タイトル: | 特許公報(B2)_HIVプロテアーゼ阻害剤 |
出願番号: | 1995108489 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07K5/065,A61K38/55,A61P31/18 |
藤岡 紀洋 藤原 民雄 橋本 直文 JP 3579120 特許公報(B2) 20040723 1995108489 19950502 HIVプロテアーゼ阻害剤 塩野義製薬株式会社 000001926 青山 葆 100062144 田村 恭生 100068526 齋藤 みの里 100087114 藤岡 紀洋 藤原 民雄 橋本 直文 20041020 7 C07K5/065 A61K38/55 A61P31/18 JP C07K5/065 A61P31/18 A61K37/64 7 C07K 5/06〜5/087 A61K 38/55 CA(STN) REGISTRY(STN) 6 1996301896 19961119 14 20011026 鈴木 恵理子 【0001】本発明は、HIVプロテアーゼに対する阻害活性を有し、HIV感染症の予防及び治療に有効な新規ノルスタチン誘導体に関する。【0002】【従来技術と発明が解決すべき課題】従来、後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療には、免疫不全症ウイルス(HIV)のRNA逆転写酵素阻害剤や、プロテアーゼ阻害剤を用いることが提案されてきた。これらの内、プロテアーゼ阻害剤の活性成分として、種々のペプチド誘導体が開示されている(例えば、特開平2−117615号公報、特開平2−202898号公報、特開平2−202899号公報、特開平2−204475号公報、特開平5−78311号公報、特開平5−170722号公報、特開平5−178824号公報、特開平6−100533号公報、及びWO93/3066など)。特に、ペプチド中にヒドロキシアミノ酸アイソスターとしてβ−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸基を有する誘導体が注目されている(EP0490667A2、特開平5−170722号公報、特開平5−178824号公報、及びWO93/3066など)。しかしながら、HIVプロテアーゼ阻害剤の経口投与に際する吸収率、代謝的な安定性、リンパ節への移行性、HIVプロテアーゼとの親和性などの有効性、特に経口投与に際する吸収率の点で問題があり、AIDSなどのHIV感染症の治療又は予防を適切に行うためには、さらに多くの化合物を開発し、臨床適用の可否を調べる必要がある。【0003】【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するものであって、式I:【化2】(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してアルキル、又はR1及びR2は隣接するNと一緒になってヘテロ環基を形成してもよい;R3及びR4はそれぞれ独立して水素、アルキル又はヘテロ環基;R5はアルキル;nは1〜3の整数を表す)で示される化合物又はその塩を提供するものである。本発明者らは、式IにおけるR5に様々な基を有する一連の化合物を合成し、HIVプロテアーゼ阻害活性、細胞毒性、経口投与での有効性等に関してスクリーニングした結果、本発明化合物が優れた特性を有することを見出し、本発明を完成したものである。【0004】本明細書中、「アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数1〜8のアルキルを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が例示され、メチルが好ましい。「ヘテロ環基」とは、芳香族系及び非芳香族系複素環の双方を意味し、O、S及びNから独立して選択される1又はそれ以上の数の同一又は異なるヘテロ原子を有する5−7員の環であって、これらは炭素環と縮合していてもよい。そのような芳香族系複素環の例として、フリル、チエニル、テトラゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、オキサジニル又はトリアジニルを挙げることができる。また非芳香族系複素環の例として、ピロリジニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリニル、オキサゾリニル、イミダゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサジアゾリル及びジオキサニルを挙げることができる。本発明化合物のR1及びR2によって形成されるヘテロ環基としては、非芳香族系複素環が好ましく、モルホリニルが特に好ましい。また、本発明化合物のR3及びR4におけるヘテロ環基としては、芳香族系複素環が好ましい。なお、ヘテロ環基は置換されていてもよく、そのような置換基としては、メチル、エチル等の低級アルキル、トリフルオロメチルを挙げることができる。