タイトル: | 特許公報(B2)_薬剤組成物 |
出願番号: | 1995106123 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/575,A61K 9/14,A61K 36/48,A61K 47/02,A61P 3/06 |
加藤 義輝 佐村 一久 河村 政男 大沢 重光 JP 3886171 特許公報(B2) 20061201 1995106123 19950428 薬剤組成物 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 506137147 稲葉 良幸 100079108 田中 克郎 100080953 大賀 眞司 100093861 大貫 敏史 100109346 加藤 義輝 佐村 一久 河村 政男 大沢 重光 20070228 A61K 31/575 20060101AFI20070208BHJP A61K 9/14 20060101ALI20070208BHJP A61K 36/48 20060101ALI20070208BHJP A61K 47/02 20060101ALI20070208BHJP A61P 3/06 20060101ALI20070208BHJP JPA61K31/575A61K9/14A61K35/78 JA61K47/02A61P3/06 A61K 31/575 A61K 9/14 A61K 36/48 A61K 47/02 特開平05−271072(JP,A) 特開平06−298645(JP,A) 特開昭61−194022(JP,A) 特開平03−066613(JP,A) 特開昭63−119426(JP,A) 特開平06−016537(JP,A) 特開平04−217912(JP,A) 特開平04−108739(JP,A) 4 1996295627 19961112 6 20020426 榎本 佳予子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、γ-オリザノール等を吸着した組成物に関する。【0002】【従来技術】γ-オリザノールは、高脂血症の治療予防剤等の医薬品として用いられており、一方、大豆不ケン化物は血清脂質の低下作用等の性質を有し、やはり医薬品として用いられている。また、近年これら物質とビタミンEを組み合わせることにより優れた高脂血症の治療予防剤となることが知られている(特願平4ー253562号)。これらの物質は物理化学的性質が異なるため、製剤化が困難であり、例えば特開平5ー155761号公報で開示されるように、軟カプセル剤の皮膜にγ-オリザノールを配合し、内容物に大豆不ケン化物等を含有させる等の工夫が払われている。【0003】【発明が解決しようとする課題】γ-オリザノール及び大豆不ケン化物は、水に対する溶解度が低いために消化管からの吸収が悪く、また両者の物理化学的性質の相違から製剤化が困難である。そこで、γ-オリザノール及び大豆不ケン化物の溶解度を上げることにより、吸収を上げるとともに、さらに製剤化が容易な技術が求められている。本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を続けた結果、次の構成により課題を解決できることをみいだし本発明を完成した。【0004】【課題を解決するための手段】本発明は、γ-オリザノールを多孔質物質に吸着した組成物である。また、本発明はγ-オリザノール及び大豆不ケン化物を多孔質物質に吸着してなる組成物である。本発明においてγ-オリザノールを多孔質物質に吸着させる手段は、γ-オリザノールを溶媒に溶解後多孔質物質に吸着させることが望ましい。γ-オリザノールを溶解させる物質は特に限定されないが、一般にハロゲン溶媒が用いられ、好ましくは、塩化メチレン、クロロホルムを挙げることができる。【0005】本発明において、γ-オリザノールと大豆不ケン化物を同時に用いるときは、両者を溶解する溶媒として加温したエタノールを用いることができる。γ-オリザノール単独では加温したエタノールに溶解しないが、意外にも両者が共存すると溶解することを見いだして本発明を完成したものである。加温したエタノールの温度は、40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、上限はエタノールの沸点未満であるが、爆発の危険を小さくするため80℃以下が好ましい。ハロゲン溶媒、加温したエタノールいずれを使用した場合にも溶媒を除去して本発明に係る組成物を得ることができる。【0006】本発明のγ-オリザノールは、米ヌカ油中から抽出される物質で単品ではなく、各種植物ステロールとトリテルペンアルコール類のフェルラ酸エステルとしての混合物である。本発明の大豆不ケン化物は大豆油の不ケン化物で植物ステロールを主成分とする。本発明においては、いかなる大豆不ケン化物でも使用できるが、代表的なものとしてソイステロール(商標)を挙げることができる。本発明に係る多孔質物質とは、微粉末で表面積の大きな物質を意味し、例えば無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム等を挙げることができ、特に好ましくはケイ酸カルシウムであり、フローライト(商品名、徳山漕達(株)製)として入手できる。【0007】γ-オリザノールの多孔質物質に対する吸着量は特に限定されないが、一般にγ-オリザノール1重量部に対して多孔質物質0.5〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部である。