タイトル: | 特許公報(B2)_フッ素含有ジハロメタン類の製造および塩素含有ジハロメタン類とHFの共沸物の製造 |
出願番号: | 1995513331 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 17/20,C07C 17/35,C07C 19/08,C07C 19/12,C07B 61/00 |
フアーマネク, ポール・エス グラスコツク, デイビツド・エイ キーン, マイケル, ジユニア マーラー, バリー・エイ ラオ, ベリヤー・ノツト・マリカージユナ JP 4087899 特許公報(B2) 20080229 1995513331 19941031 フッ素含有ジハロメタン類の製造および塩素含有ジハロメタン類とHFの共沸物の製造 イー・アイ・デユポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 小田島 平吉 深浦 秀夫 フアーマネク, ポール・エス グラスコツク, デイビツド・エイ キーン, マイケル, ジユニア マーラー, バリー・エイ ラオ, ベリヤー・ノツト・マリカージユナ US 08/146,334 19931101 20080521 C07C 17/20 20060101AFI20080424BHJP C07C 17/35 20060101ALI20080424BHJP C07C 19/08 20060101ALI20080424BHJP C07C 19/12 20060101ALI20080424BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080424BHJP JPC07C17/20C07C17/35C07C19/08C07C19/12C07B61/00 300 C07C 17/20 C07C 17/35 C07C 19/08 C07C 19/12 C07B 61/00 特開昭59−225131(JP,A) 国際公開第93/021140(WO,A1) 国際公開第93/004024(WO,A1) 国際公開第93/002029(WO,A1) 特開平06−263658(JP,A) 10 US1994012473 19941031 WO1995012563 19950511 1997504552 19970506 13 20011029 吉良 優子 発明の分野本発明は、ハロカーボン類およびこれらの共沸物の製造、より詳細にはジフルオロメタン(即ちCH2F2またはHFC−32)の製造およびそれの塩素含有前駆体(即ちCH2ClFまたはHCFC−31およびCH2Cl2)とHFの共沸物の製造に関する。背景クロロフルオロカーボン類(即ちCFC類)は炭素とフッ素と塩素のみを含有する化合物である。長年に渡って種々のCFC類が冷媒、伝熱媒体、発泡剤、エーロゾル噴射剤、溶媒およびパワーサイクル作動油として用いられてきた。しかしながら、最近、CFC類は地球のオゾン層に有害であり得ると言った関心が持たれ出してきた。その結果として、塩素置換基を完全に含まないか或は含んでいたとしても少ない代替化合物を見付け出す努力が世界的に行われている。ヒドロフルオロカーボンであるジフルオロメタンが、特に冷却、冷暖房および他の用途におけるある種のCFC類の置き換えとして提案された(例えばヨーロッパ特許出願公開第508,660 A1参照)。従って、HFC−32を製造するに有効な方法を開発することに興味が持たれている。特開昭59−225131号には、フッ化クロムから成るか或はフッ化クロムと担体の混合物を成形することで得られるか或は担体にフッ化クロムを支持させることで得られる触媒の存在下200から500℃の気相中でジクロロメタンとHFを反応させることによるHFC−32の製造が開示されている。フッ化クロムはクロム含有化合物のフッ素置換を行うことで入手可能である。塩化クロムの溶液に活性炭を浸漬した後HFを用いた処理を行うことが開示されている(例えば実施例2参照)。活性炭は典型的に金属含有化合物(例えば酸化カリウムおよびナトリウムなど)および他の不純物を含む灰分内容物を有することがよく知られている(例えばM.Smisek他「Active Carbon」、61−70頁(1970)およびJ.W.Hassler「Active Carbon」、344−345頁(1963)参照)。1,1,1,2−テトラフルオロエタン(即ちCF3CH2FまたはHFC−134a)を製造するための中間体として1,1−ジクロロテトラフルオロエタン(即ちCCl2FCF3またはCFC−114a)に興味が持たれている。CF3CH2Fは、支持金属水添触媒を用いたCCl2FCF3の触媒水添分解で入手可能である(例えばC.Gervasutti他、J.Fluorine Chem.