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タイトル:特許公報(B2)_メチロトローフ酵母におけるグリコレートオキシダーゼの製造
出願番号:1994520096
年次:2004
IPC分類:7,C12N9/04,C12N1/19,C12N15/09


特許情報キャッシュ

アントン,デイビツド・レロイ デイコジモ,ロバート ガバガン,ジヨン・エドワード ペイン,マーク・スコツト JP 3541949 特許公報(B2) 20040409 1994520096 19940301 メチロトローフ酵母におけるグリコレートオキシダーゼの製造 ユニバーシテイ・オブ・アイオワ・リサーチ・フアウンデーシヨン 小田島 平吉 小田嶋 平吾 アントン,デイビツド・レロイ デイコジモ,ロバート ガバガン,ジヨン・エドワード ペイン,マーク・スコツト US 08/025,495 19930303 20040714 7 C12N9/04 C12N1/19 C12N15/09 C12N1/19 C12R1:84 C12N9/04 C12R1:84 JP C12N9/04 Z C12N1/19 C12N15/00 A C12N1/19 C12R1:84 C12N9/04 Z C12R1:84 7 BIOSIS(DIALOG) EUROPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneSeq GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq 16 NRRL 4-21001 NRRL 4-21040 NRRL 4-21065 US1994002174 19940301 WO1994020631 19940915 1996508159 19960903 16 20010209 冨永 みどり 発明の分野本発明は組み換え酵母からの酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの製造に関する。さらに特定的には、本発明はグリコレートオキシダーゼの発現をコードするDNAフラグメントを含むメチロトローフ酵母種の形質転換細胞の培養に関する。背景グリオキシル酸は種々の農業化学品、医薬品及び香料の製造の重要な中間体である。グリオキシル酸の典型的な商業的製造は酸化の化学又は電気化学的手段を用いる。電気化学的製造は蓚酸の還元又はグリオキサールの陰極酸化によるグリオキシル酸の形成を含むが、化学的酸化は一般にHNO3などの強酸の存在下におけるグリオキサールの酸化を含む。これらの商業的方法の結果は、種々の毒性の酸及び重金属を含む廃液流を生ずる。毒性廃棄物の製造を取り巻く公衆の関心の向上と増加する政府の規制は、代替えとなり、原価効率的であり、さらに環境的に受容し得るグリオキシル酸製造の方法の研究を促進してきた。1つのそのような可能性のある経路は、グリコレートオキシダーゼによるグリコール酸の酸化を含む微生物−媒介酵素触媒反応にある。グリコレートオキシダーゼは緑葉植物及び哺乳類細胞を含む種々の供給源から得られる。N.E.Tolbert et al.,J.Biol.Chem.,181:905(1949)がタバコの葉から抽出され、グリオキシル酸の中間生成を介して蟻酸とCO2を与えるグリコール酸の酸化を触媒する酵素を始めて報告した。同様に、K.E.Richardson and N.E.Tolbert,J.Biol.Chem.,236:1280(1961)は、タバコ、てんさい、スイスふだんそう(Swiss chard)、ほうれんそう又はラット肝臓から単離された酵素を用いたグリコール酸からグリオキシル酸へのグリコレートオキシダーゼ触媒酸化の間の蓚酸の生成を報告した。C.O.Clagett et al.,J.Biol.Chem.,78:977(1949)は、酵素を用いたグリコール酸のグリコレートオキシダーゼ触媒酸化のための最適pHは約7.8〜8.6であり、最適温度は35〜40℃であると報告した。組み換えDNA法における近年の進歩はほうれんそう酵素をコードするcDNAの単離(Volokita et al.,J.Biol.Chem.,262(33):15825(1987)を参照)と組み合わされ、代替えとなる実用的酵素源として働くことを目的とした微生物株の構築を可能にした。今日まで、商業的適用において異種タンパク質の発現のために選択される宿種生物はエシェリキア・コリ(Escherichia coli)であった。しかしいくつかの状況でエシェリキア・コリは不適格な宿主であり得ることがわかった。例えばエシェリキア・コリは複数の毒性発熱及びタンパク質分解因子を含み、それは発現される酵素の活性と抵触し得る。これらの及び他の考慮により、活性酵素の製造のための代替え宿主、特に酵母における興味が増した。酵母はエシェリキア・コリ及び他のバクテリアよりも、商業的適用にいくつかの利点を与える。一般に酵母はバクテリアより高密度に生育することができ、容易に連続発酵処理に適応させられる。例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)は100g/1以上の細胞密度に生育することができる(U.S.4,414329)。酵母宿主のさらに別の利点は、酸化的リン酸化などの生物の多くの臨界的機能(critical function)が細胞小器官内に局在し、かくして生物が異種酵素産物を過剰発現するという有害な影響の可能性にさらされないという事実を含む。さらに酵母は発現されるポリペプチド産物をグリコシル化することができると思われ、そのようなグリコシル化はポリペプチド産物の生物活性に重要である。不運なことに、今日まで用いられてきた微生物宿主は、グリコレートオキシダーゼを製造する遺伝的能力を有するにもかかわらず、性能が悪く、不活性な酵素を製造するか、又は非常に控え目な量で酵素を製造した。