タイトル: | 特許公報(B2)_緻密にした核酸および細胞へのデリバリ |
出願番号: | 1995524826 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 48/00,A61P 3/06,A61P 7/04,A61P 43/00,C12N 15/09 |
ハンソン,リチャード,ダブリュ ペラルス,ジョセフ,シー フェルコル,トーマス,ダブリュ,ジュニア JP 4285766 特許公報(B2) 20090403 1995524826 19950323 緻密にした核酸および細胞へのデリバリ オハイオ ユニバーシティ 504376588 ケース ウェスタン リザーブ ユニバーシティ 500429332 CASE WESTERN RESERVE UNIVERSITY 舟橋 榮子 100083714 ハンソン,リチャード,ダブリュ ペラルス,ジョセフ,シー フェルコル,トーマス,ダブリュ,ジュニア US 08/216,534 19940323 20090624 A61K 48/00 20060101AFI20090604BHJP A61P 3/06 20060101ALI20090604BHJP A61P 7/04 20060101ALI20090604BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090604BHJP C12N 15/09 20060101ALI20090604BHJP JPA61K48/00A61P3/06A61P7/04A61P43/00C12N15/00 A C12N1/00-C12N15/90 国際公開第94/05624(WO,A1) 国際公開第93/07283(WO,A1) Somatic Cell and Molecular Genetics, 18(6), p559−569, 1992 Biochemistry, 32, p7143−7151, 1993 11 US1995003677 19950323 WO1995025809 19950928 1998503469 19980331 67 20011210 2004020786 20041007 鵜飼 健 平田 和男 鈴木 恵理子 本発明は現在係属中の1994年3月23日に出願された米国特許出願第08/216,534号の一部継続出願である。発明の背景発明の技術分野本発明は核酸の緻密化および緻密にした外来性の核酸を多細胞の生物体の細胞に、インヴィヴォでデリバリすることに関するものである。背景技術の説明機能外来性遺伝子は、インヴィトロでトランスフェクション、直接ミクロ注入、電気窄孔法、およびリン酸カルシウムとの共沈を含む種々の物理的方法によって哺乳類の細胞に導入することができる。しかし、これらの技術の大部分は無傷の動物内の細胞に遺伝子をデリバリするためには非実用的である。インヴィヴォでの受容体依存性の緻密化していないDNAのデリバリ。受容体媒介遺伝子導入はトランス遺伝子を適当な受容体細胞に導入する際にインヴィヴォおよびインヴィトロで成功することが示された。この方法は、関係する組織の表面の特定の受容体を標的にするように選択される共有結合したリガンドを含むポリカチオン蛋白質(通常ポリ−L−リシン)に、DNAを結合することを含む。遺伝子は組織によって集められ、細胞核に移送され、時間を変えて発現される。標的組織のトランス遺伝子の発現の全体のレベルは幾つかの因子に依存する:DNAキャリヤ複合体の安定性、標的細胞の表面の特異的受容体の存在と数、受容体−キャリヤリガンドの相互作用、エンドサイトーシスおよび複合体の細胞核への移送、および標的細胞の核中の遺伝子転写の有効性である。ウらは、USP 5,166,320に、ポリ核酸結合剤(例えばポリリシン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ヒストン、アビジン、またはプロタミン)および組織受容体特異的蛋白質リガンドの共役体を使用するDNAの組織特異的デリバリを開示している。肝臓細胞を標的にするために、ウは「アシアロ糖蛋白質(ガラクトース末端)リガンド」を示唆している。これらは、適当な糖蛋白質の脱シアル化によって、またはラクトースを非ガラクトース挙動蛋白質に結合することによって形成することができると、ウは言っている。ポリ核酸と共役体のモル比は、1:10ないし10:1さらに」般的には1:5ないし5:1、さらに好ましくは1:2ないし3:1の範囲である。ウらによって記述されていないが、われわれの手元には、ウの方法は少なくとも80nmの直径をもつ構造体が得られている。ロウらは、USP 5,108,921に、受容体依存性エンドサイトーシスを使用して細胞を形質転換するためDNAにビオチンを結合することを開示している。ストンプらは、USP 5,122,466に、そしてマックケーブらは、USP 5,120,657に、物質にポリリシンを共役結合し、次にDNAをそれに複合させることにより、DNAを金属ペレットに結合することを開示している。得られた生成物は次に細胞の弾道形質転換に使用される。参照ストンプら、7欄、29〜37行目およびマックケーブら、7欄、49〜65行目。ワグナーらは、Proc.Natl.Acad.Sci.,88:4255-4259(1991)に、受容体媒介エンドサイトーシスを介して細胞にDNAをデリバリするためトランスフェリン−ポリリシン結合体とDNAを複合化することを開示している。ワグナーらは、80-100nmの直径のドーナツ形の構造体にプラスミドDNAを緻密にするように混合物中にポリカチオンが十分にあることが重要であると教示し、エンドサイトーシスの発生を容易にすると彼等は推測している。ワグナーらは、一層小さい直径の構造体を得る価値については認識してなく、またさらなる緻密化を得る方法を教示していない。ワグナーらの構造体は多分子コンプレックスであり、これはマクロファージ食作用に一層無防備であり、標的組織による取り込みにあまり敏感に反応しないという欠点をもつ。裸の緻密化していないDNAの直接の注入。裸のDNAを動物組織に直接注入することによって遺伝子発現を検出する可能性は、最初ドベンスキらによって、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,81:7529-33(1984)に示され、マウスの肝臓または脾臓に注入したウイルスまたはプラスミドのDNAは検出できるレベルで発現されたことを示した。このDNAはリン酸カルシウムを使用して沈澱させ、ヒアルロニダーゼおよびコラゲナーゼと一緒に注入された。トランスフェクションした遺伝子は宿主動物の肝臓中に複製することが示された。ベンベニスティおよびレシェフは、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,83:9551-55(1986)に、リン酸カルシウム沈澱DNAを新生児のラットに腹腔内に注入し、トランスフェクション48時間後、動物の肝臓中の遺伝子発現に注目した。1990年に、ウォルフらは、Science,247:1456-68(1990)に、DNAまたはRNA発現ベクターをマウスの筋肉に直接注入すると2ヶ月までの期間、遺伝子の発現を検出できることを報告した。この技法はアスカジら、New Biologist,3:71-81(1991)によって拡張され、裸のDNAをラットの心臓に直接注入し、注入した遺伝子は動物の心臓中に25日まで発現された。ジストロフィンのための遺伝子を含む他の遺伝子は、この技法を使用してマウスの筋肉に注入された。この方法は、標的組織に直接注入することによる遺伝子の投与によって動物に免疫反応を生成させるための幅広いアプローチの土台を形成している。遺伝子は、一時的に発現され、特定の抗原を生成する(参照、ドネリーら、The Immunologist,21,20-26(1994)最近の概説)。しかし、これらの実験に使用されるDNAは、細胞内での生存、細胞核への取り込み、または標的細胞の核中の転写の割合を改善するように改質されあるいは緻密にされていなかった。溶液中のDNAの挙動。リン酸塩の中心軸が負に高帯電された性質によって、DNAは溶液中で棒状の分子であり、その基本構造はヘリックスと結合した水和殻の修飾によって摂動することができる。この摂動は、二つの方法でもたらされる;第一に、DNA分子の荷電中性化度の変化が、広範囲な緻密化となり、緻密構造の形でDNA相を結局分離する(沈澱)、そして第二に、DNAヘリックスの比誘電率の変化が緻密構造を形成することになる。これらの摂動はDNA分子のコンホメーションを変化させて、曲げて緻密になる可撓性ポリマーを可能にし、DNA分子の流体力学の性質を著しく変えることになる。得られた構造はDNAが比較的高等な真核生物中の染色体あるいはウイルスキャプシドの内側で呈する性質に似た性質であると考えられている。比較的高等な真核生物の核中のDNAは、リシンおよびアルギニン(ヒストン類)またはアルギニン(プロタミン類)が多く含まれている塩基性の核蛋白質(すなわち、ヒストン類およびプロタミン類)と完全に結合する。これらの塩基性蛋白質とDNAのコンプレックスは、染色体形成の際に生じるDNA緻密化をコントロールするために反応し、遺伝子発現の制御に一役を担うと考えられる。ウイルス、バクテリアおよび真核生物の細胞核中に生理学的に生じるDNA緻密化は、実験室で再現することは非常に困難である。理論的には、DNAの中心軸の高く負に荷電した性質によって、DNAの荷電を中性化するような変化は広範囲な緻密化をもたらし、結局、緻密構造の形でDNA相を分離する(沈澱)。しかし、DNA−ポリカチオンコンプレックスの溶液中での振舞はDNAとポリカチオン蛋白質とのコンプレックス形成のための方法に依存する。核蛋白質コンプレックス形成のためのモデルとしてカチオンのホモポリペプチドを使用するオリンズ、オリンズおよびフォン・ヒップルによる研究は(J.Mol.Bio.24,157-176,1967)、溶液中で両成分をアニーリングした後に、カチオンのポリペプチド(ポリ−L−リシン、ポリ−L−アルギニンおよびポリ−L−オルニチン)とDNAの特定のコンプレックスの生成のための証拠を示した。この方法は2Mないし0.010MのNaCl濃度からステップダウン透析を含んでいた。この研究でいくつかのコメントをすることができる。先ず、ポリカチオンをDNAに添加して形成されたコンプレックスの熱変性は、研究した各ケースで生じたDNAにポリカチオンを結合し、DNAの二本鎖構造を安定にする。このシステムは、比誘電率の変化(すなわち、アルコール脱水)が、DNAの熱変性特性の変化がないDNA崩壊となるものとは異なることに注目することが重要である。第二に、分光光度計による研究は、260nmでの最大吸収が、300nm(ポリカチオンもDNAも何ら吸収を示さない領域)よりも大きい波長で濁度が連続して増加する赤色に僅かにシフトすることを示した。これらの特性は、DNAとポリペプチドとの間の相互作用によって生じる可能性がある、コンホメーションの小さい変化が変則の吸収スペクトルによって検出されたことを示していると考えられた。第三に、塩基性ポリペプチドをDNAに添加して形成されたコンプレックスは、分子凝集となり、沈澱物を生成することになる。旋光分散および偏光二色性は、塩基性ホモポリペプチドおよびDNA間の溶液中での相互作用の研究に応用された。シャピロ、レングおよびフェルセンフェルド(Biochemistry,8:3219-3232,1969)は、旋光性を試験してDNAコンプレックスの形成と関連した二次構造の変化を、ステップダウン塩透析における両成分をアニーリングするものとは基本的に異なるDNAにポリリシンをコンプレックスするためのプロトコルを用いて、解明させた。彼等は直接ポリリシンとDNAを高塩溶媒(1M NaCl)中に混合し、「可溶性」コンプレックスを形成させた。高度の濁度は溶液中のコンプレックスと関連し、成分の凝集を示す。偏光二色スペクトルが320ないし360nmの範囲の波長で漸近的にベースラインに達するので、凝集はコンプレックスの旋光性を決定するために使用した。異常なスペクトルは常に濁度と関連していた。われわれは、光学活性の変化が凝集の際の高次の分子コンプレックスの形成から生じると推論した。上述の実験条件下で得られたDNAコンプレックスは、約5000から10000単位の間で変化する半沈降係数をもつ。平均粒子は直径340nmであり、(光散乱によって与えられる情報を使用して計算した)そして粒子は平均乾燥質量が約70核酸/ポリペプチド分子単位に相当していた。これらの研究によって提供される情報は、完全に量的ではないが、DNAが塩基性ポリペプチドに結合した後に受ける構造の変化を表す。溶液におけるDNA−ポリベースコンプレックスの構造の幾つかの局面が研究された(ハイネス、ギャレットおよびグラツェル,Biochemistry,9:4410-4416,1970)。電子顕微鏡によってシャピロらによって記述されたコンプレックスの規則正しい性質を確認された;DNA構造体は外形が300nmのドーナツ状のトロイドとして形成していた。DNAポリ塩基コンプレックスのC.D.および電子顕微鏡の特徴は、一本鎖ポリヌクレオチド−ポリベースコンプレックス、すなわち、rRNA、ポリ(A)、ポリ(U)等)が異常な光学活性を示さないので、ワトソン・クリックDNAヘリックスにある構造因子に対応していることである。また、規則正しい構造は電子顕微鏡で検出することができる。基本傾斜および/またはヘリックスピッチの変化が、コンプレックス中に観察することができるかどうか明らかにするために、コンプレックスのX線回折パターンが決定された。二重ヘリックスは水溶液中の遊離DNAに対し得られる通常B形である;DNAのCまたはA形に対しては明確なトランジションは見られず、DNAが溶液中の塩基性ポリペプチドに入り込む際に異なる構造形が存在することを示唆している。また塩濃度が減少するときDNA−ポリリシンコンプレックス中のカウンターイオンが連続的に置換することにより示されるように、電荷が直接ペアになるDNA−ポリメラーゼコンプレックスの結合もある。従って塩基と荷電したアミノ基との間の強い相互作用はいずれも全く有りそうにない。従って、溶液中のDNAの異常な回転力はキラルパッキングから生じ、この種の現象は同じ平面内の分子の非対称のパッキングに大きい周期性が現れることと関連している。レルマンらは、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,68:1986-90(1971)に、ファージDNAの希釈溶液を十分に高い濃度の単一の中性のポリマー(ポリエチレンオキシド)を高NaCl(細胞内の環境に似せた)の存在下に混合すると、ファージDNA分子はファージ頭部の緻密な中身に近づく粒子に崩壊する。DNAコンプレックスの構造はゴスルおよびシェルマンによって決定された(Nature 259:333-335,1976)。彼等の発表とさらに詳細な報告(Gosule,L.,Chattoraj.D.K.,and Schellman.J.,Advances in Polyamine Research 1:201-215,1978)は、塩基性ポリペプチド(スペルミンおよびスペルミジン)によるDNAのコンパクション(非常に希釈した溶液中)は、最初にLi,Biopolymers,12:287(1973)によって記載された条件下に、トロイド構造で得られた。ゴスルおよびシェルマンによって生成されたコンプレックスは最大半径が約50nmに詰められたファージDNAの単一DNA単位からなる単分子構造をもっていた。著者らはポリアミンはバクテリア細胞に存在することが知られていると記している。またDNAコンパクションはLaemmli,PNAS 72:4288-92(1975)およびPost and Zimm,Biopolymers,21:2123-32(1982)によって議論されている。この明細書中で引用した全参照文献はここに参照文献として組み込まれる。いずれの参照文献も従来技術を構成している。参照文献の議論は引用した文書が正確で適切であることを吟味する権利を保有する。発明の概要本発明は、実質的に凝集しないで、核酸を緻密にするための方法、およびこの緻密にしたDNAの治療用途に関するものである。緻密な核酸は生体細胞の膜、特に多細胞の生物体中の細胞を通って有効にデリバリすることができる。小さい粒子に圧縮されたDNAは核の細孔を通る核輸送に一層適しており、ヌクレアーゼから保護することができる。核酸が発現できる遺伝子を含むとき、この遺伝子は細胞中で発現することができる。幾つかの環境では、組織特異的キャリヤ分子は、核酸結合部分と標的組織結合部分をもつ二機能の分子が調製される。次に核酸を、臨界塩濃度でキャリヤ分子を用いて高濃度に緻密にする。核酸を装填したキャリヤ分子は、次に生物体に投与する。核キャリヤ分子は単一の核酸分子をもつ。他の好適例では、標的組織結合キャリヤ分子を使用しない。しかし、核酸はさらに、核酸と溶媒の間の相互作用を減らす核酸結合部分からなるキャリヤ分子とコンプレックスを形成して緻密にする。緻密になったコンプレックスは生物体に投与する。後記の請求の範囲は、ここに本発明の好適例の詳説としてこの記述の中に引用して組み込まれる。【図面の簡単な説明】図1−ガラクトース−ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの物理的特徴図1Aは溶液中の通常のDNA、およびある一定のポリ−L−リシン/DNAコンプレックスとを関連させたCDスペクトルを示す。60ミクログラムのRNAフリーCMV−β−ガラクトシダーゼプラスミド(TE緩衝液に溶解、pH8)と150μlの700mM NaClを中間速度でVIBRAX装置(IKA-VIBRAX-VXR)中で渦巻状に混合した。150μlの700mM NaCl中の19ミクログラムのα−ガラクトピラノシル−フェニルイソチオシアネート/ポリ−L−リシン二共役体を渦巻状に混合しているDNA溶液に滴加した。ポリカチオンをゆっくりと加えると、濁った溶液を形成し、これを3μlのアリコートの5M NaClを徐々に一滴ずつ添加して溶解する。濁りが消えたことは目でモニターし、DNA/ポリ−L−リシンコンプレックスの溶液をCDによって調べた。この点で(0.97M NaCl)、CDスペクトルは凝集DNAの特徴があった。さらに2μlのアリコートの5M NaCl(1.031M NaClの濃度になる)を添加すると、凝縮した(または弛緩した)DNAコンプレックスに予期されるCDスペクトルが生じた。1M NaClでコンプレックスしていない二本鎖でのスペクトルも得られた。スペクトルは0.1cmのキュベットを備えたJASCO-600分光偏光計を使用して得られた。緩衝液のスペクトルをケース毎に減じた。図1B−1Gは電子顕微鏡写真(EM)である。1B−1D、1Fおよび1Gは300,000Xで取った。1Dの棒線は33.3nmを示す。図1Eは600,000xで取った。棒線は16.6nmの長さである。酢酸ウラニル染色は従来技術として記載されているように行った(Enneverら、Biochem.Biophys.Acta,826:67(1985))。簡単には、染色の前にグリッドにグロー放電した。DNA溶液を一滴グリッドに添加し、0.04%の酢酸ウラニルを使用してブロットして染色した。図1B−1Fに示したEM研究のため、60μgのPEPCK-hFIXプラスミドDNA(TE緩衝液に溶解、pH8)を、150μlの700mM NaCl中で中間速度でVIBRAX装置(IKA-VIBRAX-VXR)中で渦巻状に混合した。150μlの700mM NaCl中の19ミクログラムのα−ガラクトピラノシル−フェニルイソチオシアネート/ポリ−L−リシン二共役体を渦巻状に混合しているDNA溶液に滴加した。ポリカチオンをゆっくりと加えると、濁った溶液を形成し、これを3μlのアリコートの5M NaClを徐々に一滴ずつ添加して溶解する。濁りが消えたことは目でモニターし、DNA/ポリ−L−リシンコンプレックスの溶液をEM(図1C)によって調べた。さらに2μlのアリコートの5M NaClを添加すると、図1Dおよび1Eに示されるような構造の変化となった。図1Bは非コンプレックスDNA(1M NaClで1μg/ml)のEMである。図1CはNaClの最適状態に及ばない濃度(760mM)でのDNAコンプレックスを示す。このDNAは凝集した状態にある;単一分子トロイドのクラスターが見られる。図1DではDNAコンプレックスは問題のコンプレックスに対し最適濃度のNaClにある(968mM)。DNAはほど良く凝集されている;各トロイドのみが見られる。図1Eについては、図1DからのDNAの4個のコンプレックスが選択されさらに高い倍率でプリントされた。図1Fでは、このコンプレックスの凝縮として最適より高い1.068M NaClの濃度でDNAコンプレックスが見られる。DNAは弛緩した状態にある。核の凝縮が見える分枝単分子トロイドと棒状DNAファイバに注目。上記実験の凝集、凝縮、および弛緩状態に必要なNaClの濃度の差異はDNAまたはポリカチオン特異的差異を示す。第三の実験では、CMV−β−ガラクトシダーゼおよびガラクトシル化ポリ−L−リシンのコンプレックスが基本的にウらのように生成された。簡単に述べると、プラスミドDNAおよびガラクトシル化ポリ−L−リシンを3M NaClで合わせた。試料を1時間室温でインキュベーションして、次に3,500ダルトン分子量制限の膜を通して16時間0.15NaClで透析した。視覚検査では、透析液には沈澱物は存在しなかった。図1Gは、得られたDNAコンプレックスの電子顕微鏡写真であり、多分子凝集状態にある。ここではトロイドが1Cまたは1Dよりも大きいことが注目される(スケールは同じである)。図1Hは非コンプレックスDNAおよび凝集した多分子DNA/ポリ−L−リシンコンプレックスに対する240ないし300nmのCDスペクトルを示し、通常のDNAのスペクトル最大の転化を269nmで強調するようにした。この転化は多分子凝集の特徴である。他の実験では、150μlの200mM NaCl中、60ミクログラムのPEPCK-hFIXプラスミドDNA(TE緩衝液に溶解、pH8)を150μlの700mM NaCl中で中間速度でVIBRAX装置(IKA-VIBRAX-VXR)中で渦巻状に混合した。150μlの200mM NaCl中の19ミクログラムのα−ガラクトピラノシル−フェニルイソチオシアネート/ポリ−L−リシン二共役体を、渦巻状に混合しているDNA溶液に滴加した。ポリカチオンの添加は視覚による検査で沈澱物を生成させた。図1Iは沈澱したDNAコンプレックスにより与えられるCDスペクトルである。本質的に240ないし300nmで平らである。図1Jは沈澱したDNAの電子顕微鏡写真である。図2−遺伝子導入系の機能関連および特異性。(A)DNAコンプレックスで処理した動物の血液のヒト因子IXの相対濃度はヒト因子IXの凝血促進活性を測定して評価した。1ステージの変更例には、因子IX−不完全ヒト血漿を用いてカオリン活性化部分的トロンボプラスチン時間を使用した。血液試料は静脈穿刺によって実験動物から得た。50分の1容量の500mMクエン酸ナトリウム、pH5.0を凝集を避けるために添加し、血漿を−20℃で貯蔵した。