タイトル: | 特許公報(B2)_悪性疾患治療のための非経口ブスルファン |
出願番号: | 1995510311 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K31/255,A61K9/08,A61K47/16,A61K47/34,A61P35/00,A61P37/06 |
アンダーソン,ボージェ・エス バガトワー,ハーシャル・ピー チャウ,ダイアナ・シュー‐リャン JP 3599285 特許公報(B2) 20040924 1995510311 19940830 悪性疾患治療のための非経口ブスルファン ボード・オヴ・リージェンツ,ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・テキサス・システム ユニヴァーシティ・オヴ・ヒューストン‐ユニヴァーシティ・パーク 奥山 尚男 秋山 暢利 奥山 尚一 有原 幸一 アンダーソン,ボージェ・エス バガトワー,ハーシャル・ピー チャウ,ダイアナ・シュー‐リャン US 08/129,995 19930930 20041208 7A61K31/255A61K9/08A61K47/16A61K47/34A61P35/00A61P37/06 JPA61K31/255A61K9/08A61K47/16A61K47/34A61P35/00A61P37/06 7 A61K 31/255 A61K 9/08 A61K 47/16 A61K 47/34 A61P 35/00 A61P 37/06 特表昭58−500327(JP,A) PHARMACEUTICAL RESEARCH,1992,,Vol.9,No.10,page 200-S,PDD7127 PROCEEDINGS OF THE AMERICAN ASSOCIATION FOR CANCER RESEARCH,1993,Vol.34,page 269,1602 19 US1994009748 19940830 WO1995008991 19950406 1997502996 19970325 28 20000815 伊藤 幸司 発明の範囲本発明は、ヒトにおける悪性疾患の抑制に有用なブスルファン(busulfan)の形態に関する。発明の背景ブスルファン(busulfan)[1,4−ビス−(メタンスルホンオキシル)ブタン]は、Haddow and Timmis(1953)が最初に報告した二官能アルキル化剤である。強力な抗腫瘍効果が実証されて以来、悪性疾患、特に血液の悪性疾患と骨髄増殖性症候群の治療に広範に使用されてきた(Galton,1953;Ambs et al.,1971;Abe,1975;Canellos,1985;Hughes and Goldman,1991;Collis,1980)。長い間、その使用は姑息的治療を目的とした低用量の経口投与に限定され、血球数の頻繁な監視が常に推奨されていた(Canellos,1985;Hughes and Golodman,1991;Colis,1980)。約2%から3%の患者がブスルファンによる肺線維症を発症し(Colis,1980;Koch and Lesch,1976;Oakhill et al.,1981)、長期投与後に、時に重度の、時に不可逆的な骨髄抑制さえ出現したことから、1日量8〜10mgを超える用量の投与は事実上不可能であった(Canellos,1985;Hughes and Goldman,1991;Ganda and Mangalik,1973;Alberecht et al.,1971)。しかし、1974年に、Santos and Tustschkaは、無形成性白血病のネズミモデルの作製にブスルファンの使用を検討した(Santos and Tustschka,1974;Tustschka and Santos,1975)。その後、このモデル系で得られた経験を利用して、ブスルファンの経口投与に基づく高用量の併用化学療法が霊長類の移植前調整に導入され(Buckner,1975)、続いて自家骨髄移植あるいは同種異系骨髄移植を受ける患者に導入された(Santos et al.,1983;Lu et al.,1984;Yeager et al.,1986;Tutshcka et al.,1987;Peter et al.,1987;Copelan et al.,1989;Geller et al.,1989;Grochow et al.,1989;Sheridan et al.,1989)。それ以来、自己由来あるいは同種異系の造血幹細胞と併用される場合には、最も一般的にはシクロホスファミドと共に高用量のブスルファンを投与する方法が、極めて有効な抗白血病治療法であることが実証されている。自家骨髄移植を受ける血液の悪性疾患患者の準備において、ブスルファン/シクロホスファミド(BuCy)と全身放射線療法シクロホスファミド(Cy)の併用療法を比較した最近の研究によって、BuCy療法が十分耐用性が高く、少なくともTBIに基づく治療法と同程度に有効であることが明らかにされた(Miller et al.,1991;Buckner et al.,1992;Schwertfeger et al.,1992)。高用量のブスルファン投与は、骨髄剥離/移植前処理において幾つかの利点を提供する。第一に、骨髄移植を受ける患者の調整に、化学療法を単独で用いることにより、通常は一定のスケジュールで必要な治療を行う能力に限界がある照射装置に依存せずに済む。第二に、総照射線量が高いと毒性が非常に高くなり、特に肺に対して高く、特別な防御手段(遮蔽)が必要となることがある。このように極めて高い毒性は、併用化学療法には通常見受けられない。第三に、放射線療法は、過去に照射を受けたことが無い患者にのみ実施できる。多くのリンパ腫、ホジキン病、白血病患者が、中枢神経系のような重要な部位の局所の攻撃的病変のコントロールに、あるいは縦隔または頚部等の大きな病変に過去に(広範にわたる)照射を受けている。このような患者に移植前調整治療の一部として、更に照射を行うと、不可逆的な、しばしば致命的な毒性を引き起こすことがある。しかし、過去に照射を受けた患者の大多数は、過去の急性放射線毒性(通常治療後最初の2〜4カ月以内)が消失していれば、ブスルファンに基づく治療を安全に受けることができる。第四に、同種異系骨髄移植後に白血病が再発した選択された患者において、2回目の骨髄移植により疾患の長期コントロール、あるいは治癒の機会さえ得られる可能性がある(Vaughn et al.,1991;Champlin et al.,1985;Sanders et al.,1988;Blume et al.,1987)。不顕性の(不可逆的な)毒性により、TBI−に基づく治療は、患者の生涯において1回しか利用できないが、併用化学療法は、過去のTBI−療法後に行うことができる。従って、ブスルファンに基づく化学療法は、有効な代替療法となるであろう。残念ながら、経口ブスルファンは幾つかの重大な欠点がある。従って、シクロホスファミド(と恐らく他の化学療法薬)と高用量で併用投与を行うと、肝臓と肺にしばしば重大な副作用が認められる(Collis,1980;Koch et al.,1976;Santos et al.,1983)。数人の研究者が、最も重大な副作用として致命的な肝不全を引き起こす肝臓の静脈閉塞性疾患を報告している(Yeager et al.,1986;Geller et al.,1989;Grochow et al.,1989;Miller et al.,1991)。癲癇の大発作のような神経障害および重度の悪心嘔吐もしばしば認められる(Grigg et al.,1989;Marcus et al.,1984;Martell et al.,1987;Sureda et al.,1989;Vassal et al.,1990)。