テクノマウス・システム(Tecnomouse System)(セレックス社(Cellex Inc.))を使用してインビトロで産生した。はじめに、蓋およびフィルターを有する培地瓶を、121℃、1.1バールの圧力で30分間オートクレーブした。ついで前記瓶を1リットルのダルベッコMEM(ギブコ、042−02501、グルコース6.4g/l、グルタミン2mmol/l、066−1051H、ピルビン酸ナトリウム1mmol/l 066−1840Eを含む)で満たした。バイオリアクター・ホルダー(bioreactor holder)をテクノマウス・トレー(Technomouse tray)中に無菌的に移した。ポンプを充填(load)し、空の廃棄用瓶(流出系(outflow line))と同様に培地系(medium lines)に無菌的に接続した。製造者の指示にしたがい、充填(fill)および排出プログラムを行ない、バイオリアクターのキャピラリー内空間(Intracapillary space)(IC)からのすべての保存材料(preserving material)を洗い出した。プログラムは流速150ml/h、4時間で開始した。洗浄を、流速50ml/hで20時間、ダルベッコMEM(DMEM)中の5%FCSを用いたキャピラリー外(Extracapillary)(EC)空間の洗浄も同時に行ないながら続けた。EC空間の培地を無菌的に新しい培地と交換した。1日後、バイオリアクターをハイブリドーマ細胞を接種するために準備した。ハイブリドーマ細胞を、10%FCS−DMEMを含む細胞培養瓶中から採取し、ついで72×106の細胞を集め、5%FCSを含むDMEM 5ml中に接種した。キャピラリー内空間の培地の流速は100ml/hであった。モノクローナル抗体をうるために以下に示す循環方法を使用した。培地系を培地瓶の「出口(out)」に接続し、培地を瓶からバイオリアクターのキャピラリー内空間へ取り出し、培地を瓶へ戻す培地瓶の「入口(in)」に流出系を接続した。モノクローナル抗体を、1週間に3回、月曜日、水曜日および金曜日に採取し、DMEM中に2.5%FCSを含む新しい培地10mlと毎回交換した。抗BG−3細胞系である3C4C7G6は、細胞培養培地中に平均152μg/mlの濃度で抗体を産生した。テクノマウス・システム中のバイオリアクターへの細胞の接種(細胞数72×106)後、産生した抗体を2〜3日おきに採取した。平均産生量は4.5mg/週であり、2カ月間の累積産生量は37mgであった。腹水またはテクノマウス・システムのいずれかにおいて産生された抗体を、製造者の指示にしたがいアフィゲル・プロテインA・MAPSII・キット(Affigel Protein A MAPS II Kit)(バイオラッド(Bio Rad))により精製した。カラムを精製手順のために結合緩衝液(binding buffer)(pH9.0)を用いて平衡化した。抗体は結合緩衝液中でプロテインAマトリックスに結合し、(紫外線分光光学法(UV-spectrometry)により280nmで検出し)ベースラインに達するまで、結合緩衝液を用いて洗浄した。特異的に結合した物質(material)を溶離緩衝液(elution buffer)を用いてpH3.0でプロテインAから溶離し、画分を直ちに中性化するために必要な1mol/l Tris−HCl、pH9.0を含む管中に集めた。カラムは再生緩衝液を用いて再生し、つぎに使用するときまで、保存剤として0.05%NaN3を含む50mmol/lリン酸ナトリウム緩衝液pH7.5中で貯蔵した。実施例4細菌中で発現したTieに対する抗体の産生TieのcDNAのBamHI断片(ヌクレオチド520〜1087)をpGEXiTベクター(ファルマシア(Pharmacia))のBamHI部位へサブクローニングし、結果としてTie蛋白質のアミノ酸162〜350をコードする領域が融合したグルタチオン−S−トランスフェラーゼをコードする読取り枠(open reading frame)(GST−Tie2)をえた。前記構築物を大腸菌DH5a株にトランスフォームし、IPTGにより融合蛋白質の発現を誘導した。えられた40kDの融合蛋白質を変性アガロースゲル(FMC)中で精製し、ついで免疫感作に使用した。BG−3 Tie蛋白質に対する記載と同様に、モノクローナル抗体を産生した。2つをサブクローニングした後、GST−Tie2蛋白質に対する抗体を分泌する8つのクローンをえた。これらは免疫ウエスタンブロッティングにおいてTieとほぼ等しく良好に反応した。抗GST−Tie2クローン由来の腹水を、プロテインAカラムを用いて精製し、ウエスタンブロッティングに用いた。実施例5ユウロピウムを用いたTie蛋白質の標識化実施例1で生成したTieの細胞外ドメインBG−3を、分析における使用のために標識した。標識はムッカラ(Mukkala)ら、アナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Biochem.)、第176巻(2)、319〜325頁(1989年)の文献にしたがい改変を加えて以下のように行なった。