生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_モノグリセリド/乳酸エステル透過促進剤
出願番号:1995510476
年次:2005
IPC分類:7,A61K47/14,A61K9/70


特許情報キャッシュ

タスコヴィチ,リナ・トーレン ユー,スー・イル リー,エン・スー クリソロゴ,ニーヴス・マルザン JP 3688293 特許公報(B2) 20050617 1995510476 19940929 モノグリセリド/乳酸エステル透過促進剤 アルザ・コーポレーション 社本 一夫 今井 庄亮 増井 忠弐 栗田 忠彦 小林 泰 戸水 辰男 タスコヴィチ,リナ・トーレン ユー,スー・イル リー,エン・スー クリソロゴ,ニーヴス・マルザン US 129,494 19930929 20050824 7 A61K47/14 A61K9/70 JP A61K47/14 A61K9/70 401 7 A61K 47/00 - 48 A61K 9/00 - 72 特開平2−124824(JP,A) 特開平2−131426(JP,A) 14 US1994011120 19940929 WO1995009006 19950406 1997505278 19970527 21 20010718 小堀 麻子 関連出願これは米国出願第08/129,494号(1993年9月29日出願)(これはその全体で本明細書に援用される)の一部継続出願であり、その出願日から利益が主張される。発明の分野本発明は薬物及び他の生物学的活性剤の経皮投与に関する。さらに詳しくは、本発明は経皮薬物投与系に組み入れた場合に、薬物の経皮吸収を促進するための新規な方法及び組成物に関する。さらに詳しくは、但し限定する訳ではなく、本発明はモノグリセリドと乳酸エステルとの透過促進性混合物を用いる薬物の経皮投与に関する。さらになお詳しくは、但し限定する訳ではなく、本発明は組成物中にモノグリセリドと乳酸エステルとが特定の重量%で存在する、モノグリセリドと乳酸エステルとの透過促進性混合物を用いる薬物の経皮投与に関する。発明の背景薬物の非経口投与の経皮経路は他の投与経路を凌駕する多くの利益を提供し、広範囲な薬物又は他の有効剤を投与する経皮系は米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,731,683号、第3,797,494号、第4,031,894号、第4,201,211号、第4,286,592号、第4,314,557号、第4,379,454号、第4,435,180号、第4,559,222号、第4,568,343号、第4,573,995号、第4,588,580号、第4,645,502号、第4,704,282号、第4,788、062号、第4,816,258号、第4,849,226号、第4,908,027号、第4,943,435号、第5,004,610号に開示される。上記特許の開示は本明細書に援用される。多くの場合に、経皮投与の理想的な候補であるように思われる薬物は、妥当なサイズの系から治療有効速度で投与されることができないような、無傷の皮膚を通る、低い透過性を有することが判明している。皮膚透過性を高めようと試みて、皮膚を種々な化学薬品で予め処理するか、又は薬物を透過促進剤の存在下で同時に投与することが提案されている。米国特許第3,472,931号、第3,527,864号、第3,896,238号、第3,903,256号、第3,952,099号、第4,046,886号、第4,130,643号、第4,130,667号、第4,299,826号、第4,335,115号、第4,343,798号、第4,379,454号、第4,405,616号及び第4,746,515号(これらの特許の全ては本明細書に援用される)、英国特許第1,001,949号、及びIdson、「経皮吸収」,J.Pharm.Sci.64巻,b6号,1975年6月,901〜924頁(特に919〜921頁)に開示されるように、この目的のために、種々な物質が提案されている。有用であると見なされるためには、透過促進剤は少なくとも1種、好ましくは有意な数の薬物の皮膚透過性を強化する能力を有するべきである。より重要には、妥当なサイズの系(好ましくは、5〜50cm2)からの薬物投与速度が治療レベルであるように、透過促進剤は皮膚透過性を強化することができるべきである。さらに、促進剤は、皮膚表面へ適用する場合に、長時間暴露時にかつ閉塞下で無毒、無刺激性であり、かつ反復暴露時に非感作性であるべきである。好ましくは、促進剤は局所反応、灼熱感又は刺痛感を生じることなく薬物を投与することができるべきである。本発明は薬物の皮膚透過性を大きく増大させ、皮膚への薬物適用から所望の治療効果の発揮までの遅延時間をも短縮する。透過促進剤を結合することは技術上周知であるが(例えば、ヨーロッパ特許出願第0295411号及び第0368339号を参照)、本発明はモノグリセリドと乳酸エステルとの新規な組合せを用いる。さらに、本発明は新規な成分(モノグリセリドと乳酸エステル)の特定の重量%、すなわち、15〜25重量%のモノグリセリドと、8〜25重量%の乳酸エステルとを用いる。複合効果(及びさらに特定重量%)は、有意でかつ意外な改良、すなわち、モノグリセリド又は乳酸エステル単独の使用に比べて並びに指定重量%でのモノグリセリドと乳酸エステルの組合せに比べて加算効果を越えた改良を生じる。発明の概要本発明は、皮膚刺激を殆ど又は全く生じない、広範囲なカテゴリーの有効剤の透過を改良するための改良組成物と方法とに関する。本発明の系は、特定の皮膚又は他の身体部位に薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に配置するために適したキャリヤー又はマトリックスを含む。このキャリヤー又はマトリックスは所定投与期間にわたって部位に治療有効量の薬物と、皮膚への薬物の透過を促進するために有効な量での、特定の濃度で存在するモノグリセリドと乳酸エステル、すなわち、15〜25重量%のモノグリセリドと8〜25重量%の乳酸エステル、好ましくは20重量%のモノグリセリドと12重量%の乳酸エステルの透過促進性混合物とを連続的に同時投与するために充分な量の薬物と透過促進性混合物とを含む。本明細書で用いるかぎり、“経皮”投与又は適用なる用語は、局所適用又はイオン導入による皮膚、粘膜及び/又は他の身体表面の通過によって作用剤を投与又は適用することを意味する。本明細書で用いるかぎり、“治療有効”量又は速度なる用語は、所望の治療結果を得るために必要な、薬物又は活性剤の量又は速度を意味する。本明細書で用いるかぎり、“モノグリセリド”なる用語は、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノリノレエート又はこれらの混合物を意味する。モノグリセリドは一般にモノグリセリドの混合物として入手可能であり、この混合物は最大量で存在するモノグリセリドからその名前を得る。本発明の好ましい実施態様では、透過促進剤モノグリセリド成分はグリセロールモノラウレートである。本明細書で用いるかぎり、“グリセロールモノオレエート”なる用語は、グリセロールモノオレエート自体か又は、グリセロールモノオレエートが最大量で存在するグリセリドの混合物を意味する。