どの患者が肝不全を発症するのか予測することは不可能で、更に肝不全が全身のブスルファンに由来する毒性によるものか、あるいはブスルファンが腸管から吸収される際の初回通過の効果かどうかも不明である。しかし、ブスルファンの薬物動態について得られている多少略図的なデータに基づけば、経口摂取された用量の大部分が吸収され、血漿内ブスルファン濃度が長時間高値を維持している患者においては、重大な副作用発症のリスクが高くなるように見える(Marcus et al.,1984;Vassal et al.,1990)。経口ブスルファンのもう1つの欠点は、投与後短時間(1〜2時間以内)で重度の悪心および嘔吐を発症する患者においては、投与量の一部または全てが失われ、しかも吐物中に失われた用量を正確に測定することは殆ど不可能と思われる点である。更に、投与された薬物の腸管吸収作用は、患者の栄養状態および腸管の微生物環境に影響する同時投与された他の薬物によって影響され、また薬物の経口摂取時に極めて近い時点で食事を摂取したかどうかによって、最終的には患者間に固有の腸管吸収の生物学的変動によって影響される(Benet et al.,1985)。これらの不確定性により、高用量のブスルファン投与は、(致命的)毒性のリスクを伴う偶発的過剰投与の危険性と、骨髄移植後の再発または持続性悪性疾患のリスクが極めて高い(適正量を下回る)過少投与の危険性の両面から、固有の安全性の問題を抱えている。陽電子放射断層撮影法を用いて、陽電子放射性核種炭素11で標識したブスルファンの生体内分布が、人間の患者とcynomolgus monkeyにおいて検討された(Hassan et al.,1992)。10%エタノールを含む生理食塩水中の放射性トレーサー量の11C−ブスルファンが静脈内ボーラスに投与された。ブスルファンの濃度は報告されなかったが、治療量と比較し、恐らくごく僅かであった。M Hassanは、発明者に、総注入量が1〜2μgと推定されることを示した。伝えられる所に依ると、Giles et al.(1984)は、ポリエチレングリコールに60mg/kgの用量で溶解されたブスルファンを腹腔内注入し、ブスルファンによる血小板機能障害を誘発した。溶液の濃度は示されていないが、ブスルファンの溶解速度が遅いため、著者等は混合を促進するために混合物を過度に加熱した。これが、ブスルファンの有意な化学的分解を引き起こした可能性がある。更に、腹腔内投与されたブスルファンは非常に毒性が高く、顕著な局所的な組織の損傷を引き起こす。Kitamuraの報告の要旨(Kitamura,et al.,1979)は、典型的に経口投与されるブスルファンとシクロホスファミドの公知の使用法に関する。32Pが静脈内投与されたことが報告されている。伝えられた所によると、Tutschka and Santosは、ブスルファンを投与されたラットにおける骨髄移植研究において、2.5%カルボキシメチルセルロース水溶液に入れて調製したブスルファンを腹腔内注入した。この注入によっても、顕著な局所的な組織の損傷が引き起こされる。骨髄芽球治療のための化学療法を目的としたブスルファンの経口投与による上記の欠点と危険性を回避するために、非経口投与、すなわち静脈内(i.v.)経路により安全に投与できる化学的に安定なブスルファンが必要である。略語AUC =曲線下面積(area under the curve)BSF =ブスルファン(busulfan)BuCy=ブスルファン/シクロホスファミドCGA =N−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−N−[3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イロキシ)フェニル]尿素(N−(2,6−Difluorobenzoyl)−N−[3,5−dichloro−4−(3−chloro−5−trifluoromethylpyridin−2−yloxy)phenyl]ureaCy =シクロホスファミド(cyclophosphamide)DDCB=1,4−ビス(ジエチルジチオカルバモイル)ブタン1,4−Bis(diethyldithiocarbamoly)butaneDDTC=ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウムSodium diethyldithiocarbamateDMA =N',N−ジメチルアセトアミド(N',N−dimethylacetamide)DMSO=ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)HBCD=ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンhydroxypropylbetacyclodextrinMTT =3,(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリウム−ブロマイド3,(4,5−dimethylthiazol−2−yl)2,5−diphenyltetrazolium bromidePEG =ポリエチレングリコールPG =プロピレングリコールTBI =全身照射THF =テトラヒドロフランTVP =総容量パーセント発明の概要本発明は、被投与対象に最大耐量のブスルファンを非経口投与する際、ブスルファンの化学的安定性を維持しつつ、溶解されていないブスルファンまたは液体賦形剤による予想外の毒性を伴わずに投与できる、生理学的に許容可能な非経口投与用ブスルファン処方を提供するために、液体賦形剤にブスルファンを溶解する方法に関する。広い意味で、本発明は、本薬物の経口投与後に経験される不安定な腸管吸収を防止し、それによって、予想外の、時に致命的な毒性を防止するブスルファンを非経口投与方法を記述するものである。本発明は、患者の悪性疾患の治療法を提供する。この方法は、水に混和性の生理学的に許容可能なブスルファンの溶媒に溶解された薬剤学的有効量のブスルファンの非経口投与から成る。溶解されたブスルファンと溶媒の混合物に水を加えることもできる。悪性疾患は、例えば腫瘍、血液の悪性疾患、骨髄増殖性症候群、白血病、または骨髄移植を必要とする疾患である。溶解されたブスルファンの薬剤学的有効量は、治療目的を達成する量である。生理学的に許容可能な溶媒は、使用される濃度と用量の観点から患者が耐えられるものである。水に混和性の生理学的に許容可能なブスルファンの溶媒は、ブスルファンを溶解する溶媒で、N',N−ジメチルアセトアミドや、ポリエチレングリコールの水溶液、またはN',N−ジメチルアセトアミドとブスルファンを溶解させ、安定させることが可能な担体水溶液との混合物が可能である。この担体水溶液としては、ポリエチレングリコール溶液が可能である。投与は、血管内または静脈内投与が可能である。N',N−ジメチルアセトアミドの濃度は5%〜99%で、好ましくは5%〜15%または15%〜25%で、ポリエチレングリコールの濃度は5%〜50%である。ポリエチレングリコールの分子量は、200から2,000ドルトンで、より好ましくは350から450ドルトンである。本技術に精通する者は、生理学的に許容可能である限り、種々の分子量のポリエチレングリコール溶液を利用できることを理解するであろう。溶解されたブスルファンの濃度は1〜75mg/mLである。本発明の更なる実施例は、薬剤学的に許容可能なブスルファンの非経口投与用組成物(配合物)である。この組成物は、水に混和性の生理学的に許容可能なブスルファンの溶媒に、1〜75mg/mLの濃度で溶解されたブスルファンから成る。この組成物は、更に水を含んでよい。