125molを超える量のイソチオシアナートDTTA−Eu(N1キレート(N1 chelate)、ワラック(Wallac)、フィンランド共和国)をBG−3溶液(50mmol/lホウ酸塩緩衝液中に0.5mg/ml、pH8.6)に添加し、ついで0.5mol/l炭酸ナトリウム(メルク(Merck))緩衝液、pH9.8の10分の1量を添加しpHを9.8に調整した。標識化を+4℃で一晩行なった。結合しなかった標識は、溶離液としてのTSA緩衝液(0.15mol/l NaClを含む50mmol/l Tris−HCl、pH7.8)とともにPD−10(ファルマシア、スウェーデン王国)を用いて除去した。精製後、標識されたBG−3に1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)を添加し、標識物を+4℃で貯蔵した。既知のEuCl3標準の蛍光に対する蛍光の割合を測定することにより決定したBG−3の1分子あたりに取り込まれたユウロピウムイオン数は2.9であった(ヘミッラら、アナリティカル・バイオケミストリー、第137巻、335〜343頁(1984年))。実施例6免疫蛍光スクリーニング分析法(Immunofluorometricscreening assay)(IFMA)受容体Tieに対して産生された抗体を、ウサギ抗マウスIg(Z259、ダコパッツ(Dakopatts)、ロブグレン(Lovgren)ら、タランタ(Talanta)1984年、第31巻(10B)、909〜916頁)で被覆したマイクロタイター・ストリップのウェル(ヌンク(Nunc)、ポリソーブ(polysorb))を用いたサンドイッチ型免疫蛍光分析法を使用してスクリーニングした。あらかじめ被覆したウェルを洗浄溶液(デルフィア(DELFIA))を用いたプレートウォッシュ(Platewash.)1296−024(ワラック(Wallac))により一度洗浄した。デルフィア分析緩衝液を、細胞培養上清および予備的スクリーニング分析(preliminary screening assays)における正の対照として使用した脾摘出したマウスの血清(1:1000〜1:100,000の希釈)の希釈緩衝液として使用した。腹水として産生され、アフィゲル・プロテインA・MAPSを用いて精製された抗BG−3 3C4C7G6を、のちの分析における標準として、分析緩衝液(100μl、デルフィア)中0.25〜60ng/mlの濃度で使用した。室温で2時間(または+4℃で一晩)のインキュベーションを、5分間のプレートシェイク(Plateshake)(1296−001、ワラック)上での振とうにより開始し、続いて前記洗浄溶液を用いて4回洗浄した。実施例4で調製しEuで標識したBG−3を、分析緩衝液100μl中、10ng/ウェルの濃度で添加した。プレートシェイク振とう機上で5分間および室温で1時間のインキュベートしたのち、前記と同様に前記ストリップを洗浄した。エンハンスメント溶液(Enhancement solution)(デルフィア)を200μl/ウェルで添加した。プレートを、プレートシェイク振とう機上で5分間振とうし、蛍光強度を10〜15分間、アルクス(ARCUS)−1230(ワラック)により測定した(レブグレンら、コリンス ダブリュー ピー(Collins W.P.)(編)、オルターナティブ・イムノアッセイズ(Alternative Immunoassays)、ジョン・ウィレー・アンド・ソンズ社(John Wiley & Sons Ltd.)、203〜216頁(1985年))。サンドイッチ型デルフィアは非常に感度が高く、抗Tieモノクローナル抗体に対する理論上の感度は0.25ng/mlよりも低い。この感度は、細胞培養上清中で産生されたモノクローナル抗体の定量に便利であるが、この分析方法はインビトロで産生されたモノクローナル抗体の定量にも実用的であった。直線である範囲は0.25〜60ng/mlに至った(図2)。分析内偏差(Intra assay variation)は非常に低いことがわかった。実施例7インビボでの受容体Tieの検出のための放射性標識されたモノクローナル抗体モノクローナル抗体3C4C7G6を、クロラミンT法(グリーンウッド(Greenwood)ら、ザ・バイオケミカル・ジャーナル(Biochem J.)、第89巻、114〜123頁(1963年))を用い125Iで標識した。Na125I 1mCiを抗体40μgの標識化に使用した。標識した抗体を、セファデックス−G25(Sephadex-G25)を用いた溶離によって精製し、主画分1.8mlをえた。125Iで標識された抗BG−3(3C4C7G6)を、1.2μgおよび2.4μgの2つの異なる投与量で、ルイス肺癌(Lewis-lung-carcinoma)を有するマウスに静脈内投与した。マウスにおける標識した抗体の生体内分布を、5つの異なる時点、1)6時間後(N=4)、2)24時間後(N=7)、3)47時間後(N=5)、4)70時間後(N=3)および5)117時間後(N=2)において測定した。結果は、抗BG−3活性は血液、腫瘍および血管に集中し、肺および卵巣においてもある程度集中していることを示している。血液中の活性は、48時間および70時間後でそれぞれ9.3%ID/gおよび7.9%ID/gと高かった(20gのマウスに規準化した組織の1グラムあたりに注射した投与量の百分率)。血液中の抗Bg−3活性は24時間後で11.3%、6時間後で36.2%であった。