生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_グリコール酸の製造方法
出願番号:1995104072
年次:2006
IPC分類:C07C 59/06,B01J 23/89,C07C 51/235,B01J 23/652,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

脇村 和生 羽勢 忠晴 瀬崎 義広 藤田 耕士 三浦 俊夫 JP 3748588 特許公報(B2) 20051209 1995104072 19950427 グリコール酸の製造方法 三井化学株式会社 000005887 脇村 和生 羽勢 忠晴 瀬崎 義広 藤田 耕士 三浦 俊夫 20060222 C07C 59/06 20060101AFI20060202BHJP B01J 23/89 20060101ALI20060202BHJP C07C 51/235 20060101ALI20060202BHJP B01J 23/652 20060101ALI20060202BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060202BHJP JPC07C59/06B01J23/89C07C51/235B01J23/64 103XC07B61/00 300 B01J 23/652 B01J 23/89 C07C 59/06 C07C 59/01 C07C 51/235 特開平07−112953(JP,A) 1 1996295650 19961112 5 20020228 吉良 優子 【0001】【産業上の利用分野】本発明はグリコール酸の製造方法に関する。さらに詳しくはエチレングリコールと酸素含有ガスとを接触酸化反応させて、グリコール酸を製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】グリコール酸は清缶剤、洗浄剤、皮革なめし剤、化粧品等の原料として有用である。従来グリコール酸の製造方法としては、強酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド、一酸化炭素及び水から製造する方法が知られている。たとえば、特開昭59-139341 号では含水有機溶媒中フッ化水素触媒存在下でホルムアルデヒドと一酸化炭素とを反応させて製造する方法や、米国特許2,153,064 号では水媒体中硫酸触媒存在下でホルムアルデヒドと一酸化炭素とを反応させて製造する方法が示されているが、いずれも温度100 〜200 ℃、圧力数百気圧という過酷な反応条件であり、さらには酸性触媒による設備の腐食という工業プロセスとして取り扱うにおいて重大な欠点を有している。【0003】また、金属担持触媒の存在下でエチレングリコール等のグリコール類を酸化させて製造する方法も提案されている。たとえば、特公昭60-10016号および特公昭60-39063号では水媒体中で白金族金属触媒存在下エチレングリコールを酸素含有ガスで酸化する方法が示されているが、反応速度が遅く反応時間を長く設定する必要があるという欠点を有する。【0004】さらに特開昭51-86415号および特開昭62-269749 号ではアルカリ性水溶液中で白金族金属元素を主成分とする触媒の存在下、グリコール類を酸化させる方法が示されているが、生成物がグリコール酸のアルカリ塩であるため、遊離グリコール酸を得るには煩雑な操作が必要であり、やはり製造コストが増加する欠点を有している。【0005】【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従来の方法では高い反応温度と高い反応圧力、特殊な材質の設備を必要とするか、または長い反応時間と煩雑な製造工程が必要であり、工業的には極めて不利な方法であった。したがって、経済的で実施容易な製造方法の開発が望まれていた。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点を解決するため鋭意研究を行なった結果、本発明を完成した。即ち本発明のグリコール酸の製造方法は、エチレングリコールを酸素含有ガスで接触酸化させて、グリコール酸を製造するに際し、触媒成分としてルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金から選ばれる少なくとも1種の白金族元素に、助触媒成分としてバナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の共存下に反応させることを特徴とするものである。【0007】本発明においては貴金属触媒成分に対する助触媒金属成分量の範囲に特に制限はない。本発明においては白金属触媒の原料にルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金のそれぞれの塩化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、酸化物、分子内錯体、金属粉、およびそれぞれが担持された市販の触媒が挙げられる。【0008】助触媒成分の原料としては、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛のそれぞれの塩化物、ヨウ化、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン化合物、酸化物、水酸化物、およびそれぞれの純金属や合金が挙げられる。助触媒の共存方法としては、貴金属触媒が添加された反応原料液に助触媒成分の原料粉末を直接添加する方法を採るが、その他の方法には水または反応に悪影響を及ぼさない有機化合物、例えばエチレングリコール、グリコール酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等に助触媒原料を混合溶解させた液を反応原料液に添加する方法も使用できる。