水に混和性のブスルファン溶媒は、N',N−ジメチルアセトアミドや、ポリエチレングリコールの水溶液またはN',N−ジメチルアセトアミドとブスルファンの溶解し安定させることが可能な担体水溶液の混合物である。この担体水溶液としては、ポリエチレングリコール溶液が可能である。N',N−ジメチルアセトアミドの濃度は、5%〜99%で、ポリエチレングリコールの濃度は5%〜50%である。ポリエチレングリコールの分子量は、200から2,000ドルトンで、より好ましくは350から450ドルトンである。このブスルファンの溶媒としては、ポリエチレングリコールまたはヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンも可能である。本発明は、例えば1〜7.5mg/mLの濃度で溶解されたブスルファン、ポリエチレングリコール35%〜45%、水45%〜55%、N',N−ジメチルアセトアミド5%〜15%から成る組成物のような、更なる薬剤学的に許容可能なブスルファンの非経口投与用組成物を提供する。好ましい実施例は、1〜15mg/mLの濃度で溶解されたブスルファン、35%〜45%のポリエチレングリコール−400、35%〜45%の水、15%〜25%のN',N−ジメチルアセトアミドから成る薬剤学的に許容可能なブスルファンの非経口投与用組成物である。薬剤学的に許容可能なブスルファンの非経口投与用組成物の調製方法は、本発明の1つの点である。この方法は、i)ブスルファンを水に混和性の生理学的に許容可能なブスルファンの溶媒に溶解し、ブスルファン使用液を調製し、ii)ブスルファン使用液を、ブスルファンを溶解し安定させることが可能な担体水溶液を用いて希釈し、薬剤学的に許容可能なブスルファンの非経口投与用組成物を得る。更なる方法は、水に混和性の生理学的に許容可能なブスルファン溶媒に1〜75mg/mLの濃度でブスルファンを溶解するステップから成る。この溶媒としては、N',N−ジメチルアセトアミドまたはポリエチレングリコール水溶液が可能である。【図面の簡単な説明】図1は、元の薬物1Aとしてブスルファンの化学構造を図示している。ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム1Bを用いて、HPLC分析用に抽出後誘導体1,4−ビス(ジエチルジチオカルバモイル)ブタン1C(DDCB)が得られる。図2は、種々の濃度のHBCDに溶解されたブスルファンの経時的平衡溶解度を示す。図3は、種々の濃度のPEG−400に溶解されたブスルファンの経時的平衡溶解度を示す。図4は、ヒト赤血球に対するブスルファンを含む又は含まない40%PEG−400の溶血作用を示す。図5は、ヒト赤血球に対するブスルファンを含む又は含まない50%PEG−400の溶血作用を示す。図6は、ヒト赤血球に対するブスルファンを含む又は含まない10%HBCDの溶血作用を示す。図7は、22℃における20%DMA/40%PEG−400に溶解された種々の濃度のブスルファンの安定性を示す。図8は、ブスルファンの血漿プロフィールの比較を示す。薬物は、絶食または非絶食ラットに錠剤として、40%PEG−400に溶解された経口溶液として、または40%PEG−400に溶解されたブスルファンの静脈内ボーラスとして投与した。図9は、ラットにおけるアセトンまたはDMSOまたは20%DMA/40%PEG−400担体水溶液に3mg/mLの濃度で溶解されたブスルファンの静脈内投与の血漿濃度プロフィールを示す。総注入容量は100〜150μLで、ブスルファンの用量は1mg/kg体重であった。溶液は全て、投与直前に新しく調製された。図10は、ヒトKBM−3細胞に対するブスルファンを含む又は含まないDMA/PEG−400担体水溶液のin vitroのヒト細胞毒性活性を示す。毒性の無い少量のアセトンに溶解されたブスルファンに接触させたKBM−3細胞をポジティブコントトールとした。好ましい実施例の詳細な説明本発明は、悪性疾患のコントロールに役立つ特定のブスルファン処方の非経口投与に有用な方法と組成物を提供するものである。この投与経路は、腫瘍学の臨床治療において過去に探究されたことはなかった。本化学療法剤の非経口投与により、高用量のブスルファン経口投与の効果を減じる不安定な腸管吸収を防止することができる。ここに示す具体例は、非経口ブスルファン製剤に使用される希釈用賦形剤が、薬物の細胞毒性特性を維持する化学的に安定な形態で薬物を溶解する効果があることを示している。賦形剤は、使用される提唱濃度と総用量においては、実験動物とヒトに許容可能な賦形剤である。PEG−400は、リンパ性白血病とリンパ腫の治療におけるL−アスパラキナーゼの担体としての使用に関して過去に臨床評価されており、この賦形剤の使用に起因する予想外の毒性は認められなかった(Keating et al.,1993)。薬剤学的に許容可能な他の大きさのPEGも同様に使用できる。DMAは骨髄性白血病治療の臨床試験において、アムサクリンの希釈液原液として使用されたことがあり、DMAに起因する重大な副作用は認められていない。DMAは、ヒトにおける抗癌剤のフェーズI試験に使用されている(Weiss et al.,1962)。用量を制限するような毒性としては、少なくとも1日量400mg/kg体重を4〜5日間投与された、あるいは累積用量88g以上を投与された患者における、肝機能不全、低血圧、精神的興奮状態であったが、これらの毒性は全て治療に可逆的に反応した(Weiss et al.,1962)。別の溶媒としては、恐らく酸化によりピルビン酸(pyruvic acid)と酢酸が生成されることから、体内摂取時に無害なものとしてポリエチレングリコールが考えられている(Merck Index,第11版、1989)。ここに示されるネズミモデルのデータは、非経口ブスルファン製剤が、検討された経口製剤のどれよりも実質的に高いバイオアベイラビリティを提供することを示している。特に、DMAとPEG−400水溶液とブスルファンからなる溶液は化学的に安定で、室温で簡単に調製、処理でき、信頼性が高く、コントロールが容易な投与を可能にし、バイオアベイラビリティは100%である。比較のために言及すると、ブスルファンは、24mg/mLの濃度でアセトンに溶解できるが、この溶媒は溶血性が高く、ヒトの臨床用溶媒に使用することはできない。これに対し、例えばDMSOは、ブスルファンの有効な溶媒と考えられる。しかし、DMSOは化学的反応性が極めて高い試薬で、ブスルファンを速やかに分解し、ルーチンの臨床利用には適さない溶媒である。一定の実験条件においては、アセトンとDMSOの両者がブスルファンの溶媒として利用でき、DMA/PEG−400水性溶媒系に溶解されたブスルファンとの比較のために、これらの賦形剤を用いて薬物動態データを得た。ブスルファンの経口投与は、特に移植前調整療法の一部として致死量以上の薬物が利用される場合に広範囲の毒性プロフィールを示す。ブスルファンの臨床使用例により、化学療法剤として経口投与経路を使用する場合の至適治療に伴う一般的問題点が強調されている。本発明は、悪性疾患治療のための高用量ブスルファンの非経口投与療法を提供すると同時に、投与薬物の不安定な腸管吸収、初回通過効果、毒性、肝臓代謝等の固有の問題を実質的に回避するものである。本発明は、至適にコントロールされた状態で、造血幹細胞との併用により悪性疾患治療のために高用量ブスルファンに基づく治療の薬理および治療研究を計画し、実施する機会を提供するものであり、ブスルファンに基づく治療法と、他の化学療法や、TBIに基づく調整療法との比較を有効に実施することができる。更に、化学的に安定なブスルファン製剤は、四肢の潅流のような局所治療にも、また胸腔および腹腔内の悪性疾患による浸出液の局所治療にも使用できる。