【0005】式Iの化合物の塩は、薬学的に許容し得る塩であって、塩酸、硝酸、りん酸、硫酸、臭化水素酸、沃化水素酸、亜硝酸、亜りん酸等の無機酸から導かれる塩、及び脂肪族モノー及びジカルボン酸、フェニル−置換アルカン酸、ヒドロキシ−アルカン一酸及びアルカン二酸、芳香族酸並びに脂肪族及び芳香族スルホン酸等の無毒な有機酸から導かれる塩が含まれる。このような薬学的に許容し得る酸付加塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩、第2りん酸塩、第1りん酸塩、メタりん酸塩、ピロりん酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩、弗化水素酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩及びその他の塩が含まれる。本発明にとって好ましいのは無機酸の塩であって、塩酸塩及び硝酸塩が特に好ましい。【0006】本発明の化合物Iは、後述する実験例に示すように、式IにおけるR5がメチル以外の基である類似化合物(例えば、R5が水素である対照化合物I1及びI2)に比較して、優れたHIVプロテアーゼ阻害活性を有すると共に、経口投与に際する吸収率が高くHIV感染症の予防及び治療に有用であると期待される。上記の定義で示される化合物Iのすべて上記の本発明の目的に有用であるが、中でも、R1及びR2がモルホリノを形成しているかR1及びR2が共にメチルであり、かつ/又はR3及びR4がメチルである化合物が好ましい。【0007】本発明化合物は、当業者既知の方法を用いて製造することができる。一般的な合成法として、縮合は、液相法により段階的に実施する。例えば、縮合剤として、HOBt/DCC、HOBt/EDC或はDEPC/NMMの存在下、溶媒としてCH2Cl2、DMF、THF、AcOEtの何れかを用いて行う。反応温度は−10℃〜30℃、好ましくは0℃〜25℃、反応時間は1〜16時間、好ましくは3〜5時間である。中間体の脱保護は4N−HCl/ジオキサン或は6NaqHCl/ジオキサンを用い、反応温度0〜25℃、反応時間1〜3時間で実施する。脱保護されたアミン成分は、塩酸を中和して遊離状態で取り出すか、或は溶媒を減圧留去後、当量の塩基(例えばTEA又はNMM)を加え、次の反応に使用してもよい。本発明化合物Iは例えば、以下の反応式に従って製造することができる。【0008】本発明の化合物I又はその塩を、HIV感染症の予防又は治療に用いるためには、経口又は非経口投与に適した製剤の形で投与する。経口投与による場合、本発明化合物は、通常の製剤、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形としても用いることができる。非経口投与による場合、本発明化合物は、水性又は油性懸濁注射剤として用いることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤等のいずれをも用いることができ、また他の添加剤、例えば保存剤、安定剤等を含むものであってもよい。本発明化合物又はその塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態及び疾患の種類によっても異なるが、通常、経口的には、1日あたり3mg〜2g、好ましくは、10mg〜1gであり、これを1〜5回に分割して投与すればよい。【0009】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例で使用する略語を以下に説明する。TEA:トリエチルアミン(BOC)2O:ジ−t−ブチルカルボナートEDC(HCl):1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩HOBt:N−ヒドロキシベンゾトリアゾールNMM:N−メチルモルホリンDEPC:ジエチルシアノホスホナート【0010】製造例1【化3】(1)化合物a(5.00g、37.55mmol)を、CH2Cl2(50ml)に懸濁し、TEA(5.8ml、41.38mmol)を加え、撹拌下、室温にて(Boc)2O(9.80g、44.9mmol)を加えて3時間反応する。反応液に水性NaHCO3を加え、酸性部を転溶し、次いで塩基性溶液にクエン酸を加えてpH3とし、酢酸エチル(×3)抽出する。抽出液は合併して飽和NaCl(×2)で洗滌後、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧留去し、化合物b(7.2g、収率82.2%)を得た。化合物b(7.20g、3.09mmol)、t−ブチルアミン(3.89ml、3.70mmol)及びHOBt(4.84g、3.58mmol)をCH2Cl2(40ml)に懸濁し、N2気流中で氷冷撹拌下、EDC(7.1g、3.6mmol)を加え、1時間反応した後、室温にて一夜反応する。溶媒を減圧留去し、残渣に6N−HCl(50ml)−ジオキサン(20ml)を加え、5時間反応する。反応液はCH2Cl2(×3)で洗滌した後、NaHCO3でアルカリ性とし、CH2Cl2(×3)で抽出し、化合物c(5.80g、収率:定量的)を得た。