生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_エポキシ樹脂用硬化促進剤
出願番号:1995127362
年次:2004
IPC分類:7,C08G59/54,C07C275/28


特許情報キャッシュ

神保 進 JP 3563154 特許公報(B2) 20040611 1995127362 19950428 エポキシ樹脂用硬化促進剤 保土谷化学工業株式会社 000005315 神保 進 20040908 7 C08G59/54 C07C275/28 JP C08G59/54 C07C275/28 7 C08G 59/00-59/72 C07C275/28-275/42 特開平06−220169(JP,A) 4 1996301988 19961119 7 20020423 加賀 直人 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、エポキシ樹脂およびジシアンジアミドからなる系に添加すると、エポキシ樹脂を低温で硬化させることのできる、分子中にハロゲン原子を含有しないエポキシ樹脂用硬化促進剤に関する。【0002】【従来の技術】エポキシ樹脂は、接着性、機械強度、電気絶縁性等に優れ、さらに基体樹脂、硬化剤、変性剤、促進剤などの組合せにより、多様な用途に適合し、その機能を持たせることができる。そのため多くの分野で用いられている。例えば塗料、接着剤、電子材料用封止剤および炭素繊維複合材料(以後CFRPと略称する)など多岐にわたっており、近年多くの分野で多様化し高度化する要求性能に対応するべく研究開発が進められている。【0003】一般に用いられているエポキシ樹脂組成物は、二液性である。主剤と硬化剤とを別々に保管し使用時に混合する。室温でも硬化する反面、作業者の配合ミス発生の可能性、可使時間の制約などの欠点を有する。これらの欠点を解決するために、一液性エポキシ樹脂用の潜在性硬化剤(エポキシ樹脂と室温付近では反応せず、所定の温度に加熱すると速やかに反応しうる硬化剤)が開発されている。この種の潜在性硬化剤としては、エポキシ樹脂に分散させ、加熱溶解させる型の化合物が知られている。その代表的なものとしてジシアンジアミドがある。しかしながらこのものは硬化が遅く、高温で硬化させる必要がある。一方、応用の範囲を広げるためには、硬化温度を低くしなければならない。硬化温度の低下は省エネルギ−につながるという利点も有する。このため、ジシアンジアミドに不足している性質を付加できるような、硬化促進剤の出現が望まれている。【0004】現在知られている硬化促進剤としては、尿素化合物、イミダゾ−ル化合物などがあり、具体的には3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(以後DCMUと略称する)、2−メチルイミダゾ−ルなどが代表的化合物として知られている。しかしながら硬化剤の存在によって、エポキシ樹脂組成物の反応性が増加し、エポキシ樹脂組成物の保存安定性は逆に低下するので、未だに硬化性と保存安定性とを同時に満足させるものはなく、また電子材料用封止剤のように金属腐食の点から、ハロゲン原子を含有する化合物は問題点を有しており、この分野においても現在多くの検討がなされている。【0005】【発明が解決しようとする課題】上記したような各種要求に対していくつかの発明が行なわれている。特公昭62−44768号公報には、炭素繊維強化エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤としてDCMUを用い、硬化樹脂の耐熱性を損なうことなく、低温硬化性、保存安定性等を改善している。しかしながら、DCMUは分子中にハロゲン原子を有しているため、電子材料分野への使用には問題があり、他に環境問題もある。特開平5−310890号公報には複合材料用プリプレグについて、同様に上記尿素化合物が使用されている。この場合もやはり、電子材料分野への使用には問題があり、他に環境問題もある。【0006】上記事項に鑑み、本発明の目的は、エポキシ樹脂、ジシアンジアミドをベ−スとした熱硬化性組成物に添加する硬化促進剤であって、化合物中にハロゲン原子を含まず、保存安定性が良く、低温硬化性の優れたエポキシ樹脂用硬化促進剤を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために種々の尿素誘導体について検討を行なった結果、一群の尿素誘導体が化合物中にハロゲン原子を含まず、保存安定性が良く、低温硬化性を有するエポキシ樹脂用硬化促進剤に適していることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0008】すなわち本発明は、一般式[化1]【化3】(式中、R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜3の低級アルキル基を表し、それぞれは同一であっても異なっていても良い)で表される化合物をエポキシ樹脂の硬化に用いることを特徴とする、エポキシ樹脂用硬化促進剤であり、また、この化合物をエポキシ樹脂用硬化促進剤として使用することを特徴とするエポキシ樹脂硬化促進方法である。