γ-オリザノール及び大豆不ケン化物の多孔性物質に対する比は、一般にγ-オリザノール及び大豆不ケン化物1重量部に対し多孔性物質0.5〜100重量部であり、好ましくは1〜100重量部である。本発明にかかる組成物は、そのままでも粉末剤として服用できるが、更に一般に用いられる製剤化助剤、例えば乳糖、マンニトール、結晶セルロース等の賦形剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、コーンスターチ等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、ステアリン酸カルシウム等の滑沢剤等を使用して一般に用いられている方法により顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の剤形とすることができる。【0008】【効果】γ-オリザノール及び/又は大豆不ケン化物を多孔性物質に吸着させるとγ-オリザノール及び/又は大豆不ケン化物は非晶質化する。一般に非晶質化した物質は、溶解時に結晶構造を破壊するエネルギーを必要としないため結晶よりも溶解速度が大きくなる。本発明に係るγ-オリザノール、大豆不ケン化物の溶出は、多孔性物質に吸着させない場合より溶出速度が大きく吸収性が改善されることが期待される。【0009】上記効果は、以下の実験例により示される。実験例1 γ-オリザノールをクロロホルムに溶解し、多孔質ケイ酸カルシウムに吸着後クロロホルムを蒸発除去して粉末を調整し、粉末X線回折を行った。γ-オリザノールの多孔質ケイ酸カルシウムに対する量は1、2、4、8、12%とした。結果を図1に示した。いずれの濃度でも回折パターンは認められず、γ-オリザノールは非晶質化していることが示された。【0010】実験例2 γ-オリザノール及び大豆不ケン化物を加温したエタノールに溶解し、多孔質ケイ酸カルシウムに吸着後、エタノールを蒸発除去して粉末を調整し、示差熱分析及び粉末X線回折を行った。γ-オリザノール、大豆不ケン化物及び多孔質ケイ酸カルシウムの配合割合は表1に示した。【表1】γ-オリザノール及び大豆不ケン化物の混合物は105℃付近に吸熱ピークが認められたが、多孔質ケイ酸カルシウムに吸着させたものは吸熱ピークが認められなかった(図2)。また、粉末X線回折ではγ-オリザノール及び大豆不ケン化物の混合物は、結晶に由来するピークが認められたが、多孔質ケイ酸カルシウムに吸着させたものはピークが消失し、非晶質化していることが示された(図3)。【0011】実験例3 γ-オリザノールを多孔質ケイ酸カルシウムに吸着させた試料、γ-オリザノール及び大豆不ケン化物を多孔質ケイ酸カルシウムに吸着させた試料を用いて溶出試験を行った。溶出試験の条件は、日本薬局方第2液にツイーン80を2%添加し、パドル法(100rpm)で行った。その結果、γ-オリザノールを多孔質ケイ酸カルシウムに吸着させた試料からのγ-オリザノールの溶出は3時間でほぼ100%溶出し、γ-オリザノール及び大豆不ケン化物を多孔質ケイ酸カルシウムに吸着させた試料からのγ-オリザノールの溶出は緩やかな溶出を示した。これに対し、γ-オリザノール単独又はγ-オリザノールと大豆不ケン化物の混合物からの溶出はほとんど認められなかった(図4)。以上より、本発明にかかる組成物は、非晶質化しており、溶解性にも優れることから、消化管からの吸収性が向上することが期待される。【0012】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが本発明はこれらに限定されない。【0013】実施例1 γ-オリザノール3.0gをクロロホルム37.5mlに溶解し、多孔質ケイ酸カルシウム300gに少量ずつ吸着させ、クロロホルムを蒸発除去し本発明に係る組成物を得た。実施例2 γ-オリザノール36.0gをクロロホルム375.0mlに溶解し、多孔質ケイ酸カルシウム300gに少量ずつ吸着させ、クロロホルムを蒸発除去し本発明に係る組成物を得た。【0014】実施例3 γ-オリザノール5.0g及び大豆不ケン化物20.0gを70℃のエタノール200mlに溶解し、多孔質ケイ酸カルシウム250gに少量ずつ吸着させた後、エタノールを蒸発除去し本発明に係る組成物を得た。実施例4 γ-オリザノール50.0g及び大豆不ケン化物200.0gを70℃のエタノール200mlに溶解し、多孔質ケイ酸カルシウム250.0gに少量ずつ吸着させた後、エタノールを蒸発除去し本発明に係る組成物を得た。【0015】【図面の簡単な説明】【図1】γ-オリザノールの粉末X線回折の結果である。【図2】γ-オリザノールと大豆不ケン化物の示差熱分析の結果である。【図3】γ-オリザノールと大豆不ケン化物の粉末X線回折の結果である。【図4】γ-オリザノールの溶出試験の結果である。 γ−オリザノール及び大豆油不けん化物の混合物が非晶質化した状態で吸着している多孔質物質を含有する医薬組成物。 γ−オリザノール及び大豆油不けん化物を加温したエタノールに均一に溶解させた溶解液を得、(2)前記溶解液を多孔質物質に添加しγ−オリザノール及び大豆油不けん化物の混合物を前記多孔質物質に吸着させ、(3)エタノールを除去することにより得られる、請求項1に記載の医薬組成物。 前記多孔質物質が、無水ケイ酸又はケイ酸カルシウムである、請求項1又は2に記載の医薬組成物。 (1)γ−オリザノール及び大豆油不けん化物を加温したエタノールに均一に溶解させた溶解液を得る工程、(2)前記溶解液を多孔質物質に添加しγ−オリザノール及び大豆油不けん化物の混合物を前記多孔質物質に吸着させる工程、(3)エタノールを除去することによりγ−オリザノール及び大豆油不けん化物の混合物が非晶質化した状態で吸着している多孔質物質を得る工程と、を含む医薬組成物の製造方法。