、1981/82、19、1−20頁参照)。HFC−134aは、成層圏のオゾン破壊に関係するとされるCFC冷媒、発泡剤、エーロゾル噴射剤および滅菌剤(sterilants)の環境的に受け入れられる可能性のある代替物である。発明の要約本発明はジフルオロメタンの製造方法を提供する。この方法は、灰含有量が0.5重量パーセント未満の炭素に支持させた三価クロムを触媒有効量で含有する触媒にCH2Cl2とフッ化水素を含有する気体混合物を約180℃から約375℃の温度で接触させる段階を含む。この方法の触媒および温度条件を用いると、並行して、1,1,1−トリクロロトリフルオロエタン(即ちCCl3CF3またはCFC−113a)とHFが反応してCFC−114aを生じ得る。CH2ClFおよび未反応のCH2Cl2(これらは各々HFとの共沸物として回収可能である)を循環させることができる。また、本発明は、フッ化水素と一緒に共沸物または共沸物様組成物を形成する有効量のCH2Cl2およびCH2ClFから成る群から選択される化合物と組み合わせたフッ化水素から本質的に成る組成物も提供し、上記組成物はCH2Cl2を約5から29モル%またはCH2ClFを約58から65モル%含有する。詳細な説明本発明はCH2Cl2を気相触媒フッ素置換でCH2F2にする方法を提供する。この方法は、CH2Cl2とCCl3CF3の混合物からCH2F2とCCl2FCF3の両方を製造する気相触媒フッ素置換で使用可能である。本発明の方法では三価クロムを含有する触媒組成物を用いる。触媒有効量の三価クロムに加えて他の成分、例えば1種以上の二価金属カチオン(例えば亜鉛、マグネシウムおよび/またはコバルトなど)を上記フッ素置換触媒に含有させることで触媒活性および/または寿命を向上させることも可能である。支持させていない三価クロム触媒(例えばCr2O3など)または炭素でない支持体(例えばアルミナ、フッ化アルミニウムまたはフッ化マグネシウムなど)に支持させた三価クロム触媒もまたCH2Cl2からCH2F2への反応を触媒し得るが、本発明は、有利に、灰含有量が0.5重量パーセント未満の炭素に支持させた三価クロム(例えばCrCl3および/またはCrF3など)を用いることを包含する。炭素に支持させたCrF3は米国特許第3,632,834号(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されている。本発明の方法で用いるに適切な触媒は、使用する炭素の灰含有量が0.5重量パーセント未満であることを条件として米国特許第3,632,834号の開示と同様な様式で製造可能である。好適な触媒には、塩化クロム(CrCl3)、フッ化塩化クロム(例えばCrCl3をHFで処理して塩フッ化クロム(類)を生じさせる)または塩化クロムとフッ化クロム(CrF3)の混合物を含有する低灰含有量の炭素支持体(本明細書に開示する如き)が含まれる。このような低灰分量の炭素支持体は種々の方法を用いて入手可能であるが、好適な炭素支持体は、炭素に三価クロムを含浸させる前に酸洗いで活性化した炭素である。好適にはクロム含有量(CrCl3として表す)を炭素支持触媒の約5から60重量パーセントにする。初期の酸処理では典型的にフッ化水素酸以外の酸を用いる。この酸処理で用いるに好適な酸は燐も硫黄も含まない。この触媒製造過程中に行う初期の酸洗いで用いることができる酸の例には、有機酸、例えば酢酸などおよび無機酸、例えば塩酸または硝酸などが含まれる。好適には、塩酸または硝酸を用いる。2番目の酸処理を用いる場合、有利にはフッ化水素酸を用いる。好適には、上記処理を受けさせた後の炭素が含有する灰分の量が約0.2重量パーセント未満になるように、該炭素を酸で処理する。酸を用いた処理を受けさせると適切な支持体を生じ得る市販炭素には下記の商標で市販されている炭素が含まれる:DarcoTM、NucharTM、Columbia SBVTM、Columbia MBVTM、Columbia MBQTM、Columbia JXCTM、Columbia CXCTM、Calgon PCBTM、NoritTMおよびBarnaby Cheny NBTMこの炭素支持体は粉末、顆粒またはペレットなどの形態であってもよい。この酸処理はいくつかの方法で達成可能である。適切な手順は下記の通りである。脱イオン水中で調製した該酸の1モル規定溶液中に炭素支持体を穏やかに撹拌しながら一晩浸漬する。次に、この炭素支持体を分離した後、脱イオン水を用いた洗浄を洗浄液のpHが約3になるまで行う。好適には、その後、この炭素支持体を再び脱イオン水中で調製した該酸の1モル規定溶液中に12から24時間穏やかに撹拌しながら浸漬する。