生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_グリシドール類の精製方法
出願番号:1995247550
年次:2007
IPC分類:C07D 301/32,C07D 303/14


特許情報キャッシュ

黒川 正弘 磯崎 剛 JP 3879779 特許公報(B2) 20061117 1995247550 19950926 グリシドール類の精製方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 黒川 正弘 磯崎 剛 20070214 C07D 301/32 20060101AFI20070125BHJP C07D 303/14 20060101ALI20070125BHJP JPC07D301/32C07D303/14 C07D301/32 C07D303/14 WPI CAplus(STN) REGISTRY(STN) 3 1997087263 19970331 6 20020910 瀬下 浩一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はアクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルの原料として、また医農薬の中間体として使用、製造されるグリシドール類の精製方法に関する。【0002】【従来の技術】グリシドール類はアリルアルコール類を過酢酸もしくは過酸化水素の如き過酸により酸化する方法により製造される(特公昭51−18407号、特公昭52−16088号、特公昭57−52341号)。これらの方法で製造されたグリシドール類は保存中に酸素により過酸化物を生成することが判明した。これらの過酸化物としては化1【0003】【化1】で示されるグリシドールの過酸化物である化2【0004】【化2】、化3【0005】【化3】および化4【0006】【化4】で示されるもの等がある。有機過酸化物は重合開始剤となることが知られており、これらの有機過酸化物の存在するグリシドールを用いてアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルを製造すると、合成反応及び精製時に有機過酸化物が熱分解し重合反応の開始剤として働き、製品収率を著しく低下させ、さらにアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルのポップコーン重合を引き起こす事故に繋がりかねない。【0007】グリシドール類を精製する方法として特公平5−1264号ではアリルアルコールと有機ハイドロパーオキサイドとを反応させて得られる粗グリシドールに低沸点共沸混合物を作る炭化水素溶媒を加えて減圧蒸留する方法が開示されている。また、これを改良しアリルアルコール溶液よりグリシドールを回収する方法(特公平5−3466号)が知られている。特開昭63−162682号は粗グリシドール中のグリシドアルデヒドを還元処理することを特徴としており、特開平5−125069号は粗グリシドール溶液を製品化する際、蒸留塔塔頂より水を仕込むことにより安定性の良い製品グリシドールが得られることを開示している。更に、特開平5−194458号ではグリシドール反応液にグリシドールより高沸点のエステル化合物を希釈剤として添加し、蒸留することによりグリシドールの重合が抑制され、収率が向上すると述べられ、特開平7−2819号には粗グリシドールをサイドカット塔を有する蒸留塔で蒸留することにより高純度かつ、熱安定性に優れたグリシドールを製造する方法が記載されている。しかしながら、これらいずれの方法もグリシドール中に生成した過酸化物の除去についての記載はなく、さらに該過酸化物を含むグリシドールの精製方法についての記述も全く見られない。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記グリシドール中に生成した過酸化物の問題を解決したグリシドール類の精製方法を提供することである。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のような従来技術の問題点を解決すべく検討した結果、グリシドール類をフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤の存在下に加熱処理することにより過酸化物を分解することができることを見い出し本発明に至った。【0010】【発明の実施の形態】本発明におけるグリシドール類というのはグリシドール、メチルグリシドール及びエポキシ基と水酸基とを有する化合物である。本発明に使用される酸化防止剤は住友化学(株)、旭電化工業(株)、精工化学(株)、大内新興化学(株)、川口化学工業(株)等のカタログに記載された酸化防止剤、重合防止剤、老化防止剤である。【0011】例えば、フェノール系酸化防止剤としてはp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4' −チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。芳香族アミン系酸化防止剤としてはN−イソプロピル−N' −フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N' −フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N' −ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N' −ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等が挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてはジラウリル−3,3' −チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3' −チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3' −チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンツイミダゾール等が挙げられる。