タイトル: | 特許公報(B2)_アシル置換レゾルシノールを製造する方法 |
出願番号: | 1995286308 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 45/46,C07C 49/83,B01J 27/128,B01J 27/138,C07B 61/00 |
ジェームス・エドワード・ピケット JP 3884784 特許公報(B2) 20061124 1995286308 19951106 アシル置換レゾルシノールを製造する方法 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 390041542 GENERAL ELECTRIC COMPANY 松本 研一 100093908 ジェームス・エドワード・ピケット US 08/336135 19941108 20070221 C07C 45/46 20060101AFI20070201BHJP C07C 49/83 20060101ALI20070201BHJP B01J 27/128 20060101ALI20070201BHJP B01J 27/138 20060101ALI20070201BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070201BHJP JPC07C45/46C07C49/83 AB01J27/128 XB01J27/138 XC07B61/00 300 C07C 45/45- 45/48 C07C 49/83 特開昭61−180738(JP,A) 米国特許第03526666(US,A) 特表平06−502189(JP,A) 特開昭49−088844(JP,A) 米国特許第3769349(US,A) 9 1996245488 19960924 7 20021106 松本 直子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、アシル置換レゾルシノールを製造する新規の方法に関する。詳細には、本発明は、レゾルシノールと酸ハロゲン化物とを、触媒量の遷移金属ルイス酸の存在下で接触させることによりアシル置換レゾルシノールを製造する方法を指向する。【0002】【従来の技術】本発明の背景熱可塑性樹脂は、光学的透明度、高い延性、高い加熱歪み温度及び寸法安定性等の多数の有利な特性によって一般に特徴づけられる。これらの特性の結果として、熱可塑性樹脂は多数の商業的分野でしばしば用いられている。【0003】熱可塑性樹脂は上述した有利な諸特性を有するが、耐摩耗性及び化学的溶剤に対する耐久性にしばしば劣り、他の多くの有機ポリマー材料と同じく、紫外光によって光崩壊しやすい。光崩壊は典型的には、樹脂表面の黄変及び侵蝕を含めた不利な特徴を引き起こす。ジアシルレゾルシノール(具体的にはジベンゾイルレゾルシノール)はポリマー樹脂の効果的な光安定剤であることが判明している。典型的には、ジベンゾイルレゾルシノールは、ジメトキシベンゼンを塩化ベンゾイルと共に、少なくとも化学量論的量の無水塩化アルミニウムの存在下で有機溶媒中で処理することにより調製される。しかし、このような方法はあまり好ましくない、というのは、数ある理由の中でも、このような方法は環境上不利な有機性揮発物の放出を招くと共に、多量の過剰な塩化アルミニウム及びその副産物の廃棄を要求するからである。【0004】アシル置換レゾルシノールを、例えば環境上不利な有機性揮発物の放出を助長しないような方法によって調製することに対する関心が高まっている。したがって本発明は、環境上不利な副作用を最小限に抑えつつ、アシル置換レゾルシノールを製造する新規の方法を指向する。従来の技術ジベンゾイルレゾルシノールの調製の試みが開示されている。米国特許第 2,794,052号では、ジベンゾイルレゾルシノールは、ジアルキルエーテルを、塩化アシルと少なくとも化学量論的量の塩化アルミニウムとに晒すことにより調製されており、出発物質としてのレゾルシノールの使用は放棄されている。【0005】ジベンゾイルレゾルシノールを生成する更に他の試みも開示されている。SharmaらのMonatsh Chem. 第 116号、第 353〜 356頁(1985年)では、ジベンゾイルレゾルシノールは、二安息香酸レゾルシノールから2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンの安息香酸エステルへ、及び引き続いてジベンゾイルレゾルシノールへ、光化学的フリース転位反応を行なうことにより調製されている。