試料を二重にアッセイして、それらの活性を24人の正常成人男子からのプールした血漿の機能活性と比較した。全計算で、1mlの正常ヒト血漿の1単位の因子IX活性は、100%機能活性またはml当たり約3μgの因子IXと等しい。ラット血漿のもとからのヒト因子IX活性は、グラフで表す前に控除した。(B)トランスフェクションした動物に1週間炭水化物を含まない高蛋白質食餌を与えた。血液試料を治療の開始時および食餌の1週間後に取りウェスタンブロットハイブリッド形成によって分析した。8日および12日の動物を標準食餌を与えたトランスフェクションしたラットと比較した。データは、ウェスタンブロット写真フィルムの濃度分析によって得られ、食餌治療後にヒト因子IX蛋白質が数倍増加していた。図3−インヴィヴォのマクロファージにDNAを標的にする際のマンノシル化DNAコンプレックスの組織特異性。マンノシル化ポリ−L−リシンをSV40/ルシフェラーゼDNAに結合させた。300μgのDNAコンプレックスをラットの尾部大静脈に入れた。注入4日後に組織抽出物を作り、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。ルシフェラーゼ活性は、脾臓、肝臓および肺嚢からの蛋白質抽出物ミリグラム当たりの集積光単位としてプロットした。他の組織では活性は見られなかった。データーは平均値の±標準誤差(SEM)として表した。明るい棒線は非トランスフクションコントロール(n=4)であり、黒い棒線はマンノシル化ポリ−L−リシン/DNAコンプレックス(n=5)でトランスフェクションした動物である。図4−インヴィトロでマクロファージの一次培養にDNA標的とする際のマンノシル化DNAコンプレックスの特異性。腹膜マクロファージの一次培養物に、SV40/ルシフェラーゼDNAに結合したマンノシル化ポリ−L−リシン(黒い棒線)またはガラクトシル化ポリ−L−リシン(明るい棒線)でトランスフェクションした。指示した時間(2,4,8および24時間)に、細胞を洗浄した。トランスフェクション24時間後に、細胞を取りルシフェラーゼ活性をアッセイした。ルシフェラーゼ活性を、非トランスフェクションコントロールに見られる活性によって標準化した後、相対ルシフェラーゼ活性としてプロットした。データーは平均値の±標準誤差(SEM)として表した。図5−マクロファージのマンノース受容体に結合するためのマンノシル化ウシ血清アルブミンおよびマンノシル化DNAコンプレックスとの間の拮抗。腹膜マクロファージの一次培養物に、SV40/ルシフェラーゼDNAに結合したマンノシル化ポリ−L−リシンでトランスフェクションした(T)。DNAコンプレックスを添加する前に、100倍過剰のマンノシル化ウシ血清アルブミンを一組のプレートに添加した(Tc)。非トランスフェクションコントロール(NT)もまたトランスフェクション24時間後にルシフェラーゼ活性をアッセイした。ルシフェラーゼ活性は、非トランスフェクションコントロールに見られる活性に関して標準化した後、相対ルシフェラーゼ活性としてプロットした。データーは平均値の±標準誤差(SEM)として表した。図6−DNAコンプレックスに結合した抗ラットPlg-R Fab-ポリ−L−リシンを使用するインヴィヴォ遺伝子転移。Fab-ポリ−L−リシンを、SV40/ルシフェラーゼDNAに結合させ、ラットの尾部大静脈に入れた(トランスフェクションした)(n=3)。非トランスフェクションコントロール(コントロール)(n=3)、無関係なIgFから得られたFab断片を含むFab-ポリ−L−リシン−DNAを注入した動物(IFab)(n=3)、およびSV40/ルシフェラーゼ遺伝子を含まないDNAコンプレックスを注射した動物(IDNA)(n=3)を、コントロールとした。注射2日後組織抽出物を調製し、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。ルシフェラーゼ活性は蛋白質抽出物ミリグラム当たりの集積光単位としてプロットした。データーは平均値の±標準誤差(SEM)として表した。図7−DNAコンプレックスに結合した抗ラットplg-R Fab-ポリ−L−リシンを使用して注入した動物の脾臓および肝臓における発現の時間経過。Fab-ポリ−L−リシンを、SV40/ルシフェラーゼDNAに結合し、ラットの尾部大静脈に入れた(n=9)。注入2日(n=3)、4日(n=3)および6日(n=3)後にラットを殺した。脾臓および肝臓抽出物を調製し、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。ルシフェラーゼ活性を、対数目盛を使用して蛋白質抽出物ミリグラム当たりの集積光単位としてプロットした。データーは平均値の±標準誤差(SEM)として表した。図8−HepG2細胞のASGP受容体に結合するためのアシアロオロソムコイドおよびガラクトシル化DNAコンプレックスとの間の拮抗。HepG2ヘプトーマ細胞に、PEPCK-hFIX DNAに結合したガラクトシル化ポリ−L−リシンをトランスフェクションした。DNAコンプレックスを添加する前に、100倍過剰のアシアロオロソムコイドを一組のプレートに添加した(+Comp.)。DNAインターナリゼーションを、DNAコンプレックスを含む培養基のスロット−ブロットハイブリッド形成によってモニターした。データーは、トランスフェクション後の異なる時間での受容体によりインターナリゼーションしたDNAのパーセンテージで表した。図9−裸のDNA対凝縮DNAを筋肉および肝臓に直接注入。SV40−ルシフェラーゼを符号化する裸のDNA 100ミクログラムを、2匹のラットの肝臓および腹部筋肉に注入した。ポリ−L−リシンに結合し実施例1に記載したように凝縮したpSV40-ルシフェラーゼプラスミドを同量、他の2匹の動物の肝臓および腹部筋肉に同様に注入した。注入48時間後ラットを殺した。一変の肝臓および腹部筋肉を溶菌緩衝液に均質化し、細胞溶菌液をルシフェラーゼ活性について分析した。全ルシフェラーゼ測定は、3回行い、平均値として表し、全蛋白質に対して標定した。図9は異なる二組の動物の蛋白質mg当たりの積算したルシフェラーゼ単位を示す。図10−裸のDNA対凝縮したDNAを脳視蓋へ直接注入。裸およびポリ−L−リシン凝縮プラスミドDNAの視蓋内注入は20日を超えるニューロンの細胞体で高水準の発現を得ることができる。ラットからの網膜のβ−ガラクトシダーゼ活性物をラットの脳の視蓋領域に注入し、裸のpCMV-lacZ、または凝縮pCMV-lacZ(pCMV-lacZ+lys)を示された濃度で投与した。DNAがポリ−L−リシンで凝縮しないとき、発現の水準は次の注入10日後にバックグラウンドに戻る。図11−凝縮工程中のDNAコンプレックスの吸収の変化。実施例1に詳細に記載した方法を使用して、キメラのCMV-hLDL受容体遺伝子を含むプラスミドをポリ−L−リシンで凝縮した。ポリ−L−リシンを添加した後、260nmでの溶液の吸光度を測定した。濃縮したNaClを次に徐々に添加し吸光度を測定した。コンプレックスに含まれるDNAに期待される吸光度を点線で示した。凝縮反応に使用される初期NaCl濃度は500mMであった。図12−成人ラットのDNAコンプレックスとその機能との間の関係。図1B−1Gに示される種々の状態の凝縮/凝集に相当するDNA−ガラクトシル化ポリ−L−リシンコンプレックスを調製した。SV40プロモーターから成るDNAはP.pyralisルシフェラーゼ遺伝子について構造遺伝子に結合した。ラットの尾部大静脈に300μgの種々のDNAコンプレックスを注入し、注入48時間後に肝臓お脾臓からの抽出物におけるルシフェラーゼの活性を測定した。各棒線は3匹のラットの平均±SEMを示す;コントロールラットはDNAコンプレックスを注入しなかった。図13−弛緩した(コンプレックスしていない)形と凝縮した形における3mgのPEPCK-hLDLrの導入。DNAコンプレックスを動物に導入するため、ラビットの末端耳静脈に3〜10mlのDNAコンプレックス溶液(〜400-900mM NaCl)を1回注入した。約1.5mlの血液を4p.m.に耳動脈から、指示された日数で引きだした。血清コレステロールの濃度の測定はクレベランド大学病院の臨床実験室で300μlの血清から行った。ラビット#676に弛緩状態で3mgのpPEPCK-hLDLRを含むDNAコンプレックス溶液を投与したが、全血清コンステロール水準の有意な減少は見られなかった(初めの矢印)。3mgの同じDNAを含む適当に凝縮したDNAコンプレックスの第2の投与では、血液中のコレステロールの水準が20%減少した(第2の矢印)。この第2の投与の4週間後に、コレステロールは前処理の水準にほぼ戻り、約35日でピークに達した。図14−9mgのキメラPEPCK-hLDLr遺伝子を含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの注入。2番目の実験では、ガラクトシル化ポリ−L−リシンで適当に凝縮した9mgのPEPCK-hLDLr遺伝子をラビット#737に投与した。図14に示されるように、この処理は全血清コレステロールが38%減少し約5週間持続した。従って、DNAコンプレックスの投与が3倍に増加すると全血清コレステロール水準が2倍減少した。図15−3mgのキメラCMV-hLDLr遺伝子を含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの注入。3mgのキメラCMV-hLDLr受容体遺伝子を含むDNAコンプレックス溶液をラビット#16に投与すると、全血清コレステロール水準の最大減少が30%になった(図15)。注入11日後、コレステロール水準は処理前に観察されたものよりもさらに20%低い。図16−3mgのキメラCMV-hLDLr遺伝子を含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの数回の注入。ラビット#775(図16A)および#774(図16B)に3mgのpCMV-hLDLRコンプレックスを注入した。ラビット#775では3週間処理後に血液中のコレステロール濃度が最大24%減少した。2回の追加の注入で血清コレステロールは有意にさらに減少することにはならなかった。ラビット#774では、初期の注入後に血液中のコレステロール水準が、36%減少することが観察された(図16B)。同量のDNAコンプレックスを用いて2週間毎に1回、4回再注入した。そのうち2回は最少の結果となり、他の2回は全血清コレステロール水準がゼロの減少となった。しかし、3mgのpCMV-hLDLRを含むDNAコンプレックス溶液を5回投与した後、コレステロール濃度は前処理水準に関して約48%落ちた。次にラビット#774を10週間一日につき10mgのロバスタチン(ストライプの棒線)で処理した。さらに20%のコレステロール水準の減少が観察された。コレステロール合成のための内生的経路の阻害によりラビット#774コレステロール濃度が最初の遺伝子転移前のそれの40%になった(図16B)。図17−3mgのキメラSV40−ルシフェラーゼ遺伝子を含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの模擬注入(無関係なDNA)。高いNaCl濃度(〜900mM)のガラクトシル化ポリ−L−リシン/DNAコンプレックス溶液をラビットに注入して、全血清コレステロール水準をできるだけ非特異的に減少させるようコントロールするため、ルシフェラーゼ遺伝子のような無関係のDNAを含むDNAコンプレックス溶液をラビット#775に投与した。図17は注入により血清コレステロール濃度が有意でなく(≦12%)一時的な(≦5日)の減少となることを示している。従って、ヒトLDL受容体遺伝子を符号化する適当に凝縮したDNA粒子を注入した後の全血清コレステロール水準の減少は、高いNaCl溶液濃度またはガラクトシル化ポリ−L−リシン/DNA粒子の存在のいずれの結果でもないことが確認された。図18−NaCl濃度に対する濁度との関係。図はDNA/ポリリシン溶液の濁度について初期と現在のNaCl濃度の効果を示す。各線は異なる初期濃度を示す。図19−NaClの凝縮濃度についてポリ−L−リシンの長さの効果。図20−異なるコンプレックスのCDスペクトル。CDスペクトルは0.1cm路長のキュベットで行った。DNAは同モル比のアミノ基とリン酸塩基でポリ−L−リシンと複合し、種々のCDスペクトルを比較した:(A)1MのNaClにおけるDNAの標準コントロール;(B)多分子凝集が起きるNaCl濃度で観察されるΨ−DNA;(C)凝集したDNAは濁りおよび減少した楕円率を示す;(D)凝縮した単一分子のDNAコンプレックス;(E)弛緩したDNAコンプレックススペクトル。スペクトルは等しい濃度のポリマーで取り、緩衝液の信号を各場合に減じた。アッセイの詳細は方法の項で示す。好適例の詳細な説明多細胞生物体外来の核酸を導入するために望ましい任意の多細胞生物体は本発明の可能性のある主題である。多細胞生物体は植物または動物、好ましくは動物である。動物は好ましくは脊椎動物であり、さらに好ましくは高等脊椎動物、すなわち、哺乳動物または鳥であり、哺乳動物が特に好ましい。哺乳動物の中で、好ましいものはヒトおよび他の霊長類、マウス、ラット、ラビットおよびハムスターのような実験動物、犬および猫のようなペット動物、および馬、牛、山羊、豚および羊のような農場動物である。これらの動物は哺乳類の4目:霊長類、齧歯類、食肉類および偶蹄目類である。標的細胞標的細胞は、その神経系(例えば、脳、脊髄および末梢神経細胞)、循環系(例えば、心臓、管組織および赤血球および白血球)、消化系(例えば、胃および腸)、呼吸系(例えば、鼻および肺)、生殖系、内分泌系(肝臓、脾臓、甲状腺、上皮小体)皮膚、筋肉、または結合組織に属する(動物の場合)細胞を含む生物体の組織(器官を含む)に属する。あるいは、細胞は標的生物体の任意の器官または組織から引き出される癌細胞、または生物体に感染する寄生体または病原体の細胞、またはウイルスに感染した生物体の細胞である。肝臓に効く遺伝子療法に有用な方法は肝臓に関係する遺伝子を導入するために有効な比較的健康な組織を侵さないアプローチが必要である。受容体介在遺伝子転移を使用する幾つかの技法が、うまく使用されてきた。しかし、部分的肝切除がない場合にも、肝臓で遺伝子導入の発現を長引かすことになる容易に再現できる方法、従ってヒト遺伝子治療に使用できるものが必要である。外来DNAはリガンド−ポリ−L−リシン二共役体によってアシアログリコプロテイン(ASGP)受容体を標的にすることによって成体動物の肝細胞に導入した。有効になるためのリガンド標的技法に対しては、DNAは血液中にそのまま残るようにする形でなければならず、肝細胞の表面にASGP受容体によって認識されるように十分小さくなければならない。ワグナーら(1991)は、DNAとポリ−L−リシン/トランスフェリン結合体を直径が80-100nmのコンプレックスに凝縮して、肝腫瘍細胞のトランスフェリン受容体に遺伝子を標的にさせた。この大きさのDNA結合体は肝腫瘍細胞のトランスフェリン受容体によって認識するため適当であるが、肝細胞のASGP受容体は直径が10-20nmよりも大きいリガンドに対して区別する。われわれは受容体介在摂取によって成体動物の肝臓に遺伝子を導入するための方法を開発し、遺伝子を140日間発現させることになった(実験の継続時間)。この方法はヒト遺伝子治療に応用するために可能性がある。この方法の主な利点は(i)DNAコンプレックスの調製が容易であること;(ii)特定の組織に遺伝子を標的にする能力;(iii)肝臓での遺伝子の発現を長引かせること;(iv)感染性ウイルスDNAが全くないのでコンプレックスが比較的安全であること;および(v)導入した遺伝子のエピソーム保存である。標的A.一般「標的にする」は、臨床目的を達成するために有効な量で標的細胞に入るように緻密にした核酸を投与することである。これについて、DNAおよびRNAは標的細胞の核に複製することができ、その結果細胞内の核酸の最大水準が摂取後に増加することに注目する必要がある。さらに、臨床効果が核酸によって発現される蛋白質により媒介されるならば、核酸は鋳型として働き、従って、細胞内の核酸のコピーの数が小さくとも、高水準の蛋白質発現を達成することができる。それでもなお、DNAを拾い上げる標的細胞の数および各細胞によって拾い上げられるDNA分子の数を増やすように高濃度のDNAを緻密化することが望ましい。投与の経路および部位は標的を高めるように選択することができる。例えば、筋肉細胞を標的にするため、関連する筋肉への筋肉内注入を必然的に選択する。肺細胞は緻密にしたDNAをエーロゾルの形で投与することによって標的にすることができる。管内皮細胞は緻密にしたDNAでバルーンカテーテルをコーティングし機械的にDNAを導入することによって標的にすることができる。ある場合には、核酸を緻密な状態で維持する核酸結合部分はまた、標的剤として働くことができる。正に荷電したアミノ酸のポリマーは多くの核蛋白質中で核局部化信号(NLS)として作用することが知られている。ポリ−L−リシンで凝縮したpSV40-ルシフェラーゼDNAは、そのままラットの腹部筋肉に注入された。はっきりした標的細胞結合部分がないにもかかわらず、複合DNAを注射したラットでは、裸のDNAを注射したラットよりも、20倍高いルシフェラーゼ活性を観察した。それでもなお、幾つかの好適例では、標的細胞結合部分を使用すると標的が改善される。B.標的細胞結合部分の使用TBMを使用する場合、関連する標的細胞の接近できる構造(「受容体」)に特異的に結合しなければならない。これらの細胞に対して完全に特異的であることは必要ないが、治療に有効な共役体に十分に特異的でなければならない。好ましくは、その他の細胞との交差反応性が10%よりも小さく、さらに好ましくは5%よりも小さい。標的細胞の接近できる構造に対してTBMが有しなければならない絶対的な最少親和力はないが、親和力が高い程良い。好ましくは、親和力は少なくとも103リットル/モルであり、さらに好ましくは、少なくとも106リットル/モルである。TBMは、標的細胞の表面でエピトープに特異的に結合する抗体(またはFab,Fab,VM,VLまたはCDRのような抗体の特異的結合断片)である。細胞、細胞膜、または単離した細胞表面抗原に対して抗体を増やす方法は、この技術分野で知られている:a.免疫脾臓細胞の生成:可溶性抗原を用いる免疫化、Hurrell,J.G.R.(1982)Monoclonal Antibodies:Techniques and Applications.CRC Press,Boca Raton,Florida.b.コンプレックス抗原を用いる免疫化:膜、全細胞および微生物。Hurrell,J.G.R.(1982)Monoclonal Antibodies:Techniques and Applications.CRC Press,Boca Raton,Florida.c.モノクローナル上澄み液および腹水液の生成。Andrew,S.M.and Titus,J.A.(1991)。Purification of Immunoglobulin G.in Current Protocol in Immunology(J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.J.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,ed.)pp.A.3.9.-A.3.12。Grrene Publishing wiley-Interscience,New York.d.ラビット中のポリクローナル抗血清の生成。Garvey J.S.,Cremer,N.E and Sussdorf,D.H(eds)(1977)Methods in Immunology;A Laboratory Text for Instruction and Research,Third Edition.W.A.Benjamin,North Hampton,Mass.e.キャリヤ蛋白質への合成ペプチドの化学結合による抗ペプチド抗体の生成。Jemmerson,R.,Morrow,P.I.,Klinman,N.I and Patterson,Y.(1985).合成ペプチドを使用して哺乳類のシトクロムCの進化保持部位の分析.Proc.Natl Acad.Sci.,U.S.A.82,1508-1512.TBMはレクチンであり、そのために、細胞表面に同起源の炭水化物構造がある。標的結合部分は標的細胞によって運ばれる受容体によって特異的に結合したリガンドである。関連するリガンドの1のクラスは炭水化物、特に、モノおよびオリゴ糖類である。適当なリガンドは、ガラクトース、ラクトースおよびマンノースを含む。関連するリガンドの他のクラスはペプチド類(ここで蛋白質を含む)、例えばインシュリン、表皮生長因子、腫瘍壊死因子、プロラクチン、絨毛膜ゴナドトロピン、FSH、LH、グルカゴン、ラクトフェリン、トランスフェリン、アポリポプロテインE、gp120およびアルブミンである。次表は種々のクラスの標的細胞のための好ましい標的結合部分をまとめるものである:標的細胞 標的結合部分肝臓細胞 ガラクトースクッパー細胞 マンノースマクロファージ マンノース肺 Fab断片 対 ポリメリックグロブリン受容体(Pig R)脂肪組織 インシュリンリンパ球 Fab断片 対 CD4またはgp120腸細胞 ビタミンB12筋肉 インシュリン繊維芽細胞 マンノース−6−ホスフェート神経細胞 アポリポプロテインE標的結合部分はNABM/NA凝縮コンプレックスを直接注入する場合には厳密に言えば必要がない。この場合の標的細胞はコンプレックスを標的細胞の近所に注入してNABM/NA凝縮コンプレックスに受動的に接近することができる。C.リポソーム媒介遺伝子転移種々の脂質および溶媒条件を使用してDNAをリポソーム(脂質二重層によって含まれるボディ)に封じ、リポソームを動物組織に注入して遺伝子発現を検出する可能性は、広範囲に示された(1−7)。しかし、種々の生物系に対してこの技法が可能性があるにもかかわらず、これらの実験に使用されたDNAは細胞中の生存、核への取り込み、または標的細胞の核中の転写の割合を改善するように改変または緻密化されなかった。従って、これらの方法は通常、リポソームによって運ばれる遺伝子の一時的な発現だけになっていた(4,5)。カチオン脂質はDNAを転移するためにうまく使用されてきた。このような脂質のカチオン成分はDNAを溶液中で緻密にすることができる(1〜3,7)。この方法は多量に凝縮したDNAコンプレックスとなることを示し(1,2)、DNAをインヴィトロでトランスフェクションするとき、遺伝子転移および発現の有効性を増加することになる(裸のDNAに対して)。これらのコンプレックスの生成は、インヴィトロで遺伝子転移を促進できるが、このようなコンプレックスをインヴィヴォで注入すると、長く継続した有効な遺伝子転移とならない。従って、われわれの凝縮方法は、DNA/カチオン脂質コンプレックスに対して構造上の特徴を与え、インヴィヴォ発現を長続きさせることができる。