本明細書で用いるかぎり“グリセロールモノラウレート”なる用語は、グリセロールモノラウレート自体か又は、グリセロールモノラウレートが最大量で存在するグリセリドの混合物を意味する。本明細書で用いるかぎり、“グリセロールモノリノレエート”なる用語は、グリセロールモノリノレエート自体か又は、グリセロールモノリノレエートが最大量で存在するグリセリドの混合物を意味する。本明細書で用いるかぎり、“乳酸エステル”又は“アルコールの乳酸エステル”なる用語は、乳酸エチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル又はこれらの混合物を意味する。好ましくは、乳酸エステルは乳酸ラウリル、乳酸エチル又はこれらの混合物である。本明細書で用いるかぎり、“時間の実質的な部分”なる用語は、時間の少なくとも約60%、好ましくは時間の少なくとも約90%を意味する。相関的に、“実質的に一定”なる用語は、時間の実質的な部分にわたって約±20%未満、好ましくは約±10%未満の変動を意味する。本明細書で用いるかぎり、“透過促進性混合物”なる用語は、1種以上の乳酸エステルと、1種以上のモノグリセリドとを含む混合物を意味する。モノグリセリド又は混合物、好ましくはグリセロールモノラウレートは約15〜約25重量%の範囲内で存在する。第2成分、すなわち乳酸エステル、例えば、ラウリル、ミリスチル、セチル、エチル、メチル又はオレイン酸、安息香酸又は乳酸は約8〜約25重量%の範囲内で存在する。より好ましくは、透過促進剤混合物は重量でモノグリセリド20%と乳酸エステル12%とを含む。本明細書で用いるかぎり、“所定投与期間”又は“長時間”なる用語は、数時間から7日間以上までの時間の薬物投与を意味する。好ましくは、この時間は16時間から3乃至4日間までである。本明細書で用いるかぎり、“透過促進量又は速度”なる用語は、薬物に対する適用部位の大きな透過性を与える速度又は量を意味する。本明細書で用いるかぎり、“ポリ−N−ビニルアミド”なる用語は、架橋ポリ−N−ビニルアミド又は例えばポリ−N−ビニルメチルアセトアミド、ポリ−N−ビニルエチルアセトアミド、ポリ−N−ビニルメチルイソブチルアミド、ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン等のようなポリ−N−ビニルアミドの組合せを意味する。好ましくは、ポリ−N−ビニルアミドはポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(より好ましくは、Polyplasdone XL(登録商標)、Polyplasdone XL−10(登録商標)、GAF)である。【図面の簡単な説明】本発明を添付図面に関連してさらに詳細に説明する:図1は本発明による経皮薬物投与系の1実施態様の横断面図であり;図2は本発明の経皮薬物投与系の他の実施態様の横断面図であり;図3は本発明による経皮薬物投与系のさらに他の実施態様の横断面図であり;図4は本発明による経皮薬物投与系のさらに他の実施態様の横断面図であり;図5は、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとによる、インビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るアルプラゾラム(alprazolam)の流量のグラフであり;図6は、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとによる、インビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るアルプラゾラムの流量のグラフであり;図7は、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとによる、インビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るエストラジオールの流量のグラフであり;図8は、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとによる、インビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るテストステロンの流量のグラフであり;図9は、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとの重量%を変えた、インビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るアルプラゾラムの累積流量の棒グラフであり;図10は、種々な流動促進剤によるインビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るテストステロンの累積流量のグラフであり;図11は、インビトロでの35℃におけるヒト表皮を通るアルプラゾラムの流量に対するグリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとの種々な濃度の影響を示す棒グラフである。発明の説明本発明は、皮膚を通る薬物の投与を助けるために、1種以上のモノグリセリドと1種以上の乳酸エステルとを同時投与する。さらに、このために、本発明はモノグリセリドと乳酸エステルとが特定の濃度(例えば、それぞれ、15〜25重量%と8〜25重量%)で存在することを必要とする。本発明による複合効果と好ましい濃度とが、モノグリセリド若しくは乳酸エステルの単独の使用に又は非特定重量%での使用に比べた場合に、薬物の透過性の顕著な増大、すなわち、加算を越えた増大を生じることが、判明している。本発明による透過促進の改良は上記の比較的広範囲な乳酸エステル/モノグリセリド重量%にわたって得られるが、発明者はそれぞれ20重量%と、12重量%のモノグリセリドと乳酸エステルが不利な副作用なしに最大の促進を生じることを発見している。本発明は1実施態様において、身体表面又は膜を通しての透過によって薬物を投与するために身体表面又は膜に適用する組成物であって、(a)治療有効量の投与すべき薬物と;(b)(i)15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と、(ii)8〜25重量%の乳酸エステル又は乳酸エステル混合物とを含有する透過促進性混合物とを組合せて含む前記組成物に関する。薬物は組成物中に0.01〜50重量%の範囲の量で存在することができる。透過促進性混合物は好ましくはモノグリセリドと乳酸エステルとをそれぞれ、20重量%と12重量%とで含む。本発明は皮膚を通る薬物透過性の促進に特別な有用性を見いだしている。しかし、本発明は粘膜を通る流動(flux)を促進することにも有用である。さらに、本発明は全身的及び局所的活性薬物の両方の投与に有用である。本発明によると、透過促進性混合物と投与すべき薬物とを適当な身体表面に、好ましくはそのための薬剤学的に受容されるキャリヤーに含めて、薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に配置して、所望の期間適所に維持する。薬物と透過促進性混合物とは典型的に、以下でさらに詳述するように、例えば、軟膏、ゲル、クリーム、座薬又は舌下錠若しくはバッカル錠剤として身体に直接適用することができるような生理的に適合するマトリックス又はキャリヤー内に分散される。