タイトル: | 特許公報(B2)_化粧料 |
出願番号: | 1995171341 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K7/00,A61K7/02,A61K7/06,A61K7/48,A61K7/50,A61K35/84,A61P17/16,A61P29/00,A61P43/00 |
川合 芳文 JP 3566410 特許公報(B2) 20040618 1995171341 19950614 化粧料 有限会社野々川商事 000249908 川合 芳文 JP 1994177570 19940706 20040915 7 A61K7/00 A61K7/02 A61K7/06 A61K7/48 A61K7/50 A61K35/84 A61P17/16 A61P29/00 A61P43/00 JP A61K7/00 K A61K7/02 Z A61K7/06 A61K7/48 A61K7/50 A61K35/84 A A61P17/16 A61P29/00 A61P43/00 111 7 A61K 7/00-7/50 A61K 35/84 JICSTファイル(JOIS) 特開平07−316035(JP,A) 特開平07−316026(JP,A) 3 1996073315 19960319 10 20020311 森井 裕美 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、カバアナタケ子実体の抽出物を含有する化粧料や抗炎症剤に関する。また、カバアナタケの培養菌体抽出物および/またはカバアナタケの培養液を含有することを特徴とする抗炎症剤に関する。【0002】【従来の技術】カバアナタケはシベリアにおいて茶の代用として利用されているが、カバアナタケ子実体を化粧料に利用した例はない。一方、肌荒れの一因として紫外線などによる炎症が考えられることから、その炎症をしずめ、肌荒れを改善する化粧料が望まれている。【0003】【発明が解決しようとする課題】そこで、カバアナタケ子実体の抽出物、カバアナタケの培養菌体抽出物およびカバアナタケの培養液について検討したところ、優れた抗炎症効果(ヒスタミン遊離抑制効果)を示し、かつ、製剤化も可能なことから本発明を完成した。【0004】【課題を解決するための手段】本発明は、カバアナタケの抽出物、カバアナタケの培養菌体抽出物およびカバアナタケの培養液から選ばれる一種または二種以上を含有することを特徴とする化粧料である。本発明でいうカバアナタケ(Fuscoporia obliqua)は、キコブタケ科フスコポリア属に属するきのこで、カバ類の樹木の立木樹幹に寄生し表面が炭黒色の菌核を形成する。きのこは子実体と菌核からなり、子実体は目立たず、樹皮下にうすく広がり傘をつくらない。菌核は樹皮を破って外に出て10〜30cmの大きさに盛り上がる。本きのこはカバ類の樹木であるシラカバ、ダケカンバなどが生育する地域ではよく見られる(続原色日本菌類図鑑、保育社、今関六也・本郷次雄、1965)。従って、その利用においては、自生するものを利用することも可能であるし、また、カバアナタケは健康用きのこ「白樺茸」として霊芝研究会から販売されているので、市販品を利用することもできる。【0005】さらに、カバアナタケを培地で培養することも可能であり、培地成分は通常の微生物およびきのこを培養する際に使用する成分で、例えば、酵母エキス、ポテト抽出物、マルツエキス、ペプトンなどが利用でき、糖源としてはグルコースなどの単糖類のほかマルトースなどの二糖類やデンプンなどの多糖類などが利用できる。これらの培地成分に水を加えて溶解し、加熱滅菌後、菌体を無菌的に接種し、20℃から35℃で、好ましくは、25℃から30℃の温度で、静置、振とうもしくは通気攪はんするなど好気的に培養を行うことにより菌体は増殖し、褐色になった培養液が得られる。このようにして得られた菌体や培養液も利用することができる。尚、カバアナタケの菌株は自生きのこを利用しても良いし、財団法人発酵研究所において登録され分譲されているFuscoporia obliqua IFO 8681などを利用することも可能である。【0006】カバアナタケおよび培養菌体の抽出物の抽出方法としては、例えば、カバアナタケのきのこおよび培養菌体を細かく切断し、溶媒を加えて抽出する方法が挙げられる。カバアナタケのきのこおよび培養菌体は、生のままでも乾燥物でもよい。溶媒としては、例えば、水溶性の溶媒である水、エタノール、n−プロパノール、t−ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどから選ばれる1種または2種以上の単独あるいは混合溶媒が挙げられる。