生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_トラン化合物およびそれを含有する液晶組成物
出願番号:1995216027
年次:2008
IPC分類:C07C 69/75,C09K 19/30


特許情報キャッシュ

酒巻 由美子 内藤 富次郎 新納 克治 山本 喜久雄 JP 4034835 特許公報(B2) 20071102 1995216027 19950824 トラン化合物およびそれを含有する液晶組成物 シチズンホールディングス株式会社 000001960 酒巻 由美子 内藤 富次郎 新納 克治 山本 喜久雄 20080116 C07C 69/75 20060101AFI20071220BHJP C09K 19/30 20060101ALI20071220BHJP JPC07C69/75 AC07C69/75 CC09K19/30 C07C 69/75 C09K 19/30 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平09−031024(JP,A) 2 1997059219 19970304 9 20020527 井上 千弥子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は液晶材料として有用なトラン化合物に関し、さらにこのトラン化合物を含有する液晶組成物に関するものである。【0002】【従来の技術】液晶表示装置は、時計、電卓をはじめワープロ、テレビ等に広く利用されている。これらの液晶表示装置の中で特に多く使用されているのは、液晶材料の光学的異方性および誘電率異方性を利用した液晶表示装置である。【0003】液晶表示装置に用いられる液晶材料に要求される特性としては、液晶温度範囲が広いこと、電気光学的に速い応答速度を得るために粘度が小さいこと、広い視野角範囲、高いコントラストを得るために適切な複屈折(△n)をもつこと、低い駆動電圧を得るために誘電率異方性(△ε)が大きいこと、化学的および光学的に安定であることなどが挙げられる。【0004】実用されている液晶組成物は通常、室温付近に液晶相を有する化合物と、室温より高い温度領域に液晶相を有する化合物とを混合して調整される。液晶表示装置が屋外で使用し得る為には−40℃〜90℃の温度範囲で安定に存在しなければならず、また誘電率異方性、屈折率異方性の温度依存性を考慮すると、N−I点(ネマティック−等方相転移温度)付近では急激な変化が起こるので、N−I点の高い液晶材料が必要となる。【0005】また、広視野角、高コントラストを得るためには、液晶層のリターデーション△n・d(△nは液晶材料の複屈折、dは液晶層の厚み)を最適化する必要がある。しかし、実用に使用される液晶表示装置では液晶層の厚みdが、ある限定された範囲で設定されており、かつ応答速度を速くすることが要求されているために、液晶層の厚みdは薄くなる傾向が強まっている。よって、複屈折△nが大きな液晶材料が必要とされている。【0006】これまで、種々の液晶化合物が開発され、使用されているが、以上のような特性を全て満足する単一の液晶化合物は未だに見い出されていない。そのためにいろいろな特性をもった数種の液晶化合物を混合したり、あるいは非液晶化合物を混合したりして実用に供しているのが現状であるが、やはり、充分満足できるものではない。【0007】この様に混合して用いられるトラン系の化合物では、4−アルキル−4’−アルコキシトラン(独国特許第2226376号)、4−アルキル−4’−フルオロトラン(特開昭61−260031号)等が知られているが、充分特性を満足できるとはいえなかった。【0008】【発明が解決しようとする課題】以上示したように、これまで、液晶組成物については種々検討されているが、未だ完全と言われるものは見いだされていない。また、液晶組成物に用いられる化合物は、いずれもその特性に一長一短があり、さらに液晶表示装置によって、前記要求される特性の度合いも異なるため、目的に応じた特性を与える新たな液晶化合物および、液晶添加物の出現が待ち望まれている。そこで本発明の目的は、液晶組成物に混合することによって、液晶組成物のN−I点を高くし、複屈折△nを大きくすることのできる新規なトラン化合物を提供することである。【0009】【課題を解決するための手段】本発明のトラン化合物は、下記一般式(I)で表されるものである。【0010】【化2】【0011】(ただし、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Yは水素原子を示し、m、nはそれぞれ0または1であってm+n=1であり、かつm=1でn=0のときXは炭素原子数1〜10のアルキル基またはハロゲン原子を示し、m=0でn=1のときXは炭素原子数1〜10のアルキル基を示すものとする。)【0012】また、本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表されるトラン化合物を少なくとも一種含有するものである。【0013】本発明のトラン化合物において置換基として与えられているハロゲン原子は、塩素原子、あるいは臭素原子を用いたものでもよいが、粘度及び比抵抗の観点からフッ素原子のものが好ましい。【0014】本発明のトラン化合物の製造方法について、化3に例をあげて説明する。なお式中R,X,Y,m,nは前記した意味を示す。まず、酸クロライド(a)と置換フェノール(b)とをピリジン等の不活性有機溶媒中で反応させた後、反応混合物を再結晶、水洗、乾燥させ、エステル化合物(c)を作製する。次にこのエステル化合物(c)とフェニルアセチレン(d)を、トリエチルアミン等の存在下にて反応させ、水洗、乾燥、再結晶することにより一般式(I)で表されるトラン化合物を得ることができる。