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タイトル:特許公報(B2)_アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの分離方法
出願番号:1995096293
年次:2004
IPC分類:7,C07C67/54,C07C69/54,C07C29/82,C07C31/04,C07C67/08


特許情報キャッシュ

伊田 忠夫 佐藤 悦二 谷 映夫 宮崎 誠司 中島 泰孝 佐藤 俊裕 JP 3585989 特許公報(B2) 20040813 1995096293 19950329 アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの分離方法 大阪有機化学工業株式会社 000205638 三菱レイヨン株式会社 000006035 生田 哲郎 100088214 名越 秀夫 100100402 伊田 忠夫 佐藤 悦二 谷 映夫 宮崎 誠司 中島 泰孝 佐藤 俊裕 20041110 7 C07C67/54 C07C69/54 C07C29/82 C07C31/04 C07C67/08 JP C07C67/54 C07C69/54 Z C07C29/82 C07C31/04 C07C67/08 7 C07C 67/54 C07C 69/54 C07C 29/82 C07C 31/04 C07C 67/08 特開平03−047151(JP,A) 特開平02−017150(JP,A) 特開昭58−203940(JP,A) 特開昭57−009740(JP,A) 特開平08−059543(JP,A) 特開昭59−087002(JP,A) 特開昭60−237032(JP,A) 特開昭57−093920(JP,A) 特開昭54−016414(JP,A) 5 1996268938 19961015 13 20001204 井上 千弥子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの混合物から、メタノールを効率よく分離する方法に関する。あるいは、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールおよび水の混合物から、メタノールを効率よく分離する方法に関する。以後、アクリル酸またはメタクリル酸をあわせて(メタ)アクリル酸、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルをあわせて(メタ)アクリル酸メチルと呼ぶこともある。【0002】【従来の技術】(メタ)アクリル酸のメタノールによるエステル化反応に於いては、(メタ)アクリル酸メチル、メタノール及び水の混合液が得られ、また(メタ)アクリル酸メチルとアルコールとのエステル交換反応に於いては、(メタ)アクリル酸メチル及びメタノールの混合液が得られることは公知である。【0003】エステル化反応においては、通常メタノールは(メタ)アクリル酸に対して過剰モル使用されるので、(メタ)アクリル酸はほとんど消費され、未反応(メタ)アクリル酸はなくなる。したがって反応後の反応液は、過剰のメタノールと、反応生成物である(メタ)アクリル酸メチル、反応副生成物である水の混合液となる。【0004】また、エステル交換反応においては、通常(メタ)アクリル酸メチルはアルコールに対して過剰モル使用されるので、アルコールはエステル交換反応によりほとんど消費される。したがって反応後の反応液は、反応副生成物であるメタノール、未反応の(メタ)アクリル酸メチル及び反応生成物であるエステルの混合液となる。このうち反応生成物であるエステルは、メタノール、(メタ)アクリル酸メチルとの沸点差が大きいので、分離が比較的容易であり、このエステルを除いたメタノールと(メタ)アクリル酸メチルの混合液を得ることができる。【0005】主として(メタ)アクリル酸メチルとメタノールからなる混合物に、メタノールと共沸混合物を形成する有機溶剤を加えて蒸留をおこない、メタノールと(メタ)アクリル酸メチルに分離する方法は種々提案されている。【0006】たとえば、メタノール、水、およびメタクリル酸メチルを含む混合液を、有機溶剤の存在下に共沸蒸留して、塔頂から水をほとんど含まずに実質的に全量のメタノールを留去する方法が知られている(USP2916512、特開昭57−9740号公報)。この方法においては、共沸蒸留によってメタノールを留去するため、留出液中には有機溶剤が含まれている。この留出液より有機溶剤を回収するに際しては、留出液をデカンターに導き、主として有機溶剤からなる層と、主としてメタノールからなる層に層分離し、有機溶剤からなる層を蒸留塔に還流することが開示されている。