初期のデータはエシェリキア・コリが発現可能な形態で酵素−コード遺伝子を導入された後、グリコレートオキシダーゼを酵素的に活性な形態で製造することができないことを示したが(Macheroux et al.,Biochem.,30:4612(1991)を参照)、その後実際には、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを用いて、非常に控え目な量とは言え、活性な酵素がこの宿主において発現され得ることが決定された(Macheroux et al.,Biochem.Biophys.Acta.,1132:11(1992))。アスペルギルス(Aspergillus)属(USSN 07/817170)及びサッカロミセス(Saccharomyces)属(Macheroux et al.,Biochem.,30:4612(1991))の種を含む種々の菌類から活性なグリコレートオキシダーゼを発現させることが可能であったが、これらの宿主は商業的に有用であると考えられる量よりずっと少量で酵素を製造できるのみであった。従って商業的に有用な量のグリコレートオキシダーゼの原価効率的な供給源が求められている。発明の概略本発明の目的は、メチロトローフ酵母からの適したプロモーターをコードする第1のDNAフラグメント、それが作用的に及び発現可能的に連結された、グリコレートオキシダーゼ遺伝子をコードする第2のDNAフラグメントを含む、酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの発現のための融合DNAの提供である。場合により該融合DNAは、場合によりグリコレートオキシダーゼを増殖培地中に分泌するための適したシグナルペプチドをコードする第3のDNAフラグメントを含むこともできる。本発明はさらにグリコレートオキシダーゼを発現することができる融合異種DNAを含む、酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの発現のための形質転換メチロトローフ酵母を提供する。本発明の他の実施態様において、内因的に製造される酵素的に活性なカタラーゼを酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼと共発現する形質転換酵母を提供する。さらに、グリコレートオキシダーゼを増殖培地中に分泌する形質転換酵母を提供する。本発明は、酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードする異種DNA構築物を含む形質転換メチロトローフ酵母を培養し、該酵母の成長をグリコレートオキシダーゼの最大製造に適した条件下で保持する段階を含む、酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの製造のための方法を提供する。場合により内因的に製造されるカタラーゼが該グリコレートオキシダーゼと共発現される方法も提供する。【図面の簡単な説明】図1は、ほうれんそうグリコレートオキシダーゼのアミノ酸配列を示す。図2は、プラスミドpHIL−D4及びDA−PCR#1からのプラスミドpMP1の創造を示す。図3は、株MSP10及びMSP12からのグリコレートオキシダーゼ遺伝子のPCR検出のゲル電気泳動である。図4は、形質転換株MSP10及びMSP12からのグリコレートオキシダーゼタンパク質製造のウェスタンブロット分析である。図5は、形質転換株MSP10及びMSP12の誘導培養(induced culture)からのグリコレートオキシダーゼ活性を示すグラフ図である。図6は、プラスミドpHIL−S1を描くプラスミドマップである。発明の詳細な説明以下の定義は本明細書において用いられ、請求の範囲の記述の場合も参照されるべきである。“プロモーター”及び“プロモーター領域”という用語は、通常構造遺伝子のタンパク質コード配列の上流(5')にあり、RNAポリメラーゼ及び/又は転写を正しい部位で開始するために必要な他の因子の認識を与えることによりコード領域の発現を制御するDNAの配列を言う。プロモーター配列は必要であるが、常に遺伝子を発現させるために十分であるとは限らない。“フラグメント”という用語は、DNA配列の特定の領域の断片を言う。“核酸”という用語は、1本鎖又は2本鎖であることができ、糖、リン酸基及びプリン又はピリミジンのいずれかを含むモノマー(ヌクレオチド)から成る分子を言う。バクテリア及び高級植物において、“デオキシリボ核酸”(DNA)は遺伝物質を言うが、“リボ核酸”(RNA)はDNAからタンパク質への情報の翻訳に含まれる。“調節”又は“調節する”という用語は、絶対にではないが主に遺伝子の転写開始の上流(5')に位置するDNA配列要素により制御される遺伝子発現の調節を言う。調節は刺激に対する全か無かの応答を生ずることができ、あるいは遺伝子発現の量の変動を生ずることができる。“コード配列”という用語は、遺伝子のタンパク質、ポリペプチド又はそれらの一部をコードし、転写を開始させる調節配列を除く部分を言う。コード配列は非中断コード領域を構成することができ、あるいは適したスプライシング部位により結合された1つ又はそれ以上のイントロンを含むことができる。コード配列は天然に存在する、又は合成の種々の供給源から誘導されるセグメントの複合物であることができる。“構築”又は“構築物”という用語は、いずれかの供給源から誘導された環状又は非環状の、1本鎖又は2本鎖DNA又はRNAのプラスミド、ウィルス、自律複製配列、ファージ又はヌクレオチド配列を言い、そこでは複数のヌクレオチド配列が連結又は組み換えられ、選択される遺伝子産物のためのプロモーターフラグメント及びDNA配列を適した3'非翻訳配列と共に細胞中に導入することができる独特の構築物とされている。“形質転換”という用語は、核酸の挿入後の細胞における新しい遺伝子の取得を言う。“作用的に連結した”という用語は、DNAの2つのフラグメントの、機能性RNAに転写されるための正しい配向及び読み取り枠における化学的融合を言う。“発現”という用語は、遺伝子産物の配列をコードする遺伝子からの遺伝子産物への転写及び翻訳を言う。