125Iで標識された抗BG−3(3C4C7G6)を、皮膚の上皮に8日間経過した創傷を有するマウス(「創傷治癒マウス」)にも投与した。創傷治癒マウスに与えた抗体の投与量は動物あたり0.03μgであった。抗体活性の生体内分布を図3に示す。この図において、Y軸は注射した投与量の百分率(%ID/g)を表わし、X軸は注射の様々な時点、すなわち4時間後(N=2)、24時間後(N=6)、48時間後(N=6)、72時間後(N=4)および120時間後(N=4)を表わす。標的と血漿の間に成立した平衡を図3に示す。実施例8映像化研究のための抗Tieモノクローナル抗体のテクネチウム99m(Tc−99m)による標識化抗体を、シュワルツ(Schwarz)ら、ジャーナル・オブ・ヌクレアー・メディシン(J.Nucl.Med.)、第28巻、721頁(1987年)およびマザー(Mather)ら、ジャーナル・オブ・ヌクレアー・メディシン、第31巻、692〜697頁(1990年)の技術を用いてテクネチウム99mで標識した。2−メルカプトエタノール(ME)を使用し、免疫グロブリンのヒンジ領域におけるH鎖のジスルフィド結合を開裂した。抗体を約10mg/lに濃縮し、ついで充分量のMEを抗体溶液に添加し、1000:1のモル比(0.47μl ME/1mg抗体)にした。混合物を室温で30分間インキュベートし、還元した抗体を20mlセファデックス−G−50(Sephadex-G-50)カラムでのゲルろ過により精製し、移動相としてリン酸塩緩衝化生理食塩水を使用して溶離した。280nmでの光学密度の測定後、抗体画分を貯め、テクネチウム99mで標識するための0.5mgのアリコートとして−20℃で貯蔵した。テクネチウム99mで標識するとき、抗体のアリコートを解凍し、0.9%滅菌生理食塩水5mlとともにメチレンジホスホネート(MDP)・ボーン・イメージング・キット(methylene diphosphonate(MDP) bone imaging kit)(アメスキャン・メドロネート・II・テクネチウム・ボーン・エージェント(Amerscan Medronate II Technetium Bone Agent)、エヌ(N.)165)を製造者の指示にしたがい使用して再構成した。MDP 35μgおよびSnF2 2.4μgを含むMDP溶液35μlを抗体アリコートに添加し、充分に混合した。テクネチウム99m 過テクネチウム酸塩(99m Tc pertechnetate)を混合物に添加し、穏やかに振とうした。反応は10分間で完了した。放射化学純度を高速液体クロマトグラフィーによって測定した。標識の非特異的結合は最小限であるので、還元した抗体の標識化により安定なテクネチウム99mで標識した免疫グロブリンがえられる。標識効率を0.9%生理食塩水中で展開した薄層クロマトグラフィーにより評価する。免疫反応性は少なくとも85%保たれている。インビボでの安定性は、インビトロでのシステイン・チャレンジ・アッセイ(cysteine challenge assay)により分析されるであろう。テクネチウム99mで標識した抗Tie抗体は、通常のガンマカメラ(gamma-camera)または人体中の抗体の流速(flow rate)を可視化するSPECT(単一光子発光コンピュータ連動断層撮影(Single Photon Emission Computerized Tomography))を用いて検出することができる。実施例9FACSによるTie陽性細胞系の検出実施例2、3および4において生成した抗Tie抗体を、ヒト白血病細胞系中のTie蛋白質の検出に使用した。造血細胞系であるHEL(ヒト赤白血病)およびMOLT−4(T−リンパ芽球性白血病(T-lymphoblastic leukemia))をATCCよりえた。HEL細胞(赤血球および巨核球マーカーとともに発現(co-express)するヒト赤白血病細胞を、生成したモノクローナル抗体を使用するTieの間接的免疫蛍光染色(indirect immunofluoresence staining)およびFACS分析に使用した。計数し、洗浄し、抗体のいくつかの希釈物(1:1〜1:200)の存在下でインキュベートした細胞を、洗浄し、ついでマウス免疫グロブリンに対するFITCに接合した抗体(FITC-conjugated antibodies against mouse immunoglobulins)(第2の抗体)の存在下でインキュベートした。FACS IVにより分析を行なった。負の対照として、細胞を非特異的マウス免疫グロブリンを用いて染色し、続いて同じ第2の抗体によって処理した。負の細胞の対照として、TieのmRNAを発現しないMOLT4 T細胞性白血病系細胞を使用した。結果は、抗Tie抗体は平均85%のHEL細胞を染色し、一方MOLT細胞の1%未満しかTieに対して陽性に染色されないことを示す。これら2つの系由来の細胞を混合したとき、抗体は陽性のHEL細胞と陰性のMOLT細胞とを区別する(図1)。また、ヒト骨髄サンプル由来の細胞でもこれらの抗体で陽性に染色されたのは1%未満であった。ヒト白血球細胞系MOLT4由来の細胞(TieのmRNA陰性である悪性T細胞系)およびHEL(ヒト赤白血病細胞系、TieのmRNA陽性)を約1:1の割合で懸濁状態にて混合した。