生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_高撥水・撥油性BN粉末
出願番号:1995161887
年次:2006
IPC分類:C01B 21/064,A61K 8/18,A61Q 1/02,C09K 3/18


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鷲尾 友一 柳澤 秀好 上原 仁 JP 3794507 特許公報(B2) 20060421 1995161887 19950628 高撥水・撥油性BN粉末 信越化学工業株式会社 000002060 荒井 鐘司 100093735 鷲尾 友一 柳澤 秀好 上原 仁 20060705 C01B 21/064 20060101AFI20060615BHJP A61K 8/18 20060101ALI20060615BHJP A61Q 1/02 20060101ALI20060615BHJP C09K 3/18 20060101ALI20060615BHJP JPC01B21/064 MA61K7/02 PC09K3/18 104 C01B 21/064 特開平08−217989(JP,A) 3 1997012307 19970114 6 20000714 大工原 大二 【0001】【産業上の利用分野】本発明は高撥水・撥油性BN粉末に関するものである。【0002】【従来の技術】六方晶窒化ホウ素(以下BNと記する)は優れた熱伝導性、電気絶縁性、潤滑性を有することから、その粉末は各種電子部品の充填剤、摺動部材摩擦部の潤滑剤等に使用されている。また近年になってその潤滑性、カバー力、純白色であることに着目されて化粧品原料としても使用されつつある。しかし、そのBN粉末を化粧品原料として使用した場合、汗や雨水により化粧崩れが生じたり、入浴や水泳を行う場合にはその都度化粧直しが必要となる等の、実用上の不利が生じる。その原因はBN粉末の撥水性が不十分なことである。通常BN粉末は水滴に対する接触角が90〜120°程度であり、それを上回る高い撥水性は有していない。そこで本発明者等はBN粉末の撥水性を向上させる方法として特願平7−048017号において、BN粉末の表面にフッ化黒鉛(以下CFn と記する)粉末を複合化させる方法を提案した。この方法によれば、水滴に対する接触角が140°以上という高い撥水性を付与できるため、上記の問題を解決できる。しかしBN−CFn 複合化により撥水性は向上するものの、撥油性はなんら改良されるものではない。したがって、該粉末には人体の新陳代謝により発生する油分や石鹸・洗顔料等の界面活性剤成分を弾く性質は全く有していない。そのため、例えば入浴時に浴槽に入るだけならば化粧崩れは生じないが、石鹸を使用して洗顔を行えば汗や汚れと共に化粧も落ちて結局は化粧直しが必要となる。すなわち、洗顔により化粧を落とし、素顔に戻りたい場合は、BN−CFn 複合化粉末を使用した化粧品原料が有効であるが、洗顔時に汗や汚れのみを落とし、化粧は保持したい場合は、特性的に不満足なものとなる。【0003】【発明が解決しようとする課題】そこで以上の不利を解消するためには、撥水性・撥油性共に優れた化粧品原料を開発することが要求される。その方法として、特開平2−218603号公報、特開平6−192594号公報には化粧品原料粉末の表面をパーフロロアルキル基を有するシランカップリング剤(以下パーフロロアルキルシランと記する。)で処理することが提案されている。しかしこの方法ではパーフロロアルキルシラン自体が非常に高価であるため、製造コストが高くなる。またシランカップリング剤は一般にアルコキシ基、ハロゲン基等の加水分解性基が加水分解、脱水縮合の反応により無機質表面にシロキサン被膜を形成することにより、表面改質の効果を発現するものであるが、パーフロロアルキルシランの場合は、疎水性が強いため加水分解が困難である。そのため、酢酸、塩酸等の加水分解触媒を添加して長時間加熱、攪拌を行う必要があり、処理工程が長く煩雑になる上に、処理に使用する器具もテフロンコーティング等耐酸性に優れた高価な材質とする必要があるため、製造工程上及びコスト上大きな不利を招く結果となる。【0004】【課題を解決するための手段】 そこで本発明者等は、以上の従来技術の問題点に鑑み、簡略な工程で低コストに得られる高撥水・撥油性BN粉末について鋭意検討を重ねた結果、パーフロロアルキル基を有するシラザン(以下パーフロロアルキルシラザンと記する。)のみでBN粉末のシリル化処理を行うことにより、撥水性・撥油性を大きく向上させることが可能であること、及びシラザン結合を有する化合物は活性が高く、混合・乾燥のみの簡略な工程で該シリル化反応が生じるためコスト上も有利となることを見いだし、本発明を完成させるに至った。【0005】 すなわち本発明は、パーフロロアルキルシラザンのみでシリル化処理された高撥水・撥油性BN粉末を要旨とするものである。 以下にこれをさらに詳述する。【0006】本発明で使用するシラザン化合物が有するパーフロロアルキル基としては、−CH2 CH2 CF3 、−CH2 CH2 (CF2 )7 CF3 、−C8 F17 等の基が例示される。またこのパーフロロアルキルシラザンは、シラザン結合(≡Si−NH−)を有する有機珪素化合物中に最低1個のパーフロロアルキル基を有するものであれば良く、その他の有機官能基の種類、パーフロロアルキル基と珪素原子とを連結する官能基の有無、有の場合はその官能基の種類、シラザンの重合度等には特に限定はなく、例えばジシラザンの場合、その分子構造は下記の構造式(1)で示される。