悪性疾患による浸出液の局所治療に使用できれ、成功する化合療法剤が、非常に不足している。悪性細胞は、ブスルファンに基づく化学療法剤を高用量で投与することにより体内から根絶することができる。本発明のブスルファン非経口製剤は、このような治療剤の用量を正確に投与するための新しく、より有効な手段であり、同時に投与による致命的あるいは致死的な副作用のリスクを減少させる。別に定義されていない限り、ここに使用される全ての技術および科学用語は、本発明の技術において通常の技術を有する者が一般に理解している意味と同じである。特記されていない限り、全てのパーセンテージは重量/容量パーセンテージである。具体例1非経口投与可能なブスルファンの処方本具体例は、新しく開発されたブスルファン用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を使用して決定される種々の程度の溶解度の推定値を有した、ブスルファンの非経口投与製剤の原型を提供する。方法:目標とする溶解度の計算。ブスルファンの水に対する溶解度は、室温で僅か25μg/mlである。現在使用されている高用量ブスルファン投与療法は、70kgの患者に対する推定1日量を280mg(6時間毎に1mg/kg体重)と規定している(Santos,et al.,1983;Yeager et al.,1986)。臨床的に安全な最高注入速度約4〜5ml/分で120分間にわたり注入する場合、ブスルファンは少なくとも2〜4mg/mlの濃度に溶解されていなくてはならない。このためには、溶解度を上記よりも少なくとも80倍増大させる必要がある。水溶液に対するブスルファンの溶解度を高める方法。ポリエチレングリコール−(PEG)−400−水性溶媒系と、PEG−400とプロピレングリコール(PG)とグリセリンの組合せの溶媒と、N',N−ジメチルアセトアミドおよびN',N−ジメチルアセトアミドと40%PEGとの組合せの水溶液とを検討した。シクロデキストラン媒質水溶液も検討した。ネズミモデルにおける限定された薬物動態比較試験では、ブスルファンは静脈内投与直前に純粋アセトン中とDMSO中に3mg/kgで溶解した。詳細な賦形剤系の組成を表1に示す。既知量のブスルファンを20℃で予め決定された時間にわたって溶媒系に平衡化した。次に、部分標本を取り出し、ブスルファンの濃度と安定性を決定するために適切に希釈後、HPLC分析にかけた。HPLC分析。HPLC分析におけるブスルファンの最も鋭敏な検出システムは、紫外線(UV)スペクトルで作動する吸光または蛍光検出器を利用するものであろう。しかし、ブスルファン分子は、UVを吸収する発色団(chromophore)をその構造内に持たないため、HPLC分析においてUV検出器を利用できるようにするには、発色団を用いて誘導体を形成することが必須である。誘導体形成。MacKicham and Becthelの方法を改変したものを使用した(MacKicham et al.,1990)。簡単に述べると、ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウムを誘導体形成剤として使用し、278および254nmで吸光度のピークを示す1,4−ビス(ジエチルジチオカルバモイル)ブタン(図1)を生成した。HPLC分析の条件。Sep−PakTKC18固相抽出バイアル(Waters Chromatography Systems Inc.,ミルフォード、マサチューセッツ州)を使用して、誘導体を反応混合物から分離した。2つのHPLC系を評価した。異なる移動相系を表2に示す。結果溶解度測定。各溶媒系に対するブスルファンの溶解度を表3に示す。ブスルファンの溶解度は、検討した9つの溶媒系全てにおいて顕著に上昇した。水に対する溶解度と比較して、66から197倍上昇した。従って、2〜4mg/mLの非経口投与形態ブスルファン処方は実現可能である。この溶解度ならば、体重の重い患者において臨床的に処方された用量、1mg/kg体重を達成するために、120分より長時間の注入は必要ない筈である。具体例2ブスルファンの非経口製剤の平衡溶解度と安定性試験本具体例は、非経口投与に適した化学的に安定なブスルファン処方のデザイン、適宜処方されたブスルファンを生理食塩水やデキストロースのような注入液と混合したときの溶解度の限界値に関する研究、提案された非経口製剤に含まれるブスルファンの注入中の化学的および物理的安定性、溶血の可能性から見た溶媒系の毒性、ブスルファンを添加したときと添加しないときの賦形剤のin vitro細胞毒性活性を提供する。方法:平衡溶解度試験。室温(22℃)で蒸留水と混合することによって、40および50%(v/v)のPEG−400水溶液と、10、25、45%(w/v)のヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(HBCD)水溶液を調製した。過剰量のブスルファンを各溶液に加え、混合液を回転ミキサーにかけた(Tube RotatorTM、Scientific Equipment Products、ボルチモア、メリーランド州)。1mLの試料を種々の時間に採取し、シリンジ濾過アッセンブリ(Nuclepore Corp.プレザントン、カリフォルニア州)の0.45μmフィルター(Acro LC 25フィルターTM、Millipore Corp.ベッドフォード、マサチューセッツ州)を通して濾過し、適切に希釈し、ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウムにより誘導体を形成後、具体例1に示したようにHPLCによりブスルファン濃度を測定した。DMAとPEG−400の賦形剤水溶液に関しては、DMAはACRO LC 25フィルターを速やかに溶解するため、多少改変を加えた方法を採用した。DMAにブスルファンを溶解後、ブスルファン−DMA溶液を、40%のPEG−400と40%の水と混合し、シリンジアッセンブリに設置した0.45μm銀フィルター(Nuclepore Corp.,プリーサントン、カリフォルニア州)を通して濾過する。DDTCを用いて誘導体を形成後、上記のようにブスルファン濃度を測定した。浸透圧測定。Advanced Digimatic OsomometerTM(モデル3D II、Advanced Instruments Inc.,ニードハムハイツ、マサチューセッツ州)で浸透圧測定を行った。同装置は、OsmetTMキャリブレーション標準(Precision Systems 5004,Curtin Matheson Scientific、ヒューストン、テキサス州)を用いて、100〜2000mOsm/kgの範囲にわたりキャリブレーションした。250μLの容量の試験溶液をディスポーザブルキュベットに入れ、平衡した後、浸透圧測定値をmOsm/kgの単位で記録した。各試験賦形剤溶液(ブスルファンを含まない)について3回ずつ測定を行い、ブスルファンを添加した場合には6回ずつ測定を行った。種々のブスルファン処方の安定性。種々の非経口ブスルファン処方の物理的および化学的安定性を以下のように検討した。第一に、ブスルファンを25mg/mLの濃度でDMAのみに溶解し(「原液」)、4℃、22℃、40℃でインキュベーションした。0時間から開始し、10週目まで毎週試料を採取し、HPLCによりブスルファン濃度を分析した。第二に、ブスルファン−DMAをPEG−400と水で希釈し、DMA:PEG−400:水の最終濃度が20:40:40、最終ブスルファン濃度が2〜10mg/mLの溶液を得た。引き続き、これらの配合物を混合直後と、1時間おきに8時間、HPLCにより分析した。第三に、ブスルファン処方混合物を生理食塩水(ノーマルセライン)に希釈し、最終ブスルファン濃度1mg/mLを得た。