皮膚に直接適用される液体、軟膏、ローション、クリーム又はゲルとして用いられる場合に、投与部位を閉鎖することが、必要ではないとしても、好ましい。このような組成物は他の透過促進剤、安定剤、染料、希釈剤、顔料、ビヒクル、不活性フィラー、賦形剤、ゲル化剤、血管収縮薬、及び技術上周知であるような、局所組成物の他の成分をも含むことができる。他の実施態様では、薬物と透過促進性混合物とを以下でさらに詳述するような、経皮投与デバイスから投与することができる。適当な経皮投与デバイスを図1、2、3及び4に示す。図面では、種々な図を通して、同じ又は同様な要素を表示するために同じ参照数字を用いる。図は正確な縮尺で描かれていない。図1では、経皮投与デバイス10は薬物と透過促進性混合物とを含む溜め12を含む。溜め12は好ましくは、その中に分散した薬物と透過促進性混合物とを含むマトリックスの形状である。溜め12はバッキング層14とインライン接触接着剤層16との間に挿入される。デバイス10は接着剤層16によって皮膚表面18に接着する。接着剤層16は任意に透過促進性混合物及び/又は薬物を含むことができる。除去可能な剥離ライナー(図1に図示せず)が通常、接着剤層16の露出面に沿って備えられ、デバイス10を皮膚18に適用する前に除去される。任意に、速度制御膜(図示せず)が溜め12と接着剤層16との間に存在することができる。或いは、図2に示すように、経皮治療デバイス20を患者の皮膚又は粘膜に接着性オーバーレイ22を用いて付着させることができる。デバイス20は好ましくはその中に分散した薬物と透過促進性混合物とを含むマトリックスの形状である、薬物−及び透過促進性混合物−含有溜め12から構成される。バッキング層14は溜め12の1面に隣接して備えられる。接着性オーバーレイ22はデバイスを皮膚上に維持し、デバイスの他の要素と共に成形加工されるか、又はデバイスの他の要素とは別々に備えられる。ある種の製法(formulation)では、図1に示すようなインライン接触接着剤16よりも、接着性オーバーレイ22が好ましい。バッキング層14は溜め12よりもやや大きいことが好ましく、このようにして、溜め12内の物質がオーバーレイ22内の物質と不利に相互作用することを阻止する。任意に、速度制御膜(図2に図示せず)を溜め12の皮膚近位側に備えることもできる。除去可能な剥離ライナー24をデバイス20に備え、デバイス20を皮膚に適用する直前に除去する。図3では、経皮投与デバイス30は実質的に図1に関して述べたように、薬物−及び透過促進性混合物−含有溜め(“薬物溜め”)12を含む。透過促進剤溜め(“促進剤溜め”)26は、完全に分散した透過促進性混合物と、平衡時に飽和以下の薬物とを含む。促進剤溜め26は好ましくは、薬物溜め12の形成に用いられるマトリックスと実質的に同じマトリックスから製造される。促進剤溜め26から薬物溜め12への透過促進剤の放出速度を制御するための速度制御膜28を2つの溜めの間に挿入する。薬物溜め12から皮膚への促進剤の放出速度を制御するための速度制御膜(図3に図示せず)も任意に用いて、接着剤層16と溜め12との間に挿入することができる。速度制御膜は、投与デバイス中へ及びからの作用剤の速度を制御すると技術上知られ、薬物溜め12の透過性よりも低い、透過促進剤に対する透過性を有する、透過性、半透性又は微孔質物質から成形加工することができる。適当な物質には、限定する訳ではなく、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレンn−ブチルアセテート、及びエチレン−酢酸ビニルコポリマーがある。デバイス30の透過促進剤溜め26にはバッキング14が重ねられる。溜め12の皮膚近位側には、接着剤層16と除去可能なライナー24とが存在し、ライナー24はデバイス30の皮膚への適用前に除去される。図1、2及び3の実施態様では、溜めのキャリヤー又はマトリックスは浸出又は流出なしにその形状を維持するために充分な粘度を有する。しかし、マトリックス又はキャリヤーが例えば液体又はゲルのような低粘度の流動性物質であるならば、組成物を例えば米国特許第4,379,454号(上記)から技術上周知であり、図4に図示したような、ポウチ又はポケットに完全に封入することができる。図4に示すデバイス40はバッキング要素14を含み、これはデバイスの保護カバーとして役立ち、構造的サポートを与え、デバイス40の成分がデバイスから漏出するのを防止する。デバイス40はまた溜め12をも含み、溜め12は薬物と透過促進剤とを含み、バッキング要素14から遠位のその表面上にデバイス40からの薬物及び/又は透過促進性混合物の放出を制御するための速度制御膜28を有する。バッキング要素14の外縁は溜め12の縁を覆い、流体密封性配置において速度制御膜28の外縁と、その周辺に沿って結合する。この密封溜めは縁に圧力、融合、粘着、接着剤を加えることによって、又は技術上周知の他の方法によって形成することができる。このようにして、溜め12は膜14と速度制御膜28との間に完全に含まれる。速度制御膜28の皮膚近位側には、接着剤層16と除去可能なライナー24とが存在し、ライナー24はデバイス40の皮膚への適用前に除去される。図4のデバイス40の代替え実施態様では、溜め12は透過促進性混合物と、飽和以下の薬物とを含む。飽和の薬物と追加量の透過促進性混合物とは、別の溜めとして作用する接着剤層16中に存在する。薬物と透過促進性混合物とは、例えば軟膏、ゲル、クリーム若しくはローションとして皮膚若しくは粘膜に直接適用することによってヒト皮膚若しくは粘膜に同範囲に投与することができるが、好ましくは、薬物及び促進剤の飽和又は飽和未満製剤を含む皮膚パッチ又は他の既知の経皮投与デバイスから投与される。この製剤(formulation)は非水性であり、薬物と透過促進性混合物とを必要な流量(flux)で投与するように設計される。典型的な非水性ゲルはシリコーン流体又は鉱油から構成される。鉱油ベースゲル(mineral oil-based gel)は典型的に、例えばコロイド状二酸化ケイ素のような、ゲル化剤1〜2重量%をも含む。特定のゲルが適当であるか否かは、その成分が薬物と透過促進性混合物の両方及び製剤中の他の成分と適合するかどうかに依存する。溜めマトリックスは薬物、透過促進剤及びそれらのためのキャリヤーと適合性であるべきである。本明細書で用いるかぎり、“マトリックス”なる用語は造形品(shape)に固定された、成分の充分に混合された複合体を意味する。非水性製剤を用いる場合には、溜めマトリックスは好ましくは疎水性ポリマーから構成される。適当なポリマーマトリックスは経皮薬物投与の分野において周知であり、例は本明細書に援用される上記特許に挙げられる。典型的な積層系はポリマー膜及び/又は例えばエチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーのようなマトリックス(例えば、米国特許第4,144,317号に記載されるもの、好ましくは約9%から約60%までの酢酸ビニル(VA)含量、さらに好ましくは約9%〜40%VAを有する)を含む。高分子量ポリイソブチレン4〜25%と低分子量ポリイソブチレン20〜81%を含み、残部が例えば鉱油又はポリイソブチンであるポリイソブチレン/油ポリマーもマトリックス材料として用いることができる。