【0007】【0008】構造式(1)においてR1 〜R6 は、最低1個はパーフロロアルキル基である任意の有機基または有機官能基とし、それらは同一でも異なってもよい。中心に存在するシラザン結合の部分がBN粉末表面の活性水素と反応し、脱アンモニア反応によりパーフロロアルキル基を有するシリル基が結合し、BN粉末に撥水性・撥油性を付与することに働くものである。またシリル化処理の対象となるBN粉末は、その平均粒子径が0.5〜30μm、特に3〜13μmであることが好ましい。0.5μm未満の場合は凝集粒が多く粒子表面へのシリル化処理が均一に行えない場合がある。一方30μmを超えると化粧品原料として使用した場合にザラツキを感じる場合がある。またBN粉末は高純度であることが好ましく、特に化粧品原料としての充分な特性を発現させるためには98wt%以上であることが好ましい。更にBN粉末は結晶化が発達していることが好ましく、学振炭素材料117委員会法により測定したLC 値が500Å以上、特に1000Å以上であることが好ましい。500Å未満の場合はBNの結晶構造が非晶質となり、潤滑性・カバー力、伸び等の特性が不十分となる場合がある。【0009】シリル化処理時のBN粉末とパーフロロアルキルシラザンとの配合比は、BN粉末の比表面積、粒子径、パーフロロアルキルシラザンの分子量、重合度等の性状に合わせて適宜調整し得るが、一般的にBN粉末100重量部に対し、パーフロロアルキルシラザン0.1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部である。0.1重量部未満の場合は撥水性・撥油性向上の効果が不十分となる場合があり、一方50重量部を超える場合は処理後も未反応のシラザンが残留する場合があり、好ましくない。【0010】シリル化処理の方法は特に限定されないが、パーフロロアルキルシラザンをメタキシレンヘキサフロライド等の有機溶媒に分散させて、BN粉末と混合させたあと、乾燥させる方法が最も好ましい。シラザン結合は活性が高いため室温で混合するのみでシリル化反応が生じ、また反応のための触媒も不要で残留物もなく、さらに工程が簡略で低コスト化できる。【0011】【作用】 以上により、パーフロロアルキルシラザンのみでシリル化処理を行ったBN粉末は高い撥水性・撥油性を合わせて持つ。そのため、化粧品原料として使用した場合、汗や雨水による化粧崩れが起きず、入浴や水泳を行った後でも化粧直しが不要となり、さらに人体の新陳代謝により生じる油分も弾き、洗顔によってそれらの汚れや汗のみが洗い流され、化粧はそのまま保持できるという有利性が与えられる。【0012】【実施例】次に本発明について、実施例及び比較例を挙げて詳述するが、本発明は当然これに限定されるものではない。[実施例1]パーフロロアルキルシラザンのメタキシレンヘキサフロライド3wt%溶液(信越化学工業(株)製、商品名 KP801M )100重量部に、平均粒子径5μmのBN粉末(信越化学工業(株)製、商品名 KBN(h)-SR)30重量部を分散させ、プラネタリーミキサーで1時間混合した後、80℃の真空中で乾燥させて、シリル化処理を行ったBN粉末を得た。該シリル化BN粉末を両面テープ上に平坦に敷いて、水及びスクアランの液滴との接触角を測定した。結果を表1に示す。【0013】比較例1比較のため、シリル化処理を行っていないBN粉末(同上)について、実施例1と同様に接触角を測定した。結果を表1に併記する。【0014】比較例2シラザンの溶液として、ヘキサメチルジシラザン(信越化学工業(株)製、商品名 HMDS )3重量部を100重量部のトルエンに分散させたものを用いた以外は実施例1と同様に行った。接触角の測定結果を表1に併記する。【0015】比較例3BN粉末(同上)100重量部と、平均粒子径0.1μmのフッ化黒鉛粉末(セントラル硝子(株)製、商品名セフボンCMF )10重量部とを、高速隋円ローター型複合化装置((株)徳寿工作所製、シータコンポーザー)に入れ、5000rpm で30分処理し、BN−フッ化黒鉛複合化粉末を得た。該複合化粉末について実施例1と同様に接触角を測定した。結果を表1に併記する。【0016】【表1】【0017】 表1に示すとおり、パーフロロアルキルシラザンのみでシリル化処理を行った実施例1は、無処理の比較例1と比較して、撥水性(水の接触角)・撥油性(スクアランの接触角)共に大きく向上した。 またヘキサメチルジシラザンでシリル化処理を行った比較例2、及びフッ化黒鉛と複合化させた比較例3は、無処理の比較例1に比べて、撥水性は向上したが撥油性は全く無かった。【0018】【発明の効果】本発明により、撥水性・撥油性共に優れたBN粉末が得られ、化粧崩れを抑制する化粧品原料として好適に使用できる。またパーフロロアルキルシラザンによるシリル化処理は、触媒が不要で残留物もなく簡略な工程で行えるため、従来方法と比較してコスト上も有利である。さらに、本発明のBN粉末は表面に有するパーフロロアルキル基の作用により、フロロシリコーンゴム、PTFE等のフッ素系高分子材料の熱伝導性及び/または電気絶縁性を向上させる充填剤としても親和性・結合性が良好となるため、好適に使用されるものである。 パーフロロアルキル基を有するシラザン化合物のみでシリル化処理された高撥水・撥油性BN粉末。 シリル化処理時の配合量がBN粉末100重量部に対し、該シラザン化合物0.1〜50重量部である請求項1記載の高撥水・撥油性BN粉末。 化粧品原料である請求項1または2記載の高撥水・撥油性BN粉末。


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