その後最終的に、標準的方法で試験して洗浄液に該酸のアニオン(例えばCl-またはNO3-など)が実質的に含まれなくなるまで、その炭素支持体を脱イオン水で洗浄する。次に、この炭素支持体を分離した後、約120℃で乾燥させる。次に、この洗浄した炭素を、必要ならば、脱イオン水中で調製した1モル規定のHF中に室温で約48時間、時折撹拌しながら浸漬する。この炭素支持体を分離した後、洗浄液のpHが4以上になるまで脱イオン水で繰り返し洗浄する。次に、この炭素支持体を乾燥させた後、これを支持体として用いるに先立って、焼成を300℃の空気中で約3時間行う。酸洗い炭素支持体の製造に関するさらなる詳細に関しては米国特許第5,136,113号を参照のこと。フッ素置換を受けさせるべき出発材料が本質的にCH2Cl2から成る場合、添加するHFと添加するCH2Cl2出発材料のモル比を典型的には約0.5:1から約10:1の範囲にし、好適には約1:1から8:1、より好適には約2:1から6:1にする(CH2ClF、未反応のCH2Cl2および/またはHFも循環させるか否かに拘らず)。典型的には、フッ素置換を受けさせるべき出発材料が本質的にCH2Cl2とCCl3CF3の混合物から成る場合、添加するHFと添加するCH2Cl2およびCCl3CF3出発材料全量のモル比を典型的には約0.5:1から約10:1の範囲にし、好適には約1:1から8:1にする。混合物内のCH2Cl2とCCl3CF3のモル比を典型的には約1:9から約9:1の範囲にする。適切な反応温度は約180℃から約375℃の範囲である。好適には反応温度を約200℃から約350℃にの範囲にする。圧力はあまり重要でない。大気圧および大気圧以上の圧力(例えば約100kPaから約7000kPa)が最も便利であり、従って好適である。連続、半連続またはバッチ式操作を含むよく知られている化学工学実施を用い、気相中でこのフッ素置換反応を実施する。このフッ素置換反応は不活性ガス、例えば窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの存在下で実施可能である。本技術分野で公知の技術いずれかに従って反応生成物流れを処理することで所望のフッ素置換生成物を副生成物である塩化水素、未反応のフッ化水素、クロロフルオロメタンおよび他の少量の副生成物から分離することができる。例えば、蒸留でHFC−32を他の反応生成物成分から分離することができる。この蒸留中にクロロフルオロメタン(即ちCH2ClFまたはHCFC−31)がHFと一緒に2成分共沸物を形成し得ることを見い出した。また、CH2Cl2もHFと一緒に2成分共沸物を形成し得ることを見い出した。従って、蒸留を用いて、CH2ClFおよび未反応のCH2Cl2各々をこれとHFの共沸物から本質的に成る組成物として回収することができる。このような共沸物に関するさらなる考察を以下に示す。また、生成物流れを水またはアルカリ水溶液で洗浄することでハロゲン化水素を除去し、このような目的に適合した乾燥剤、例えばシリカゲルまたはモレキュラーシーブなどを用いて乾燥させた後、回収することも可能である。好適には、CH2ClFおよび未反応のCH2Cl2および/またはこれらとフッ化水素の共沸物をフッ素置換用反応槽に循環させる。反応槽、分離装置およびこれらに関連した供給ライン、流出ラインおよび関連装置は、フッ化水素、塩化水素および塩素に抵抗力を示す材料で作られているべきである。フッ素置換技術でよく知られている典型的な構造材料には、ステンレス鋼、特にオーステナイト型のステンレス鋼、並びによく知られている高ニッケル合金、例えばMonel(商標)ニッケル−銅合金、Hastelloy(商標)ニッケルを基とする合金、およびInconel(商標)ニッケル−クロム合金などが含まれる。また、ポリトリフルオロクロロエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンなどの如きポリマープラスチックも反応槽の製造で用いるに適切であり、これらは一般にライニングとして用いられる。上述したように、本発明は、フッ化水素と一緒になって共沸物の組成を生じるに有効量のCH2Cl2およびCH2ClFから成る群から選択される化合物とフッ化水素から本質的に成る組成物を提供する。有効量は、HFと一緒にすると共沸物または共沸物様混合物を形成する量を意味する。本技術分野で認識されるように、共沸物または共沸物様組成物は、2種以上の異なる成分から成る混和物であって、この混和物が特定の圧力下で液状形態にある時にこれの成分の沸騰温度より高いか或は低くてもよい実質的に一定の温度で沸騰してその沸騰する液体の組成と本質的に同じ蒸気組成を与える混和物である。この考察の目的で、共沸物様組成物は、共沸物のような挙動を示す(即ち一定に沸騰する特性を有するか或は沸騰または蒸発時に分溜を起こす傾向を示さない)組成物を意味する。