治療デバイス中に存在する、有効な治療結果を得るために必要な薬物量は例えば治療すべき特定の適応症のための薬物の最小必要用量;マトリックス、接着剤層及び速度制御膜(存在する場合)の溶解性及び透過性;デバイスを皮膚に固定する時間のような、多くの要素に依存する。薬物の最小量は、所定適用期間にわたって所望の放出速度を維持するために充分な量がデバイス中に存在しなければならないと言う必要条件によって決定される。安全のための最大量は、薬物の存在量が有害レベルに達する放出速度を越えることができないと言う必要条件によって決定される。薬物は通常、マトリックス又はキャリヤー中に飽和を越える濃度で存在し、過剰量は系の薬物投与期間の所望の長さの関数である。しかし、薬物が皮膚又は粘膜部位に所望の治療速度を与えるために充分な量で、充分な時間連続的に投与されるかぎり、薬物は飽和未満のレベルでも本発明から逸脱せずに存在することができる。透過促進性混合物はマトリックス又はキャリヤー中に、好ましくは、予定投与期間を通して溜め中に促進剤の透過促進量を与えるために充分な濃度で分散される。図3と4におけるように、付加的な別の透過促進剤マトリックスが存在する場合には、透過促進剤は通常、別の溜め中に飽和を越えて存在する。透過促進剤混合物の成分の特定重量%の予想外の効果は、一部は、乳酸エステル中のモノグリセリドの溶解性による。モノグリセリドがそれ自体で効果的な透過促進剤であることは知られている。この促進はモノグリセリドが皮膚の脂質層に可溶化することによって生ずる。脂質層へのモノグリセリドの可溶化は乳酸エステル濃度の関数として増大する。例えば、乳酸ラウリル中のグリセロールモノラウレートの溶解度は、溶液を撹拌したときに、350mg/g溶液である。GMLは、例えばEVA40マトリックス中に実際に不溶である。したがって、溶解したGML(すなわち、遊離GML)量はポリマー中の乳酸ラウリル負荷によって、この負荷に比例して指定される。350mg/gのGML溶解度に基づくと、EVA40中の乳酸ラウリルの種々な重量%に基づく遊離GML濃度は次の通りである:したがって、溶液中のGML量に基づくと、乳酸ラウリルの高い重量%は高レベルの遊離GMLを生じ、したがって、透過を高める大きい効率を生じると考えられる。しかし、実施例によって示されるように、GML 20重量%と乳酸ラウリル 12重量%とを含む、好ましい製剤はGML 20重量%と乳酸ラウリル 20重量%とを含む製剤と同様に、薬物透過性を促進するために効果的である。本発明は15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と、8〜25重量%の乳酸エステルとを含む透過促進性混合物に関するが、モノグリセリド 20重量%と乳酸エステル 12重量%とが、より高い割合の乳酸エステル組成物と同様に効果的であり、しかも周知の可能な刺激剤である乳酸エステルの少ない割合を投与するので、好ましい。本発明に重要である薬物と透過促進性混合物との他に、マトリックス又はキャリヤーは染料、顔料、不活性フィラー、賦形剤及び、技術上知られた薬剤学的製品又は経皮デバイスの他の通常の成分を含むこともできる。個人による及び同じ身体の部位による皮膚透過性の大きな変化のために、薬物と透過促進性混合物とを速度制御された経皮投与デバイスから投与することが好ましい。速度制御は速度制御膜又は接着剤又は両方によって、並びに他の手段によって得ることができる。ある一定量の薬物が可逆的に皮膚に結合するので、したがって、デバイスの皮膚接触層は負荷用量としてこの量の薬物を含むことが好ましい。本発明のデバイスの表面積は1cm2未満から200cm2を越えるまで変化することができる。しかし、典型的なデバイスは約5〜50cm2の範囲内の表面積を有する。本発明のデバイスは数時間から7日間以上までの長時間にわたって薬物を効果的に投与するように設計することができる。皮膚部位の閉塞の副作用が経時的に増加し、皮膚細胞の脱落及び置換の正常サイクルは約7日間で生じるので、7日間が一般に単一デバイスの適用の最大時間限界である。本発明の方法は、(a)一定時間にわたって、皮膚面積に治療有効量の薬物を投与する段階と;(b)該皮膚面積に本発明による透過促進性混合物を同時投与する段階とを含む。この方法によって投与される組成物は透過促進性混合物(すなわち、15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と、8〜25重量%の乳酸エステル)と、効果的な治療結果を得るために、所定期間にわたって皮膚を通して薬物を全身投与するために充分な薬物とを含む。本発明は、皮膚を含めた体表又は粘膜を通して通常投与される広範囲な種類の薬物の投与に関連して有用性を有すると考えられる。本明細書で用いるかぎり、“薬物”と“作用剤”なる表現は相互交換可能に用いられ、生活生物に投与されて、所望の(通常は有益な)効果を生じる治療有効物質に関してそれらの最も広い解釈を有するように意図される。一般に、これは主要な治療分野の全てにおける治療剤を含み、これらの治療剤は非限定的に下記薬物を含む:ACE阻害剤、腺下垂体ホルモン、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、副腎皮質ステロイド、副腎皮質ステロイド生合成阻害剤、α−アドレナリン作動性アゴニスト、α−アドレナリン作動性アンタゴニスト、選択性α−2−アドレナリン作動性アゴニスト、鎮痛薬、解熱薬及び抗炎症薬、アンドロゲン、局部麻酔薬、全身麻酔薬、抗常習薬(antiaddictive agent)、抗アンドロゲン、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗コリン作動薬、抗コリンエステラーゼ薬、抗凝固薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗利尿薬、制吐薬及びプロキネティック剤(prokinetic agent)、抗てんかん薬、抗エストロゲン、抗真菌剤、抗高血圧薬、抗菌剤、抗片頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗新生物薬、駆虫薬、抗パーキンソン病薬、抗血小板剤、抗プロゲスチン、抗甲状腺薬、咳止め、抗ウイルス薬、非定型抗うつ薬、アザスピロデカンジオン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、ベンゾチアジアジド、β−アドレナリン作動性アゴニスト、β−アドレナリン作動性アンタゴニスト、選択性β−1−アドレナリン作動性アンタゴニスト、選択性β−2−アドレナリン作動性アゴニスト、胆汁塩、体液の量と組成に影響する作用剤、石灰化に影響する作用剤、カルシウムチャンネル遮断薬、心血管薬、カテコールアミン及び交感神経作用薬、コリン作動性アゴニスト、コリンエステラーゼ再活性化剤、皮膚病薬、ジフェニルブチルピペリジン、利尿薬、エルゴットアルカロイド、エストロゲン、神経節遮断薬、神経節刺激薬、ヒダントイン、胃酸度を調節し、消化性潰瘍を治療する作用剤、造血剤、ヒスタミン、ヒスタミンアンタゴニスト、5−ヒドロキシトリプタミンアンタゴニスト、高リポタンパク血症の治療薬、催眠薬と鎮静薬、免疫抑制剤、弛緩薬、メチルキサンチン、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、神経筋遮断薬、有機ニトレート、オピオイド鎮痛薬及びアンタゴニスト、膵臓酵素、フェノチアジン、プロゲスチン、プロスタグランジン、精神障害の治療薬、レチノイド、ナトリウムチャンネル遮断薬、痙性及び急性筋痙攣の治療薬、スクシンイミド、チオキサンテン、血栓溶解薬、甲状腺薬、三環式抗うつ薬、有機化合物の尿細管輸送阻害剤(inhibitor of tubular transport)、子宮運動に影響する薬、血管拡張薬、ビタミン等。