【0009】本発明に用いられるエチレングリコールは工業的に製造されているもので一般に入手可能なものを水に溶解混合した状態で用いられる。この一般に入手可能なエチレングリコールに微量含まれる有機酸類やアルコール類と言った不純物は本発明の効果を損なうことはない。本発明の方法においては前述の触媒を添加したエチレングリコール水溶液に酸素含有ガスを通気して反応させるが、エチレングリコールの濃度が上記の範囲より低くても触媒性能に差し支えないが、生成物の濃縮に多大な熱量を要するので好ましくない。一方エチレングリコール濃度を過大にすると分解等の副反応の増大と反応液の粘度増加による攪拌効果の減衰により、グリコール酸の収率が低下する。【0010】反応に用いる触媒の添加量は、反応原料液であるエチレングリコール水溶液に対して0.1〜10重量%および助触媒は0.001〜1.0重量%の範囲が適している。反応に用いる酸化剤は、酸素含有ガスであって通常酸素または空気が用いられるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスに酸素を15容量%以上混合して使用することも出来る。反応温度は0〜100℃の範囲、特に30〜70℃の範囲が好ましい。反応圧力はゲージ圧で0〜5kg/cm2 の範囲が用いられる。反応に要する時間は原料エチレングリコール濃度、使用する触媒等の反応条件によって一定ではないが、約1〜24時間程度である。反応方式は懸濁床または固定床であり、バッチ式または流通式のいずれでも良い。【0011】【実施例】以下、実施例によりさらに本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0012】実施例1(Feの助触媒効果)貴金属触媒の調整において、以下のような公知の方法を使用した。すなわち、塩化第二白金8.63gと塩化パラジウム0.83gを1リットルの脱イオン水に溶解した。この水溶液に活生炭(粒径100メッシュ未満、表面積1500m2/g)95gを室温で2時間、80℃で1時間浸漬した後、45%苛性ソーダの21ミリリットル、38%ホルマリン水溶液15ミリリットルを添加し、80℃で1時間触媒の還元を行った。還元後の触媒は濾過、脱イオン水での洗浄を行い、4.5%Pt−0.5%Pd/C触媒を得た。【0013】得られた貴金属触媒3.0gと15重量%エチレングリコール水溶液200gと共に酸化鉄(3価)50mgをパイレックスガラス製500ミリリットル容器に入れた。この水溶液を常圧、50℃で、攪拌機の回転数を500rpm一定として、酸素ガスを毎分0.1リットル通気して6時間反応させた。【0014】生成物には二酸化炭素、および生成液としての有機酸水溶液が得られた。この生成液を液クロマトグラフィーで分析した結果、エチレングリコールの添加率は72.9モル%生成液中のグリコール酸とグリコリルグリコール酸(以後これらをグリコール酸類と総称する)の選択率の合計は93.6モル%であった。不純物としてギ酸や酢酸等の有機酸が含まれていたが、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類は検出されなかった。【0015】実施例2(Crの助触媒効果)実施例1と同様の方法で得られた貴金属触媒3.0gと15重量%エチレングリコール水溶液200gと共に酢酸クロム(3価)160mgをパイレックスガラス製500ミリリットル容器に入れた。この水溶液を常圧下50℃で攪拌機の回転数500rpm一定とし、酸素ガスを毎分0.1リットル通気しながら6時間反応させた。【0016】生成物には二酸化炭素、および生成液としての有機酸水溶液が得られた。この生成液を液クロマトグラフィーで分析した結果、エチレングリコールの転化率は73.1モル%、生成液中のグリコール酸類の選択率の合計は92.9モル%であった。不純物としてギ酸や酢酸等の有機酸が含まれていたが、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類は検出されなかった。【0017】比較例1(4.5%Pt−0.5Pd%/C触媒)貴金属触媒の調整にあたり、以下のような公知の方法を使用した。すなわち、塩化第二白金8.63gと塩化パラジウム0.83gを1リットルの脱イオン水に溶解した水溶液に実施例1と同じ活性炭を室温で2時間、80℃で1時間浸漬した後、45%苛性ソーダ21ミリリットル、38%ホルマリン水溶液15ミリリットルを添加し、80℃で1時間、触媒の還元を行った。還元後の触媒は濾過、脱イオン水での洗浄を行い、目的の組成の貴金属触媒を得た。【0018】この触媒3.0gと15重量%エチレングリコール水溶液200gをパイレックスガラス製500ミリリットル容器に入れた。この水溶液を常圧下50℃で攪拌機の回転数を500rpm一定として、酸素ガスを毎分0.1リットルで通気して6時間反応させた。生成物には二酸化炭素および生成液としての有機酸水溶液が得られた。この生成液を液クロマトグラフィーで分析した結果、エチレングリコールの転化率は55.0モル%、生成液中のグリコール酸類の選択率の合計は92.6モル%であった。【0019】実施例3、4実施例1と同様の方法で添加する助触媒金属の種類を、種々に変えて反応させた結果を表1に示す。【0020】【表1】【0021】【発明の効果】本発明の方法によれば安価なエチレングリコールを原料に用いて、反応において特に高温高圧を必要とせず、反応時間も比較的短くて高収率、高選択率でグリコール酸を工業的に有利に合成することが出来る。 エチレングリコールを酸素含有ガスで接触酸化させて、グリコール酸を製造するに際し、触媒成分として白金に、助触媒成分としてクロム、モリブデン、鉄、ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の共存下に反応させることを特徴とするグリコール酸の製造方法。


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