従って、沸騰または蒸発中に生じる蒸気の組成は元の液体の組成と同じであるか或は実質的に同じである。故に、沸騰または蒸発中その液体の組成は変化したとしてもその変化は僅かのみであるか或は無視できるほどである。これは、沸騰または蒸発中に液体の組成が実質的度合で変化する非共沸物様組成物とは対照的である。従って、共沸物または共沸物様組成物の必須特徴は、液状組成物が特定の圧力下で示す沸点が固定されていることと、沸騰している組成物の上に存在する蒸気の組成が本質的にその沸騰している液状組成物の組成であることである(即ちこの液状組成物の成分の分溜が起こらないことである)。また、この液状の共沸物または共沸物様組成物を異なる圧力で沸騰させると該共沸組成物の沸点および各成分の重量パーセントの両方が変化し得ることも本技術分野で認識されている。従って、共沸物または共沸物様組成物は、成分間に存在する固有の関係でか、或は該成分の組成範囲でか、或は特定の圧力下で固定した沸点を示すことで特徴づけられる組成物に含まれる各成分の正確な重量パーセントで定義可能である。また、種々の共沸物の組成は計算可能であることも本技術分野で認識されている(特定の圧力下でそれらが示す沸点を含む)(例えばW.Schotte、Ind.Engl.Chem.Process Des.Dev.1980、19、432−439頁参照)。同じ成分を包含する共沸物の組成を実験的に同定することで上記計算の正確さを実証しそして/または同じか或は他の温度および圧力に関してその計算値を修飾することができる。CH2Cl2およびCH2ClFから成る群から選択される化合物とフッ化水素の共沸物の組み合わせから本質的に成る組成物を生じさせることができる。これらには、約42から約35モルパーセントのHFと約58から約65モルパーセントのCH2ClFから本質的に成る組成物(これは約55kPaから約1700kPaの範囲の圧力下約−25℃から約75℃の温度で沸騰する共沸物を形成する)、および約95から約71モルパーセントのHFと約5から約29モルパーセントのCH2Cl2から本質的に成る組成物(これは約5kPaから約2280kPaの範囲の圧力下約−50℃から約110℃の温度で沸騰する共沸物を形成する)が含まれる。CH2Cl2およびCH2ClFと一緒にした時にHFが示す相対揮発性の測定でいわゆるPTx方法を用いた。この方法では、種々の既知2成分組成物に関して既知体積セル内の全絶対圧力を一定の温度で測定する。このPTx方法の使用はHarold R.Null著「Phase Equilibrium in Process Design」、Wiley−Interscience Publisher、1970、124から126頁(これの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の中に詳述されている。蒸気および液体のサンプルを得て分析することにより、これらの個々の組成を確かめた。活量係数方程式モデル、例えばNon−Random,Two−Liquid(NRTL)方程式などを用いて上記測定値を該セル内の平衡蒸気および液体組成に換算することで液相の非理想性を表すことができる。活量係数方程式、例えばNRTL方程式の使用はReid、PrausnitzおよびPoling著「The Properties of Gases and Liquids」、第4版、出版社McGraw Hill、241から387頁、およびButterworth Publishersが出版しているStanley M. Walas著「Phase Equilibria in Chemical Engineering」、1985、165から244頁に詳述されており、上に示した文献各々の開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。如何なる理論または説明でも範囲を限定することを望むものではないが、NRTL方程式を用いるとHFとCH2Cl2またはCH2ClFどちらかの混合物が理想様式で挙動するか否かを充分に予測することできそして上記混合物内でその成分が示す相対揮発性を充分に予測することができると考える。相対揮発性が1.0に近い場合、その系はほぼ共沸物を形成すると定義する。相対揮発性が1.0である場合、その系は共沸物を形成すると定義する。種々の温度および圧力下でHCFC−31とHFの共沸物が生じることを見い出した。55kPa(−25℃の温度)から1700kPa(75℃の温度)の範囲でHCFC−31とHFから本質的に成る共沸物の組成は、約42モルパーセントのHF(および58モルパーセントのHCFC−31)から約35モルパーセントのHF(および65モルパーセントのHCFC−31)の範囲である。