タイトル: | 特許公報(B2)_消臭剤 |
出願番号: | 1995099466 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61L 9/01,A61K 8/00,A61Q 11/00,A61Q 13/00,A23G 4/00 |
由上 康雄 谷口 康雄 栗木 義広 JP 3789148 特許公報(B2) 20060407 1995099466 19950403 消臭剤 エステー化学株式会社 000102544 大洋香料株式会社 000208086 小野 信夫 100086324 由上 康雄 谷口 康雄 栗木 義広 20060621 A61L 9/01 20060101AFI20060601BHJP A61K 8/00 20060101ALI20060601BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20060601BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20060601BHJP A23G 4/00 20060101ALI20060601BHJP JPA61L9/01 HA61K7/16A61K7/46 AA23G3/30 A61L9/00-9/22 A61K7/00-7/50 特開平02−160737(JP,A) 特開昭50−035369(JP,A) 特公昭52−47017(JP,B1) 4 1996275997 19961022 11 20020121 中村 敬子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は消臭剤に関し、更に詳細には、アミン類、メルカプタン類、硫化水素の臭気を総合的に除去しうる消臭剤に関する。【0002】【従来の技術】近年、生活環境や意識の変化にともない、悪臭の防止についての要求が高まり、各種の悪臭の発生する環境、例えば、トイレ、台所回り、下水処理場、塵芥処理場、家畜舎等において従来より程度の高い悪臭の解消ないしは抑制法が求められている。また、口臭等についても問題とする傾向もあり、これを有効に解消する方法の開発も求められている。【0003】悪臭には、一般にメルカプタン類、硫化水素、アンモニアやアミン系化合物(以下、「アミン類」という)等いくつかの系統の悪臭があることが知られており、これに対応した種々の消臭技術の開発が行われている。【0004】従来、メルカプタン類、硫化水素、アミン類等の臭気を総合的に除去する目的で使用される消臭剤のうち油溶性のものには、消臭成分として、メタアクリル酸のエステル類が用いられていた。しかしながら、メタアクリル酸エステルとして一般に用いられているラウリルメタアクリレートでは、上記の悪臭全てに対して有効には働かないという欠点を有している。【0005】【発明が解決しようとする課題】従って、メタアクリル酸エステルに代わる、悪臭を総合的に効率よく除去することが出来る消臭成分およびこれを利用する消臭剤の提供が求められていた。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情に鑑み、油溶性でありしかもメルカプタン類、硫化水素およびアミン類の悪臭成分を有効に除去する物質に関し鋭意検索を行った結果、2つのカルボニル基が隣り合った構造を有するα−ジケトンは上記条件を満足するものであることを見出し、本発明を完成した。【0007】すなわち、本発明は次の式【化2】(式中、RおよびR'はそれぞれ水素原子または直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示すか、RとR'が一緒になって分岐鎖があっても良いシクロアルキル基を形成する)で表されるα−ジケトン化合物を有効成分とする消臭剤を提供するものである。【0008】本発明の消臭剤の有効成分として用いる式(I)のα−ジケトン化合物(1,2−ケトンともいう)は、前記したように2つのカルボニル基が隣り合った構造を有するものであり、その例としては、RおよびR'が置換されていても良いアルキル基であるアルキルジケトンおよびRとR'が一緒になって置換されていても良いシクロアルキル基を形成するシクロアルキルジケトンが挙げられる。【0009】より具体的なα−ジケトン化合物(I)の例としては、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、5−メチル−2,3−ヘキサンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−メチルシクロペンタン−1,2−ジオン等のアルキルジケトンおよび3,4−ジメチルシクロペンタン−1,2−ジオン、3,5−ジメチルシクロペンタン−1,2−ジオン、シクロヘキサン−1,2−ジオン等のシクロアルキルジケトンが挙げられる。上記したアルキルジケトンおよびシクロアルキルジケトンはいずれも公知の化合物であり、容易に入手できるものである。【0010】本発明の消臭剤は、上記のα−ジケトン化合物(I)の一種又は二種以上を公知の消臭剤担体と組合せ、常法により製剤化することにより容易に調製することができる。【0011】本発明の消臭剤における、前記α−ジケトン化合物(I)の含有割合は、悪臭物質の濃度によっても異なるが、一般には、消臭剤全体に対して0.00001重量%(以下、単に「%」で示す)以上含有されておれば良く、好ましくは0.0001〜20%の範囲である。 なお、本発明のα−ジケトン化合物(I)は、それ自身強い香気を有しているため、消臭剤の用途によっては、あまり高濃度とすることは好ましくない。【0012】一方、本発明の消臭剤は、液状、粉状、粒状、ゲル状、エアゾール等の散布する形態やマウスウオッシュ、歯磨、ガム、キャンディー等の口腔衛生剤や食品に添加する形態で使用することができ、消臭剤担体としては、水、アルコール類、グリコール類等の液状担体;ケイ酸カルシウム、シリカゲル等の固体担体等が利用される。【0013】本発明の消臭剤は、必須成分としてα−ジケトン化合物(I)を含有しておればよいが、α−ジケトン化合物が上記のように強い香気を有しているため、他の香料と組み合わせて用いるのがより好ましい。