生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_解熱鎮痛剤
出願番号:1995092993
年次:2005
IPC分類:7,A61K31/19,A61K31/195,A61K31/52,A61P25/04,A61P29/00


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柿本 正久 篠原 芳明 坂田 由佳 樋崎 雅也 多田 興志一 杉本 信子 小山 理香 古川 ますみ JP 3667381 特許公報(B2) 20050415 1995092993 19950327 解熱鎮痛剤 株式会社資生堂 000001959 岩橋 祐司 100092901 柿本 正久 篠原 芳明 坂田 由佳 樋崎 雅也 多田 興志一 杉本 信子 小山 理香 古川 ますみ 20050706 7 A61K31/19 A61K31/195 A61K31/52 A61P25/04 A61P29/00 JP A61K31/19 A61K31/195 A61K31/52 A61P25/04 A61P29/00 7 A61K 31/19 A61K 31/195 A61K 31/52 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) PubMed 特開平06−199676(JP,A) 特開平06−049006(JP,A) 国際公開第94/007471(WO,A1) 特開昭56−154416(JP,A) 2 1997048728 19970218 11 20010529 加藤 浩 【0001】【産業上の利用分野】本発明は解熱鎮痛剤、特にイブプロフェンを主成分とする解熱鎮痛剤の改良に関する。【0002】【従来の技術】風邪等の疾患に起因する発熱、頭痛、各種炎症を抑制するため、解熱鎮痛剤が汎用され、この解熱鎮痛剤の主たる有効成分として、例えば特開平5−246845号公報、特開昭61−134315号公報などに見られるようにイブプロフェンを用いたものが存在する。このイブプロフェンは、慢性関節リウマチ、関節痛及び関節炎、神経痛及び神経炎、脊腰痛等の疾患、症状の消炎、鎮痛に有効なほか、風邪症侯群、急性気管支炎、慢性気管支炎の急性増悪期の消炎、解熱などにも有効であるとされている。【0003】【発明が解決しようとする課題】一方、イブプロフェンには胃粘膜障害作用なども知られており、解熱鎮痛効果の改良と共に、この様な副作用の緩和を行なうことが強く要望されている。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的はイブプロフェンによる胃粘膜障害作用などの副作用を緩和させつつ、その消炎効果ならびに解熱鎮痛効果を向上させた解熱鎮痛剤を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行なった結果、イブプロフェンと共にトラネキサム酸とカフェインを配合することにより、イブプロフェンの副作用を軽減しつつ、消炎効果解熱鎮痛効果を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明にかかる解熱鎮痛剤は、イブプロフェンとトラネキサム酸とカフェインを含むことを特徴とする。また、本発明において、イブプロフェンに対してトラネキサム酸を0.1〜10倍量含むことが好適である。【0005】以下、本発明の構成をより詳細に説明する。本発明において解熱鎮痛剤の主成分であるイブプロフェンは、下記化1の構造を有する白色の結晶性の粉末で、僅かに特異な臭い及び味がある。エタノール、無水エタノール、アセトン、エーテル又はクロロホルムにとけやすく、水にほとんど溶けない、水酸化ナトリウム試液又は炭酸ナトリウム試液に溶ける。下記の疾患ないし症状に効果があることが確認されている。【0006】▲1▼下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛慢性関節リウマチ、関節痛及び関節炎、神経痛及び神経炎、背腰痛、頸腕症侯群、子宮付属器炎、月経困難症、紅斑(結節性紅斑、多形滲出性紅斑、遠心性環状紅斑)▲2▼手術並びに外傷後の消炎・鎮痛▲3▼下記疾患の解熱・鎮痛急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)通常、成人にはイブプロフェンとして、1回量200mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。