生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_腫瘍および炎症性疾患を選択的に治療するために用いられる、壊死を引き起こす物質と、壊死により活性化される物質との組み合わせ
出願番号:1995122483
年次:2010
IPC分類:A61K 31/7048,A61K 31/375,A61P 35/00


特許情報キャッシュ

クラウス、ボスレット イエルク、チェック ディーター、ホフマン JP 4576005 特許公報(B2) 20100827 1995122483 19950522 腫瘍および炎症性疾患を選択的に治療するために用いられる、壊死を引き起こす物質と、壊死により活性化される物質との組み合わせ ヘキスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 590000145 吉武 賢次 100075812 中村 行孝 100091487 紺野 昭男 100094640 横田 修孝 100107342 クラウス、ボスレット イエルク、チェック ディーター、ホフマン DE P4417865.4 19940520 20101104 A61K 31/7048 20060101AFI20101014BHJP A61K 31/375 20060101ALI20101014BHJP A61P 35/00 20060101ALI20101014BHJP JPA61K31/7048A61K31/375A61P35/00 A61K37/00-48/00 A61K31/00-31/80 A61P1/00-43/00 CA MEDLINE EMBASE BIOTECHABS BIOSIS 欧州特許出願公開第595133(EP,A1) PETTERSEN, E.O., et al. Tumor necrotisation in nude mice xenografts by the reversible protein synthesis inhibitor zilascorb(2H). Br. J. Cancer, 1993, 67, pp.650−656 1 1995316074 19951205 8 20020522 2007005747 20070222 内田 淳子 穴吹 智子 上條 のぶよ 【0001】【発明の背景】発明の分野本発明は、腫瘍または炎症を起こした組織における、壊死を引き起こす物質(成分I)と、他の非毒性物質(「プロドラッグ」、成分II)との組み合わせに関する。壊死過程で遊離した酵素が、次に非毒性の「プロドラッグ」を開裂して毒性のある「薬物」を生成する。これにより、腫瘍細胞が広い範囲にわたって死に、および/または炎症が緩解する。【0002】背景技術現在、進行した(転移した)固形(solid )腫瘍の治療には、化学療法のみが有効である。この種の治療法は、多くの固形腫瘍に対して明らかな抗腫瘍効果を有するが、通常、患者には激しい副作用が生じる。このような不十分な状況のために、副作用の少ない、より良い形態の治療法の開発が強く望まれている。【0003】近年、新しい有効な治療法を導入するために、特定の免疫学的認識機構に基づき、様々な試みがなされている。とりわけ、腫瘍の表面構造に選択的な抗体を用いて、毒性成分を腫瘍組織に送達する試みがなされている。この臨床的な試みにおいて、例えばモノクローナル抗体またはそれらの組み換え型変異体のような巨大分子は生体内で腫瘍細胞と極めて選択的に結合するが、その結合の度合いは非常に低く、治療には通常適さないということが明らかにされている。このような科学的な結果から、いわゆる多段階法が導かれた。すなわち、酵素を腫瘍に対して選択的なモノクローナル抗体(抗体−酵素複合体)を結合させ、それを腫瘍上の適当な部分に予め配置し(第一工程)、その後注入される毒性のない低分子量のプロドラッグを開裂して(第二工程)、毒性のある薬物を腫瘍部位において選択的に生成する。前臨床的においてこの二段階法によれば、ヌードマウスのヒト腫瘍異種移植モデルにおいてより良好な作用をもたらす従来の化学療法(Senter, P. D. 等、Bioconj. Chem. 4: 3-9, 1993)におけるよりも、腫瘍上の薬物の濃度を高くすることができる。用いた抗体−酵素複合体(外因性の酵素(通常細菌性酵素)と結合したマウスの抗体)に予想される免疫抗原性に加えて、それら複合体の固形腫瘍に対する透過性の問題、および認識される腫瘍関連抗原の存在に起因してそれら複合体がある種の腫瘍に限定されることが挙げられる。このことから、少なくとも最もよく発生する腫瘍(胃腸管癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、および前立腺癌)の治療が可能な、特異性の異なる様々な抗体−酵素複合体の開発が必要となる。【0004】【発明の概要】 驚くべきことに、上で指摘した免疫抗原性、不均一性、および腫瘍への透過性の不足といった問題がなく、しかも二段階法の利点を有し、腫瘍に対してより高い濃度の薬物をもたらし、従って、副作用の少ない固形腫瘍の治療法として広く用いることのできる医薬組成物が、本発明により、今般、提供される。 