【0014】また更に、本発明の消臭剤には、上記成分の他、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、色素、紫外線吸収剤、甘味料、矯味剤等の添加剤を加えることも出来る。【0015】以上のようにして得られる本発明の消臭剤は、三大悪臭である、アミン類、硫化水素、メチルメルカプタンを効率よく除去し、消臭することが出来るので、その悪臭の発生する状況に応じて使用することが出来る。 例えば、トイレ、台所回り等の家庭内の悪臭発生源や、下水処理場、塵芥処理場、家畜舎等の悪臭発生源において、本発明の消臭剤を散布することにより消臭することができる。【0016】また口臭は、メチルメルカプタン、硫化水素が主な原因であるので、本発明の消臭剤を口腔衛生剤や食品に添加することにより、効率良く口臭を除去することが出来る。【0017】【作用】本発明のα−ジケトン化合物(I)が優れた消臭効果を示す理由は、未だ明らかでない部分もあるが、一応次のように考えられている。すなわち、本発明のα−ジケトン化合物は、前記式(I)で示される化合物であるが、このものは次式のケト−エノール互換異性体として存在し、化学的には非常に活性の強い化合物であると解される。【化3】(式中、RおよびR'は前記した意味を有する)【0018】これらのジケトン類(I)と悪臭物質である、例えば、メチルメルカプタンとの反応は、つぎの様に考えられる。【化4】(式中、RおよびR'は前記した意味を有する)また、アミン類との反応は、α−ジケトン化合物のエノール体が、フエノール性の水酸基と同様の性質を持っているため、同様に起こるものと推測される。以上のように、本発明の消臭剤の消臭作用には、α−ジケトンの有するケト−エノール互換異性が大きく寄与しているものと考えられる。【0019】【発明の効果】本発明の消臭剤は、アミン類、硫化水素、メチルメルカプタンの三大悪臭に対して有効であり、従来の油性消臭剤に比して消臭効果が高い。【0020】【実施例】以下本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。【0021】実 施 例 1α−ジケトン化合物のアンモニア臭に対する消臭効果各種α−ジケトン化合物およびラウリルメタアクリレート(比較品)を被験試料とし、それらのアンモニア臭に対する消臭効果を、下記の方法により調べた。【0022】消臭効果は、脱脂綿 0.5gに、各被験試料の10%ジエチレングリコールモノエチルエーテル溶液2.5gを均一に付着させ、これを700ml広口ガラス容器に入れた後、マイクロシリンジでアンモニア水 1.2μlを脱脂綿に直接触れず、容器内壁に付着するように注入し、コック付ガラス管を付したシリコン栓で密封し、経時的にアンモニア濃度を測定することにより行った。【0023】密封直後、10分後、30分後および60分後に容器中のアンモニア濃度を北川式ガス検知管にて測定し、下記に示す式によりコントロール容器中での濃度と比較して求めた消臭率を表1に示す。 なお、コントロールとしては、10% ジエチルフタレート(DEP)−ジエチレングリコールモノエチルエーテル溶液を用い、またアンモニアの初期濃度は300ppmであった。【0024】消 臭 率(%) = [(C−S)/C] × 100S; 試料容器中の臭気ガス濃度(ppm)C; コントロール容器中の臭気ガス濃度(ppm)【0025】表 1【0026】実 施 例 2α−ジケトン化合物のメチルメルカプタン臭に対する消臭効果アンモニアの代わりにメチルメルカプタンを用いる以外は実施例1と同様にしてメチルメルカプタンに対するα−ジケトン化合物およびラウリルメタアクリレート(比較品)の消臭効果を測定した。 メチルメルカプタンの注入量は、10μlとし、初期濃度を10ppmとした。 この結果を表2に示す。【0027】表 2【0028】実 施 例 3α−ジケトン化合物の硫化水素臭に対する消臭効果アンモニアの代わりに硫化水素を用いる以外は実施例1と同様にして硫化水素に対するα−ジケトン化合物およびラウリルメタアクリレート(比較品)の消臭効果を測定した。 硫化水素の注入量は、ヘッドスペースガス0.2mlとし、初期濃度を20ppmとした。 この結果を表3に示す。【0029】表 3【0030】実 施 例 4消 臭 型 香 料 組 成 物 :α−ジケトン化合物として3,4−ヘキサンジオンを用い、下記組成の消臭型香料組成物を調合した。 このものは悪臭消臭効果とともにフレッシュ・フルーティな香りを有していた。【0031】【0032】実 施 例 5液 体 消 臭 芳 香 剤 :実施例4で得た消臭型香料組成物を用い、下記組成で液体消臭芳香剤を調製した。【0033】【0034】実 施 例 6水 ゲ ル 消 臭 芳 香 剤 :実施例4で得た消臭型香料組成物を用い、下記組成で水ゲル消臭芳香剤を調製した。【0035】【0036】実 施 例 7消 臭 芳 香 エ ア ゾ ー ル :実施例4で得た消臭型香料組成物を用い、下記組成で消臭芳香エアゾールを調製した。【0037】【0038】実 施 例 8マ ウ ス ウ オ ッ シ ュ :α−ジケトン化合物として3,4−ヘキサンジオンを用い、下記組成でマウスウオッシュを調製した。【0039】【0040】実 施 例 9チ ュ ー イ ン ガ ム :α−ジケトン化合物として2,3−ヘプタンジオンを用い、下記組成で消臭作用を有するチューインガムを調製した。【0041】以 上 次の式(式中、RおよびR'はそれぞれ水素原子または直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示す)で表されるα−ジケトン化合物を有効成分とする消臭剤。 α−ジケトン化合物が、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、5−メチル−2,3−ヘキサンジオンおよび2,3−ペンタンジオンから選ばれた化合物の1種または2種以上である請求項1記載の消臭剤。 口腔衛生剤または食品に添加する形態で使用するものである請求項第1項または第2項記載の消臭剤。 請求項1または請求項2に記載のα−ジケトン化合物と香料化合物を含有することを特徴とする消臭剤組成物。