【0009】本発明において、一般式[化1]表される尿素誘導体は、以下の反応によって製造することができる。一つの方法は、ナフチレン−1,5−ジイソシアナートに、所望のアルキル基を有するジ低級アルキルアミンを、化学量論量以上で反応させることによって製造する方法である。別の方法は、ナフチレン−1,5−ジアミンに、所望のアルキル基を有するN,N−ジ低級アルキルカルバモイルクロライドを、有機塩基または無機塩基の存在下および/または相間移動触媒の存在下に、化学量論量以上で不活性有機溶媒中で反応させることによって製造する方法である。【0010】本発明の尿素誘導体において、一般式[化1]で使用したR1ないしR4の低級アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。【0011】本発明の尿素誘導体の具体例としては、次の化合物を挙げることができる。(1) 1,5−ビス(3,3−ジメチルウレイド)ナフタレン(2) 1,5−ビス(3,3−ジエチルウレイド)ナフタレン(3) 1,5−ビス(3,3−ジプロピルウレイド)ナフタレン(4) 1,5−ビス(3,3−ジイソプロピルウレイド)ナフタレン(5) 1,5−ビス(3−エチル−3−メチルウレイド)ナフタレン(6) 1,5−ビス(3−メチル−3−プロピルウレイド)ナフタレン(7) 1,5−ビス(3−イソプロピル−3−メチルウレイド)ナフタレン(8) 1,5−ビス(3−エチル−3−プロピルウレイド)ナフタレン(9) 1,5−ビス(3−エチル−3−イソプロピルウレイド)ナフタレン(10) 1,5−ビス(3−イソプロピル−3−プロピルウレイド)ナフタレン(11) 1−(3,3−ジメチルウレイド)−5−(3,3−ジエチルウレイド)ナフタレン(12) 1−(3,3−ジメチルウレイド)−5−(3,3−ジプロピルウレイド)ナフタレン(13) 1−(3,3−ジメチルウレイド)−5−(3−エチル−3−メチルウレイド)ナフタレン【0012】本発明の尿素誘導体による硬化促進効果は、一般に市販されているエポキシ樹脂とジシアンジアミドに本発明の硬化促進剤を添加した樹脂組成物によって、達成することができる。またこの場合に、他の硬化促進剤を樹脂組成物中に混合して使用することもできる。【0013】本発明で使用されるエポキシ樹脂としては、公知の各種エポキシ樹脂すべてが使用可能であり、特に限定されない。好ましいタイプとしては、2個以上のエポキシ基が隣接するものが挙げられる。具体的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル(シェル化学(株)製のEp−808、Ep−827、Ep−828等)が挙げられる。【0014】本発明の硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシアンジアミド(C)硬化促進剤とを配合し、示差走査熱量計(以下DSCと略称する)を使用して反応熱を測定することによって、容易にその硬化促進剤の効果を評価をすることができる。(Adv.polym.Soc.72,112〜154)【0015】本発明にかかわるエポキシ樹脂の配合割合は、B成分がA成分に対して2〜15重量部、好ましくは3〜12重量部である。B成分が2重量部より少なくなると硬化性が悪くなり、B成分が15重量部を越えると耐熱性が低下する。【0016】本発明の硬化促進剤の配合割合は、A成分に対して1〜20重量部、好ましくは3〜12重量部である。1重量部以下では低温硬化性が悪くなり、20重量部を越えると耐熱性が低下する。【0017】本発明のエポキシ樹脂組成物は、その目的に応じて次のような他の添加剤を併用して使用することができる。例えば、可塑剤、有機溶媒、粘度調整剤、流動調整剤、充填剤、増量剤、顔料、染料、殺微生物剤、酸化防止剤等である。【0018】【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。