だだし、原則として1日2回までとし、1日最大600mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。【0007】【化1】一方、トラネキサム酸は、下記化2の構造を有する白色の結晶又は粉末で、臭いはなく、味は苦い。水又は氷酢酸に溶けやすく、メタノール又はエタノールに極めて溶けにくく、アセトンにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。適応としては、全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向のほか、扁桃炎、咽喉頭炎等の疾患における咽頭痛、発赤、充血、腫脹等の症状が挙げられる。内服剤としての通常の用法では、1日に750〜2,000mgを3〜4回に分服、15才以上では750〜2,000mg、14〜7才400〜1,000mg、6〜4才250〜650mg、3〜2才150〜350mg、1〜0才75〜200mgが好ましい。【0008】【化2】なお、前記イブプロフェンとトラネキサム酸の重量配合比は、イブプロフェン1に対してトラネキサム酸0.1〜10であることが好ましい。さらに、本発明においては前記イブプロフェン及びトラネキサム酸に加えて、カフェインを配合することが好ましい。ここで、カフェインは下記構造式化3を有するアルカロイドで、医薬用途では興奮剤、利尿剤、強心剤として用いられる。内服剤としての通常の用法では、無水カフェインとして一日に250mg以下、一回当り120mg以下である。【0009】【化3】なお、カフェインとしては、安息香酸ナトリウムカフェイン、無水カフェイン等のカフェイン誘導体を用いることもできる。なお、本発明にかかる解熱鎮痛剤には、必要に応じてさらに塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等の抗ヒスタミン剤、ビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンC類、ヘスペリジン類などのビタミン剤、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムゲルなどの制酸剤を適宜配合することができる。【0010】本発明にかかる解熱鎮痛剤の剤型としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、及び散剤、場合によりシロップ剤、坐剤などが挙げられる。これらの製剤は、常法により製造することができる。固体製剤の調製に使用できる成分としては、乳糖、デンプン、ショ糖、マンニトール、結晶セルロースなどの賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴムなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン又はその架橋体、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ジメチルポリシロキサン、タルク、ポリエチレングリコール、硬化油などの滑沢剤があり、このほか、必要に応じて着色剤、甘味剤等を使用することができる。また必要に応じてコーティングを施すこともでき、コーティング剤としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、オイドラギット、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート等があり、ショ糖、アラビアゴム、炭酸カルシウム、タルク、ゼラチンなどを主成分として糖衣を施すこともできる。液体製剤の調剤に使用できる成分としては、精製水、エタノール、グリセリン、ショ糖、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、メタ水酸化アルミニウム、寒天、トラガントガムなどがあり、このほか必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、着色剤、矯味剤等を使用することができる。