発現においては、遺伝子産物の配列をコードするDNA鎖が最初に多くの場合メッセンジャーRNAである相補的RNAに転写され、次いでかくして転写されたメッセンジャーRNAが、遺伝子産物がタンパク質である場合、上記の遺伝子産物中に翻訳される。“翻訳開始シグナル”という用語は、タンパク質合成の開始を特定する核酸中の3つのヌクレオチドの単位(コドン)を言う。“プラスミド”という用語は、多くの場合細胞の中心代謝の一部ではない遺伝子を有し、通常環状の2本鎖DNA分子の形態である外部染色体要素を言う。“制限エンドヌクレアーゼ”という用語は、2本鎖DNA内の特定のヌクレオチド配列内に結合し、切断する酵素を言う。“シグナルペプチド”という用語は、分泌される成熟タンパク質に先行するアミノ末端ポリペプチドを言う。シグナルペプチドは成熟タンパク質から切断され、従って成熟タンパク質には存在しない。シグナルペプチドは、分泌されるタンパク質を、細胞膜を横切って方向づけ、輸送する機能を有する。シグナルペプチドはシグナルタンパク質とも呼ばれる。“成熟タンパク質”という用語は、シグナルペプチドのいずれの部分も結合せずに分泌される最終的タンパク質産物を言う。“適合性制限部位(compatible restriction sites)”という用語は、切断されると、修正が加えられることなく連結されることができるヌクレオチド末端を与える種々の制限部位を言う。“適したプロモーター”という用語は、宿主細胞においてグリコレートオキシダーゼ遺伝子を発現させることができる真核又は原核プロモーターを言う。“適した停止配列”という用語は、宿主細胞においてグリコレートオキシダーゼ遺伝子の転写を停止することができる真核又は原核停止配列を言う。“NRRL"という名称はPeoria,IllinoisにあるU.S.Department of Agriculture,Northern Regional Research Laboratoriesを言い、“NRRL No."はNRRLに寄託した時に培養物に与えられた受け入れ番号である。“酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼ”という用語は、グリコールをグリオキシレートに変換できることが従来の設計のアッセイにより決定される形態のグリコレートオキシダーゼを言う。この用語は、封入体などの小胞内に含まれる酵素も意味し、その場合酵素はグリコレートからグリオキシレートへの反応を触媒するために単離して再生しなければならないと理解される。“IU"という略字で示される“国際単位”という用語は、酵素活性の単位を言い、1分当たり1マイクロモルの基質の形質転換を触媒する酵素の量として定義される。“メチロトローフ酵母”という用語は、細胞機能を維持するために必要なエネルギー源の製造のための炭素源としてメタノールを用いることができ、メタノールオキシダーゼの発現のための遺伝子を含む酵母の属を言う。典型的メチロトローフ酵母にはピチア(Pichia)、ハンセヌラ(Hansenula)、トルロプシス(Torulopsis)、カンジダ(Candida)及びカルウィンスキア(Karwinskia)属のメンバーが含まれる。本出願の発明は、ピチア属の酵母を用いた商業的に有用な量における酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの製造に関する。本発明のグリコレートオキシダーゼはいずれの天然に存在する酵素の形態に対応する構造も有することができ、あるいは遺伝子操作された変異構造を有することもできるが、但し、上記で定義される酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼが保持されている。天然に存在する形態のグリコレートオキシダーゼには、例えばほうれんそう−製造グリコレートオキシダーゼが含まれる。本明細書の図1に示される通り、ほうれんそうグリコレートオキシダーゼは、その成熟形態において、示された配列で配置された369のアミノ酸から成る。本発明の好ましい実施態様に従うと、グリコレートオキシダーゼはほうれんそうグリコレートオキシダーゼ又はほうれんそうグリコレートオキシダーゼの酵素的に活性な変異体、例えば酵素の酵素的に活性なフラグメント、又は1つ又はそれ以上のアミノ酸が同類アミノ酸置換を用いて置換された類似体、又はそのペルオキシソーム堆積を方向付ける酵素の領域が欠失している変異体である。Macheroux et al.(1991)、同上を参照。本発明はグリコレートオキシダーゼ製造の宿主としてメチロトローフ酵母の種及び多様な種類のいずれかを用いる。適した宿主にはピチア属、ハンセヌラ属、トルロプシス属、カンジダ属及びカルウィンスキア属の宿主が含まれ、ピチアが好ましい。特に適したピチア種にはピチア・パストリス及び関連性の密接なP.スチピチス(P.stipitis)、P.オーメリ(P.ohmeri)、P.カルバエア(P.caribaea)、P.グイリエルモンジイ(P.guilliermondii)、P.シフェリ(P.ciferri)、P.クルイベリ(P.kluyveri)及びP.ピヌス(P.pinus)が含まれ、ピチア・パストリスが最も好ましい。有用なピチア宿主の1つの種類は栄養要求性突然変異体、すなわち成長するために1種又はそれ以上のアミノ酸、ビタミン類又は他の栄養の補足を必要とする突然変異株である。そのような突然変異体の形質転換は、突然変異宿主の形質転換に用いられる組み換えDNA材料の一部として、不足の遺伝子産物の製造をコードするDNA配列を用いることにより、容易に選択することができる。好ましい宿主酵母株はピチア・パストリス GTS115(his4)であり、これはヒスチジンを製造する能力において欠陥のある突然変異体であり、突然変異体遺伝子型his4として同定された。ピチア・パストリス GTS115(his4)はブタペスト条約の基にNorthern Regional Research Laboratories,(NRRL)に寄託されており、後文ではそのNRRL受け入れ番号によりNRRL Y−15851と呼ぶ。