[実施例1]1,5−ビス(3,3−ジメチルウレイド)ナフタレンの製造方法コンデンサー、温度計、かきまぜ装置が付属している1リットルの四ツ口フラスコ中に、トルエン300mlと50重量%のジメチルアミン水溶液102.9g(1.143モル)とを仕込み、この中にナフチレン−1,5−ジイソシアナート100g(0.476モル)をトルエン500mlに完全に溶解させた溶液を、かく拌下で 15〜20℃、30分で滴下した。滴下終了後ゆっくりと昇温し、50℃で5時間反応させた。析出した結晶をろ過、水洗、乾燥した。得量139g(収率97%)であった。IR(KBr)測定の結果、ν(C=O)は1642cm−1であった。また、2280cm−1の−NCO吸収は認められなかった。【0019】[実施例2]1,5−ビス(3,3−ジエチルウレイド)ナフタレンの製造方法実施例1と同様の装置に、トルエン300mlとジエチルアミン83.6g (1.143モル)とを仕込み、この中にナフチレン−1,5−ジイソシアナート100g(0.476モル)を、トルエン500mlに完全に溶解させた溶液を、かく拌下で 15〜20℃、30分で滴下した。滴下終了後ゆっくりと昇温し、50℃で5時間反応させた。析出した結晶をろ過、水洗、乾燥した。得量153.0g(収率98%)であった。融点(DSC)223℃。IR(KBr)測定の結果、ν(C=O)は1622cm−1であった。また、2280cm−1の−NCO吸収は認められなかった。【0020】[実施例3]エポキシ樹脂(エピコート−828、油化シェルエポキシ品)10g、ジシアンジアミド(Dyhard 100S SKW、TROSTBERG品)0.7g、さらに硬化促進剤として、実施例1で製造した1,5−ビス(3,3−ジメチルウレイド)ナフタレン0.7gを加えて、室温で良く混合分散させ、この組成物をDSCを用いて測定したところ、149℃に発熱ピークが認められ、この温度で硬化したことを示した。結果を[表1]に示す。【0021】[実施例4]実施例3と同様の方法で実施し、硬化促進剤の量を変化させて測定した。結果を[表1]に示す。【0022】[実施例5]実施例3の硬化促進剤の代わりに実施例2で製造した1,5−ビス(3,3−ジエチルウレイド)ナフタレン0.7gを加えて、実施例3と同様の方法で実施した。結果を[表1]に示す。【0023】[実施例6]実施例5と同様の方法で実施し、硬化促進剤の量を変化させて測定した。結果を[表1]に示す。【0024】[比較例1]硬化促進剤を使用せずに、エポキシ樹脂(エピコート−828、油化シェルエポキシ品)10gとジシアンジアミド(Dyhard 100S SKW、TROSTBERG品)0.7gとを室温で良く混合分散させ、この組成物をDSCを用いて測定したところ、199℃に発熱ピークが認められ、この温度で硬化したことを示した。結果を[表1]に示す。【0025】[比較例2]実施例3の硬化促進剤の代わりに、DCMU(保土谷化学品)0.7gを使用し、実施例2と同様の方法で実施して測定した。結果を[表1]に示す。【0026】【表1】【0027】【発明の効果】本発明の尿素誘導体をエポキシ樹脂用硬化促進剤に使用することによって、エポキシ樹脂を低温で硬化させることができ、また、エポキシ樹脂の保存安定性を向上させることができる。さらに、分子中にハロゲン原子を含有しないため、本発明にかかわるエポキシ樹脂は塗料、接着剤、CFRP、特に電子材料用封止剤として優れた性質を発揮する。 一般式[化1](式中、R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜3の低級アルキル基を表し、それぞれは同一であっても異なっていても良い)で表される化合物をエポキシ樹脂の硬化に用いることを特徴とする、エポキシ樹脂用硬化促進剤。 前記した一般式[化1]で表される化合物が1,5−ビス(3,3−ジメチルウレイド)ナフタレンである、請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤。 前記した一般式[化1]で表される化合物が1,5−ビス(3,3−ジエチルウレイド)ナフタレンである、請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤。 一般式[化1](式中、R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜3の低級アルキル基を表し、それぞれは同一であっても異なっていても良い)で表される化合物をエポキシ樹脂用硬化促進剤として使用することを特徴とする、エポキシ樹脂硬化促進方法。


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