生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ω−ホルミルカルボン酸エステルの製造法
出願番号:1995171733
年次:2004
IPC分類:7,C07C67/42,C07C67/475,C07C69/67,B01J27/08,B01J31/22,C07B61/00


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掛谷 登 高井 勉 JP 3546545 特許公報(B2) 20040423 1995171733 19950707 ω−ホルミルカルボン酸エステルの製造法 宇部興産株式会社 000000206 掛谷 登 高井 勉 20040728 7 C07C67/42 C07C67/475 C07C69/67 B01J27/08 B01J31/22 C07B61/00 JP C07C67/42 C07C67/475 C07C69/67 B01J27/08 X B01J31/22 X C07B61/00 300 7 C07C 67/42 C07C 67/475 特開平08−034761(JP,A) 特開昭64−013057(JP,A) 特開昭49−080018(JP,A) 特公昭47−002612(JP,B1) 特開昭57−181039(JP,A) 特開昭59−042341(JP,A) 特開昭59−016851(JP,A) 特公昭47−026768(JP,B1) 1 1997020722 19970121 6 20010112 井上 千弥子 【0001】【産業上の利用分野】本発明はシクロアルカノンからω−ホルミルカルボン酸エステルを製造する新規な方法に関する。ω−ホルミルカルボン酸エステルはポリエステルの原料となるω−ヒドロキシカルボン酸エステルや、ナイロンの原料となるω−アミノカルボン酸エステルの製造原料として有用な化合物である。例えば5−ホルミル吉草酸エステルからは、水素還元により5−ヒドロキシ吉草酸エステルを、また還元アミノ化により6−アミノカプロン酸エステルを製造することができる。更に、ω−ホルミルカルボン酸エステルは分子末端に反応性の高い官能基(エステル基及びアルデヒド基)を有することから、各種有機合成の原料として非常に有用な化合物である。【0002】【従来の技術】シクロアルカノンからω−ホルミルカルボン酸エステルを製造する方法としてはいくつかの方法が知られている。例えば5−ホルミル吉草酸エステルを製造する方法としては、(1)シクロヘキサノンを銅触媒存在下で酸素酸化する方法(特公昭47−26768号公報参照)、(2)シクロヘキサノンジメチルアセタールを硫酸触媒存在下で酸素酸化する方法(特公昭47−2612号公報参照)、(3)シクロヘキサノンジエチルアセタールに亜硝酸エチルと塩化水素を二酸化硫黄中で反応させる方法(J. Am. Chem. Soc., 99, 1156(1977) 参照)が知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の方法は転化率がわずか5%と非常に低いために收率は4%程度であり、第2の方法は5−ヒドロキシ吉草酸エステルの收率は56%であるが、5−ホルミル吉草酸エステルの收率は32%と低く、その上予めシクロヘキサノンのアセタール化を行う必要があり、それぞれ工業的に有利な方法であるとは言えない。また、第3の方法も5−シアノ吉草酸エステルの收率は87〜93%であるが、5−ホルミル吉草酸エステルの收率は5〜12%と低く、その上シクロヘキサノンのアセタール化が必要であり、更に二酸化硫黄という特殊な溶媒を使用すること、腐食性の強い塩化水素を使用すること、及び系中で亜硝酸エチルと塩化水素から腐食性の強い塩化ニトロシルが生成することなどにより、やはり工業的に満足できる方法ではない。本発明は、前記のような種々の分野に利用できるω−ホルミルカルボン酸エステルを、ω−ヒドロキシカルボン酸エステルやω−シアノカルボン酸エステルの生成を抑えて、高收率で容易に製造できる方法を提供することを課題とするものである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明の課題は、シクロアルカノンと亜硝酸エステルをルイス酸存在下で反応させてω−ホルミルカルボン酸エステルを生成させることを特徴とするω−ホルミルカルボン酸エステルの製造法によって達成される。なお、ω−ホルミルカルボン酸エステルは次式で示される化合物である。