ピチアの代謝において重要な他の多くの遺伝子における突然変異体も存在するか、又は単離され、従って事実上他のいずれの栄養要求性突然変異ピチア宿主も本発明の目的に適していることが当該技術分野における熟練者に認識される。異種DNAを受容し、DNA発現を制御するように適応させられた多様な遺伝子構築物がピチア宿主と共に用いるために開発され、これらのいずれもピチア宿主におけるグリコレートオキシダーゼの製造の目的に用いることができる。便宜的に発現カセットと呼ばれるそのような遺伝子構築物は、転写開始制御因子を内蔵する異種DNA挿入片の5'領域及び転写停止を制御するDNA挿入片の3'領域を含む。両制御領域をピチアと相同の遺伝子から誘導するのが好ましい。しかしそのような制御領域は宿主として選ばれる種の本来の遺伝子から誘導される必要はなく、同一のピチア遺伝子から誘導される必要もない。もっと普通にはプロモーターと呼ばれ、グリコレートオキシダーゼ−コードDNAを発現させるのに有用な開始制御領域には、ピチアのメタノール利用経路(methanol utilization pathway)における遺伝子から誘導される領域が含まれる。実際に、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ及びジヒドロキシアセトンシンターゼを含むほうれんそうグリコレートオキシダーゼ遺伝子を促進することができるいずれのピチアプロモーターも本発明に適しているが、好ましいプロモーターはアルコールオキシダーゼプロモーター、AOX1である。ポリアデニル化部位及び転写を停止するために機能する領域を含むことができる転写制御領域もピチア宿主に本来ある、あるいは場合により他の酵母宿主又は高級植物からの種々の遺伝子から誘導することができる。場合によりピチアポリアデニル化停止部位は不要である。しかしピチアポリアデニル化停止部位を含む遺伝子構築物が好ましい。グリコレートオキシダーゼの細胞内製造のために、グリコレートオキシダーゼをコードするDNAはその開始コドンを介し、選択された発現制御領域に、発現がグリコレートオキシダーゼ−コードメッセンジャーRNAの形成を生ずるように作用的に連結される。別の場合、グリコレートオキシダーゼ融合タンパク質の製造が望ましい場合、グリコレートオキシダーゼをコードするDNAをその5'末端において、担体タンパク質をコードする遺伝子の3'末端に連結する。場合により担体タンパク質をコードするDNAがその5'末端においてグリコレートオキシダーゼをコードするDNAの3'末端に連結される逆の配置も構築することができる。又、必要なら酵素切断可能なリンカーをコードするDNAを、読み取り枠を中断させずに、オキシダーゼ−コードDNAと担体−コードDNAの間に挿入し、酵素切断によりグリコレートオキシダーゼをそこから遊離させることができる融合タンパク質を発現により生ずることができる。タンパク質製造のための融合タンパク質法の例はContreras et al.,Bio Technology,9:378(1991)により与えられている。ピチアにおけるグリコレートオキシダーゼの発現のための発現カセットの構築は、当該技術分野における熟練者に周知の方法により行うことができる。グリコレートオキシダーゼ遺伝子の供給源は染色体DNA又はあらかじめ構築された遺伝子を含むベクターであることができる。一般にグリコレートオキシダーゼ遺伝子を現存するベクターから単離するのが好ましい。グリコレートオキシダーゼ遺伝子に、簡単な制限部位により5'及び3'末端の両方において境界をつけるのも好ましい。染色体コピーを含む、適したグリコレートオキシダーゼ遺伝子を含むいずれのベクター又はプラスミドも用いることができる。しかし本発明の目的の場合、プラスミドpDA−PCR#1が好ましい。pDA−PCR#1はアスペルギルス形質転換プラスミドpTAwtS−GODから誘導される。プラスミドpTAwtS−GODはアスペルギルス ニズランス alcAプロモーターの制御下の、5'末端においてBgl II部位により、及び3'末端においてEcoR I部位において境界をつけられたほうれんそうグリコレートオキシダーゼ遺伝子を含む(図2)。pTAwtS−GODにおけるグリコレートオキシダーゼ遺伝子は、1端にXba I部位及び反対の端にEcoR I部位を挿入されたプライマーを用いて従来のPCR案により増幅することができる。PCRフラグメントはBluescriptプラスミド(Stratagene,La Jolla,CA)にXba I及びEcoR I部位の間で連結され、プラスミドpDA−PCR#1を与える。1つのグリコレートオキシダーゼタンパク質をコードする単離されたDNAは場合により、クローニングの目的のために当該技術分野において周知の方法により、適したピチア形質転換ベクター中に増幅される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はリガーゼ連鎖反応(LCR)を含むいずれの増幅法も用いることができ、PCRが最も好ましい。増幅されたグリコレートオキシダーゼDNAは次いで適したピチア形質転換ベクター中にクローニングされる。複数の形質転換ベクターが適しており、この場合ベクターはグリコレートオキシダーゼ遺伝子を発現させることができるプロモーターを含み、ここでプロモーターは下流にグリコレートオキシダーゼ遺伝子にフランキングする制限部位と適合性の制限部位を含む。pHIL−A1、pHIL−D1、pHIL−D2、pHIL−D3、pHIL−D5、pHIL−S1、pPK20及びpT76H4を含むいずれの適した形質転換ベクターも用いることができるが、プラスミドpHIL−D4が最も好ましい。pHIL−D4はPhillips Corp.(Phillips Petroleum Company,Barglesville,OK)から商業的に入手可能であり、図2に詳細に説明されている。簡単に言うとpHIL−D4は以下の特徴、(i)ピチア・パストリス メタノール誘導性プロモーターAOX1、EcoR I部位を介してそれに結合している(ii)AOX1転写停止要素、(iii)P.