このような方法の組合せは2方法のいずれかによって達成することができると信じる:1.後に中性脂質を用いてリポソーム体に封じる凝縮DNAコンプレックスの生成、または2.この明細書に記載した方法を用いて、カチオン脂質を用いて凝縮する際に高凝縮単一分子DNAコンプレックスの生成が達成できる。これらのコンプレックスはインヴィヴォで動物の組織に遺伝子転移を高効率に行う必要がある。DNA凝縮のためのわれわれの方法は、得られた緻密なDNAをリポソーム体に封じるように結合させるならば、動物へのトランスフェクションのために種々の利点を提供することができる:1.リポソームは組織中の哺乳類細胞の細胞質膜の脂質二重層との受動融合を促進する。2.次に凝縮したDNAは細胞区画を通って高効率で遺伝子情報を、その発現のための核に転移することができる。3.凝縮したDNAは細胞内の分解に対して保護され、従って新しく導入された遺伝子の発現の持続性を高めることができる。4.ポリカチオン凝縮DNAへの可能な免疫学的応答を、免疫学的に不活性の脂質二重層に封じることによって避けることができる。参考文献1 Ghirlando,R.,Wachtel,E.J,Arad,T.,and Minsky,A.(1992)ミセル凝集物によって促されたDNAパッケージ化:新規のインヴイトロDNA凝縮系。Biochemistry,31,7110-7119.2 Braulin,W.H.,Strick,T.J.,and Record,M.T.,Jr.(1982)Biopolymers 21,1301-1309.3 Zhu,N.,Liggitt,D.,Liu,Y.,Debs,R.(1933)成体マウスへの静脈内DNAデリバリ後の規則正しい遺伝子発現。Science,261,209-211.4 Alino,S.F.,Bobadilla,M.,Garcia-Sanz,M.,Lejarreta,M.,Unda,F.,and Hilario,E.(1993)ヒトα1-抗トリプシン遺伝子のリボソームによるマウス肝細胞へのインヴィヴォデリバリ。Biochem.Biophys.Research Communications 192,174-181.5 Takeshits,S.,Losordo,D.W.,Kearney,M.,Rossow,S.T.,and Isner,J.M.(1994)ラビット動脈器官培養モデル中にリボソーム媒介遺伝子転移した後の組み換え蛋白質分泌の時間経過。Lab.Invest.71,387-391.6 Jarnagin,W.R.,Debs,R.J.,Wang,S.S.,and Bissell,D.M.(1992)Nucleic Acids Res.20,4205-4211.7 Philip,R.,Liggitt,D.,Phillip,M.,Dazin,P.,Debs,R.(1993)インヴィヴォ遺伝子デリバリ。成体マウス中のTリンパ球の有効なトランスフェクション。J.Biol.Chem.268,16087-16090。核酸結合部分核酸に可逆的に結合する物質はどれも核酸結合部分(NABM)とうして働くことができるが、その条件は、(1)共役体が標的細胞に達して入るまで保持するように核酸に十分に強く特異的に結合し、その結合によって、核酸にダメージを与えたり変化させることがないこと、および(2)核酸と溶媒の間の相互作用を減らし、これによって凝縮を生じさせることである。最後の基準は共役体の治療有効性である。好ましくは、NABMはポリカチオンである。その正に荷電した基がイオンにより負に荷電したDNAに結合し、その結果、電荷中和によりDNA−溶媒の相互作用を減らす好ましいポリカチオンはポリリシンである。。他の可能性のある核酸結合部分は、Arg-Lys混合ポリマー、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ヒストン、アビジン、およびプロタミンを含む。核酸本発明に従う組み換えDNAおよびRNA分子を構築するための基本的方法はサムブルック・ジェイらによって:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)に開示されており、ここに参考文献として組み込まれる。核酸はDNA、RNA、またはDNAまたはRNA誘導体、例えば下記のようなインヴィヴォで分解に耐えられる誘導体である。この明細書では、その前後関係によってはっきり言っていない場合は、DNAに関する文献は、必要な変更を加えて、同様に他の核酸にも適用する。核酸は一本鎖または二本鎖である。好ましくは10ないし1,000,000塩基(または塩基対)、さらに好ましくは100ないし100,000であり、その塩基は同じかまたは異なる。塩基は「正常の」塩基アデニン(A)、グアニン(G)、チミジン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)、または37 CFR L § 1.822(p)にまとめられたもののような異常塩基である(1)。核酸は任意の望ましい方法で調製することができる。好適例では、核酸は標的細胞において機能的である発現遺伝子を含む。例えば遺伝子は凝縮因子、(例えば因子IX)、特異的代謝障害に含まれる酵素、(例えば尿素循環酵素、特にオルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノスクシネートシンターゼ、およびカルバミルホスフェートシンターゼ);受容体、(例えばLDL受容体);トキシン;特異的細胞または組織を除去するチミジンキナーゼ;イオンチャンネル(例えば嚢胞性繊維症のクロリドチャンネル);膜輸送体(例えばグルコース輸送体);および細胞骨格蛋白質、(例えばジストロフィン)を符号化することができる。遺伝子は合成、cDNAまたはゲノムオリジン、またはこれらの組合せである。遺伝子は天然に生じるもの、天然に生じるポリペプチドをそれでもなお符号化する非天然に生じる遺伝子、またはこの種のポリペプチドを認識できる変異体を符号化する遺伝子である。また宿主細胞に見出されるDNAまたは正常に転写されるmRNAに「アンチセンス」であるmRNAを符号化することができるが、アンチセンスRNAはそれ自体で機能蛋白質に翻訳することができない。発現される遺伝子に対して、解読配列は標的細胞中で機能しうるプロモーター配列に操作しやすく結合されなければならない。2つのDNA配列(例えばプロモーター領域配列および解読配列)は、2つのDNA配列の間の結合の性質が(1)望ましい遺伝子配列の転写に向くように領域配列中にフレームシフト突然変異を導入することにならない、または(3)プロモーター領域配列によって転写される遺伝子配列の能力を妨げないならば、操作しやすく結合されると言える。プロモーター領域は、プロモーターがDNA配列の効果的な転写を与えることができるならば、DNA配列に操作しやすく結合される。「操作しやすく結合」されるためには、2つの配列が互いに直ぐに近接する必要はない。DNAのような核酸分子は、転写調節情報を含むヌクレオチド配列を含み、このような配列がRNAを符号化するヌクレオチド配列に「操作しやすく結合」されている場合に、mRNAを「発現できる」と言える。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は、生物体から生物体へと変わるが、一般にRNA転写の開始を指示するプロモーターを含むことができる。このような領域はTATAボックスのような転写の開始を伴う5’−非解読配列を含むことができる。望ましくは、望ましいRNA生成物について解読する遺伝子配列に対して非解読領域3’を得ることができる。この領域は、終結およびポリアデニル化のために提供するもののような、その転写終結調節配列のために保持される。従って、解読配列に自然に隣接する3’−領域を保持することによって、転写終結信号が与えられる。転写終結信号が発現宿主細胞中で十分に機能しない場合には、宿主細胞に機能する3’領域を置換することができる。プロモーターは、宿主生物体の本来全部の細胞に活性な「偏在性」プロモーターであり、例えば哺乳類については、ベーターアクチンプロモーターであり、またはその発現が標的細胞に多少とも特異的であるプロモーターであってもよい。一般的に言うと、後者が好ましい。標的細胞中で自然に発現される遺伝子本来のプロモーターはこの目的のために使用され、例えば哺乳類の肝臓細胞中で発現するためのPEPCK(ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ)プロモーターがある。他の適当なプロモーターには、アルブミン、メタロチオネイン、界面活性剤、アポE、ピルベートキナーゼ、LDL受容体HMG CoAリダクターゼを含みまたは標的組織中の遺伝子の転写をコントロールするために必要な因子(ホルモン、食餌、重金属等)によって発現および調節に特異的な組織の適当なパターンを持つように単離され、クローニングされ示された任意のプロモーターを含む。さらに広範囲のウイルスプロモーターを使用することができ;これらにはMMTV、SV-40およびCMVを含む。「発現ベクター」は、ベクターにクローニングされてこれによりRNAまたは蛋白質生成物を生成するDNA(またはcDNA)分子を発現することができるベクターである(適当な転写および/または翻訳コントロール配列の存在による)。クローン配列の発現は、発現ベクターが適当な宿主細胞に導入されるときに生じる。原核発現ベクターを使用するならば、そのときには適当な宿主細胞はクローン配列を発現することができる任意の原核細胞である。同様に、真核発現ベクターを使用するならば、そのときには適当な宿主細胞はクローン配列を発現することができる任意の真核細胞である。発現できる遺伝子に加えてまたはその代わりに、核酸は標的細胞の遺伝物質に相同な配列からなり、それによってそれ自身を相同組み換えによってゲノムに挿入(「組み込む」)ことができ、これにより遺伝子の解読またはコントロール配列を置換し、または遺伝子を全体で除去することができる。別の好適例では、核酸分子は標的生物体(ウイルスおよび他の病原体を含む)のゲノムまたは他のDNA配列に、または生物体の細胞中に転写されるメッセンジャーRNAに「アンチセンス」であり、標的ゲノムDNAの転写または標的メッセンジャーRNAの転写を阻害するように十分にハイブリッド形成する。このようなハイブリッド形成の有効性はハイブリッド形成する配列の長さおよび構造の機能である。配列が長く相補性が完全に近いほど、相互作用は強くなる。塩基対のミスマッチの数が増加するとハイブリッド形成の有効性は落ちる。さらに、パッケージング配列DNAまたはアンチセンスRNAのGC含量も、また、AT(またはAU)塩基対と比較してGC塩基対中に存在する追加の水素結合によるハイブリッド形成の有効性に影響を与える。従って、GC含量の多い標的ハイブリッド形成が標的として好ましい。意図する目的のためにアンチセンス核酸を活性を小さくまたは不活性にするので、分子内ハイブリッド形成による二次構造を形成するアンチセンス配列を避けることが望ましい。当業者は配列が二次構造を形成する傾向があるか否かを容易に認識するだろう。二次構造は異なる標的配列を選択すことによって避けることができる。長さが約15と約100の間の塩基対で標的配列に相補性があるオリゴヌクレオチドは、天然のモノヌクレオシドからまたは、あるいは、非架橋ホスホラス結合酸素にて置換基を有するモノヌクレオシドから合成することができる。好ましい類似体は天然産のモノヌクレオシドのメチルホスフェート類似体である。さらに好ましくは、モノヌクレオシド類似体は、これを使用すると(a)細胞膜を通して拡散する改良された能力および/または(b)対象の体内にヌクレアーゼ消化に耐えられる利点を有するオリゴヌクレオチドになるいずれかの類似体である(Miller,P.S.ら、Biochemistry 20:1874-1880(1981))。このようなヌクレオシド類似体は当該分野では良く知られている。核酸分子はDNAまたはRNAの類似体であってもよい。治療目的を満たし、ヌクレアーゼに十分に耐えられ、十分なバイオアベイラビリティーと細胞取り込みを有するならば、本発明は特にDNAまたはRNA類似体の使用に制限がない。DNAまたはRNAは酵素、例えばヌクレアーゼによって、ヌクレオシド内結合(例えばメチルホスホネート類またはホスホロチオエート類)を修飾して、または修飾したヌクレオシド(例えば、2’−メチルリボースまたは1’−アルファ−アノマー)を組み込むことによってインヴィヴォ分解に耐えられるようにすることができる。自然に生じる結合は代わりの結合は次のものを含む:(式中のR2は水素および/またはアルキルである)(式中のRは水素またはアルキルである)また3’O−P−O5’を、3’O−CH2C(O)−O5’、3’O−C(O)−NH5’および3’C−CH2CH2S−C5’のような他の結合と置換することができる。全体の核酸分子はこのような修飾結合を形成することができ、または5’および3’のような一定の部分のみが、このように影響を受け、エキソヌクレアーゼに耐性になる。従って本発明に使用するために適している核酸分子は、以下のものを含むがこれに制限されない、ジデオキシリボヌクレオシドメチルホスホネート、ミルらのBiochemistry,18:5134-43(1979)参照、オリゴデオキシヌクレオチドホスホネート、マツクラらのProc.Nat.Acad.Sci.,84:7706-10(1987)参照、挿入剤に共有結合したオリゴデオキシヌクレオチド、ゼリアルら、Nucleic Acids Res.,15:9909-19(1987)参照、ポリ(L−リシン)と結合したオリゴデオキシヌクレオチド、レオネッチらのGene,72:32-33(1988)参照、およびリボース誘導サブユニットから集合したカルバメート結合オリゴマー、スンマートンのJ.,Antisense Nucleic Acids Conference,37:44(New York 1989)参照。核酸の緻密化核酸のコンプレックスおよび核酸結合部分が受容体媒介エンドサイトーシス、受動インターナリゼーション、受容体媒介膜透過性化、または他の応用できる機構によって取り込みを達成するために十分小さい粒子径であることが望ましい。望ましくは、緻密になった核酸、標的結合部分、および核酸結合部分のコンプレックスは小さく、肺および脾臓のシヌソイドキャピラリー系がその大きさの凝集物を閉じ込めるので、例えば100nm以下であり、さらに好ましくは外被孔エンドサイトーシス小嚢の一般的内径である80または90nmである。30nmよりも大きいコンプレックスは脾臓および肝臓のマクロファージによって非特異的に取り込まれ易いので、共役体も30nmよりも小さいことが好ましい。肝臓のASGP受容体の場合には、15-23nmよりも大きいコンプレックスが取り込まれない。受容体に対するインヴィヴォでのこの大きさの制限は多分、肝臓のクッパー細胞中のガラクトシル化蛋白質のための他の受容体の存在に直接関連しているのだろう。クッパー細胞受容体はインヴィヴォでの大きい寸法のガラクトシル化分子を取り込み分解する際に有効であり、従って、肝細胞の表面にASGP受容体を用いてガラクトシル化DNAコンプレックスを取り込むために競争するだろう。最も好ましくは、肝臓デリバリのために、コンプレックスは直径が23nmよりも小さく、さらに好ましくは15nmよりも小さく、なおさらに好ましくは12nmよりも大きくない。本発明は凝集または沈澱を生じないで、そして好ましくは凝縮状態まで緻密になる核酸および核酸結合キャリヤのコンプレックスに関する(図12参照)。本発明の目的のために、DNAを次の状態の一つとして特徴付けることが有用である:正常(凝縮していない);凝縮した;弛緩した;単一凝集した(単一分子トロイドのクラスター);多凝集した(多分子トロイドのクラスター);および沈澱した。これらの状態は電子顕微鏡下での外観で定義される(表103参照)。凝縮DNAは溶媒との相互作用が最少の状態にあり、従ってDNAは、単離した球またはトロイドの形である。目に見える程度まで繊維質ではない。弛緩したDNAは、一般にDNAからのポリカチオンの乖離によって形成され、繊維質を形成する。凝集したDNAは群がったまたは多分子のトロイドを形成する。単一分子DNAコンプレックスの理論的な大きさは表106の凡例「b」および「c」で示される式によって計算することができる。好ましくは、この発明のコンプレックスは直径が、これらの式の1または両方によって計算される大きさの二倍よりも小さい。さらに大きいコンプレックスは多分子凝集DNAに相当するようだ。DNAはその電荷を中和することによって、例えばポリカチオンを添加して、または溶媒との相互作用を減らすことによって、凝縮状態に緻密化される。しかし、ポリカチオンは、凝集または沈澱を避けるようにカオトロピック剤(向混沌性剤)を使用しなくともDNAの凝集または沈澱の原因となる。従って、ポリカチオン(DNAを凝縮するため)および(必要ならば)向混沌性剤(凝集または沈澱を避けるため)の両方を賢明に使用して緻密化を行うことができる。向混沌性剤の過剰使用は、しかしDNAを弛緩することになる。好ましくは、コンプレックスは凝集してなく、直径が23nmよりも小さく凝縮した単一分子のトロイド構造を有する;緻密化の程度は、電子顕微鏡によって測定することができる。例えば、PEPCK-hFIX遺伝子とガラクトシル化ポリリシンのコンプレックスは単一分子トロイドまで緻密化され、表106に示すように、平均直径が約12nmである。「単一分子トロイド」の語は、トロイドが唯一の核酸分子を含むことを意味する;トロイドは多くのキャリヤ分子を含むことができる(例えば、ガチクトシル化ポリ−Lys)。一般的比率は、「単一分子」トロイドに対して、DNA1分子対約100キャリヤ分子である。あるいは、そして勿論さらに正確には、この構造はモノ核酸トロイドと称される。単一分子および多分子トロイド(後者は各1個以上のDNA分子を含む)は、電子顕微鏡で観察したとき、各コンプレックスの大きさが異なることで識別でき、トロイドの多−または単一分子(DNA分子のみを数える)組成を含む。またわれわれはポリ−L−リシン結合の際にDNAの構造変化を同定するために他の技法を使用した。これらの第一は、400nmでの吸光を使用する溶液中の濁度の分光光度計測定である。濁度は先ず凝集のインジケーターである。凝集は300ないし340nmの波長での0よりも大きい円偏光二色性(CD)の値によって確認される。図18はポリ−L−リシンをDNA溶液に異なる出発濃度のNaClにて添加した濁度の効果を示す図である。塩の初期濃度が増加すると濁度は増加し(これは目視で容易に確認できる)、一層低いイオン強度でのDNAコンプレックスの凝縮により、互いに相互に作用する単一分子DNA−ポリ−L−リシンコンプレックスからなる粒子の懸濁液となることを示す。われわれは、一層低い塩濃度で凝縮したDNAの溶液は、懸濁液中に粒子物質が存在しているが、澄んでいることに注目した。異なる濁度をもつDNAコンプレックスを含む溶液は、それぞれの状態で形成されたDNA構造を目視してEMによって分析した。適当に凝縮した単一分子のDNAコンプレックスを澄んだ溶液および僅かに濁った溶液の両方に見出した。これは、懸濁液内の粒子を含む溶液が400nmで吸収しないので、400nmでの最少吸収(図18)に注目した初期の低いイオン強度ではDNAコンプレックスの凝縮については正しくない。しかし、これらの溶液をEMを使用して分析するとき、われわれは図1に示される予想したトランジション構造に注目した。懸濁液中の粒子が全体に分散されると、EMによって測定された構造は、基本的に凝縮した単一分子のDNAコンプレックスと同一であった。従って、DNAコンプレックスを含む溶液の濁度は、コンプレックスの凝縮に使用した塩の初期濃度に依存する。初期の低いそして高いイオン強度でのDNAの濃度において観察された差異に対して応答できる機構は、明らかでないが、われわれは濁溶液の生成を避けて、DNAを適当に凝縮するように我々のプロトコルを適合させた。溶液中のDNA−ポリ−L−リシンコンプレックスの構造トランジションを調査分析するためのさらに信頼できる技法は、NaClの濃度が増加するとき260nmで凝縮するコンプレックスの吸光度である。懸濁液中の単一凝集DNAコンプレックスは、粒子物質が260nmで吸光しないので期待された吸光度の10〜30%のみを示した。NaClの添加は単一凝集DNAコンプレックスを懸濁液に分散させて、図11に示される吸光度の急な増加を観察した。この時点で、溶液は澄み、懸濁液中には目視できる粒子構造は存在しない。DNA−ポリ−L−リシン凝縮のこの特徴は明らかに図1に示した構造と関連する。260nmでの急な吸光度の増加の原因であるNaClの濃度で、われわれはEMによって凝集していない凝縮したコンプレックスを観察した;NaClのこの臨界濃度に達する以前に、DNAコンプレックスは凝集し、さらに高いNaCl濃度ではDNAコンプレックスは弛緩した。260nmでの吸光度の第二のトランジションは、懸濁液中にある凝縮したDNAコンプレックスが弛緩した結果、DNAコンプレックスが完全に可溶化したことを示している。円偏光二色(CD)を使用して、DNAの凝縮をモニターすることができる。スペクトルがDNA単独のスペクトルと同一であるとき、DNAコンプレックスは正しく緻密になっている、すなわち、単一分子コンプレックスになっていると仮定される。言葉を変えると、220nmでの正のスペクトルはDNA単独の220nmスペクトルに量的に似ており、クロスオーバー(コンプレックスのスペクトルが0点で交差する波長)は本来DNA単独の場合と同一である。DNAが多分子コンプレックスに凝集するとき、270nmでの正のスペクトルはその波長で負のスペクトルに逆転する(これはpsi−DNA構造またはΨ−DNAと呼ばれる)。表103は裸眼観察、円偏光二色分光計、電子顕微鏡、および260nmでの吸光度によって測定される各状態の特性を示す。特に、凝縮したDNAコンプレックスを同定することができる任意の他の技法を、上記のものの代わりにまたは組み合わせて使用することができる。核酸を緻密にするために、キャリヤを核酸溶液に添加し、これによってキャリヤは核酸を粉砕する:溶媒の相互作用はは核酸を凝縮させる。好ましくは、少なくとも溶液の濁度はキャリヤを添加するときモニターされ、状態変化が速やかに検出されるようにする。濁りが一旦現れると、DNAの状態はさらにCD分光計によって分析され、DNAが凝縮しているか凝集状態にあるか測定することができる。(沈澱はまた裸眼によって検出する必要がある)。好ましくは、キャリヤは核酸溶液に、沈澱と凝集が最少になるように十分ゆっくりと添加される。沈澱または凝集が生じた場合には、カオトロピック塩をゆっくり添加し、その結果を再度CD分光計によって調べなければならない。好ましい塩はNaClである。他のカオトロピック塩を、投与される動物(または細胞)によって許容される限り使用することができる。