【0007】しかし、上に示したような従来の方法を用いた場合、メタノールと(メタ)アクリル酸メチルをかなり効率よく蒸留分離できるが、それでも留出液には(メタ)アクリル酸メチルが含まれており、これを二層分離した場合、主としてメタノールからなる下層に(メタ)アクリル酸メチルが混入する。特に、アクリル酸メチルの場合には、その沸点が低いため混入するアクリル酸メチルの量は多くなる。【0008】エステル化反応の場合には、分離したメタノールは反応へ循環再利用されるので、それに(メタ)アクリル酸メチルが混入しても実質上問題ない。しかし、エステル交換反応の場合には、反応副生成物であるメタノールは系外に取り出す必要があるので、メタノールに含まれる(メタ)アクリル酸メチルは回収ロスとなる。【0009】この回収ロスを削減するためには、メタノールと共沸混合物を形成する有機溶剤の種類・量および蒸留塔のメタノールの凝縮部の段数を制御すればよいことが特開昭57−9740号公報に提案されている。しかしながら若干の効果はあるものの、(メタ)アクリル酸メチルの留出量を大幅に減らすことはできないという欠点を有する。【0010】さらに特開昭58−203940号公報にはメタノールを回収する方法として、蒸留で留出したメタノールと共沸溶剤を二層分離させ、主として共沸溶剤からなる上層を蒸留塔最上段へ導き、主としてメタノールからなる下層を別の蒸留塔(以後、第2蒸留塔と呼ぶ。)へ導き、第2蒸留塔の塔頂よりメタノールに溶存する共沸溶剤を回収し、第2蒸留塔の塔底よりメタノールを回収する方法も提案されている。しかしながらこの方法を用いたとしても、共沸溶剤の回収は可能であるが、第2蒸留塔へ導かれる主としてメタノールからなる液に混入している(メタ)アクリル酸メチルは分離されずに、第2蒸留塔の塔底より回収されるメタノールの中に混入してくる。【0011】このメタノールを別の用途に使用するためには、メタノールより高沸点物である不純物を蒸留除去する必要があり、メタノールに含まれる(メタ)アクリル酸メチルは不純物と一緒に排出され回収ロスとなる欠点を有する。【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を克服し、場合によっては水を含む(メタ)アクリル酸メチルとメタノールの混合物から、共沸溶剤を用いてメタノールを回収するにあたり、メタノール中への(メタ)アクリル酸メチルの混入を大幅に減らし、かつ、蒸留で分離したメタノールと共沸溶剤の混合液から容易にメタノールを分離する方法を提供するものである。【0013】【課題を解決するための手段】本発明者らは、(メタ)アクリル酸メチルとメタノールとの混合物、さらには(メタ)アクリル酸メチルとメタノールおよび水の混合物をそれぞれ効率よく分離する方法について検討をおこない、以下に述べる本発明を完成するにいたった。【0014】すなわち本発明は、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの混合物、またはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールおよび水の混合物から、メタノールと共沸混合物を形成する共沸溶剤を用いてメタノールを蒸留分離する方法において、(1)蒸留塔頂より留出した蒸気の凝縮液の一部を蒸留塔頂へ還流させ、(2)残りの凝縮液を二層に分離させ、(3)上記二層に分離させた、本質的に共沸溶剤よりなる上層を蒸留塔中段へ供給し、(4)上記二層に分離させた、本質的にメタノールよりなる下層を蒸留系外へ取り出し、(5)塔低よりアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを、またはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルと水を回収する工程からなることを特徴とするアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの混合物、またはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールおよび水の混合物からメタノールを分離する方法にある。【0015】以下、本発明の詳細について説明する。使用される共沸溶剤としては、メタノールと共沸する、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式炭化水素、有機ハロゲン化物、エーテル類、エステル類、その他がある。【0016】本発明で使用される共沸溶剤は以下の性質が要求される。1)メタノールとメタノールの沸点以下で最低共沸混合物を作り、その共沸温度ができるだけ低いこと。