生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_細胞賦活性化粧料
出願番号:1995273709
年次:2004
IPC分類:7,A61K7/00,A61K7/48,A61K35/74,C12N1/20


特許情報キャッシュ

近藤昇一郎 小尾由美子 岩見潤子 岡部敬一郎 JP 3580453 特許公報(B2) 20040730 1995273709 19950928 細胞賦活性化粧料 株式会社アドバンス 000126757 近藤昇一郎 小尾由美子 岩見潤子 岡部敬一郎 20041020 7 A61K7/00 A61K7/48 A61K35/74 C12N1/20 C12N1/20 C12R1:01 JP A61K7/00 K A61K7/48 A61K35/74 A A61K35/74 B A61K35/74 D A61K35/74 G C12N1/20 A C12N1/20 C12R1:01 7 A61K 7/00-7/50 A61K 35/74 C12N 1/20 特開昭60−139609(JP,A) 特表昭57−500830(JP,A) 朝田 康夫,皮膚常在菌と皮膚生理 特ににきびと香粧品との関連,日本香粧品科学会誌,日本,1995年 5月,Vol.19 臨増,p35-39 1 FERM P-15186 1997087134 19970331 6 20020906 福井 美穂 【0001】【産業上の利用分野】本発明は細胞賦活組成物を含有する保湿性を高め若々しい皮膚を保つ化粧料及び該細胞賦活成分を生産する微生物に関する。【0002】【従来の技術】化粧品に使用されている細胞賦活剤としては単一成分原料(感光素、ビタミン、コラーゲンなど)及び抽出成分原料(プラセンタエキス(特願昭59−190909)、ラクトバチルス・アシドフィルス(特願平3−156033)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(特願昭57−81287)からなる乳酸菌エキス、霊芝エキスなど)である。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は安全性の高い細胞賦活作用を有し、かつ、保湿性が高く、皮膚を滑らかにし、若々しい皮膚を保つ性質の化粧料を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】皮膚には色々な皮膚常在菌が棲息しマイクロフローラを形成している。面白いことに健康な人の肌は一様に嫌気性菌のプロピオニバクテリウム・アクネス菌(Propionibacterium acnes)、好気性菌のスタフィロコッカス・エピデルミデイス菌(Staphylococcus epidermides)がそれぞれ104−105個/cm2、103−104個/cm2という高密度な棲息を示し、皮膚常在菌の上位優勢菌種を成している。健康な肌に、実験的に外来菌を塗布したとしても外来菌は速やかに排除され元の菌叢が自然と回復するということがしばしば観察される。このことはあたかも常在菌が皮膚の感染防御機構の一端を担っているように見える。健康な皮膚が持つ常在菌叢のこれら生態系が構築されるためには、皮膚から供給される優勢常在菌の生産に必要な栄養因子と常在菌が分泌する抗菌様物質などの存在が考えられている。そこで本発明は、まず健康な人の正常皮膚に存在する細菌を採取し、分離培地プレート上で単コロニーを得、その単離皮膚常在菌純粋液培養を行い、その培養菌体及び培養液中にヒト線維芽細胞増殖作用物質があるかの否かの検索を試みた。その結果、プロピオニバクテリウムに属する菌の培養液中に細胞増殖作用を示す成分があること、さらにこれを含有する化粧料として有用であることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明はプロピオニバクテリウム・アクネスに属し、線維芽細胞に対して細胞賦活作用を示す成分を産生する菌を培養して得られる培養液あるいはその該菌体に由来する物質で線維芽細胞の増殖能を高める成分を含有する化粧料並びに微生物を提供するものである。【0005】本発明に用いられる培養液を生産する菌株はプロピオニバクテリウム・アクネスに属し、線維芽細胞に対して特異的に増殖作用を示す成分を生産する菌としては、例えばAD30002株(以下本菌株と言う)が挙げられる。本菌株の菌学的性質は以下の通りである。(a)菌の性状:桿菌(b)運動性:無(c)胞子形成:観察されず(d)グラム染色性:陽性(e)ゼラチン:液化能あり(f)インドール生成:あり(g)硝酸還元反応:陽性(h)カタラーゼ反応:陽性(i)リパーゼ活性:あり(j)ガス生成:なし(k)ウレアーゼ反応:陽性(l)ヒアルロニダーゼ反応:陰性(m)生育範囲:pH5−9,温度20−40℃(最適生育温度32−40℃)(n)酸素要求性:偏性嫌気性。但し菌数の多い場合,酸素耐性が認められる。