パストリス選択可能マーカー、HIS4、(iv)カナマイシン耐性遺伝子、(v)3'AOX1フランキングフラグメント、(vi)及びE.コリ宿主における増殖及び選択を可能にするpBR322要素を含む。HIS4マーカーは陽性の形質転換宿主の選択において有用であり、カナマイシン耐性遺伝子は高コピー数形質転換細胞の選択に有用である。グリコレートオキシダーゼDNAのクローニングは、適合性制限エンドヌクレアーゼを用いたベクター及びグリコレートオキシダーゼ含有DNAフラグメントの制限酵素消化、及び続く、当該技術分野における熟練者に周知の案に従う連結により行うことができる。典型的にそのような連結の結果、ほうれんそうグリコレートオキシダーゼ遺伝子がAOX1プロモーターとAOX1停止領域の間に挿入されたベクターが創造される。得られるベクターはいずれの適したピチア種も形質転換し、酵素的活性グリコレートオキシダーゼを発現することができ、pMP1と標識された。ブラスミドpMP1にはピチアの複製起点がないので、すべての形質転換細胞はプラスミドの染色体組込みから生ずる。しかし当該技術分野における熟練者は、適した形質転換プラスミドを形質転換宿主内で自律複製性であるように構築することもできることを認識するであろう。本発明の目的の場合は、プラスミドの染色体組込みの方が、より安定な形質転換宿主を与えるので好ましい。ピチア種宿主の形質転換は、当該技術分野において周知の多様な案により行うことができる。前記の通り、好ましいピチア宿主にはピチア栄養要求性突然変異体が含まれ、最も好ましいのはHis-突然変異体、GTS115(his4)(NRRL Y−15851)である。簡単に言うと、酵母細胞壁分解酵素を用いて宿主株GTS115(his4)のスフェロプラストを最初に調製し、続いて形質転換ベクターpMP1と共にインキュベートする。選択培地上で平板培養した後、His+形質転換細胞を単離する。His+形質転換細胞はさらに、メタノール上における遅成長(slow growing)表現型(Mut-)に関する選択により、染色体アルコールオキシダーゼ遺伝子のグリコレートオキシダーゼ遺伝子による特異的置換に関してスクリーニングすることができる。商業的に有用な量のグリコレートオキシダーゼの製造の目的の場合、最高のコピー数の可能な形質転換プラスミドを有するクローンを選択するのが有利である。これは、次々に量を増加させたカナマイシンの存在下でKan+形質転換細胞を生育し、カナマイシンに対する最大の耐性を有するクローンを選択することにより行われる。多数のグリコレートオキシダーゼ遺伝子のコピーをピチアアルコールオキシダーゼプロモーターの制御下に含む形質転換細胞を、次いで酵素的活性グリコレートオキシダーゼの製造に関して評価する。形質転換細胞を標準的方法に従って生育する。簡単に言うと、細胞をMGY培地中で30℃において振りながら2〜10のA600まで生育する。次いで細胞をペレット化し、誘導のために0.5%のメタノールを含むMM培地中に再懸濁し、30℃で振りながら1〜4日間インキュベートする。グリコレートオキシダーゼタンパク質はウェスタンブロット分析により検出することができ、あるいはグリコレートオキシダーゼ活性を分光光度測定的アッセイを用いて検出することができる。最も好ましいのは、Soda et al.,Agr.Biol.Chem.,37(6):1393(1973)により記載の方法である。Soda et al.のアッセイは、グリオキシレートをグリシン及びo−アミノベンズアルデヒドと反応させ、440nmに吸収極大を有する黄色の錯体を形成することにより、グリコレートのグリコレートオキシダーゼ触媒酸化により製造されるグリオキシレートを測定する。場合により、形質転換酵母宿主の分泌産物として活性グリコレートオキシダーゼを製造するのが望ましい。増殖培地中への所望のタンパク質の分泌は精製法が簡単であり、経費が安いという利点を有する。分泌シグナル配列は多くの場合、発現可能なタンパク質の細胞膜を横切る能動輸送を容易にするのに有用であることは当該技術分野において周知である。グリコレートオキシダーゼ分泌の可能な形質転換ピチアの創造は、ピチア製造宿主において機能性である分泌シグナルをコードするDNA配列を挿入することにより行うことができる。分泌シグナルDNAは、発現−制御DNA及びオキシダーゼ−コードDNAの間で、及びオキシダーゼ−コードDNAに関する読み取り枠内で発現カセットに挿入される。グリコレートオキシダーゼ分泌の可能なピチア宿主の創造のために、分泌ベクター、pHIL−S1(Phillips Petroleum Company,Bartlesville,OK)を用いることができる。Phillipsの組込み/分泌ベクターpHIL−S1(図6)は、短い多重クローニングセグメント(multiple cloning segment)が続くP.パストリス 酸ホスファターゼ(PHO1)分泌シグナルをコードするDNAフラグメントが5'AOX1フラグメント及びAOX1停止フラグメントの間に挿入されていることを除いてpHIL−D4(図2)に非常に類似している。ピチア宿主の形質転換は、分泌シグナル配列の枠内で、多重クローニング部位においてグリコレートオキシダーゼ遺伝子(pDA−PCR#1から上記の通りに単離)をサブクローニングすることにより行うことができる。次いでそのようなベクターを用いて適したピチア宿主(例えばGTS115)を、pHIL−D4の場合に上記に記載した方法と類似の方法で形質転換する。グリコレートオキシダーゼ及びカタラーゼを共発現するピチア宿主の形質転換細胞は、グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)からのグリオキシル酸の製造に有用である。グリコール酸と酸素との酵素−触媒反応は何年も前から既知であったが、グリオキシル酸への高い選択率(>99%)は以前には得られず、0.20M〜2.5Mの濃度におけるグリコール酸の酸化も行われなかった。