HFとCH2ClFの共沸物は49.3psia(340kPa)下20℃で37.5モルパーセントのHFと62.5モルパーセントのCH2ClFから本質的に成ることを見い出した。この上で見い出したことを基にして、55kPa下−25℃ではHFが約42モルパーセントでHCFC−31が約58モルパーセントの共沸物組成が生じそして1700kPa下75℃ではHFが約35モルパーセントでHCFC−31が約65モルパーセントの共沸物組成が生じ得ると計算した。従って、本発明は、約42から約35モルパーセントのHFと約58から約65モルパーセントのCH2ClFから本質的に成る共沸物または共沸物様組成物を提供し、上記組成物は55kPa下約−25℃から1700kPa下約75℃に沸点を有する。種々の温度および圧力下でCH2Cl2とHFの共沸物が生じることを見い出した。5kPa(−50℃の温度)から2280kPa(110℃の温度)の範囲でCH2Cl2とHFから本質的に成る共沸物の組成は、約95モルパーセントのHF(および5モルパーセントのCH2Cl2)から約71モルパーセントのHF(および29モルパーセントのCH2Cl2)の範囲である。HFとCH2Cl2の共沸物は20.8psia(143kPa)下20℃で85モルパーセントのHFと15モルパーセントのCH2Cl2から本質的に成ることを見い出した。この上で見い出したことを基にして、5kPa下−50℃ではHFが約95モルパーセントでCH2Cl2が約5モルパーセントの共沸物組成が生じそして2280kPa下110℃ではHFが約71モルパーセントでCH2Cl2が約29モルパーセントの共沸物組成が生じ得ると計算した。従って、本発明は、約95から約71モルパーセントのHFと約5から29モルパーセントのCH2Cl2から本質的に成る共沸物または共沸物様組成物を提供し、上記組成物は5kPa下約−50℃から2280kPa下約110℃に沸点を有する。このような共沸物は液相が2つ存在する点で不均質であると考えられる。典型的にはHFとの共沸物を組み込んだ蒸留の方がHFなしの蒸留(例えば蒸留を行う前にHFを除去する)より便利な条件下で進行し得ることは本分野の通常の技術者に明らかであろう。以下に示す非制限的実施例から本発明の実施が更に明らかになるであろう。実施例活性化手順内径が5/8”(1.58cm)のInconel(商標)ニッケル合金製反応槽に触媒を仕込んだ後、窒素流(25mL/分)下約20時間300℃に加熱した。温度を175℃に下げた後、この反応槽にモル比が2:1の窒素とHFを通し始めた(全流量100mL/分)。この条件下で1時間後、窒素とHFのモル比を1:3に調整し、そして2時間かけて温度を次第に高めて400℃にした。次に、この反応槽を所望運転温度に戻し、窒素流を停止した後、反応体を流し始めた。分析手順不活性支持体に支持されているKrytox(商標)完全フッ素置換ポリエーテルが入っている長さが20フィート(6.1m)で直径が1/8インチ(0.32cm)のカラムが備わっているHewlett Packard HP 5890ガスクロを用い、ヘリウム流量を35mL/分にして、反応槽流出物を種々の実験時間(R.T.)でオンラインサンプリングした。ガスクロ条件は下記の如くであった:70℃に3分間、続いて温度プログラムを6℃/分の割合にして180℃にする。表に示すパーセントは特に明記しない限り面積%である。使用炭素本実施例では、炭素A[灰含有量(洗浄前)が約2.3重量パーセントで6x16メッシュ(約3.4mmx1.2mm)の市販グレードココナッツ殻炭素]または炭素B[灰含有量(洗浄前)が約2.6重量パーセントで4x8メッシュ(約4.7mmx2.4mm)の市販グレードココナッツ殻炭素]のどちらかを用いた。水洗浄後の炭素Aは約1重量パーセントの灰含有量を示しそしてHCl酸洗浄後の炭素Aは約0.2重量パーセントの灰含有量を示した。HCl酸洗浄後の炭素Bは約0.1重量パーセント未満の灰含有量を示した。実施例1CH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2HCl洗浄ココナッツ炭素A(30mL、14.7g)に6%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を200から275℃で変化させ、HFとCH2Cl2のモル比を2:1から6:1で変化させ、そして接触時間を全て30秒にした。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表1に示す。