【0015】【化3】【0016】本発明のトラン化合物は、液晶組成物に混合することによって、液晶組成物のN−I点を高くし、複屈折△nを大きくすることのできる優れた化合物である。【0017】本発明のトラン化合物は多くの液晶化合物と混合し、液晶組成物を製造することができる。本発明のトラン化合物と混合可能な液晶化合物としてはエステル系、シクロヘキシルフェニル系、ビフェニル系、ピリミジン系、ジオキサン系、トラン系などが挙げられる。更に、これらの液晶化合物を複数混合したものに本発明のトラン化合物を混合して用いることもできる。【0018】本発明のトラン化合物の配合量は、他の液晶化合物の種類、配合比等により、一概に決められるものではないが、一般的には、1ないし30重量%、好ましくは3ないし15重量%である。【0019】【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。また、本実施例におけるしきい値電圧Vthは、液晶組成物をセル厚9μmのTN型液晶表示装置に搭載して測定した値である。【0020】(実施例1)4−ブロモフェニルフェノール20g、ジメチルホルムアミド150ml、ピリジン6gを溶解し、市販のトランス−4−n−ブチルシクロヘキサンカルボン酸クロライド15gを滴下し、加熱、撹拌した。その後、反応物を水中に流入し、結晶を析出させ、濾別した。希塩酸、水で洗浄し、真空乾燥後、酢酸エチル、メタノールの混合溶媒にて再結晶させ、トランス−4−n−ブチルシクロヘキサンカルボン酸−4−ブロモ−4’−ビフェニルエステル20gを得た。これに4−エチルフェニルアセチレン7g、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)クロライド0.03g、ヨウ化銅0.04g、トリフェニルフォスフィン0.3g、トリエチルアミン100mlを加え、加熱、撹拌した。反応物を水に流入して、塩酸で中和し、結晶を析出させる。結晶を濾別後、水洗し、真空乾燥後、酢酸エチルとメタノールの混合溶媒で再結晶を行い、化4記載の化合物12.5gを得た。この化合物はネマティック液晶相を有し、C−N点(結晶−ネマティック相転移温度)が213℃、N−I点が226℃であった。また、この化合物の赤外線吸収スペクトルを図1に示す。【0021】【化4】【0022】(実施例2)4−エチルフェニルアセチレン7gの代わりに4−n−プロピルフェニルアセチレン8gを用いる以外は、実施例1と同様の方法で、化5記載の化合物13gを得た。この化合物はネマティック液晶相を有し、C−N点が209℃、N−I点が224℃であった。また、この化合物の赤外線吸収スペクトルを図2に示す。【0023】【化5】【0024】(実施例3)4−エチルフェニルアセチレン7gの代わりに4−フルオロフェニルアセチレン6gを用いる以外は、実施例1と同様の方法で、化6記載の化合物12gを得た。この化合物はネマティック液晶相を有し、C−N点が209℃、N−I点が237℃であった。また、この化合物の赤外線吸収スペクトルを図3に示す。【0025】【化6】【0026】(実施例4)4−ブロモフェニルフェノール20gの代わりに4−ブロモフェノール14g、4−エチルフェニルアセチレン7gの代わりに4−n−ヘプチルビフェニルアセチレン11gを用いる以外は、実施例1と同様の方法で、化7記載の化合物14gを得た。この化合物はネマティック液晶相を有し、C−N点が207℃、N−I点が302℃であった。また、この化合物の赤外線吸収スペクトルを図4に示す。【0027】【化7】【0028】(実施例5)市販のネマティック液晶組成物ZLI−1132(メルク社製)95重量部に、実施例1で製造した本発明のトラン化合物を5重量部加え、液晶組成物を作製した。その液晶組成物の特性を表1に示す。【0029】ここで、ZLI−1132のみからなる液晶組成物の特性は、N−I点72℃、Δn0.138、粘度27.9cP、Vth1.83Vであった。【0030】【表1】【0031】(実施例6〜8)実施例5と同様にZLI−1132の95重量部に、実施例2〜4で製造したトラン化合物を5重量部加え、液晶組成物を作製した。その液晶組成物の特性を表1に併せて示す。【0032】表1から明らかなように、本発明のトラン化合物は、少量の添加により、それを含有する液晶組成物のN−I点を非常に高くし、複屈折△nを非常に大きくすることができる。【0033】【発明の効果】本発明のトラン化合物は、液晶組成物に少量混合することによって、液晶組成物のN−I点を高くし、また複屈折を大きくすることができる。そのため、本発明のトラン化合物を含有する液晶組成物は液晶材料として優れた特性を有し、またこの液晶組成物を搭載した液晶表示装置は、温度範囲が広く、広い視野角を持つ。さらに、本発明のトラン化合物は種々の化合物との充分な相互溶解性が得られ、液晶組成物の構成物質として多くの液晶材料と組み合わせて使用することができ、液晶組成物の特性改良に有用なものである。【図面の簡単な説明】【図1】本発明のトラン化合物の赤外線吸収スペクトルを表す図である。【図2】本発明のトラン化合物の赤外線吸収スペクトルを表す図である。【図3】本発明のトラン化合物の赤外線吸収スペクトルを表す図である。【図4】本発明のトラン化合物の赤外線吸収スペクトルを表す図である。 一般式(I)で表されるトラン化合物。(ただし、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Yは水素原子を示し、m、nはそれぞれ0または1であってm+n=1であり、かつm=1でn=0のときXは炭素原子数1〜10のアルキル基またはハロゲン原子を示し、m=0でn=1のときXは炭素原子数1〜10のアルキル基を示すものとする。) 請求項1記載のトラン化合物を少なくとも一種含有する液晶組成物。


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