【0011】また、本発明にかかる解熱鎮痛剤は、頭痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、捻挫痛、生理痛、外傷痛の消炎、鎮痛、悪寒、発熱時の解熱に効果が期待できる。【0012】【実施例】以下、本発明の実施例をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。また、配合量は特に指定のない限り、重量%で示す。【0013】[効果試験]被験試料試料A:イブプロフェンのみ試料B:イブプロフェン+トラネキサム酸=(15:14)試料C:イブプロフェン+トラネキサム酸+カフェイン=(15:14:7.5)【0014】なお、イブプロフェンはSigma社より、トラネキサム酸及びカフェインは和光純薬(株)より購入した。前記割合で各薬物を混合し、0.5%CMC液に懸濁して所定量経口投与した。なお、イブプロフェンの投与量が各試料同一となるように調製した。コントロール群には0.5%CMC液5ml/kgを経口投与した。【0015】使用動物ウィスター系雄性ラット(5週令)及びドンリュー系雄性ラット(6週令)を日本チャールズリバーより購入し、いずれも予備飼育の後、健康動物を選別して実験を行なった。【0016】<抗炎症試験>ラットカラゲニン足蹠浮腫に対する作用体重190g前後のウィスター系雄性ラットに被験薬30mg/5ml/kgを経口投与した後、直ちに0.1%カラゲニン液0.1mlを左後足蹠皮下に投与した。2時間後より1時間おきに左後足の容積をPlethysmometer(Ugo Basil)を用いて測定し、起炎前 の足容積より浮腫率を算出した。結果を表1及び図1に示す。【0017】【表1】【0018】イブプロフェン単独(試料A)ではいずれの測定ポイトにおいても浮腫をほとんど抑制しなかった。トラネキサム酸の添加(試料B)により抑制傾向が現れた。さらにトラネキサム酸とカフェインの両方を加えた試料Cは非常に強力な抑制作用を示し、全ての測定ポイントにおいてコントロール群に対する有意差が検出された。3時間目以降はイブプロフェン単独投与群に対しても有意な差が認められた。【0019】<鎮痛作用試験>ラット酢酸Writhingに対する作用前夜より絶食した体重170g前後のウィスター系雄性ラットに被験薬6mg/5ml/kgを経口投与した後、酢酸を1%含む生理食塩液1mlを腹腔内に投与し、10分経過後よりWrithing回数を10分間計測した。コントロール群の平均値の1/2以下のWrithing回数を示したラットを有効ラットとし、有効率を計算した。【0020】すなわち、各試料が鎮痛効果の発現に要する時間を測定するために、経口投与から酢酸の腹腔内投与までの時間を15分から120分までかえて実験を行なった。結果を表2及び図2に示す。【0021】【表2】【0022】試料Aでは、いずれの測定ポイントでも有効率25−33%と非常に作用が弱く、コントロール群との間に有意差は認められなかった。試料Bは投与15分〜30分にかけて有意な抑制作用を示した。試料Cでは投与直後(15分後)より有効率67〜78%と非常に強力な鎮痛作用を示し、しかも、投与120分後までの同程度の効果が持続した。試料Cは全測定ポイントにおいてコントロール群との間に有意な差が検出され、15−30分では試料Aとの間にも有意差がみられた。試料Bと試料Cの間に有意な差が検出されなかったことから、酢酸Writhing抑制作用に関してはトラネキサム酸の寄与が大きいと思われた。【0023】<胃粘膜障害作用試験>20時間前より絶食した体重190g前後のドンリュー系雄性ラットに被験薬60mg/5ml/kgを経口投与した後、14時間後にラットを殺して胃を摘出した。1%ホルマリンで半固定した後、胃粘膜障害の有無を観察し、潰瘍が生じていた場合は、その長径を測定して合計を求め、潰瘍係数とした。結果を表3及び図3に示す。【0024】【表3】【0025】試料A群では長径が2−9mmに達する潰瘍が一面に生じており、潰瘍係数の平均は45mmであった。試料Bでは24mmと約1/2に、試料Cでは15mmと潰瘍係数が1/3以下に大幅に減少していた。試料BとCでは差は小さく有意差も検出されなかったため、イブプロフェンの胃粘膜障害が両群で大幅に緩和された原因はトラネキサム酸の添加にあると推測された。【0026】<経口単回投与毒性試験>体重190g前後のウィスター系雄性ラットに試料Cを経口投与した後、体重、運動量、呼吸、被毛及び皮膚、排泄物などの状態を8日間観察した。体重の測定は1日1回行なった。