2)(メタ)アクリル酸メチルと共沸混合物を作らないこと。3)メタノールとの共沸混合物が静置により二液層を形成し、分離に必要な比重差をもつこと。4)メタノール、(メタ)アクリル酸メチルと蒸留中に化学反応しないこと。【0017】上記の1)〜4)の性質を具備し、かつ安価で比較的入手しやすいものとしては、直鎖状、または側鎖をもった脂肪族飽和炭化水素があげられ、特に、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、2,3−ジメチルブタン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン等の炭素数が5〜8の脂肪族飽和炭化水素が好ましい。これらの脂肪族飽和炭化水素についてのメタノールとの共沸温度、共沸組成を表1に示す。なお、表1は、有機合成化学協会編の著書「溶剤ポケットブック」(オーム社、1967)から引用した、脂肪族飽和炭化水素についてのメタノールとの共沸温度及び共沸組成を示すものである。また、表中、共沸温度は760mmHgにおける温度を示し、単位は℃であり、共沸組成は有機溶剤の重量%を示す。【0018】【表1】【0019】本発明においては、共沸溶剤を用いてメタノールを蒸留分離する際に、蒸留塔頂はメタノールと共沸溶剤の共沸組成になるようにしなければならない。【0020】即ち、蒸留塔頂より留出させたメタノールと共沸溶剤の混合蒸気の凝縮液の一部を、好ましくは凝縮液の15重量%以上、さらに好ましくは凝縮液の20重量%以上を塔頂に還流させることにより、塔頂の共沸組成を保持するのである。この結果塔頂の温度を一定に保持し、(メタ)アクリル酸メチルの留出を防ぐことが出来る。【0021】凝縮液の一部を塔頂に還流させるとき、留出液をまず凝縮させて、実質的に共沸溶剤からなる上層と、実質的にメタノールからなる下層に二層分離させて、しかる後、上層、下層の流量比が共沸組成となるように還流させても同じ効果が得られる。【0022】(メタ)アクリル酸メチルの留出ロスを減らすためには、蒸留塔の塔頂より少なくとも10段以上は、その温度が実質的にメタノールと共沸溶剤の共沸組成混合物の共沸温度になるように運転管理するのが望ましい。この運転管理は、前記凝縮液の一部を還流させるときの還流比を調節することにより可能である。【0023】前述の従来技術では留出液を二層に分離させた後に、主として共沸溶剤よりなる上層のみを還流させている。これはメタノールを除去するという観点からは当然の操作であるが、この方法では、留出液中に(メタ)アクリル酸メチルが多量に混入してくる。その理由は定かではないが塔頂の液組成が共沸組成からはずれ、温度が上昇し、結果として(メタ)アクリル酸メチルの留出が増大するためであると推察される。【0024】一部を還流させた残りの、主としてメタノールと共沸溶剤の混合物からなる凝縮液を二層分離させると、上層は本質的に共沸溶剤からなり、下層は本質的にメタノールよりなる。【0025】この上層は、蒸留塔の中段へ、望ましくは塔内で共沸溶剤の濃度が最も高い所へ戻す。この塔内で共沸溶剤の濃度が最も高い所は、塔の段数、共沸溶剤の存在量により異なる。【0026】本質的にメタノールからなる下層は蒸留系外へと取り出すことになるが、共沸溶剤の種類によっては、メタノールと共沸溶剤の二層分離が容易ではない場合や、あるいは二層分離しても相互の溶解度が大きい場合があり、下層中に相当量の共沸溶剤を含むことになる。【0027】このような場合において、メタノールおよび共沸溶剤を回収・再利用するには両者を分離しなければならないが、その方法としては、第2蒸留塔を用いて、その塔頂よりメタノールに溶存する共沸溶剤を回収し、塔底よりメタノールを回収する方法が利用できる。この場合、第2蒸留塔に導かれる主としてメタノールからなる下層液の中には(メタ)アクリル酸メチルは混入していないので、第2蒸留塔において回収されるメタノールの中には、(メタ)アクリル酸メチルは含まれていない。この方法は、大規模の設備などにおいてメタノールを回収・再利用する際において有効である。【0028】しかしながら、小規模の設備などにおいて、メタノールの回収が経済的でなくメタノールを焼却処理しようとする場合には、共沸溶剤の損失を削減するためだけに第2蒸留塔を持つことは設備費がかかり好ましくない。このように、メタノールの回収の必要性がなく設備費をなるべく減らしたい場合には、蒸留塔頂へ還流した残りの共沸混合物の凝縮液に水を添加することにより、メタノールと共沸溶剤の二層分離を容易にさせ、かつメタノール中の共沸溶剤の濃度を大幅に下げることができる。【0029】この方法は、水を添加するだけで第2蒸留塔を必要としないで、メタノールと共沸溶剤との混合液から、実質的に共沸溶剤を含まないメタノールを除去することができ、共沸溶剤の損失を抑制することができる。