1989年10月16日出願の米国特許出願07/422,011、“Production of Glyoxylic Acid from Glycolic Acid"は酸素及び可溶性酵素であるグリコレートオキシダーゼとカタラーゼの存在下におけるグリコール酸からグリオキシル酸への酵素的変換の方法を記載しており、この方法は、カタラーゼ(副生成物である過酸化水素を破壊するため)及び、製造されるグリオキシル酸と化学的付加物を生成する(さらに酸化されるのを制限する)ことができるアミン緩衝液の両方を用いた予期できない相乗的効果も示している。別々に加えられるカタラーゼもアミン緩衝液も、両者が存在する時に観察される高選択率を生ずることは見いだされなかった。さらに、得られるグリオキシル酸のほとんど定量的な収率は、カタラーゼ又はアミン緩衝液の単独の使用の単純な加算的効果から予期される以上であった。上記の方法の改良法は、可溶性酵素の代わりに微生物全細胞を触媒として用いる。全細胞触媒法は以前に出願された米国特許出願07/817,165に十分に記載されている。以前に報告された、グリオキシル酸の製造のための触媒としての可溶性酵素の利用は、いくつかの問題を提起している。1)再利用のための触媒の回収が容易に行われない。2)酵素活性が固定化酵素又は全細胞触媒系の場合程安定でない。3)可溶性グリコレートオキシダーゼは反応混合物への酵素の散布に対して安定でない。酸素は酸素の溶解の速度、かくして反応速度を増すために必要である。1992年2月6日出願の第2の関連米国特許出願07/817,170、“Glycolate Oxidase Production"は、ほうれんそうからのグリコレートオキシダーゼ及び内因性カタラーゼを発現するアスペルギルス・ニズランスのいくつかの形質転換細胞の構築を記載している。本発明においてグリオキシル酸の製造のためにこれらの全細胞触媒を用いる場合の、可溶性酵素を用いる以上のいくつかの利点は、(1)全細胞触媒は反応の完了時に反応混合物から再利用のために容易に回収できるが、可溶性酵素は非常な困難を伴い、活性を失わないと回収できない、(2)それらは、得られる触媒回転数対可溶性酵素の数値に関しても、及び反応の完了時に回収される酵素活性に関しても可溶性酵素より安定である、ならびに(3)最も重要なことに、それらは酸素の溶解速度及び反応速度を増すために酸素又は酸素−含有気体が反応混合物中に散布される反応条件に対して安定であり、類似の条件下で可溶性グリコレートオキシダーゼは急速に変性することである。本発明は異種グリコレートオキシダーゼ遺伝子及び内因性カタラーゼ遺伝子の両者を発現することができる形質転換メチロトローフ酵母宿主を提供する。すべてのメチロトローフ酵母が内因性カタラーゼを製造するいくらかの能力を有することは当該技術分野において周知であるが、ピチア属及びハンセヌラ属のメンバーが好ましい。ピチア・パストリス株をその内因性カタラーゼの製造能力に関して評価し、P.パストリスGTS115を選択した。カタラーゼ製造の評価のために、形質転換ピチア・パストリスGTS115(his4)、(NRRL Y−15851)を上記の方法に従って生育し、酵素的活性カタラーゼに関して分析した。カタラーゼ活性を決定するいくつかの方法を利用できる。材料及び方法プラスミドpHIL−D4及びpHIL−S1はPhillips Company(Phillips Petroleum Company,Bartlesville,OK)から得た。PCR試薬はPerkin−Elmer Cetusから得、それに従って使用した。PCRに慣習的な案をInnis,M.et al.,PCR Protocols,1990,Academic Pressに記載の通りに用いた。制限酵素消化、連結、形質転換及びプラスミド調製は、Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning:a laboratory manual,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の通りに行った。以下の非制限的実施例は本発明の例示のつもりであり、いかようにもそれを制限するものではない。実施例実施例1ほうれんそうグリコレートオキシダーゼ遺伝子を含むプラスミドpMP1の構築グリコレートオキシダーゼの発現のためにピチア種を形質転換することができるベクター構築のために、ベクターpDA−PCR#1(図2)にあるグリコレートオキシダーゼ(GO)遺伝子を用いた。pDA−PCR#1は図2に示されるアスペルギルス形質転換プラスミドpTAwtS−GODから誘導される。簡単に言うと、pTAwtS−GODはアスペルギルス・ニズランス alcAプロモーターの制御下に、及び5'末端をBgl II部位により、及び3'末端をEcoR I部位により境界をつけられて、ほうれんそうグリコレートオキシダーゼ遺伝子を含む。pTAwtS−GOD中のグリコレートオキシダーゼ遺伝子は、一端にXba I部位及び端にEcoR I部位を挿入されたプライマーを用いた従来のPCR案により増幅される。PCRフラグメントはBLuesciptプラスミド(Stratagene,La Jolla,CA)にXba I及びEcoR I部位の間で連結され、プラスミドpDA−PCR#1(図2)を与える。pDA−PCR#1にあるGO遺伝子はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、EcoR I制限部位が挿入されたプライマー(MP18:5'TAC CGA ATT CAT GGA GAT CAC AAA TGT G 3'(配列番号:1)及びMP19:5'AAC AGA ATT CTT ATA ATC TGG GAA CAG A 3'(配列番号:2))を用いて増幅される。プラスミドpHIL−D4はPhillips Co.(Phillips Petroleum Company,Bartlesville,OK)から商業的に入手可能であり、ピチア・パストリスにおける組込みのために設計されたシャトルベクターである。