途中死亡動物は死亡時点で、生存ラットは観察期間終了後に剖検し、主要な臓器(副腎、腎臓、胸腺、脾臓、心臓、肺、胃、肝臓、腸管)を摘出し、肉眼で異常がないか観察した後、重量を測定した。結果を表4に示す。なお、倍率はヒト(体重50kg)の一日の投与量に対する倍率である。【0027】【表4】【0028】観察期間終了時まで生存したラットについては、動作、運動量、呼吸、排泄物、被毛などには全く異常は認められなかった。この実験で用いた投与量は、体重50kgのヒトの1日の投与量の10〜60倍に相当するにもかかわらず、1314mg/kg(ヒトの60倍)で6匹中2匹死亡しただけであるので、LD50は算出で きなかった。【0029】また、カフェインの単独投与でのLD50値は192mg/kgと報告されているが、その1.17倍量のカフェインを含む1095mg/kgの投与でも死亡例が一例も なく、1.4倍量を含む1314mg/kgの投与で6例中2例のみの死亡と、明ら かに毒性が減弱されていた。【0030】前群のラットに、投与直後より食欲不振が見られたが、その一因はイブプロフェンにあると思われる。イブプロフェン単独では30mg/kgでほぼ半数、90mg/kgで全例のラットの胃の粘膜部に潰瘍が生じたが、トラネキサム酸、カフェインを添加することにより、それを上回る90〜540mg/kgものイブプロフェンが 配合されているにもかかわらず、生存ラットでは消化管の出血を示す黒色の便は全く観察されず、7日後に剖検した際にも、どの群のラットでも胃腸管には潰瘍や出血などが見受けられなかった。このことから、トラネキサム酸の配合により胃粘膜障害が緩和されたものと考えられる。【0031】次に、本発明にかかる解熱鎮痛剤のより具体的な配合例について説明する。なお、次の各錠剤は、フィルムコート錠であり、成人投与の場合、2錠/回、1日3回まで、服用間隔4時間以上を用法とする。【0032】製剤例1 (錠剤)(1)イブプロフェン 75.0mg(2)トラネキサム酸 70.0(3)無水カフェイン 37.5(4)D−マンニトール 61.5(5)低置換度ヒドロキプロピルセルロース 35.0(6)無水リン酸水素カルシウム 55.0(7)カルメロ−スカルシウム 7.0(8)ヒドロキシプロピルセルロース 15.0(9)軽質無水ケイ酸 10.0(10)ステアリン酸Mg 4.0全 量 370.0【0033】(1)から(7)までを均一に混合し、これに(8)の水溶液を加え練合した後、乾燥、整粒し、(9)と(10)を加えて混合した後圧縮成形して1錠370mgの錠剤を製した。場合により、製した錠剤に常法のフィルムコーティングあるいは糖衣を施しても良い。【0034】製剤例2 (顆粒又は細粒)(1)イブプロフェン 75.0mg(2)トラネキサム酸 70.0(3)無水カフェイン 37.5(4)乳糖 702.5(5)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 100.0(6)ヒドロキシプロピリセルロース 10.0(7)軽質無水ケイ酸 5.0全量 1000.0【0035】(1)から(5)までを均一に混合し、これに(6)の水溶液を加え練合した後、押し出し造粒機にて顆粒を製し、乾燥、整粒後、(7)を加えて混合し顆粒剤を製した。また、本処方にて押し出し造粒工程を省くことで、細粒とすることもできる。【0036】製剤例3 (硬カプセル剤)【0037】(1)から(6)までを均一に混合し、これに(7)の水溶液を加え練合した後、乾燥、整粒し、(8)を加えて混合した後硬カプセルに本品を300mg充填し硬カプセル剤を製した。【0038】【発明の効果】 以上説明したように本発明にかかる解熱鎮痛剤によれば、イブプロフェンと共にトラネキサム酸とカフェインを配合したので、イブプロフェンの本来有する解熱鎮痛効果の向上と共に、イブプロフェンの副作用を軽減することができる。【図面の簡単な説明】【図1】ラットカラゲニン足蹠浮腫に対する薬剤の作用の説明図である。【図2】ラット酢酸Writhingによる薬剤の配合効果と鎮痛作用の説明図である。【図3】薬剤の胃粘膜障害作用の説明図である。 イブプロフェンとトラネキサム酸とカフェインを含むことを特徴とする解熱鎮痛剤。 請求項1記載の解熱鎮痛剤において、イブプロフェンに対してトラネキサム酸を0.1〜10倍量含むことを特徴とする解熱鎮痛剤。


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