実施例2CH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2HCl洗浄炭素B(15mL、6.22g)に7.5%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を200から275℃で変化させ、HFとハロカーボン仕込み物のモル比を2:1から6:1で変化させ、そして接触時間(C.T.)を2から30秒で変化させた。このハロカーボン仕込み物は98.7モルパーセントのCH2Cl2と1.3モルパーセントのCH2ClFから成っていた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表2にモルパーセントで示す。比較実施例ACH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2酸洗浄を受けさせていない炭素A(15mL、6.4g)に7.5%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ。次に、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を200から275℃で変化させ、HFとCH2Cl2のモル比を2:1から4:1で変化させ、そして接触時間を全て15秒にした。この反応槽へのCH2Cl2仕込み物にCH2Cl2を98.9%およびCH2ClFを1.1%含有させた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表Aに示す。表Aに示す結果を、同じ温度および同じHF対CH2Cl2比を用いた表2に示す結果と比較することにより、灰含有量が低い炭素を用いると優れた結果が得られることは明らかである。表Aに示す結果を、同じ温度および同じHF対CH2Cl2比を用いた表1に示す結果と比較することにより、灰含有量が低い炭素を用いると三価クロム含有量が低くても優れた結果が得られることは明らかである。比較実施例BCH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2触媒調製石英管に炭素Aを400g仕込んだ。この炭素を40mL/分の流量の脱イオン水を用いて室温で72時間洗浄した。次に、この炭素粒子を150℃の空気中で60時間乾燥させることで乾燥粒子を373g得た。この水洗浄した炭素の灰含有量は約1重量パーセントであった。丸底フラスコの中で脱イオン水(50mL)中のCrCl3・6H2O(3.15g)溶液を調製した。この溶液に、上に記述した如く調製した水洗浄炭素の一部(25.0g)を加えた。ロータリーエバポレーターを用いてこのスラリーを周囲圧力下室温で2時間撹拌した。次に、真空下で水を除去した後、その粒子を130℃の窒素下で20時間乾燥させた。この回収した触媒の重量は26.65gであり、これのCrCl3含有量は約7.5重量パーセントであった。フッ素置換上述した如く調製した水洗浄炭素A(15mL、6.92g)に7.5%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を200から300℃で変化させ、HFとCH2Cl2のモル比を2:1から4:1で変化させ、そして接触時間を全て15秒にした。この反応槽へのCH2Cl2仕込み物にCH2Cl2を98.7%およびCH2ClFを1.3%含有させた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表Bに示す。表Bに示す結果を、表1および表2に示す結果と比較することにより、本発明に従う低灰含有量の炭素を用いると優れた結果が得られることは明らかである。実施例3CH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2HCl洗浄炭素B(15mL、6.5g)に10%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を200から250℃で変化させ、HFとCH2Cl2のモル比を1:1から2:1で変化させ、そして接触時間を5から15秒で変化させた。この反応槽へのCH2Cl2仕込み物にCH2Cl2を98.9%およびCH2ClFを1.1%含有させた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表3に示す。実施例4CH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2HCl洗浄炭素B(15mL、6.6g)に20%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を185から250℃で変化させ、HFとCH2Cl2のモル比を1.5:1から2:1で変化させ、そして接触時間を5から15秒で変化させた。