この方法は、特に、小規模の設備におけるアクリル酸メチルとメタノールの分離において好適に使用できる。【0030】この時添加する水の重量はメタノールの重量に対して0.1〜10倍、好ましくは0.5〜5倍であり、得られるメタノールはメタノール水溶液の形で得られ、蒸留系外へ取り出される。【0031】以上のようにして、メタノールを除くことによって、塔底からは(メタ)アクリル酸メチルが回収される。蒸留塔への供給液が(メタ)アクリル酸メチルとメタノール、水からなる場合には、(メタ)アクリル酸メチルと水が塔底から回収される。【0032】このように(メタ)アクリル酸メチルとメタノールの混合液中に水が存在しても、共沸溶剤を用いて蒸留すると、水は(メタ)アクリル酸メチルと一緒に塔底より排出されるので、蒸留塔への供給液中の水の存在の有無は、メタノール中への(メタ)アクリル酸メチルのロスには実質的には影響しない。【0033】以上述べてきた本発明の実施態様を図面(図1)をもって説明する。ただし、本発明は図1の実施態様のみに限定されるものではない。【0034】メタノールおよび(メタ)アクリル酸メチルの混合物を導管5より供給し、蒸留塔1を用いて蒸留をおこなう。実質的にメタノールを含まない(メタ)アクリル酸メチルが蒸留塔1の塔底より導管14を通して回収される。一方、メタノールと共沸溶剤は共沸混合蒸気として留去され、導管6を経てコンデンサー2で凝縮され凝縮液となり、導管7を通って液分配器3へ導かれる。この液分配器において、メタノールと共沸溶剤の混合物は2つに分けられ、凝縮液の一部は導管8を通って蒸留塔1の塔頂へ還流され、残りの凝縮液は導管9を通ってデカンター4へと導かれる。液分配器3により分配された液量が適正であるかどうかは、蒸留塔1の共沸組成段数の変動で容易に判断できるが、下記数1を用いて液分配比を設定することも可能である。【0035】【数1】【0036】なお、式中、WT 、WV 、WF 、p、qおよびrは次のとおりである。WT :液分配器3より蒸留塔塔頂に分配される凝縮液量(g/hr)WV :導管6を経てコンデンサー2で凝縮された凝縮液量(g/hr)WF :導管5より蒸留塔に供給されるメタノールおよび(メタ)アクリル酸メチルの混合物の液量(g/hr)p :導管5より蒸留塔1に供給される混合物WF 中のメタノール濃度q :共沸溶剤とメタノールとの共沸混合物中のメタノール濃度r :導管5より蒸留塔1に供給される混合物WF中のメタノール量(g/hr)に対する、蒸留塔頂へ一部還流させた残りの凝縮液を二層分離させ、蒸留塔中段に供給される前記二層分離した上層中のメタノール量(g/hr)【0037】デカンター4においては層分離をおこない、主として共沸溶剤よりなる上層は導管10から導管11を通して蒸留塔1の中段へ供給され、主としてメタノールからなる下層は導管13を通して蒸留系外へ留出される。【0038】また、導管5より供給されるメタノールおよび(メタ)アクリル酸メチルの混合物が水を含む場合には、実質的にメタノールを含まない(メタ)アクリル酸メチルと水が蒸留塔1の塔底より導管14を通して回収される。【0039】そして、前述したようにデカンター4における二層分離を容易にする目的で蒸留塔頂へ還流した残りの凝縮液に水を添加する場合には、水を導管15を通してデカンター4に供給される。このとき、導管13からはメタノール水溶液が留出する。【0040】なお、補給用の共沸溶剤は導管12を通して蒸留塔1へ供給される。【0041】本発明は、図1のように、場合によっては水を含む(メタ)アクリル酸メチルとメタノール混合物から連続プロセスでメタノールを回収する場合に好適に使用できるが、図3のように、蒸留塔1を備えたエステル交換反応器16において生成するメタノールを(メタ)アクリル酸メチルのロスが実質的にない状態で留出させる際においても好適に使用できる。【0042】また、本発明は、常圧下でも減圧下でも実施可能である。【0043】【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、これらは本発明の範囲をなんら制限するものではない。なお実施例中、%は重量%を示す。【0044】【実施例1】図1に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。蒸留は常圧にて実施した。【0045】蒸留塔1の上から25段目にアクリル酸メチルとメタノールの共沸混合液(メタノール54%含有)を導管5を通して117.4g/hrで供給し、塔底より純度99.50%のアクリル酸メチルを導管14を通して53.59g/hrで抜きだした。