【0011】(2)化合物d(Tetrahedron Letters,Vol.29,No.27,3295−3298(1988)に準じて製造)(4.77g、16.15mmol)、化合物c(2.53g、13.44mmol)及びHOBt(2.18g、16.13mmol)をCH2Cl2(30ml)−MeCN(10ml)に溶解し、N2気流中、氷冷撹拌下、EDC(3.18g、16.14mmol)を加える。1時間後、室温にして16時間反応する。反応液は水性NaHCO3(×2)、水、10%クエン酸(×2)及び水で順次、洗滌後、MgSO4にて乾燥し、溶媒を減圧留去して、粗(2S,3S)(N−t−ブトキシカルボニル−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチリル)−L−チアゾリジン−4−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物e)(7.0g)を得た。粗化合物e(7.00g)に4N−HCl/ジオキサン50mlを加え、撹拌下室温にて2時間反応する。溶媒を減圧留去し、残渣にCH2Cl2(15ml)及び水(15ml)を加え、撹拌下、水性NaHCO3にてpH8とし、析出した結晶を濾取し、mp213−215℃を示す化合物1(4.60g、収率93.7%)を得た。【0012】製造例2【化4】化合物1(2.70g、7.39mmol)及び2[R3,R4=CH3;R5=H](1.93g、8.88mmol)及びHOBt(1.32g、9.77mmol)をCH2Cl2(150ml)に懸濁し、N2気流、氷冷撹拌下、EDC(2.00g、10.15mmol)を加え、1時間反応し、更に室温で4時間反応した。反応液は7% NaHCO3水溶液で洗浄後,MgSO4にて乾燥した。溶媒を減圧留去して得た結晶性残渣を酢酸エチルより再結晶し、mp232−234℃を示す化合物3[R3,R4=CH3;R5=H](3.85g、収率92.3%)を得た。【0013】製造例3【化5】化合物3[R3,R4=CH3;R5=H](3.80g、6.73mmol)に4N−HCl/ジオキサン(60ml)を加え、撹拌下、室温にて2時間反応した。溶媒を減圧留去して、残渣に7%NaHCO3水溶液を加えてアルカリ性とし、析出した結晶を濾取、水洗、乾燥した。更に酢酸エチル−n−ヘキサン混液より再結晶して、mp125−128℃を示す化合物4[R3,R4=CH3;R5=H](2.80g、収率89.6%)を得た。【0014】製造例4【化6】化合物4[R3,R4=CH3;R5=H](1.40g、3.02mmol)、化合物6(1.14g,3.61mmol)、HOBt(0.488g、3.61mmol)、EDC(0.712g、3.61mmol)、CH2Cl2(16ml)及びMeCN(4ml)を用い、参考例1と同様に反応して化合物7[R3,R4=CH3;R5=H](2.20g、収率95.8%)を得た。得られた化合物7は製造例3と同様に脱保護し、対応する化合物8を得た。【0015】製造例5【化7】化合物4[R3,R4=CH3;R5=CH3](1.00g、2.09mmol)、化合物6(Thaisyivongs,S.,Pals,D.T.,Harris,D.W.,Kati,W.M.,Turner,S.R.,J.Med.Chem.1986 29 2088記載の合成法を参考に合成](0.692g、2.19mmol)、NMM(0.28ml)をCH2Cl2(5ml)に溶解し、N2気流、撹拌下、室温にてDEPC(ジエチルシアノホスホナート、Aldrich社製)(0.35ml、2.2mmol)を加え、3時間反応した。反応液は10%クエン酸水溶液、水で洗浄し、次いで7%NaHCO3水溶液、水で洗浄した後、MgSO4にて乾燥した。溶媒を減圧留去して粗生成物(0.660g)を得、これをクロマト処理し[SiO2(80g)、28%NH4OH水/MeOH/CH2Cl2(0.2:2:100)混液]、化合物7[R3,R4=CH3;R5=CH3](0.71g、収率43.8%)を得た。得られた化合物7は製造例3と同様に脱保護し、対応する化合物8を得た。【0016】参考例1 フラグメント法A【化8】化合物4[R3,R4=CH3;R5=H](0.70g、1.51mmol)、化合物5(0.62g、1.81mmol)、HOBt(0.250g、1.85mmol)及びEDC(0.360g、1.83mmol)を製造例2と同様に反応し、粗生成物をクロマト処理する[SiO2(Merk社、230−400メッシュ)(35g)、28%NH4OH水/MeOH/CH2Cl2(0.25:2.5:100)混液]。流出物(1.15g)をEt2Oでトリチュレートしてmp212−214℃を示す灰白色結晶の化合物III[R3,R4=CH3;R5=H;R1,R2=モルホリノ](1.10g、収率92%)を得た。