簡単に言うとこのベクターは1100bpのメタノール誘導可能なプロモーターAOX1が挿入され、それはEcoR I部位を介して300bpのAOX1転写停止要素に連結している。プラスミド上にはP.パストリス選択可能なマーカーHIS4、カナマイシン耐性遺伝子、3'AOX1フランキングフラグメント及びE.コリ宿主における増殖及び選択を可能にする要素もある(図2)。増幅されたGO遺伝子はEcoR Iで消化され、pHIL−D4中にEcoR I部位(AOX1プロモーター及びAOX1停止の間)において前進配向でサブクローニングされ、プラスミドpMP1を与える(図2)。pMP1は次いでピチア・パストリスの形質転換に用いられる。実施例2pMP1を用いたピチア・パストリスの形質転換GTS115(his4)と命名されたピチア・パストリスの宿主株(Phillips Petroleum Company,Bartlesville,OK)をpMP1による形質転換のために選択した。pMP1をPhillips.Gregg et al.,Mol.Cell.Biol.5(12):3376(1985)により記載の従来のDNA−媒介形質転換案を用いてGTS115(his4)中に導入した。細胞壁分解酵素チモラーゼ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を用いて宿主株GTS115のスフェロプラストを最初に調製した。次いでスフェロプラストをソルビトール/ポリエチレングリコールの存在下で、約1〜2μgの線状化pMP1と共にインキュベートした。形質転換細胞をHis+プロトトロフに関して選択可能な培地上で再生させた。His+クローンを、0.5%のメタノールを含む、又は含まない培地上におけるレプリカ平板法、及びメタノール上における遅成長表現型を有するクローン(Mut-)の選択により、染色体AOX1置換に関してスクリーニングした。Mut-クローンをさらに、増加する量のカナマイシン(100μg/ml〜1000μg/ml)を含む培地における選択的生育により発現カセットコピー数に関してスクリーニングした。カナマイシンに対する最大の耐性を示す2つのクローンを選択し、MSP10及びMSP12と標識した。MSP10及びMSP12は1000μg/mlより多量のカナマイシンに耐性であったが、他の15のHis+/Mut-クローンは100μg/mlより多量のカナマイシン中で成長しなかった。プライマーMP18(配列番号:1)及びMP19(配列番号:2)を用いた、MSP10及びMSP12から単離された染色体DNAのPCRは、1.1kbのフラグメントを生じ、これらの組み換え株中のGO遺伝子の存在を示しており、それを図3に示す。実施例3MSP10及びMSP12からの活性グリコレートオキシダーゼの発現グリコレートオキシダーゼ遺伝子の多数のコピーを内蔵する株MSP10及びMSP12をグリコレートオキシダーゼ活性に関して個別に評価した。これは、適した培地中でMSP10及びMSP12を生育し、続いて0.5%メタノールを用いて誘導することにより行った。細胞はMGY培地(アミノ酸を含まない1.34%の酵母窒素塩基、0.00004%のビオチン、1%のグリセロール)中で30℃において振りながら2〜10のA600まで生育した。次いで細胞をペレット化し、MM培地(アミノ酸を含まない1.34%の酵母窒素塩基、0.00004%のビオチン、0.5%のメタノール)中に再懸濁し、30℃において振りながら1〜4日間インキュベートした。細胞を誘導の0、3.5及び24時間後に収穫し、50mMのリン酸ナトリウムpH7.4、1mMのPMSF、1mMのEDTA、5%のグリセロール及び0.01mMのFMN中で等体積の0.5mmのガラスビーズと共に、30秒間氷上に置くことを伴いながら30秒づつ延長し、合計4分間渦動することにより細胞溶解した。これらのライセートのウェスタンブロット分析によるGO酵素の検出は、これらの株におけるGO遺伝子の発現を確証した(図4)。o−アミノベンズアルデヒド及びグリシンを用いた(K.Soda,Agr.Biol.Chem.,37:1393(1973))GO酵素活性に関する分光光学測定的アッセイ(440nmにおける吸収監視を用いた)を用いて細胞ライセートからのグリコレートオキシダーゼ活性を測定し、それはブロットされた細胞1g当たり100〜450IUの活性を示した。図5はメタノールによる誘導の後のグリコレートオキシダーゼ活性の代表的な時間的経過を示す。ほうれんそうグリコレートオキシダーゼ−コードDNAの多数のコピーをAOX1プロモーターの発現制御下に内蔵するピチア・パストリス株MSP10及びMSP12の試料をブタペスト条約の基にNorthern Regional Research Laboratoriesに寄託し、それぞれ受け入れ番号NRRL Y−21001及びNRRL 4−21040により指定された。実施例4MSP10及びMSP12におけるグリコレートオキシダーゼ及び内因性カタラーゼの発現グリコレートオキシダーゼ遺伝子の多数のコピーを内蔵する形質転換細胞MSP10及びMSP12を、内因性カタラーゼを酵素的活性グリコレートオキシダーゼと共発現する能力に関して個別に評価した。細胞を震盪フラスコで、1%のグリセロールを含むYNB培地中において30℃で2〜10のA600まで約48時間生育した。次いで細胞をペレット化し、0.5%のメタノール(誘導のため)を含む新しいYNB培地に移し、さらに16〜24時間30℃においてインキュベートした。分析のために、100mgの湿潤細胞(ブロットして過剰の水分を除去する)を1mlの、50mMリン酸ナトリウムpH7.4、0.1mM PMSF、1mM EDTA及び0.1mM FMNに移し、1gの0.5mmガラスビーズの存在下で高速において2分間渦動混合することにより細胞の抽出物を調製した。ライセートをカタラーゼ及びグリコレートオキシダーゼの両者の存在に関してアッセイした。場合により培養物を、撹拌機を有する10Lの発酵槽で約48時間、1%のグリセロールを含むYNB中で30℃において2〜10のA600まで生育した。細胞を0.5%のメタノール(誘導のため)を含む新しい培地に暴露し、さらに6時間インキュベートした。