次に、製剤を点滴バック(ViaflexTM、Baxter Healthcare Corp.ディアフィールド、イリノイ州)に入れ、1mL/分の速度に設定された非経口注入セットを通過させた。試料を0、0.5、1.0、2.0、5.0、7.0、9.0、12時間目に採取し、上記のようにHPLCによりブスルファンを分析した。溶血試験。種々の製剤の溶血の可能性の試験にReed and Yalkowskyの方法を採用し、種々の製剤のLD50値を測定した(Reed et al.,1985)。種々の量の全血(クエン酸を添加した)を0.05mLの薬物製剤に、1:1(v/v)、1:3、1:5、1:7、1:9の割合で添加した。混合物をボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、続いて25℃で2分間インキュベーションした。次に5mLの生理食塩水(ノーマルセライン)をこの混合物に加え、製剤をほぼ等張にすることによって、赤血球が更に溶血するのを止めた。混合物を再びボルテックスミキサーで10秒間撹拌し、3000rpmで5分間遠心分離した(BeckmanモデルTJ−6遠心分離器、Beckman Instruments Inc.,パロアルト、カリフォルニア州)。上清を注意深く吸引し、廃棄した。充填赤血球を等量の生理食塩水で室温でもう一度洗浄した。遠心分離後、上清を再度慎重に吸引し、廃棄した。続いて、使用した0.1mLの赤血球全てに1mLの水を加えた。ボルテックスミキサーで10秒間撹拌後、混合物を3,000rpmで5分間遠心分離した。蒸留水で1:3に希釈後、上清の吸光度を540nmで測定した。標準として平行して生理食塩水を分析した。健康な赤血球の割合は、それぞれの薬物処方の吸光度測定値を、生理食塩水標準の吸光度測定値で除したものと定義した(Reed et al.,1985)。統計分析。浸透圧測定値について両すそt検定(two−tailed t−test)を行い、ブスルファンを添加した場合と添加しない場合の種々の賦形剤処方の差を評価した。Pが0.05以下の場合、これら2群の平均値に有意差があると考えられる(Mann et al.,1947)。DMA/PEG−400賦形剤中のブスルファンのin vitro細胞毒性。ヒト白血病KBM−3細胞(Anderson,et al.,1992)を、ブスルファンを添加せずに種々の濃度(0.5%、1.0%、2.0%、3.0%、100% v/v)の完全な賦形剤の中で24時間インキュベーションし、20%のDMAと40%のPEG−400の賦形剤水溶液そのものの細胞毒性特性を分析するか(ネガティブコントロール)、あるいはブスルファンを添加してインキュベーションした。平行して、10%ウシ胎児血清を補足したIscoveの改変Dulbecco培地(GIBCO、グランドアイランド、ニューヨーク、ニューヨーク州)中の細胞を、20%のDMAと40%のPEG−400の水性溶媒(得られた賦形剤濃度はそれぞれ1.0および2.0%(v/v))中のブスルファン(25μg/mLと50μg/mLの濃度)と共に、あるいは少量(1%以下、v/v)のアセトンに溶解したブスルファンと共に細胞をインキュベーションした(ポジティブコントロール)。24時間後、5mg/mLのMTT(3,(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリウム−ブロマイド、Sigma Chemicals,セントルイス、ミズーリ州より入手)溶液の25μLを各試料に加え、更に37℃で2時間インキュベーション後、100μLの抽出緩衝液を加えた(抽出緩衝液:ジメチルホルムアミドと脱イオン水が同率の溶液に37℃で20%(w/v)SDSを飽和状態になるまで溶解し、報告されているように酢酸と1N塩酸を使用し、pHを4.7に調節した(Hansen et al.,1989)。37℃で一晩インキュベーション後、Titer−Techの96−ウェル・マルチスキャナーにより、抽出緩衝液をブランクとして用いて570nmにおける光学濃度を測定した。細胞毒性は、上記の試料と、PBS単独中でインキュベーションされた細胞の反応性の差として測定された。定量は全て、3回ずつ実施した。結果:平衡溶解度測定。HBCD処方中で、ブスルファンは比較的迅速に最大溶解度に到達し、全ての濃度のHBCDにおいて1時間以内に平衡に達した。45%処方中では、ブスルファンの平衡溶解度は約5.6mg/mLに達し、25%および10%HBCD処方中ではそれぞれ4.6および3.2mg/mLであった(表4)。25%および45%HBCD処方中のブスルファン濃度は、恐らくこの賦形剤の中でブスルファンが化学的に分解したため、平衡後速やかに低下した(図2)。これに反して、PEG−400単独の賦形剤においては、平衡溶解度に比較的ゆっくりと到達した。14時間の間最大溶解度に達しなかった(図3)。40%および50%(v/v)PEG−400処方に対する最大ブスルファン溶解度は、それぞれ3.0および6.2mg/mLであった(表4)。しかし、一旦最大溶解度に達すると、これらの賦形剤中ではブスルファンは安定に見えた(図3)。PEG−400に対するブスルファンの初期溶解性が低いという問題を解決するために、本発明者等は、無水N',N−ジメチルアセトアミド(DMA)にブスルファンを溶解する初期段階を導入し、続いてそれをPEG−400の水溶液と混合し、最終濃度を20%DMA、40%PEG−400、40%水とした。ブスルファンは75mg/mLの濃度でDMAに溶解できるが、常に25mg/mLの「使用」原液となるように溶解した。このDMAに溶解したブスルファンの原液は4℃と22℃で10週間以上安定で、明らかな分解は認められなかった。40℃では、一部分解(約10〜20%)が認められ、約3週目から徐々に始まり、15週目に50%代となった。複合DMAとPEG−400の水性溶媒は、ブスルファン溶解度が一時的に約10mg/mLとなった。この「完全な」ブスルファン処方は、ブスルファン濃度が3mg/mL以下の場合には、室温で8時間以上安定であった。高濃度では(5〜10mg/mL)、1時間後に薬物が沈殿し始めた。この沈殿は新しい見かけの平衡溶解度、約3mg/mLが確立されるまで続いた(図7参照)。浸透圧。ヒトの血液と等張の非経口投与形態を調製することが望ましいが、薬物/溶媒が中心静脈カテーテルを通して注入され、大量の血液によって速やかに希釈されるならば、非常に高張の送達システムを利用することが可能である。種々のブスルファン処方の重量オスモル濃度を表5に示す。PEG−400処方は、ブスルファンを含む場合も含まない場合も、非常に高張である。血液の浸透圧が290mOsm/kgであるのに対して、これらの浸透圧は1661から4000mOsm/kg以上であった。10%HBCD溶液は、ブスルファンを含む場合も含まない場合も、非常に低張で、これらの浸透圧は82から93mOsm/kg以上であった。45%HBCD溶液は、血液と等張であった。ブスルファンを添加することによって、20%DMAと40%PEG−400の水性溶媒を除いて、検討した処方全ての浸透圧が上昇した(表5)(P<0.05)。配合物の物理的および化学的安定性。種々の溶媒処方中のブスルファンの物理的および化学的安定性を検討した。まず薬物をDMAに25mg/mLの濃度で溶解した。部分標本を別々に4℃、22℃、40℃で保存した。0時間から毎週、試料中のブスルファン濃度をHPLCにより分析した。4℃と22℃で保存された試料は、少なくとも15週間の観察期間にわたり薬物の分解を認めなかった。40℃で保存された試料は、約3週目からブスルファンの分解が認められ、15週目には分解は約50%に達した。