すなわち、本発明によれば、ジラスコルブ(成分I)とF826(N−(4−β−グルクロニル−3−ニトロベンジルオキシカルボニル)ドキソルビシン)(成分II)とを含んでなる細胞増殖抑制療法に用いるための組み合わせ剤であって、成分Iおよび成分IIが混合物として使用されるか、または、成分Iおよび成分IIが個々の別々の成分として時間的に同時にまたは別々に使用される、組み合わせ剤が提供される。【0005】【発明の具体的説明】本発明による医薬組成物は二つの成分からなる。そのうちの一つは、腫瘍に対して選択的に壊死を引き起こすか、または増殖性内皮(腫瘍内皮または炎症を起こしつつある内皮)に対して選択的に毒性を有するものである。もう一つは非毒性のプロドラッグ成分であり、壊死過程で遊離した酵素により開裂して毒性の薬物を生成する。壊死を引き起こす成分Iは、腫瘍または内皮細胞の代謝抑制剤か、または腫瘍内皮に対して特異性を有する物質である。腫瘍内皮に対して特異性を有するかまたは壊死を引き起こす成分Iは、非経口投与、好ましくは静脈内投与される。腫瘍内皮に対して特異性を有する成分の場合、それは腫瘍の間隙に侵入することなしに、血管の増殖性内皮上に優先的に表れる単一抗原決定基と選択的に結合する。【0006】増殖性内皮細胞にこの成分が内在化した後か、または内部に入り込まずに細胞毒性宿主イフェクタ−機構が活性化された結果として、増殖性内皮の成長が抑制されるかまたは増殖性内皮が完全に破壊される。これにより、多くの腫瘍細胞に対する栄養素の供給が不充分となり、その結果、成長が抑制され、また腫瘍のある部分が壊死する。同等の効果は、静脈内に注入可能な、腫瘍の代謝または内皮の代謝を抑制する物質によっても得られる。このように壊死が起きると、細胞内酵素、好ましくはリソソームグリコシダーゼが放出され、これにより、好ましくは静脈内注射される非毒性のプロドラッグである成分IIが続いて開裂され、毒性のある薬物を生じる。このように腫瘍中に生成された高濃度の薬物により、腫瘍細胞が広い範囲にわたって壊死し、この新しい二成分療法の優れた抗腫瘍効果、および/または炎症緩解効果が得られる。【0007】本発明による新規な二成分系の成分Iとしては、以下に詳細に記載する様々な物質を用いることができる。【0008】a) 補体を活性化するおよび/またはADCC(抗体依存性細胞傷害)を媒介するFc部分(細胞破壊による作用機構)を有する増殖性内皮またはそのヒト化変異体、および非細胞溶解性変異体またはフラグメント(細胞消滅を惹起)に対して選択性のあるモノクローナル抗体(MAb)。b) a)に記載されている物質が毒素または毒性のある化学物質と結合した免疫複合体。c) 毒素または毒性のある化学物質と結合した受容体リガンドからなる、増殖性内皮に対して特異性のあるリガンド毒素。d) 腫瘍細胞または内皮細胞の代謝抑制物質であって、いずれの場合も、腫瘍細胞群の少なくとも一部を局部的に破壊する物質。【0009】a)に記載されているモノクローナル抗体は、例えば以下のような増殖依存性内皮抗原に対して特異性をもつのが好ましい。VEGF受容体(Terman et al., 1991, Oncogene 6, 1677-1683; Ullrich and Schlesinger, 1990, Cell 61, 203-212; Millauer et al., 1993, Cell 72, 835-846; Millauer et al., 1994, Nature 367 (6463) 576-579; Kaipainen et al., 1993, J. Exp. Med. 178 (6), 2077-2088; Plate et al., 1993, Cancer Res. 53, 5822-5827) 、Clarke、および West により記載されている内皮上の抗原 (Electrophoresis, 12 (7-8), 500-508, 1991) 、Hagemeier et al.により記載されている30.5kDa腫瘍内皮特異性抗原(Int. J. Cancer 38 (4) 481-488, 1986)、増殖性内皮細胞に生じる細胞消滅媒介抗原、例えばビトロネクチン受容体(インテグリンαV β3 )(Brooks et al., Science, 264, 569-71, 1994; Brooks et al., Cell 79, 1157-64, 1994) 、VEGF/VEGF受容体錯体(VEGF/FLK1、VEGF/KDR)(Abraham et al., US 52 19739, Abraham et al., WO 91 02058A, Millauer et al., Cell 72, 835-846, 1993; Terman et al., Oncogene 6, 1677-1683, 1991, Terman et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 187, 1579-1586, 1992) 、フィブロネクチンCH2 ドメイン(Carnemolla et al., J. Cell Biol. 108, 1139-1148, 1989; Castellani et al., Int. J. Cancer, 59, 612-618, 1994)、エンドグリン(Fernandez-Ruiz et al., Cytogenet. Cell Genet. 