ついで細胞を、1:10に希釈した実施例2でえられたモノクローナルTie抗体および第2の抗体としてFITCに接合した抗マウスIgGを使用して懸濁液中で染色した。負の対照として、抗体を正常マウス血清と置換した。FACS IVを使用して分析を行なった。結果は2つの異なる細胞群、すなわち1つはTie陽性であり、一方はTie陰性であった。各群は分析した細胞群全体の約50%からなっていたことを示している(図1)。あるTie陽性骨髄細胞はCD19であるB細胞マーカーにも陽性であり、すべての細胞はCD38に陰性であった。これはTieはB細胞系統において発現することを示している。実施例10モノクローナル抗体の分析モノクローナル細胞培養上清を、FACS分析を使用して、細胞表面上の受容体Tieを認識する能力を試験した。HEL細胞(内生の受容体Tieを発現しているヒト赤白血病細胞系)およびMOLT−4細胞(Tieを発現していないヒトT細胞性白血病細胞系)に加えて、Tie発現ベクター(pLTRpoly中に全長のTie cDNAを含む、マケラ(Makela)ら、1991年)をトランスフェクトしたNIH3T3細胞および対照のベクター(control vector)をトランスフェクトしたNIH3T3細胞を、異なる細胞クローンのコンディションドメディウムとインキュベートし、続けてFITCで標識したウサギ抗マウス抗体(ダコ(Dako))とインキュベートした。標識された細胞を、フルオレッセンス・アクティベーティッド・セル・ソーター(fluorecence activated cell sorter)(ベクトン ディッキンソン(Beckton Dickinson)により分析した。以下に示すクローン、1H3H7、3C4C7、5C12H9からも腹水を生成した。クローン3C4D7をさらにクローニングし、互いに類似するサブクローンである3C4C7G6、3C4C7B11、3C4C7E7、3C4C7F9をえた。実施例11ヒト血液細胞におけるTieのイムノペルオキシダーゼ染色造血幹細胞を末梢血へ移動させるために、シクロホスファミドを患者に与え、7日後末梢血から被膜形成細胞(buffy coat cells)を集めた。赤血球を細胞懸濁液から溶血し、細胞画分を遠心分離してえたスライドを調製した。つぎに、これらを精製Tieモノクローナル抗体3C4C7G6を用いる免疫染色およびイムノペルオキシダーゼ法に使用した。2重の免疫蛍光染色による骨髄細胞の分析において、Tie陽性細胞(1%未満)は明確な造血系列に帰属(assign)することはできなかった。スライド上の約70,000の細胞のなかで、5つの陽性染色細胞を同定した。イムノペルオキシダーゼ染色において、Tie陽性細胞は巨大な核とわずかの細胞質(scant cytoplasm)を有し、小型で丸かった(図2)。(図中の1つの陽性細胞の濃く染色されたところはペルオキシダーゼ反応の結果であり、Tie陽性細胞を同定する。)したがって抗Tieモノクローナル抗体は骨髄由来の特定の造血細胞を同定し、造血細胞の定義されたサブセットの同定に使用しうる。実施例12モノクローナル抗体3C4C7G6のヒト化(Humanization)3C4C7G6は、すでに記載された方法(コルビンガー(Kolbinger)ら(1993年)、ケットルボロー(Kettleborough)ら(1991年))を用いてヒト化しうる。ヒト化の手順は、マウスのカッパ軽(L)鎖および重(H)鎖の相補性決定領域(CDRs)のヒト可変(V)領域への組み込み、および原型のCDRコンホメーションを保存するために、ヒト構造領域における点変異をおこすことを含む。再形成(reshaped)されたVLおよびVH鎖は、適当な発現ベクターで、ヒトカッパおよびガンマ−1定常領域をそれぞれコードするDNAに結合される。scFvの生成は、すでに記載したようにウィットロウら(前出)(1993年)の文献により達成される。ヒト化モノクローナル抗体およびscFvの親和性を本明細書中の前記の方法を用いて試験する。実施例13Tie特異的モノクローナル抗体の治療剤への接合モノクローナル抗体3C4C7G6または実施例12に記載したヒト化抗体は、ほかの実施例に記載したように診断用途のために、またはえられた結合体の治療学的用途のために、種々の物質(agent)に連結または接合しうる。腫瘍およびたとえば白血病などの分散した悪性疾患の治療における使用のために、抗体をたとえば32P、131I、125I、90Y、188Re、212Pb、212Biまたは10Bなどの放射性同位体と連結しうる(シェインバーグ(Scheinberg)ら、オンコロジー(Oncology)、第1巻31〜37頁(1987年))。放射性同位体の抗体への接合は、放射性同位体を抗体に直接つけることにより、当該技術分野において記載されている方法(シュワルツ ジェイ(Schwartz J.)、ヌクレアー・メディシン(Nuclear Medicine)、第28巻、721頁(1987年))により、放射性同位体を抗体に結合させるキレートリンカー(chelate linkers)を用いることにより、または特異的な抗体に対する第2の抗体によって達成される。そのほか様々な物質を抗体につけうる。