【0006】加えて、Pearson らのSynthesis 第 533〜 542頁(1972年)では、塩化第二鉄、鉄粉、ヨウ素及び塩化亜鉛を含めたルイス酸を使用した方法が開示されている。但し、この方法は、フリーデル−クラフツアシル化反応を指向しており、レゾルシノールと無水酢酸とを反応させて2,4-ジヒドロキシアセトフェノンを生成することを記載している。【0007】本発明は上述の各特許とは特許上弁別される、というのは、数ある理由の中でも、本発明は、レゾルシノールと酸ハロゲン化物とを、触媒量の遷移金属ルイス酸の存在下で接触させることによりアシル置換レゾルシノールを製造する新規の方法を指向しているからである。【0008】【課題を解決するための手段】本発明の概要本発明は、アシル置換レゾルシノールを製造する新規の方法を指向している。この方法は、(a) レゾルシノールと、(b) 酸ハロゲン化物と、(c) 触媒量の遷移金属ルイス酸とを接触させる段階を含む。【0009】本発明の詳説本発明では、典型的に用いられるレゾルシノールは次式で表わされる。【0010】【化2】【0011】式中、各Rは個別に水素又はC1-10炭化水素であり、R1 は水素又はアシル基であって、好適にはベンゾイル基であり、本発明で用いられる好適なレゾルシノールは、1,3-ジヒドロキシベンゼン及び2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンである。典型的に用いられる酸ハロゲン化物は次式を有する。式中、Aは置換された又は置換されていない芳香族基であって、好適にはフェニル基であり、Xはハロゲンであって、好適には塩素である。【0012】用いられる触媒は遷移金属ルイス酸であり、本発明で得られる最終生成物はアシル置換レゾルシノールであって、好適には4,6-ジベンゾイルレゾルシノールである。用いられる遷移金属ルイス酸の実例は、塩化カドミウム及び塩化鉄である。但し、本発明で用いられる最適な遷移金属ルイス酸は、塩化亜鉛である。更に、反応を触媒するために上述の遷移金属ルイス酸の混合物を用いることが、本発明の範囲内にある。【0013】本新規方法は、アシル置換レゾルシノール、具体的には4,6-ジアシル置換レゾルシノールを生成するために、レゾルシノールを酸ハロゲン化物に晒しそして酸ハロゲン化物と反応させるときに、触媒量の遷移金属ルイス酸を用いることができるという発見など、新しい予想外の結果を数多く示す。この反応は単一の段階として生じるものであると共に、このような反応は溶融状態で生じるのでアシル置換レゾルシノールを形成するために有機溶媒を使用する必要がない。その上、R1 がアシル基でないときにも、期せずしてジアシル置換が観察される。【0014】前述のように、本発明は、レゾルシノールと酸ハロゲン化物とを、触媒量の遷移金属ルイス酸の存在下で接触させて反応混合物を生成する段階を含む。反応物及び触媒を添加する順序に関する制限はない。但し、添加順序によって色が変わる可能性はあるが、得られるアシル置換レゾルシノールの収率は変わらない。この反応混合物は、典型的には約 120℃〜約 250℃の範囲、好適には約 150℃〜約 220℃の範囲、最適には約 170℃〜約 220℃の範囲の温度に加熱される。加えて、加熱を開始するのは、反応物と触媒とを混合する前でも、その最中又はその後でもよいことをここに記しておく。【0015】本発明で要求される遷移金属ルイス酸(触媒)の量は、化学量論的ではなく、この量は、用いられるレゾルシノールの総合モル数を基準として、典型的には約 0.1〜約50.0モル%、好適には約 1.0〜約30.0モル%、最適には約 5.0〜15.0モル%である。加えて、R1 がアシル基ではないときは、用いられるレゾルシノールの1モルあたり約2モルの酸ハロゲン化物が用いられ、R1 がアシル基であるときは、レゾルシノールの1モルあたり約1モルの酸ハロゲン化物が用いられる。【0016】一旦反応混合物が得られると、エステル化反応が生じ、レゾルシノールはエステル中間体に転化される。そして、このエステル中間体は引き続いて自発的に転位して、所望のアシル置換レゾルシノールが反応生成物中に形成する。更に、実質的に純粋なアシル置換レゾルシノールを得るために、有機溶媒によって反応生成物を再結晶させることが、本発明の範囲内にある。しばしば、精製後に得られる生成物は少なくとも約95%の純度である。