64, 204-207, 1993; Gougos et al., J. Biol. Chem. 265, 8361-8364, 1990) 、エンドシアリン(Garin-Chesa、および Rettich, USP 5 342 757)、MAbとしてWO94/10331に定義されている増殖性内皮に生ずる抗原、EAM−1シャログリコプロテイン抗原 (EPA 0583 799 A) 、FLK−2プロテイン(WO 94/01576)、CMP−170抗原(EPA 0 585 963 A1)、E9抗原(Wang et al., Int. J. Cancer 54, 363-370, 1993; Wang et al., J. Immunol. Methods 171, 55-64, 1994) 、新規180kDa皮膚内皮細胞活性化抗原(Westphal et al., J. Invest. Dermatol. 100, 27-34, 1993) 、FLtプロテイン(Shibuya et al., Oncogene 5, 519-524, 1990; DeVries et al., Science 255, 989-991, 1992)、PDGF受容体β(Plate et al., Laboratory Investigation, 67, 529-534, 1992)、PDGF/PDGF受容体β−錯体、PDEGF/PDEGF受容体錯体(Ishikawa et al., Nature 338, 557-562, 1989) 、誘導性血液脳関門内皮特異性抗原HT7(ニュ−ロテリン、バシニン; gp42、OX47)(Seulberger et al., Annals of the New York Academy of Sciences, 633, 611-614, 1991; Seulberger et al., Neuroscience Letter 140, 93-97, 1992) 。上で定義したMAbに加えて、Burrows および Thorpe により記載されているMAb(Pharmac. Ther. 64, 155-174, 1994)を使用することもできる。a)に述べたMAbは全て、前凝固因子(Denekamp, Cancer Topics 6, 6-8, 1986) 、またはサイトカインまたはケモカイン(Mulligan, Science 260, 926-932, 1993) と組み合わせて、融合プロテインを調製するのに用いることもできる。前炎症性プロテイン、免疫抑制性プロテインまたは増殖抑制プロテインを示すベクターDNAと共に、a)に記載の内部に入り込むMAbは特に「ターゲット」に、また増殖性内皮の変成に用いることができる (Nabel et al., Science 249, 1285-1288, 1990) 。原則的には、認識される抗原そのものにより媒介されるのでなければ、第一の抗体に対して特異性を有する第二の抗体を投与することにより、内在化がもたらされる。ハイブリドーマから得られる古典的なMAbの代わりに、「ディスプレイ・ライブラリー」によりヒト以外のまたはヒトの遺伝子バンクから得られる抗体(Little et al., Biotech Adv. 12, 539-555, 1994) 、およびそれらの誘導体、例えば「単一鎖フラグメント可変領域」(scFvs) 、「ドメイン抗体」(dAbs)、上記の特異性を有する抗原結合ペプチドまたは擬似ペプチドも、勿論用いることができる。抗原結合ペプチドは、特に、Brooks et al. (p.3 loc. cit.) により記載されている、ビトロネクチン受容体と結合することにより細胞消滅を引き起こす環状ペプチドである。【0010】b)に記載されている免疫複合体は、a)に定義されている特定の抗体またはそれらの変異体と、外因性の毒素(リシンA、ジフテリア毒素A、シュードモナス外毒素A; Burrows and Thorpe, PNAS 90, 8996-9000, 1993) またはヒト起源の毒素(アンジオジェニン、RNAses; Rybak et al., PNAS 89, 3165-3169, 1992) との結合により生成される。更に、毒性のある合成物質または天然物質、例えばアルキル化剤、代謝拮抗物質、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、タキソール、カリキマイシン等、および放射性同位元素、好ましくは錯体の形態であるα−またはβ−エミッタ(例えばY−90 DOTA:2−(p−ニトロベンジル)−1,4,7,10−テトラシクロドデカン−N,N’,N”,N”’,N””−テトラ酢酸; Moi et al., J. Am. Chem. Society, 110, 6266 (1988)) と結合させることも可能である。