抽出は、室温で行ってもよいし、加熱してもよい。抽出物は以後の操作を容易にするために、必要に応じて濃縮あるいは濃縮乾固することができる。また、必要に応じて抽出物中に含まれるデンプンなどの多糖類を冷蔵などにより沈澱除去することができるし、活性炭素などによって除臭、除色することができる。カバアナタケの培養液は、例えば、カバアナタケの菌体を培地で培養した後に、ろ過および遠心分離などで増殖した菌体を除くことによって得ることができる。カバアナタケの培養液もカバアナタケの抽出物と同様に、以後の操作を容易にするために、必要に応じて濃縮あるいは濃縮乾固することができる。また、必要に応じて抽出物中に含まれるデンプンなどの多糖類を冷蔵などにより沈澱除去することができるし、活性炭素などによって除臭、除色することができる。【0007】カバアナタケ子実体の抽出物は、乾固物として本発明化粧料の全量中、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.01〜1.0重量%配合することができる。カバアナタケ子実体および培養菌体の抽出物、カバアナタケの培養液の効果を損なわない範囲内で、化粧料または抗炎症剤に使用される油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤などの原料を配合することができる。本発明の化粧料は、クリーム、ローション、乳液、パックなどの基礎化粧料、ファンデーション、リップスティックなどのメイクアップ化粧料、ヘアークリーム、ヘアーローションなどの頭髪用化粧料、浴用剤、石鹸などの剤型を採用することができる。【0008】【実施例】次に本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例に示すカバアナタケは市販品「白樺茸」を、カバアナタケの培養菌体およびカバアナタケの培養液は財団法人発酵研究所の分譲菌株を利用した。尚、実施例に示す配合量の部とは重量部を示す。実施例−1 カバアナタケ熱水抽出物カバアナタケきのこを生のまま細かく切断し、その100gに2000mlの水をそれぞれ加えた後に100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過した後に凍結乾燥してカバアナタケ熱水抽出物を5.0g得た。【0009】実施例−2 カバアナタケエタノール抽出物カバアナタケきのこを乾燥した後に細かく切断し、その50gに4Lのエタノールを加えた後に50℃で8時間還流抽出した。得られた抽出液を濾過した後に濃縮乾固してカバアナタケエタノール抽出物を1g得た。【0010】実施例−3 カバアナタケ1,3−BG抽出物カバアナタケきのこを生のまま細かく切断し、その100gに、1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)と水の混合液(1:1)を1000ml加え、室温で2日間抽出した。抽出後、その抽出液を濾過してカバアナタケ1,3−BG抽出物を得た。【0011】実施例−4 カバアナタケの培養方法カバアナタケの菌体を予め121℃、20分間滅菌した酵母エキス1g、グルコース4gおよび水195gを含有する培地に接種し、30℃、10日間、100rpmで振とう培養を行った。得られた菌体をさらに予め121℃、20分間滅菌した酵母エキス10g、グルコース40gおよび水1950gを含有する培地に接種し、30℃、20日間、3L/min通気、300rpm攪はんの条件でファーメンターによる培養を行った。これによりカバアナタケの培養菌体を乾燥重量で20g、カバアナタケの培養液を2000g得た。【0012】実施例−5 カバアナタケ培養菌体熱水抽出物カバアナタケ培養菌体を生のまま細かく切断し、その100gに2000mlの水をそれぞれ加えた後に100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過した後に凍結乾燥してカバアナタケ熱水抽出物を3.9g得た。【0013】実施例−6 カバアナタケ培養菌体エタノール抽出物カバアナタケ培養菌体を乾燥した後に細かく切断し、その50gに4Lのエタノールを加えた後に50℃で8時間還流抽出した。得られた抽出液を濾過した後に濃縮乾固してカバアナタケ培養菌体エタノール抽出物を0.7g得た。【0014】実施例−7 カバアナタケ培養菌体1,3−BG抽出物カバアナタケ培養菌体を生のまま細かく切断し、その100gに、1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)と水の混合液(1:1)を1000ml加え、室温で2日間抽出した。抽出後、その抽出液を濾過してカバアナタケ培養菌体1,3−BG抽出物を得た。