そのような物質は抗腫瘍剤、挿入(intercalation)によるDNAとの相互作用(たとえば、ダウノマイシン、アドリアマイシン、アクラシノマイシン)、またはDNAの開裂(たとえば、エスペラマイシン(esperamaycin)、カリケアマイシン(calicheamycin)、ネオカルチノスタチン)により毒性を有する抗生物質、ならびにたとえばシスプラチン、ビンブラスチンおよびメトトレキサートなどのそのほかの毒性を有する細胞増殖抑制剤(たとえばグリーンフィールド(Greenfiels)ら、アンチボティ、イムノコンジュケーツ・アンド・ラジオファーマシューティカルズ(Antibody, Immunoconjucates and Radiopharmaceuticals)、第4巻、107〜119頁(1991年))を含んでいる。これらの物質は、これらの適当な誘導体を共有的につけることにより連結される。多くの蛋白質および糖蛋白質は抗体の治療学的結合体における使用にも利用できる。これらは、たとえばジフテリア毒素、赤痢菌毒素(Shigella toxin)およびシュードモナス細胞外毒素(Pseudomonas exotoxin)などの細菌性毒素、ならびにたとえばリシン、アブリン(abrin)、モデシン(modeccin)、ビスカミン(viscumin)、ポークウィード抗ウイルス蛋白質(pokeweed antiviral protein)、サポリン(saporin)、モモルジン(momordin)およびゲロニン(gelonin)などの植物性毒素を含む。これらの毒素は、触媒断片(catalytic fragment)およびあるばあいには、細胞表面構造を認識するか、細胞膜を通るトランスロケーション(translocation)を促進する断片またはドメインを含む。適当に修飾された毒素を使用することにより、有効性を失うことなく特異性を改善することができる。毒素の抗体への接合は、たとえばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)−プロピオネート(SPDP)または2−イミノチオレンなどの異なる2つの官能基をもつクロスリンカー(heterobifunctional crosslinkers)により行なわれる。治療学的使用のまえに、接合した抗体を、毒性の有効性(toxic potency)、標的に対する特異性、インビトロおよびインビボでの安定性ならびにそのほかの特性の観点から試験した(たとえば、イムノトキシンズ(Immunotoxins)、フランケル(Frankel)編、クルワー・アカデミック・パブリシャーズ(Kluwer Academic Publishers)、ボストン、1988年)。使用する連結手段によって与えられる、接合した物質の毒性および抗体の結合親和性および特異性への影響は、最小限であることが望ましい。それゆえ、結合体の受容体Tieへの結合について試験を行なう(実施例10参照)。たとえば白血病細胞系Damiなどの標的細胞に対するインビトロでの毒性は、対照の結合体で処理した細胞培養物への標識した化合物の取り込みに対する、処理した細胞培養物中における前記取り込みを測定することによって、ならびにクローン原性中で増殖することができる培養物の決定およびセル・グロース・バック−エクストラポーレーション・アッセイ(cell growth back-extrapolation assays)によってより直接的に試験する。インビボでの安定性、クリアランスおよび特異的な毒性を、たとえばマウス、ラット、ウサギまたはサルなどの適当な受け入れ動物に結合体を投与することにより判断する。さらに、そのような受け入れ動物は、正常マウスおよびたとえばヌードマウスまたはSCIDマウスなどのマウスの免疫不全系統に導入されたヒト腫瘍細胞からなるインビボの腫瘍モデルおよび白血病異種移植モデルを含んでいる。実施例14モノクローナル抗体3C4C7G6を含む医薬組成物の調製本発明の医薬組成物は、活性成分であるTie特異的モノクローナル抗体、とくにモノクローナル抗体3C4C7G6の有効量を単独で、または適当な緩衝剤、希釈剤および/または添加物とともに含んでいる。そのような組成物は、滅菌水性溶液または凍結乾燥もしくはそのほかの方法で乾燥した製剤として提供される。典型的には、抗体はそのようなビヒクル中、約1〜10mg/mlの濃度で製剤化される。注射用の適当な医薬組成物の一例は、滅菌水中のトゥイーン80(Tween 80)(0.2mg/ml)および一塩基性リン酸ナトリウム塩(0.45mg/ml)の緩衝溶液(pH7.0±0.5)中のモノクローナル抗体3C4C7G6(1mg/ml)を含む。本発明にかかわる医薬組成物は、標的となる疾患、症状の重さおよび患者の特性を考慮した当業者により決定された投与量で投与される。たとえば、本発明の医薬組成物は、腫瘍の増殖および新生血管形成の停止または創傷治癒において最大限の利益をうるために局部的に適用されてもよい。しかしながら、全身への使用では、たとえば体重、年齢、疾患の進行、代謝およびそのほかの事項などの患者の特性に依存して異なった投与量が必要になる。さらなる態様は、先の記載を考慮した当業者には明らかであろう。したがって、本発明は以下の請求の範囲のみに限定されない。