典型的な薬物を例示のために、限定するためではなく、下記に挙げる:ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレジピン、ヴェラパミル、ドブタミン、イソプロテレノール、カルテオロール、ラベタロール、レボブノロール、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、アセブトロール、アテノロール、ブタキソロール、エスモロール、メトプロロール、アルブテロール、ビトルテロール(bitolterol)、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、リトドリン、テルブタリン、アルクロメタゾン、アルドステロン、アンシノニド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ベータメタゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、コルチゾール、コルチゾン、コルチコステロン、デゾニド、デソキシメタゾン、11−デソキシコルチコステロン、11−デソキシコルチゾール、デキサメタゾン、ジフロラゾン、フルドロコルチゾン、フルニゾリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオロメトロン、フルランドレノリド、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、メドリゾン、6α−メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、テトラヒドロコルチゾール,トリアムシノロン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ブビバカイン、クロロプロカイン、コカイン、ジブカイン、ジクロニン、ニチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、アルフェンタニル、クロロホルム、クロニジン、シクロプロパン、デスフルラン、ジエチルエーテル、ドロペリドール、エンフルラン、エトミデート、フェンタニル、ハロタン、イソフルラン、ケタミンヒドロクロリド、メペリジン、メトヘキシタール、メトキシフルラン、モルヒネ、プロポフォール、セボフルラン、スフェンタニル、チアミラル、チオペンタル、アセトアミノフェン、アロプリノール、アパゾン、アスピリン、アウラノフィン、アウロチオグルコース、コルチシン、ジクロフェナク、ジフルニサール(diflunisal)、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、チオリンゴ酸ナトリウム金(gold sodium thiomalate)、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メフェナミン酸(mefenamic acid)、メサラミン、サリチル酸メチル、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェナセチン、フェニルブタゾン、プロキシカム、サリチルアミド、サリチレート、サリチル酸、サルサレート、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、アセトフェナジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、メソリダジン、ペルフェナジン、チオリダジン、トルフルオペラジン、トリフルプロマジン、ジソピラミド、エンカイニド、フレカイニド、インデカイニド、メキシレチン、モルシジン、フェニトイン、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、トカイニド、シサプリド、ドムペリドン、ドロナビノール、ハロペリドール、メトクロプロパミド、ナビロン、プロクロペラジン、プロメタジン、チエチルペラジン、トリメトベンズアミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジフェノキシレート、ドロコード、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバルロルファン、レボルファノール、ロペルアミド、メプタジノール、メタドン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、イソソルビドジニトレート、ニトログリセリン、テオフィリン、フェニルエフリン、エフェドリン、ピロカルピン、フロセミド、テトラサイクリン、クロルフェニラミン、ケトロラク、ブロモクリプチン、グアナベンズ、プラゾシン、ドキサゾシン及びフルフェナミン酸。好ましくは、薬物は例えばアルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロルアゼペート、デモキセパム、ジアゼパム、フルマゼニル、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム等のようなベンゾジアゼピン、アンドロゲンがダナゾール、フルオキシメステロン、メタアンドロステノロン;例えばアニソトロピン、アトロピン、クリジニウム、シクロペントレート、ジシクロミン、フラボキセート、グリコピロレート、ヘキソシクリウム、ホマトロピン、イプラトロピウム、イソプロパミド、メペンゾレート、メタンテリン、オキシフェンシクリミン、ピレンゼピン、プロパンテリン、スコポラミン、テレンゼピン、トリジヘキセチル、トロピカミド等のような、抗ムスカリン剤;例えばクロロトリアニセン、ジエチルスチルベストロール、エストラジオール、エストラジオールシピオネート、エストラジオールバレレート、エストロン、エストロン硫酸ナトリウム、エストロピペート、エチニルエストラジオール、メストラノール、キネストロール、エクイリン硫酸ナトリウム等のような、エストロゲン;例えば、ダナゾール、フルオキシメステロン、メタンドロステノロン、メチルテストステロン、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンフェンプロピオネート、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、テストラクトン、テストステロン、テストステロンシピオネート、テストステロンエナンタート(testosterone enanthate)、テストステロンプロピオネート等のような、アンドロゲン;例えば、エチノジオールジアセテート、ゲストデン、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、プロゲステロン等のような、プロゲスチンである。