適当な薬剤には硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸リチウム(Li2SO4)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、リン酸カリウム(KH2PO4)、リン酸ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸マグネシウム(MgHPO4)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化セシウム(CeCl)、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、テトラメチルアンモニウムクロリド(TMA-Cl)、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBA-Cl)、トリエチルアンモニウムクロリド(TEA-Cl)、およびメチルトリエチルアンモニウムクロリド(MTEA-Cl)を含む。われわれは、インヴイトロでDNAの凝縮に影響する変数、および受容体媒介エンドサイトーシスによって動物にDNAコンプレックスを有効にデリバリするためのこれらのパラメーターの機能的関連性を調べた。われわれは凝縮したDNA−ポリ−L−リシンコンプレックスが溶液中に安定なままであるイオン強度とDNAの濃度との間の強い相互関係に注目した。これらの実験は、溶液中の正と負の電荷が1対1となるDNAとポリ−L−リシンの比を使用して、hFIXに対する構造遺伝子に結合したPEPCKに対する遺伝子からのプロモーターを含む4.5kbプラスミドを使用して行った。粒子を溶解するために必要なNaClの最終濃度の変化は、DNA濃度の対数関数であり、高濃度のDNA−ポリ−L−リシンコンプレックスの凝縮がイオン強度の僅かな増加でのみ生じる。このDNA濃度の物理的特性は、動物の血液中のイオン負荷にあまり影響しないので、インヴィヴォでの成体動物の組織にDNA粒子をデリバリするために非常に有利である。最少二乗法を使用するデーターの線形適合は、次の関数によって記述される:LOG10(NaCl,mM)=b0*(DNA,μM リン酸塩)+b1 r2=0.97式中、b0=2.52x10E-3,b1=0.577凝縮工程の間に異なるDNAプラスミドおよび異なるDNA調製を使用するとき、上記式によって記載される関数で変化を観察した。これらの相違は多分、異なる出所および組成物のDNAに対するポリ−L−リシンの親和性の変化に関連しているのだろう。最大の結合親和力について、われわれは一般に酢酸ナトリウムおよび2.5容量の−40 iCエタノール(方法参照)で2回沈澱させたDNAを使用する。異なる形態(すなわち、スーパーコイル、ニックおよび線状)のDNA、およびアニオン交換クロマトグラフィーまたは塩化セシウム勾配遠心分離を使用して抽出したDNAに対するポリ−L−リシンの結合親和力に明白な相違が見られなかった。これは、ポリ−L−リシン結合活性を有する異なる出所からのDNA調製において不純物の存在を示しており、これは逐次DNA沈澱によって除去される。またDNAの有効な凝縮のために必要なNaClの濃度のポリ−L−リシンの長さの効果を調べた(図19)。これらの変数の間の関係を、異なる出所からのDNAの一定濃度を使用して評価した。広範囲のポリ−L−リシンの長さを使用した;本来、市販されているポリ−L−リシンの大きさである。しかし、化学的に合成されたポリ−L−リシンの各ロットの低角度光散乱分析によって測定されるような、種々の大きさの蛋白質の平均のポリ−L−リシンの長さである。各試料内の寸法の実際の分布は、分布する物質の60%から80%まで変化し、これは平均寸法の+/−20%である。単一寸法内のこの広い分布はわれわれの測定の誤差の原因になる。それにもかかわらず、ポリ−L−リシンの長さと、溶液中のDNAコンプレックスの凝縮に必要なNaClの濃度との間に、図19に認められる明白な相関関係がある。この相関関係は、大きさが150個のリシン残基までポリ−L−リシンの長さが直線関数であり、その後に関数は飽和に達し、さらに長いポリ−L−リシンではDNAの凝縮に必要なNaClの濃度の増加はない。これらのデーターはポリ−L−リシンとDNAリン酸塩中心軸との間の協同的結合と一致している。従って、DNAを凝縮するために使用されるポリ−L−リシン分子の長さを減らすことによって、動物に注入されるDNAコンプレックスの溶液は高張性が小さくなる。また、遺伝子治療のためのこの方法の有効性についてイオン強度の変化の関数の有意性を評価ため、動物の血液中のDNAコンプレックスの希釈を考慮することが重要である。図19に示されるものよりもさらに長いポリ−L−リシンを含むDNAコンプレックスを用いてラットに注入し、ラビットにはさらに短いポリ−L−リシンを注入し、両者の場合のトランスフェクション遺伝子の明確なそして不変の発現に注目した。好ましい最少の初期の塩濃度はキャリヤのコンパクション活性および塩の向混沌活性に依存する。NABMが(Lys)8または(Lys)27である場合には、初期のNaCl濃度はゼロであることができる。さらに長いポリLys鎖では、しかし、NaClがないと、沈澱は即時である。(Lys)50では、初期のNaCl濃度は好ましくは少なくとも約300mMである。それでもなお、TBMが凝縮に影響する蛋白質であるならば、初期の塩濃度は殆どゼロである。キャリヤは連続して、または小さい不連続の工程で添加することができる。さらに高い流速、またはさらに大きいアリコートで開始し、所望の反応終点に近づくように流速またはアリコートの大きさを減らすことができる。一般には、0.1ないし10%のキャリヤ溶液を一度にDNA溶液に添加する。各添加は、一定の渦攪拌で好ましくは2秒ないし2分毎に行う。しかし、さらに長い設定時間でも良い。1好適例では、塩溶液に含まれる核酸は、好ましくは少なくとも0.5Mであるが、1.5M以下であり、同濃度(例えば、0.5ないし1.5M NaCl)のNaCl溶液に含まれる共有結合した標的細胞結合部分(例えば、ガラクトース)を含むポリ−L−リシン(109個のリシン)と混合する。好ましくは、核酸リン酸塩基とDNA結合部分の正に荷電した基とのモル比は、4:1ないし1:4の範囲にあり、さらに好ましくは約1.5:1である。幾つかの実験結果を表104に示す。16実施例を行い(表104の最初の欄に星印を付けた)インヴィヴォで試験して作業し、最終のNaCl濃度(独立した変数)をDNA濃度およびポリ−L−リシンの長さ(従属した変数)に対して回帰推定し、その結果を表105に示した。接合標的結合キャリヤ分子に依存する好適例では、核酸結合部分は、標的細胞結合部分に、直接または間接に、共有結合または非共有結合して接合いる。接合は、関心のある核酸で核酸結合部分を装填した後、またはさらに通常はその前に、行うことができる。どちらの方法でも接合は核酸が核酸結合部分に結合すること、または、そのために、標的細胞結合部分の標的細胞に結合する能力を実質的に妨げてはいけない。製薬組成物および方法緻密化した核酸は、随意にTBMと結合し、ヒトまたは他の動物対象に投与するために製薬的に受け入れられるキャリヤと混合することができる。DNA溶液に対して凝縮したDNAおよび弛緩したDNAの両方を含むことができることは認められる。本発明の組成物は好ましくは、260nmで同じ濃度の裸のDNAの吸光度よりも吸光度が50%小さいような凝縮したコンプレックスで十分に豊富である。表103に述べたように、通常は、凝縮したDNAは吸光度が20-30%であり、弛緩したDNAでは裸のDNAの吸光度の80-100%である。投与は任意適当な投与経路で行われる。投与形態はその経路に対して適当でなければならない。適当な投与経路および投与形態は、血管内(注射できる溶液)、皮下(注射できる溶液、徐々に放出するインプラント)、局所(軟膏、膏薬、クリーム)、および経口(溶液、助剤、カプセル)を含む。投与経路の幾つかは投薬形態が、例えば、保護被覆またはヌクレアーゼ阻害剤を含めて、分解から結合体を保護するように配合しなければならない。投薬は、この分野で通常行われるように、代替投薬の系統的試験によって決定する必要がある。ラット(200-300g)は、生長または健康にはっきりと悪い影響を与えることなく実施例1のDNAコンプレックスを600μgの用量で許容する。マウス(25g)は、はっきりした問題もなくDNAコンプレックスを150μg注入した。ヒトでは、一般的試験用量は60-120mgのDNAであり;この用量が有効であるには低すぎまたは毒性があるほど高すぎるならば、適量が決められるまで、系統的方法で、それぞれ増減させることができる。短命の細胞、例えば、マクロファージについては、典型的な用量スケジュールで2週間毎に1回投与する。長命細胞、例えば、肝細胞では、2ヶ月毎に1回投与する事が好ましい。アジュバントを使用して、DNAコンプレックスの大きさを減らす(例えば2−10mM MgCl)、その安定性を増加する(例えば、スクロース、デキストロース、グリセロール)、または、デリバリ効率を改善する(例えば、クロロキンおよびモネンシンのようなリソソーム向性因子剤)。コンプレックスはリポソーム中に封入し、保護し、標的細胞への進入を、容易にする(リポソームの細胞膜との融合)。以下実施例により本発明を説明するが、制限するものではない。実施例1序論クリスマス病、または血友病B、は血液循環中の凝固因子IXの機能の欠乏による伴性劣性遺伝の血液疾患である。ヒト第IX因子(hFIX)は、通常、肝臓中で生成される血漿糖タンパク質であり、内因性の凝固経路において不可欠な役割を果たす。いったん、前身である活性血漿トロンボプラスチン(XIa)によってセリンプロテアーゼ形(IXa)に転化すると、活性化したタンパク質は凝固因子VIIIa、カルシウムイオン、および燐脂質と反応し、第X因子からXaに転化する複合体を生成する。第IX因子は、血液中への分泌の前に、その役割のために必須の幾つかの翻訳後の修飾をを肝臓中で受ける。これらは、アミノ末端のグルタミン酸残基およびアスパラギン酸のβ−ヒドロキシル化によるビタミンKを含む。クリスマス病は、全ての遺伝される凝固障害のおよそ10〜20パーセントの原因となっている。冒された人は、循環する第IX因子のレベルに一般的に関連した幅広い臨床上の苦しみを示す。機能性因子第IXの厳しい遺伝子欠乏をもった患者は、柔組織および関節への内発的な出血、あるいは小さな外傷性障害後の出血がある。一時的に遺伝し欠乏を正すことで出血症状の発現を阻止するために、血漿の輸血、あるいは第IX因子に富む濃縮液が使われる。不運なことに、保存した血漿へのウイルスの混入によって、臨床上の管理が混乱してきた。血液由来の感染、例えば肝炎や後天的な免疫不全症は、遺伝的凝固障害の治療において、重大な問題になっている。これらの合併症は、代替治療の開発の重要性を強めている。ヒト凝固因子第IXのための遺伝子は、同定・配列決定されている;1,248塩基対、長さは、相補DNAから416のアミノ酸からなるタンパク質であると予想され、そして、翻訳後の修飾の後の、完全に発達したタンパク質の分子量は約54,000ダルトンである。ヒト凝固因子第IXは、血友病Bの遺伝子補正に使用されるかもしれない。P-エノールピルビン酸塩カルボキナーゼのキメラ−ヒト因子IX(PEPCK−hFIX)遺伝子(50%がスーパーコイルし/50%が開環している)が、ガラクトシル化されたポリ−L−リシン(平均長は50あるいは109アミノ酸)とともにNaClの滴定によって凝縮された。この過程は、CDスペクトルおよび電子顕微鏡によってモニターされ、NaCl臨界濃度中で、直径10〜12nmのDNA−キャリヤ複合体の形成がなされた。我々は、この操作を使用して共役させて、PEPCK−hFIX遺伝子を、生体のラットの完全な肝臓に導入し、DNA−キャリヤ複合体がこの組織の遺伝子を特異的に標的にし、また、hFIX DNA、mRNAおよびhFIXタンパク質がDNA−キャリヤ複合体処理の140日間後(この実験の期間)にも存在することを、証明した。DNA−共役体の注入32日間後の動物の肝臓から分離されたDNAのサザン分析によって決定されたように、この遺伝子はエピソームとして存在する.PEPCK−hFIX遺伝子の転写は、実験の期間中ずっとされている食餌によって管理される;炭水化物が含まれない食餌を一週間動物に与えることによって、hFIXの血液中への予想された誘発をもたらし、これは、ウェスタンブロットハイブリダイゼイションによって検出される。方法A. ガラクトシル化平均の鎖の長さが109(シグマ)であるL−リシン−HBrあるいは、L−リシン-Clのポリマーを、本質的には、Monsignyら、(1984)Biol.Cell.,51,187.に記述されたようにガラクトシル化した。簡単には、2mgのポリ−L−リシンが、N,N−ジメチルフォルムアミド(5mg/ml)に溶解した89gのα−D−ガラクトピラノシルフェニル−イソシアネート(シグマ G-3266)と反応した。この溶液は、pH9.0の1/10体積の1M炭酸ナトリウムを添加することによって、pH9.0に調整された。この反応は10%の効率なので、溶液中に存在する0.8%のε−NH3基はグリコシルかされている。チューブはアルミニウムホイルによって光から遮断されていて、室温で6時間混合された。この溶液を次にSpectra-Por透析チューブ(Fisher 3500 M.W.遮断)を使用して、500mlの5mM NaCl緩衝液に対して、たびたび緩衝液を交換しながら(二回/日)二日間透析した。B. リガンドの分析透析した溶液は、次に分光光度計によって、205Åおよび250Åにおいてポリ−L−リシンの濃縮物およびフェニル−ガラクトース残基の濃縮物のそれぞれについて、測定された。修飾されたガラクトースのみが、250Åにおいて溶液中で吸光するから、この段階で透析中に重大な損失はおこらず、そしてガラクトシル化反応が完全であることが確かめられる。C. 複合体形成プラスミドDNAを、標準的な技術を用いて用意した。pH8.0で1mMのEDTAを含んだ10mM トリス−HCl中で、DNAを再び懸濁し、DNAの濃度は分光光度計によって決定された。RNAアーゼA+T1によってDNA調整品は二回蒸解された。この段階によって、RNAが溶液中に存在しないことが確認される(RNAはポリ−L−リシンによるDNAの凝縮を妨害する)。高濃度DNA溶液(1.5-2mg/ml)が、次の段階から使用される。DNA凝縮の典型的なプロトコル例は、次に記述するとおりである:a)200μlの0.75M NaCl溶液(5M NaCl溶液から加えられた)中にある300μgのDNAを、VIBRAX装置(IKA-VIBRAX-VXR)を用いて中間速度で回転攪拌した。この操作は、高塩濃度溶液中のDNAポリマーの効果的な長さを増すために好ましく、それ故、ポリ−L−リシン部分のDNA中心軸への効果的な結合が達成される。b)200μl中の0.75M NaCl溶液(5M NaCl溶液から加えられた)中にある84μgのポリ−L−リシン−ガラクトースを、30分間から1時間にかけて20μlずつに分割して、滴下した。この量は、分子の割合にしてひとつのDNAのPO4-グループを0.7のキャリヤNH3+グループの分子に転化する。c)この溶液は、この操作の終了時には濁る。3μlずつに分割した5M NaCl溶液を、視覚によってモニターしながら、濁りが消えるまで、回転攪拌している溶液中に滴下した。この操作はゆっくりと、次の5M NaClの分割を加えるのに30秒間待つ。そして、逐次2μlずつの5M NaClを加えながら、この溶液はCDスペクトル分光器のモニターにかけられる。凝縮のプロセスは、DNA複合体の特徴的なスペクトルが観察された時点で完了する。次の、同じヌクレオチド濃度での同じプラスミドDNA中の、DNA複合体の準備のために、このプロトコルはCDをモニターする必要なく踏襲でき、結果は完全に再現性がある。異なるDNA濃度あるいは異なるプラスミドを用いるときには、CDのモニターを繰り返すことは必要である。我々は、DNA複合体の構造をモニターするための代替技術が、似た結果をもたらすことを見出した。この技術は次の各段階からなる。a)およびb)は同上。c)この溶液は、この操作の終了時には濁る。3μlずつに分割した5M NaCl溶液を、視覚によってモニターしながら、濁りが消えるまで、回転攪拌している溶液中に滴下した。この操作はゆっくりと、次の5M NaClの分割を加えるのに30秒間待つ。この溶液を、次に、マイクロ遠心器を使用して、最高スピード(12000x G)で30分間遠心分離にかけ、そして沈殿の存在が確認された。もし沈殿が観察されたら、2μlずつに分割された5M NaClを滴下する。この溶液を、さらに0.5分回転攪拌し、そして遠心分離の段階が繰り返される。沈殿の出現は、溶液中のDNA−複合体の凝集によってであり、DNAが全部崩壊したのでなないことを示す。結果および論考ここに記述された操作を開発するために、我々はDNA/リガンド−ポリ−L−リシン結合共役の物理的性質を、円二色性分光光度計(CD)および電子顕微鏡を使用してモニターし、機能複合体が生成することによるコンディションを研究した。我々は次に、完全な動物を使用して、DNA/リガンド−ポリ−L−リシン結合共役の物理的性質と機能との関連を決定した。様々な濃度のNaClの存在において、リガンド−ポリ−L−リシンの添加によってDNAは凝縮した。60μgのRNAの存在しないCMV−β−ガラクトシダーゼ(A)あるいはphFIX(B、C、DおよびE)のいずれにおいても、最終的に700mM NaCl中に150μlの体積にまで希釈されたものは、中間速度でVIBRAX装置(IKA-VIBRAX-VXR)を用いて回転攪拌された。19μgのα−ガラクトピラノシル−フェニルイソチオシアネート/ポリ−L−リシン二結合共役(シグマ)が、同様に希釈され、回転攪拌されているDNA溶液中に滴下された。インヴィヴォでの研究においては、150μlの700mM NaCl中の300μgのDNA(TE緩衝液中に溶解、pH8.0)が、150μlの700mM NaCl中の95μgのα−ガラクトピラノシル−フェニルイソチオシアネート/ポリ−L−リシン二結合共役とともに凝縮した。ポリカチオンのゆっくりした添加は、濁った溶液の形成をもたらし、この濁りは、5M NaClを3μlずつの分割を徐々に滴下することで溶解する。この濁りの消失は、視覚によってモニターされ、濁りが消失した段階で、このDNA/ポリ−L−リシン複合体溶液は、電子顕微鏡(E.M.)およびCD分光光度計の両方をを用いて調べた。2μlずつに分割した5M NaClの継続した添加は、図1A〜1Fに示したような構造変化をもたらした。様々なNaCl濃度および、添加ポリ−L−リシンの存在あるいは不在における、DNA複合体の異なる構造配座を表す典型的なスペクトルは、図1に示された。DNAへのポリカチオンの結合は、長波長側へのクロスオーバーに置換することを特徴とする特異的なスペクトルとなった;このシフトは高い序列の、DNAのY型に似た非対象構造でのDNA/ポリ−L−リシン結合のカイラルパッキングに関連づけられる。図1Aに示されたように、二本鎖DNA(1M NaCl中)は特異的なスペクトルを持ち、これは様々なイオン強度におけるポリ−L−リシンの添加によって著しく部分的に変化する(図1a)。DNA/リガンド−ポリ−L−リシン結合共役のイオン強度が強まれば、複合体は凝集状態(図1C)から凝縮状態(図1Dおよび図1E)へののトランジションが進行する。これは、図1Aに示したように、複合体のスペクトルのシフトにも一致する。溶液中のイオン強度の増加とどもに生じるクロスオーバー(図1の0線)でのシフトおよび220nmでのCDスペクトルの変化が、CD分光器による凝縮DNAコンプレックスの生成をモニターする際に、特に重要である。DNA複合体の凝集に必要とされる臨界幅を超えて、イオン強度が増大したときは、この複合体は凝縮していないような、弛緩した構造をとる(図1F)。このDNA複合体の構造におけるトランジションは、CDスペクトル分光計ではモニターできず、そのため正確なNaClの滴定が、この操作の成功にとって非常に不可欠である。図1Dで観察されるDNA複合体の直径(約10nm)は、アシアロ糖タンパク質のための肝臓の受容体による、分子リガンドの取り込みのために、望まれる識別する範囲に一致する。我々はそのため、インヴィヴォにおいて、受容体−媒介エンドサイトーシスによるDNAを肝細胞に運ぶ媒介物として観察されたDNAの構造の適切さを証明した。取り込みのプロセスの性質を確証するために、我々はアシアロ糖タンパク質受容体をもっているHepG2細胞によって血液からDNA複合体を取り除いた。DNA複合体の取り込みは、100倍モル過剰のアシアロゲトインを競合体として使用するとき完全に阻害され、複合体はASGPを通じて受容体−媒介エンドサイトーシスによって取り込まれることが示された。ラットからのP−エノールピルベイトカルボキシジナーゼ(PEPCK)の細胞ゾルの形成のための遺伝子のプロモーターからなる、キメラの遺伝子プラスミド(pPFIX)は、ヒト凝固因子第IX(hFIX)(Ferkolら、FASEB J.,7:1081(1933))のためのcDNAに結びつけられ、デリバリについていって肝臓中でのDNA発現のために使用される。時間経過におけるトランスフェクションされた動物中でのhFIX遺伝子の発現は、完全に発達したhFIXペプチドに対するモノクロナル抗体を用いて、ウェスタンブロットハイブリダイゼイションによって決定された。平均体重が約250gである、成体スプラグ・ドーリイラットをエーテルで麻酔した。前述したようにガラクトース−ポリ−L−リシンとともに混合した、300μgのpPFIXを含んだ300〜400μlの溶液を、尾部の大静脈に注入した。ラットを、トランスフェクション後0、4、8、12、32、72および136日後に殺し、組織と血液サンプルを取り出した。トランスフェクションされた動物からの血漿サンプル(1μl)および、1:4に希釈されたヒトの血漿対照実験物を、SDS/10%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動にかけ、一般的な技術を用いて、ニトロセルロース膜フィルター上に移された。ブロットは1x PBS、pH7.4、0.03%ポリオキシチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、および10%(w/v)の乾燥ミルク皮膜で、室温で2時間覆った。続いて1/1000希釈のモノクロナルハツカネズミ抗人因子第IX抗体(3μg/ml)とともに室温で2時間インキュベートした。このモノクロナル抗体は、ケニス・スミス(United Blood Services、New Mexico)から親切にも提供してもらった。膜はpH7.4の1×PBSおよび0.03% Tween 20で3回洗浄し、次に抗ハツカネズミlgg(H+L)−セイヨウワサビペルオキシダーゼ共役体の1/500希釈とともにインキュベートした。この膜は、次にpH7.4の1×PBSおよび0.03% Tween 20で4回洗浄して、次に化学ルミネセンスを強化した10mlのウェスタンブロット検出溶液を1分間加えた。フィルターから発するルミネセンスを、感光紙によって20秒間検出した。我々は、140日間にわたってhFIXモノクロナル抗体に対して特異的にハイブリダイズしているバンドを検出した。