【0011】c)に記載されているリガンド毒素は、MAbとしてa)に定義されている受容体または抗原と結合する、天然または合成のリガンド、好ましくはb)に記載されている毒素または毒性のある物質と結合した「血管内皮成長因子」(VEGF)(Shweiki et al. ,1993, J. Clin. Invest. 91, 2235-2243) の変異体、およびVEGF拮抗体または作動体である。【0012】腫瘍細胞または内皮細胞の代謝抑制物質(d)の場合、例えば5,6−ジメチル−キサンテノン酢酸またはフラボノ酢酸(Zwi et al., Pathology 26, 161-169, 1994)、ジラスコルブ(5,6−O−ベンジリデン−d−L−アスコルビン酸; Pettersen et al. ,Brit. J. Cancer 67, 650-656, 1993)、またはAGM1470 (Antoine et al., Cancer Res. 54, 2073-2076, 1994)を使用することができる。腫瘍細胞代謝抑制物質の他の例には、免疫複合体または融合プロテインがあり、これらは、毒性のある成分と結合し、内在化可能な腫瘍関連抗原、好ましくは代謝抑制酵素、例えばシュードモナス外毒素(Brinkmann et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 8616-8620, 1991)、シクロホスファミドのような毒性のある合成物質または毒性のある天然物質、例えばダウノマイシンに対して選択性がある。【0013】従って、a)〜d)に記載されている各成分Iを患者に注射することにより、腫瘍組織を直接的に破壊しまたは増殖性内皮に間接的に影響を与える(a、b、c)結果として、組織の壊死が選択的に起きる。【0014】壊死の生じるのと同時におよび/またはその後、腫瘍細胞が壊死する間に遊離した酵素により開裂され得るプロドラッグ、例えばEP−A−0 511 917 A1またはEP−A−0 595 133に記載されているプロドラッグ、好ましくは Bosslet et al. (Cancer Res. 54, 2151-2159, 1994)が図3に記載しているプロドラッグであるN−(4−β−グルクロニル−3−ニトロベンジルオキシカルボニル)ドキソルビシン(実施例において「プロドラッグ」と呼ぶ)を、成分IIとして注射する。【0015】【実施例】動物実験の例を以下に記載する。これにより、新規な二成分療法の優れた薬力学的作用が確認できる。これらの動物モデルは、臨床の場に対して高い予測性をもつ。【0016】実施例1成分Iとしての抗腫瘍内皮免疫毒と、成分IIとしてのプロドラッグ(F826)との優れた薬力学的作用を確認するために、Burrows および Thorpe (Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 90, 8996-9000, 1993)により考案されたマウスのモデルを用いた。【0017】マウスモデルは以下の通りである。C1300マウス神経芽細胞腫細胞1.4x107 個と、C1300Muγ細胞(マウスのγ−インターフェロンを導入したマウス神経芽細胞腫系)6x106 個との混合物を、balb/c nu/nu マウスの右前方側腹部に皮下注射した。14日後、腫瘍の直径が0.8〜1.2cmに達した時に、動物をランダムに1グループ6匹づつの4グループに分けた。15日目に免疫毒を投与し、また17日目、20日目、23日目にプロドラッグを静脈注射した。【0018】注射した腫瘍内皮免疫毒はモノクローナル抗体(MAb M5/114)からなる。これは、脱グリコシル化リシンA鎖と結合した、ハプロタイプdのマウスMHCクラスII分子に対して特異性を有する。balb/c nu/nu マウスの正常な内皮細胞は、いかなるMHCクラスII分子も発現しない。しかしながら、C1300Muγ腫瘍細胞により生体内で局所的に遊離したγ−インターフェロンは、腫瘍内でそこに位置する内皮細胞を活性化して、MHCクラスII分子を明らかに発現する。これにより、腫瘍内皮に対して特異的な擬似抗原(マウスのB細胞とは別に、MHCクラスII抗原を構造的に示すマクロファージおよび幾つかの上皮細胞)が作られる。従って、免疫毒の注射により腫瘍内皮細胞との結合が優先的に起き、続いて複合体が内在化した後、内皮が破壊される。腫瘍内皮の破壊による壊死により、引き続いて投与されるプロドラッグを腫瘍中で活性化する細胞内酵素、特にβ−グルクロニダーゼが放出される。【0019】この仮説を確認するために、4つのグループに分けた実験動物を、第1表に記載されているように治療した。【0020】【表1】【0021】腫瘍の成長は、腫瘍の互いに直角に交わる二つの直径を、スライドゲージで各実験日に測ることにより測定した。