この反応槽へのCH2Cl2仕込み物にCH2Cl2を98.9%およびCH2ClFを1.1%含有させた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表4に示す。実施例5CH2Cl2+HF→CH2ClF+CH2F2HCl洗浄炭素B(15mL、9.0g)に60%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を150から200℃で変化させ、HFとCH2Cl2のモル比を2:1にし、そして接触時間を15秒にした。この反応槽へのCH2Cl2仕込み物にCH2Cl2を98.9%およびCH2ClFを1.1%含有させた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表5に示す。実施例6CH2Cl2(4)+CCl3CF3(1)+HF→CH2ClF+CH2F2+CCl2FCF3HCl洗浄炭素B(15mL、6.22g)に7.5%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を275から350℃で変化させ、そして接触時間を5から15秒で変化させた。この反応槽への有機仕込み物にCH2Cl2を81.3モル%およびCCl3CF3を18.2モル%含有させ、その残りは本質的に0.4モル%のCHCl2Fから成っていた。HFとモル比が約4:1のCH2Cl2:CCl3CF3混合物のモル比を1.7:1から8:1で変化させた。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表6にモル%で示す。実施例7CH2Cl2(1)+CCl3CF3(4)+HF→CH2ClF+CH2F2+CCl2FCF3HCl洗浄炭素B(15mL、6.22g)に7.5%の量でCrCl3を支持させた触媒を反応槽に仕込んだ後、この触媒の活性化を上に示した活性化手順に従って行った。反応温度を300℃にし、そして接触時間を18秒にした。この反応槽への有機仕込み物にCH2Cl2を21.1モル%およびCCl3CF3を78.1モル%含有させ、その残りは本質的に0.2モル%のCHCl2Fと0.4モル%のCCl2FCF3から成っていた。HFとモル比が約1:4のCH2Cl2:CCl3CF3混合物のモル比を4:1にした。上に示した分析手順に従って反応流出物の分析を行った。反応の結果を表7にモル%で示す。 ジフルオロメタンの製造方法であって、酸で洗浄された灰含有量が0.5重量パーセント未満の炭素に支持させた三価クロムを触媒有効量で含有する触媒にCH2Cl2とHFを含有する気体混合物を180℃から375℃の温度で接触させる段階を含む方法。 該酸で洗浄された炭素が、フッ化水素酸以外の酸で洗浄されたものであるか、または、最初にフッ化水素酸以外の酸で次いでフッ化水素酸で洗浄されたものである請求の範囲第1項の方法。 該触媒を、炭素支持体に塩化クロム、フッ化塩化クロムまたは塩化クロムとフッ化クロムの混合物を含有させた触媒から選択する請求の範囲第1項または第2項の方法。 CrCl3として表すクロム含有量が該炭素支持触媒の5から60重量パーセントである請求の範囲第3項の方法。 フッ素置換を受けさせるべき出発材料が本質的にCH2Cl2から成りそしてHFとCH2Cl2のモル比が0.5:1から10:1である請求の範囲第3項の方法。 該気体混合物に更にCCl3CF3を含め、該気体混合物中のCH2Cl2とCCl3CF3のモル比を1:9から9:1の範囲にし、そしてCF3CCl2Fを生じさせる請求の範囲第1項または第2項の方法。 CH2ClFを生じさせそしてCH2ClFをHFとの共沸物として循環させ、ここで、上記共沸物がCH2ClFを58から65モルパーセント含有する請求の範囲第1項または第2項の方法。 未反応のCH2Cl2をHFとの共沸物として循環させ、ここで、上記共沸物がCH2Cl2を5から29モルパーセント含有する請求の範囲第1項または第2項の方法。 フッ化水素と一緒に共沸物または共沸物様組成物を形成する有効量のCH2ClFと組み合わせたフッ化水素から成る、請求項1の方法に従うCH2Cl2のフッ素置換によるジフルオロメタンの製造工程へ循環させるのに有用な、組成物であって、CH2ClFを58から62.5モルパーセント含有し、且つ−25℃から20℃の温度で沸騰する組成物。 フッ化水素と一緒に共沸物または共沸物様組成物を形成する有効量のCH2Cl2と組み合わせたフッ化水素から成る、請求項1の方法に従うCH2Cl2のフッ素置換によるジフルオロメタンの製造工程へ循環させるのに有用な、組成物であって、(i)(a)CH2Cl2を5モルパーセント含有するか又は(b)CH2Cl2を29モルパーセント含有し、且つ(ii)−50℃から110℃の温度で沸騰する組成物。