トランスフェクションされていない対照群においては、ハイブリダイズしているバンドは検出されなかった。トランスフェクション後32日間後の動物からの肝臓が取り出され、ゲノムDNAが一般的な技術を用いて分離された。トランスフェクションした動物からおよびトランスフェクションしていない対照からの全部で5μgのDNAが、EcoRIあるいはBgl IIによって一晩切断された。サザンブロット電気泳動を確立された方法で行った。トランスフェクションされた動物からのDNAのみが、Bgl IIで4.5kb、EcoRIで2.6kbのプローブにハイブリダイズされた。脾臓、肺、心臓および肝臓器官を、300μgのDNA複合体によってトランスフェクションされたラットから得た。これらの器官から分離された全てのゲノムDNAについて、PCR法分析を実施した。トランスフェクションされたラットの肝臓のみが、720bpプローブについて陽性であり、ラットの脾臓、肺、心臓、あるいは対照動物の肝臓は違った。pFIXによってトランスフェクションしたラットの肝臓中のヒト因子IXのためのmRNA転写物の存在は、モロニーハツカネズミ白血病ウイルス逆転写酵素による全細胞質肝臓のRNAの処理および、ポリメラーゼ連鎖反応による生成したcDNAの増幅後に決定された。簡単には、1μgの全ラット肝臓RNAを、10UのDNAse I(RNAseは含まれない)で処理し、次に500nMの(dT)16オリゴヌクレオチドプライマーおよび500nMの各dNTP含んだ溶液に加え、次に42℃に熱し、次に1μlのcDNAプールをPEPCKプロモーターの5’UTR領域に広がるプライマーおよびhFIXのためのcDNAを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。対照として、同じRNAサンプルで逆転写酵素によってcDNAに転化していないものも、ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型として使用し、混入プラスミドDNAが増幅していないことを確かめた。生成物は、アガロースゲル電気泳動および蛍光標識されたヒト因子第IXのcDNAプローブを使用したサザンブロットによって分離された。我々は、トランスフェクションされた動物のみ、hFIXプローブによって特異的にハイブリダイズされたバンドを確認した。トランスフェクションされていない対照群、あるいは逆転写酵素によってcDNAに転化されていないトランスフェクションされたサンプルのいずれにおいてもバンドは検出されなかった。トランスフェクションされた動物の血漿中でのhFIXの機能活性は、ヒト因子第IXの凝結促進活性を測定して分析すればよい。1段階の変更は因子IX欠失ヒト血漿でカオリン活性化の、部分的トロンボプラスチン時を使用した。静脈穿刺によって実験動物から血液サンプルを得る。50分の1体積の500mMクエン酸ナトリウム(pH5.0)を、凝固を防ぐために加え、そして血漿は20℃で保存される。このサンプルを二重に分析し、次にこれらの活性は、24人の正常な人の男性からの貯められていた血漿の機能活性と比較される。正常な人の血漿中は100%の機能活性あるいは、約3μg/mlのヒト因子IXに相当する。ラット血漿中の因子IX活性のバックグランド(ラット血清中で、約0.15ユニット/mlの因子IX活性)は、それぞれの動物中で決定されたヒト因子IXの値からそれぞれ引かれている。バックグランドの値は、この分析で使用されたヒトIX因子アッセイで測定されたラット因子IXの非特異的交叉活性である。静脈穿刺によって実験動物から血液サンプルを得る。50分の1体積の500mM硝酸ナトリウム(pH5.0)を、凝固を防ぐために加え、そして血漿は20℃で保存される。人の血漿中における正常なhFIX濃度は3μg/mlである。約15ng/ml(トランスフェクション72日後)から1050ng/ml(トランスフェクション48日後)の活性化ヒト因子第IXが、DNA複合体によってそれぞれの動物に注入された(表102)。動物中で見出される組み替えhFIXの濃度の小さな変化が、デリバリー効率による違いあるいは新しく導入された遺伝子の発現による違い、のどちらを表すのかははっきりしない。このhFIX遺伝子は、動物中で140日間(この実験の期間)にわたって発現し、特に48日目に最も高いレベルを示した(表102)。トランスジェニック動物を使用して、PEPCKプロモーターからの転写を、低タンパク質・高炭水化物食餌の投与によって導くことが確立されている(McGraneら、1988,1990;Shortら、1922)。トランス遺伝子の調節された発現を立証するために、我々は、一週間にわたる高タンパク質・低炭水化物の食餌を与え、あるいは普通の食餌をあたえた、その前後におけるトランスフェクションした動物の血液中のhFIXの存在を、ウェスタンブロットハイブリダイゼイションによって調べた。PFIX遺伝子を含む動物中の、PFIX遺伝子の発現の三倍までの誘導を、DNA複合体の注入後140日後までに記録した。ASGEを標的にした受容体に媒介された遺伝子転移代替方法を用いた、ラット肝臓に導入されたこれと同じPEPCK−hFIX遺伝子は、2日間のみの活性であった(Ferkolら、1933);これは、高度に緻密にしたDNA複合体が、本研究において記録されたトランス遺伝子の発現の長期化の原因であろうことを、示唆する。140日間中の複数の時点のhFIXタンパク質の維持されたレベルの検出は、実験期間中を通して発現していることの証拠となる。ヒトFIX800bp.の特異的転写は、逆転写酵素による全細胞質RNAから生じたcDNAのPCR増幅によって検出され、動物の肝臓中では機能hFIXタンパク質が発現している(図3A)。mRNAの実験期間中にわたっての存在は、これらの動物中に転写活性DNAの維持されたプールがあることを示し、この持続性によって長きにわたっての発現およびhFIXと特異的mRNAの検出を説明できる。我々はまた、トランスフェクション32日後の動物の肝臓中に、トランスフェクションされたDNAを存在することを確立でき、また、その物理的性質を研究した。この採取したDNAは、このプラスミドを線状(4.5kb)にするBgl IIおよびこのプラスミドからキメラの2.6kbの遺伝子を放出するEco RIを用いて制限酵素分析にかけられた。hFIXに特異的なプローブを使用したサザンブロットハイブリダイゼイションによって、トランスフェクションしたDNAは、トランスフェクションした肝臓中でエピソームできる状態で残っていることが示され、その理由は、Bgl IIから生じるシングルバンドが、線状プラスミドのサイズと一致し、ランダムな増殖が起こったときに予期される不鮮明なハイブリダイゼイションと対照的になるからである(図3B)。我々は、トランスフェクションしたDNAが、トランスフェクションした動物のenome中でランダムな増殖をすることの可能性を除外することはできない。しかしながら、肝臓は有糸分裂の刺激(すなわち、肝切除)を受けていないので、この事象は起こりそうもない。アシアロ糖タンパク質受容体は、肝臓の柔組織の細胞にのみ存在する。それにもかかわらず、アシアロ糖タンパク質および他のガラクトース末端のリガンドが、分子リガンドの大きさに依存する機構によって、マクロファージによって取り上げられ得ることが示された。参照、Schlepper-Schafer,J.ら、Exp.Cell.Res.,5:494(1986);Bijsterbosch,M.K.ら、Mol.Pharmacol 36:484(1989);およびBijsterbosch,M.K.ら、Mol.Pharmacol 41:404(1922)。我々の実験におけるDNA/リガンド−ポリ−L−リシン複合体の大きさは、アシアロ糖タンパク質受容体の識別するための範囲と矛盾しない。このDNA複合体の特異性を研究するために、我々は、トランスフェクションした動物中の異なる組織からDNAを得て、そしてそのトタンスフェクションされたDNAをPCR法によって増幅した。我々の結果は、肝臓以外の組織中では、増幅できるDNAが存在しないことを示し、これは肝細胞の特異的な取り込みを示す。特に興味深いのは、肺や脾臓といったマクロファージを含んだ組織中においては、検出できる取り込みがなかったことである。対照的に、トランスフェクションした動物の肺や脾臓中から、トランスフェクションされたDNAを、ウらによって記述されたアシアロ糖タンパク質受容体を用いて、受容体によって媒介されたエンドサイトーシスのための方法を用いることで、我々は検出した。我々の実験中でなされた分子リガンドの小ささが、ここに報告された特異的な取り込みの原因になっていると、我々は考えている。実施例2この実施例中では、異なるプロモーター遺伝子構成物(SV40/ルシフェラーゼ)が、異なる標的細胞結合部分を使って、異なる細胞タイプ(マクロファージ)中へデリバリーされる。序論特定の細胞による循環している糖タンパク質の認識および取り込みは、この分子表面に存在していてさらされている糖残基の性質によって決定される。特定の糖タンパク質のクリアランスシステムは、比較的限定的で、特定の種類の細胞によって媒介されている。マンノース受容体は糖タンパク質を、表面にさらされて還元されていない位置でのマンノース、グルコース、フコース、およびN−アセチルグルコサミンの残基とともに認識する。様々なタンパク質および糖タンパク質が結合共役して、分離した肺胞のマクロファージに結合したこれら炭水化物残基を運び、そしてラットの循環中へ注入したマンノース−末端糖タンパク質はインヴィヴォでクッパー細胞によって取り除かれる。逆に、ガラクトース−末端タンパク質は、これは肝細胞上のアシアロ糖タンパク質受容体によって取り除かれるのだが、これらの細胞によっては認識されることはない。この細胞−表面受容体は、循環する単球ではなく、様々なマクロファージサブタイプによって発現され、そして、マンノース−末端糖タンパク質のデリバリーおよび内面化を媒介する。このマンノース受容体は、前リソソーム区画から細胞表面への継続したリサイクルを行い、そして受容体発現はマクロファージによって調節されている。マンノース末端糖タンパク質に結合し、それ故受容体を介する遺伝子運搬の標的細胞になりうるかもしれない様々な器官(すなわち、肝臓、脾臓、肺、および骨髄)に、マクロファージは存在する。マンノース受容体を運搬する機能外来性遺伝子をデリバーする我々の能力を確かめることによって、この仮説をテストした。このレポートにおいて、マンノース−末端ネオ糖タンパク質キャリヤーを合成し、ハツカネズミの腹膜の浸出液から分離された一次ネズミマクロファージへの受容体媒介遺伝子転移のためのリガンドとして使用した、これはその表面に受容体を豊富に発現する。加えて、リポーター遺伝子を、マンノース−末端ネオ糖タンパク質キャリヤーを使用して、無傷のラットの肝臓および脾臓中のマクロファージにうまく転移させた。方法材料:DNA−修飾酵素、ヌクレオチド、および5-ブロモ-4−クロロ-3−インドール−β−D−ガラクトピラノサイドをBoehringer Mannheim(Indianapolis,Indiana,USA)から購入した。ポリ(L−リシン)、a−D−マンノピラノシルフェニルイソチオシアネートアルブミン、およびa−D−ガラクトピラノシルフェニルイソチオシアネートを含む全ての化学物質を、Sigma Chemical Conmany(St.Louis,Missouri,USA)から購入した。ルシフェラーゼ分析システムを、Promega(Madison,Wisconsin,USA)から購入した。ウサギ抗−β−ガラクトシダーゼ抗体およびフルオレセインイソチオシアネート−結合共役ヤギ抗−ウサギIgGを、5 Prime to 3 Prime,Inc.から購入した。すべての中膜、血清、および抗生物質を、Gibco Laboratories(Grand Island,New York,USA)から購入した。マンノース末端糖タンパク質キャリヤーの調製:合成の糖タンパク質キャリヤーを作成する、ここでは、平均鎖長が100(Mr 20,000Da)であるポリ(Lリシン)を、N,N−ジメチルフォルムアミドに溶解しているa−D−マンノピラノシルフェニルイソチオシアネートを使用して、糖タンパク質にした。この溶液はpH9.5の1M炭酸ナトリウムを加えることで、pH9.5に調節した。光を遮断し、22℃で16時間インキュベートしてから、溶液を5mM塩化ナトリウムに対して2日間透析した。約0.8から1.0%のポリリシン中のアミン側鎖が糖タンパク化され、これは250nmにおける吸光波長によって決定された。対照として、代替糖タンパク質キャリヤーを、a−D−ガラクトピラノシルフェニルイソチオシアネートとともに、a−D−マンノピラノシルフェニルイソチオシアネートによって合成した。レポーター遺伝子およびプラスミドの準備:発現プラスミドpGEMlucはSV40ウイルスプロモーターを含み、増大要素をP.pyralisルシフェラーゼ遺伝子に結紮した。プラスミドpCMVZおよびpCMVIL2rは、E.coli lacZおよびインターロイキンの2受容体遺伝子にそれぞれ結びついている巨細胞ウイルス(CMV)プロモーターからなり、やはりレポーター遺伝子として使用される。このプラスミドはE.coli DH5a中で成長し、抽出して、そして一般的な技術(14)を用いて生成される。制限エンドヌクレアーゼによるプラスミドの分解によって、適切な長さのフラグメントが得られ、そして、1.0%アガロースゲルによる電気泳動によって、純度が達成される。プラスミドのサイズは次の通りである:pGEMluc、6.0;pCMVlacZ、10.9、pCMVIL2r、5.4kB。プラスミドの準備において、バクテリアの遺伝子DNAは存在しなかった。マンノース末端糖タンパク質キャリヤ−DNA複合体の準備:複合体は案施例1と類似して形成されるが、しかしながら、このDNAは約80%超ヘリクス構造をとり、20%は開環構造である。細胞および細胞培養:一次マクロファージを、1mlの醸造用チオグリコレート媒介の腹膜内への注入4日後のマウスの腹膜腔から、分離した。この腹膜浸出液からのマクロファージは、前述したように集められ、そしてRPMI Media 1640中で保持した。この方法で、約5×106個の細胞を一匹のマウスから集めることができ、このうち40から75%は、形態学上の細胞の特徴および細胞化学の同定にもとづくと、単核食細胞である。トランスフェクションは、収集した1日から2日後になされる。分離した細胞は約30から60%のトランスフェクションの時点の合流がある。細胞の生存能力は、ひとつづきの細胞の数およびトリパンブルー排除によって決定される。培養中のマクロファージへのDNAデリバリー:分離1日後、マウスの腹膜腔内から分離されたこの細胞は、PBS(pH7.4)によって一度洗浄され、中膜をトランスフェクション前に素早く取り替える。5μg(0.4から0.7pmol)プラスミドを含んだ、この結合共役−DNA複合体は、培養基質に適用され、他の実験が要請されない限り、細胞上に24時間そのままの状態であることが許される。この細胞は、次にタンパク抽出のために収集しても、あるいはトランスフェクション後の幾つかの時点におけるβ−ガラクトシダーゼアッセイのために、そのまま固定してもよい。動物:平均体重が約250gである、成体のオスのスプラグドーリイラットを、エーテルを用いて麻酔した。無菌技術を用いて、300μg(20.8〜42.0pmol)のキャリヤに複合した発現プラスミドを含んだ0.3から0.6mlの溶液を、尾部の大静脈に注入した。ラットを、複合体の注入後、異なるインターバルで殺し、肝臓、肺、および脾臓をトランスフェクションした動物から分析のために取りだした。さらに、マクロファージが肺胞、骨髄、および脾臓から分離された。骨髄細胞はラットの大腿骨から得た。この大腿骨は、実験動物が殺された後に外科的に取り出されて、次に1mlの媒体を髄腔に注入し髄腔から吸引した。髄の単細胞懸濁液を、パスチュールピペットを用いて慎重に細胞を吸引することで用意した。骨髄から抽出した細胞は、RPMI Media 1640中で8〜12時間の間維持されて、スライドガラスにつけられることができ、この時点では付着した細胞は免疫細胞化学染色のために固定されている。トランスフェクションされていない動物と模擬トランスフェクションした動物を、全ての分析において、対照群として使用した。動物実験のプロトコールは、ケース ウェスタン リザーブ ユニバーシティ インスチテューショナル アニマル ケア コミティによって検査・承認された。β−ガラクトシダーゼ活性のための細胞化学的アッセイ:β−ガラクトシダーゼを発現しているそれぞれの細胞は、5-ブロモ-4−クロロ-3−インドール−β−ガラクトピラノサイド(X-gal)を前述したように用いて、以下のインキュベーションによって同定される。簡単には、この細胞を、15分間PBS中の1%グルタルアルデヒド溶液によって固定し、次に、0.5% X-galを含んだ溶液を用いて37℃で12時間インキュベートした。また、この細胞を、非特異的エステラーゼ活性のために、染色し、これは不溶性の黒灰色染料を生じる。組織培養基中の最少100個の細胞を数えてβ−ガラクトシダーゼ活性を発現する細胞の割合を決定した。組織中のβ−ガラクトシダーゼを発現しているそれぞれの細胞は、X-galを前述したように用いて、以下のインキュベーションによって同定した。簡単には、この細胞を、10分間PBS中の0.5%グルタルアルデヒド溶液によって固定し、pH7.5のPBSで2回洗浄し、次に、リン酸塩−緩衝塩水(pH7.4)中の0.5%X-gal、5mMのポタシウムフェリシアネート、5mMのポタシウムフェロシアネート、および1mM塩化マグネシウムを含んだ溶液を用いて、37℃で6時間インキュベートした。この染色された組織は、PBS中の2%パラホルムアルデヒド/0.5%グルタルアルデヒドの中で、4℃で固定し、パラフィンを一般的な操作で固定し、そして5μmの切片にカットした。切片を0.1%核fast redによって対比染色した。隣接する組織の部分も、非特異的エステラーゼ活性のために染色し、これは、黒褐色を生じる。青く染色された細胞は、分光顕微鏡によって同定した。マクロファージの細胞化学的同定:細胞および組織分画は、非特異的エステラーゼ活性として染色し、これは単核食細胞に比較的特異的である。細胞の塗抹標本は、上述のように固定し、そしてa−ナフチルアセテートおよびFast Blue BB塩を含んだ濾過溶液とともに、室温で10分間インキュベートした。組織部分はこの溶液によって1〜3時間染色し、0.1%核fast redによって対比染色した。ベータガラクトシダーゼのための免疫細胞化学染色:プラスミドpCMVZでインヴィヴォでトランスフェクションした組織(脾臓および骨髄)から単離した細胞中のトランスジーンの発現は間接免疫螢光法によって測定した。細胞塗抹標本は、室温で2分間メタノール/アセトンで固定し、細胞を37℃で1時間ラビット抗−b−ガラクトシダーゼポリクローナル抗体でインキュベーションした。最初の抗体を固定した細胞塗抹標本の疫検出用PBS中で1:100に希釈した。PBS中で1:100に希釈した抗ラビットイムノグロブリンGを結合したフルオレセインイソチオシアネートを二次抗体として使用した。また細胞は、細胞核に赤い螢光を生じるヨウ化プロピジウムで対比染色した。各インキュベーションの間で、細胞を3回5分間PBSで洗浄した。染色した細胞を螢光顕微鏡で調べた。ルシフェラーゼ活性用アッセイ:培養細胞を上記のように収集し、溶菌し、前記のようにルシフェラーゼ活性を分析した。動物を犠牲にしてそのまま50ミリリットルの冷PBSでpH7.5にて潅流した後、トランスフェクションしたコントロールラットから組織を収集した。組織は溶菌緩衝液中で均質にし、10分間22℃でインキュベーションさせた。細胞溶菌液を次に5分間4℃で遠心分離し、蛋白質抽出物をルシフェラーゼ活性について分析した。溶菌液は蛋白質含量についてアッセイし、測定した積算した光単位を全蛋白質含量に対して標準化した。全測定は3回行い、平均値で表した。統計学上の分析:データーは平均値(SEM)の±標準誤差で表し、スチューデント−ニューマン−ケールス(SNK)試験を使用して分散量を分析して評価した。結果マンノース終結糖蛋白質キャリヤを使用する一次マクロファージのインヴィトロトランスフェクションリポーター遺伝子としてE.coli lacZ遺伝子を符号化する発現プラスミド(pCMVZ)を使用して、プラスミドおよびマンノース終結糖蛋白質キャリヤのコンプレックスをマウスから単離した細胞腹膜滲出物に塗布した。トランスフェクション24時間後、細胞をβ−ガラクトシダーゼ活性について試験した。トランスフェクションした細胞の数は試験した全細胞の5から26パーセントまで変化した。さらに、非特異的エステラーゼ活性、トランスジーンを発現する単核細胞およびマクロファージの細胞化学マーカー特性をもつ細胞の割合は40%から75%までの範囲だった。キャリヤに結合した無関係のプラスミド(pGEMluc)またはガラクトース終結糖蛋白質キャリヤに結合した発現プラスミド(pCMVZ)からなるコンプレックスを使用するトランスフェクションは、滲出物細胞では有意のβ−ガラクトシダーゼ活性はない。薄い青色の染色がこれらのコントロール細胞に見られ、これは内生のβ−ガラクトシダーゼ活性に起因するものであるらしい。それにもかかわらず、コントロール中の青色染色細胞の割合お強度はトランスフェクションしたディッシュのものよりも著しく小さかった。マンノース終結糖蛋白質キャリヤ−DNAコンプレックスは、細胞数およびトリパンブルー染色に基づき、処理後に変わりやすい細胞の割合が、コントロールとは有意差が無かったので、細胞に対して毒性がないことを示した。マンノース終結糖蛋白質キャリヤと発現プラスミドpGEMlucのコンプレックスを、期間を増やすために腹膜滲出物から単離した細胞に塗布し、ルシフェラーゼ活性を、トランスフェクションに続いて24時間トランスフェクションした細胞の蛋白質抽出物で測定した。先の実験で注目されるように、転移した遺伝子の発現水準は変わった。トランスフェクションした細胞における関連するルシフェラーゼ活性の増加は8倍であり(p<0.01)、これに対して、ガラクトース終結糖蛋白質キャリヤを使用して生成したコンプレックスで処理した細胞から得られた蛋白質抽出物はトランスフェクションしていないコントロールとは有意に異なる活性を示さなかった。さらに、マンノース受容体をキャリヤと競争しなければならないトランスフェクション直前に、培養基にコンプレックスに対して百倍のモル過剰のマンノシル化ウシ血清アルブミンを添加すると、リポーター遺伝子の取り込みと発現を完全に阻害した(p<0.01)。これら細胞のトランスジーン発現の持続時間も試験した。マンノース終結糖蛋白質キャリヤと発現プラスミドpGEMlucのコンプレックスを、24時間細胞に塗布し、蛋白質抽出物をトランスフェクション後数時間の時点でルシフェラーゼ活性についてアッセイした。最適のトランスジーン発現は処理後1日で検出され、ルシフェラーゼ活性はトランスフェクション8日後にコントロール水準まで減少した。