【0017】以下の実施例は、上述の新規の方法を更に例証すると共にその理解を助けるものである。得られるアシル置換レゾルシノールは、プロトン及び炭素13核磁気共鳴スペクトル分析、赤外スペクトル分析及びGLC分析を含めた従来の手法で確認され得る。【0018】【実施例】実施例1磁気かきまぜ棒、ガス・スクラバー(ガス洗浄器)及び 120℃の油浴加熱器を取り付けた 100mLの丸底フラスコに、無水塩化亜鉛(II) 0.54g (4mmol)(レゾルシノールの総合量を基準として5モル%)と、塩化ベンゾイル 19.0mL (164mmol) とを投入して、触媒混合物を生成した。この触媒混合物に、1,3-ジヒドロキシベンゼン 8.80g (80mmol) を何回かに分けて数分間に亙って添加し、反応混合物を生成した。その後、20分間かけて温度を約 205℃に高めて、1時間、この温度に保持した。反応混合物のサンプルを、NMRスペクトル分析用に取り出した。その結果、約60%が4,6-ジベンゾイルレゾルシノールに転化していることが判明した。この反応混合物を 120℃に冷却して氷酢酸 40mL を添加した。反応混合物を更に80℃に冷却して無水エタノール 20mL を添加した。得られた混合物をビーカーに移し、冷蔵庫で5℃に放置冷却した。固体を濾過により回収し、冷エタノール約 50mL で洗浄し、乾燥させると、橙色の4,6-ジベンゾイルレゾルシノールのプレート(板状粉)(11.80g、収率46%)が得られた。エタノール 50mL とクロロベンゼン 15mL との混合物から再結晶させると、淡黄色の4,6-ジベンゾイルレゾルシノール 10.8g(収率42%)が得られた。【0019】実施例2実施例1での記載と同様の方法で実施例2を調製したが、1,3-ジヒドロキシベンゼンの代わりに2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンを用い、塩化ベンゾイル 82mmol を用いると共に、レゾルシノールの総合量を基準として10モル%の無水塩化亜鉛(II)を用いた。再結晶後、実質的に純粋な4,6-ジベンゾイルレゾルシノール 10.6g(42%)が回収された。【0020】本発明で得られる予想外の結果を更に確認するために、以下の表のデータを掲げる。全項目とも、前記の実施例で述べたものと同様の方法で調製された。 ジアシル置換レゾルシノールの製造方法であって、当該方法が、(a)次式のレゾルシノール化合物と(式中、各Rは水素であり、R1 は水素又はアシル基である。)、(b)次式の酸ハロゲン化物と(式中、Aは置換された又は置換されていない芳香族基であり、Xはハロゲンである。)、(c)上記レゾルシノール化合物の総合量を基準として0.1〜50.0モル%に相当する触媒量の遷移金属ルイス酸とを溶融反応させる段階を含む方法。 前記R1 基がベンゾイル基である、請求項1記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 前記レゾルシノール化合物が1,3−ベンゼンジオール又は2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンである、請求項2記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 前記酸ハロゲン化物が塩化ベンゾイルである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 前記遷移金属ルイス酸がCdCl2 、FeCl3 又はZnCl2 である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 前記溶融反応が120℃〜250℃の温度で実施される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 前記ジアシル置換レゾルシノールが4,6−ジアシル置換レゾルシノールである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 前記4,6−ジアシル置換レゾルシノールが4,6−ジベンゾイルレゾルシノールである、請求項7記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。 当該方法が再結晶段階を更に含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のジアシル置換レゾルシノールの製造方法。