好ましくは、薬物を治療有効速度で経皮投与するためのデバイスは、(a)(i)治療有効量の薬物又は活性剤と、(ii)15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と(iii)8〜25重量%の乳酸エステルと、(iv)残部のエチレン−酢酸ビニルコポリマーとを含有する溜めと;(b)該溜めの皮膚遠位面上のバッキングと;(c)該溜めを皮膚と薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に維持するための手段とを含む。好ましくは、モノグリセリドはグリセロールモノラウレートであり、乳酸エステルは乳酸ラウリルである。さらに好ましくは、薬物を治療有効速度で経皮投与するためのデバイスは、(a)(i)5〜40重量%の薬物と、(ii)20重量%のグリセロールモノラウレートと(iii)12重量%の乳酸ラウリルと、(iv)28〜63重量%のエチレン−酢酸ビニルコポリマーとを含有する溜めと;(b)該溜めの皮膚遠位面上のバッキングと;(c)該溜めを皮膚と薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に維持するための手段とを含む。1実施態様において、溜めはさらに5〜25重量%の架橋ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(例えば、N−ビニル−2−ピロリドンXL−10,G&F)を含む。好ましくは、バッキングは例えばNRU−100−C(登録商標)(Flexcon,マサチュセッツ州,スペンサー)のような通気性バッキングである。閉塞バッキングを用いる場合には、Medpar(登録商標)(3M,ミネソタ州,セントポール)が好ましい。好ましくは、溜めを皮膚と薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に維持するための手段は例えばMSPO41991P,3Mのようなアクリル系接触接着剤である。好ましくは、エチレン−酢酸ビニルコポリマーは33%又は40%の酢酸エステル含量を有する。上記特許は本発明による経皮薬物投与デバイスの種々な層又は成分の成形加工に使用可能である多様な材料を開示する。それ故、本発明は本明細書に開示された以外の材料も、必要な機能を果たしうることが今後、当該技術分野に知られる材料を含めて、用いることを考慮する。本発明の実施を説明するために下記実施例を提供するが、これらは本発明を何らかの意味で限定することを意図されないものである。実施例140%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(“EVA40”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)を密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA40ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、アルプラゾラム(GYMA Labs,米国,ニュージャージー州、ガーデンシティ)と、グリセロールモノラウレート(Grindsted ML90,Grindsted Products A/B,デンマーク,ブラブランド)と、乳酸ラウリル(Van Dyk,Inc.ニュージャーシー州、ブレビュー)とを加えた。混合物を54〜56℃、30rpmにおいて約20分間ブレンドした。ブレンド後に、混合物を40〜45℃に急冷し、13mil厚さフィルムにカレンダー処理した。このフィルムを次に、片側をアクリル系接触接着剤(MSPO419910,3M)に積層し、反対側をMedpar(登録商標)バッキング(3M,ミネソタ州,セントポール)又はNRU−100−C(登録商標)バッキング(Flexcon,マサチュセッツ州,スペンサー)に積層した。ラミネートを次にステンレス鋼パンチを用いて円にカットした。この薬物溜めの組成を表1に示す。ヒト表皮の円形ピースを水平透過セル上に、角質層をセルのドナー区画に面させて載せた。次に、系の剥離ライナーを除去して、系を表皮の角質層側上に位置合わせした。35℃において平衡させたレセプター溶液(2%イソプロパノールを含む0.01Mリン酸カリウム,pH6)の既知量をレセプター区画に入れた。レセプター区画から気泡を除去した;セルに蓋をして、35℃の水浴シェーカーに入れた。一定の時間間隔で、全レセプター溶液をセルから取り出し、予め35℃に平衡させた、等量の新しいレセプター溶液と取り替えた。レセプター溶液を蓋をした瓶に入れて、HPLCによるアルプラゾラム含量の分析まで、4℃に保存した。薬物濃度とレセプター溶液量、透過面積及び時間間隔から、表皮を通る薬物流量を次のように算出した:(薬物濃度xレセプター量)/(面積x時間)=流量(μg/cm2・時)。種々な系に関して得られた流量を図5と6に示す。図5と6から知ることができるように、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとを含む系から得られた流量はグリセロールモノラウレート又は乳酸ラウリルのいずれか一方のみを含む系から得られた流量よりも有意に大きかった。実施例240%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(“EVA40”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)を密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA40ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、アルプラゾラムと、グリセロールモノラウレートと、乳酸ラウリルとを加えた。混合物を54〜56℃、30rpmにおいて約20分間ブレンドした。ブレンド後に、混合物を40〜45℃に急冷し、5mil厚さフィルムにカレンダー処理した。この溜めの組成を表2に示す。次に、このフィルムを、片側をアクリル系接触接着剤(MSPO41991P,3M)に積層し、反対側をMedpar(登録商標)バッキング(3M)に積層した。このラミネートを次に5cm2方形にカットした。表3から知ることができるように、グリセロールモノラウレートと乳酸ラウリルとの組合せに関する血漿レベルは、グリセロールモノラウレート単独に関する血漿レベルよりも有意に大きかった。実施例328%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(“EVA28”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)と架橋ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(PolyplasdoneXL−10(登録商標),GAF)とを密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA28ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、エストラジオールと、グリセロールモノラウレートと、乳酸ラウリルとを加えた。混合物をブレンドし、カレンダー処理して、4.0mil厚さフィルムにした。この溜めの組成を表3に示す。