【0005】【化1】(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示し、nは4〜11の整数を示す)【0006】以下に本発明を詳しく説明する。シクロアルカノンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、シクロドデカノン等の炭素数5〜12のシクロアルカノンが挙げられる。【0007】亜硝酸エステルとしては、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸i−プロピル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸i−ブチル、亜硝酸t−ブチル、亜硝酸n−アミル、亜硝酸i−アミル、亜硝酸n−ヘキシル等の炭素数1〜6の亜硝酸エステル、及び亜硝酸シクロペンチル、亜硝酸シクロヘキシル等の炭素数5〜8の亜硝酸シクロアルキルが挙げられる。亜硝酸エステルの使用量は特に制限されるものではないが多量に使用すると経済性を損なうので、シクロアルカノンに対して通常1〜8当量、好ましくは2〜5当量である。【0008】ルイス酸としては、三フッ化ホウ素メタノール錯体、三フッ化ホウ素エーテル錯体、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、無水塩化鉄 (III)、スズ(II)トリフラート、トリメチルシリルトリフラート等種々のものが使用できるが、中でも三フッ化ホウ素メタノール錯体〔BF3 (MeOH)2 〕、三フッ化ホウ素エーテル錯体〔BF3 ・OEt2 〕、スズ(II)トリフラート〔Sn(OTf)2 〕が好適である。ルイス酸はその使用量を特に制限されるものではないが、多量に使用すると経済性を損なうので、シクロアルカノンに対して通常0.01〜0.5当量、好ましくは0.05〜0.1当量使用される。なお、三フッ化ホウ素メタノール錯体はメタノール溶液として用いられるので、メタノールの量がシクロアルカノンに対して5当量以下であるように使用される。【0009】シクロアルカノンと亜硝酸エステルとの反応は、例えば通常の攪拌装置を備えた反応器を用いて、前記ルイス酸の存在下、液相で行われる。反応は−20〜50℃の温度範囲で行うことができるが、中でも−10〜30℃で行うのが好ましい。反応圧は通常、常圧である。反応時間は通常1〜5時間で充分であるが、長時間であっても反応自体には何ら差し支えない。【0010】反応溶媒は反応系で不活性であれば特に限定されるものではなく、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、塩化メチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼン、ニトロメタン等のニトロ化合物などの誘電率が約5以上の比較的極性の高い溶媒が使用される。これら溶媒の中ではアセトニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタンが好ましい。また、原料のシクロアルカノンが反応条件下で液体であれば、それ自身を溶媒としても何ら差し支えはない。なお、反応に際して、シクロアルカノンはシクロアルカノンと溶媒の合計量に対するシクロアルカノンの割合(重量比)が通常0.1〜100、好ましくは1〜100であるように仕込まれる。【0011】反応後、ω−ホルミルカルボン酸エステルは一部がそのジアルキルアセタールとして得られ、更にω−ホルミルカルボン酸エステル以外にω−ホルミルカルボン酸エステルのω−オキシイミノ体、ω−シアノ体が少量生成することもある。これらは通常の蒸留によりそれぞれ分離されるが、ジアルキルアセタールは塩酸等による加水分解により容易にω−ホルミルカルボン酸エステルに導かれるので、加水分解後に蒸留による分離を行ってもよい。【0012】【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の転化率、收率及び選択率はモル基準で求めた。【0013】実施例1温度計とガス吹き込み管を備えた内容積200mlの筒型反応器に、シクロヘノン1.963g(20mmol)、三フッ化ホウ素メタノール錯体〔BF3 (MeOH)2 〕の15重量%メタノール溶液0.904g(三フッ化ホウ素メタノール錯体として2.0mmol)、ニトロメタン50mlを秤取った。この混合液に、攪拌下、亜硝酸メチルを室温で1.5時間吹き込んで反応を行った(亜硝酸メチル導入量:53.6mmol)。