20%DMAと40%PEG−400と40%水の完全な溶液に溶解したブスルファンの安定性も、2、3、5、8、10mg/mLの濃度のブスルファンに関して検討した。この溶媒系では、8週間の観察期間中、2および3mg/mLのブスルファンは安定であった。5、8、10mg/mLでは、1〜2時間後に沈殿を形成し始め、遊離ブスルファンの濃度は徐々に約3mg/mLまで減少した。これは、この賦形剤の22℃における最大溶解度と思われる(図7参照)。長時間注入時の薬物の安定性を検討するために、ブスルファンを40%および50%のPEG−400水溶液に5mg/mL、10%HBCDに4mg/mLの濃度で溶解した。次に混合物を(臨床で利用されている)輸液バッグに満たした(300mL ViaflexTMバッグ、Baxter Healthcare Corp.,ディアフィールド、イリノイ州)。それから、ブスルファンを注入チューブセット(Quest Medical Inc.,ダラス、テキサス州)を通じて1mL/分の速度で排液し、定期的に(0、0.5、1、2、5、7、9、12時間目)試料を採取し、薬物分析に供した。上記のようにブスルファンの誘導体を形成し、試料をHPLCで分析した。興味深いことに、ブスルファン濃度の初期減少が検出された。これは、恐らく注入容器とチューブセットの内壁に薬物が初期吸収されたことによるものと思われる。その後、ブスルファン濃度は10%HBCD賦形剤中で少なくとも5時間、異なる濃度のPEG−400処方中で少なくとも7時間まで一定値を維持した。溶血。種々のブスルファン処方の溶血の可能性を評価した。データは、ln(総容量パーセント)に対する健康な細胞の比率としてプロットした。総容量パーセントは、血液で希釈した後の混合物中の賦形剤の容量パーセントである。これは、静注後体内での製剤の希釈をシュミレートするために行われた。健康な赤血球は、それぞれのブスルファン処方と混合後、細胞内にヘモグロビンを保持できるものと定義された(Reed et al.,1990)。図4〜6に示すように、全ての処方が、ブスルファンを添加しても、しなくても、同様の溶血誘発傾向を示した。ブスルファンの添加により、全体としての溶血作用は有意に増強されなかった。種々の賦形剤処方のLD50値を表6に示す。LD50は、50%の溶血を誘発するのに必要な賦形剤混合物の総容量パーセントとして定義した。全体として、PEG処方と比較すると、HBCD製剤のLD50値は非常に低かった。シクロデキストリンは非常に高い溶血誘発力を持っていることが報告されており(Yoshida et al.,1988)、LD50値は約2%(w/v)である。しかし、本研究においては、検討された賦形剤対血液比(1:1から1:9)では、ブスルファンを添加した場合でもしない場合でもHBCDの溶血力は極めて小さかった。実施に臨床で注入される場合には、それぞれの薬物処方の希釈率は検討された最高希釈率(1:9)よりもはるかに高くなる。1:5の希釈率で既に溶血は僅かであったことから、ここに示された全ての処方は、安全に非経口投与できるはずである。更に、ブスルファンそのものが溶血を引き起こすことが明らかにされている(Bishop et al.,1986);しかし、検討された処方において、ブスルファンが溶血全体に及ぼす影響は僅かであった。ブスルファンのin vitro細胞毒性。20%DMAと40%PEG−400の水性賦形剤中のブスルファンの細胞毒性活性を検討するために、ヒトKBM−3骨髄性白血病細胞(Anderson et al.,1992)を、ブスルファンを添加した場合と添加しない場合の種々の濃度の完全な賦形剤のいずれかに、37℃で24時間接触させた。細胞毒性は、MTT分析(Hansen et al.,1989)により分析した。データは、完全な賦形剤が、高濃度において、賦形剤そのものの作用により毒性を発揮することを示した。これは、この処方の浸透圧が高いことによるものと思われる。この賦形剤に溶解されたブスルファンはその細胞毒性活性を保持し(図10)、25μg/mLで約50%の細胞を死滅させ、50μg/mLで約80%の細胞を死滅させた。これは、微量のアセトンに溶解されたブスルファンに、細胞を接触させた時に認められる細胞毒性と対応していた。ブスルファンの細胞毒性活性は、薬物が20%DMAと40%PEG−400の水性賦形剤に溶解された場合にも保持されていた。具体例3HPLC分析前の血液からのブスルファンの定量的抽出、およびI.V.投与されたブスルファンの薬物動態本具体例は、血漿からブスルファンを抽出する効率的方法の開発、血漿抽出物中のブスルファンのHPLC定量分析の変法、および市販錠剤として、40%PEG−400賦形剤に溶解された経口溶液として、40%PEG−400賦形剤に溶解された静注液として投与された場合の、ブスルファンのin vivo血漿中薬物動態を提供する。ラットにおけるブスルファンの血漿中薬物動態も、ブスルファン静注後に得た。薬物は、アセトンまたはDMSOまたは完全な20%DMAと40%PEG−400の水性溶媒のいずれかに、3mg/mLの濃度で溶解した。血漿中ブスルファンの定量的抽出。ラット血漿(0.2mL)に、(DMAに溶解した原液から)種々の濃度のブスルファンを加え、最終薬物濃度を0.15〜3.0μg/mLとした。次に、内標準20μg/mL(CGA−112914;20μg/mLメタノール溶液)を薬物−血漿混合物に加えた。10秒間ボルテックスミキサーで撹拌後、薬物と内標準を0.2mLアトニトリルで血漿タンパク質から沈殿させた後、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌した。次に、2mLの酢酸エチルを用いてブスルファンと内標準を抽出し、1分間ボルテックスミキサーで撹拌した。溶液を10分間遠心分離し、1mLの酢酸エチル層を圧縮空気下に蒸発乾燥した。次に、ブスルファンと内標準を0.5mLの蒸留水に溶解し、8.2%(w/v)ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液0.2mLを用いて誘導体を形成し、30秒間ボルテックスミキサーで撹拌した。ブスルファン誘導体、DDCB(ジエチルジチオカルバモイルブタン)を、真空下にSep−Pak LCTMカートリッジ(Millipore Corporation,ベッドフォード、イリノイ州)を用いて固相抽出した。カートリッジは、メタノール1mLで洗浄し、続いて蒸留水1mLで洗浄して調整した。次に、誘導体を形成した溶液をカートリッジ内を通過させ、蒸留水に溶解した50%メタノール溶液1mLで2回洗浄した。250mLのメタノールを2回使用し、続いて0.5mLの酢酸エチルで2回洗浄して、DDCBと内標準をカラムから溶出した。合わせた抽出液を圧縮空気下で蒸発乾燥させ、0.2mLの移動層(アセトニトリル:水:THFが55:25:20%(v/v、pH4.2))を用いて再構成した。再構成された抽出物を4℃で一晩保存してから、HPLC分析に供した。これらの実験において、表2のアッセイ1を使用した。アッセイ1はアセトニトリル:水:THFを用いて、アッセイ2において移動層としてメタノールと水を使用して得られたよりも優れた分離度を提供した。CGA−112913は、アッセイ1に適した内標準である。アセトニトリルに溶解されたCGA−112913原液10μLを内標準として各試料に加え、40から60μLの試料を分析のためにHPLCに注入した。動物における薬物動態試験:実験プロトコール。Sprague−Daoleyラット(300〜350g)(Sasco Corp.,リンカーン、ニューイングランド州)において薬物動態試験を実施した。動物にペントバルビタールナトリウム(50mg/kg体重)(ネンブタールTMナトリウム溶液、Abbott Laboratories,ノースシカゴ、イリノイ州)の腹腔内投与を行い、麻酔をかけた。