【0015】実施例−8 化粧水製造方法:成分1〜5および成分6〜10をそれぞれ均一に溶解し、混合し濾過して 製品とする。【0016】比較例−1 従来の化粧水実施例−8において、カバアナタケ熱水抽出物を精製水に置き換えたものを従来の化粧水とした。【0017】実施例−9 クリーム製造方法:油相成分1〜7および水相成分8〜12をそれぞれ70〜75℃に加熱溶解し た後、油相成分1〜7に水相成分8〜12を加えて乳化し、冷却途上で成分13を加え て混合し、30℃まで冷却して製品とする。【0018】実施例−10 乳液製造方法:油相成分1〜6および水相成分7〜10をそれぞれ70〜75℃に加熱溶解し た後、油相成分1〜6に水相成分7〜10を加えて乳化し、冷却途上で成分11を加え て混合し、30℃まで冷却して製品とする。【0019】比較例−2 従来の乳液実施例−10において、カバアナタケ1,3−BG抽出物を精製水に置き換えたものを従来の乳液とした。【0020】実施例−11 パック製造方法:各成分を均一に溶解し製品とする。【0021】実施例−12 ファンデーション製造方法:成分10〜13および15を70℃に加熱しよく膨潤させる。これに成分9お よび14を溶解し水相とする。成分1〜8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。よく混合し粉砕機に通し粉砕した成分16〜18を水相に加え、ホモミキサーで攪拌し75℃に保つ。この水相に油相をかきまぜながら加え、冷却し、45℃で成分19を加え、攪拌しながら冷却し製品とする。【0022】実施例−13 ヘアークリーム製造方法:油相成分1〜6および水相成分7〜10をそれぞれ70〜75℃で溶解し、油 相成分1〜6に水相成分7〜10を加えて乳化し、冷却途上で成分11を加えて混合し、30℃まで冷却して製品とする。【0023】実施例−14 浴用剤製造方法:各成分をよく混合し製品とする。【0042】【発明の効果】本発明のカバアナタケ子実体の抽出物、カバアナタケ培養菌体の抽出物およびカバアナタケの培養液は優れたヒスタミン遊離抑制作用を有し、また、カバアナタケ子実体の抽出物を含有することを特徴とする化粧料は優れた整肌作用を示した。次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。【0043】実験例−1 ヒスタミン遊離抑制作用(抗炎症作用)雄性Spraque−Dawley系ラットの腹腔内から採取した肥満細胞を用いてヒスタミン遊離抑制作用を測定した。すなわち、1μg/mlのコンパウンド48/80による肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制する作用を遊離抑制率として求めた。肥満細胞はSULLIVANらの方法(J. Immunology,114(5),1473−1479,1975)で採取し、ヒス タミンの定量はMAYらの方法(J. Allergy,46,12−20,1970)で行った。実験の結 果を表1に示した。その結果、カバアナタケの抽出物、カバアナタケ培養菌体の抽出物およびカバアナタケの培養液は優れたヒスタミン遊離抑制作用を示した。尚、試料は実施例−1、実施例−2、実施例−5、実施例−6の抽出物の凍結乾燥品、実施例−3、実施例−7の抽出物の蒸発残分および実施例−4の培養液の凍結乾燥品を用いた。【0044】【表1】【0045】実験例−2 整肌作用実施例−8の化粧水、実施例−10の乳液、比較例−1の従来の化粧水および比較例−2の従来の乳液を用いて、肌荒れに悩む女性15人(21〜36才)を対象に1ヶ月間の使用試験を行った。使用後、肌荒れの改善効果を判定した。その結果を表2に示した。その結果、カバアナタケ子実体の抽出物を含有することを特徴とする化粧料は優れた整肌作用を示した。【0046】【表2】以下余白【0049】実施例−9のクリーム、実施例−11のパック、実施例−12のファンデーションおよび実施例−14の浴用剤についても同様に使用試験を行ったところ、優れた整肌作用を示した。また、実施例−13のヘアークリームについても、髪の毛の荒れに悩む女性を対象に同様に使用試験を行ったところ、優れた改善作用を示した。【0050】以上示したように、本発明のカバアナタケ子実体の抽出物、カバアナタケの培養菌体抽出物およびカバアナタケの培養液は優れたヒスタミン遊離抑制効果を有し、さらに、カバアナタケ子実体の抽出物を含有することを特徴とする化粧料は優れた整肌効果および髪の毛の荒れに対する改善作用を示した。 カバアナタケ子実体の抽出物を含有することを特徴とする化粧料。 カバアナタケ子実体の抽出物を含有することを特徴とする抗炎症剤。 カバアナタケの培養菌体抽出物および/またはカバアナタケの培養液を含有することを特徴とする抗炎症剤。