マンノース終結糖蛋白質キャリヤを使用するマクロファージのインヴィヴォトランスフェクションマンノース終結糖蛋白質キャリヤを使用してリポーター遺伝子を無傷の動物の脾臓および肝臓に移した。ラットに麻酔をかけ、300μgのプラスミド(pGEMluc)をマンノース終結糖蛋白質キャリヤに混合し、数分間にわたり尾部の大動脈に徐々に注入した。コントロールと、キャリヤに結合した無関係のプラスミド(pCMVlacZ)からなるコンプレックスを使用する動物の模擬トランスフェクションも並行して行った。全動物に残存したコンプレックスを注入した。肝臓、肺、および脾臓から抽出した組織ホモジェネート中のコンプレックスを注入した4日後にルシフェラーゼアッセイを行った。トランスフェクションした動物から得られた脾臓からの蛋白質抽出物に有意の水準のトランスジーン発現を認めた。さらに低い水準のルシフェラーゼ活性を肝臓と肺に見出した。トランスフェクションしていないラットと、マンノース終結糖蛋白質キャリヤに結合した無関係のプラスミド(pCMVlacZ)からなるコンプレックスで処理した動物は、どの組織からの蛋白質抽出物も有意のルシフェラーゼ活性はなかった。トランスフェクション12日後、ルシフェラーゼ活性は試験した全組織でバックグラウンド水準に近づいた。トランスジーン発現の細胞分布を、pCMVlacZを含むコンプレックスを注入した3日後に脾臓および肝臓の切片で試験した。組織は、細胞化学染色によってb−ガラクトシダーゼ活性について分析した。コンプレックスで処理した動物はコントロールとして使った無関係のプラスミド(pCMVIL2r)を使用して作った。ベータ−ガラクトシダーゼ発現は、細胞化学染色に基づいて非特異的エステラーゼ活性を発現した細胞の分布に従った被膜下の領域にある脾臓の小細胞を数個検出した。コントロールの脾臓の対応する細胞にはベータガラクトシダーゼ活性は見られなかった。希有青色染色細胞はトランスフェクションした動物の肝臓部分に存在し、やはり表面マンノース受容体をもつ肝臓内皮細胞はトランスジーンを発現しなかった。また核をもつ細胞は脾臓から単離されインヴィトロで染色した。さらに、トランスフェクションした動物とコントロールの動物の骨髄と気管支肺胞性の洗浄液から抽出した細胞もまた、X−galを含む溶液で処理し、ベータ−ガラクトシダーゼ活性について試験した。脾臓から得られた約10−20パーセントの核のある細胞が青色に染色した。模擬トランスフェクションした動物からの希有細胞も薄く青色に染色し、これは内在性β−ガラクトシダーゼに起因するらしい。それにもかかわらず、コントロール中の青色染色細胞の割合と強度はコントロール動物に見られたものよりも有意に小さかった。細菌のベータ−ガラクトシダーゼに向けたポリクローナル抗体を、トランスジーン生成物の免疫細胞化学の局在化に使用し、脾臓中の青色染色細胞が内生のベータ−ガラクトシダーゼまたはX−galの非特異的加水分解によるものではないことを確立した。核をもつ細胞は、上記の動物の脾臓と骨髄から単離し、ベータ−ガラクトシダーゼおよびフルオレセインイソチオシアネート複合抗ラビットに向けた抗体で染色し、免疫螢光を試験した。細胞化学アッセイで示された青色染色細胞と形態学的に似ている幾らかの単離した細胞は、免疫螢光染色性があった。さらに、これらの細胞は非特異的エステラーゼ活性があった。論考培養物のマクロファージおよび全動物の肝臓への機能遺伝子の転移を媒介できる合成糖蛋白質コンプレックスを開発した。マンノース終結糖蛋白質キャリヤに非共有結合した発現プラスミドは、マンノース受容体を発現する細胞に有効に導入することができる。受容体媒介遺伝子転移系によるDNAのデリバリは標的細胞の表面に存在する受容体に依存する。アシアログリコプロテイン受容体を発現できない細胞は、この系によってはトランスフェクションされなかった。マクロファージに加えて、マンノース受容体を発現できない腹膜の滲出物に存在する他の細胞のタイプ、すなわち、顆粒性白血球、リンパ球および繊維芽細胞はトランスフェクションされなかった。リポーター遺伝子の発現は、マクロファージ同定に使用した細胞化学マーカーに頼る非特異的エステラーゼまたはペルオキシダーゼ活性のいずれかをもつ細胞に局在していた。特異的受容体についてリガンドの特異性および親和性は外因性遺伝子のデリバリにかなり重要である。マクロファージはマンノース終結糖蛋白質を高い親和力と特異性で結合する。マンノース終結糖蛋白質キャリヤはリポーター遺伝子を培養基および無傷の動物のマクロファージにうまく導入したが、トランスジーン発現はガラクトース終結糖蛋白質キャリヤを使用してトランスフェクションした細胞中に検出されなかった。培養基中に存在する糖蛋白質に従属する飲作用または食作用の非特異的増加による取り込みは現れない。プラスミドのデリバリと発現は、マンノース受容体の結合部位について恐らく競争するであろう培養基にマンノシル化牛血清アルブミンを添加して阻害される。最後に、マンノース受容体はまた、暴露位置でグルコース、フコース、およびN−アセチルグルコサミン残基をもつ糖蛋白質を認識するので、マンノースに代わる単糖類を置換するとDNAキャリヤコンプレックスの親和力を増加する。さらに、単糖類は多価糖蛋白質よりも受容体に対して不十分なリガンドなので、遺伝子転移効率はオリゴ糖、即ちオリゴマンノースに炭水化物残基を変えることによって潜在的に改善することができる。標的細胞に転移した遺伝子の発現の水準を決定する際の主な因子は、核への外因性DNAの生存とデリバリを含む。受容体媒介機構によって導入された遺伝子の発現はエンドソームの区画中のコンプレックスのトラッピングと分解によって制限することができる。マンノース終結糖蛋白質は、受容体媒介エンドサイトーシスによってマクロファージに導入され、プリリソソーム酸性区画にデリバリされて、続いて二次リソソームに送られる。明らかに、発現されるトランスジーンのために細胞にコンプレックスが入った後に転移したDNAは分解を避けなければならないので、導入された結合部分は分解を防止する。これらのデリバリ系によって細胞中に転移したDNAの物理的状態は、生存と続く発現に貢献することができ、DNAが非常に緊密な形でヌクレアーゼ消化に一層耐えられる。さらに大きさが小さいキャリヤ−DNAコンプレックスもまた、食作用によるものではなく、特異的にマンノース受容体を介してプラスミドを網内系の細胞に導入できる。この研究は、マンノース受容体を標的にすることによってマクロファージに特異的に向かう遺伝子転移の可能性を示しており、理論的にゴーシェー病のような代謝の種々の先天性のエラーの治療に近づくことができる。またマンノース受容体を標的にする薬理学療法がゴーシェー病の患者に有効であることが示された。修飾したヒトグルコセレブロシダーゼで感染個体を繰り返し治療すると、外の炭水化物部分が分解し終結マンノース残基をさらし、病気が実質的に臨床的に改善され、肝脾腫を小さくして貧血を解消した。不幸にも、この治療のコストは多くの患者には高すぎた。骨髄移植は非神経病の形の病気に効くことが示されたが、移植の潜在的合併症が多くの患者、特に軽い病気の個体では、その実施を阻んでいる。しかし、ゴーシェー病は骨髄移植によって癒されるので、ゴーシェー病の遺伝子治療のために提案されたひとつの可能性のあるアプローチは正常のグルコセレブロシダーゼ遺伝子を自家移植した造血幹細胞に生体外移植し、次に患者の中に導入することを含む。あるいは、リンパ芽球は冒された個体から収集でき、複製−不全の、野性型遺伝子を含む組み換えレトロウイルスで感染させ、患者に戻すことができた。分泌した酵素はマンノース受容体を介してマクロファージに入り、従って治療の二次標的になる。この系では、マクロファージは遺伝的修正のための一次標的である。発現の遺伝子デリバリの有効性、持続時間および発現水準に関する実際的な疑問は、この技法を用いて達成され、DNA−キャリヤコンプレックスの免疫学的性質が扱われる必要がある。それにもかかわらず、受容体媒介遺伝子治療は、このような病気の治療に健康な組織を冒すことなくアプローチする可能性をもっている。実施例3また気道上皮に発現するラット多因子免疫グロブリン受容体に向けたモノクローナル抗体のFab断片を使用した。Fabペプチドはポリ−L−リシンに共有結合し、下記方法を用いてSV40−ルシフェラーゼ発現ベクターに結合する。DNAコンプレックスを注入したラットは、受容体を発現した組織にだけ8日間の長さで(実験の継続期間)ルシフェラーゼ活性をもった。これらの発見はDNAを成体動物の特異的組織にデリバリするためのこのシステムの融通性を強調している。序論気道への遺伝子転移の幾つかの方法は、機能性遺伝子をインヴィヴォで細胞に導入するように開発された。しかし、これらの方法の多くは特異性が不足しており、細胞毒がある。複製欠失の組み換えアデノウイルスを使用してリポーター遺伝子を、種々の動物モデルの呼吸上皮細胞にデリバリしてきた。しかし、アデノウイルスを用いた治療の生理学的効果は良く理解されておらず、最近の証拠は高ウイルス力価で投与された第1世代のアデノウイルスベクターは肺の中に実質的な炎症性応答を生じることを示唆している。またリポソームを使用して、機能性遺伝子を気道上皮に転移させたが、この方法は一般に細胞には毒性があり、特異性が不足していた。受容体媒介遺伝子転移は、非感染性の非毒性のベクターを用いてDNAを特異的標的細胞にデリバリするための方法を提供することができる。この遺伝子転移の形態は、かなりの大きさのDNAプラスミドで特異的に組織を標的にし、トランスジーンだけでなく、プロモーターおよびエンハンサー要素のデリバリを可能にする。受容体媒介系の場合には、外性DNAのデリバリは、DNA−キャリヤコンプレックスの安定性、標的の細胞の表面の特異的受容体の存在と数、受容体−リガンド親和力および相互作用、およびコンプレックスの有効なインターナリゼーションに依存している。さらに、転移した遺伝子の発現はエンドソーム小嚢からの回避および標的細胞核へのトラフィッキングに依存する。受容体媒介エンドサトーシスの活用によってデリバリされる全動物のトランスジーン発現の持続時間は一般に一次的であり、治療後72時間以内にもとの水準に戻る。これは、アデノウイルス−ポリリシンおよびトランスフェリン−アデノウイルス−ポリリシンベクターを使用して、気管内経路を経て気道上皮細胞に導入されるリポーター遺伝子のためのケースであった。多因子の免疫グロブリン受容体(pIgR)を標的にするヒト気管上皮細胞の一次培養が、受容体を運ぶ細胞に特異的にトランスジーンを有効デリバリさせることをわれわれは示した。この多因子の免疫グロブリン受容体は、気道上皮および粘膜下組織の腺細胞を含めて、粘膜上皮細胞にのみ発現し、大きい分子のインターナリゼーションおよび非分解性の転移に特異的に採用される。この報告で、われわれはインヴィヴォでの多因子免疫グロブリン受容体を標的にすると、トランスフェクション6日後に最大である受容体を運ぶ細胞を含む組織中のトランスジーンの発現となることを示す。方法論材料。DNA修飾酵素、ヌクレオチド、および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドをベーリンガーマンハイム(インジアナポリス、インジアナ、USA)から購入した。ルシフェラーゼアッセイシステムはプロメガ(マジソン、ウイスコンシン、USA)から入手した。プロテインA MAPS アガロースカラムはビオラド(リッチンド、カリフォルニア、USA)から購入した。パパインとポリ(L−リシン)はシグマケミカル社(セントルイス、ミズーリー、USA)から入手し、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオネートはピエルスケミカル社(ロックフォルド、イリノイス、USA)から入手した。マウスモノクローナル抗ヒトインターロイキン2受容体抗体はダココーポレイションから入手した。(カーペンテリア、カリフォニルニア、USA)、そしてフルオレセインイソチオシアネート標識二次ヤギ抗マウス抗体はシグマイムノケミカルス(セントルイス、ミズーリー、USA)から入手した。イムノパーオキシダーゼ染色法に使用したベクダステインABC法は、ベクターラボラトリーズ(バーリンガム、カリフォルニア、USA)から入手した。全培養基、血清、抗生物質はギブコラボラトリーズ(グランドアイランド、ニューヨーク、USA)から入手した。Fab断片の調製。ラット分泌成分で免疫させたラビットから導いた抗体の単離とパパイン消化は先に述べた。簡単に言うと、ポリクローナル抗体をラビット血清から、製造元が記載しているようなプロテインA MAPSアガロースカラムを用いて単離した。単離した免疫グロブリンG(2mg)を20μgのパパインで12時間37℃で、100mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)、50mMのシステイン、および1mMのEDTAの存在で処理した。Fab断片を無傷の抗体およびFc断片からプロテインAカラムクロマトグラフィーによって分離した。無関係のFab(IFab)は免疫前のラビット血清からIgGのパパイン分解によって生成した。Fab−ポリリシン結合体の調製。ヘテロ二価架橋試薬N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)を用いて、抗−pIgR免疫グロブリンGのFab断片をポリ(L−リシン)(Mr 10,000Da)に共有結合した。Fab断片は0.1Mリン酸塩緩衝食塩水(PBS)、pH7.5中で22℃で60分間、75倍モル過剰のSPDPでインキュベーションした。2−ピリジルジスルフィド構造をFab断片に導入した後、未反応のSPDPおよび低分子量の反応生成物を透析によって除去した。修飾したFab断片のジスルフィド橋を25mMのジチオトレイトールで開裂させた。ポリ(L−リシン)とSPDPの両方を15倍モル過剰で修飾Fab断片に添加し、反応を22℃で24時間行った。結合体を透析して、低分子量の反応生成物を除去し、得られた蛋白質を0.1%SDS−7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離して分析した。先に述べたように、結合体の分析は、ゆっくり移動した蛋白質が大きさが200kDaよりも大きい蛋白質に相当することを示した。リポーター遺伝子とプラスミド調製。発現プラスミドpGEMlucはP.pyralisルシフェラーゼ遺伝子に結合したSV40ウイルスプロモーターを含んでいた。プラスミドpCMVZおよびpCMVIL2rは、それぞれ、E.coli lacZに結合したサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびインターロイキン2受容体遺伝子からなり、リポーター遺伝子として使用した。ルシフェラーゼ活性を研究するために、これらのプラスミドを無関係のDNA(IDNA)コントロールとして使用した。プラスミドはE.coli DH5aで生長させ、抽出し、標準技法で精製した。制限エンドヌクレアーゼでのプラスミドの分解は適当な大きさの断片を生成し、純度は1.0%アガロースゲル電気泳動によって立証した。プラスミドの大きさは次のようである:pGEMluc,6.0;pCMVlacZ,10.9;およびpCMVIL2r,5.4kB。バクテリヤゲノムDNAおよびRNAでの汚染はプラスミド調製で存在しなかった。Fab−ポリリシン−DNAコンプレックスの調製。キャリヤ−DNAコンプレックスは先に述べた方法を用いて生成した。動物:抗ラット分泌成分Fab抗体−ポリリシンキャリヤを使用してリポーター遺伝子を無傷の動物の気道および肝臓に移した。体重が約250gの成体の雄のスプラグ・ドーリイラットに麻酔をかけた。無菌技法を用いて、キャリヤに結合した発現プラスミド300μgを含む溶液0.3ないし0.6mlを尾部の大静脈に注射した。コンプレックスの注入後数回に分けて殺し、種々の器官を分析用に除いた。キャリヤに結合した無関係のプラスミド、または無関係のFab断片で作ったキャリヤに結合した発現プラスミドからなるコンプレックスを使用して動物の模擬トランスフェクションを、並行して行った。動物研究プロトコルを検討してケース ウェスタンェリザーブ ユニバシティ インスチチューショナル アニマル ケア コミッティによって承認された。β−ガラクトシダーゼ活性の細胞化学アッセイ:組織中のβ−ガラクトシダーゼを発現する各細胞を先に述べた5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)と用いるインキュベーションにより同定した。簡単に述べると、細胞を10分間PBS中の0.5%グルタルアルデヒド溶液で固定し、2回PBS、pH7.5で洗浄し、次に0.5%X−gal、5mMのポタシウムフェリシアネート、5mMのポタシウムフェロシアネート、および1mMの塩化マグネシウムを燐酸塩緩衝液食塩水(pH7.4)中からなる溶液で4時間、37℃でインキュベーションした。染色した組織を2%パラホルムアルデヒド/0.5%グルタルアルデヒドのPBS溶液に終夜4℃に固定し、標準法によりパラフィンを埋め込み5μmの切片に切断した。切片を核ファーストレッドで対比染色した。青色着色細胞を光学顕微鏡で同定した。最少の100細胞を数えてβ−ガラクトシダーゼを発現する切片に対する細胞の割合を決定した。さらに隣接す切片を標準プロトコルを用いてエルシァンブルー/過ヨウ素酸シッフまたはヘマトキシロン/エオシンで染色した。ルシフェラーゼ活性のアッセイ:培養基の細胞を収集し、溶菌し、先に述べたようにルシフェラーゼ活性を分析した。動物を殺して後、組織をトランスフェクションしたラットおよびコントロールラットから収集した、そしてそのまま冷PBS、pH7.5で5分間潅流した。組織を溶菌緩衝液に均質化し、22℃で10分間インキュベーションした。細胞溶菌液を続いて5分間4℃で遠心分離し、蛋白質抽出物をルシフェラーゼ活性について分析した。溶菌液を、蛋白質含量についてアッセイし、測定した積算した光単位(10秒間隔)を全蛋白質含量に対して標準化した。全測定値は3回行い平均値で表した。インターロイキン2受容体の免疫組織化学染色。プラスミドpCMVZでトランスフェクションした組織のトランスジーンの発現を間接免疫螢光法で測定した。種々の組織の凍らせた切片をアセトンで10分間−20℃で固定し、10分間22℃で処理し自己螢光を減少させた。次に切片をPBS、pH7.5の10%ヤギ血清で1時間室温でインキュベーションした。細胞は連続してマウスモノクローナル抗−インターロイキン2受容体抗体およびフルオレセインイソチオシアネート結合ヤギ抗−マウスIgGでインキュベーションした。両方の抗体をPBS中1:100に希釈し、各インキュベーションの間に、細胞を3回、5分間PBS、pH7.5で洗浄した。染色した細胞を螢光顕微鏡で調べた。結果抗−分泌成分Fab抗体−ポリリシンキャリヤを用いるインヴィヴォトランスフェクション抗−ラット分泌成分Fab抗体−ポリリシンキャリヤ−DNAコンプレックスを注射した全動物が生存した。ルシフェラーゼアッセイは肝臓、肺、脾臓、および心臓から抽出した組織ホモジネート中のコンプレックスを48時間注入して行った。トランスフェクションした動物から得られた肝臓と肺からの蛋白質抽出物のトランスジーン発現の有意な水準を観察した。ルシフェラーゼ活性はpIgRを発現しない組織の脾臓および心臓には発見されなかった。さらに、キャリヤに結合した無関係のプラスミド(pCMVlacZ)からなるコンプレックスまたは無関係のFab断片に基づくキャリヤに結合した発現プラスミド(pGEMluc)で処理した動物は、どの組織を調べても有意のルシフェラーゼ活性を示さなかった。従って、pIgRを運ぶ細胞を含む組織のみが、トランスフェクションされ、トランスフェクションは無関係のFab抗体に基づくコンプレックスを非特異的に取り込むことに帰することができない。4組織から導いた蛋白質抽出物のルシフェラーゼ活性を、コンプレックスの注射後の異なる時点で測定した転移遺伝子の発現の時間経過が明らかになった。pIgRをもつ組織の肝臓および肺中に持続したルシフェラーゼ活性は、それぞれ注射後4日ないし6日に、蛋白質抽出物ミリグラムにつき、最大値13795±4431および461402±230078の積算光単位(ILU)に達した。受容体を発現できなかった組織は有意のトランスジーン発現を持たなかった。トランスジーン発現の細胞分布は種々の組織の切片で試験した。pCMVlacZを含むコンプレックスを注射した3日後に、気管、肺、および肝臓の組織切片はb−ガラクトシダーゼ活性の細胞化学染色を示した。コンプレックスで処理した動物は、コントロールとして供給された無関係のプラスミド(pCMVIL2r)を使用して作った。気管での発現は、上皮表面に並ぶ細胞に制限された。β−ガラクトシダーゼ活性は模擬トランスフェクション動物からの気管切片に検出されなかった。トランスジーンの発現は変わりやすく、青色に染色した細胞の50%以上が呼吸器上皮の領域にあった。一般に、気管上皮細胞の10〜20%の範囲で発現した。気道の近接切片のアルシャンブルー/過ヨウ素酸シッフ染色に基づいて、繊毛のあるそして分泌性の(杯状)呼吸上皮細胞はβ−ガラクトシダーゼ活性を発現した。トランスジーンからの発現は末端気道または肺胞のいずれにも、トランスフェクションまたはコントロールの動物に検出されなかった(データーは示されていない)。これは上皮細胞の分布が、そのまま免疫細胞化学染色に基づくpIgRを発現することと適合している。希有な粘膜下組織腺は気管切片にあり、かすかな青色染色のみを示した。炎症性の反応は、非−、模擬−、およびトランスフェクションした動物からの気管切片のどれにも見られなかった。さらに、ヒトインターロイキン2受容体に向けたマウスモノクローナル抗体、インヴィトロで呼吸器上皮細胞の形質導入のリポーターとして使用されたがこれらの細胞中では自然には発現されない表面蛋白質を、プラスミドpCMVIL2rでトランスフェクションした動物の気管中のトランスジーン生成物の免疫螢光局在化に使用した。気管の連続切片は螢光の存在を調べ、トランスフェクションした動物からの多くの呼吸器上皮細胞の先端膜は適当に染色した。pCMVlacZで模擬トランスフェクションした動物の気道上皮には特定の螢光染色は検出されなかった。希有な青色染色肝細胞もまたトランスフェクションした動物の肝臓切片に見出された。トランスジーン発現は非−または模擬−トランスフェクションラットのいずれからの肝臓にも検出されなかった。討論ポリ(L−リシン)に結合し、プラスミドDNAに非共有的に結合したラット多因子の免疫グロブリン受容体に向けた免疫グロブリンGのFab断片からなる目標コンプレックスの注入に続いて、インヴィヴォでの気道上皮へのリポーター遺伝子の転移に成功したことを我々は報告する。この技法は特異的にトランスジーンを肝臓および肺にデリバリして組織中の受容体が発現される。脾臓および心臓のように、受容体を発現しない他の組織は、トランスフェクションされなかった。さらに、無関係のFab断片で調製した結合体の次の注入では、発現は検出されず、無関係のリポーター遺伝子を含むプラスミドで調製したコンプレックスもルシフェラーゼ活性を検出することができなかった。