腫瘍の体積は、式V=1/2ab2 (ここで、aは最大直径、bは最小直径)により得た。【0022】実験グループ4の腫瘍は徐々に成長した。プロドラッグ(グループ3)または免疫毒(グループ2)で三回治療した結果、強い腫瘍成長抑制効果が得られた。グループ1の動物は全て、治療後腫瘍が完全に退縮した。この実験から、免疫毒とプロドラッグとによる新規な二成分療法の優れた作用が確認できる。ここで使用したマウスのHLA抗原に対して特異性を有する免疫毒(Burrows,およびThorpe, PNAS 90, 8996-9000, 1993) の代わりに、a)、b)、およびc)に記載した成分を患者に用いることができる。【0023】実施例2新規な二成分療法が薬力学的に優れていることを、更に二つの独立した実験により確認した。ヌードマウス6匹からなる各実験グループに、LoVo結腸癌またはMx−1乳癌を移植した。腫瘍の直径が約5mmに達した後、ジラスコルブ(Pettersen et al., 1993, Brit. J. Cancer, 67, 650-656; Borretzen et al., USP 4874 780, 1989) を1〜7日目に静脈内投与し、またプロドラッグF826を8日目、11日目、および14日目に投与した。治療スキームを、第2表に更に詳細に述べる。【0024】【表2】【0025】腫瘍の成長は、実施例1に記載したように測定し、治療後30日にわたってモニターした。以下のような腫瘍治療効果が観察された。【0026】生理学的食塩水で治療した実験グループ4は、38日の治療期間にわたって腫瘍が徐々に成長した。腫瘍の直径が≧20mmとなった時に、動物を倫理的な理由により殺した。実験グループ2および3において、腫瘍の成長が有意に抑制された。治療グループ1では、50%を越える動物において腫瘍が退縮した。【0027】これらの結果から、ジラスコルブとプロドラッグF826を用いた新規な二成分療法が、これらの成分のうちの一つを用いた単一療法に比べて、優れた腫瘍治療作用をもつことが分かる。更に、ヒトの肺癌、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、および胃癌を用いた前臨床生体内モデルにおいて、MX−1腫瘍およびLoVo腫瘍に対する効果に匹敵する効果を得ることができた。第一の成分としてフラボノ酢酸または5,6−ジ−メチルキサンテノン酢酸を用いて、ジラスコルブを用いて得た結果に匹敵する結果を得た。臨床の場に対して高い予測性をもつこれらの前臨床生体内実験から、腫瘍細胞または内皮細胞の代謝抑制物質とプロドラッグとを組み合わせた新規な二成分療法が、様々なヒトの腫瘍に幅広く使用可能なことが分かる。患者に対しては、成分Iとしてd)に記載した試薬を動物実験と同様に注射し、その後成分IIとしてF826を注射することとなろう。【0028】実施例3新規な二成分療法が薬力学的に優れていることを、更に独立した実験により確認した。それぞれ6匹の動物からなる実験グループに、LoVo結腸癌を移植した。腫瘍の直径が約5mmに達した後、scFv PE40構成体(Brinkmann, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 88, 8616-8620, 1991)を、いづれも全部で4回、12時間の間隔をあけて静脈内投与した。scFv PE40構成体で処理を開始してから3日後、6日後、および9日後に、プロドラッグを静脈内注射した。治療スキームを第3表にまとめる。【0029】【表3】【0030】以下の実験結果が得られた。コントロールグループ4と比較して、プロドラッグを投与したグループ3では腫瘍の部分的な退縮のみが観察され、scFv PE40を投与したグループ2では腫瘍成長の減速のみが観察された。組み合わせ療法を施したグループ1においては、6匹の動物のうちの4匹の腫瘍が完全に退縮し、他の2匹の腫瘍は部分的に退縮した。【0031】この実験から、腫瘍に付随する抗原(TAA)に対する免疫毒と、プロドラッグとの組み合わせによる二成分療法の優れた作用が確認できる。患者への投与に関しては、この実験は、d)に記載された物質とプロドラッグF826との組み合わせによる二成分療法が、優れた腫瘍治療作用をもたらすであろうことを意味する。【0032】以上をまとめると、a)、b)、c)、およびd)に記載されている成分Iと、成分II(プロドラッグ)との組み合わせ療法により、成分Iまたは成分IIによる単一療法よりも優れた腫瘍治療効果がもたらされることが分かる。 ジラスコルブ(成分I)とF826(N−(4−β−グルクロニル−3−ニトロベンジルオキシカルボニル)ドキソルビシン)(成分II)とを含んでなる細胞増殖抑制療法に用いるための組み合わせ剤であって、成分Iおよび成分IIが混合物として使用されるか、または、成分Iおよび成分IIが個々の別々の成分として時間的に同時にまたは別々に使用される、組み合わせ剤。


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