次に、このフィルムを、片側をアクリル系接触接着剤(147−123−4,Adhesive Research Co.)に積層し、反対側をdermaFlex NRU−100−C(登録商標)バッキング(Flexcon Co.)に積層した。このラミネートを次に円形にカットし、縁剥離を防ぐためにテープを巻いた(taped)。試験した各デバイスに関して、使用直前に乾燥ブロットしたヒト表皮ディスクの角質層側に接着剤を塗布した。過剰な表皮はデバイスの周囲に巻き付けて、デバイス縁がレセプター溶液に暴露されないようにした。表皮で覆われたデバイスをナイロンネットとニッケルワイヤーとを用いて、レリースロッド(release rod)のテフロンホルダーの平たい側に取り付けた。このロッドを一定量のレセプター溶液(蒸留水)中で往復運動させた。各サンプリング時間に全レセプター溶液を取り替えた。水浴中のレセプター溶液の温度を35℃に維持した。レセプター溶液を蓋をした瓶に入れて、HPLCによるエストラジオール含量の分析まで、4℃に保存した。種々な系に関して得られた流量を図7に示す。実施例428%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(”EVA28”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)と架橋ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(PolyplasdoneXL(登録商標),GAF)とを密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA28ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、テストステロンと、グリセロールモノラウレート、乳酸ラウリルとを加えた。混合物をブレンドし、カレンダー処理して、4.0mil厚さフィルムにした。この溜めの組成を表4に示す。次に、このフィルムを、片側をアクリル系接触接着剤(147−123−4,Adhesive Research Co.)に積層し、反対側をdermaFlex NRU−100−C(登録商標)バッキング(Flexcon Co.)に積層した。このラミネートを次に円形にカットし、縁剥離を防ぐためにテープを巻いた。試験した各デバイスに関して、使用直前に乾燥ブロットしたヒト表皮ディスクの角質層側に接着剤を塗布した。過剰な表皮はデバイスの周囲に巻き付けて、デバイス縁がレセプター溶液に暴露されないようにした。表皮で覆われたデバイスをナイロンネットとニッケルワイヤーとを用いて、レリースロッド(release rod)のテフロンホルダーの平たい側に取り付けた。このロッドを一定量のレセプター溶液(蒸留水)中で往復運動させた。各サンプリング時間に全レセプター溶液を取り替えた。水浴中のレセプター溶液の温度を35℃に維持した。レセプター溶液を蓋をした瓶に入れて、HPLCによるテストステロン含量の分析まで、4℃に保存した。種々な系に関して得られた流量を図8に示す。実施例540%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(“EVA40”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)を密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA40ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、アルプラゾラムと、グリセロールモノラウレートと、乳酸ラウリルとを加えた。混合物を54〜56℃、30rpmにおいて約20分間ブレンドした。ブレンド後に、混合物を40〜45℃に急冷して、カレンダー処理して、5mil厚さフィルムにした。この薬物溜めの組成を表5に示す。次に、このフィルムを、片側をアクリル系接触接着剤(MSPO41991P,3M)に積層し、反対側をMedpar(登録商標)又はNRU−100−C(登録商標)バッキング(Flexcon,マサチュセッツ州,スペンサー)に積層した。このラミネートを次にステンレス鋼パンチを用いて、円形にカットした。ヒト表皮の円形ピースを水平透過セル上に、角質層をセルのドナー区画に面させて載せた。次に、系の剥離ライナーを除去し、系を表皮の角質層側上に位置合わせした。35℃に平衡させたレセプター溶液(2%イソプロパノールを含む0.01Mリン酸カリウム,pH6)の既知量をレセプター区画に入れた。気泡を除去し、セルに蓋をして、35℃の水浴シェーカーに入れた。一定時間間隔で、セルから全レセプター溶液を取り出し、予め35℃に平衡させた新しいレセプター溶液の等量と取り替えた。レセプター溶液を蓋をした瓶に入れて、HPLCによるアルプラゾラム含量の分析まで、4℃において保存した。種々な系に関して得られた流量を図9に示す。図9によって実証されるように、20%GMLと12%LLとを含む系はアルプラゾラムの良好な累積流量を示した。実施例640%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(“EVA40”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)と任意の架橋ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(PolyplasdoneXL(登録商標),GAF)とを密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA40ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、テストステロンと、グリセロールモノラウレートと、乳酸ラウリルとを加えた。混合物をブレンドし、カレンダー処理して、4.0mil厚さフィルムにした。この溜めの組成を表6に示す。次に、このフィルムを、片側をアクリル系接触接着剤(MSPO41991P,3M)に積層し、反対側をMedpar(登録商標)又はNRU−100−C(登録商標)バッキングに積層した。このラミネートを次に円形にカットし、縁剥離を防ぐためにテープを巻いた。試験した各デバイスに関して、使用直前に乾燥ブロットしたヒト表皮ディスクの角質層側に接着剤を塗布した。過剰な表皮はデバイスの周囲に巻き付けて、デバイス縁がレセプター溶液に暴露されないようにした。表皮で覆われたデバイスをナイロンネットとニッケルワイヤーとを用いて、レリースロッドのテフロンホルダーの平たい側に取り付けた。このロッドを一定量のレセプター溶液(0.1%安息香酸)中で往復運動させた。各サンプリング時間に全レセプター溶液を取り替えた。水浴中のレセプター溶液の温度を35℃に維持した。レセプター溶液を蓋をした瓶に入れて、HPLCによるテストステロン含量の分析まで、4℃に保存した。種々な系に関して得られた流量を図10に示す。実施例740%の酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(“EVA40”,U.S.I.Chemicals;イリノイ州)を密閉式ミキサー(BraBender型ミキサー)においてEVA40ペレットが融解するまで混合することによって、薬物/透過促進剤溜めを製造した。