従って、このコンプレックスは受容体を運ぶ組織を特異的に標的として、受容体の自然のリガンドの通常のトラフィッキングは、インヴィヴォでのトランスジーンの取り込みを妨害しない。現在入手できる呼吸管への遺伝子転移のための戦略の多くは、呼吸上皮細胞を特異的に標的にしないウイルスベクターに依存しており、気道を標的にするデリバリの気管内経路に依存している。気管内点滴注入もまた、気道上皮に対して、リポソームおよびアデノウイルス−トランスフェリン−ポリシンのような、他の手段によって特異的に遺伝子転移に向けるように使用されてきた。カチオンリポソームに結合したDNAの組織デリバリはは、選択的ではなく、機能性遺伝子を異なる組織中の多数の細胞タイプに移す。pIgRを運ぶ細胞のための受容体媒介遺伝子転移の特異性は、嚢胞性繊維症の患者の気道中の欠陥のある細胞を標的にする際に有用である。実施例4家族性過コレステリン血症(FH)は電撃様のアテローム性動脈硬化症および心臓欠陥症に特徴のあるヒト遺伝病である。低密度リボ蛋白質(LDL)の取り込みを媒介する受容体のための遺伝子の突然変異は、この病気の原因である。500人に1人はFHの原因であるLDL受容体遺伝子中の突然変異体に異型接合性がある。その結果、LDLは正常割合の3分の2のみが血漿から除かれる。40ないし50年の寿命で、血漿中高水準のLDLがこれらの患者の症候的なアテローム性動脈硬化症の原因である。FH−同型接合体(百万人に1人)は、突然変異体によって影響される蛋白質のドメインに依存して、LDL受容体が殆どないかまたは機能しない。これは20才前の症候的な冠動脈アテローム性動脈硬化症となる。胆汁酸結合レジンおよびコレステロール合成のインヒビターによる治療は、単一の正常遺伝子からのLDL受容体の生産を刺激することによって異型接合性FH患者にかなり成功している。FH同型接合体では薬物治療に反応しない。刺激できる正常遺伝子がないため、突然変異させた遺伝子の置換が、同型接合性FH患者の治療のための唯一可能なアプローチである。肝臓はLDL異化作用に応答する主器官であるから、病気の治療に取り入れられる2つのアプローチがこの器官を標的にする:肝臓移植および遺伝子治療である。正常肝臓をFHをもつ患者に移植すると脂肪過剰血症を癒すが、肝臓LDL受容体の再構成が表現型の改善に十分であることを示唆している。この結果に基づいて、FHの治療に遺伝子療法を使用して行われるアプローチが肝細胞を標的にしてきた。病気のメカニズムを理解するために、生物体内のコレステロールの代謝/最終結果に気付く必要がある。各細胞は血漿膜の合成にコレステロールを必要とする。副腎および卵巣中の黄体は、さらに、ステロイドホルモンを合成するためにコレステロールを必要とする。肝臓は胆汁酸の生成のために最も高く要求する器官である。コレステロールは、血液中の内生コレステロールの主キャリヤである低密度リポ蛋白質(LDL)の受容体媒介取り込み、または生合成によって周辺組織から得られる。HMG CoAリダクターゼは経路中の割合を決定する酵素である。食餌のコレステロールは、肝臓中の特異的受容体によって取り込まれるキロミクロン粒子によって血流に運ばれる。コレステロールをもつ異なる組織を用意するために、肝臓は、トリグリセリド、コレステリルエステルおよびアポ蛋白質C、EおよびB−100からなる非常に低密度のリポ蛋白質(VLDL)粒子を分泌する。脂肪組織および筋肉によるVLDLからのトリグリセリドの取り込みは、これらの粒子を中間密度リポ蛋白質(IDL)に変える。LDL受容体は肝臓および副腎に高濃度で存在するが他の組織にも存在し、IDLのアポEおよびアポB−100を認識する。従って、正常の状態では、LDLはLDL受容体媒介取り込みによって血流から大部分一掃される。残っているIDLはLDLに代わり、同様にアポB−100を認識するLDL受容体によって取り出される。器官からコレステロールの一掃は肝臓で行われ、胆汁酸に代わり、消化管に分泌される。大部分のコレステロールは肝臓の再利用のために末端回腸に再吸収されるが、この経路は出口経路を提供する。従って、血液からIDLおLDLを一掃できない非機能性LDL受容体の存在は、血清LDL、従って、全血清コレステロールの水準を高めることになる。これは動脈壁のコレステロール沈着、従ってアテローム性動脈硬化症の原因となる。ワタナベ遺伝性脂肪過剰血症(WHHL)ラビットを先に使用してコレステロール過剰血症を癒す際の遺伝子治療技法の有効性を研究した。FH患者に見られる突然変異の1クラスに似ているLDL受容体のリガンド結合ドメインの12個のヌクレオチド組織内欠失は、FHのそれと並行している症状、展開および組織変化となる。材料および方法DNAプラスミドの構築この研究で使用されるプラスミドDNAはpLDLR−17、PCK−hLDLR、PCK−rLDLRおよびSV40−ルシフェラーゼである。pLDLR−17は、ドクター ディビッド ラッセル(テキサス大学、メディカルセンター、ダラス)によって提供され、ヒトLDL受容体cDNAに結合したサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター/エンハンサーからなる。これはヒトLDL受容体cDNAに結合したアルファルファ・モザイク・ウイルス4(AMV4)RNAの5’非翻訳領域(UTR)に対応するDNAの断片を含む。この配列は蛋白質合成の開始因子の必要性を減らすことによって翻訳エンハンサーとして働く。PCK−hLDLRプラスミドはpLDLR−17からのhLDL受容体DNAを、ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PEPCK)プロモーター(−460ないし+73)および、サルのウイルス40(SV40)小T抗原からのイントロンおよびポリアデニル化信号を含むpTZ18Rベクターにサブクローニングすることによって構築された。2段階方法では、hLDL受容体cDNAは、pLDLR−17からのSacIとSmaIで切除しT4DNAポリメラーゼを使用して鈍くした。ブルント(blunt)した断片をpTZ18RベクターのHincII部位にサブクローニングした。次にcDNAをXbaIとSalIで切除し、pTZ18R−PEPCKプロモーター−SV40ポリAプラスミドの相同部位に導入した。pPCK−rLDLRを構築するためにラビットLDL受容体cDNAを含むprLDLR−9からのEcoRI−EcoRI断片(ドクター ジェイムス ウィルソン、ペンシルベニア大学)をpブルースクリプト(Stratagene)のEcoRI部位にサブクローニングした。この構築物をSacIで消化しブルントし次いでXbaIで消化し、PEPCKプロモーター(−460ないし+73)およびSV40小T抗原からのイントロンおよびポリアデニル化信号を含むpTZ18RベクターのXbaI−ブルントHindIII部位に指向的にサブクローニングした。SV40−ルシフェラーゼプラスミド(プロメガ)はSV40ウイルスプロモーターおよび、pUCベクター(ファーマシア)に挿入したP.pyralisルシフェラーゼ遺伝子に結合したSV40ウイルスプロモーターとエンハンサーを含む。ポリ−L−リシン−DNAコンプレックスの生成ガラクトシル化ポリ−L−リシンの生成。ポリ−L−リシンは上記のようにガラクトシル化した(PNAS)。2mgのポリ−L−リシン−HBR(シグマP−780、平均鎖長、100)を85mgのa−D−ガラクトピラノシルフェニル−イソチオシアネート(シグマG−3266)と反応させた。溶液に1/10容量の1M炭酸ナトリウムpH9を添加してpH9に調整した。チューブをアルミ箔で遮光し、16時間室温で混合し、次にスペクトラ−プロ透析チュービングを用いて(3500M.W.カットオフ)緩衝液を何回も変えて(1日4回)2日間500mlの5mM NaClで透析した。反応物は化学量論量であり、溶液中に存在する0.8ないし1%のNH3基をガラクトシル化している。DNAの凝縮のための基本プロトコル。プラスミドDNAを標準技法を使用して調製した。1mMのEDTAを含む10mMトリス−HCl、pH8.0にDNAを懸濁させ、DNA濃度を分光光度計で測定した。DNAの調製は2回RNAse A+T1で処理した。この工程はRNAが溶液中に存在しないことを確認する(RNAはポリ−L−リシンによってDNAの凝縮を示す)。高濃度のDNA(1.5−2mg/ml)をさらに次の工程に使用した。DNA凝縮のための代表的なプロトコルは次の通りである:a)200mlの0.75M NaCl(5M NaCl溶液から添加した)中に300mgのDNAを、VIBRAX装置(IKA−VIBRAX−VXR)を使用して中間速度で渦巻攪拌する。この工程には高塩溶液中のDNAポリマーの有効な長さを増加して、DNA中心軸にポリ−L−リシン部分を有効に結合させる必要がある。b)200mlの0.75M NaCl(5M NaCl溶液から添加した)中に120mgのポリ−L−リシンまたはガラクトシル化ポリ−L−リシン(平均鎖長100)を、5μlのアリコートで30分ないし1時間かけて滴加した。この量は1DNA PO4-基対1キャリヤNH3+基のモル比に言い換えられる。c)溶液はプロセスの終りには濁る。5M NaClの3μlのアリコートを一滴ずつ攪拌溶液に濁りが目視で見えなくなるまで添加する。この工程はゆっくりと、5M NaClの各新しいアリコートを添加する間60秒間である。次に溶液を円偏光二色分光器モニタリングにかける。また、DNA/ポリ−L−リシンコンプレックス溶液はJEOL−100C電子顕微鏡を用いて分析した。凝縮工程は、DNAコンプレックスの診断スペクトルが観察されるときに完了し、さらにEMによって確認する。同じ濃度のヌクレオチドで同じプラスミドDNAにあるDNAコンプレックスを次に調製するために、CDでモニターしないでプロトコルを続けることができる。異なる濃度のDNAまたは異なるプラスミドを使用するときは、CDモニタリングを繰り返す必要がある。動物6匹の成体雄ラビット(2.8−3.2kgの体重)をこれらの研究に使用した。これらの動物はナショナル・インスチチュート・オブ・ヘルスで確立したコロニイから購入した。DNAコンプレックスを動物に入れるため、ラビットの末端耳静脈に3−10mlのDNAコンプレックス溶液(〜400−900mM NaCl)を1回注射した。約1.5mlの血液を4p.m.に耳動脈から取り出した。血清コレステロールの濃度の測定は、300μlの血清からクレベランド大学病院の臨床実験室で行った。DNAコンプレックスを導入した後、異なる時間に、ラビットを肝臓バイオプシーに委ねた。肝臓試料から全DNAを単離しPCR増幅を行い転移したDNAの存在を検出した。ラビット#774はロバスタチン(Mevacorp Merck and Dohme)で経口により1日10mg投与して処理した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅処理した動物の肝臓中に転移したDNAの存在を検出するため、全DNAをバイオプシーの際に得られた肝臓試料から単離した。ラビット#737の場合に、関係するDNAを次に、PEPCK遺伝子の5’UTRのエキソン1の部位32−50に相当する上流プライマーおよび、ヒトLDL受容体cDNAのヌクレオチド589−607に相補てきな下流プライマーを使用して、PCRによって増幅した。増幅した断片は、32P−dCTPで標識を付けたヒトLDL受容体cDNAに相当する700bp断片でのハイブリッド形成の際の1100bpバンドに相当する。キメラCMV−hLDLに相当する適当なプライマーは、ラビット#774から得られた肝臓組織からの転移プラスミドのPCR増幅に使用される。ELISA新しく調製したガラクトシル化−ポリ−L−リシン/DNAコンプレックス、プラスミドDNAまたはガラクトシル化−ポリ−L−リシンのいずれかのDNA1μgに相当する75μgのアリコートを、96ウェルミクロタイタープレートの各ウェルを被覆して終夜4℃でインキュベーションした。次の日、ウェルを3回リン酸塩緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、次いで2時間37℃でPBS中の5%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングして3回PBS中の1%BSAおよび0.5%Tween−20を含む洗浄緩衝液で洗浄した。1:3および1:30の希釈率でDNAコンプレックスを繰り返し投与する前および後の異なる時点で得られたラビット#774から得られた75μlの血清を、ウェルに添加し、37℃で90分間インキュベーションした。次にウェルを緩衝液で洗浄し、1:3000の希釈率で二次抗体を用いてインキュベーションした。二次抗体はアルカリ性ホスファターゼ(シグマ)に結合したラビット免疫グロブリンに対してマウスモノクローナル抗体からなる。洗浄緩衝液での最後の洗浄の後に、グリシン緩衝液中の1mg/mlでのpNPP基質をウェルに添加し、反応物を現像し410nmでの分光光度計の読み取りをDynatech自動化ELISAリーダーで行った。120分に読み取った数値を比較のために選択した。結果1.ラビット#676:キメラPCK−hLDLR遺伝子3mgを含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの注入第1組の実験では、われわれわの実験室で開発した技法を使用してガラクトシル化ポリ−L−リシンで3mgおよび9mgのpPCK−hLDLRを凝縮し、それらをワタナベラビットの末梢循環系に注射した。ラットからのホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PEPCK)の細胞質ゾルの形の遺伝子からのプロモーターの特徴を詳細に述べた。このプロモーターは、肝臓中で高水準で発現され、食餌とホルモンでコントロールできるので、これらの実験で使用した。飢餓および高蛋白質、炭水化物を含まない食餌はPEPCK遺伝子転写を刺激するが、高炭水化物食餌はPEPCKプロモーターからの転写を減らす。さらに、cAMPおよびグルココルチコイドは、肝臓中のPEPCK遺伝子の発現を促し、インシュリンは阻害する。PEPCKプロモーターは従って肝臓に導入される結合構造遺伝子の制御に適しており、我々の最初の実験ではLDL受容体の肝臓発現に使用された。最初のアプローチでは、3mgのDNAを含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスを注入した。このDNAの基本用量はラットで行った先の実験に基づき決定された。図13に示すように、ラビット#676に弛緩した状態でpPCK−hLDLRプラスミド3mgを含むDNAコンプレックス溶液を投与すると全血清コレステロール水準を有意に減少させることにはならなかった。同じDNA3mgを含むほぼ凝縮したDNAコンプレックスの第2の注射は、血液中のコレステロール水準を20%減少させた。この第2の投与4週間後、コレステロールはほぼ処理前の水準に戻り、約35日でピークに達した。PCK−hLDL受容体遺伝子の発現から得られた全血清コレステロール水準での20%の増加は、役に立ちそうであるが、全体的にFH患者の疾患を軽減しない。これらの実験への最初の接近で動物に導入した3mgのDNAに相当するポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの数は、肝臓中のアシアログリコプロテイン受容体の全体の数の0.01%を説明する。従って、DNAコンプレックスの増加する濃度とPCK−hLDL受容体遺伝子の発現との間に直線の相関関係が期待される。2.ラビット#737:キメラPCK−hLDLR遺伝子9mgを含むポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの注入第2の実験において、ガラクトシル化ポリ−L−リシンで適当に凝縮したPCK−hLDLR遺伝子9mgをラビット#737に投与した。図14に示すように、この処理により全血清コレステロール水準が38%減少し約5週間続いた。従って、DNAコンプレックスの用量を3倍増加すると、全血清コレステロール水準が2倍減少することになった。3.ラビット#16:CMV−hLDLR遺伝子3mgを含むDNAコンプレックスの注入PEPCK遺伝子の細胞ゾルの形のプロモーターはほとんど特異的に制御された形で肝臓中に発現させる利点がある。これらは生理的でも制御的でもないが、ウイルスプロモーターは構造遺伝子に高水準の発現を与える。キメラCMVプロモーター/エンハンサーを使用すると遺伝子転移のためのアデノウイルスを使用してWHHLラビットの遺伝子治療に成功した。最近、コザルスキイらは、CMVプロモーター/エンハンサーおよびキメラβ−アクチン/CMVプロモーターは、アデノウイルス感染を使用してWHHLラビットに転移させたヒトLDL受容体遺伝子を高発現させるために選択したプロモーターであることを報告した。これらの考察に基づき、われわれはWHHLラビットの肝臓におけるヒトLDL受容体遺伝子の発現水準を増加させるためにキメラCMV−hLDL遺伝子を注入した。キメラCMV−hLDL受容体遺伝子3mgを含むDNAコンプレックスをラビット#16に注射すると、全血清コレステロール水準が最大減少30%となった(図15)。注射して11週間後にコレステロール水準は未だ処理前に観察されたものよりも20%低い。4.ラビット#775:pCMV−hLDLR3mgを含むDNAコンプレックスを繰り返し投与DNAコンプレックス溶液に含まれた3mgのpCMV−hLDLRをラビット#775に注射して、処理3週間後に血液中のコレステロールの濃度を最大24%減少させた(図16A)肝細胞の寿命は約108−150日であることが報告されており、従って導入したDNAの持続性は限られている。さらに、より大きい治療効果はDNAを一回注入した後に関係する。従って、肝臓中のLDL受容体の適当な水準を確保するため数回患者に注射する必要がある。同じ動物に数回DNAコンプレックスを注射する効果を試験した。ラビット#775に3週間の間隔で3mgのpCMV−hLDLR DNAコンプレックスを2回注射した。コンプレックスを繰り返し投与しても、全血清コレステロール水準をさらに有意に減少することはなかった。5.ラビット#774:pCMV−hLDLR3mgを含むDNAコンプレックスを繰り返し投与ラビット#774にpCMV−hLDLRコンプレックスを3mg注射した。た。血液中のコレステロール水準の36%減少を観察した。2週間毎に1回、同量のDNAコンプレックスを4回注射した。そのうちの2回は、全血清コレステロール水準の減少はゼロであった。しかし、pCMV−hLDLR3mgを含むDNAコンプレックス溶液を5回投与した後に、コレステロールの濃度は処理前の水準に対して約48%減少した。6.ラビット#774へのロバスタチンの投与:コレステロールの内生合成の抑制序論で述べたように、細胞内のコレステロール合成のための経路がある。ヒトLDLDNAによる取り込みによってコレステロールを肝細胞が供給されるときにもこの代謝経路を抑制できないので、多分さらにコレステロールのクリアランスを阻止できるだろう。ロバスタチンはHMG CoAレダクターゼの既知のインヒビター、コレステロール合成の律速酵素である。従って、DNAコンプレックスを繰り返し注射したラビットをこの薬剤で処理して、コレステロール合成が全血清コレステロール水準を更に減少することを制限する因子であるかどうかを示す必要がある。ラビット#774は10週間1日につき10mgのロバスタインで処理した。さらに20%のコレステロール水準の減少が観察された。内生経路のコレステロール合成への阻害は従って最初の遺伝子転移前のそれの40%まで、ラビット#774のコレステロール濃度をもたらした。7.無関係のDNAを含むDNAコンプレックスの注入高NaCl濃度(〜900mM)の溶液中のガラクトシル化ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスをラビットに注射することにより全血清コレステロール水準を人工的に減少させるために、ルシフェラーゼ遺伝子のような無関係のDNAを含むDNAコンプレックス溶液をラビット#775に投与した。図17は注入が血清コレステロール濃度の非有意(≦12%)および一時的(≦5日)の減少となることを示す。さらに、またPCK−hLDLR遺伝子を符号化する不適当に凝縮したDNAコンプレックスを注射した。同様に血液中のコレステロール水準はゼロまたは最少および一時的減少となる。従って、ヒトLDL受容体遺伝子を符号化する適当に凝縮したDNA粒子を注入した後、全血清コレステロール水準の減少は、高濃度のNaCl溶液またはガラクトシル化ポリ−L−リシン/DNA粒子の存在の結果ではないことを確認した。8.ラビット#774の肝臓中での転移DNAの検出このプロジェクトに使用したDNAコンプレックスを、リガンドとしてガラクトースを使用して肝臓アシアログリコプロテイン受容体に標的にする。マクロファージは、血液から15nmよりも大きいガラクトシル化粒子を一掃することができる類似の受容体をもつことが知られている。ヒトLDL受容体DNAが肝細胞に送られることを証明するために、ラビット#737で3mgのPEPCK−hLDL受容体遺伝子を注入した60日後に肝臓パイオプシーを行った。全DNAを単離し、注射しなかったラビットの肝臓からの全DNAと共に、上記プライマーでPCR増幅をした。期待された1,100bpのバンドが処理したラビットに対応するレーンに検出されたが、処理しなかった動物には検出されなかった。9.ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスを繰り返し投与した後のラビット#774の免疫反応の評価遺伝子治療の分野で、デリバリビヒクルの免疫原性が関係することが多い。レトロウイルスベクターは免疫系によって検出を逃れることができるが、アデノウイルスベクターはできないことが報告されている。ヒトLDL受容体遺伝子のワタナベラビットに転移するためのアデノウイルス粒子の二次投与の成功は、ウイルス蛋白質に対する免疫反応の開始によって阻まれた(REFコザルスキイ)。受容体媒介遺伝子転移のためのシステムはその免疫原性に関して深くは研究されていない。アシアロオロソムコイド−ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスをマウスに繰り返し投与した後に、コンプレックスのアシアロオロソムコイドとポリ−L−リシン成分に対して抗体を中和するがDNAに対しては中和しないことが1:1000(REF)の希釈率で検出できる。フェルコルらも、マウスに繰り返し投与した後、Fab断片−ポリ−L−リシンに対して1:2000の希釈率で循環する抗体を検出したが、コンプレックスのDNA部分には検出されないことを報告した。従って、DNAの凝縮のためにガラクトシル化−ポリ−L−リシンを使用すると、同様に免疫原性であるかどうかを試験する必要がある。このために、ガラクトシル化−ポリ−L−リシン−DNAを対して抗体の存在は、繰り返しコンプレックスを投与した前後の異なる時点で評価した。