【0046】塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を経て液分配器3へ約400g/hrで導入した。液分配器3においては、塔頂から、塔の上から15段目までの温度が50.6℃になるように、凝縮液の一部を導管8を通って塔頂へ還流し、残りの凝縮液を導管9を通ってデカンター4へ導入した。この時の凝縮液の分配は、およそ塔頂:デカンター=2:3であった。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管10から導管11を通して塔の上から20段目に導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。その際、デカンター4には導管15を通して水を168.0g/hrで供給した。【0047】この時、デカンター4の下層からは、n−ヘキサン0.003%、アクリル酸メチル0.29%、水72.47%を含むメタノールを231.8g/hr得た。アクリル酸メチルの回収ロスは1.26%であった。【0048】【実施例2】図1に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。蒸留は常圧にて実施した。【0049】蒸留塔1の上から25段目にアクリル酸メチルとメタノールの共沸混合液(メタノール54%含有)を導管5を通して121.0g/hrで供給し、塔底より純度99.36%のアクリル酸メチルを導管14を通して54.43g/hrで抜きだした。【0050】塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を経て液分配器3へ約385g/hrで導入した。液分配器3においては、塔頂から、塔の上から15段目までの温度が50.6℃になるように、凝縮液の一部を導管8を通って塔頂へ還流し、残りの凝縮液を導管9を通ってデカンター4へ導入した。この時の凝縮液の分配は、およそ塔頂:デカンター=1:3であった。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管10から導管11を通して塔の上から20段目に導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。【0051】この時、デカンター4の下層からは、n−ヘキサン32.47%、アクリル酸メチル1.61%、を含むメタノールを98.04g/hr得た。アクリル酸メチルの回収ロスは2.84%であった。【0052】【比較例1】図2に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。蒸留は常圧にて実施した。【0053】蒸留塔1の上から25段目にアクリル酸メチルとメタノールの共沸混合液(メタノール54%含有)を導管5を通して118.0g/hrで供給し、塔底より純度99.37%のアクリル酸メチルを導管14を通して43.07g/hrで抜きだした。【0054】塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を通って直接デカンター4へ導入した。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管11を通して塔頂へ導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。その際、デカンター4には導管15を通して水を155.0g/hrで供給した。【0055】この時、デカンター4の下層からは、n−ヘキサン0.007%、アクリル酸メチル4.99%、水67.41%を含むメタノールを229.95g/hr得た。アクリル酸メチルの回収ロスは21.15%であった。【0056】【比較例2】デカンター4に水を供給しないほかは全て比較例1と同様の方法により実験した。デカンター4の上層が、塔頂に還流を開始した直後デカンター4は均一層になった。【0057】【実施例3】図1に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。蒸留は常圧にて実施した。【0058】蒸留塔1の上から25段目にアクリル酸メチルとメタノールの共沸混合液(メタノール82%含有)を導管5を通して78.1g/hrで供給し、塔底より純度99.80%のアクリル酸メチルを導管14を通して14.09g/hrで抜きだした。【0059】塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を経て液分配器3へ約450g/hrで導入した。液分配器3においては、塔頂から、塔の上から15段目までの温度が50.6℃になるように、凝縮液の一部を導管8を通って塔頂へ還流し、残りの凝縮液を導管9を通ってデカンター4へ導入した。