実施例15正常な脳、膠芽腫多形(glioblastoma multiforme)および黒色腫転移におけるTieの免疫組織化学的染色前もって処置をしていない大脳神経膠腫および頭蓋内髄膜腫(intracranial meningeomas)の新鮮なサンプルを、ヘルシンキ大学中央病院の神経外科部門での開放外科手術(open surgery)においてえた。すべての腫瘍患者はコルチコステロイドの投与を受けていた。非腫瘍性の対照の脳組織のサンプルを、難治性てんかんの手術においてえた。いくつかの腫瘍サンプルは隣接していた脳組織を含んでいた。すべてのサンプルは、手術による除去後なるべく早く液体窒素中で凍結し、−70℃で貯蔵した。組織病理学的診断は、隣接したホルムアルデヒド固定化腫瘍標本の慣例的に染色したパラフィン切片にもとづくだけでなく、ヘマトキシリン/エオシンで染色したクリオスタット切片にもとづいても行なった。サンプルの完全な一覧表を表3に示す。滅菌したスライドを、組織の接着を確実にするためにアセトン中の2% 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(テスパ(TESPA))に浸漬した。5μmクリオスタット切片を−20℃下で前処理したスライド上にのせ、4%パラホルムアルデヒドで固定し、ついで−70℃で貯蔵した。追加の2つの悪性神経膠腫サンプルだけでなく、インサイチュ(in situ)・ハイブリダイゼーション分析に用いるサンプル由来の5μmクリオスタット切片を、前記と同様にテスパスライド上にのせた。切片を37℃で一晩真空乾燥し、ヒトTieに対するマウスモノクローナル抗体(Tie細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体のカクテル)および内皮細胞に特異的なマーカーとして、ヒトのフォンビルブラント因子(vWF)に対するウサギ抗体(ダコパッツ(Dakopatts))を用い、免疫組織化学的に染色した。染色をマウスIgG用ベクタステイン・ABC・エリート・ビオチン/アビジン・システム(Vectastain ABC Elite biotin/avidin system for mouse IgG)(ベクター・ラボラトリーズ(Vector Laboratories)、ブルリンゲーム(Burlingame)、カリフォルニア(CA))を用いて行なった。乾燥し、固定していない組織切片中の内因性ペルオキシダーゼ活性を、メタノール中の0.5% H2O2を用いた30分間の処理によりブロックした。PBS洗浄後、切片を希釈したベクタステイン・ブロッキング血清(diluted Vectastain blocking serum)とともに20分間インキュベートし、ついで希釈していないTie抗体(1:1)とともに4℃で一晩、またはフォンビルブラント因子抗体(1:50)とともに室温で1時間インキュベートした。ビオチン化した第2の抗体を45分間かけて添加し、続いてベクタステインABC試薬を30分間かけて添加した。反応を0.2mg/ml 3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、0.03%H2O2、14mM酢酸および33mM酢酸ナトリウムを用いて可視化した。正常の血清および抗原をブロックする第1の抗体(antigen-blocked primary antibody)を対照として用いた。切片をヘマトキシリン中で穏やかに対比染色し、アクアマウント(Aquamount)中に置いた。正常皮質組織内の血管はTie蛋白質に対して陰性であった(図4)、他方、膠芽腫の脈管構造(B)およびGBMに隣接した組織の内皮(挿入図、B)においては濃い染色がみられた。また、Tie蛋白質は腫瘍に面する内皮細胞だけでなく(データは示さず)、黒色腫転移(C)中の血管に並ぶ内皮細胞においても検出された。非特異的染色は、抗原をブロックする抗体またはTie抗体の代りに正常血清とともに切片をインキュベートしたときにみられた。Tie染色の程度および特異性をさらに評価するために、隣接する切片を第VIII因子について染色した(D)。Tie染色の結果の要約を表4に示す。これらの結果は、腫瘍の進行をともなう血管形成におけるTIEの重要な役割を支持している。実施例16血管芽腫および血管周囲細胞腫におけるTie蛋白質の免疫組織化学的検出本研究において、我々は論争の的になっている(controversial)起源の2つの高度な血管性CNS腫瘍、すなわち毛細管の血管芽腫および血管周囲細胞腫における内皮細胞成長因子(endothelial growth factors)およびそれらの受容体の発現を分析した。血管芽腫および血管周囲細胞腫の新鮮なサンプルを、ヘルシンキ大学中央病院の神経外科での手術においてえた(すべての腫瘍患者はコルチコステロイドの投与を受けていた)。サンプルを手術による除去後直ちに急速冷凍(snap frozen)し、−70℃で貯蔵した。組織病理学的診断は、ヘマトキシリン/エオシンで染色したクリオスタット切片にもとづき、また隣接したホルムアルデヒド固定化腫瘍標本の慣例的に染色したパラフィン切片にもとづいて行なった。滅菌したスライドを、組織の接着を確実にするためにアセトン中の2% 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(テスパ)で処理した。