ホスファイト系酸化防止剤としてはトリスノニルフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等が挙げられる。【0012】これら酸化防止剤の添加量は粗グリシドール中の過酸化物を分解できる最低必要量で良いが、一般的には粗グリシドール類に対して0.01〜10重量%の範囲で使用することが望ましい。好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。グリシドール類と酸化防止剤との加熱温度は30〜150℃の温度範囲で行うことができる。好ましくは40〜130℃、更に好ましくは50〜120℃が良い。温度が高すぎると製品であるグリシドール類の重合及び変質の危険性が大きくなるため好ましくない。逆に温度が低すぎるとグリシドール類中の過酸化物を分解するに必要な活性化エネルギーが得られず反応が進行しない、加熱時間が長くなる等の問題が発生するため良くない。加熱に要する時間はグリシドール類中の過酸化物を分解するに必要な最低限の時間でよい。具体的には温度、過酸化物濃度等によってその時間は異なるが、一般的には70℃前後の処理温度で0.5〜5時間で十分である。グリシドール類と酸化防止剤とを分離する方法は公知の手法を用いることができる。例えば蒸留法、ろ過法等により分離することが望ましい。【0013】【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、簡便にグリシドール類の品質を向上させることができる。【0014】以下に実施例を挙げて詳細に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。【0015】【実施例】過酸化物の定量方法共栓付き300mlエルレンマイヤーフラスコに試料3〜5gを精秤する。次いで、イソプロパノール30ml、酢酸2mlを攪拌しながら加え、フラスコ内を窒素置換した後、ヨウ化カリウム飽和水溶液2mlを攪拌しながら加える。再びフラスコ内を窒素置換して、栓をする。15〜30分室温で静置して着色が安定したら、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。次式により過酸化物量を算出する。【0016】【数1】A:0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(ml)f:0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクターN:滴定度(0.01)S:試料採取量(g)【0017】実施例1窒素ガス導入管、温度計、攪拌機を備え付けた200ml−4つ口フラスコに純度98.3%、過酸化物量5.7mmol/Kgの粗グリシドール50gとフェノチアジン0.5gを仕込み、温度70℃で30分放置後、圧力を10mmHgに減圧し、窒素ガス5ml/minを吹き込みながら温度70℃で減圧蒸留し、留分33gを回収した。蒸留後得られたグリシドールの過酸化物量は0.022mmol/Kgであった(表1参照)。【0018】実施例2実施例1と同様な条件でフェノチアジンに代えて2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを用いて蒸留を行った。得られたグリシドールの過酸化物量は0.031mmol/Kgであった(表1参照)。【0019】実施例3窒素ガス導入管、温度計、攪拌機を備え付けた200ml−4つ口フラスコに純度98.3%、過酸化物量5.70mmol/Kgの粗グリシドール100gとジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート0.5gと2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5gを仕込み、温度70℃で60分放置後、圧力を10mmHgに減圧し、窒素ガス5ml/minを吹き込みながら温度70℃で減圧蒸留し、留分69gを回収した。蒸留後得られたグリシドールの過酸化物量は0.01mmol/Kgであった(表1参照)。【0020】実施例4実施例3と同様な条件でジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート1.0gに代えてトリフェニルホスファイト0.1gとフェノチアジン0.5gを用いて蒸留を行った。得られたグリシドールの過酸化物量は0.018mmol/Kgであった(表1参照)。【0021】比較例1実施例1と同様の装置に粗グリシドール50gを加え、酸化防止剤は何も添加せずにその後蒸留操作は実施例1と同様に行った。得られたグリシドールの過酸化物量は0.21mmol/Kgであった(表1参照)。【0022】【表1】 グリシドール類を、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤の中から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤の存在下に加熱処理した後、グリシドール類と酸化防止剤とを分離することを特徴とするグリシドール類の精製方法。 酸化防止剤の添加量がグリシドール類に対して0.01重量%〜10重量%である請求項1記載のグリシドール類の精製方法。 グリシドール類と酸化防止剤を加えて加熱する温度が30〜150℃である請求項1記載のグリシドール類の精製方法。


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