この時の凝縮液の分配は、およそ塔頂:デカンター=1:1.2であった。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管10から導管11を通して塔の上から20段目に導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。その際、デカンター4には導管15を通して水を168.0g/hrで供給した。【0060】この時、デカンター4の下層からは、n−ヘキサン0.002%、水70.4%を含むメタノールを232.1g/hr得た。下層中にメタクリル酸メチルは検出されなかった。【0061】【実施例4】デカンター4に水を供給しないほかは全て実施例3と同様の方法により実験した。デカンター4の下層中にメタクリル酸メチルは検出されなかった。【0062】【比較例3】図2に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。蒸留は常圧にて実施した。【0063】蒸留塔1の上から20段目にメタクリル酸メチルとメタノールの共沸混合液(メタノール82%含有)を導管5を通して81.5g/hrで供給し、塔底より純度99.45%のメタクリル酸メチルを導管14を通して14.49g/時で抜きだした。【0064】塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を通って直接デカンター4へ導入した。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管11を通して塔頂へ導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。その際、デカンター4には導管15を通して水を176.0g/hrで供給した。【0065】この時、デカンター4の下層からは、n−ヘキサン0.007%、メタクリル酸メチル0.11%、水72.42%を含むメタノールを243.0g/hr得た。メタクリル酸メチルの回収ロスは1.77%であった。【0066】【比較例4】図2に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。蒸留は常圧にて実施した。【0067】蒸留塔1の上から25段目にメタクリル酸メチルとメタノールの共沸混合液(メタノール82%含有)を導管5を通して76.6g/hrで供給し、塔底より純度99.78%のメタクリル酸メチルを導管14を通して13.52g/hrで抜きだした。【0068】塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を通って直接デカンター4へ導入した。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管11を通して塔頂へ導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。【0069】この時、デカンター4の下層からは、n−ヘキサン8.7%、メタクリル酸メチル0.44%を含むメタノールを69.09g/hr得た。メタクリル酸メチルの回収ロスは2.2%であった。【0070】【実施例5】図3に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、エステル交換反応器は2Lフラスコを用いた。共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。【0071】エステル交換反応器16内にアクリル酸メチル998g、ジメチルアミノエタノール552g、ジブチル錫オキシド22g、フェノチアジン1.76gを投入し、常圧下にて反応をおこなった。【0072】蒸留塔1の塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を経て液分配器3へと導入した。液分配器3においては、塔頂から、塔の上から15段目までの温度が50.6℃になるように、凝縮液の一部を導管8を通って塔頂へ還流し、残りの凝縮液を導管9を通ってデカンター4へ導入した。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管10から導管11を通して塔の上から20段目に導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。その際、デカンター4には導管15を通して水を80g/hrで供給した。また、反応器16内へアクリル酸メチルを22g/hrで供給した。