5μmクリオスタット切片をスライド上にのせ、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定し、ついで−70℃で貯蔵した。インサイチュ・ハイブリダイゼーション分析に用いるサンプル由来の5μmクリオスタット切片を、前記と同様にテスパスライド上にのせた。切片を37℃で一晩真空乾燥し、ヒトTieに対するマウスモノクローナル抗体(Tie細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体、ユハ パルタネン(Juha Partanen)博士より提供された種類)ならびに内皮細胞に特異的なマーカーとしてのヒトのフォンビルブラント因子(vWF)およびCD34に対するウサギ抗体(ダコパッツ)を用い、免疫組織化学的に染色した(36)。染色をマウスIgG用ベクタステイン・ABC・エリート・ビオチン/アビジン・システム(ベクター・ラボラトリーズ、ブルリンゲーム、カリフォルニア)を用いて行なった。乾燥し、固定していない組織切片中の内因性ペルオキシダーゼ活性を、メタノール中の0.5% H2O2を用いた30分間の処理によりブロックした。PBS洗浄後、切片を希釈したベクタステイン・ブロッキング血清とともに20分間インキュベートし、ついで希釈していないTie抗体(1:1)とともに4℃で一晩、またはCD34/フォンビルブラント因子抗体(1:50)とともに室温下で1時間インキュベートした。ビオチン化した第2の抗体を45分間かけて添加し、続いてベクタステイン・ABC試薬を30分間かけて添加した。反応を0.2mg/ml 3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、0.03% H2O2、14mM酢酸および33mMの酢酸ナトリウムを用いて可視化した。正常の血清および抗原をブロックする第1の抗体を対照として用いた。切片をヘマトキシリン中で穏やかに対比染色し、アクアマウント中に置いた。Tie蛋白質の強い発現は、血管芽腫(図4、A、B)および程度は低くなるが血管周囲細胞腫(C〜F)の両方における血管内壁に沿ってみられた。Tie蛋白質のレベルは、腫瘍組織内で実質上変化した。たとえば、ゆるやかな構造の(loosely textured)血管周囲細胞腫領域(E、F)では高く、より典型的な腫瘍サンプル(C、D)では低かった。しかしながら、総体的な発現は以前分析した正常な皮質標本(23)においてみられた発現よりもかなり高かった。vWF免疫染色(B、D、F)と比較して、Tieは血管周囲細胞腫の腫瘍細胞(C〜F)では発現しなかった。これらの結果は、Tieはこれら2種類の血管腫瘍における脈管形成において役割をはたしているかもしれないという仮説と一致する。実施例17マウスのルイス肺癌モデルにおけるインビボでの抗Tie抗体の取り込み我々は、悪性成長(malignant growth)の検出における抗Tieモノクローナル抗体使用の可能性を決定するために、マウスの主要臓器および肺転移(lung metastases)における放射性同位体で標識された(125I)抗TIEモノクローナル抗体(10F11G6および3C4C7G6)の取り込みを研究した。抗体の放射性同位体による標識を以下のように行なった。抗体40μgを、クロラミンT法を用い37MBq Na−125Iで標識した(前記グリーンウッドら、1963年)。標識された抗体をセファデックス−G25(Sephadex-G25)を用いて精製し、主画分1.8mlをえた。インビボでの生体内分布の研究の前に、3種の放射性同位体で標識された抗体(3c4、10F11、7E8)の親和性を細胞分析において比較した(リンドモ(Lindomo)、ヌクル・メド(Nucl Med)、第21巻、807〜810頁(1984年))。すべての抗体は、細胞外表面上に受容体Tieを発現しているトランスフェクトされたマウス内皮細胞であるLE GD 14−2細胞に特異的に結合するが、10F11の結合はそのほかのものよりも3倍高かった(21pmol/100000cellsに対して6〜7pmol/100000cells)。肺癌の実験において、我々は、動物一匹当り1〜10Mcells/0.25mlを右脚に筋肉内注射して増殖させたルイス肺癌(LLC1/2)異種移植片を有する6〜8週令の雌マウス(C57BI/6、ボムホルトガード(Bomholtgaard)、デンマーク王国)を使用した。マウスの甲状腺遮断(thyroid blockade)を、放射性同位体で標識した抗体の注射1日前に開始し、適宜KI溶液(400mg/100ml)を用いて実験中続けた。125I抗Tie抗体の生体内分布を、20mM PBS中の抗体30ngの静脈注射後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後および120時間後に調べた。ルイス肺癌の肺転移(lung metastases)を有する動物14匹を、抗体10F11を用い、24時間後に1匹、48時間後に3匹、72時間後に3匹、96時間後に3匹、7日後に4匹調べた(図6参照)。肺転移は、24時間後、48時間後および120時間後の3匹においてのみ、抗体3c4とともに存在した(図7参照)。