次いで細胞を収穫し、上記の通りに細胞溶解し、ライセートをグリコレートオキシダーゼ及び内因性カタラーゼの両者の存在に関してアッセイした。グリコレートオキシダーゼは上記のSoda et al.の方法に従って測定した。カタラーゼ活性はBeers et al.,J.Biol.Chem.,195:133(1952)の方法に従って測定した。この方法では、カタラーゼを含むと思われる試料を過剰の過酸化水素と混合し、紫外分光光度計において240nmの波長で吸収を測定する。表Iは共発現されたカタラーゼ及びグリコレートオキシダーゼ活性を示す。 表Iにおいてわかる通り、カタラーゼ及びグリコレートオキシダーゼの両者を株MSP10及びMSP12により有効に共発現することができる。実施例5ピチア・パストリスによる活性グリコレートオキシダーゼの分泌形質転換する分泌ベクターの構築pDA−PCR#1(図2)に存在するGOをコードするDNAフラグメントを、実施例1に記載の通りにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅する。適した末端を有する増幅されたGO DNAを、pHIL−S1中のPHO1分泌シグナル配列に5'において、標準的制限エンドヌクレアーゼ消化、及び続くpHIL−S1との連結によりサブクローニングする(図6)。この連結の結果、GTS115などのピチア株を形質転換することができるベクターが生ずる。GTS115の形質転換を実施例1に記載の通りに行う。活性グリコレートオキシダーゼの分泌形質転換細胞をBMGY(0.1Mリン酸カリウムpH6.0、1.34%、0.00004%ビオチン、1%グリセロール、1%酵母抽出物、2%ペプトン)中で30℃において飽和(A600=10〜20)まで生育する(2〜3日間)。次いで細胞を遠心により収穫し、0.5%のメタノールを含み、グリセロールを除いた1/20〜1/10体積のBMGY中に再懸濁する。次いで細胞を30℃で1〜4日間振りながらインキュベートする。上澄み液をGOタンパク質及び/又はGO活性に関して実施例3に記載の方法により分析する。配列 表配列番号:1配列の長さ:28配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 DNA配列配列番号:2配列の長さ:28配列の型:核酸鎖の数:1本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 DNA配列配列番号:3配列の長さ:369配列の型:アミノ酸鎖の数:不明トポロジー:不明配列の種類:タンパク質配列 a)酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードする異種核酸を宿主メチロトローフ酵母中に導入することにより形質転換メチロトローフ酵母を作製し、b)該形質転換メチロトローフ酵母を適した培地中で該核酸の発現を可能にする条件下で培養する段階を含んでなる酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの製造法。 該メチロトローフ酵母がピチア(Pichia)種である請求の範囲第1項に記載の方法。 該形質転換メチロトローフ酵母を回収することをさらに含んでなる請求の範囲第1項に記載の方法。 酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼを単離することをさらに含んでなる請求の範囲第1項に記載の方法。 a)宿主メチロトローフ酵母、及びb)酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードし、該宿主メチロトローフ酵母中に発現可能的に導入され、該宿主メチロトローフ酵母に対して異種である核酸を含んでなる、グリコレートオキシダーゼ反応を触媒することができる形質転換メチロトローフ酵母。 該核酸が安定に且つ発現可能的に該宿主メチロトローフ酵母中に導入されている請求の範囲第5項に記載の形質転換メチロトローフ酵母。 該異種核酸がほうれんそうの酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードする請求の範囲第6項に記載の形質転換メチロトローフ酵母株。 ピチア種である請求の範囲第6項に記載の形質転換メチロトローフ酵母。 宿主がピチア・パストリス(Pichia pastoris)である請求の範囲第8項に記載の形質転換メチロトローフ酵母。 プラスミドpMP1を用いて形質転換された、酵素的に活性な異種グリコレートオキシダーゼを発現し、且つNRRL番号Y−21001を有するピチア・パストリスMSP10。 プラスミドpMP1を用いて形質転換された、酵素的に活性な異種グリコレートオキシダーゼを発現し、且つNRRL番号4−21040を有するピチア・パストリスMSP12。 a)ピチアプロモーター、及びb)該ピチアプロモーターの3'末端に結合し、酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードするプロモーター非含有核酸フラグメントを含んでなる遺伝子を含んでなる酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードする核酸。 プロモーターがAOX1プロモーターである請求の範囲第12項に記載の核酸。 酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼをコードする該核酸の3'末端に結合したAOX1転写停止要素をさらに含んでなる請求の範囲第12項に記載の核酸。 請求の範囲第12項に記載の該核酸を含み且つ下記の制限酵素地図によって示されるプラスミドpMP1。【請求項16】宿主メチロトローフ酵母が酵素的に活性な内因性カタラーゼを発現する請求の範囲第1項に記載の酵素的に活性なグリコレートオキシダーゼの製造法。


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