頚部後方から頚静脈に経皮的にカニューレを挿入し、ヘパリン添加生理食塩水によりカニューレの開存性を維持した。カニューレ挿入後24時間の間に全ての動物を麻酔から覚醒させた後、薬物動態試験を開始した。以下のように薬物を投与後、ブスルファンの血漿中薬物動態を検討するために、試験を実施した。(1)市販錠剤(2mg/錠、Burroughs Welcome Pharmaceuticals、ロンドン、英国)。2回目の実験において、食餌と水を自由摂取させた動物、または最低4時間は絶食させた動物に錠剤を投与した。(2)経口溶液として40%PEG−400−ブスルファン。(3)静注液として投与される40%PEG−400−ブスルファン。(4)静注液として投与される20%DMAと40%PEG−400の水溶液。(5)単独溶媒として使用される100%アセトン。(6)溶媒として使用される100%DMSO。ブスルファンは静注直前にDMSOに溶解された。この賦形剤の中でブスルファンが速やかに分解する特性を有するためである。各投与形態あたり1匹のラットを使用した。絶食させた動物と自由摂取させた動物においてブスルファン錠剤投与後に薬物動態を比較することが示されている場合を除き、全ての動物に食餌と水を自由摂取させた。全例において、薬物は1mg/kg体重の用量で投与した。経口投与時に錠剤は破砕し、1mg/kgと等価の用量を口−胃カテーテルにより投与した。40%−PEG−400−ブスルファン溶液を錠剤と同様に動物に投与した。非経口40%−PEG−400−ブスルファン溶液と、DMAとPEG−400と水の溶液とを頚静脈カニューレから静注した。注入後、カニューレとチューブをヘパリン添加生理食塩水で注意深く洗浄し、薬物がカテーテル壁に付着し、採血と薬物動態分析が障害されるのを防止した。薬物投与後、0.5mLの血液試料を頚静脈カテーテルから決められた間隔(0、2、5、10、30、60分と2、4、6、8時間)で採血した。採血された血液量は、同量の生理食塩水で置き換えた。試料をミクロ遠心管に移し、直ちに13,000r.p.m.で60秒間遠心分離した。次に、血漿分画を吸引し、HPLC分析まで−20℃で保存した。薬物動態データ分析。報告されたように(Benet et al.,1985;Gibaldi et al.,1975;Nilsson et al.,1981)、それぞれの製剤を投与後、得られた血漿中濃度−時間プロフィールから薬物動態パラメータを計算した。従って、消失速度定数は、Ln(濃度)−時間プロフィールから得られた。濃度対時間曲線下面積(AUC)は、線形台形公式を使って計算した。以下の式を、種々の薬物動態パラメータの計算に使用した。V=XO/CO (式1)Cl=V×K (式2)t1/2=0.693/K (式3)F=Cl×AUC/DOSE (式4)V=分布容積XO=用量CO=0時間における血漿中濃度Cl=全身クリアランスK=消失速度定数t1/2=半減期F=バイオアベイラビリティーAUC=血漿中濃度−時間曲線下面積結果および考察血漿中ブスルファンのHPLC分析。HPLC分析におけるDDCB9と内標準(CGA−112913)の保持時間は、それぞれ7.5分と8.4分であった。血漿から術えの薬物を回収し、内因性血漿(タンパク質)成分による干渉を回避するために、最初にアセトニトリルと酢酸エチルにより血漿から薬物を抽出するのが不可欠であった。この抽出を行わないと、内因性血漿成分に由来する大きなピークにより、DDCBのピークは完全に隠れてしまった。上記の方法によるブスルファン誘導体(DDCB)の回収率は98.8%で、確度は、8.9%、鋭敏度の限界は直線区間の100〜150ng/mLであった。標準曲線が150〜1,500ng/mLの範囲で作成され、(既知の)血漿中ブスルファン濃度とピークの高さの比(PHR)の間に高い相関関係が認められた。PHR=0.1623×(ブスルファン濃度)+0.751r2=0.98(式5)薬物動態試験。1回目の実験においては、経口投与後(錠剤;非絶食動物)と非経口投与後(40%−PEG−400−ブスルファン;非常絶食動物)のブスルファンの血漿中薬物動態特性だけを検討した。2回目の実験では、既述の全製剤投与後のブスルファンの血漿中薬物動態に関する完全な試験を実施した。異なる製剤と投与経路に関する血漿中ブスルファン濃度−時間プロフィールをプロットした(図8および9、表7および8)。図9および表8に、ネズミモデルおけるI.V.投与のための3種類の処方から得られたブスルファン濃度−時間プロフィールとその結果得られた薬物動態パラメータを示す。アセトンまたはDMSOに溶解されたブスルファンをin vivo投与後、明らかに重大な副作用は認められなかったが、顕著な溶血が起こった。これらの処方から、20%DMAと40%PEG−400の水性賦形剤と同等の薬物動態データが得られた。予想通り、得られた血漿中濃度は、経口投与後よりも非経口投与後の方が高かった。興味深いことに、非経口投与用に提案された賦形剤は、経口投与に使用したた場合にも、ブスルファンの腸管吸収を促進するように見える。更に、絶食動物よりも、非絶食動物の方が薬物をより多く吸収するように見えるが、これはバイオアベイラビリティーにおいて観察された変動源としての偶発的動物間の変動を除外するために、更に多数の動物において検討する必要がある。しかし、このことは、胃の中のpHが低いため、腸管から血流に吸収される前に、ブスルファンが大量に分解される可能性を示唆している。薬物を非経口投与後に得られた血漿ブスルファン濃度のピークは、非絶食動物において標準錠剤処方投与後に観察された値よりも約10倍高く、AUCは約5倍高かった。非経口投与形態によって得られたより高いバイオアベイラビリティーは、標準経口(錠剤)処方に対して非経口投与後に全身的に利用可能な薬物に関する再現性がより高いことと対応する(表9および10)。これが臨床的に意味する所は、より予測可能で、正確に再現できる細胞毒性作用が得られると同時に、副作用のより良好なコントロールが可能となり、従ってブスルファンに基づく化学療法後の安全性が極めて高くなるということである。利用可能なデータは、細胞毒性の予測が可能で、患者に対し最大限の安全性を提供できる再現性の高い抗腫瘍治療を達成するために、信頼性の高い非経口ブスルファン処方を導入することの重要性を強調している。具体例4動物における非経口投与ブスルファンによる悪性疾患の治療本具体例は、動物における悪性疾患の治療のために、化学的に安定なブスルファン非経口投与処方の使用法を示すものである。動物試験は、この非経口製剤による単独療法または他の細胞毒性剤との併用療法により、ヒトの新生物の臨床治療に非経口ブスルファン処方を引き続き利用するための至適投与スケジュールを探究するためのモデル系の役割を果たす。方法。適切なヒトの治療法を決定するために、以下の研究を実施した。1. 最初に、ラットにおいて、経口ブスルファンと比較した非経口ブスルファンの用量−直線性を検討した。2. 第二段階は、対照として同系骨髄移植片を用い、適合(部分的に不適合)骨髄を同種異系移植する前に、調整のために高用量の非経口ブスルファンをシクロホスファミド等の他の免疫抑制剤と併用して、キメラ現象を確立し、移植片対宿主反応を発症させることである。方法は既に報告されている(Santos G.W.and Tutschka P.J.,1974;Tutschka P.J.and Santos G.W.1975;Oaks M.K.and Cramer D.V.1985)。3. 第三段階は、L1210マウス(NCI研究論文、1977)とブラウンノルウェイラット(Hagenbeek A,1977)における白血病のような、確立された実験的全身性癌の根絶に対する非経口ブスルファンの使用である。