亜硝酸メチルは、メタノール30mlに亜硝酸n−ブチル20mlを室温で滴下して発生させ、これをドライアイストラップに補集した後、蒸留して耐圧容器に補集したものを用いた。【0014】反応後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロヘキサノン転化率が70.7%、5−ホルミル吉草酸メチル收率が49.3%、5−ホルミル吉草酸メチルジメチルアセタール收率が7.1%であった。なお、5−ヒドロキシ吉草酸メチル及び5−シアノ吉草酸メチルは生成していなかった。【0015】実施例2実施例1において、ニトロメタンをアセトニトリル50mlに変え、亜硝酸メチルの導入量を43.4mmolに変えたほかは、実施例1と同様に反応と分析を行った。その結果、シクロヘキサノン転化率が56.8%、5−ホルミル吉草酸メチル收率が37.2%、5−ホルミル吉草酸メチルジメチルアセタール收率が6.0%であった。なお、5−ヒドロキシ吉草酸メチル及び5−シアノ吉草酸メチルは生成していなかった。【0016】実施例3実施例1において、ニトロメタンをニトロベンゼン50mlに変え、亜硝酸メチルの導入量を29.0mmolに変えたほかは、実施例1と同様に反応と分析を行った。その結果、シクロヘキサノン転化率が36.3%、5−ホルミル吉草酸メチル收率が16.2%、5−ホルミル吉草酸メチルジメチルアセタール收率が20.2%であった。なお、5−ヒドロキシ吉草酸メチル及び5−シアノ吉草酸メチルは生成していなかった。【0017】実施例4内容積100mlの二口反応器に、シクロヘキサノン0.9815g(10mmol)、三フッ化ホウ素エーテル錯体〔BF3 ・OEt2 〕0.1419g(1.0mmol)、ニトロベンゼン20mlを秤取った。この混合液に、攪拌下、亜硝酸エチル−ニトロベンゼン溶液15ml(亜硝酸エチルとして18mmol)を室温で滴下して1.5時間反応を行った。亜硝酸エチルは、エタノール50mlと亜硝酸n−ブチル20mlを50℃で反応させて生成させ、これを蒸留してナスフラスコ中に補集したものを用いた。【0018】反応後、反応液に1N塩酸40mlを加えて30分間攪拌した後、有機相を分取し、水相はジクロロメタン30mlで抽出して有機相と合わせた。合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で中和して、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロヘキサノン転化率が58.8%、5−ホルミル吉草酸エチル收率が23.0%で、5−シアノ吉草酸エチル收率が0.69%であった。なお、5−ヒドロキシ吉草酸エチルは生成していなかった。【0019】実施例5内容積100mlのナス型反応器に、シクロヘキサノン1.963g(20mmol)、三フッ化ホウ素エーテル錯体〔BF3 ・OEt2 〕0.2839g(2.0mmol)、アセトニトリル20mlを秤取った。この混合液に、攪拌下、亜硝酸n−ブチル−アセトニトリル溶液15ml(亜硝酸n−ブチルとして22mmol)を室温で滴下して1.5時間反応を行った。反応後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロヘキサノン転化率が53.6%、5−ホルミル吉草酸n−ブチル收率が21.3%で、5−シアノ吉草酸n−ブチル收率が1.43%であった。なお、5−ヒドロキシ吉草酸n−ブチルは生成していなかった。【0020】実施例6実施例5において、三フッ化ホウ素エーテル錯体をスズ(II)トリフラート〔Sn(OTf)2 〕0.8337g(2.0mmol)に変えたほかは、実施例5と同様に反応と分析を行った。その結果、シクロヘキサノン転化率が63.5%、5−ホルミル吉草酸n−ブチル收率が23.0%で、5−シアノ吉草酸n−ブチル收率が3.93%であった。なお、5−ヒドロキシ吉草酸n−ブチルは生成していなかった。【0021】【発明の効果】本発明により、ω−ヒドロキシカルボン酸エステルやω−シアノカルボン酸エステルの生成を抑えて、種々の分野に利用できるω−ホルミルカルボン酸エステルを主生成物として高收率で容易に製造することができる シクロアルカノンと亜硝酸エステルをルイス酸存在下で反応させてω−ホルミルカルボン酸エステルを生成させることを特徴とするω−ホルミルカルボン酸エステルの製造法。


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