最初の実験では、1μgのDNAを含むDNAコンプレックス溶液を、ミクロタイタープレートのウェルに吸収させ、次に希釈率1:3、1:30および1:300にて血清でインキュベーションした。結合した抗体を、アルカリ性ホスファターゼと結合した抗ラビット二次抗体で検出した。DNAコンプレックスを繰り返し投与した際のラビット#774の血清には抗体の増加がある。事実、DNAコンプレックスの3回目の注入後に検出できるが、1回または2回目の後には検出できないように開始した。さらに、特に希釈率1:3と1:30だけに検出される反応があった。第2の実験はDNAコンプレックスの部分が弱いが明らかな免疫反応を促すため応答性があるようにするために行った。次に1μgのDNA、新しく調製した1μgのDNAを含むDNAコンプレックスまたは対応する量のガラクトシル化−ポリ−L−リシンのいずれかをミクロタイタープレートのウェルに吸収させた。その結果は、ガラクトシル化−ポリ−L−リシン部分がほぼ全体的にワタナベラビット中のコンプレックスに対して免疫反応を促すことを説明している。討論ここに示されたデーターは本方法がWHHLラビット中の少なくとも部分的に脂肪過剰血症を癒すことができることを示唆している。図13−16はヒトLDL受容体インキュベーションを含むDNAコンプレックスの1回の注入がWHHLラビットの全血清コレステロール水準を有意に減少させることになることを明らかに示している。この減少はラビット#676の20%からラビット#737の38%までの範囲である。これに対して、pSV40−ルシフェラーゼのような関係のないプラスミドDNA(図17)、または適当に凝縮されていないヒトLDL受容体の符号化プラスミド(図17)を投与すると、血清コレステロールがゼロまたは無意味に減少することになる。ヒトLDL受容体インキュベーションの発現を制御するために2個の異なるプロモーター領域を使用した。CMV制御領域は、ラットPEPCKインキュベーションの細胞ゾルの形でのプロモーターよりも高い水準の発現をラビットの肝臓中で与えることが仮説として示唆される。この観察はすべての種については正しくない。ラビットの肝臓中のPEPCK活性は、細胞ゾルのイソ酵素によって10%だけであることが特徴である。さらに、細胞ゾルインキュベーションの刺激は2倍だけの活性誘導となる。従って、PEPCKプロモーターはこの種に最良の選択ではない。しかしPEPCK遺伝子のためのものとして生理学的にしっかりと制御されたプロモーターを使用すると、他の遺伝子病の治療のためにまたは他の種のCMVとして強いがウイルス性のプロモーターを超えるものとして良くすることができる。治療の効果の時間経過を決定するためにラビット#676、#737および#16にヒトLDL受容体遺伝子を含むDNAコンプレックスを1回注入した。血液中のコレステロール水準の減少は、ラビット#676では4週間、ラビット#737では5週間続いた。トランスフェクションしたpPEPCK−ヒト因子IX遺伝子の発現が140日間まで示されたラットで行った先の実験に基づき、長期の効果を期待した。種々の因子が、脂肪過剰血症の強制効果のこの早まった終結を説明することができる。ラビットは非常に免疫原性があるが、ラットはないことは良く知られている。ヒトLDL受容体遺伝子を導入した後にヒト蛋白質をWHHLラビットで合成することは、蛋白質水準で両方の種の間には80%のホモロジーがあるが、外来蛋白質に対して免疫反応の引金となることができる。さらに、肝細胞は寿命が限られている。ラットの幾つかの研究では肝細胞の寿命は108−150日であることを示している。この観察に基づいて、DNAコンプレックスを導入して5週間後のコレステロール水準の40%の増加は、肝臓細胞の生理学的代謝回転からのものである。しかし、この事実は100%の増加を説明できない。さらに、pPEPCK−ヒト因子IXを注入したラットに観察された長期の発現に矛盾する。ヒトLDL受容体遺伝子の発現から得られる治療効果の早まった終結に対する別の可能な説明は、転移したDNAの不活性化または分解であろう。3mgのDNAで生成されるポリ−L−リシン−DNAコンプレックスの理論的な数は肝臓中のアシアログリコプロテインの全数の0.01%を説明する。従って、DNAコンプレックスの用量の増加は治療効果を高めることになることが期待される。用量と反応の関係を研究するために、ラビット#676に3mgのpPCK−hLDLRを、ラビット#737に9mgの同じDNAを注入した。図13および14に示されるように、DNAコンプレックスの用量の3倍の増加は、コレステロール水準を2倍減少させることになる。これらのデーターは直線の関係を示さないが、用量の増加は明らかに応答性が高められたことを示す。可能性のある薬剤としてポリ−L−リシン/DNAコンプレックスを考慮する場合、同じ動物にこれを繰り返し投与することができることが好ましい。そのために、ラビット#774に2週間毎に1回3mgのCMV−hLDLR DNAを繰り返し投与した。最初の注入に続き血清コレステロール水準が36%最初減少した後に、DNAコンプレックスの繰り返しの投与の効果は一貫していなかった。ラビット#775は3mgのCMV−hLDLR DNAで3回処理した。再度、コレステロール水準が最初24%減少した後に、第2および第3の処理では明らかな効果はなかった。これらの結果について3つの説明をすることができる。まず、DNAコンプレックスはほとんど凝縮していなかった。ポリ−L−リシンとの凝縮の際にDNAは3種の構造になることができる:凝集(溶液から凝縮した粒子)、しっかりと凝縮、および弛緩。小粒子にしっかりと凝縮したDNAのみが、インヴィヴォでの遺伝子デリバリに有効である。第2に、ラビットがビヒクルに対して中和する抗体を生成中である。ポリ−L−リシン−DNAコンプレックスに対するラビット#774の免疫反応に関する幾つかの予備的データーがある。第3に、血液からさらにコレステロールを一掃するには、突然変異体の肝細胞中のコレステロールの内生代謝における欠陥によって制限される。この最後の仮定を試験するために、ラビット#774をロバスタチン(10mg/日)、HMG CoAリダクターゼの既知のインヒビターで10週間処理した。さらに20%のコレステロール濃度の減少が観察されたことは、肝細胞におけるコレステロール合成の阻害が、異種構造のLDL受容体によってLDLの取り込みの際にコレステロールを細胞に供給しないときにも、完了しないことを示唆している。ガラクトシル化−ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの免疫原生に関する仮の結果は、繰り返し投与するとワタナベラビットに免疫反応の開始の引金となることを示している。また、循環する抗体がガラクトシル化−ポリ−L−リシンを認識するが、DNA部分は認識できないことを示している。これらの結果はアシアロオロソムコイド−ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスおよびFab−ポリ−L−リシン/DNAコンプレックスの免疫原生に関する先の報告と一致する。我々の実験室で設計したコンプレックスが実際に、同じ動物に繰り返し投与した際に免疫反応を引きだすことができることは明らかであるが、非常に低い希釈率(彼等の場合には1:1000および1:2000であるのに比較して1:3および1:30)で循環する抗体を検出しただけであることに注目されなければならない。この観察は免疫系によって検出を免れるさらに良い能力を示している。それにもかかわらず、ワタナベラビットにおけるコレステロール水準をさらに低くする際に繰り返し注入できないため、免疫原生が応答できると結論するには、コンプレックスに対して中和する抗体の存在について、DNAコンプレックスを繰り返し投与する動物をさらに多くして、その血清で試験する必要がある。実施例5複合DNAと裸のDNAを筋肉に直接注入方法実験セットにつき3匹のラットをDNAコンプレックスの直接の組織注入を含む実験に使用した。SV40−ルシフェラーゼ遺伝子を含む100ミクログラムの裸のDNAを1匹の動物の肝臓および腹部の筋肉に注入した。同量のSV40−ルシフェラーゼプラスミドをポリ−L−リシンに混合し、上記のように凝縮して同様に他の2匹の動物の肝臓および腹部の筋肉に注入した。ラットを注入48時間後に殺した。一片の肝臓および腹部の筋肉をルシフェラーゼ活性の測定のために得た。結果ラットの肝臓および筋肉にDNAコンプレックスを直接注入した評価。直接注入によってマウスの筋肉細胞に裸のDNAを転移することに成功したことを報告した。ルシフェラーゼDNAに結合したロウックス・サルコマウイルス(RSV)を含むキメラ遺伝子の長期の高水準の発現が、実験で観察された。DNAが直接注入によって肝臓または筋肉に転移されなければならないとき、ポリ−L−リシンに複合しフリーDNAを使用して凝縮したDNAを用いた利点を調べた。3匹のラットをこれらの実験に使用していた。SV40−ルシフェラーゼを符号化する裸のDNA100ミクログラムを1匹の動物の肝臓および腹部筋肉に注入した。同量のポリ−L−リシンに複合し上記のように凝縮したSV40−ルシフェラーゼプラスミドを他の2匹の動物の肝臓および腹部の筋肉に同様に注入した。ラットは注入48時間後に殺した。一片の肝臓および腹部の筋肉を溶菌緩衝液中に均質化し、細胞溶菌液をルシフェラーゼ活性のために分析した。全ルシフェラーゼ測定は、3回行い、平均値で表し全蛋白質に対して標準化した。図9は、2組の異なる動物の蛋白質mg当たりの統合したルシフェラーゼ単位を示す。ポリ−L−リシンに対して複合し凝縮したDNAのトランスフェクションの効率は肝臓に注入したとき僅かに高い。しかし、筋肉組織に入れたときはさらに高い効率となることが明らかである。裸のDNAを注入ものと比較して、凝縮DNAを注入した筋肉の試料では20倍高いルシフェラーゼ活性を認めた。非常に凝縮しパッケージされたDNAはヌクレアーゼに対して保護され、さらに安定になると考える。さらに、ポリ−L−リシンは細胞内に入ると各輸送の効率を増加することができる。先ず、大きさが小さいコンプレックスは核孔を通過でき、第2に、リシンおよびアルギニンのような正に荷電したアミノ酸の鎖は種々の蛋白質中で核局在化信号(NLS)であることが知られている。肝臓と筋肉での反応が異なることに関しては、骨格筋肉細胞の特徴的な相互連結構造がそれらを細胞から細胞へのDNAの受動拡散のためにより良い標的となることが最も確からしい。これは筋肉組織に沿ってDNAコンプレックスを用意に分布させ核に輸送させる。実施例6裸のDNAおよび凝縮下DNAを脳に直接注入:インヴィヴォでのレチナールガングリオン細胞の転移序論外来DNAを成体ニューロンに挿入することは正常ニューロン生理学の研究および神経病の治療のために将来性がある。ニューロン中の遺伝子転移はウイルスベクターを使用して達成されたが、精巧な方法論を要し、通常トランスフェクションした細胞は特定のタイプのニューロンに制限できない。軸索逆行性輸送は、大多数の種々のタイプの分子を輸送することが見出された連続的生理学プロセスである。多くの分子は、吸着または流体通過粒子であろうといずれでも、エンドサイトシスを通って軸索管腔に入ることが知られている。軸索が働く場合には、細胞外空間からの可溶性粒子は軸索に拡散し細胞体に移動することができることが前提条件である。この実験では、裸のプラスミドDNAまたは緊密なスフェロイドに凝縮されたプラスミドのいずれをも試験し、視神経中の網膜神経節細胞軸索の切断端または脳の視蓋に塗布し、細胞体に戻して、蛋白質に発現させた。方法広範囲の真核生物細胞タイプに有効な3つのプロモーターの1つのコントロール下に3個のプラスミドを使用した:RSV−lacZ、CMV−lacZおよびSV40−luc。これらを1ないし20μg/μlの範囲の異なる濃度で調製した。pCMV−lacZおよびpSV40−lucはジョース・カルロス・ペラレス(PNAS,1994)によってポリ−L−リシン(1:1)で混合した。網膜ガングリオン細胞体へのプラスミドコンプレックスの後退移送の評価は、エピフルオレセンス顕微鏡FITC−ポリ−L−リシンを使用して行い、pCMV−lacZでコンプレックスを形成した。純粋なプラスミドの後退移送を評価するために、pRSV−lacZをHindIIIを用いて1つの部位で分解した。ビオチン−dUTPを次にpRSV−lacZの3’−OH末端に末端デキシヌクレオチジルトランスフェラーゼと結合させた。次にプラスミドを沈澱させてフリービオチン−dtyrpから洗浄し、2μg/μlで再懸濁させた。成体ウイスターラットを麻酔にかけ、視神経を露出させた。1.5μlのプラスミド溶液(異なる濃度およびプラスミド)を視神経を覆うように塗布した。視神経軸索を次に網膜血液供給を避けて切断した。別の1.5μlの同じプラスミド溶液を浸透ゲル泡中で塗布した。次に結合体を閉鎖した。同じ方法を非特異的プラスミドを使用して反対側の目に行った。3日後に動物を殺した。視蓋領域に直接注入するため、動物を麻酔にかけ、顕微鏡で脳の視蓋領域に裸のDNAまたは凝縮DNAを注入した。−液体β−ガラクトシダーゼアッセイのため、繰り返し解凍氷結して細胞溶菌するまで、網膜を−70℃に保持した。組織を1200rpmで2分間遠心分離し、上澄み液を収集し、蛋白質含量を分析した。360μgの蛋白質を含む溶液を、15mg/mlのコレステロール赤色B−D−ガラクトピラノシド(CPRG)を含む緩衝液Aでインキュベーションした。吸光度を記録した。−ルシフェラーゼアッセイのため、網膜の溶菌上澄み液にルシフェラーゼアッセイ緩衝液を添加して行った。試料をD−ルシフェリンを注入したルミノメーターに入れルルミネセンスを記録した。−そのままのβ−ガラクトシダーゼアッセイのため(pRSV−lacZおよびpCMV−lacZのため)、網膜を2%のホルムアルデヒドに固定し、0.5%;グルタルアルデヒド、PBSに30分間、PBSで洗浄し、6時間37℃で1mg/mlのX−gal、4mMポタシウムフェロシアニド、4mMポタシウムフェリシアニド、2mg MgCl2、PBS pH7.3、0.02%ノニデトp−40、0.01%デオキシコレートでインキュベーションした。次に組織を濯ぎ、直ぐに分析した。青色標識細胞の数を数えてトランスフェクション細胞の割合を評価した。結果1)プラスミドDNAをラットの視覚軸索の切断端に投与すると、細胞体に後退移送した。視神経の切断端にFITC−ポリ−L−リシン/pCMV−lacZコンプレックスを投与した2日後、網膜からの二重標識フィールド(焦点共有顕微鏡)を、次にヨウ化プロピジウムでインキュベーションして、FITC(緑)、ヨウ化プロピジウム(赤)および両方の二重標識(黄色)の混合物を、45%の網膜ガングリオン細胞数の約45%を示す無作為化フィールドで数えた。異なる大きさで取り出した顕微鏡フィールドは、網膜ガングリオン細胞層中に青色細胞を示し、網膜中でそのままβ−ガラクトシダーゼアッセイを続けた。20μg/μlのpRSV−lacZを切断した視神経に投与し、pSV40−lucで処理した反対側の目と比較した。β−ガラクトシダーゼにポジティブの細胞は特に網膜中のガングリオン細胞にのみ知られた範囲の大きさであった。これらの細胞は無作為フィーマドで数え、全ガングリオン細胞の35%を示すと評価された。2)網膜ガングリオン細胞中のプラスミドDNAを用量依存法で表すと、凝縮DNAは高い有効性を発現する。ラットからの網膜で、軸索切断したばかりの網膜と比較して、または非特異的プラスミドpCMV−lacZ(1μg/μl)で処理したものと比較して、濃度を増加させてpSV40−lucを投与したシビアな視神経は、ルシフェラーゼ活性がpSV40−lucの活性において濃度依存性の増加を示した。シビアな視神経にpCMV−lacZを投与したラットからの網膜のβ−ガラクトシダーゼ活性の結果は、軸索切断したばかりの網膜、または非特異的プラスミドpCMV−lacZ(1μg/μl)で処理したものと比較して、pCMV−lacZの最大濃度から最高の活性が記録されたことを示した。ポリリシンを複合させたpCMV−lacZは非特異的プラスミドよりも高いβ−ガラクトシダーゼ活性を生成した。3)この方法はそれらの計画によってニューロンタイプを制限する特異的遺伝子の移送に使用することができる。4)裸のDNAおよびポリリシン凝縮プラスミドDNAの中脳蓋内注入は高水準の発現をニューロンの細胞体に20日間以上発現することができる。DNAがポリ−L−リシンと凝縮していないとき、発現の水準は注入後10日で元に戻る(図10)。参考文献:1.円偏光二色(CD)を測定するとき、その結果は次のようである:DNAのポリカチオン凝縮によるスペクトル変化は、ほんの僅か(+);多分子コンプレックスへの凝集によるPsi型DNAとなるポリカチオン凝縮(棒状またはトロイド状)(PsiDNA);高い凝集状態で結合した異常スペクトルの出現(−)。2.電子顕微鏡は次のように示される:DNAとポリカチオンの結合は寸法が増加したコンプレックスへの凝集となる(>60nm)(凝集);凝縮から得られた構造は寸法が増加した棒状弛緩トロイドである(弛緩);ポリカチオン結合は適当な凝縮となる(トロイド直径<30nm)(凝縮)。適当に凝縮した構造(トロイド)の数は電子顕微鏡フィールドに対して測定されなかった。DNAコンプレックスの異なる調製を用いるとELでの目視できるトロイドの数の約3倍の変化がある。3.濁度の測定はDNAコンプレックスの最終溶液の目視検査に基づく。† DNAコンプレックスを導入した後に導入した遺伝子の活性の相対的表示:hFIX(ヒト因子IX)はラット血漿試料の機能的活性アッセイまたはウェスタンブロットハイブリッド形成によって測定する。βGal(β−ガラクトシダーゼ)活性はそのまま固定細胞または組織切片の組織化学によって測定する。luc(ルシフェラーゼ)活性は組織抽出物の特異的活性アッセイを使用して測定する。hLDLR(ヒトLDL受容体)はLDL受容体欠失用ラビットモデルの全血清コレステロールを測定後に直接測定した。hHG(ヒト生長ホルモン)活性はDNAコンプレックスでトランスフェクションした動物の血清中のhHG水準の直接測定である。活性は同じDNAで行った実験全部に関係する。DNAコンプレックスの導入後の検出できない活性は「−」で示す。 非凝集核酸コンプレックスから成る非天然に生じる組成物であって、各コンプレックスが単一の一本鎖又は二本鎖核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成り、前記キャリヤ分子が核酸にコンプレックスするポリカチオンを有し、そして任意に標的細胞に結合しこれによって前記コンプレックスがさらに容易に標的細胞に入ることができる標的細胞結合部分を有し、前記コンプレックスが12nm以下の直径に緻密化されている組成物。 標的細胞結合部分がガラクトース、ラクトースおよびマンノースから選択される請求項1記載の組成物。 非凝集核酸コンプレックスから成る非天然に生じる組成物であって、各コンプレックスが単一の二本鎖核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成る請求項1記載の組成物。 非凝集核酸コンプレックスから成る非天然に生じる組成物を調製する方法であって、各コンプレックスが単一核酸分子および1またはそれ以上のポリカチオンから成り、前記方法が:12nm以下である直径にコンプレックスを緻密にするために十分なカオトロピック塩濃度でポリカチオンと核酸分子を結合し、これによって非凝集核酸コンプレックスが形成され、各コンプレックスは単一核酸分子および1またはそれ以上のポリカチオンから成る方法。 非凝集核酸コンプレックスから成る非天然に生じる組成物を調製する方法であって、各コンプレックスが単一の核酸分子および1またはそれ以上のポリカチオンから成り、前記方法が:コンプレックスを形成するように溶媒中に核酸分子とポリカチオンをカオトロピック塩の存在で混合し、前記混合は追加のカオトロピック塩の不在で行われ、これによって核酸は凝集体を形成することなくポリカチオンと非凝集性コンプレックスを形成し、各コンプレックスは単一核酸分子および1またはそれ以上のポリカチオンから成り、コンプレックスは、12nm以下の直径をもつ請求項4記載の方法。 請求項5の方法によって作られた核酸と1またはそれ以上のポリカチオンの非凝集性の緻密化した核酸コンプレックスから成る非天然に生じる組成物。 (1)治療上有用な各コンプレックスが単一の核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成り、前記キャリヤ分子が核酸にコンプレックスするポリカチオンを有し、そして、任意に、標的細胞に結合しこれによって前記コンプレックスがさらに容易に標的細胞に入ることができるガラクトース、ラクトースおよびマンノースから成る群から選択される標的細胞結合部分を有し、前記コンプレックスが12nm以下の直径に緻密化されている、非凝集核酸コンプレックス、および(2)製薬学的に受容できるキャリヤからなる製薬組成物。 (1)各コンプレックスが単一核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成り、前記キャリヤ分子が核酸にコンプレックスするポリカチオンを有し、前記コンプレックスが12nm以下の直径に緻密化されている、非凝集核酸コンプレックス、および(2)製薬学的に受容できるキャリヤからなる製薬組成物。 各コンプレックスが単一のクロリドチャンネルを符号化する核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成り、前記キャリヤ分子が核酸にコンプレックスするポリカチオンを有し、そして、任意に、標的細胞に結合しこれによって前記コンプレックスがさらに容易に標的細胞に入ることができるガラクトース、ラクトースおよびマンノースから成る群から選択される標的細胞結合部分を有し、前記コンプレックスが12nm以下の直径に緻密化されている、非凝集核酸コンプレックスからなる、嚢胞性繊維症の予防または治療用製剤。 各コンプレックスが単一のヒトLDL受容体を符号化する核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成り、前記キャリヤ分子が核酸にコンプレックスするポリカチオンを有し、そして、任意に、標的細胞に結合しこれによって前記コンプレックスがさらに容易に標的細胞に入ることができるガラクトース、ラクトースおよびマンノースから成る群から選択される標的細胞結合部分を有し、前記コンプレックスが12nm以下の直径に緻密化されている、非凝集核酸コンプレックスからなる、家族性過コレステリン血症の予防または治療用製剤。 各コンプレックスが単一のヒト因子IXを符号化する核酸分子および1またはそれ以上のキャリヤ分子から成り、前記キャリヤ分子が核酸にコンプレックスするポリカチオンを有し、そして、任意に、標的細胞に結合しこれによって前記コンプレックスがさらに容易に標的細胞に入ることができるガラクトース、ラクトースおよびマンノースから成る群から選択される標的細胞結合部分を有し、前記コンプレックスが12nm以下の直径に緻密化されている、非凝集核酸コンプレックスからなる、血友病Bの予防または治療用製剤。