【0017】参考例2【化9】製造例4で得た化合物8[R3,R4=CH3;R5=H](0.150g、0.22mmol)、化合物9(R1,R2=モルホリノ)(0.041g、0.24mmol)、HOBt(0.016g、0.12mmol)、EDC(0.047g、0.24mmol)を参考例1と同様に反応してmp195〜198℃の化合物III[R3,R4=CH3;R5=H;R1,R2=モルホリノ](0.147g、収率83.1%)を得た。【0018】実施例1【化10】製造例5で得た化合物8[R3,R4=CH3;R5=CH3](0.320g、0.47mmol)、化合物9(R1,R2=モルホリノ)(0.103g、0.71mmol)、NMM(86μl)、CH2Cl2(3ml)、DEPC(120μl)を用い、製造例5と同様に反応して化合物I[R3,R4=CH3;R5=CH3;R1,R2=モルホリノ](0.242g、収率63.7%)を得た。【0019】上記実施例で得た化合物及び同様にして得た化合物の製造過程における収率、物性値、元素分析値等を以下の表1及び2に示す。【0020】【表1】【0021】【表2】実施例で得た化合物のHIVプロテアーゼ阻害作用及びHIV感染抑制作用を以下の方法で調べた。【0022】実験例1 化合物のHIV−1プロテアーゼ阻害作用の測定実験は、以下の一般的手法に従って行われた。材料予め5倍希釈系列の検体溶液(DMSO)を作成し、そこから5μlをとってエッペンドルフマイクロチューブに入れる。これに、氷冷しておいた反応液(95μl)を加える。混合後の成分の最終濃度は次のようになるよう設定した。注:1)発蛍光基質 4−(4−ジメチルアミノフェニラゾ)ベンゾイル(DABCYL)−γ−アミノブチリル(GABA)−Ser−Gln−Asn−Tyr−Pro−Ile−Val−Gln−5−[(2−アミノエチル)アミノ]ナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)2)HIV−1プロテアーゼが37℃で1分間に1μMのDGGpEを分解する活性を1ユニットとする。【0023】方法反応液を37℃で2時間反応し、2%トリフルオロ酢酸(TFA)(100μl)を加えて反応を停止させる。反応液中の分解産物をTSK−gel ODS−80TMカラムを用い、0.1%TFA−17%アセトニトリル、0.8ml/分の条件でHPLCで分離し、365nmで励起し、490nmの蛍光強度を測定した。化合物によるプロテアーゼの阻害率%は、以下の式に従って計算した。【数1】阻害率(%)=[1−{(試料を加えた時のピーク面積)/(試料を加えない時のピーク面積)}]×10050%阻害濃度(IC50ng/ml)は化合物の各濃度における阻害率%のセミログプロットより求めた。【0024】実験例2 ラット経口投与による測定一夜絶食したラット(雄性Jcl−SD、8−9週令、240−300g)にHIVプロテアーゼ阻害剤(20mg/4ml/kgの0.01Mクエン酸水溶液又は懸濁液)を経口投与後、頸静脈から経時的に採血し、血漿中濃度推移を非麻酔下で追跡した。【0025】AUC(血漿中濃度時間曲線下面積)測定除蛋白処理血液試料は、血漿(200μl)にMeCN(750μl)を加えた後、ミキサーで撹拌し、冷却遠心機で遠心し、得られた上清(850μl)を蒸発乾固し、溶離液(0.1%トリフルオロ酢酸水溶液−MeCN系溶媒)(150μl)に溶解した後、100μlをHPLCに注入し、以下の条件で定量した。定量HIVプロテアーゼ阻害剤の定量は、SPD−M6A UV検出器を備えたLC−6A HPLC(島津(株);京都)を用いて行った(カラム:Nucleosil5C18;溶離液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液−MeCN系溶媒)。同様にして静脈内投与におけるAUCを測定した。結果を下記の表3に示す。【0026】【表3】1)経口投与によるHIVプロテアーゼ阻害アッセイ2)非経口(静注)投与によるHIVプロテアーゼ阻害アッセイ3)対照化合物I1[R1,R2=モルホリノ;R3,R4=CH3;R5=H;n=1]4)対照化合物I2[R1,R2=モルホリノ;R3,R4=CH3;R5=H;n=2]表3に示した結果から明らかなように、R5がメチルである本発明化合物は、R5が水素である対照化合物に比較して、経口投与で有用である。【0027】【発明の効果】本発明化合物又はその塩はHIVプロテアーゼ阻害活性を有し、HIV感染抑制作用を示し、経口投与に際する吸収率は高い。従って、本発明の化合物を用いてエイズ等のHIVウイルス感染症の予防又は治療を行うことが可能である。 式I:(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してアルキル、又はR1及びR2は隣接するNと一緒になってヘテロ環基を形成してもよい;R3及びR4はそれぞれ独立して水素、アルキル又はヘテロ環基;R5はアルキル;nは1〜3の整数を表す)で示される化合物又はその塩。 R5がメチルである請求項1記載の化合物。 N(R1)R2がモルホリノである請求項1記載の化合物。 R1及びR2がメチルである請求項1記載の化合物。 R3及びR4がメチルである請求項3又は4記載の化合物。 請求項1記載の化合物を有効量含有する抗ウイルス剤。