3c4は、48時間後の肺における転移への結合を示していない(組織対血液(tissue-to-blood)=0.07)が、96時間後においては、3C4C7G6および10F11G6はともにルイス肺癌モデルの転移に結合し、組織対血液の割合はそれぞれ2.4および2.8である。肺転移における抗体3c4および抗体10F11の取り込みは類似しており、両抗体ともにインビボで転移に結合した。しかし、10F11はより強く血清に結合した。すなわち、48時間後において10F11は20%ID/gに対し、3c4は10%ID/gであった。実施例18IRMA分析による血清サンプルの分析非癌患者および癌患者の血清サンプルを、サンドイッチ型のイムノラジオメトリック分析法(immunoradiometric assay)(マイルス エル(Miles L.)ら、ネイチャー(Nature)、第219巻、186〜189ページ(1968年))を用いて選別(screened)した。前記分析方法では捕捉(catching)抗TIE抗体がポリスチレンチューブ中に被覆されており、第2の抗TIE抗体が前記クロラミンT法を用いて125Iで放射性標識されている。組み換えTIE蛋白質を、血清サンプル中の抗原濃度推定のための標準調製物として使用した。適用した粗標準調製物(bulk standard preparation)の濃度を、280nmでの吸光度を用いて測定した。一連の抗原希釈物を標準曲線をうるために使用した。tie抗原濃度は0、18、36、72、144、720および3600μg/lであった。被覆された抗体/標識された抗体の4つの異なる対の標準曲線を図9に示す。乳癌、卵巣癌および異なる種類の肺癌患者の血清サンプルを、非癌患者の血清サンプルと同様に前記方法を用いて選別した。肺で成長する新しい転移を有する患者は、この分析法において高い値を示した。安定した疾患にかかっている患者は、非癌患者と比べて類似した値を示した。20名の非癌患者および新たに新しい転移を有する3名の癌患者の血清中において検出された抗原濃度を図10に示す。SCLCを有する患者から6つのサンプルをえ、各サンプルは1〜2カ月の間隔があり、卵巣癌および骨盤転移を有する患者から5つのサンプルをえた。乳癌および新しい肺転移を有する患者からは2つのサンプルをえた。図10において使用した被覆された抗体/標識された抗体の対は、標準曲線によればより良好な感度を有した3C4C7G6/10F11G6であった(>5μg/l)。 受容体チロシンキナーゼであるTieに対するモノクローナル抗体であって、該抗体がDSM受託番号ACC2159として寄託されているハイブリドーマ細胞系によって産生された抗Tieモノクローナル抗体3C4C7G6である抗体。 請求の範囲第1項記載のモノクローナル抗体を産生する、DSM受託番号ACC2159として寄託されているハイブリドーマ細胞系。 検出しうるように標識した請求の範囲第1項記載のモノクローナル抗体。 検出しうる標識が放射性同位体、蛍光色素、色素、酵素およびビオチンからなる群より選ばれる請求の範囲第3項記載の検出しうるように標識したモノクローナル抗体。 請求の範囲第1項記載のモノクローナル抗体のマウスのL鎖およびH鎖の相補性決定領域がヒトの可変領域と融合され、かつ該マウスの相補性決定領域のコンホメーションが保存されているヒト化モノクローナル抗体。 細胞傷害剤、細胞増殖抑制薬および糖タンパク質からなる群の1つと接合した請求の範囲第1項記載のモノクローナル抗体。 細胞傷害剤、細胞増殖抑制薬および糖タンパク質からなる群の1つと接合した請求の範囲第5項記載のヒト化モノクローナル抗体。 生物学的サンプル中のTieを検出する方法であって、a)Tieを含んでいる疑いのあるサンプルを、検出しうるように標識した請求の範囲第1項記載のモノクローナル抗体にさらす工程、b)該サンプルを洗浄する工程、およびc)該サンプル中の該検出しうるように標識した抗体の存在を検出する工程からなる方法。 生物学的サンプルが血液細胞または組織細胞を含む溶液および固体組織標本からなる群より選ばれる請求の範囲第8項記載の方法。 細胞が白血病細胞および骨髄細胞からなる群より選ばれる請求の範囲第9項記載の方法。 生物学的サンプルが内皮細胞の増殖によって特徴づけられる疾患を有する疑いのある患者から採取された組織サンプルである請求の範囲第8項記載の方法。 疾患が白血病などの腫瘍性疾患または腫瘍脈管形成を含む疾患、創傷治癒、血栓塞栓性疾患、アテローム性動脈硬化症および炎症性疾患からなる群より選ばれる請求の範囲第11項記載の方法。 疾患が巨核芽球性白血球、神経膠腫、髄膜腫、転移性黒色腫、血管芽腫および血管周囲細胞腫からなる群より選ばれる請求の範囲第12項記載の方法。 検出しうるように標識した請求の範囲第1項記載のモノクローナル抗体からなる生物中の新生血管形成を映像化するための試薬。 標識した抗体がテクネチウム99mで標識されている請求の範囲第14項記載の試薬。 検出が、ガンマカメラによって、または単一光子発光コンピュータ連動断層撮影法(SPECT)を用いて行なわれる請求の範囲第14項または第15項記載の試薬。 検出工程がサンドイッチ型分析方法によって行なわれる請求の範囲第8項記載の方法。