ブスルファンを非経口投与後に骨髄抑制を防ぐため同腹子から得た(同系)骨髄を投与することによって造血細胞を救った。これによって、非経口製剤の髄外の用量を限定するような細胞毒性の詳細な検討が可能である。更に、高用量のブスルファンを投与する前に、種々の用量の悪性細胞を動物に投与することによって、種々の用量スケジュールの相対的メリットを、(半)定量的方法で計算することができ、臨床に利用するための投与スケジュールを至適化することができる。4. ヒトにおける播種性悪性疾患を治療するための非経口ブスルファンに関するフェーズ1−2臨床試験が次の段階である。進行期のリンパ腫、乳癌、白血病の患者が標的である。ブスルファンは、2種類(またはそれ以上)のアルキル化剤との併用療法の一部として投与される。例えば、シクロホスファミドまたはエトポシドとブスルファンを併用し、続いて経口ブスルファンを用いて報告されているように同種同系または同種異系骨髄により造血細胞を救う(Santos G.W.et al.,1983;Thomas,E.D.1987;Copelan E.A.et al.,1987およびGiralt and Anderssonにより概説されている、1993)。5. あるいは、動脈内投与経路を用いて、四肢に限局される腫瘍のような限局性充実性腫瘍と肝臓のような内臓の明確に規定される領域に限定される腫瘍の局所潅流が、現在ではブスルファンにより達成できる。この方法そのものは新しいものではないが(Stehlin et al.,1975;McBride,C.M.,et al.,1975;Schraffordt K.,et al.,1977)、安全に投与でき、その細胞毒性活性を投与期間を通して保持できるブスルファン処方が無かったため、この療法にブスルファンを使用できなかった。このような研究は、局所療法の適切な動物モデルが無いことから、フェーズ1−2臨床試験で実施されなくてはならない。このような治療法の予測される全身性副作用は軽度から中等度であるので、造血系へのサポートの必要性は(最高でも)、恐らく血液製剤に加えて、組み換え造血成長因子の投与に限定されるであろう。これは、速やかな造血組織の再建を確実にするために、骨髄または末梢血液の前駆細胞の投与を必要とする上記に概説されている研究(2〜4)と対照的である。ラットのような動物に対するブスルファンの非経口投与量の範囲は、シクロホスファミドを併用する場合、あるいは併用しない場合で15から50mg/kgである。用量はボーラスとして、あるいは3回に分けて投与できる。化学療法剤としてブスルファンを使用する治療法は、5〜20mg/kg体重の用量範囲で、6〜12時間おきに3〜5日間動脈内または静脈内投与する。フェーズ1試験は、10mg/kgを等しく8回に分け、投与間隔は12時間で、1回の投与に4時間かかる。以下の参考文献は、上記に述べた理由により、引用することによってその関連部分が本明細書の一部をなすものとする。ここに記載されている具体例と実施例は、説明のみを目的としたもので、その観点から種々の変更は本技術に精通する人々に示唆されるものであり、かつ本明細書の意図と範囲並びに添付請求項の範囲を逸脱しないことは明らかである。 悪性疾患の患者を治療するための、患者を骨髄移植に向けて調整するための、または免疫抑制治療のための、水に混和性で生理学的に許容可能なN',N−ジメチルアセトアミドとポリエチレングリコールとの混合物に1〜75mg/mlの濃度で溶解されたブスルファンを含むことを特徴とする、ブスルファンの非経口投与用の薬学的に許容可能な組成物。 悪性疾患の患者を治療するための、患者を骨髄移植に向けて調整するための、または免疫抑制治療のための、水に混和性で生理学的に許容可能なN',N−ジメチルアセトアミドとポリエチレングリコールとの混合物に1〜75mg/mlの濃度で溶解されたブスルファンと水とを含むことを特徴とする、ブスルファンの非経口投与用の薬学的に許容可能な組成物。 N',N−ジメチルアセトアミドの濃度が5%から99%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。 ポリエチレングリコールの濃度が5%から50%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。 ポリエチレングリコールの分子量が200から2000であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。 ポリエチレングリコールの分子量が350から450であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。 悪性疾患の患者を治療するための、患者を骨髄移植に向けて調整するための、または免疫抑制治療のための、1〜7.5mg/mlに溶解されたブスルファンと、35〜45%のポリエチレングリコール400と、45〜55%の水と、5〜15%のN',N−ジメチルアセトアミドとを含むことを特徴とする、ブスルファンの非経口投与用の薬学的に許容可能な組成物。 悪性疾患の患者を治療するための、患者を骨髄移植に向けて調整するための、または免疫抑制治療のための、1〜15mg/mlに溶解されたブスルファンと、35〜45%のポリエチレングリコール400と、35〜45%の水と、15〜25%のN',N−ジメチルアセトアミドとを含むことを特徴とする、ブスルファンの非経口投与用の薬学的に許容可能な組成物。 水に混和性で生理学的に許容可能なN',N−ジメチルアセトアミドとポリエチレングリコールとの混合物にブスルファンを溶解し、ブスルファン使用液を調製するステップと、ブスルファン使用液を、ブスルファンを溶解させ、安定させることが可能な担体水溶液で希釈し、ブスルファンを非経口投与するための薬学的に許容可能な組成物を調製するステップとを含むことを特徴とする、悪性疾患の患者を治療するための、患者を骨髄移植に向けて調整するための、または免疫抑制治療のための、ブスルファンの非経口投与用の薬学的に許容可能な組成物の製造方法。 N',N−ジメチルアセトアミドの濃度が5%から99%であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。 ポリエチレングリコールの濃度が5%から50%であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。 ポリエチレングリコールの分子量が200から2000であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。 ポリエチレングリコールの分子量が350から450であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。 ブスルファン使用液の濃度が1〜75mg/mlであることを特徴とする請求項9に記載の方法。 悪性疾患の患者を治療するための、患者を骨髄移植に向けて調整するための、または免疫抑制治療のための、水に混和性で生理学的に許容可能なN',N−ジメチルアセトアミドとポリエチレングリコールとの混合物に1〜75mg/mlの濃度で溶解されたブスルファンを含む静脈内投与可能なブスルファン製剤。 前記疾患が白血病またはリンパ腫であって、患者が骨髄移植手術を受けることを特徴とする、請求項15に記載の製剤。 前記悪性疾患が白血病またはリンパ腫であることを特徴とする、請求項15に記載の製剤。 投与されるブスルファンの量が、6時間毎に、1mg/kgであることを特徴とする、請求項15から17のいずれか一に記載の製剤。 投与されるブスルファンの量の上限が、一日あたり280mgであることを特徴とする、請求項15から17のいずれか一に記載の製剤。