(o)嫌気条件下での酸の産生能:マルトース(−)(p)エスクリン加水分解:なし以上の性質をもとにBergey’s manual of Determinative Bacteriology,第8版,(1974年)の記載から、本菌株をプロピオニバクテリウム・アクネスAD30002と命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した。(受託番号 FERM P−15186)【0006】本発明に用いる線維芽細胞に対して特異的に賦活作用を示す成分は、上記菌株を栄養源含有培地に接種し嫌気的に培養すれば培養中に生産される。かかる菌株としては、上記AD30002株はもとより、人工変異株あるいは自然変異株であっても上記成分を生産する能力を有するものであれば、全て本発明に使用することができる。【0007】【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これにより限定するものではない。実施例1プロピオニバクテリウム・アクネスAD30002株を下記のGAM液体培地に接種し、37℃で嫌気培養を行い、得られた培養液を15,000rpmの連続遠心分離に付し、菌体上清を0.22ミクロンのフィルターを用いて無菌ろ過し培養上清液を得た。一方、菌体は生理的食塩水でよく洗い洗浄菌体を得た。この洗浄菌体を80%アセトンで抽出し、次いで酢酸エチルで抽出したものをエバポレーターで蒸発乾固し菌体抽出物を得た。GAM液体培地の組成(1リットル当たり)ペプトン 10.0gダイズペプトン 3.0gプロテオーゼペプトン 10.0g消化血清末 13.5g酵母エキス 5.0g肉エキス 2.2g肝臓エキス末 1.2gブドウ糖 3.0gリン酸二水素カリウム 2.5g塩化ナトリウム 3.0g溶性デンプン 5.0gL−システイン塩酸塩 0.3gチオグリコール酸 0.3gpH 7.3±0.1【0008】実験例 1(細胞賦活作用)ヒト繊維芽細胞(NBIRGB、理化学研究所より購入)を予め、10%FCS加RITC−80培地にて5%CO2,37℃の条件下で4日間培養した。その培養細胞は、その後、PBS緩衝液で2度洗浄し、0.25%トリプシン処理にて細胞をはがし、同培地で 8 × 103細胞/ml細胞浮遊液に調製した。これを96穴マイクロプレートに0.1mlずつ分注し同培養条件下で前培養(4時間)を行った。サンプルは同培地(無血清)で1.0%,0.3%,0.03%(濃度は実施例1の容量%、但し菌体抽出液は培養液1ml相当量の容量%)に希釈したものを各々0.011mlずつ96穴に添加して培養した。判定はニュ−トラルレッドで生細胞を染色(37℃,1時間)し、0.1M NaH2PO4・2H2O:エタノール(1:1)で溶出後、分光光度計を用いて波長540nmでの吸光度を測定し、細胞増殖能を算出した。その結果を表1に示した。【表1】上記のごとく、培養上清液(P<0.05)及び菌体抽出液(P<0.01)には明らかに線維芽細胞に対して有意に増殖効果が認められた。一方、皮膚常在菌であるスタフィロコッカス・エピデルミデス菌や皮膚有害菌であるスタフィロコッカス・アウレウス菌及びマイクロコッカス菌属には増殖効果が認められず、本菌株の細胞賦活作用の有用性が示された。【0009】安全性実施例1で得られた菌体培養液をソニケーション処理(氷冷で20分間)し、その上清液を0.22ミクロンのフィルターを用いて無菌ろ過したものにグリセリンを加えて試験液とした。これを成人男子(n=1)前腕曲内側皮膚に貼付し、24時間後の皮膚刺激性について観察を行い表2に示す結果を得た。【表2】上記のように、安全性になんら問題はない。【0010】実施例2 (ローション)上記実施例1で得られた培養菌体(109細胞/ml相当量)を80%アセトンで抽出後、アセトンを除去する。この溶液を0.22ミクロンのフィルターでろ過し精製水で10倍に希釈したもの94.9gにグリセリン5.0g、パラオキシ安息香酸0.1gを攪拌添加してローションを得た。(配合量は重量%)【0011】実施例3 (クリーム)上記実施例2で得られた培養菌体抽出液5g、グリセリン5g、ポリエチレングリコール(400) 2g及び精製水70gを70℃加熱混合溶解した中へ、予めセタノール4g,スクワラン5g,ステアリン酸1g,ミツロウ1g,ワセリン2g、グリセリンモノステアレート2g、パラオキシ安息香酸エチルエステル0.1gと少量の香料を加熱混合溶解させたものを攪拌混合して、ホモジナイザーで乳化し室温まで冷却してクリームを得た。(配合量は重量%)【0012】【発明の効果】本発明のプロピオニバクテリウム・アクネスの培養上清あるいは菌体抽出液を含む化粧料は線維芽細胞の増殖効果を有する。従ってこれを含有する化粧料は皮膚の保湿性を高め、皮膚を滑らかにし、若々しい皮膚を保つ効果が期待され、かつ安全性についても問題はない。 プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)AD30002(生工研菌寄,第FERM P−15186号)に属する菌の抽出物又はそれらの培養液から得られた抽出物の一方又は両方を含む肌用の細胞賦活性化粧料。


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