【0073】反応は8.5時間で終了し、エステル交換反応器16内にはジメチルアミノエチルアクリレートを841g含む反応液を得た。また、デカンター4の留出液としてn−ヘキサン0.002%、アクリル酸メチル0.23%、水77.9%をふくむメタノールを873.4g得た。このアクリル酸メチルの回収ロスは0.17%であった。【0074】【比較例5】図4に示す装置を用いて実施した。蒸留塔は内径35mmφの30段オルダーショウ蒸留塔を用い、エステル交換反応器は2Lフラスコを用いた。共沸溶剤としてはn−ヘキサンを用いた。【0075】エステル交換反応器16内にアクリル酸メチル998g、ジメチルアミノエタノール552g、ジブチル錫オキシド22g、フェノチアジン1.76gを投入し、常圧下にて反応をおこなった。【0076】蒸留塔1の塔頂より留出した蒸気は導管6を経てコンデンサー2(−10℃の冷媒を使用)にて冷却して凝縮液とし、導管7を経て直接デカンター4へと導入した。デカンター4へ導入された凝縮液はデカンター4で二層に分離され、デカンター4の上層は導管11を通して塔頂へ導入し、デカンター4の下層はデカンター4内の分離層の液面を一定に保ちながら導管13を通して抜きだした。その際、デカンター4には導管15を通して水を80g/hrで供給した。【0077】反応は8.5時間で終了し、エステル交換反応器16内にはジメチルアミノエチルアクリレートを841g含む反応液を得た。また、デカンター4の留出液としてn−ヘキサン0.002%、アクリル酸メチル3.81%、水75.1%をふくむメタノールを906.0g得た。このアクリル酸メチルの回収ロスは2.91%であった。【0078】【発明の効果】(メタ)アクリル酸メチルとメタノールの混合液または、(メタ)アクリル酸メチル、メタノール及び水の混合液から、(メタ)アクリル酸メチルのロスが実質的にない状態で、メタノールを蒸留分離することができる。【0079】また、留出したメタノールと共沸溶剤の混合液に水を添加することにより、新たな蒸留塔なしでメタノールと共沸溶剤を効率よく分離することができ、その経済的効果は大きい。【図面の簡単な説明】【図1】本発明を用いた、(メタ)アクリル酸メチルとメタノール混合物から連続プロセスでメタノールを回収する装置【図2】従来の技術を用いた、(メタ)アクリル酸メチルとメタノール混合物から連続プロセスでメタノールを回収装置【図3】本発明を用いた、蒸留塔を備えたエステル交換反応器【図4】従来の技術を用いた、蒸留塔を備えたエステル交換反応器【符号の説明】1 蒸留塔2 コンデンサー3 液分配器4 デカンター5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15 導管16 エステル交換器 アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの混合物、またはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールおよび水の混合物から、メタノールと共沸混合物を形成する共沸溶剤を用いてメタノールを蒸留分離する方法において、(1)蒸留塔頂より留出した蒸気の凝縮液の一部を蒸留塔頂へ還流させ、(2)残りの凝縮液を二層に分離させ、(3)上記二層に分離させた、本質的に共沸溶剤よりなる上層を蒸留塔中段へ供給し、(4)上記二層に分離させた、本質的にメタノールよりなる下層を蒸留系外へ取り出し、(5)塔低よりアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを、またはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルと水を回収する工程からなることを特徴とするアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールの混合物、またはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルとメタノールおよび水の混合物からメタノールを分離する方法。 残りの凝縮液を二層に分離させる際に、残りの凝縮液に水を添加して二層に分離することを特徴とする請求項1記載の分離方法。 添加する水の量がメタノールの重量に対して0.1〜10倍であることを特徴とする請求項2記載の分離方法。 添加する水の量がメタノールの重量に対して0.5〜5倍であることを特徴とする請求項2記載の分離方法。 混合物がアクリル酸メチルとメタノールからなることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の分離方法。


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