次に、アルプラゾラムと、グリセロールモノラウレートと、乳酸ラウリルとを加えた。混合物をブレンドし、カレンダー処理して、5.0mil厚さフィルムにした。この薬物溜めの組成を表7に示す。次に、このフィルムを、片側をアクリル系接触接着剤(MSPO41991P,3M)に積層し、反対側をMedpar(登録商標)又はNRU−100−C(登録商標)(Flexcon Co.)バッキングに積層した。このラミネートを次に円形にカットし、縁からの薬物放出を防ぐためにテープを巻いた。試験した各デバイスに関して、使用直前に乾燥ブロットしたヒト表皮ディスクの角質層側に接着剤を塗布した。過剰な表皮はデバイスの周囲に巻き付けて、デバイス縁がレセプター溶液に暴露されないようにした。表皮で覆われたデバイスをナイロンネットとニッケルワイヤーとを用いてレリースロッドのテフロンホルダーの平たい側に取り付けた。このロッドを一定量のレセプター溶液(2%イソプロパノールを含む0.01Mリン酸カリウム,pH6)中で往復運動させた。各サンプリング時間に全レセプター溶液を取り替えた。水浴中のレセプター溶液の温度を35℃に維持した。レセプター溶液を蓋をした瓶に入れて、HPLCによるアルプラゾラム含量の分析まで、4℃に保存した。種々な系に関して得られた流量を図11に示す。本発明を特に、ある一定の好ましい、その実施態様に関して詳細に説明したが、本発明の要旨及び範囲内で変更及び改良が行われうることは理解されるであろう。本発明の実施態様は、次の通りである。1.身体表面又は膜を通しての透過によって薬物を投与するために、身体表面又は膜に適用する組成物であって、(a)治療有効量の投与すべき薬物と;(b)(i)15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と、(ii)8〜25重量%の乳酸エステル又は乳酸エステル混合物とを含有する透過促進性混合物とを組合せて含む前記組成物。2.モノグリセリド又はモノグリセリド混合物が組成物の20重量%を成し、乳酸エステル又は乳酸エステル混合物が組成物の12重量%を成す上記1記載の組成物。3.乳酸エステルが乳酸ラウリル、乳酸エチル、乳酸ミリスチル又は乳酸セチルから成る群がら選択される上記1記載の組成物。4.乳酸エステル混合物が乳酸エチルと乳酸ラウリルとである上記1記載の組成物。5.モノグリセリドがグルセロールモノラウレートである上記3〜7のいずれかに記載の組成物。6.グルセロールモノラウレートが組成物の20重量%を成し、乳酸エステルが組成物の12重量%を成す上記5記載の組成物。7.薬物を治療有効速度で経皮投与するためのデバイスであって、(a)治療有効量の薬物と、皮膚透過促進量の、(i)15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と(ii)8〜25重量%の乳酸エステル又は乳酸エステル混合物とを含有する透過性混合物とを含む薬物溜めと;(b)該溜めの皮膚遠位面上のパッキングと;(c)該溜めを皮膚と薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に維持するための手段とを含む前記デバイス。8.パッキングと薬物溜めとの間の過剰な透過促進性混合物と飽和以下の薬物とを含む第2溜めと;薬物溜めと第2溜めとの間の速度制御膜とをさらに含む上記7記載のデバイス。9.モノグリセリドがグルセロールモノラウレートである上記7又は8に記載のデバイス。10.乳酸エステルが乳酸ラウリル、乳酸エチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチルから成る群がら選択される上記7又は8に記載のデバイス。11.乳酸エステル混合物が乳酸エチルと乳酸ラウリルとである上記7又は8に記載のデバイス。12.モノグリセリドがグルセロールモノラウレートであり、乳酸エステルが乳酸エチル又は乳酸ラウリルである上記7又は8に記載のデバイス。13.モノグリセリドがグルセロールモノラウレートである上記10又は11に記載のデバイス。14.グルセロールモノラウレートと乳酸エステルとがそれぞれ、薬物含有溜めの20重量%と12重量%とを成す上記13記載のデバイス。15.薬物を経皮投与する方法が、(a)薬物を皮膚の一定面積に治療有効速度で投与する段階と;(b)(i)薬物と透過促進剤との混合物に基づいて15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と、(ii)薬物と透過促進剤との混合物に基づいて8〜25重量%の乳酸エステル又は乳酸エステル混合物とを含有する透過促進性混合物を該皮膚面積に、該薬物に対する該面積の透過性を実質的に高めるために充分である速度で、同時投与する段階とを含む前記方法。 身体表面を通しての透過によって薬物を投与するために、身体表面に適用する組成物であって、(a)治療有効量の投与すべき薬物と;(b)(i)15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と、(ii)8〜25重量%の乳酸エステル又は乳酸エステル混合物とを含有する透過促進性混合物と;を組みあわせて含む前記組成物。 モノグリセリド又はモノグリセリド混合物が組成物の20重量%を成し、乳酸エステル又は乳酸エステル混合物が組成物の12重量%を成す請求項1記載の組成物。 乳酸エステルが乳酸ラウリル、乳酸エチル、乳酸ミリスチル又は乳酸セチルから成る群から選択される請求項1記載の組成物。 乳酸エステル混合物が乳酸エチルと乳酸ラウリルとである請求項1記載の組成物。 モノグリセリドがグリセロールモノラウレートである請求項3又は4に記載の組成物。 グリセロールモノラウレートが組成物の20重量%を成し、乳酸エステルが組成物の12重量%を成す請求項5記載の組成物。 薬物を治療有効速度で経皮投与するためのデバイスであって、(a)治療有効量の薬物と、皮膚透過促進量の、(i)15〜25重量%のモノグリセリド又はモノグリセリド混合物と(ii)8〜25重量%の乳酸エステル又は乳酸エステル混合物とを含有する透過性混合物とを含む薬物溜めと;(b)該溜めの皮膚遠位面上のバッキングと;(c)該溜めを皮膚と薬物−及び透過促進性混合物−伝達関係に維持するための手段と;を含む前記デバイス。 バッキングと薬物溜めとの間の過剰な透過促進性混合物と飽和以下の薬物とを含む第2溜めと;薬物溜めと第2溜めとの間の速度制御膜とをさらに含む請求項7記載のデバイス。 モノグリセリドがグリセロールモノラウレートである請求項7又は8に記載のデバイス。 乳酸エステルが乳酸ラウリル、乳酸エチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチルから成る群から選択される請求項7又は8に記載のデバイス。 乳酸エステル混合物が乳酸エチルと乳酸ラウリルとである請求項7又は8に記載のデバイス。 モノグリセリドがグリセロールモノラウレートであり、乳酸エステルが乳酸エチル又は乳酸ラウリルである請求項7又は8に記載のデバイス。 モノグリセリドがグリセロールモノラウレートである請求項10又は11に記載のデバイス。 グリセロールモノラウレートと乳酸エステルとがそれぞれ、薬物含有溜めの20重量%と12重量%とを成す請求項13記載のデバイス。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る